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先月営業運行を開始した小田急5000形~試乗会などは中止になったものの…

2020-04-21 | 小田急グループ

今年に入ってから中国武漢や周辺の湖北省各市を中心に新型コロナウイルス感染症が流行、これが中国他省をはじめ欧米など世界各地に拡がっており、日本国内でも多数の罹患者発生が報じられています。

日本でも東京五輪延期や各種学校の休校をはじめ、緊急事態宣言発令による不要不急の外出自粛要請なども出るなど、現段階では各種報道で報じられる欧米の惨状などに比べるとマシとは言えども前代未聞の大事となっており、この時勢では何処かへ出掛けたくても…という状況になっています。

当然ながら各種イベントなども軒並み中止か延期、今春華々しくデビューする予定だった新型車両の営業開始前に実施予定だった試乗会や撮影会なども軒並み中止となっており、残念に感じている方も少なくないと思います。

また今春運行開始したばかりの新型車両に乗りに行きたくても、通勤などの所用で利用する路線や近隣の路線はともかく、遠方ともなると外出自粛要請が出ている中で…という事で暫くお預けという方も少なくないと思います。

MAKIKYUも本当は色々外出したいものの…と感じる事が多々ありますが、そんな中でも近隣を走る小田急線は利用頻度こそ減少しているものの、所用などで利用する機会も週数回程度ある状況です。

今春小田急で営業開始したばかりの最新型車両・5000形にも既に4回程乗車しており、この時勢で今は試乗もお預けという方も少なくないと思いますので、以前試運転の様子を取り上げた記事では取り上げる事ができなかった車内の様子を中心に取り上げたいと思います。


外観は試運転時と特に変わる事がなく、前進時に白く光る窓下の飾り灯(後進時は赤色点灯)や既存通勤車の青帯とは異なる濃淡細帯などが大きな特徴で、今までの小田急ステンレス車各形式と異なりステンレス無塗装部分の光沢が強い事もあり、特に鉄道事情に精通している人物でなくても一目見ただけで新車である事を実感できるものです。


最近の鉄道車両では一般的なフルカラーLEDを用いた種別行先表示は、表示器の大きさの割に漢字表記の大きさが小さめで、やや視認性が…という見解をよく見かけますが、今後ROM内容の書換により表示様式が改められる事があるのか否かも気になります。


車内に足を踏み入れると、近年高速バスでは流行しているものの、通勤電車で見る機会は余りないと感じる木目調の床や、裾絞りの幅広車体となった事によりやや幅が拡がった客室などが大きな特徴となっており、こちらも小田急の既存通勤車両とは随分異なるものとなっています。

現在運行している1編成(5051F)は川崎重工業製、天井回りの設計などは同社が近年製造した各地の新型車両と共通する部分も多数見受けられますが、今後川崎重工業以外のメーカーで製造される編成も登場予定となっていますので、他メーカー製でも川重標準仕様が踏襲される事になるのか気になる所です。

ちなみに小田急線に乗り入れて来る東京メトロ16000系も、一部編成は川崎重工業製となっており、川重標準仕様を踏襲した部分が多数見受けられる車両ですので、裾絞りの幅広車体である事と、オレンジ色の座席モケットなどの車内カラースキームを除くと、16000系とそっくりなのでは…と感じる方も少なくないと思います。

個人的には東京メトロ16000系をはじめ、山陽6000系や西鉄9000形など、近年の川重標準仕様を踏襲した新型車両は悪くないと感じており、メトロ16000系の色違いでも出てこないものか…と感じた事もある位ですので、良い意味でメトロ16000系と共通する反面、同系との差異や独自性も見受けられる新車導入は大歓迎と感じています。

座席と窓枠は5000形登場前の通勤型最新形式だった4000形や、同形のベースになっているJR東日本のE233系などを思わせる形状ですが、見た目はよく似ていても座席の詰め物などが異なるのか、4000形に比べると柔らかくなった様にも感じたものです。


四隅の丸みが強い窓枠も、最初は外から見ると4000形やJR東日本E233系と同種なのでは…と思ったものでしたが、よく見るとこれらとは異なり、近年の川重標準仕様をベースに丸みを付けた飾りを設けていたのは、初めて乗車した際に少々意外と感じたものでした。

天井の照明はグローブ付き蛍光灯に近い見付の薄型LEDを用いており、川重標準仕様の天井板も割合見栄えがするものという事もあってか、MAKIKYUが乗車した近年の川重標準仕様車両の中では最も見栄えがする車両に仕上がっており、座席指定料金を収受する他メーカー製の一部車両よりも見栄えが良いのでは…とも感じたものです。


また青色のモケットを用いた優先席は、他のLED蛍光灯を用いている小田急各形式と同様に、この部分だけ照明色が電球色となっており、これは比較的簡単に優先席区画である事を分かりやすくすると共に、優先席位置を変更する際も座席モケット張替と蛍光灯の移設だけで済みますので、これは他社でも拡がらないものか…とも感じます。


車端は一部が優先席になっている他、フリースペースとなった区画も各車両に存在、これは今日の最新型車両らしい部分とも感じ、この区画の床面には車イスマークと共に親子連れをイメージしたピクトグラムが配されています。

 
車端にある製造メーカー/製造年と車番の表記はプレートではなく、今流行のステッカー式となっていますが、4000形や最近のJR東日本の車両などで見られる製造メーカー/製造年と一体になったタイプではなく、ステッカーながらプレートに近いレイアウトになっているのも特徴と言えます。


つり革の吊り輪が○型になったのも大きな特徴、小田急の新造車としては3000形最初期車以来となり、1000形更新車で用いられた薄い水色の吊り輪を用いたつり革の色違いという雰囲気、僅かにオレンジ色になっているのも独自色が感じられ、同色のつり革を用いている鉄道車両は他を探しても…とも感じたものでした。


車両間のガラス製仕切り扉や、ガラスと化粧板を用いた袖仕切りなども、川重標準仕様車両ならではと感じ、メトロ16000系などとよく似た雰囲気ですが、袖仕切りに配した化粧板は床材の木目調とは異なる色合いの木目調になっており、これも悪くない雰囲気と感じたものでした。


先頭車の乗務員室仕切りを見ると、運転席背後は壁となっており見通しが利かず、客室との間に設けられた扉も右端に寄せられているなど、地上専用車ながら地下鉄直通対応車を連想させる雰囲気となっていますが、客室最前部から眺める展望性に関してはまずまずといった所と感じたものでした。

また写真では取り上げる事は出来ませんが、類似点が多く見受けられるメトロ16000系は電動車比率が低く(4M6T)、低い電動車比率で加速性能を確保するためにギア比が高めになっている事から、地上区間における高速走行時(主に小田急線内の急行充当時)の走行音が大きめと感じ、雨天時の地上走行においても空転発生により乗り心地が悪化する事も珍しくない難点を抱えています。(地下鉄線内の各駅停車運用では余り問題になりませんが…)

しかしながら下回りは台車を除くと1000形更新車で実績のあるものを用いている事もあってか、電動車乗車時の高速走行時における静粛性もまずまずと感じ、この点も評価できると感じたものです。

敢えて難点を挙げるとするなら、メトロ16000系や他の川重標準仕様を踏襲した新型車両と同様、白無地の化粧板はやや簡素な印象が否めず、車端部分も化粧板を袖仕切りと同様の木目調にするなり、乗降扉を化粧板張りにしている事も考慮すると、乗降扉部分だけ3000形の様な木目を用いるなどのアクセントを付けても良かったのでは…と感じたものでした。

あとはメトロ16000系には装備されているものの、小田急所属車両では現在特急ロマンスカーのみの装備となっているフリーWifiも今後追設されると有難いと感じたものの、総体的な評価としては100点満点中の90点位は付けられると感じたものです。

現在はまだ1編成のみの活躍で珍しい存在ながら、今後の増備も予定されており、陳腐極まりない1000形ワイドドア車などの代替も進行していくものと思います。

その際は3000形の様に仕様変更が繰り返される事になるのか、それとも4000形の様に大きな仕様変更はなく増備されていくのかも気になる所ですが、今後の小田急を担う通勤車両として末永く利用者に愛される車両になる事を祈願し、記事を結びたいと思います。

そして現在大流行している新型コロナウイルス感染症の蔓延が収まり、外出自粛要請が解除されて沿線外の方が気軽に5000形の乗車目当てで小田急線訪問が出来る日が訪れる事も…


DBSクルーズフェリー~日韓露3ヵ国を結ぶ国際航路

2020-04-01 | 船舶[海外関連]

今年に入ってから中国湖北省を中心に新型コロナウイルスによる肺炎が蔓延、その後世界各地に拡がり、現在外国人の入国制限や入国後の一定期間隔離措置(これは国によっては内国人の場合も)を行う国が多数発生しています。

今年開催予定だった東京オリンピックの延期も決まり、外務省も渡航中止勧告発令国・地域を除く海外全てを対象に渡航自粛勧告を出すなど、非常事態と言っても過言ではない状況になっています。

現在の世相では不要不急の海外旅行はとても…という状況で、日本発着の定期旅客航路(フェリー・高速船)も政府要請により全て運休もしくは貨物のみの輸送になるなど、戦時中を除くと前代未聞の状況になっています。

四方を海に囲まれ、異国との間を結ぶ橋やトンネルもない島国の日本におり、空を飛ぶのも嫌となると、海外へ足を運ぶ際に利用する交通手段は船一択となりますので、現状では海外旅行は不可能に等しい状況とも感じています。

ちなみに日本発着の国際航路は、MAKIKYUは日韓航路と日中航路は共に何度も利用していますが、平時なら韓国・中国と共に定期航路で直接行けるロシアは「近くて遠い国」という印象が否めず、昨夏ようやく初めて足を運んだものでした。


その際には日韓露3ヵ国を結ぶ国際航路「DBSクルーズフェリー」を利用したものでしたが、この船は韓国の船会社が日本の国内航路で使用していたフェリーを中古購入、改装して運航しています。

日本は境港(鳥取県)、韓国は東海(江原道)、ロシアはウラジオストク(沿海州)という、どれも国の中では核心となる大都市やその近郊ではない地方都市同士を結んでおり、日韓両国在住者でも近隣住民以外だと境港や東海から異国へ向かう国際航路が出航している事を知らない人物も少なくないのでは…と感じます。

日韓、日露、韓露どの組み合わせでも乗船可能で、日露間を乗船する場合は東海(韓国)で一時下船する事も可能ですが、日本在住の日本国籍保有者がDBSクルーズフェリーに乗船する場合、日韓間か日露間での利用が大半を占める事になると思います。

ちなみにMAKIKYUが昨夏DBSクルーズフェリーに乗船した際は、日韓間を別航路で移動した後に韓国内を陸路移動、東海→ウラジオストク(韓露間)で乗船したものでした。

韓露間の利用でも境港の事務所に日本語を用いて電話予約する事ができ、この点は日本語が通じない事もある韓中航路の船会社への予約に比べると、かなりラクと感じたものでした。


そして乗船当日東海港に出向き、ターミナル内にて韓国ウォン払いで乗船券(写真)を購入して乗船しましたが、日本人のロシア入国にはビザ(ウラジオストクと近隣の短期滞在なら電子ビザでも可:現在ロシアは外国人旅行者の入国停止中)が必要なため、乗船券売場の係員にビザ提示も求められたものでした。
(平時なら韓国国籍保有者のロシア入国は、観光目的での短期滞在ならビザ不要となっていますが、逆に中国は日本国籍保有者と異なりビザが必要です)

MAKIKYUが韓国の出航地となる東海へアクセスする際には、市外バスを利用したものでしたが、バスターミナルは港から結構離れており、市内バスで30分程度を要しますので、日本の地方路線バスの様にどこまで運賃が上がるのか…という心配はないものの、バス利用時の移動は余裕を持った方が良いと思います。

一方韓国では脇役的存在となる事が多い鉄道は、東海駅から徒歩で港まで10分程度、市内バスもそこそこ走っていますので、韓国に不慣れな旅行者(特にハングルが読めない場合)が東海から乗船する場合は、東海まで鉄道利用でアクセスした方が無難なのでは…と感じたものでした。

 
東海港周辺は閑散とした印象で、韓中航路が多数発着し、港周辺に多数の店舗も存在する仁川港周辺などとは随分雰囲気が異なりますが、港の入口近くにコンビニ(GS25)が一店あり、飲料や弁当、菓子類程度の調達は可能ですので、飲食物を調達せずに港まで行った場合や、日露間移動で途中下船する際などには、このコンビニはかなり重宝すると感じたものでした。


またDBSクルーズフェリーは船内Wifiがなく、それどころかコンセントすら封印されている有様ですので、スマホやタブレットなどを用いてのネット環境に関しては最悪と言っても過言ではない状況でした。

しかしながら東海港のターミナル内はフリーWifiもあり、日露間利用者でも一旦東海で途中下船し、ターミナル内でネットにアクセスする乗客の姿も多数見受けられたものでした。

 
韓国出国手続きを済ませて船内に入ると、日本の中古船だけあり、余り綺麗な船と言う印象ではないものの、船内に免税店があるのは国際航路らしい所で、日本の鳥取県特産品展示コーナーがあったのも特徴的と感じたものでした。

船内での飲食は、MAKIKYUは乗船前に予め購入していた弁当や菓子パンなどを食したため、レストランなどは利用していませんが、値段は割高(日本円で一食4桁)ながら船内でも食事提供がありますので、食料調達なしで乗船しても飢える事がない辺りは、近年日本で増えているカジュアルフェリー(自販機による軽食提供あり)や長距離列車(予め食料を調達する様に案内)などに比べるとマシと言えます。


船室は上等級の個室から、カーペット敷大部屋(写真)での雑魚寝まで色々。


MAKIKYUはその中でも大部屋の中に2段ベッドが多数設置された船室(運賃はカーペット式大部屋より少し高い程度)を利用したものでしたが、設備内容を考慮すると、運賃設定は決して安くないという印象を持ったものでした。


東海出航後しばらくすると、Wifiも使えない環境で陸地から離れた海域を航行する事もあり、デッキに出て海風に当たりながら、菓子などをつまむか、居合わせた他の乗客と会話を交わす程度しかやる事がない状況でしたが、日本から乗船した乗客の中には、ロシアに自分の車両(自家用車・バイク)を持ち込み、ロシアで運転できるという理由でフェリーに乗船している乗客もおり、この点は国際免許で自分の車を持ち込んで運転する事が叶わない中国とは大違いと感じたものでした。


デッキの注意書きを見ると、韓露日英4か国語による案内が見受けられる辺りは、日韓露3国を結ぶ船らしいと感じたもので、船内係員の中には日本語を解する人物もいたものの、日本発着の他航路に比べると日本語通用率は低く、海外旅行初心者が単独で乗船するとなると、多少難儀するかも…とも感じたものでした。


そして翌日、昼前には船内から初めて足を運ぶウラジオストクの街並みが見えたものの、それからはかなりゆっくりとした速度でタグボートに案内されながら入港。

 
洋風の建物が立ち並ぶ街並みは、「日本から一番近いヨーロッパ」と言われるだけあると感じたものですが、港内を航行する時間が結構長い事に加え、入港後も入国手続きを済ませロシア入国となるまで結構な時間を要しましたので、この点は今後改善余地ありなのでは…とも感じたものでした。


ちなみにウラジオストク港はウラジオストク駅のすぐ裏手、市内中心部にも徒歩で移動可能な距離にあり、駅前や駅周辺からは市内各地へ向かう路線バスが頻発する他、駅周辺には銀行も複数ありますので、ロシア通貨(ルーブル)を持たずにロシア入りしても、両替にはさほど難儀しないなど、港の立地は非常に良いと感じたものでした。

運賃設定や設備面では難ありの印象が否めず、今後の改善に期待したい部分も多々あるものの、航空機を使わずにロシアへ行ける貴重な旅客航路だけあり、今後の運航再開を願うばかりで、再びロシアへ足を運ぶ機会があれば、また利用しても…とも感じたものでした。

また昨夏ウラジオストク入国後にロシア国内で乗車した交通機関などに関しても、その内追って取り上げる事ができれば…と思います。