12月にMAKIKYUが長崎県の対馬へ足を運んだ際には、更に対馬・比田勝港からお馴染みの高速船「BEETLE」に乗船し、韓国・釜山へ足を伸ばしたものでしたが、釜山到着後は1週間程韓国内を周遊し、再び釜山から「BEETLE」で日本へ帰還したものでした。
(帰国は比田勝港ではなく、使い慣れた博多港でしたが…)
MAKIKYUが12月に韓国を訪問した際には、丁度KORAIL(韓国鉄道公社)のストライキ実施時期と重なってしまい、相次ぐ列車運休により当初予定していた列車へが運休→予定変更止む無しという状況になってしまいました。
おまけに寒波と降雪にも見舞われ、大変な旅行になってしまった感もあるのですが、それでも予定のいくつかは達成する事ができ、また逆に当初予定していなかった所へも足を運び、これもまた面白いと感じたものでした。
こんな状況ですので、12月の旅行でKORAIL関係の収穫に関しては余り…という有様ですが、MAKIKYUの訪問時は一般列車セマウル・ムグンファ号には多数の運休が発生、ヌリロ号と観光列車に至っては全滅状態だったものの、KTXと通勤列車、広域電鉄に関しては正常運行でしたので、これらを主体に韓国内を動き回ったものでした。
(ストによる列車運休は韓国鉄道史上最大規模のものとなり、MAKIKYUの帰国後はKTXや広域電鉄でも多数の列車運休が発生するなど、更に事態は深刻化したのですが…)
その一つとして、ソウル滞在中にはソウル北郊を走る京元線の通勤列車に乗車し、現在通勤列車の運行自体が大幅に削減されていますので、この列車への乗車機会自体が…という状況で、他はこれもソウル北郊を走る京義線程度となっています。
(通勤列車への愛称改称前の統一号時代も含めれば、MAKIKYUは慶尚道や全羅道方面などで幾度も乗車しているのですが…)
MAKIKYUは南北分断路線としても知られる京元線・京義線共に、以前にも南(大韓民国)側は乗車した事があるのですが、京元線は2012年11月に延伸しており、この延伸区間にはまだ未乗でしたので、この未乗区間踏破も兼ねて足を運んだものでした。
京元線の延伸区間は、正確に言えば休止していた区間の「部分復活」になるのですが、韓国最北端(北韓を除く)の鉄道駅として知られていた新炭里(Sintanri)駅から、5km強の1駅間だけながらも北へ延伸され、開業した白馬高地(Baengmagoji)駅は新たに「韓国最北端の駅」となっており、復活区間は現在韓国最北の鉄路になっています。
この白馬高地へ向かう列車は、現在東豆川(Dongducheon)発着となっており、ソウル中心部からここまで足を伸ばす1号線電車も毎時3本程度、殆どが各駅停車で片道1時間半程度を要しますので、京元線乗車となると、それだけでもソウルから日帰りで1日がかりとなりますので、距離的にはさほど遠くないものの、結構遠いと感じる方も居られるかと思います。
(ソウル駅を基準に考えた場合、移動距離・運賃はともかく、時間的には白馬高地へ行くよりも、KTXで釜山へ行く方が早い事もしばしばですので…)
東豆川を発着する通勤列車は、東豆川方面まで1号線電車が延伸運転される前は議政府(Uijeongbu)から出ており、今日に至るまで概ね毎時1本程度の運行となっており、現在も東豆川の一つ北に位置する逍遥山(Soyosan)駅以遠は非電化区間ですので、気動車による運行となっています。
この区間で運行される気動車は、「MAKIKYUのページ」でも以前取り上げた事があり、CDCとも呼ばれる9501型ディーゼル動車ですが、同型は通勤列車の運行縮小と共に、ムグンファ号用転用改造された車両(RDC)が大半を占め、中には観光列車に改造された車両も存在しますので、現在も通勤列車用として残存している車両は少数に留まっています。
このCDCは片運転台の先頭車を両端に配し、間に運転台無しの中間車を1~3両挟んだ編成で運行、京元線列車が議政府発着だった頃には、5両編成で運行しても、立席が出る程で、電鉄化前の京義線に至っては、ラッシュ時間帯に5両編成を2編成併結した10両編成まで運行している程でした。
しかしながら京元線も末端区間のみの運行となり、需要減もあってか、今日では3両編成での運行となっているのは、少々寂しい限りで、それでも沿線は大半の区間で市内バスも頻発している事(こちらは広域電鉄と乗継利用の場合、カード利用だと乗継通算運賃も適用されます)から、座席も空席が目立つ状況でした。
また概ね1時間間隔の運行ながらも、終点の白馬高地まで足を伸ばす列車だけでなく、従前の終点・新炭里駅発着となっている列車も残存しており、予め時刻を調べておかないと、乗車時間次第では復活区間目当てで足を運んでも…という事になってしまいますので要注意です。
この列車の乗車券は、全車自由席ながらも列車扱いだけあって窓口で購入する「列車指定」の乗車券(予め他駅で購入する場合、指定席自動券売機での購入も可能ですが…)となります。
最近のKORAILで窓口発券の乗車券を購入した場合、QRコードを印刷したレシートの様な乗車券が発券され、改札を撤廃した信用乗車制と共に、日本とは随分雰囲気が異なると感じます。
列車の車内設備は、大邸地下鉄放火事件以来、韓国では鉄道車両の車内化粧板難燃化が進行し、地下鉄に関してはあっという間に交換が完了しているものの、この通勤列車充当車両では難燃化以前の化粧板がそのまま残存し、通勤列車という列車自体と共に希少な存在となっています。
(CDC→RDC改造車などは、改造時に化粧板交換も行っています)
車両間ドアが引き戸ではなく開き戸となっている事や、先頭車の乗務員室窓から前方などを見渡せないのも、KORAILではよくある事で、前面展望が期待できないのは、余り喜べる事ではない気がします。
日本の一般型気動車と類似した運用方法の気動車で、座席配置はセミクロスシート配置となっていますが、クロスシート部分は転換式となっており、一般車両にしては比較的グレードの高い設備を誇り、悪評名高いKTX一般室座席よりずっと良いと感じる点は、大いに評価できると思います。
(以前はボックス席だった車両も存在していましたが、通勤列車の激安運賃を考慮すれば、それでも充分過ぎる設備です)
そしてこの列車に乗車して1時間弱で、終点の白馬高地駅に到着となりますが、復活延伸となった最後の1駅区間では、旧線跡に軌道を敷設した区間だけでなく、旧線と少々離れた所に新線を敷設した区間もあり、車中から旧線跡を見る事もできました。
終点の白馬高地駅に関しては、近日中に追って別記事で取り上げたいと思います。