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大連市内で今も活躍する古参路面電車~装いなどは変化しているものの…

2012-09-29 | 鉄道[中華人民共和国]

先日「MAKIKYUのページ」では、中国遼寧省・大連(Dalian)市内を運行しているBRT(Bus Rapid Transit)に関して取り上げましたが、今日はこの記事中でも触れた有軌電車(路面電車)に関して取り上げたいと思います。

大連の有軌電車は、少し前は大連火車站から東西各方面へ向かう路線(201路・203路)と、郊外の興工街から南へ向かう路線(202路)の3系統が存在していました。

その内大連火車站を発着する2路線は、比較的近年になって統合され、201路という1つの系統として運行しており、建前上は興工街~大連火車站~華楽広場間の区間車と、更に先の東海公園まで至る系統の2系統が存在しています。

MAKIKYUが7月に訪問した際には、運行している電車は区間車ばかりで、東海公園方面へは華楽広場~東海公園間をピストン運行する電車に乗り換えという状況になっていましたが、停留所などにこの旨を示す掲示等は見当たらず、華楽広場以遠ピストン運行の電車も、201路区間車の案内を掲出している辺りは、日本では考えられない事です。

この201路では現在、新型の低床連接車と旧型単車の2種類が混用されており、旧型単車は旧203路(大連火車站から東へ向かう路線)で活躍していた車両です。

この車両は満州国時代に製造された年代物の古参車で、その出自故に日本の路面電車に良く似た雰囲気を漂わせており、日本の路面電車に乗り慣れた身としては、何処となく親近感を感じる車両ですが、近年まで長春などで活躍していた同形車が退役した今日では、乗車できるのは大連の201路のみとなっています。

 
この古参電車は相当な経年車と言う事もあってか、外観や内装などは随分改められており、車内に製造年代を示すプレートなどが見当たらないのも惜しい限りですが、昔ながらの吊り掛け駆動の下回りなどはそのままで、冷房化改造なども施されていません。


座席が相当硬いのは余り感心できないと感じる方も多いかと思いますが、都市内における軌道系交通機関は、歴史の浅い路線が大半を占める中国大陸本土内においては、昔ながらの電車という点でも非常に希少な存在です。


この電車も少し前は青系統と緑系統の2種類の装いを纏った車両が存在していたのですが、現在青系統の装いは見かけなくなり、変わって赤系統の装いを纏った車両が散見される状況でした。

 
装いが複数存在するだけでなく、似たような車両も良く見ると窓割に差異(ドア間の窓が4枚の車両と、5枚の車両が存在します)が見受けられるのも興味深い所で、車両の差異によって装いを分けているのではなく、同じ装いでも2両並んだ車両を良く見ると…という状況になっているのも注目です。

低床の新型連接車に比べると、居住性の面ではお世辞にも良好とは言い難く、おまけに非空調車にも関わらず新型車と運賃も同一に設定されています。
(中国では路線バスなどで、同一系統でも空調車は割高な運賃を設定している事が多いです)

都市交通のサービスレベルに大きな格差が生じるという点では、この旧型単車は余り歓迎できない車両かもしれませんが、新型低床車に混じって活躍する姿は興味深く、趣味的には非常に面白い存在と言えます。

広大な中国といえども、有軌電車自体が数少ない状況ですので、こんな光景は大連以外で見る事は叶わず、旧型単車はかなりの経年車ですので、大連でも何時までこの様な光景が見られるのか…とも感じますが、末永い活躍に期待したいと感じたものです。


東海汽船・セブンアイランド 虹~左右で装いが大きく異なる高速船

2012-09-26 | 船舶[日本国内]

MAKIKYUは今年に入ってから、距離的には生活拠点の首都圏からさほど遠くないものの、今まで足を運ぶ機会がなかった伊豆諸島に相次いで足を運んでいます。

5月に東海汽船の高速船「セブンアイランド 夢」で久里浜から大島へ足を運び、日常の生活圏から僅か1時間程度で足を運べる近さを実感した後、6月には三宅島へのジェットフォイル試験運航の片道無料モニターに当選し、この時には「セブンアイランド 愛」に乗船したものでした。

またMAKIKYUの手元には、有効期限今月末までの東海汽船株主優待券(乗船券購入時に35%割引)が1枚残っており、この優待券の有効期間内にまた何処かへ…と思い、数日前に今度は神津島へ足を運び、MAKIKYUの伊豆諸島行きはこれで3回目になります。

東海汽船の高速船(ジェットフォイル)は3艘在籍しており、既に2艘は乗船済ですので、残る1艘「セブンアイランド 虹」に乗船できれば…と思っていたのですが、久里浜から神津島行き(大島・利島・新島・式根島経由)に乗船した際は、MAKIKYUの念願通り「セブンアイランド 虹」が配船され、これで東海汽船に在籍するジェットフォイル3艘全てに乗船する事が出来ました。

MAKIKYUが乗船した事があるジェットフォイルは、韓国旅行で幾度も利用し、お馴染みのJR九州高速船「BEETLE」こそ現在活躍中の各船舶に乗船していますが、「BEETLE」と「セブンアイランド」以外は、海外勢の未来高速「KOBEE」とターボジェット程度ですので、機会があれば他のジェットフォイルにも乗船したいものです。

ちなみに現在東海汽船で活躍している「セブンアイランド」は、船内設備こそ3艘共に大差なく、離島への速達性と収容力を重視した船舶だけに、比較的簡素な印象を受けますが、外観は3艘それぞれが異なるカラフルな塗り分け・色彩となっており、「BEETLE」の様に統一された装いとは異なる魅力があります。

  
特に今回乗船した「セブンアイランド 虹」は、「夢」や「愛」とは異なり、左右で全く異なる装いとなっているのが大きな特徴で、伊豆急行「リゾート21」やJR九州「指宿のたまて箱」を連想させますが、船体右側は配色こそ異なるものの、「夢」と使っている色が比較的類似しており、初めてセブンアイランドの姿を目撃した方などは、両者を混同してしまいそうな気もします。

(以下は「セブンアイランド 愛」と「セブンアイランド 夢」、比較対照用に既掲載記事で公開した画像を再掲します)
 

またセブンアイランドは、主に東京・竹芝と熱海から発着していますが、東京発着便はピーク時を除く週末などに横須賀市の久里浜にも寄港しており、現在横浜市内に身を置くMAKIKYUとしては、久里浜発着だと随分便利に感じる上に、大島などへの乗船時間も短くなります。

ジェットフォイルの燃料代も結構嵩むだけに、久里浜発着だと運賃も随分割安になり、都内~伊豆諸島間を移動する場合でも、久里浜まで
鉄道を利用した方が…という状況ですので、一部便の久里浜寄港だけでなく、久里浜~伊豆諸島方面便が設定されても…と感じる程です。

久里浜発着のルートは、京浜間の海沿い~三浦半島一帯で鉄道やバス事業などを営み、最近は「ブカブカした座席」の電車が大増殖している某大手私鉄グループも、自社の目玉列車とかけて「海の快特」として宣伝している広告類を時折見かけ、また久里浜港へのアクセスにも、久里浜駅からこのグループのバスを用いるのが最も至便な状況です。

しかしながら、MAKIKYUも久里浜港発着の東海汽船高速船に乗船した際には、このグループの鉄道とバスを利用しているものの、つい先日横須賀市内で土砂流入による大規模な脱線事故が発生した事は、ご存知の方も多いかと思います。

死者が発生しなかった事は不幸中の幸いですが、負傷された方も多数居られ、早く回復される事を願うと共に、事故発生箇所は未だに不通状態が続き、代行バスもかなりの時間を要すると聞いています。


三浦半島の大動脈が寸断された状況ですので、日頃利用が少なく、振替輸送の最有力路線となっているJR横須賀線をはじめ、道路交通も随所で混雑が発生し、横須賀市内などは大混乱している状況の様ですが、早急な復旧と事故原因究明、再発防止策がなされ、「海の快特」への重要なアクセスにもなっている「(陸の)快特」運行が通常体制に戻る事を願いたいものです。


中国・大連市内を走るBRT~低床連接車の活躍も…

2012-09-21 | バス[中華人民共和国]

最近「MAKIKYUのページ」では、BRT(Bus Rapid Transit)として仮復旧したJR気仙沼線柳津~気仙沼間に関する記事を、2回に分けて取り上げました。

日本でBRTというとこのJR気仙沼線や、旧鹿島鉄道の廃線跡を整備し、鉄道代替の路線バスや石岡~茨城空港アクセス路線を運行している、関鉄グリーンバスの「かしてつバス」などを連想する方が多いかと思います。

これらの路線はローカル線の休廃止路線用地をバス専用道に転用し、地方交通機関として運行しているもので、車両も主に大都市圏中古車を充当(かしてつバスでは自社発注の旧年式車や中型新車も活躍しており、気仙沼線BRTも今後ハイブリッドバスの新車導入予定がありますが…)しています。

しかしBRTというと、世界的には「大都市~中規模都市内における中量輸送機関として運行する基幹バス路線」という位置づけである事が多く、この場合は幅の広い道路の一部をバス専用レーンとして整備し、一般の路線バスよりも速達性や定時性を向上させた付加価値の高い大量輸送型線バスとなっている事が多くなっています。

日本の路線バスの中では、名古屋市内中心部から東郊へ向かう名古屋市営バス・名鉄バス共同運行の基幹2号線(名古屋駅・栄~引山~瀬戸・長久手方面など)のイメージに近く、車両も条件の良好な道路で大量輸送を行うのに適した連接車両などの専用車両を用いている事例が多数存在します。
(名古屋の基幹2号線は通常の路線バス型車両で運行していますが、この路線では日本国内の路線バスでは採用事例が少ないシリーズ式ハイブリッドバス、三菱エアロスター・エコハイブリッドが名鉄バス便で多数活躍しているのは注目です)

海外に目を向けると、MAKIKYUは以前北京を訪問した際には、快速公交線とも呼ばれるBRT路線の第1弾が開業してまもない頃に、同市内の前門から出発する路線に乗車した事もあり、北京では現在3路線が運行しています。

中国では北京以外にも、幾つかの都市でBRTの運行を開始しており、都市内公共交通機関の整備がまだまだ…という状況の中国大陸本土では、今後更にBRT路線の新設・拡張が行われるかと思いますが、7月にMAKIKYUが中国を訪問した際には、まず最初に訪問した都市・大連(Dalian)でその姿を見る事が出来ました。

大連でのBRT運行開始は2008年、MAKIKYUが大連を訪問したのは6年ぶりでしたので、同市内でBRTの姿を見たのは7月が初めてになります。

BRT路線は中国では数少ない有軌電車(路面電車)が走る事で有名な大連において、現在運行する2路線の乗換站ともなっている興工街を起点に、周水子空港の脇(車内から空港の敷地やターミナルを目にする事が出来ますが、空港ターミナルには乗り入れていませんので、空港アクセスとして利用する事は厳しいです)を通り、市内北西部の張前北路までの間を結んでいます。

MAKIKYUは起点となっている興工街へ有軌電車でアクセスし、その後何処へ行こうかと思っていた矢先に、この路線を見つけて気になり、当初乗車予定はなかったものの、「時間にも余裕があり、なかなか乗る機会もなさそうな路線」という事で急遽このBRT路線に乗車したものでした。


始発の興工街は、かつて大連火車站方面からの有軌電車が、興工街から更に北の沙河口火車站まで続いていた頃の軌道敷を転用した、道路中央のBRT専用乗り場から発着しており、運賃収受も車内精算ではなく、乗り場での支払い(乗車前)となっているのも特徴です。


BRT路線自体も、路面電車や名古屋の基幹2号線の如く、屋根付きの専用停留所が道路中央に設けられている箇所も多く、一部区間はバス専用レーンとして整備され、バス運行の速達化にも貢献していますが、バスレーンと一般車両の車線は柵で仕切られており、バスレーン自体も一部は道路中央ではなく、片端に設けられているのも大きな特徴です。

この様な路線ですので、一般の路線バスに比べて速達性に優れており、車両面でも空調完備の低床専用車両が充当されるなど、大連市内の路線バスとしてのサービスレベルは突出しています。

おまけに全線乗り通すと40~50分程度を要するにも関わらず、運賃は全線1元均一と、現地物価を考慮しても割安に設定されている事もあり、昼間でもかなりの盛況ぶりで、終点近くの一部区間を除けば、常に立席客の姿が見られる程の状況でした。


ちなみにこのBRT路線で充当される低床車両は、丹東黄海とMANの合作車両で、MAKIKYUが目撃した限りでは、長尺の単車と2両連接車の2種類が活躍していました。


両者はデザイン的には類似しているものの、単車と2両連接車で装いを変えているのも大きな特徴です。


見た目だけならば、日本の国産バスよりも見栄えは良いものの、座席は中国の市内公交では典型的な「硬座」ですので、長時間の乗車には余り適さない気がします。


またこの路線の終点・張前北路は、BRT車庫がある以外は、郊外バス路線の幾つかが発着する程度の寂しい所で、特に外国人観光客が立ち寄る見所なども…という雰囲気でした。

興工街からのBRT全区間を単車で乗り通したMAKIKYUは、今度は連接車をチョイスして来た道を途中まで戻り、その後一般路線バスに乗り換えて快軌(中国では少数派の郊外電車で、大連は都市規模の割に公共交通機関のバリエーションが豊富で、今後更に地鉄開業予定もあります)站へと向かったものでしたが、「MAKIKYUのページ」をご覧の皆様方も大連を訪問する機会がありましたら、有名な有軌電車乗車と共に、BRT乗車も検討してみては如何でしょうか?


小田急ロマンスカード・来年春に払いもどし終了に

2012-09-18 | 小田急グループ

最近は月に1~2回程度利用機会がある小田急線ですが、昨日もMAKIKYUは小田急線に乗車する機会があり、その際には駅券売機脇に「2013年3月15日(金)終電をもってロマンスカードの払いもどしを終了いたします」という告知を見かけたものでした。


HPでも余り大々的に告知されている訳ではないものの、ロマンスカードの案内に関する項目の中で、この旨が記されており、払いもどし終了に先立って、今年12月16日初電以降、券売機等での利用が不可能となります。

ロマンスカードはパスネット(現在発売中止)が導入される前に発売されていたプリペイドカードで、小田急線各駅の券売機・精算機等での乗車券購入や精算に利用でき、パスネット発売開始と共に販売中止となっています。

発売終了から10年以上の年月が経過しており、ICカード乗車券・PASMOが普及してパスネットですら発売終了・自動改札機での利用不可となっている今日では、このカードを利用して乗車券を購入したり、精算する旅客の姿は殆ど…という状況になっており、存在自体を知らない・忘れているという人物も決して少なくないと推測される状況です。


MAKIKYUも最近ロマンスカードを利用した記憶はなく、それどころかパスネットも…という状況ですが、過去にコレクションとして購入したカードや、記念品として贈与されたカードなどが死蔵状態で多数手元に残っています。


過去に発売されたロマンスカードは、好感の持てる絵柄のカードが多数あり、70周年記念の台紙付きカードシリーズ(全6枚)や、新春記念カードなどは、発売当時の小田急側の意気込みを感じる逸品であるだけに、額面金額が保証されるのであれば、そのまま手元に置いておいても…と思っていました。

しかし今年末の利用終了はおろか、来年春には払いもどしも終了してしまうとなると話は別で、少額カードが1~2枚程度であれば、記念品として残しておくのも悪くない気がするものの、手元にあるカードの枚数を数えたら30枚以上ありました。

大半は1000円券なのですが、中には高額の3000円券と5300円券(発売額5000円)も1枚含まれ、逆に通常販売が行われていなかった500円券も数枚あり、これら全てが無効になってしまうと、結構な金額になりますので、さすがにそのまま放置しておくのは…という状況です。

各駅での払いもどし枚数も、1回当り10枚まで(パスネットも含む)という状況ですので、数枚程度は利用終了までの間に、その気になれば小田急線に乗車する際に使う事も出来そうですが、郵送による簡易書留での手続きを行うか否かも思案中と言う状況です。

近年商品券類や回数乗車券・プリペイドカード類の利用終了・払いもどし終了の告知が多く見られる中で、遂にロマンスカードもこの時が訪れてしまったのか…と思うと、少々残念な気がします。

「MAKIKYUのページ」をご覧の皆様方の中には、過去にロマンスカードを利用した事がある方や、現在もコレクションとして保有している方なども居られるかと思いますが、ロマンスカードに関しての思い出話などがありましたら、是非コメントもどうぞ。

また最近はこれも利用機会が殆どないと言っても過言ではないパスネットに関しては、今後も当面の間は券売機での利用や、無手数料払いもどしが可能ですので、こちらも結構な枚数を死蔵していますが、数年後にロマンスカードの後を追って…という事にならないか気になる所です。


BRTで仮復旧したJR気仙沼線(2)~路線編

2012-09-16 | バス[東北]

先日「MAKIKYUのページ」では、BRT(Bus Rapid Traisit)による仮復旧を果たしたJR気仙沼線柳津~気仙沼間で充当されているバス車両に関して取り上げましたが、今日はその続編として車窓などの様子を取り上げたいと思います。

MAKIKYUが今月気仙沼線を利用した際には、岩手県内から首都圏へ帰還する際に乗車した事もあり、気仙沼駅からのスタートになりました。

気仙沼市も魚市場などのある低地の中心部は甚大な被害が発生しているものの、気仙沼駅は中心部からやや離れた高台に位置している為に津波被害はなく、この事も幸運に作用してか、震災後も大船渡線一ノ関~気仙沼間は比較的早期に復旧しており、現在同区間はほぼ震災前と同様の運行状況になっています。

震災による津波被害などで運行がままならない交通機関が多数存在する中で、同線と競合する岩手県交通の特急便を含む路線バス(一ノ関~気仙沼・一部便は更に陸前高田~大船渡まで運行)と共に、全国各地から気仙沼へ向かう公共交通機関として重要な役割を果たしています。

この気仙沼駅から出発する気仙沼線も、気仙沼駅と隣の不動の沢駅こそ津波被害は免れているものの、南気仙沼~陸前戸倉までの区間は鉄道施設だけでなく、沿線地域の被害も甚大で、運行上の都合もあってか、気仙沼~柳津間の鉄路による復旧見通しは当面…というのが現状です。

その事もあってBRTでの仮復旧となっており、今後鉄路での復旧が実現するのか否かも気になる所ですが、気仙沼駅は震災前から一部路線バスの発着もあるものの、一ノ関~大船渡方面を結ぶ岩手県交通バスなどは駅ロータリーには入らずに駅前の通りを発着(徒歩1~2分)する状況で、気仙沼駅発着の路線バスが発着するロータリーも決して広いとは言い難いものです。


そのためロータリーのバス発着場奥に、気仙沼線BRT専用の折り返し・待機場が設置されており、気仙沼駅のBRT乗り場では、他に一部路線バス(ミヤコーバス)の発着もあるために、出発時間の2~3分前にようやくBRT入線となります。


気仙沼線BRT区間各駅(停留所)では、バスの車体塗装と同様に派手な印象を受ける赤い専用ポールが立っており、一般路線バスとは異なるBRTの存在を際立たせている感があります。


BRT区間の運行本数は鉄道線時代よりも倍増と言って過言でない位に増発されており、気仙沼駅を発着する大船渡線一ノ関方面の時刻表と対比すると、その差は歴然としています。

BRTに乗り込んで少しすると南気仙沼(市立病院口)、南気仙沼は駅舎や隣接するミヤコーバス営業所をはじめ、周囲が壊滅的状況という事もあってか、鉄道線時代の駅とは離れた場所に停留所が設置された事もあってか、南気仙沼(市立病院口)となっている様ですが、この辺りはやや内陸に位置する事もあってか震災の影響は余り感じられません。

被害が甚大な地域と、何事もなかった様に感じられる地域(それでも震災の影響はあり、震災後に整備した所も多いですが…)が紙一重と言う状況は、東日本大震災における津波被災地域の大きな特徴です。

少し進むと甚大な津波被害を受けた地域に差し掛かり、最知~陸前階上の1駅間は、BRT仮復旧と共にBRT専用道が整備された区間となります。


この区間に乗車していると、数年前に鉄道が廃線となり、その後一部区間がバス専用道として整備された茨城県石岡市~小美玉市間の旧鹿島鉄道線→かしてつバス専用道(関鉄グリーンバス運行)を思わせる雰囲気があり、駅舎やホームが残る陸前階上駅の現状も、かしてつバスのバス専用道区間で唯一駅舎とホームが残存する石岡南台駅を連想します。

このBRT専用区間を過ぎて暫くすると本吉駅に到着し、鉄道線時代も気仙沼~本吉間の区間列車が設定されていた運行上の拠点駅ですが、BRTでも一部便は気仙沼~本吉間の運行となっています。


本吉駅はやや高台に位置する事もあってか、周辺各駅は壊滅状況となっている箇所が多い中で、被害は免れています。

特定日に窓口における定期乗車券などの出張販売も行っており、BRT待合所も兼ねていますので、駅舎内に立ち入る事も可能で、全区間を乗り通すと現在所要約2時間を要するにも関わらず、一般路線車充当でトイレ設置のない気仙沼線BRTにおいて、トイレ休憩ポイントにもなっています。

駅構内に入れない状況が、鉄道の不通長期化を物語っている様に感じられたものですが、同駅ではダイヤ上5分程の停車時間(道路状況によって変動あり)が設けられており、BRT運行区間が路線バスにしては比較的長距離に及ぶ事もあってか、MAKIKYUが乗車した便では乗務員交代も行っていました。

本吉を過ぎると、鉄道線時代は開業から比較的歴史の浅い区間だけあって、地方ローカル線にしては比較的高規格で高架区間なども多く、三陸沿岸を走るJR各線に比べ、津波被害の小さかった三陸鉄道(それでも結構な被害が出ており、今日でも不通区間が存在しています)を連想させる雰囲気がありました。

それでも最も津波被害が甚大だった地域を結んでいた事もあり、高さ10m以上の高架や盛り土上にあった線路や駅でも流失・壊滅する箇所が相次ぎ、東日本大震災における津波被害が、三陸一帯で数十年毎に被害を出していた津波とは比べ物にならない未曾有の大災害であった事を物語っている様にも感じられます。

 
地盤が沈下して水の引かない土地や、土台だけ残して流失した橋脚などは、震災から1年半を経た今でも至る所で見受けられ、震災の爪痕が今日も強く残っていますが、BRTから眺める穏やかな海は非常に綺麗なもので、この光景を見ると複雑な心境になります。

陸前小泉・歌津など甚大な被害が発生した地域を次々と通り過ぎて暫くすると、BRT区間で唯一の新駅「ベイサイドアリーナ」があり、新駅というよりも停留所といった状況です。


南三陸町は旧志津川町の中心部が壊滅的被害を受けた事もあり、現在の仮設役場などがこの一帯に位置しており、この役場などへの利便性を図るために、ベイサイドアリーナ駅が新設されており、早朝や夜間の便などはベイサイドアリーナ駅を経由しないため、ベイサイドアリーナ経由便では前面幕(LED)でも行先脇に「ベイサイドアリーナ経由」という表示が出ています。

ベイサイドアリーナの次は志津川、旧志津川町→現南三陸町の中心地で、ベイサイドアリーナ駅を発着する場合の運賃は志津川駅と同額、ベイサイドアリーナ~志津川間のみを利用する場合は180円という変則的な取り扱いとなっています。

志津川はMAKIKYUが昨年夏に訪問した女川町や、今月バスで通り過ぎた岩手県の陸前高田市・大槌町と同様に役場が全壊し、低地に集積していた中心市街地も壊滅、多数の死者・行方不明者が発生するなど、東日本大震災における津波被災地域の中でも、特に大きな被害が出た地域の一つです。


震災から1年半が過ぎ、瓦礫などは片付けられて更地になると共に、更地には雑草が生えるなど、震災直後に比べると様相は随分変わっているかと思いますが、今もなお鉄筋コンクリートの建物が躯体や骨組みだけを残した姿で残存しています。


南三陸町長や数名の町職員が頂上の鉄塔にしがみついて九死に一生を得たものの、この建物にいた町職員の過半数が死亡・行方不明になった事で、保存と解体の是非を巡って問題になっており、今もなお骨組みだけが残る南三陸町防災庁舎も、志津川駅から徒歩数分程度の距離に位置しており、気仙沼線BRTからも、その姿を見る事が出来ます。

志津川を過ぎると陸前戸倉、陸前横山と続き、終点の柳津到着となりますが、陸前戸倉駅は気仙沼線の鉄路が海沿いから内陸に進路を変える辺りに位置しており、盛り土上にあって若干の高さがあります。

それでも津波によって流失被害が出ており、ここでも津波被害を凄まじさを感じさせられますが、陸前戸倉を過ぎて暫くすると、津波被害とは無縁の日常が拡がります。

現在も不通となっている陸前横山駅周辺などは、何時鉄道が復旧しても不思議ではない雰囲気ですが、駅前におけるバス発着・折り返しスペースや列車運行上の都合なども、不通長期化の一因と察せられます。


そしてBRT区間の終点・柳津に到着すると、ここで気仙沼線列車に乗り換えとなりますが、同駅周辺は飲食店やコンビニなどが見当たらず、飲料水の自動販売機が見受けられる程度です。

気仙沼方面からBRTで柳津までアクセスし、その後列車に乗り換えて小牛田方面を目指す際に、車中で食事を…と考えている場合には、BRT乗車前に買物は済ませておいた方が賢明で、BRT始発の気仙沼駅では駅舎に隣接してNEWDAYSが設けられているほか、BRT区間途中の津波被害が著しい地域でも、BRT停留所至近に仮設コンビニ店舗などが営業している箇所が幾つも存在しています。

気仙沼線BRT仮復旧区間は、震災前の鉄道線時代に比べると所要時間が大幅に増大しており、現状では仙台方面~気仙沼間のメインルートとは言い難い状況で、専らBRT区間内の地域輸送や、この区間と仙台や気仙沼との間を移動する交通手段と言う感があります。

それでも震災後はミヤコーバスによる臨時路線バス(定期・回数乗車券のみJR振替取り扱い)が、僅かに運行している程度だった南三陸町へのアクセスなどは、BRT仮復旧によって飛躍的に改善し、移動には専ら公共交通機関を用いているMAKIKYUは、震災から1年半が経過してようやく南三陸町などへ足を踏み入れる事が…と感じた程です。

三陸一帯ではまだJR不通区間が他にも存在し、特に路線バスも震災後減便されて不便さが否めず、県境跨ぎとなる大船渡線気仙沼~陸前高田間などは、陸前高田市中心部の甚大な被災状況などを考えると、鉄路での早期復旧は絶望的と言わざるを得ない気がします。

大船渡線沿線自治体もBRT仮復旧を了承したニュースが流れていますので、こちらも比較的早期のBRT化を含む代行バス運行に期待したいと感じたものです。


栄州旅客の市内バス(2)~栄州旅客の各種車両

2012-09-13 | バス[大韓民国]

先日「MAKIKYUのページ」で取り上げた韓国慶尚北道・栄州(Yeongju)市の栄州旅客(栄州市の市内バス)ですが、今日は車庫内で撮影した各種車両を取り上げたいと思います。

栄州旅客の車両は、既に先日の記事で取り上げた車庫内のバス並び画像で気付いた方も居られるかと思いますが、MAKIKYUが見たバスは殆どが大宇(Daewoo)製で、MAKIKYUが栄州市内で乗車した2台の市内バスも大宇製の車両でした。


大宇製車両の中でも、車長がやや短いバスばかりを走らせている辺りも、先日の記事で取り上げたサボと同様に、如何にも地方のバスと言った雰囲気がありますが、その中でも主力を占めているのが、比較的新しい写真のタイプで、MAKIKYUが乗車したバス2台は、共にこの形(番号違い)でした。


他に大宇製の少し前の形も結構走っている様で、こちらも車庫内で多数見かけましたが、一般バスの装いは一昔前のソウル市内バスなどでよく見かけたグレーと山吹色の塗装が多数を占めており、この装いのバスは栄州以外の都市でも時折見かけるものです。


また少数ながらも、山吹色の部分が緑色になっているバスも活躍しており、少なくとも事業者で色分けしている雰囲気ではない様ですが、
路線や特殊車両識別の意味合いで色を変えているのか、気まぐれで色違いの車両が走っているだけなのかも気になる所です。


そして栄州では、郊外へ向かう市内バス路線に一般バス(立席バス)だけでなく、やや座席数が多くグレードも高い代わりに、運賃もやや割高な座席バスも走らせています。


こちらは白とグレーにオレンジのラインが入った装いとなっており、一般バスと同じ車種も多数走っていましたが、中には短距離市外バスを
思わせるトップドア車も混じっており、豊基方面の路線でこのタイプの座席バスが活躍する姿も目撃しています。


この様に栄州旅客は大宇づくしと言った感がありますが、車庫内では1台だけ現代製路線車の姿も目撃し、何十台ものバスが停車している中で1台だけ違う車両と言う事もあってか、韓国の路線バスでは良く走っている車両ながらも、この車庫内では最も際立つ車両と感じたものです。

ただMAKIKYUが韓国のバスでは最もお気に入り、三菱エアロスターに良く似たデザインが特徴の、旧年式の現代車は1台も姿を見なかったのは少々寂しい限りでした。


BRTで仮復旧したJR気仙沼線(1)~車両編

2012-09-11 | バス[東北]

今年夏の青春18きっぷ有効期間は昨日で終了となりましたが、「MAKIKYUのページ」をご覧の皆様方の中にも、この乗車券を利用して国内各地の旅行を楽しまれた方も多いかと思います。

MAKIKYUも7月に関西方面から首都圏に帰還する際に1回目を利用、8月に日帰りのお出かけで2回目を利用したのですが、残る3回分は今月になってから利用したものでした。

今月に入ってから利用した3回分は、昨年春に発生し、未曾有の被害をもたらした東日本大震災における大津波による被災地域でもある東北地方太平洋側の三陸方面訪問で使用したものでした。

その際にはBRT(Bus Rapid Transit)方式による仮復旧と言う形ながらも、昨年春の東日本大震災発生以来、約1年半もの間不通状態が続き、先月ようやく運転再開となったJR気仙沼線の柳津~気仙沼間にも乗車する機会がありました。

BRTによる仮復旧とは、震災前と同様の鉄路によるサービス提供ではなく、実質的にバスによる代替輸送提供と言っても過言ではないのですが、営業上は鉄道線と同格の扱いとなっており、鉄道線各駅に相当する停留所(南気仙沼は周辺が壊滅状況という事もあって少々離れた箇所に設置され、南気仙沼(市立病院口)となっています)に加え、鉄道線時代には存在しなかったベイサイドアリーナ駅(志津川~清水浜間:運賃制度上は志津川と同様の扱い)が新規開業しています。

気仙沼線の柳津~気仙沼間で有効な定期・回数乗車券や普通乗車券をはじめ、各種企画乗車券類(有効期間内であれば、青春18きっぷなどの格安乗車券も可)で利用可能となっています。

先月中頃までのミヤコーバスによる臨時路線バスの定期・回数乗車券のみ振替乗車適用の取り扱いに比べ、MAKIKYUの様な余所者の訪問においては、震災前の鉄道線による運行や、震災後のミヤコーバスによる臨時路線バスよりも大幅に増便された事もあってか、利便性が飛躍的に向上しています。
(所要時間や定時性と言う点では、震災前の鉄道による運行には及ばないのは難点ですが…)

鉄道関連施設だけでなく、沿線自体が大津波による壊滅的な被害を受け、鉄路復旧の見込みが立たない状況下においては、気仙沼線のBRT方式による仮復旧は賛否両論があるかと思いますが、個人的には公共交通手段の確保、並びに沿線住民の交通費負担軽減(特に通学定期券)という点で、現状では最も妥当な方法なのでは…と感じています。


この気仙沼線におけるBRT仮復旧においては、営業上は鉄道線と同等の扱いと言う事もあってか、運営主体は東日本旅客鉄道(JR東日本)となっており、BRT車両(バス)にもしっかりとJRマークが描かれているほか、気仙沼市や登米市などの沿線自治体におけるマスコットキャラクターのステッカーが貼られているのも大きな特徴です。

ただJR東日本自体は現在バス運行に関わっていない事もあってか、近年は公営バスなどでよく見られる運行委託方式(宮城県内では仙台市営バスの一部路線における運行を、宮城交通やJRバス東北が受託している事例が存在します)を取っています。


JR東日本では東北地方における系列バス会社として、JRバス東北が存在しており、同社は震災後の鉄道代行バスの一部運行も担っていますが、気仙沼周辺に拠点を持たない事や、並行する路線バスへの影響なども配慮してか、宮城交通グループのミヤコーバスへ運行委託しており、BRT充当車両にはJRマークと共に、ミヤコーバスの社名も表記されているのが大きな特徴です。

このBRT使用車両はミヤコーバスの既存車両転用ではなく、排ガス規制によって大都市圏での継続使用が出来なくなった中古車両を導入しており、MAKIKYUが乗車した車両ではJRバス関東中央道支店(長野県伊那市)で車検を実施したステッカーを目撃していますので、一旦JRが中古車両として調達した車両を、ミヤコーバスに運行委託している様に見受けられたものでした。


MAKIKYUが乗車した車両は日野ブルーリボンのワンステップ車、バリアフリー対応の黒逆T字窓中4枚扉車と言う事もあってか、外見は中古車ながらもさほど古さを感じさせない雰囲気が漂い、気仙沼周辺で運行している路線バス車両の平均レベルよりはずっと格上です。

とはいえサイドブレーキは、最近の車両でお馴染みのホイールパーク式ではない事など、よく見ると余り新しい車両ではない事が…と感じさせる面もあり、他に神奈川県内の公営事業者から移籍した車両と見受けられるいすゞキュービック(こちらも黒逆T字窓・中4枚扉のワンステップ車で、気仙沼線BRT区間は中乗り・前降りの整理券方式にも関わらず、行先・経由地表示装置が前ドアのすぐ近くにあります)も見受けられ、MAKIKYUが目撃した限りでは、両者の勢力はほぼ半々程度に感じたものでした。


また車内も最新型のLCDモニターによる運賃表示器を装備し、GPSによる運行情報提供も行うなど、運行開始したばかりの路線ならではと感じる面もある一方で、移籍前の首都圏大手私鉄系バスならではの特徴的な内装や座席、ドアチャイムなどはそのまま既置されています。


そのため近年巨大鉄塔を建設した事でも話題になっている首都圏大手私鉄系バスに乗り慣れたMAKIKYUとしては、親近感を感じる反面、最寄駅と住宅地間を結ぶ所要15~20分程度の都市型路線ならともかく、全区間乗り通すと片道約2時間に及ぶ気仙沼線BRT区間で、「硬座」とも言うべきベンチの様な座席に座り続けるのは…とも感じたものです。

様々な路線バスに乗り慣れたMAKIKYUでもこの様に感じる程ですので、日頃路線バスに乗り慣れていない乗客が、この座席に2時間座り続けるとなると、かなりしんどいのでは…とも感じたものです。

JR側も気仙沼線BRT仮復旧と共に、仙台~気仙沼間の割引企画乗車券「Wきっぷ」発売を再開していますが、所要時間の長さや柳津での鉄道線との乗り換え、仙台方面へは更に小牛田での乗り換えも必要な事などを踏まえると、BRT仮復旧区間における地域住民の足としては有用な反面、Wきっぷとほぼ同程度の高割引回数券を設定している仙台発着の都市間バス(ミヤコーバスなど)に比べ、気仙沼~仙台間の都市間移動の足としては、現状では力不足の感が否めない様にも感じられたものです。

とはいえ現在は最知~陸前階上の1駅間のみがBRT専用道として整備された以外は一般道路を走行し、車両も専ら中古車で運行しているものの、JR側がBRT専用道整備を進めると共に、新車でハイブリッドバスを導入する事も発表しており、サービスレベル向上が望める状況ですので、今後の動向も気になる所です。

BRT仮復旧区間における車窓などは、近日中に続編記事で追って取り上げたいと思います。


栄州旅客の市内バス(1)~豊基方面からのアクセスと車庫内の様子

2012-09-08 | バス[大韓民国]

先日「MAKIKYUのページ」では、韓国慶尚北道・栄州(Yeongju)市にある栄州駅に関して取り上げましたが、MAKIKYUが2月に「慶北観光 循環テーマ列車」乗車目的で栄州へ向かう際には、ソウル市内の清凉里(Cheongnyangni)駅から中央線列車(セマウル号)でアクセスしたものでした。


その際には直接栄州駅まで列車でアクセスした場合、結構な待ち時間が発生する事から、栄州市内にある一つ手前の停車駅・豊基(Punggi)で下車し、そこから栄州市の市内バスを利用して栄州市内中心部へ向かったものでした。
(写真はKORAIL豊基駅・この駅を利用する非居住外国人はかなり少ないかと思います)

栄州市を走る市内バスも、豊基方面は市販時刻表の市外バス(都市間バス)項目にある、豊基市外バスターミナルの項にも「栄州-豊基間 市内バス随時運行」と記されていた程ですので、そこそこの本数がある事は事前に察しており、現に豊基駅前で市内バスを待っていたら、10分位で栄州市内中心部へ向かう市内バスがやって来たものでした。

一応念の為に乗務員氏に確認すると、栄州の発音は外国人には結構難しい発音なのか、聞き返された程でしたが、無事バスに乗車したら30分も経たずに市内中心部に入り、その間には何台かの市内バスとすれ違っていますので、運行本数もそこそこ確保されている様です。

運賃も割安でT-money(ソウルなどで発売しているIC交通カード)も利用でき、日本の地方を走る路線バスの様に、運賃が何処まで上がるのか気にする事もなく、気兼ねなく利用できるのは有り難いものですが、韓国では他の地方でも大抵この様な状況です。

この事もKORAILが地域交通に余り力を入れず、大都市圏以外の旅客輸送は専ら都市間輸送に特化している要因かと思うと、バス大国ならではの利便性自体は歓迎できるものの、複雑な心境になります。


ちなみに豊基方面からの市内バスは、市外バスターミナルなどを経て栄州旅客が終点となり、栄州駅まで直接行かないのですが、この栄州旅客はバス会社車庫となっており、係員に一言断った上で車庫内や停車しているバスも撮影できたものでした。


車庫の雰囲気などは、ハングル表記や停車している車両の車種を除くと、日本と割合似ている気がしますが、バスの系統・行先表示でプレートを用いているのは地方のバスならではと言った趣きを感じます。
(韓国でも市内バスの運行本数や台数が多いソウルや釜山などでは、市内バスは大抵系統固定となっており、特定系統のステッカーを貼ったバスが大半を占めています)


栄州市HPでは、この栄州旅客を「市内バスターミナル」とも案内しており、栄州市の郊外へ向かう市内バスは、この栄州旅客を起点にしている系統が多い様です。

ただこの栄州旅客からは、栄州駅へ直接向かう市内バスは余り出ていない様で、MAKIKYUは車庫の様子を視察した後、来た道を戻る形で一つ先のバス停「クソン5ゴリ」まで歩き、ここでバス待ちをしている乗客に栄州駅へ向かうバスが来るか聞いたら、大丈夫との事。

そしてクソン5ゴリバス停でバスを待っていると、程なくやって来た市内バスで大丈夫との事で、バス停で尋ねた乗客と共にバスに乗り込み、栄州駅まで向かったものでしたが、T-moneyでの利用では同一バス停での乗継でなくても時間内なら乗継OKの様で、この乗り継いだバスの運賃追加額が0だったのは有り難い限りでした。
(クソン5ゴリ~栄州駅間は多数の系統が走っており、他に市外バスターミナルからもそこそこの本数がある様ですので、豊基方面から
市外バスを利用して栄州駅へ向かう場合、栄州旅客を視察したいのでなければ終点まで行かず、途中で乗り換えた方が賢明かと思います)

韓国の市内バス乗車回数は、一応3桁に達しているMAKIKYUでも少々手間取った程ですので、地理不案内な状況で栄州駅から市内バスで栄州旅客へ向かうとなると、韓国語の分からない外国人旅行者(特にハングルが読めない場合)には少々厳しいかもしれません。

車庫内で撮影した各種車両に関しても、近日中に別記事で取り上げたいと思います。


KORAIL 栄州駅と留置車両~希少な寝台車の姿も…

2012-09-04 | 鉄道[大韓民国・KORAIL列車]

以前「MAKIKYUのページ」では、韓国・慶尚北道を走るKORAILの「慶北観光 循環テーマ列車」に関して取り上げた事がありますが、MAKIKYUが2月にこの列車に乗車した際の乗車駅・栄州(Yeongju)駅は、慶尚北道の北部・栄州市に位置しています。


栄州市は人口約12万人、日本の都市に例えると人口6~7万人程度の地方都市に近い雰囲気で、余り外国人観光客が訪れる様な都市ではないと思いますが、KORAIL中央(Jungan)線の途中駅であると共に、慶北線・嶺東(Yeongdong)線が分岐する鉄道の要衝になっています。


そのため都市の規模こそ大きくないものの、鉄道駅の規模は比較的大きく、日本のJRに例えるなら米原や新山口(旧・小郡)に近い雰囲気があります。
(写真は駅前の通りの様子です)

また高速鉄道(KTX)の運行区間から外れた亜幹線ばかりが集まる駅と言う事もあって、余り近代化されずに昔ながらの雰囲気がよく残っている気がします。


そんな栄州駅も、低床ホームにドイツ型ELや、アメリカ型DLに牽引された大柄な客車が入線する様を見ると、如何にも異国の鉄道と言った感がありますが、鉄道の要衝とも言える主要駅だけあって留置車両も数多く見受けられたものでした。

MAKIKYUが栄州駅から慶北観光 循環テーマ列車に乗車した際には、駅舎から階段を昇降せずに乗車できる1番乗り場からの発着でしたが、このホームの脇には、日本風に言うなら0番乗り場とも言える頭端式ホームがあり、そこには韓国では希少な寝台車が2両も停車していたものでした。


この寝台車は、今世紀に入ってから老朽化した旧型寝台車の代替で製造されたものの、運行開始から程なくして定期列車での寝台車連結が取り止めになり、さほど古くないにも関わらず活躍舞台を失って持て余し気味となっている車両です。
(MAKIKYUはこの寝台車には乗車した事がありませんが、既に廃車となった旧型寝台車には一度だけ乗車した事があり、今となっては少々割高な寝台料金を払ってでも乗車しておいて良かったと感じています)

2両は若者向け格安乗車券(ネイロ:日本の青春18きっぷなどと異なり、かなり厳しい年齢制限が設けられており、MAKIKYUは使いたくても残念ながら…という有様です)利用者向けの仮眠場所に用いられている様で、最後尾には栄州駅から市内バスでアクセスできる観光地へのバス時刻案内も掲げられています。

この寝台車は扉が開いている車両もあり、寝台客室こそ扉が閉まっていて入れなかったものの、近くにいた係員に断って客車内デッキからガラス越しに寝台客室を覗き、撮影も出来たものでした。


寝台客室の通路は客車中央にあり、その両側にレール方向で2段ベッドが並んでおり、日本の開放室B寝台や中国の寝台車で一般的なタイプではなく、寝台特急「あけぼの」号のソロ(B寝台1人用個室)に近い雰囲気となっています。

このタイプの寝台は各寝台のプライバシーが保てる反面、上下空間がかなり狭くなりますので、国土が狭く、夜行列車でも夜が明ける前に目的地に着いてしまう列車が多い韓国ならば、さほど問題にならないとはいえ、寝るだけなら良いものの、乗車時間が長くなると辛いのが難点です。
(KORAILでは途中駅での時間調整なしに、昼間の列車と同じ感覚で夜行列車を走らせますので、終着駅3時台到着で容赦なく下ろされる列車も多数存在し、夜が明けるまで車内でゆっくりと休息を取れない列車が多い事も、寝台車が振るわない大要因かもしれませんが…)


また2両の寝台車前方には、きちんとDLも連結されており、営業列車を意識した印象を作り出している様にも感じますが、新塗装ながらも車体に錆が出ている有様などを見ると、用途不要になった休車or廃車の機関車を飾りで連結している様な雰囲気にも見受けられます。


この寝台車2両+DL編成の近くには、最近は余り見なくなった旧塗装の車両を含むDL数両と、緑色に塗られた事業用客車の姿なども見受けられる状況でした。


事業用客車も、最近ではステンレス製のセマウル号用客車が転用改造される事例が相次ぎ、決して珍しくない状況になっていますので、旧型客車を改造した事業用客車があとどれだけ活躍するのかも気になる所です。


この手の車両は余りモノを場当りで改造しているのか、栄州駅に停車している車両だけを見ても形状の違いなどが見受けられるのは興味深いものです。


広州市内を走る無軌電車~ユニークな形状の車両が幾つも…

2012-09-01 | バス[中華人民共和国]

ここ最近「MAKIKYUのページ」で幾つかの記事を取り上げている中国広東省・広州市の市内公交ですが、同市内には地鉄やディーゼルエンジンを搭載した一般的な路線バスが多数走っているだけでなく、日本では特殊用途で僅かに走っているだけであるものの、中国では幾つもの都市で見られる無軌電車(トロリーバス)も走っています。

7月にMAKIKYUが広州を訪問した際には、広州駅からも近い越秀公園周辺で、僅かな距離(1停留所)だけ乗車した程度でしたが、越秀公園の地鉄駅前(広州火車駅からは、地鉄で1駅です)では、乗車した車両以外にも様々な車両の姿を目撃する事が出来ました。


MAKIKYUが乗車した無軌電車は、蒸し暑い広州では少数派の非空調車で、上海辺りでも同形車体のバスが多数活躍していますが、運賃が1元と非常に割安に設定されています。
(空調車だと、同一系統・区間でも2元となります)

長時間乗車には適しませんが、1~2駅程度の短距離(中国のバス停間隔は日本よりかなり長く、地鉄1駅分程度ある事もザラですが…)でも、横に動くエレベーターの様な感覚で、気軽に乗車する事が出来るのは有り難いもので、MAKIKYUは短距離乗車となる場合、この手のバスを選んで乗りたいと感じてしまうものです。


越秀公園で見かけた無軌電車も、MAKIKYUが乗車した非空調車1タイプを除くと、後は空調車ばかりで、ディーゼルエンジンのバスも空調車ばかりという状況でしたので、中国ではバスを見ても比較的進んだ都市と言う印象が強い一方、物価も割高な広州において、非空調の無軌電車が何時まで活躍を続けるのかも気になる所です。


空調車の無軌電車の中には、路線バスと言うよりもLRTを単車化した様な雰囲気と言っても過言ではないデザインの車両や、丸型のライトを縦に幾つも並べたデザインの車両など、結構個性の強い車両も幾つか見受けられたものでした。


仕様標準化やメーカー統合・OEM供給の進行などで、似た様なバスばかりになりつつある某島国と比べると、新型車のバラエティは無軌電車だけでも…と言う程で、ディーゼルエンジンのバスも合わせると、種類の多様さは羨ましい限りと感じたものでした。