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JR東海 キハ25形気動車~313系もどきの新型気動車

2011-07-13 | 鉄道[東海]

MAKIKYUは今月初めに名古屋へ出向く機会があり、その際には今年春に武豊線用に導入された新型気動車・キハ25形に乗車する機会がありました。

武豊線では既にキハ75形と呼ばれる新系列気動車が活躍しており、同形は性能・設備両面で非電化線区の普通列車にしては最高級の部類に入ります。

そのためキハ25形導入の際には、何もわざわざ新型車を…とも感じたものでしたが、今年春から混雑が常態化していた関西本線~伊勢方面快速「みえ」号で増結が行われ、これに伴ってキハ75形を捻出する必要性が生じた事が、キハ25形導入の大要因となっている様です。

キハ75形の増備ではなく、敢えて新形式での導入になった事に関しては、キハ75形は特急並みの高性能を誇り、普通列車用にしては過剰なスペックである事や、製造からそこそこの年月が過ぎ、デザインや内装面などで最新型電車などに比べると若干…という事もあるのかもしれません。

 
ただ見た目は最新型電車313系の最新増備車とほぼ同等に仕上げられており、エンジン音を除くと「313系もどき」と言っても過言ではない雰囲気ですので、非電化単線の武豊線でも東海道線と格差を感じない様に…という配慮もあるのかもしれませんが、313系自体は中京地区で嫌と言うほど走っており、新型車の割には余り新鮮味を感じない気がしたものです。

外観上の313系との違いを挙げると、前面貫通扉上部にライトがない事が大きなポイントとはいえ、それ以外は313系よりややスマートさに欠ける印象のスカートと、将来ホーム高さの低い路線に転用しても対応できるように、客ドアにステップを追設しやすい構造となっている事が目立つ程度です。


車内では見た目を極力313系に近づけており、転換式クロスシートが並ぶ車内は、武豊線が非電化単線の路線ながらも、複線電化の競合私鉄に見劣りしない様に設備面で意識している事を感じさせられたものですが、何故か半自動ドアスイッチだけは313系とは異なるものが付いているのが気になったものでした。

おまけに313系とはデザインだけでなく、ラインカラーまで全く一緒ですので、デザイン的にはほぼ同一で揃えた車両として知られ、JR北海道の札幌圏で活躍する731系電車とキハ201系ですら、帯色を変える事で識別できるようにしている事を考えると、敢えて電車と錯覚させる事を狙ったのでは?と思ってしまう位です。
(さすがにキハ75形などは電車に見劣りしないとはいえ、キハ75形導入以前に武豊線で活躍しており、現在他地区へ転用されたキハ40系列ともなると、様々な面で313系などに比べると大きく見劣りし、乗り控えもあり得ますので…)

とはいえ見た目こそ313系と非常に良く似ているものの、731系とキハ201系の様な併結協調運転には対応しておらず、それどころか電気指令式ブレーキを採用している新系列気動車のキハ75形とすら併結には対応していない模様です。
(仮にキハ75形と併結対応にした場合でも、車体長の違いで4両編成程度になると乗車位置が変わり、整列乗車に難をきたすため、両形式の併結は極力避けると思いますが…)

そのため現段階ではキハ25形の2両編成、もしくは同形のみを2編成連結した4両などでの活躍に限られており、運用は基本的に限定されています。

MAKIKYUがキハ25形に乗車した際には東海道線区間快速で、同形最高速度110km/hでの走行を堪能していますが、エンジン自体はキハ75形よりやや出力が増強されているとはいえ、1両1基のみという事もあって加速性能はキハ75形よりも大幅に劣り、この事もキハ75形との併結を行わない一因かもしれませんが、これに加えて変速時のショックがやや大きい様に感じられたのも気になったものでした。
(性能面では武豊線の最高速度が85km/hとなっており、同線関連のみで運用するには充分過ぎるレベルですが…)

ちなみにキハ25形の運用は、昼間時間帯の武豊線内ワンマン列車の大半をはじめ、東海道線内快速運転(区間快速など)で名古屋発着となる武豊線列車でも、特定の列車を狙えば容易に捕獲できますので、キハ25形に一度乗車したいといった場合には、趣味的にはあり難いものです。

とはいえ武豊線は将来的に電化計画があり、その後他線区へ転出した場合には、同形のみでしか運用できないと使い勝手が悪いのは目に見えますので、今後の展開が気になる所です。


JR東海 キヤ95系気動車に遭遇

2010-04-12 | 鉄道[東海]

   

今年春の青春18きっぷ有効期間最終日だった10日、MAKIKYUは身延線などの乗車に出向いていたのですが、その途中の沼津駅では、キヤ95系と呼ばれる車両に遭遇したものでした。

キヤ95系はJR東海が導入した検測用車両で、1996年に登場してからJR東海各線をはじめ、一部の乗り入れ線区などでも軌道や電気関係の検測を行っています。

その後近年もう1編成が増備され、現在2編成が活躍しているとはいえ、非営業用の検測用車両故に運用区間が幅広く、運転日も不定期という事もあって、神出鬼没の車両と言えます。

こんな車両ですので遭遇機会は限られ、MAKIKYUも車両の存在自体は知っていたものの、姿をじっくりと眺める機会は今までなく、先日沼津駅で偶然発見した際に、初めて実車の全貌を確認したものでしたが、ホームから離れた奥の方にある側線に停車していましたので、車内の様子などを覗く事が叶わないのは少々残念でした。

MAKIKYUはこの様な検測用車両には、JRでは西日本のキヤ141系と2回ほどすれ違った事がありますが、この時は単線区間で対向列車乗車中の行き違いだった事もあって、その姿をじっくりと観察する事は叶わない状況でしたので、JRの検測用車両をじっくりと観察するのは先日が初めてでした。
(私鉄であれば小田急のクヤ31号「テクノインスペクター」に遭遇し、その際の様子を「MAKIKYUのページ」記事(該当記事はこちらをクリック)として取り上げた事もあるのですが…)

このキヤ95系は形式名の通り気動車で、広域にわたって様々な特性の路線を運行するJRらしいと言え、デザインも機能本位のシンプルな印象であるものの、黄色1色に塗られた前面はインパクトが強いと感じたものです。

またキヤ95系は3両で1編成を構成しているのですが、MAKIKYUが遭遇したDR1編成は片方の先頭車に架線検測用のパンタグラフを1基装備していますので、見た目は電車かと錯覚しそうな雰囲気があります。

3両編成だけあって中間車も存在するのですが、この中間車は日本の気動車にしては珍しい付随車(エンジンを搭載しない車両で、現在メジャーな存在と言える車両は、JR北海道の札沼線で活躍するキサハ144形程度です)となっており、しかも検測用車両だけあって「キサヤ」という聞き慣れない形式となっています。

その上この「キサヤ」は軌道検測用台車を装備しているために、機関車の如く1両に3つの台車を装備しており、如何にも奇妙な風貌となっていますので、非常に目立つ存在と言えます。

こんな車両ですので、非営業用の検測用車両で乗車機会はまずないとはいえ、見るからに異様な雰囲気を放つ風貌は興味をそそるものですが、JRでは東海以外の他社でも、先述のキヤ141系などの同種車両が存在しますので、他の検測用車両をじっくりと眺める機会も…と感じたものでした。
(出来る事なら運行中に乗車できれば尚更ですが、さすがにそこまで望むのはまず不可能ですので…)


非電化線区を走行するライナー列車「ホームライナー太多」

2010-04-07 | 鉄道[東海]

数日前MAKIKYUは青春18きっぷを利用し、関西方面へ出向く機会があったのですが、その際には途中で以前から気になっていた列車の一つでもあった「ホームライナー太多」号に乗車する機会がありました。

この列車は名古屋~美濃大田間を多治見廻り(中央本線・太多線経由)で運行しており、中央本線と太多線に跨って運行される唯一の定期列車で、非電化線区を走る数少ないライナー列車としても知られていますが、ライナー列車の特性上休日運休(名古屋発は土曜日も)となっています。

ダイヤは名古屋郊外の居住者向けに設定されているため、下り列車(美濃太田行)の太多線内はとても余所者が使える運行時間帯ではないものの、上り列車(名古屋行)は現行ダイヤでは下り「ムーンライトながら」号から普通列車を介し、乗り継ぐのに丁度良いダイヤとなっています。

そのため中京圏外の居住者でもその気になれば比較的容易に乗車でき、MAKIKYUが乗車したのも当然上り列車の方で、MAKIKYUが美濃太田へ向かう際には岐阜廻り(高山本線経由)のルートを利用したのですが、このルートだと美濃太田での乗継時間が3分と短く、この短い乗継時間でライナー券を購入(グリーン車[指定席で青春18きっぷでの利用は不可能です]以外は、事前に岐阜などの他駅でライナー券を購入する事も出来ません)して別のホームへ移動しなければなりません。

「ムーンライトながら」号から乗り継ぐ場合は多治見廻りの方が早く美濃太田入りが可能ですが、これだと来た道を返すという事で面白みに欠けると感じてしまいますので、好みが分かれる所ですが、始発の美濃太田から全区間の乗車に拘らなければ、名鉄で犬山を経て新可児へ抜けるルートなども使えます。


車両はワイドビューひだ・南紀号で使用されるキハ85形を用いており、何度か高山本線や紀勢本線を利用した事があるとはいえ、これらの路線に乗車する際は専ら青春18きっぷを利用し、普通列車に乗車しているMAKIKYUは、キハ85形の姿は幾度となく見ているものの、実際に乗車したのは初めてという有様でした。

列車名も特急運用時は、先頭部はイラスト入りで名称が標記された幕が出てくるのですが、「ホームライナー太多」号では専用の幕は用意されず、単に黒字に白文字でホームライナーと表示されているだけなのは少々味気ないもの(側面もホームライナー表示のみで行先表示なし)で、車内のLED案内表示装置も列車名や駅名表示は無表示での運行という有様でした。
(余談ながらライナー列車でもJR東日本の「湘南ライナー」などは、ライナー専用のイラスト入り字幕が用意されています)

編成は5両での運行となっており、朝ラッシュ時間帯には10両編成の列車が次々と走り、中京圏屈指の混雑線区としても知られる中央本線では極めて短い部類に入りますが、それでも太多線内ではホーム長さが足りずに一部駅でドアカット(一部号車のドアを締切)している有様でしたので、太多線内の設備を考えるとこれ以上の編成で走らせる事は厳しいと言えます。

5両の中で多治見寄りの1両はグリーン車となっており、残りの4両は普通車、車内はワイドビューを名乗る車両だけに座席が段上げされており、一部車両の車端にある車椅子対応座席だけ段上げされていない点は特徴的です。

 
車内を見渡すと、天井などは東海道新幹線の300系を連想させられるものがあり、普通車は全体的に落ち着いた雰囲気の車両が殆どを占めていましたが、MAKIKYUが乗車した1両だけはやや派手な雰囲気となっており、また乗車した編成には連結されていなかったものの、キハ85形普通車の中には赤系統の座席モケットを採用し、更に派手な印象を受ける車両も存在しています。


多治見方先頭のグリーン車は非貫通型となっているために、編成の両端で先頭形状が異なるのも特徴で、グリーン車は2+1列の豪華な設備を誇っています。

しかしグリーン車は割高なグリーン料金を要するだけに、列車の特性上利用率は悪く、美濃太田出発時点では乗客の姿は皆無、多治見駅停車時点でも数名乗客の姿が目撃できる程度でしたので、「ホームライナー太多」号に必須の設備とは言い難いものです。


これなら普通車を増やすか、グリーン車なしの4両で運行して太多線内ドアカットを解消した方が…とも感じてしまいますが、「ホームライナー太多」号自体が特急(ワイドビュー)ひだ号の間合いで走らせている事や、運転台付き車両を確保する事を考えると、グリーン車を外すのは厳しいかと思いますので、ライナー向けに普通車より少し割増した程度の料金で利用できるようにするなど、空気を運ぶよりはもう少し利用促進を考えても…と感じたものでした。

ちなみに上り「ホームライナー太多」号は美濃太田を出発すると、多治見までの太多線内は各駅に停車し、多治見から先の中央線内は、名古屋市内の大曽根までノンストップの運転形態となっています。

太多線は一応名古屋の通勤圏に含まれるとはいえ、非電化単線で普通列車のみのローカル線ですので、行き違い設備すらないホーム1本の無人駅も存在し、こんな駅に5両編成の特急車両が停車するのは、場違いな雰囲気を感じてしまいます。

この様な駅では当然乗車前にライナー券を購入するのは不可能な事もあり、4両の普通車は指定席と自由席に分かれており、座席の確保が保障されないとは言え、「ホームライナー太多」号では乗車後に車内でライナー券を購入する事も可能です。

この点は首都圏のライナー列車などとは異なる特色と言え、車内では無人駅からの乗客向けに「**駅からご乗車のお客様は、○号車△番~□番の座席に…」といった案内もありましたので、無人駅向けの座席枠も存在している様です。

太多線内各駅に停車して多治見に到着した後は、ここで進行方向が変わる事もあって7分も停車するのですが、座席は回転可能なものの、美濃太田出発時点で逆向きとなっており、太多線内からの乗客は殆どがそのまま座っていましたので、折り返しの際に座席の向きを変える乗客は少なく、乗り慣れた乗客が殆どと言う雰囲気を感じたものでした。

多治見での停車時間の間には、名古屋方面への快速列車が先発し、こちらに乗り継ぐ方が名古屋市内への到着は早く、この様なダイヤ設定を見ると「ホームライナー太多」号は速達性を考慮していない列車である事が明確と言えます。


快速は10両編成にも関わらずかなりの混雑で、MAKIKYUもこんな列車には乗りたくないと感じる状況でしたので、多治見からもライナー券を購入して「ホームライナー太多」号に乗車する乗客の姿が多く目に付いたものです。

多治見を過ぎて中央本線に入るとライナー券の拝見があり、愛知県内に入って高蔵寺を過ぎると、多治見を先発した快速列車と「ホームライナー太多」号の間に普通列車が割り込みます。

普通列車は名古屋まで「ホームライナー太多」号より先着するダイヤとなっている事もあり、混雑とは無縁の空間でゆったりと過ごせるものの、この列車に前方を押さえられてノロノロ運転が続きますので、ライナー料金は完全に設備料金と感じさせられるものです。

そして名古屋市内に入ると、大曽根や千種で下車する乗客の姿も目立ち、名古屋到着時には座席の半分以上が空席という状況でしたが、編成が短い事もあってか多治見~大曽根間では結構な盛況ぶりで、行き違い設備すらないホーム1本の無人駅にも停車し、5両編成ですらドアカットを行わなければならない駅に停車する列車らしくない気もしますが、多治見からも多数の乗客が乗車した状況を見ると、中央本線が中京圏屈指の混雑線区と言われるだけあると感じたものでした。

またMAKIKYUは「ホームライナー太多」号でキハ85形気動車にも初めて乗車したのですが、普通車は310円のライナー料金さえ支払えば、美濃太田~名古屋間の1時間半近い時間、割安な青春18きっぷを利用して乗車する事も可能で、中央本線内の多治見~名古屋間でも、内外装の色彩などが通常車両と異なる程度の3ドア近郊型車両に同じ310円を払うよりは、ずっと乗り得と感じるものです。

非電化単線の太多線内を各駅に停車し、中央本線では前方を走る列車の続行で走るダイヤでは、車体傾斜を装備していない気動車の中では国内屈指の性能を誇るキハ85形の高速性を体感するのは不可能です。

休日運休という運転日の制約もありますが、キハ85形へのお試し乗車にも丁度良いのでは…と感じたもので、「MAKIKYUのページ」をご覧の皆様も興味がありましたら、是非一度「ホームライナー太多」号に乗車してみては如何でしょうか?


静岡鉄道・1007号編成撮影会に参加~装いだけでなく行先方向幕も…

2010-03-21 | 鉄道[東海]

  

昨日MAKIKYUは青春18きっぷを利用し、日帰りで静岡に出向いていたのですが、昨日は静岡鉄道(静鉄)が1007号編成の撮影会を実施していましたので、MAKIKYUもせっかくの機会という事でこの撮影会に参加していました。

静鉄の電車は現在新静岡~新清水間の1路線のみ、使用車両も1000型と呼ばれるステンレス製車両で統一されていますので、趣味的な面白みという観点ではやや難ありと感じる方も居られるかと思います。

しかしながら電車はワンマン運転ながらも全線複線で、運転本数も現在は各駅停車のみながら、昼間6分間隔という高頻度を誇る事で知られ、運賃も地方私鉄の中では比較的割安な部類(中部地方の大手私鉄より割安です)に入ります。

全駅に自動改札機を設置してSFシステムも導入しており、更に近年ではICカード乗車にも対応し、日頃MAKIKYUが利用しているJRのICカード・ICOCAでも乗車可能(ただTOICA・PASMO・Suicaは使えませんので要注意です)であるなどサービスレベルは非常に高く、小規模ながらも大手私鉄に匹敵するサービスを実現しているのは大いに評価できるものです。

MAKIKYUも静鉄電車は新静岡~新清水間全線を乗り通した事がある他、JR線との乗継が至便な草薙駅を利用した事もあり、静岡を訪問した際には何度か利用する機会があったのですが、今まで草薙以外の静鉄途中駅を利用した事はありませんでした。

しかしながら今回1007号車の撮影会が開催されたのは、長沼駅に隣接する静鉄の鉄道線車庫でしたので、初めて長沼駅を利用したものでした。
(長沼駅というと新宿から出ている某大手私鉄のイメージが強いですが、MAKIKYUはこちらは何度も通っているものの、この駅も未だに利用した事がない有様です)

随分前置きが長くなってしまいましたが、昨日はこの長沼駅に隣接する車庫が撮影会会場となっており、10~16時までの開場時間に簡単な受付を済ませるだけで車庫内での撮影が可能となっており、MAKIKYUも昼食を済ませた後の昼下がりに長沼へ出向いたものでした。

土地柄もあってか、落ち着いた雰囲気で気の向くがままに車両の様子を眺めたり、撮影する事が出来たのは好感を感じたもので、JRや大手私鉄で開催されるイベントなどとは異なる魅力を感じたものでした。

そして今回の撮影会のメインとなる「1007号車」は、現在静鉄唯一の旅客用車両として活躍する1000型車両の中でも、今年に入ってから前面のラインなどを剥がし、登場当時のステンレス無塗装という装いが復元された期間限定のリバイバル塗装(?)編成です。

MAKIKYUがこの装いの静鉄電車を見るのは今回が初めてでしたが、ただでさえ製造メーカーが東急車輛製、車両規格の関係もあって東急線の電車によく似た雰囲気を放つ1000型が、尚更東急線の電車に良く似た雰囲気に感じたものでした。

また元々ステンレス無塗装で登場した電車は、日本国内では東急や静鉄以外にも幾つか存在したものの、現状では何らかのカラーテープなどが貼られ、銀色1色のシンプルな装いの車両は…というのが現状ですので、味気ないといわれた銀色1色の姿も久々に見ると、コルゲート板が張られた比較的初期のステンレス車では、この装いも悪くないのではと感じたものでした。

それに静鉄1000型は登場から今日まで比較的変化が少ない車両ながらも、最近になって排障器(スカート)の取り付けが順次進み、スカート取り付け車は若干趣が異なっています。

来年には1000型全編成へのスカート取り付けが完了するとの事で、今回の撮影会は「1000型登場当時の姿が見られる最後の機会」と宣伝していた程(1007編成は後に冷房化改造されていますので、厳密には登場当時と言うよりは往年の姿とでも言った方が良いのですが…)でしたが、これに加えて行先方向幕は「急行 新静岡-新清水」という現在は運転していない急行の幕が表示されたのも大きなポイントで、この表示を見たのもMAKIKYUは初めてでした。

そのためステンレス無塗装+急行幕の1000型だけでもなかなかのモノを見た気分でしたが、これに加えて旅客用車両ではないものの、デワ1号と呼ばれる大正生まれの小柄な古豪電動貨車も撮影会に登場しています。

こんな車両は各地の鉄道を探してもなかなかなく、博物館入りしてもおかしくない車両ですが、連結器が日本の鉄道で一般的な自動連結器や密着連結器ではなく、両端にバッファーを配したスタイルは見慣れないもので、一応日本車両製ですが、日本語の各種標記や標識がなければ、外国の古典車両と錯覚してしまいそうな雰囲気も感じたものでした。

静鉄では他にも比較的近年まで、車庫内の入換用に古参電車を保有していた事でも知られ、こちらは残念ながらMAKIKYUはその姿を見るがなかったのですが、老朽化の進行に伴って止む無く解体する際には、事前にその告知と共に一般公開を行なった実績もあります。

静鉄は地方私鉄ながらも近代化が進み、都会的な印象もあって趣味的には余り注目される鉄道ではないですが、ファン向けの企画は注目すべきものがあり、今回の撮影会に足を運んだ甲斐は充分にあったと感じたものでしたが、今後の企画にも注目したいと感じたものでした。


名古屋鉄道 4000系電車~本線系とは別形式の瀬戸線用新型車両

2009-12-20 | 鉄道[東海]

  

数日前MAKIKYUは今年冬の利用期間が始まった青春18きっぷを利用し、所用で名古屋へ出向いていたのですが、その際には青春18きっぷで乗車可能なJR線の普通・快速列車以外にも、名古屋市内やその周辺を走る幾つかの私鉄や路線バスにも乗車する機会がありました。

その一つが名古屋を代表する鉄道と言える名古屋鉄道(名鉄)で、その中でも市内中心部の栄(栄町)を起点とし、他路線とは直接線路がつながっていない路線としても知られる瀬戸線にも乗車する機会がありました。

瀬戸線は大都市近郊線区でありながらも、日本の路面電車やそれに準ずる鉄道以外では極めて少数派となり、JR線の旅客用電車では既に全廃となっている釣掛式と呼ばれる旧式の駆動方式を用いた車両が活躍する事で知られ、比較的高頻度で電車がやって来る都市近郊路線らしくないうるさい走行音を奏でている印象が非常に強い路線です。

しかしながら最近になって新型車両の導入が進み、釣掛式駆動を用いた車両は淘汰が進んでおり、昨年MAKIKYUが瀬戸線に乗車した際は釣掛式駆動の車両に乗車する機会があったのですが、数日前乗車した際は栄町から途中の小幡(Obata)駅まで乗車している間にすれ違う事も無い程でした。

そのためここ最近の釣掛式駆動車両の激減ぶりを痛感したものでしたが、代わって最近瀬戸線で勢力を拡大している車両が、4000系と呼ばれる新型電車で、先日MAKIKYUが瀬戸線に乗車した際には、初めてこの車両に乗車する事になりました。

4000系は本線系で活躍する最新型車両と比較的類似した印象を受けるステンレス製車体の車両ながらも、前面は他に類を見ない独自性の強いデザインとなっており、車内に足を踏み入れると内装の色調などは本線系の最新型車両に順ずるとはいえ、異なる部分が幾つも見られるのが特徴です。

専ら4両固定編成で用いられ、他編成との併結が存在しない瀬戸線だけあって、号車番号表示がLEDではなくステッカーとなっている点は理解出来るのですが、本線系車両で見かけないLCDモニターを装備しているのも大きな特徴で、この点は本線系に今後導入されるであろう通勤車両も見習って欲しいものです。

また座席がJR某社の「某社レンズ付きフィルムに良く似た名称で呼ばれる事が多い電車」を初めとするラウンドタイプになっていたり、客ドアが金属地剥き出しの無塗装になっているなど、最近首都圏で続々と登場している低コスト型車両に近い印象になっている点などは、何故瀬戸線の新型車だけ?と思ってしまう程で、余り感心できないと感じたものです。

ただ首都圏の低コスト型車両に近い印象を受ける車両でありながらも、中間車のドア付近にドアスイッチやブザーが設置されている様は、名鉄の車両らしさを感じる数少ない部分と言えます。
(自動改札機&トランパス導入と、これに伴う無人駅システム化で、集札のために車掌が車内を巡回する必然性が低くなった今日では、瀬戸線のみで運用する事を想定した場合、この装備の必要性自体が疑問に感じますが…)

乗車した印象としては、今まで本線系からの転用車や機器流用の瀬戸線専用車がゴロゴロ走り、設備的にも大都市近郊線区にしては貧弱な印象が否めないなど、冷遇されている印象を受ける瀬戸線に純新造車を導入した意気込みは評価できると感じたものです。

とはいえ車両規格などが大きく異なる訳でもないのに、敢えて本線系の新型車とは別形式の車両を導入する必要があったのか疑問に感じると共に、さほど高速性能を必要とせず、他車両との併結も必要ない瀬戸線にこの様な新車を入れる一方で、本線系に「特急政策の変更」に伴う余剰特急車の機器を流用した車体新造車(発生機器を古い下回りを用いた車両の機器更新に充てられるのなら理解できるのですが…)を導入し、編成両数や併結可能車両の関係などで運用し難く、ただでさえ複雑な車両運用を更に煩雑化させる状況になっている現状などを踏まえると、最近の名鉄はどうも理解し難いと感じてしまうのはMAKIKYUだけでしょうか?

写真は栄町駅に入線する4000系電車と、その車内の様子です。

あとこの記事とは別件ですが、年末の多忙な時期である事に加え、現在青春18きっぷシーズンで、MAKIKYUは年内にも青春18きっぷを用いた旅行計画がある事から、年末~年始にかけてブログ更新頻度が低下し、皆様からのコメントへの返答も大幅に遅れる事が予想されますが、悪しからずご了承下さい。


佐久間レールパーク号に充当された旧塗装117系~見栄えは良くとも余りの混雑に…

2009-09-02 | 鉄道[東海]

  

先月末にMAKIKYUが11月1日での閉園が発表されており、浜松市にある「佐久間レールパーク」を訪問した際には、先日取り上げた119系電車の旧塗装と共に、登場当時の装いに戻された117系電車(今でもJR西日本でこの塗装のまま走っている車両がありますので、119系程の有り難味はないのですが…)も中部天竜駅に姿を現しています。

その様子は「MAKIKYUのページ」の先日の記事でも取り上げ、両者を並べての撮影会も行われるなど大盛況でしたが、他にも様々な所で取り上げられていますので、ご存知の方も多いかと思います。

この117系は佐久間レールパークへの訪問者向けに運転されている臨時快速「佐久間レールパーク号」に充当され、終点の中部天竜駅で一旦レールパーク方の留置線に引き上げられています。

このポジションは午前中にホームから、豊橋方先頭車を撮影するには絶好の状況でしたが、ヘッドマークを装着した飯田方先頭車(レールパーク内から撮影)の撮影にはやや難ありでした。

その後昼過ぎには119系と並んでの撮影会を行うためにホームへ入線し、暫く撮影の被写体となった後、停車中のホームでドア扱い→復路の「佐久間レールパーク」号として中部天竜駅を去って行きました。
(余談ながら佐久間レールパーク号が去った後の同駅ホームは、119系復活旧塗装車の撮影会状態となっていました)

中部天竜駅での構内移動は、上下の特急「伊那路」号行き違いもあるにしろ、敢えて撮影しやすい場所への停車を取り図ったのか、偶然撮影しやすいポジションに停車したのかも気になる所です。

また「佐久間レールパーク」号は、飯田方に月毎に変わる専用ヘッドマークを装着し、先日はわざわざ塗り直した旧塗装車の充当、その上豊橋方には昔用いていた「快速」表示を出すなど、ファン向けの取り計らいは相当なものと感じました。
(ただ「快速」表示は種別幕の上に貼り付けただけのモノで、「佐久間レールパーク」号客扱い開始後に、係員が脚立を持ち込んで線路上に降り、貼り付けられている「快速」表示を剥がす様子も目撃しています)

このため先日の「佐久間レールパーク」号は見栄えはなかなかで、その上快速ですので駅間が短く、遅い事で定評のある飯田線普通列車よりも早く、車両自体も転換式クロスシート車で設備的にそこそこですので、「佐久間レールパーク」訪問には是非…と考える方も多いかと思います。

しかしながら「佐久間レールパーク」号は4両編成中2両が指定席(当初の予定より1両増加)となっており、自由席は2両しかありません。

ダイヤ設定も佐久間レールパーク訪問に便利な設定となっている事から、MAKIKYUも当初中部天竜発の列車も検討していたのですが、自由席の凄まじい混雑振りを見て、見栄えは良くても乗車するのは…と感じ、2本後の列車に乗車(レールパーク号の後に中部天竜を発車する普通[313系3両編成]も凄まじい混雑でした)する事にした程です。

117系で指定席料金を払うのは…と思う方も居られるかと思いますが、もし同列車に乗車するのであれば、指定席券を確保された方が良いと思います。

とはいえ先日訪問した際の名古屋行きは「指定席本日満席」の案内がされていた程ですので、指定席乗車を望むのであれば、早めに手配された方が良いかと思います。

また閉園迫る「佐久間レールパーク」へのアクセスは、公共交通機関利用となればJR飯田線利用がメイン(自家用車ではアクセスし難い所で、駐車場所なども考えるとおススメできません)で、先日訪問した際には特急「伊那路」号の自由席乗車率が上下共100%を超えて…といった業務放送が流れる状況でした。

本数が少なく編成も短い飯田線は、輸送力の小ささ故に佐久間レールパーク開園日には臨時快速「佐久間レールパーク」号をはじめ、中部天竜駅を通る各定期列車も軒並み混雑しますので、飯田線を利用しての訪問はそれなりの覚悟が必要ですが、穴場とも言える飯田線や自家用車以外でのアクセス方法も存在しており、こちらに関しても近日中に取り上げたいと思います。


JR東海 119系電車(復活旧塗装)~退役を控え往年の装いが復活

2009-08-30 | 鉄道[東海]

 

昨日MAKIKYUは浜松市内にあり、11月に閉園となる「佐久間レールパーク」へ出向いていたのですが、その際には国鉄時代~JR化直後に見られたブルーに白帯の装いの119系電車にも乗車する機会がありました。

119系は先日「MAKIKYUのページ」で取り上げた105系電車とほぼ同時期の国鉄末期に登場し、スペック的にも同系とほぼ同等の電車で、デザインも105系新製車と類似しているのが特徴です。

ただ105系とは異なり、セミクロスシート・トイレ付き(改造で後に登場した1両編成はトイレなしです)とした事(これにより窓割にも変化が生じています)や、耐寒対策を強化しているなどの特徴があり、実質的に105系の飯田線特化版と言っても過言ではない車両です。

その特性故にJRグループの中で在籍しているのはJR東海のみで、一時期一部の編成が静岡地区で用いられた事を除くと、運用の関係で一部列車がJR東日本(辰野~岡谷~茅野間)に乗り入れるとはいえ、運用はほぼ飯田線に限られています。

飯田線では過半数の列車に充当される事から、飯田線の顔とも言える車両ですが、登場から30年近くなり、今後JR東海が国鉄から継承した車両は一部を除いて取り替える方針を示している事から、退役はそう遠くない状況になっています。

その様な状況で、退役前に往年の姿を…という事もあって、最近一編成が国鉄時代の装いに戻され、久々にブルーの119系が復活したのですが、MAKIKYUは国鉄時代~JR化直後の姿は実際に目にした記憶がないだけに、この装いは非常に新鮮に映ったものです。

国鉄時代と異なり、昨日登場した姿は下回りがグレーに塗られたJR東海仕様という事(他にも冷房化改造され、屋根上に分散型の冷房装置が2台搭載されている事なども、国鉄時代とは異なっています)も影響しているのかもしれませんが、意外と明るい印象に感じると共に、やはりMAKIKYUが今月乗車する機会があり、「MAKIKYUのページ」記事でも取り上げた和歌山地区の105系更新車と比較的良く似た印象を受けたものでした。

閉園を控えた佐久間レールパークのある中部天竜駅で展示され、やはりJR東海では退役もそう遠くない状況になっている117系の復活旧塗装車(こちらはJR西日本で今でも姿が見られますので、単体ではさほど有り難味がないのですが…)との並びが事前に告知されていた事もあって、相当な賑わいぶりでした。

ブルーの119系は中部天竜駅で展示の後、始発の豊橋行き普通列車として運転された列車に充当され、MAKIKYUも帰路にこの列車に乗車したのですが、道中でもカメラを構えた撮影者の姿も多数見受けられ、沿線に賑わいぶりも相当なものと感じたものでした。

この119系復活旧塗装車は、窓割などに変化が生じているワンマン運転対応改造車ではない車両が選定されているのも評価すべき点と言え、退役の日まで是非この装いのままで…とも感じたものです。

また昨日見たブルー塗装2両編成の整った装いはなかなかと感じた反面、機会があれば塗装移行期を連想させる現行塗装車と混結した姿も見てみたいと感じたものです。

とはいえ飯田線は距離が長い上に、路線の性質上2両程度の短編成で運転される列車が多いだけに、2色混成の姿を見る事はかなり至難の業で、飯田線を利用する機会が非常に少ないMAKIKYUは、果たして退役までに119系2色混成編成の姿を見る機会はあるのだろうか?とも感じたものでした。

写真は中部天竜駅に停車中の119系復活旧塗装車と、同駅ホームで117系と並んだシーンです。


JR東海 キハ11形気動車(300番台)~トイレ装備の少数派車両も展望性は…

2009-08-19 | 鉄道[東海]

  

MAKIKYUが今月初めに紀伊半島方面へ出向いた際、伊勢鉄道に乗車した後は紀勢本線で南下する行程を取ったのですが、その際には多気→新宮間の普通列車で、キハ11形300番台と呼ばれる車両に乗車する機会がありましたので、取り上げたいと思います。

キハ11形はJR東海のローカル線用に導入されている軽快気動車で、やや小柄な車体に強力なエンジンを搭載した同形は、導入当初からワンマン運転にも対応しており、岐阜県や三重県内の非電化線区におけるローカル輸送で大活躍しています。

ただ元々短距離列車用(乗車時間が概ね1時間程度)に導入された車両だけあり、座席配置こそオールロングシートではなく、ボックス席と組み合わせたセミクロスシートになっているものの、トイレ設備はなく、長距離運用での充当には難有りという状況でした。

キハ11形導入当初は主に短距離運用に充当され、トイレなしでもさほど支障ない列車が殆どでしたが、後に老朽化し、ワンマン運転にも対応していない伊勢のキハ58系列を淘汰する際には、同系が担当していた紀勢本線南部(多気以南)の一部普通列車も担当する事になり、この運用は今日まで続いています。

しかし紀勢本線南部の普通列車は、運転本数も一日1桁と限られる上に、乗車時間も極めて長く、MAKIKYUが先日乗車した列車も途中駅での停車時間が長いとはいえ、多気~新宮間をおよそ4時間も要して運行する有様で、これでトイレなし車両に乗り続けるのは…という事(同区間は特急の運転本数も限られていますので、時間帯次第では普通列車に長時間乗車を余儀なくされる事もあります)で、紀勢本線南部での運用開始に合わせてトイレを装備したキハ11形が用意されています。

このトイレ問題は、既存キハ11形へのトイレ取り付け工事を行ったのではなく、新たにトイレを装備した車両を製造する事で解決していますが、この車両が300番台と呼ばれる車両です。

300番台は紀勢本線南部でのトイレ問題対策として製造された事から、同区間での運用を抱える伊勢のみに配置されているのですが、運用区間もMAKIKYUは余り訪問機会が多くない地域の上に、トイレ問題を解決するために6両が導入されただけに留まっていますので、登場から既に10年程経っている車両ですが、MAKIKYUは先日初めて乗車する有様でした。

300番台はステンレス製の車体を採用しており、JR東海のコーポレートカラーであるオレンジ色の帯を巻いた装いは、近年名古屋地区で導入が進んでいる新型電車や気動車に通じるものがあり、これだけでも鋼製車体の既存キハ11形とは大きく異なりますので、トイレの有無以外でも容易に見分けられます。

その上前面形状や行先表示幕設置場所、台車形状も異なるなど、見るからに既存キハ11形とは別の車両と言う印象を受けますので、別形式を名乗っても…と感じる程です。
(ただJR東海では互換性のある車両でも、電車は様々な形式があり、気動車も今後武豊線に登場予定の車両は既存キハ75形と互換性があるにも関わらず、別形式になる様ですが…)

ただ既存キハ11形と互換性のある車両である上に、専ら既存キハ11形と混成編成を組む事(トイレ付き+トイレなし車両で編成を構成する事で、数の限られるトイレ装備車両を有効に活用:同社では静岡地区などでもこの様な編成をよく見かけます)も、同一形式内で別番台として区分する要因かもしれません。

また300番台は外観だけでなく、車内もトイレ有無を除いても、既存キハ11形とは様相が異なっているのが特徴で、座席などは既存車両と大差ないのですが、蛍光灯がローカル用気動車にしては珍しくグローブ装備(既存キハ11形も一応グローブ付ですが、こちらはバス用です)となっており、化粧板もやや高級感のある暖色系柄入りのモノを用いるなど、全体的に既存キハ11形に比べてグレードアップした印象を受けるものです。

そのため専ら既存キハ11形+300番台の混結編成で運用される紀勢本線南部のキハ11形充当列車(稀に300番台2両で運行される事もある様ですが…)では、是非300番台を選んで…と言いたい所ですが、前面展望の悪さは数少ない難点と言えます。

これも亀山方はトイレを装備していますので、構造上致し方がないのですが、300番台の鳥羽・新宮方先頭部分は、運転台が近年のワンマン運転に対応した半室構造(軽快気動車では恒例の構造)になっているにも関わらず、配管(?)と思われる妙な出っ張りが存在(亀山方にはなし)が存在しており、この妙な出っ張りのお陰で、新宮方右側一番前のロングシートに座っても前面展望は芳しくなく、両方向共に展望性の悪い車両になっています。

前面展望を楽しむには最前部で立ちっぱなし…という状況を余儀なくされるのは、展望性に優れた既存キハ11形に比べると、頂けないと感じたもので、この展望性が悪い難点も、300番台車の連結を亀山方に限定すれば、新宮方面行き列車では解決できるのですが、逆にこの編成だと亀山方面行き列車では、トイレ設置の関係で座りながら前面展望を楽しむ事が出来なくなります。

そのため300番台をどちらに連結しても2両編成では…という状況(3両編成で真ん中に連結されると最も理想的ですが、普通列車の需要を考えると厳しいです)ですが、紀勢本線南部のキハ11形充当列車における300番台の連結位置は特に決まっていない様で、MAKIKYUが乗車した列車では新宮方が300番台車だったものの、途中ですれ違った列車では亀山方に300番台が連結された編成も見かけています。

この有様では紀勢本線南部の普通列車は、乗車する列車の先頭で座りながら前面展望が楽しめるか否かは、その日の編成構成によって運次第…というのが現状です。

それでも紀勢本線南部の普通列車では多数派を占め、前面展望は最悪といっても過言ではない、国鉄型のキハ40系列に比べれば遥かに良好ですので、贅沢過ぎる話かもしれませんが…

写真はキハ11形300番台(後ろはキハ11形0番台)と客室内、前面展望を悪くしている妙な出っ張り(?)の様子です。


伊勢鉄道 最前部から眺めた路線の様子(2)

2009-08-17 | 鉄道[東海]

今日は先日の続きで、伊勢鉄道線の列車最前部から眺めた路線の様子を、中瀬古以遠の単線区間に関して取り上げたいと思います。

中瀬古を出て次の駅は伊勢上野、三重県内には一文字違い(旧国名部分が異なります)で結構有名な、JRと私鉄の乗換駅にもなっている主要駅とも言える駅が存在していますので、非常に紛らわしい駅名とも言えます。


駅自体は単線でホーム片面だけの最も簡素な形態で、それもホームは2両編成分しかありませんので、伊勢鉄道各駅の中で最もローカルムードの強い駅と感じたものですが、伊勢鉄道線は単線区間も複線化可能な用地が確保されているのが特徴です。

伊勢上野の次は河芸(Kawage)、この駅は中瀬古~津間の単線区間では唯一の交換駅となっていますが、上下線のホームが少々離れて配置されているのは特徴的です。

比較的長い編成の列車同士に備えた構造になっているものの、ホームは伊勢鉄道の特急・快速列車通過駅の標準とも言える2両編成分しかなく、バイパスルートとして通過するだけの列車が多い路線の性質をよく表していると言えます。


またMAKIKYUが乗車した普通列車は河芸駅で6分程停車し、数日前にイセⅢ形気動車に関する記事を掲載した際の写真も、この停車時間に撮影したものです。

普通列車はこの駅で交換待ちのために数分停車する列車が、MAKIKYUが乗車した列車以外にも何本も設定されており、特急・快速は僅かな交換待ちも解消するために部分複線化&複線区間で行き違いのダイヤを構成してまで早く走らせようとしているのとは対照的です。

伊勢鉄道~JR線で名古屋~津間を移動しようとすると、昼間は名古屋からは快速「みえ」号より30分早い特別快速~伊勢鉄道普通列車(四日市乗換え)でも津到着時間が殆ど変わりなしです。

津からも快速「みえ」号より普通列車は20分程度早く出発するものの、四日市でのJR接続列車が快速「みえ」号になるなど、伊勢鉄道の普通列車は遅いだけでなく、使い勝手も決して良いとは言い難いダイヤになっている事は問題ありです。

ただでさえ運転本数は決して多いとは言い難い上に、有効本数が更に…という現状では、至近を走る大手私鉄の利便性とは格段の差があり、普通列車の利便性の低さ→利用僅少→1両編成でも充分と言うのは困ったものです。

現状の車両や設備をフル活用しても、至近を走る大手私鉄の圧倒的な利便性や設備には到底適わず、車両の運用効率向上など、費用対効果も考えると、今のダイヤも止む無しなのかもしれません。

とはいえ津発の普通列車時刻変更→名古屋方面へのJR接続列車を特別快速に変更というダイヤに変更出来れば、快速停車駅鈴鹿→四日市・名古屋方面への有効本数増大や、伊勢鉄道線各駅→関西本線亀山方面接続改善も可能になります。

素人目には普通列車のダイヤ変更で利便性の大幅向上が図れるのでは…と感じてしまったものですが、そうなると所要両数の増大(現有車両で対応可)や、交換待ち時間を減らすには単線区間の複線化or行き違い設備の増設も必要になります。

全線複線化する費用をかける需要があるのか?となれば、現状維持も止む無しかもしれませんが、単線区間での行き違い設備増設は、通常時のダイヤ改善だけでなく、ダイヤ乱れ時の列車交換箇所変更にも有用ですので、検討してもよいかもしれません。

単線区間唯一の交換駅・河芸の次は東一身田、この駅も伊勢上野駅と共にホーム1本のみの駅ですが、高架線上に設けられている上に、高架線は複線分の路盤が確保されているだけに、伊勢上野駅に比べると見栄えがするものです。


とはいえ駅周辺には住宅の立ち並ぶ姿も見られるものの、毎時1本程度の普通列車が停車するだけで利便性は難ありという事もあって、利用状況は余り芳しくなさそうに見受けられたものです。

東一身田の次は終点・津ですが、高架から地平に降り、JR線と合流して津駅に到着となります。

JR線合流部の手前では複線用に用地が確保されているのに加え、複線化した際に伊勢鉄道の上下線がJR線を挟む配線を構成できる様に、伊勢鉄道線単線分の使われていない用地も、盛り土の路盤が確保されています。


それどころかJR線を跨ぐ鉄橋まで準備されている程ですが、使われていない鉄橋は錆びも見られて廃線の如くといった印象を受け、随分勿体無い印象を受けたものです。

JR線と合流すると程なく終点の津、非電化で長閑な印象を受けるJR駅構内の様は、都会的な印象を受ける大手私鉄とは対象的な雰囲気を受けるものですが、伊勢鉄道線の普通列車はこの長閑な印象を受けるJR津駅でも、最も寂しい印象を受ける端の0番線を発着しています。


このホームは中間改札こそ設けられていないのですが、津駅は自動改札設置の有人駅(JRと大手私鉄がそれぞれ一箇所改集札を手がけ、駅構内は中間改札なしで両線の駅間を移動可能となっており、三重県内ではこの様な形態の駅が他にも幾つか存在します)でありながらも、伊勢鉄道線列車の運賃は車内精算となり、精算後に津駅出場用の精算券(自動改札機対応)が渡されるのも特徴です。

これでローカル輸送用車両&前面展望を計3回に渡って取り上げた、伊勢鉄道線に関する記事は一区切りにしたいと思いますが、「MAKIKYUのページ」をご覧の皆様方も興味がありましたら、JR線のバイパスルートとして通り過ぎるだけの印象が強い伊勢鉄道線を、展望性にも優れたイセⅢ形気動車の普通列車で走破してみては如何でしょうか?


伊勢鉄道 最前部から眺めた路線の様子(1)

2009-08-14 | 鉄道[東海]

先日「MAKIKYUのページ」では、伊勢鉄道の普通列車で活躍している新型気動車・イセⅢ形に関して取り上げましたが、今日はこの車両の車中から眺めた伊勢鉄道線の様子を取り上げたいと思います。

伊勢鉄道の起点は四日市から亀山寄りに2駅進んだ河原田駅ですが、同駅を始終着とする列車は平日のラッシュ時間帯に僅かに存在するだけで、普通列車でも殆どの列車はJR関西本線に2駅乗り入れた四日市となっていますので、実質的な起点は四日市駅と言えます。

四日市駅では島式ホームの津・亀山寄りに、ホーム片面を切り欠いた形状の3番線のホームが設けられており、ここには「伊勢鉄道のりば」という標記もあります。


構造上津・亀山方面の列車しか発着できない配線となっており、JR車両による特急や快速列車はこのホームを使用せず、名古屋~亀山間(四日市発着の区間列車も含む)の関西本線列車が発着するホームを使用しています。

また現在関西本線亀山方面への定期列車は、全て名古屋方面からの電車となっている上に、3番線ホームの線路は架線中こそあるものの、架線が張られず気動車専用となっている事から、このホームは通常JRの列車が発着する事はなく、伊勢鉄道車両のみが発着する状況です。

この3番線を発着する伊勢鉄道の普通列車に乗車すると、2駅先の河原田駅手前まではJR関西本線を走行します。

この区間はJR線に乗り入れる扱い(第3セクター鉄道車両がJR線を走行する区間の中には、井原鉄道車両による総社~清音間の様にJR線とは別個の線区扱いとなっているケースもありますので要注意です)となっており、伊勢鉄道車両による運行でも、四日市~河原田間のみであれば青春18きっぷでも別途運賃を支払わず、伊勢鉄道車両への試乗も可能です。

河原田駅の手前で伊勢鉄道線の列車は関西本線から分岐し、分岐して程なく頭上から架線が消えますが、その後少しずつ高度を上げながら盛り土の区間を走ると伊勢鉄道の河原田駅で、伊勢鉄道線の列車はJR線ホームとは少々離れた島式ホームを発着(写真右手の架線柱が見える辺りがJRホームです)します。


この駅が正式には伊勢鉄道の起点扱いで、JR線の乗り放題系乗車券(青春18きっぷなど)を所持している場合でも、伊勢鉄道線を経由する列車に乗車する場合は、河原田~津間の乗車券を別途購入する必要があります。

そのためこの駅を利用した事はなくても、駅名だけはどこかで聞いた事が…という方も居られるかと思いますが、伊勢鉄道では普通列車も殆どは四日市発着となっている上に、JRと伊勢鉄道の境界駅とはいえ特急はおろか快速すら停車しない有様です。

実態は単なる途中駅の一つと言っても過言ではなく、MAKIKYUが乗車した伊勢鉄道車両による普通列車は、伊勢鉄道の乗務員が四日市~津間を通し乗務していた程です。

河原田駅を出るといよいよ伊勢鉄道線に入りますが、伊勢鉄道は非電化で専ら気動車が走る路線ながらも、伊勢鉄道への転換後に河原田寄りの一部区間が複線化されているのが大きな特徴です。

日本国内の鉄道でそこそこの輸送力を誇り、複線化されている路線はJR・私鉄を問わず殆どが電化され、複線非電化の路線は数える程という有様です。


国内で非電化複線という路線は、普通列車が毎時3~4本以上運転される都市型線区や、都市間輸送や貨物輸送の大動脈となっている北海道の函館本線一部区間などを除くと、極めて限られたものとなっています。

非電化第3セクター鉄道では、伊勢鉄道を除くと城北線(東海交通事業)や平成筑豊鉄道の一部区間が思い浮かぶ程度で、伊勢鉄道の場合は後に線増(複線化)した点も極めて異色です。

複線にも関わらず線内普通列車は1両ワンマンというのは、専らバイパス線としての役割に徹しているこの路線の性質を現していると言っても過言ではなく、軌道と車両のギャップは伊勢鉄道ならではの光景と言えます。

河原田を出発して1駅目が鈴鹿で、伊勢鉄道線内の途中駅では唯一の特急・快速停車駅であるだけに、主要駅とも言える存在です。


ホームも特急や快速が増結された際に備えてか、そこそこの長さが確保されており、他の伊勢鉄道各駅とは様相が大きく異なりますが、列車の運転本数などを考えると、近隣の大手私鉄(支線ですが…)とは利便性に格段の差があります。

そのため駅前に列車利用者向けの無料駐車場を整備し、名古屋方面へは快速列車利用の大幅割引回数券設定といった施策で、利用者の確保に努めていますが、名古屋方面へ特急利用となると、通過駅の河原田から1駅だけの伊勢鉄道乗車でも、JRとは別に伊勢鉄道の特急料金が必要となりますので、鈴鹿駅で特急を利用する乗客がどの程度いるのかも気になる所です。


鈴鹿を出ると次は玉垣、この駅は伊勢鉄道の車庫も併設しており、玉垣を始終着とする列車も存在しますので、駅名だけは聞いた事が…という方も多いかと思いますが、伊勢鉄道のメインを占めるJR直通の特急と快速はJR車両による運行で、自社車両による普通列車用車両(現在は全てイセⅢ形)は4両しかない事もあり、車庫も極めて小規模なものです。

玉垣の次は鈴鹿サーキット稲生(Suzuka-Circuit-Inou)、長く特徴的な駅名だけに、この駅も名前は知っている方も多いかと思います。


普段は普通列車しか停車しない無人駅で、閑散とした雰囲気が漂っていますが、サーキット開催時における長編成の臨時停車に備え、ホームの長さは結構長くなっており、イベント対策駅ならではの姿と言えます。

鈴鹿サーキット稲生の次は徳田、2両編成がやっと停車可能な程度のホームがあるだけで、複線の軌道には見合わない雰囲気の小駅です。


鈴鹿・玉垣・鈴鹿サーキット稲生といった特徴的な駅に比べると、印象が薄い駅ですが、この先の各駅もこの様な雰囲気の駅が多く、伊勢鉄道の典型と言えます。

徳田の次は中瀬古、この駅で特徴的な複線区間は終わりとなり、伊勢鉄道の中瀬古以遠は単線となります。


中瀬古駅はJR直通列車の殆どが通過するものの、快速「みえ」号の中には僅かに中瀬古停車となっている列車も設定されており、この事もあってかホームは片側だけややホーム長が長く、上下線ホームの長さが異なるのは異色と言えます。

中瀬古以遠の単線区間の様子に関しては、近日中に別記事で取り上げたいと思います。


伊勢鉄道 イセⅢ形気動車~線内輸送で活躍する新型気動車

2009-08-09 | 鉄道[東海]

 

MAKIKYUは今月に入ってから数日間、青春18きっぷなどを利用して紀伊半島へ出向いており、三重県内で第3セクターの伊勢鉄道を利用する機会もありましたので、今日はその際に乗車したイセⅢ形と呼ばれる車両に関して取り上げたいと思います。

この車両は河原田~津間の旧国鉄伊勢線が廃止→伊勢鉄道として再発足した際に導入されたイセⅠ形や、その後導入されたイセⅡ形と呼ばれる軽快気動車は耐久性に乏しい車両という事もあって老朽化の進行も早く、これらを代替するために2003~5年頃にかけて導入されています。
(ちなみにイセⅠ・Ⅱ形は伊勢鉄道退役後、同時期に導入された他鉄道
の軽快気動車と共に、遠く離れたミャンマーに渡っています)

伊勢鉄道の第2世代車とも言えるイセⅢ形は、現在の伊勢鉄道線内を走る普通列車の全てに充当されているのですが、MAKIKYUは伊勢鉄道自体の利用機会が限られる事もあって、今月初めてこの車両に乗車したものでした。

利用者の大半が前後にJR線を挟んだ特急や快速列車の利用で、実質的にJR線の一部と言っても過言ではない伊勢鉄道の性質を踏まえると、近隣を走るJR線の気動車と同形車両を導入しても…と感じてしまう様な路線ですが、イセⅢ形は愛知県の城北線(東海交通事業)の様な「ほぼJR車両そのまま」と言った車両とは趣が異なり、近年の第3セクター向け標準仕様車をベースとしています。

ステンレス製車体に青い帯を纏った姿は、JR線とは異なる路線である事を強く印象付けている様に感じた反面、車内設備は標準仕様をほぼそのまま踏襲したものと感じたものです。

その車内はトイレ設備もないなど、簡素な印象が否めないのも事実ですが、それでも座席配置はオールロングシートではなく、車両中央部にボックス席が配置されている点は大きな特徴と言えます。

またワンマン運転に便利な仕様の車両だけに、前面展望の良さも伊勢鉄道に乗り入れるJR車にはない魅力といえ、非電化路線ながらも一部区間は複線という独特な路線の様子を観察するにも最適です。

そのため鈴鹿や津などで圧倒的な利便性を誇る大手私鉄の利用ではなく、敢えて伊勢鉄道を利用する機会があるのならば、JR線に乗っていると錯覚しそうなJR車両による特急や快速列車(中にはJR線だと勘違いして乗車し、車掌による車内改札でJR線ではない事を知らされ、JR線乗り放題系の乗車券を所持している乗客が、車内で別途伊勢鉄道区間の乗車券を購入する事もよくある様です)ではなく、出来ればこちらに乗車したいものです。

とはいえMAKIKYUが伊勢鉄道に乗車した際は朝の通勤時間帯で、この時間帯の下りは普通列車しか走っていませんので、伊勢鉄道を利用するとなれば必然的にこの車両に乗車という状況でしたが、昼間のJR快速列車運行時間帯は決して利用しやすいダイヤとは言えず、「バイパスルートとしての速達性」という伊勢鉄道のウリを損なう事にもなりますので、こうなると難しい所なのですが…

あと伊勢鉄道に関しては、近日中に同線の様子を取り上げた記事も公開したいと思います。


豊橋鉄道 3203号車~市内線で標準塗装を纏う唯一の存在

2009-05-11 | 鉄道[東海]

先日豊橋鉄道(豊鉄)市内電車で活躍する最新型車両・T1000形「ほっトラム」に関して取り上げましたが、先月豊鉄市内電車を利用した際には、ほっトラム以外に3200形と呼ばれる車両にも乗車する機会がありました。

近年比較的新しい親会社からの車両大量移籍に伴い、旧型車両が玉突きで置き換えられた今日では、現在豊鉄市内電車で通常営業運転で用いられている車両の中では古参の部類に入ります。

3200形は移籍年代こそ随分の差(3200形は昭和50年代に移籍)があるものの、最近多数が移籍して主力となっているモ780形と呼ばれる車両などと同じく、隣県の親会社路線から移籍した車両で、彼の地では580形という形式が付けられていましたが、この車両の登場は昭和30年頃ですので、鉄道車両としては比較的古い車両の部類に入ります。
(ただ日本の路面電車はこの年代の単行車両が今も各地で多数走っており、この年代に登場した車両の機器を転用し、車体だけ載せ替えた車両も幾つかの都市で走っているのですが…)

豊鉄では戦前製の3100形と呼ばれる車両が今も1両だけ残存しており、これは3200形よりも古い車両ですが、現在は通常営業に用いられない状況ですので、実質的に営業車としては豊鉄最古参の車両になっていますが、古巣の隣県親会社路線は既に路線廃止となった今日、この車両が」彼の地で活躍した平成生まれの車両と豊橋で顔を合わせるのは不思議な印象を受けるものです。

また豊鉄市内電車は今日広告電車ばかりという状況になっており、2両の低床電車以外の営業車両は皆…という程の状況ですが、ほっトラムの営業開始とほぼ時を同じくして、3203号車がクリーム色に赤帯の装いに改められており、MAKIKYUが乗車した3200形はこの3203号車だったのですが、標準塗装が久々に復活して注目を集めています。

MAKIKYUは豊鉄路面電車が広告電車ばかりになる前の年代には馴染みが…という状況ですが、この塗装は渥美線(郊外電車)でも昇圧前の多車種混在時代(MAKIKYUは残念ながらこの頃に渥美線を訪れた事はないのですが…)に用いられており、この標準塗装は3203号車が現在唯一ですので、リバイバル塗装車が出現した様にも感じたものです。

また3200形は古参車とはいえ冷房改造も施されていますので、今後もまだ活躍する事に期待したいものですが、欲を言うならば3200形に豊鉄標準塗装だけでなく親会社の装いを施した車両も出てくれば…などと感じたものでした。
(さすがに広告なし車両を何両も走らせる事は厳しく、3203号車で豊鉄標準色が見られるだけでも有難い事ですが…)

豊鉄の路面電車は路線長も比較的短く、車両数も決して多い部類ではないものの、新旧様々な車両が走り交う姿は魅力的で、新車好きな方と古参車好きな方のどちらでも楽しめるかと思いますし、豊橋自体も名古屋から近い上に、青春18きっぷ(今は期間外ですが…)で首都圏~関西方面などを移動する際にも比較的立ち寄り易く、豊鉄の路面電車自体も比較的手頃に乗車できます(1乗車150円均一:終点まで乗り通しても30分かかりません)ので、「MAKIKYUのページ」をご覧の皆様も機会がありましたら、是非豊鉄の路面電車に乗車してみては如何でしょうか?


豊橋鉄道T1000形「ほっトラム」~豊橋の街を走り始めた低床路面電車

2009-05-09 | 鉄道[東海]

 

もう一月ほど前の事になるのですが、MAKIKYUが先月初めに青春18きっぷを使用して関西方面へ出向いた際には、豊橋で一旦途中下車して市内を走る豊橋鉄道の路面電車にも乗車する機会がありました。

その際には昨年暮れから走り始め、「ほっトラム」の愛称が付けられている最新鋭の低床電車・T1000形にも乗車する機会がありましたので、取り上げたいと思います。

この車両は最近国内各地の路面電車で登場している低床電車の中でも、海外製車両やそれをベースとしたものではなく、海外勢が進出する以前から国内各地の路面電車製造(以前は私鉄電車なども製造していました)を手がけていたアルナ車両(旧アルナ工機)の低床路面電車「リトルダンサー」の一員です。

リトルダンサー自体は国内の幾つかの都市で既に導入実績があり、MAKIKYUもその幾つかには乗車していますが、リトルダンサーも初期に導入された車両などは部分低床車が多く、その中には極めて特異な形態の車両も存在している事で知られています。

ただ比較的最近登場した車両の中には全面低床車も登場しており、ほっトラムはリトルダンサーの狭軌(軌道幅1067mm)用車両では初の全面低床車である事も大きな特徴となっています。
(国内で他に全面低床車が導入されている狭軌線区は、富山ライトレールなど幾つかありますが、これらは海外製車両をベースとした車両です)

また豊橋鉄道の軌道線(路面電車)は、最近親会社の軌道線廃止に伴い、こちらで用いられていた車両の中で比較的新しい車両の一部が移籍し、この車両が主力となる事で老朽車の淘汰を進め、車齢の若返りを果たしていますが、現在運行中の他車両は全て他社から転籍の単車であるのに対し、「ほっトラム」は現在運行中の車両では唯一の自社発注車(同社では鉄道線も現在は首都圏からの移籍車のみで占められています)で、その上3車体連接車となっている事も大きな特徴です。

車内に足を踏み入れると低床電車だけに、車輪や機器の配置上発生する出っ張り部分にクロスシートを配し、この部分は床が段上げされているなど、低床電車ならではの苦心点が見受けられます。

内装も化粧板こそアイボリー無地でシンプルな印象を受けるものの、天井やドア脇の部分などに木目を多用しているのが特徴で、シンプルな内装の車両でも、アクセントになるモノが何かあると随分見栄えするものと感じたもので、この内装を見ると、安っぽく貧相な印象が否めないJR某社の「某社レンズ付きフィルムに良く似た名称で呼ばれる事が多い電車」や、この車両のパーツを多用した電車などの低コスト型車両も工夫次第で随分見栄えする様になるのでは…と感じたものでした。

この「ほっトラム」は現在1本のみの導入で、導入コストが極めて高額な事や、車両構造上の問題もあって日本一急な曲線が存在する運動公園発着の電車には充当できないなどの問題もあり、その上近年親会社から転籍した車両などは比較的新しくまだまだ耐用年数に達しないだけに、当面は少数派としての活躍が続く可能性が高いと思われます。

しかしながら比較的小規模ながらも近年豊橋駅前における路線延伸(僅かな距離ですが、JRや名鉄からの乗り換えの利便性が格段に向上しており、意義は大きいです)を果たすなど、超大手自動車メーカーのお膝元故に車社会と言われる愛知県にありながら、健闘している豊橋鉄道市内電車の存在感を顕示するには格好の存在と言えます。

ほっトラムは運用上の問題もあり、現状では使い勝手の面で今一歩の感もありますが、今後豊橋鉄道市内電車のイメージリーダーとして末永く活躍する事を期待すると共に、豊橋鉄道で活躍するもう1つの低床電車(当初導入された路線での活躍年数は指の数程度…という有様でしたが、第2の地で活躍する姿が見られる事は救いです)の如く、導入から僅かな期間で活躍の舞台を移す事がない事を願いたいものです。
(名鉄の起終点となっている都市は名古屋を挟み、南北で路面電車に対する取り組みは全く対照的で、路面電車が見直されれている今日の状況も踏まえると、一方の有様は余りに…と感じてしまうのはMAKIKYUだけでしょうか?)


JR東海 キハ48形気動車(高山本線)~災害復帰車両にはその事を示すプレートも…

2009-01-14 | 鉄道[東海]

 

今冬の青春18きっぷは、発売期間こそ10日で終了しましたが、20日までは通用期間となっている事もあって、先日MAKIKYUは18きっぷを2回分使用し、富山まで出向いていました。
(それでも18きっぷはまだ1回分残っており、この消化もありますので、もう暫くの間「MAKIKYUのページ」更新頻度が低下している状況が続きますが、ご了承頂ければ…と思います)

富山まで出向いた最大の動機は、MAKIKYUにとってはJRの中でも、数少ない未乗路線となっていた高山本線(両端の区間は以前にも乗車していますので、未乗区間は美濃太田~猪谷間)へ乗車する事で、本当なら雪の降るこの時期は避けたいと感じたのですが、3月のダイヤ改正で全車指定席制の夜行快速列車・ムーンライトながら号は臨時列車に格下げとなり、ダイヤ改正以降の訪問は現状に比べると厄介になる公算が高い事もありますので、先日同線へ乗車に出向いた次第です。

ちなみに先日同線に乗車した事で、晴れてJR東海は東海道本線の新垂井経由別線を除き、全線踏破達成となりましたが、JRは3島会社各線を踏破しているMAKIKYUは本州に居ながらも、本州内の他2社はまだ未乗路線が残っている有様ですので、本州内のJR路線規模の大きさを痛感させられるものです。

ところでこの高山本線ですが、全線非電化のこの路線は、岐阜~富山県境の猪谷(猪谷駅自体は富山県に位置しています)を境界に、同線の大部分を占める岐阜県内はJR東海、富山県内はJR西日本の管轄となっています。

JR東海の特急形気動車・キハ85形で運行される特急「(ワイドビュー)ひだ」号は高山本線全線を通して運転する列車が設定されているものの、普通列車に関しては現在、JR東海/JR西日本の境界駅である猪谷を境に、全て運行が分断されている状況です。
(以前はJR東海車両が富山まで、またJR西日本車両が高山まで相互に乗り入れていたのですが…)

その内JR東海区間に関しては、非電化ながらもそこそこの運行本数(昼間毎時2本)が確保され、都市型路線の範疇に含めても…と感じる岐阜~美濃太田間に関しては、太多線と共にJR東海オリジナルの軽快気動車・キハ11形が主力として活躍していますが、美濃太田以遠の普通列車は、殆どが国鉄時代からの気動車・キハ40系列で運用されています。

高山本線で活躍するキハ40系列は、美濃太田以北の大半の列車だけでなく、同区間から岐阜へ乗り入れる列車などでも活躍し、その中でも片運転台で両端に片開き扉を設けたキハ48形が主体となっていますが、MAKIKYUが高山本線に乗車した際は、岐阜~高山、高山~飛騨古川、高山~猪谷とJR東海区間で乗車した普通列車のどれもが、キハ48形2両編成のワンマン列車という状況でした。

ただ高山本線で活躍するキハ40系列は、キハ48形以外に単行形のキハ40形が活躍する姿も目撃しており、キハ40・48形の中にはワンマン運転に対応しておらず、乗降口と客室がデッキで仕切られた車両も存在しています。

そのため一見どれも同じ様な車両ばかり…という印象が強く、塗装もJR東海の標準的な装いといった印象の高山本線を走るキハ40系列も、よく見ると幾つかのバリエーションが存在していますが、ワンマン改造やエンジン換装などで改番を繰り返し、やたらとハイナンバーの車両ばかりという状況になっていますので、車両の番台区分が随分煩雑になっています。

また高山本線は比較的近年、台風による大規模な自然災害に見舞われ、その影響でJR東海管轄区間の一部では、約3年にも及ぶ長期の運休を余儀なくされた事も記憶に新しいです(この事も高山本線乗車が後手に廻った一因ですが…)が、この台風襲来時に打保駅で運転打ち切りとなった車両(キハ48形)は、線路が寸断されている上に、車両搬出も困難な事もあって、その後2年以上に渡り打保駅に幽閉されるという、異例の事態となったものでした。

これだけ長い間稼動不能となって留置されるともなれば、その後の再起も…と感じるもので、現に台風の影響で路線寸断→そのまま廃線となってしまった九州の第3セクター鉄道・高千穂鉄道では、車庫のある高千穂と遠く離れた延岡駅に留置された車両が、再起の機会もなく廃車解体と言う憂き目に遭っています。

まして高山本線の場合は国鉄からの継承車で、車齢もそれなり…という事で、失礼ながらそのまま廃車になっても驚かない車両と言っても過言ではなく、現にJR東日本などではキハ40系列の廃車(事故廃車を除く)が行われていますが、打保駅に幽閉された車両は幸いにもエンジン換装やワンマン化改造を施行し、現代のローカル輸送ニーズにも応えられる車両だった事もあって、幸運にも打保駅から搬出されて名古屋工場で整備、そして高山本線全線復旧と共に、約3年ぶりに奇跡のカムバックを果たしています。

MAKIKYUが高山本線に乗車した際には、この災害復旧車両(キハ48 6810)にも乗車する機会があり、この車両の見た目は他のキハ48形と変らず、特に目立つ存在ではないものの、車内には車号プレートの下に「高山本線復旧車両」というプレートが大きく目立つ様に掲出されていたのには少々驚かされたもので、この車両は地味な存在ながらも、高山本線の災害復旧を象徴する車両の様に感じたものです。

JR東海では今後国鉄から継承した車両の中で、電車に関しては大規模な取替えが告知されると共に、気動車も数年前にキハ58系列などの老朽車淘汰が行われ、また武豊線向けに新形式気動車を導入する告知も行われた程ですので、キハ40系列に関しても今後の動向が気になる所ですが、まだ暫くその活躍ぶりが見られる事に期待したいものです。

写真は奇跡のカムバックを果たしたキハ48 6810号車と、その車内に掲出された「高山本線復旧車両」を示すプレートです。


遂に終焉・パノラマカー~名鉄7000系の運行は昨日が最後に…

2008-12-27 | 鉄道[東海]

  

先月末にはJR西日本の新幹線0系が定期列車での営業運転を終了し、そして今月中頃に行われた特別列車でのさよなら運転をもって有終の美を飾った事は、0系の功績が余りに大き過ぎる事もあって様々な場面で取り上げられていますので、「MAKIKYUのページ」をご覧の皆様もご存知かと思います。

東京オリンピックが開催された1964年(昭和39年)に営業運転を開始した0系に続き、その少し前の1962年に初めて営業運転を開始し、0系などと並んでこの年代の名車の一つに数えられる名古屋鉄道(名鉄)の7000系電車も、昨日限りで営業運転を終了しており、ほぼ同時期の全面引退は、0系と何か縁があるのかと感じてしまう程です。

一般の通勤通学輸送にも用いられる車両でありながらも、先頭部に展望席を配し、パノラマカーと呼ばれたこの車両は、「MAKIKYUのページ」でも以前に取り上げた事もありますが、近年は新鋭車両の登場で影の薄い存在になりつつも、永らく名鉄の看板的存在として活躍し続け、名鉄と言えばまずこの車両が頭に浮かぶ方も多いと思います。

MAKIKYUもその様な人間の一人で、名古屋近辺へ出向いた際をはじめ、青春18きっぷで関西方面などから首都圏へ帰る際に、名古屋周辺で途中下車して別途運賃を支払い、名鉄に乗車した際にも幾度も乗車していますが、「電車に乗る事自体の楽しさ」を凄く体感させられるパノラマカーは、新鋭車両が次々と登場する中でも、MAKIKYUにとっては名鉄で一番の車両でしたので、遂にその乗車機会が無くなってしまった…と思うと、少々寂しいものがあります。

パノラマカーは今年の夏以降大幅に数を減らし、名鉄HPに掲載された運行時刻一覧も紙一枚で足りてしまう程で、今年8月に名古屋・岐阜一帯を訪問した時にはこれで最後か…と思い、HPで公開されている岐阜→須ヶ口間の普通で乗車を堪能したものです。

その後かつての特急用車両の装いである白帯を復活させた編成も登場し、今月中頃に関西方面から帰路の途上では、名古屋~神宮前という非常に短い区間ながらも、往年の姿で最後の活躍をしているこの編成に乗車できましたが、もうパノラマカーに乗る機会も…と思っていた程でしたので、最後にこの様な美しい姿のパノラマカーに乗車できた事は非常に喜ばしく、その列車の盛況振りを見ても、多くの人に愛され続けた車両だった事を改めて実感させられたものです。

パノラマカーの定期列車での運転は残念ながら終了となり、今後臨時列車での運転が若干見込まれる他は、本線上で姿を見かける機会は無くなりますが、トップナンバー編成の先頭車2両は保存される事が確定している事は幸いで、後世にその活躍を伝える存在として、今後末永くその姿を留め、時折その姿が一般にも公開される事に期待したいものです。

また名鉄ではダイヤ改正前の今日限りでモノレール線も廃止となっており、MAKIKYUはこの路線には一度乗車しただけでしたが、全国的にも一躍有名な存在のパノラマカーと共に、名鉄でモノレールが40年以上もの間走り続けた事も、パノラマカーの活躍ぶりと共に、記憶に留めておきたいものです。

写真は8月に乗車した際のパノラマカー(乗車列車の折り返しを丸の内駅にて)と、同車の展望席からの眺め、今月中旬に乗車した白帯を纏ったパノラマカー(神宮前にて)です。