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長沙磁浮快線~空港アクセスを担うリニア路線

2019-02-13 | 鉄道[中華人民共和国]

先月「MAKIKYUのページ」では、中国湖南省の省都・長沙市と近郊を結ぶ城際鉄路に関して取り上げましたが、長沙市内とその周辺では近年この城際鉄路以外にも軌道系交通機関の新線が幾つか開業しており、その一つが2016年に開業した長沙磁浮快線です。


この長沙磁浮快線は、高速鉄道の長沙南~長沙机場(長沙黄花国際空港)間を結んでおり、長沙南駅では広大な高鉄の片隅に、彼の地の感覚では小さいと感じる舎が存在しています。

リニアとは言っても上海市内を走る路線の様な超高速交通機関ではなく、日本の愛知県を走る「リニモ」などに近い中速
(最高速度100/h程度)での運行、営業路線の全長は18㎞強となっています。


現在途中
1のみ存在(磁浮梨站)しており、MAKIKYUが昨夏に乗車した際は、全列車が途中站にも停車する各駅停車での運行となっていました。


全線乗り通した際の乗車時間は片道
20分程度、現在では夜間などに途中站通過でノンストップ運行の列車も設定されており、新しい路線という事もあり、各站はホームドアも完備されています。

 
長沙机場
站と机場のメインターミナルは少々離れており、徒歩で数分を要するものの、この間には中国らしい電動カートによる無料送迎車の運行もありますので、机場への足としては便利な路線となっています。

運賃は上海のリニアなどに比べればまだ安いものの、途中(磁浮梨站)利用時で片道10/全程20(日本円換算で350円前後)、日本の都市鉄道と大差なく、空港アクセス路線という特殊性を考慮しても、彼の地の物価を考慮すると割高感が否めないものです。


自動券売機を用いて購入する乗車券は、日本での採用事例は皆無ながら、中国の都市鉄道では採用事例が数多く存在する再利用可能なICチップ入りトークン、改札入場時は自動改札機にタッチ→改札出場時はトークン投入口に投入して出場(回収)となっており、他に長沙で出回っている交通カードでの乗車にも対応しています。

 
車両は片側2扉車の3両編成、写真の様に白と赤の2色を纏った車両を多く見かけたものの、白と青の2色を纏った車両も散見したもので、製造は近隣に所在の中車株州電力机車となっています。


長沙磁浮快線の運賃が割高な事も影響してか、車内の座席は中国大陸本土の都市交通機関では一般的なプラスチックやステンレスではなく、モケットが貼られ、クッションの入った座席が用いられているのも大きな特徴となっています。

 
座席配置はセミクロスシート、座席のクロスシート部分は方向転換不可能な固定式となっており、リクライニング機能付回転式クロスシートを導入する程ではない車両だと、中国でのクロスシートはこのタイプが一般的ですが、転換式クロスシートを導入する事はできなかったのだろうか…とも感じたものです。

路線の性質や運行区間を考慮すると、机場利用者とレールファン以外の外国人が利用する機会は余りない路線なのでは…という気もしましたが、広大な中国でもまだ数の少ないリニア路線の一つとしては興味深い存在と感じたものでした。

「MAKIKYUのページ」をご覧の皆様方も長沙へ足を運ぶ機会があるなら、城際鉄路などと共に一度乗車してみるのも如何でしょうか?


中国鉄路 CRH6F型電動車~都市近郊輸送により適した形態の動車組車両

2019-01-24 | 鉄道[中華人民共和国]

先日「MAKIKYUのページ」では、中国湖北省の省都・武漢市内を走る現代有軌電車に関して取り上げましたが、昨夏MAKIKYUが中国へ足を運んだ際には、湖北省の南隣に位置する湖南省の省都・長沙市にも足を運んでいます。

長沙では現代有軌電車こそ運行していないものの、近年では地鉄はじめ、長沙市内と近郊都市を結ぶ都市圏鉄道も開業しており、後者は長距離輸送を中心に中国全土に幅広いネットワークを持つ中国鉄路が運行しています。

長株潭城際鉄道と呼ばれるこの都市圏鉄道は、長沙西站を起点に長沙站を経て株州市(株州南站)と湘潭市へ向かう路線が存在、南側で2又に分かれる路線形態となっており、両路線を合わせた総延長は100㎞強に及びます。

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系統共に運行本数は概ね毎時1本程度の不定間隔、その上長沙西~長沙間は運行本数も限られており、長沙以南のみを運行する列車も多数存在。


乗車券も中国鉄路の長距離列車などと同様の実名制車票となっており、長沙市内の地鉄や市内公交汽車(路線バス)などで利用可能な交通カードは利用できず、駅構内にもその旨を示す案内看板が見受けられる状況。

近年開業した路線だけに設備面は真新しい反面、使い勝手に関しては遠方へ向かう列車に近い状況と感じさせられ、今後利便性の改善余地が大いにあるのでは…と感じる状況でした。



車両は中国鉄路が近年、短距離路線向けに導入を進めている動車組・CRH6型が活躍中、その中でも「CRH6F」と呼ばれる車両が用いられており、MAKIKYUは長沙で初めてこの車両に乗車したものでした。


以前MAKIKYUが乗車、その際の状況等を記事で記したCRH6A(該当記事をご覧になりたい方はこちらをクリック)では、扉幅がやや広めとは言え片開き2扉で中途半端な感が否めず、両開き扉車や3扉車が出ても…と感じた位ですので、乗降性に優れた両開き3(先頭車のみ2)CRH6Fを見て「やっぱり出て来たな…」と感じたものでした。

 
車内に足を踏み入れると、座席などは以前乗車したCRH6Aと同種の固定式クロスシートが2+2列で並び通路幅も広めに確保、各座席にコンセントも設けられています。


車端部に折り畳み式ロングシートを配している事なども同様ですが、CRH6Aに乗車した時と同様、座席に関しては転換式もしくは回転式にするなど、もう一工夫欲しかったな…とも感じたものでした。


長沙地区独自塗装とも言える白・メタリックに青の細帯と言う装いだけでなく、車内設備面でも追設で給水/給湯機が設けられていたのも特徴的で、水を飲むだけでも出費を要する土地(水道水は飲用不適)という土地柄も考慮すると、これは結構評価できる事とも感じたものでした。

路線運行形態は課題山積の反面、車両面では座席を除けばまずまずと感じたものですので、これからの中国近郊輸送の切り札的存在として数を増やすのか否かも気になる所で、今後も機会があれば中国の城際鉄道各路線に乗車、その際の様子なども取り上げる事が出来れば…と思っています。

CRH6F
や長沙地区だけに限らず、中国各地の城際鉄路に関しての感想や思い出話などがありましたら、コメントも是非どうぞ。


武漢光谷現代有軌電車~漢陽地区とは異なるタイプのライトレール路線

2019-01-13 | 鉄道[中華人民共和国]

先月「MAKIKYUのページ」では、中国湖北省の省都・武漢を走る車都現代有軌電車に関して取り上げ、その際には「別の場所でも現代有軌電車の新路線が開業」と記しましたが、この現代有軌電車(ライトレール)が、今日取り上げる武漢光谷有軌電車です。

光谷有軌電車は名前の通り武漢市の光谷地区を走るライトレール路線、昨年一部区間が開業したばかりの新路線で、今後更なる路線拡張も予定されています。

光谷地区は地鉄も2012年に開業したばかりで日が浅く、まだまだ発展途上の感が強い所ですが、地鉄や有軌電車の新路線整備に加え快速公交(BRT)路線も存在し、目覚ましい勢いで発展を続ける中国の典型と言っても過言ではない地域の一つになっています。

交通網整備もまだまだ…という状況で、武漢市内中心部から光谷地区まで伸びる地鉄2号線は光谷広場が終点、今後延伸計画があるものの有軌電車とは直接接続しておらず、徒歩連絡で両線を乗り継ぐにも15~20分程度は要するのでは…と言う状況になっています。

MAKIKYUが地鉄2号線に終点の光谷広場まで乗車、その後有軌電車に乗継しようとした際も、有軌電車への乗継案内などは見当たらず、徒歩移動するのも厄介そうという状況。


地鉄出口のすぐ近くにあるバス停の経由地案内を見て、785路なら何処かで有軌電車の電停近くを通るだろうと推測、乗車したら10分程で有軌電車の姿が見えたのでバスを下車し、すぐ近くの電停から有軌電車に乗り換えたものでした。


ちなみに写真は785路を下車したバス停の経由地案内をトリミングしたもの、もし光谷広場駅からバスで有軌電車の電停を目指したいという方が居られましたら、参考にして頂けると幸いです。


そして785路を下車してすぐに向かった電停は「雄楚大道站」、日本ではまだ実用路線が存在しないものの、近年の中国ではありふれた存在になっている充電式架線レストラムと言う事もあり、電停のみに架線が設けられています。

 
電停以外では架線が存在しない芝生が敷かれた軌道をはじめ、一部では高架線も存在、これらを真新しい有軌電車が走る様は、中国の事情に精通した人物以外が見たら驚くだろう…とも感じる光景かと思います。

 
運行車両は車都現代有軌電車とは異なる5車体連接車を用いており、装いは白一色にシンプルなものとなっています。


運賃は武漢通(武漢市内の地鉄やバスなどで通用するICカード)での支払をはじめ、近年の中国では凄まじい勢いで普及しているQRコード決済(支付宝/微信支付)にも対応、車都現代有軌電車と同じく、乗車口付近にQRコードリーダーが設置されています。

 
しかしながら現金乗車の場合は運賃箱に直接投入するのではなく、電停に設けられた自動券売機でQRコードが印刷された乗車券を購入、乗車時に入口付近にあるQRコードリーダーにタッチする方式を用いているのは独特で、このQRコードが印刷された乗車券は、乗車後の乗車記念品としても有用と感じたものでした。

   
電車内は乗務員室が全室式、座席は硬いプラスチック製のベンチという辺りは、中国における現代有軌電車の典型といっても過言ではなく、クロス/ロング両座席を織り交ぜた配置は、超低床車ならではの構造的制約が現れているとも感じたものでした。

また日本の様に車内収受式ワンマン運転を行う訳ではないにも関わらず、最前部/最後部の客扉は狭い片開扉。


おまけにドア付近に柱もあるため、両開扉を用いている中間車に比べ、混雑時は最前部と最後部付近での乗降に手間取るのも難点と感じたもので、今後この点を改良した車両が出るのか否かも気になったものです。

中国で現代有軌電車を複数路線運行する都市は他にも幾つか存在するものの、複数種の現代有軌電車を乗り比べる事が出来る都市はまだ限られており、車都現代有軌電車とは様々な差異がある光谷現代有軌電車は非常に興味深い存在と感じたものです。

他にも武漢は色々面白いものがあり、機会があれば再訪し、まだ未乗の区間などにも乗車できれば…と思いますが、中国は各地で様々な新路線が開業、ここもあそこも…と言う状況ですので、再訪機会は巡って来るのか…


中国・武漢車都現代有軌電車~漢陽区内を走るライトレール

2018-12-11 | 鉄道[中華人民共和国]

先日「MAKIKYUのページ」で武漢市内を走るトロリーバス(無軌電車)と電気バスに関して触れた際、有軌電車(路面電車)の存在に関しても言及しましたが、MAKIKYUが今年武漢に足を運んだ際には、まだ開通から日が浅い有軌電車にも乗車機会がありました。

その一つが市内中心部の南に位置する漢陽区内を運行、昨年夏に運行開始した「武漢車都現代有軌電車」で、地鉄3号線の終点站・沌阳大道站を起点に経済技術開発区内を運行しています。


現段階では徳胜港站までの16.8㎞を運行する1路線(T1路)のみの運行となっていますが、起点站が地鉄站直結ですので、武漢へ足を運ぶ機会があれば比較的容易に試乗できます。

 
車両は4車体連接のモダンなデザインの低床車が用いられ、電停にのみ充電用の架線が設けられた充電式の架線レストラムとなっているのも大きな特徴で、武漢だけ限らず国内各地にこの手の現代有軌電車を次々と開通させる国力の凄まじさは…とも感じます。

 
座席は硬いプラスチック製のベンチ、乗務員室は全室式で運賃収受員(車掌)が乗務、運賃箱は簡素な箱という辺りは中国らしいと感じる所。


それ以外はこの様な電車を日本でも走らせる事は出来ないのだろうか…とも感じさせられるもので、ドア上にはLCDモニターによる次案内も設けられています。

ちなみに現在運行中のT1路は起終点を含め23箇所の電停(站)が設けられており、運賃は中国の市内公交では標準価格とも言える2元均一、武漢市内の地鉄や市内公共汽車(市内バス)と共通の交通カード(武漢通)をはじめ、QRコード決済(支付宝/微信支付)で乗車する事も可能です。


乗車時間も片道50分程度と結構乗り応えのある路線となっており、道路中央に軌道が敷設された区間が多いものの、一部では道路と離れた専用軌道区間も存在しています。

 
沿線はまだ開発途上と言った雰囲気の所も多く、終点近くでは電車内もガラガラと言う状況でしたが、途中の交差点では今後の路線延伸・系統新設を見込んで分岐ポイントが敷設された箇所も多数見受けられ、今後経済技術開発区内でどれだけ大規模なネットワークを構成するのだろうか…とも感じたものでした。

また武漢では車都現代有軌電車だけでなく、今年別の場所でも現代有軌電車の新路線が開業しており、こちらにも乗車機会がありましたが、この現代有軌電車に関しても近日中に追って別記事で取り上げたいと思います。


中国鉄路 CRH6A型~城際列車向けに導入された準高速動車

2018-08-15 | 鉄道[中華人民共和国]

昨夏MAKIKYUが中国と東南アジアへ足を運んだ際には、各国で様々な列車に乗車機会があったものの、ブログ記事として取り上げる事が出来ずに…という列車が多数あります。

その中の一つが近年、中国鉄路が大都市近郊の中距離列車(城際列車)向けに導入している準高速動車・CRH6型で、この車両には約1年前の昨夏、広東省の広州~肇慶間で初めて乗車したものでした。

中国の高速鉄道用車両は、大きく分けてCRH1235型という海外技術を用いた動車組車両が登場、その中でもCRH2型は日本の新幹線(JR東日本E2)をベースにした車両としても知られ、他の3形式は欧州のビッグ3と言われるボンバルディア・シーメンス・アルストームの高速車両をベースにした車両となっています。

その後これらの美味しい部分を寄せ集め、小改良を施した車両としてCRH380シリーズが登場し、初期のCRHは動車組列車(列車番号D~次)CRH380シリーズ各形式は高速動車(列車番号G~次)の主力として活躍、また最新型のCRH400シリーズも運行を開始していますが、中国の動車組列車はこの他に大都市近郊を走る短距離列車(列車番号C~次)も存在しています。

C
~次も既存CRH各車種が用いられる列車が圧倒的に多い状況ですが、近年ではこの短距離高速列車向けに新形式導入も実施されており、この短距離高速列車向けに特化した新形式車両がCRH6型です。

CRH
シリーズの中でも、ボンバルディアのCRH1型は元々近郊型車両がベース、扉数削減や車幅拡張、座席増設などが中国向けの変更点で、同型は他の動車組車両に比べて座席も簡素なモノが用いられています。

同型の派生型でドア数をベース車同様にした上で座席数を減らし、代わりに通路幅を広げて立席空間を増やした車両を導入しても良かったのでは…と思いますが、わざわざCRH6形という新形式を登場させたのは、中国鉄路が売店や1等座、デッキなどもない純粋な近郊輸送用高速車両を欲したのか…とも感じます。


外観は近郊型電車と高速鉄道の合の子と言った雰囲気、客扉は片開式で各車両2箇所ながらも他の高速鉄道用車両に比べると広めとなっており、専ら短距離運行で乗降性を重視した車両である事を強く実感させられたものです。


中間車は両端に客扉を設けているものの、先頭車は真ん中と乗務員室のない側の車端に客扉を配した変則配置となっており、今後設計変更で中間車を3扉にした車両の製造なども検討しているのか…と感じます。

車内に足を踏み入れると、高速列車と地鉄などの都市鉄道用車両を折衷した雰囲気、デッキなしの乗降口付近には折畳式ロングシートも設けられています。


隣車両との間の通路は一応貫通扉付ながらも、中華圏地鉄では標準的な広幅貫通扉なし車両にガラス製貫通扉を増設したのでは…と思わせる雰囲気となっており、他の高速鉄道用車両各形式とは雰囲気も大きく異なります。



車内設備も先述の通り売店や1等座もないモノクラス(2等座のみ)となっており、この座席は向きが固定されており半数が進行方向と逆向きに着席、リクライニング機能もない簡素なモノです。


通路幅を広く確保して立席空間を増やす事を意図したのか、座席自体は2+2列配置となっており、何ヶ所か座席が向かい合わせとなる箇所には大型テーブルも装備。


客車硬座に比べれば遥かにマシと感じるものの、客車軟座と大差ないグレードと言っても良く、
2等座でもJR在来線並の座席が当たり前のCRHシリーズ他形式に比べると、見劣りが否めないと感じたものです。


中国鉄路の列車では標準装備と言っても過言ではない給湯機も見当たらない状況、ただトイレだけは辛うじて設置されており、輸送障害発生などで駅間に長時間停車する事になった際の事なども考慮しているのか…と感じたものです。

総体的に見れば乗降性の良さは評価できるものの、設備は全般的に簡素で近郊輸送向けに割り切った車両という印象を強く受け、CRHシリーズ他車両に比べて設備が簡素な分、設備に見合った料金設定で短距離運行に特化した運用をして欲しいと感じたものです。

また中国では高速鉄道整備は随分進んだものの、都市内交通機関の速達性は難ありと感じる事も多い状況ですので、今後CRH6型はこの方面での活躍にも期待したいと感じたものでした。


昆明軌道交通1・2号線~市内南北を結ぶ都市鉄道

2018-03-13 | 鉄道[中華人民共和国]

先日「MAKIKYUのページ」では、中国雲南省の省都・昆明市内を走るメーターゲージ(軌道幅1000㎜)路線に関して取り上げましたが、現在昆明の市内交通として運行している軌道系交通機関は、このメーターゲージ路線以外に地鉄(昆明軌道交通)も存在しています。

昆明軌道交通は運行開始から日が浅く、ここ数年各地で開業が相次ぐ中国都市鉄道の典型とも言える路線の一つですが、昨夏MAKIKYUが混迷を訪問した時には1・2号線のみが運行を行っていました。

1号線は市内中心部の環城南路から南方へ向かい春融路で2方向に分岐、大学城南と昆明南站の2箇所が終端駅となっており、2号線は環城南路から北方へ向かい、北部汽車が終端駅となっています。


1号線~2号線は直通運転を実施、実質的には両者合わせて1路線と言っても過言ではない状況で、列車は北部汽車~昆明南と北部汽車~大学城南の2系統交互運行となっています。

1号線は途中に南部汽車・昆明火車も存在、2号線は途中に昆明北も存在し、1・2号線を使えば市内の主要火車(鉄道)各駅をはじめ、南北の汽車(バスターミナル)間を乗換なしで移動する事も出来ますので、市内交通は専ら市内公共汽車(路線バス)頼みだった数年前と比べると、市内移動の利便性は飛躍的に向上したと言っても過言ではないと思います。


駅設備は近年開業した路線という事もあり、地下にある各駅にはスクリーン式ホームドアが設けられています。


地上駅も成人の首辺りまでの高さがあるホームドアが設けられ、駅構造などは最近の中国都市鉄道における標準的なものいう印象です。

 
乗車券は繰り返し利用するICタイプ、中国では トークン式とカード式の双方が出回っていますが、昆明軌道交通で用いられているのはカード式となっています。


1・2号線の車両は4扉車6両編成、塗装は白と赤(ラインカラー)の2色となっており、非貫通型の前面やプラグドアを採用した乗降扉などは、中国の地鉄では採用事例も多いですが、日本の地下鉄では見る事が出来ないものです。


車内も天井が低く簡素な内装、プラスチックの硬い座席で荷棚がなく、車両間の貫通路は仕切扉無しの広幅タイプとなっており、これも日本の地下鉄や都市鉄道とは大違いですが、中国では標準的なものです。


運転席背後も前面展望は望めない構造で、乗り鉄を楽しむ車両という雰囲気ではありませんが、2号線の終端付近と1号線の南部汽車駅周辺は地上区間となっています。


そのため車内から発展途上ながら急速に開発が進む昆明の街並みを眺めたり、地上駅に入線する列車の姿を撮影できる点は、中国の地鉄では幾つも存在する全線地下路線では叶わない楽しみと言えます。

またMAKIKYUが昆明を訪問した際は、運行している地鉄は1・2号線のみでしたが、現在は他に市内東部にある長水機場(空港)を発着する6号線と、東部汽車で6号線と接続、途中駅で2号線とも接続する3号線も載客試運営という形で運行しています。

昆明市内でバスに乗車した際には、車中から6号線の車両を眺める機会もあり、こちらは白と青の2色を纏った車両が途中駅に留置されている姿を目撃しています。

昆明では他にも1・2号線の延伸計画をはじめ、4号線や5号線の建設計画などもあり、今後足を運ぶ機会があるか否かも分からない街ですが、もしまた数年後に昆明へ足を運ぶ機会があるなら、その際は軌道交通(地鉄)も大きく変貌しているだろうな…と感じたものでした。


中国鉄路・昆明市内を走る米軌路線~残念ながら現在は…

2018-03-09 | 鉄道[中華人民共和国]

先日「MAKIKYUのページ」では、中国~ベトナム間を結ぶ国際列車(南寧~Gia Lam)に関して取り上げましたが、以前は中国~ベトナム間を結ぶ国際列車として、この路線以外に昆明~Ha Noi間を結ぶ国際列車も運行していました。

南寧~Gia Lam間は標準軌(軌道幅1435㎜)の車両が用いられているのに対し、昆明~Ha Noi間はベトナムの鉄道では標準的なメーターゲージ(軌道幅1000㎜)の車両が用いられており、両都市間を丸1日かけて運行する国際列車も設定されていました。

現在でもベトナム方は中国と国境を接する街・Lao Caiまで旅客列車が運行しており、鉄路は中国へ続いていますが、中国方は大半の区間で旅客列車運行が休止となっています。

中国雲南省のベトナムと国境を接する街・河口は、近年街外れに河口北站が開業、標準軌新線を運行する列車が昆明~河口北間で4往復設定されており、国境の街をタクシーなどで移動する事を除けば、今日でも昆明~Ha Noiを鉄路乗継で移動する事も可能です。

また中国側も標準軌新線が開業したものの、昆明市内の一部区間では少し前まで米軌(メーターゲージ)路線の旅客営業を行っており、昨夏昆明へ足を運んだ際には、MAKIKYUもこの米軌路線に乗車機会がありました。


米軌路線は昆明北を起終点としており、標準軌路線の基幹駅・昆明站や高速鉄道新駅・昆明南站とは離れた場所にありますが、近年は地鉄でこの3駅間を乗換なしで移動する事が出来る様になり、各駅間の移動自体は比較的容易でした。
(昆明站~昆明北站なら、他に市内公交汽車も頻発しています)

 
昆明北站を発着する列車は、河口・Ha Noiへ向かう途中に位置する王家営との間を結ぶ列車が2往復、他に石咀との間を結ぶ列車が1往復設定されていましたが、両者合わせても3往復しか旅客列車設定がない事もあり、大勢の旅客で賑わう昆明站や昆明南站とは大違いで非常に閑散としていました。


中国鉄路乗車となると、まず火車票(乗車券)購入だけでも少々難儀する事が多いですが、この駅では無札入場し列車乗車後に車内で乗車券を購入、それも手書き発券となっているなど、他の中国鉄路各線とは随分様相が異なっていました。

 
旅客列車自体も他路線とは規格が異なる事もあり、専用のディーゼル機関車と客車による運行となっており、客車は車幅が狭い事もあってか、硬座車座席は2+2列配置。

現在中国鉄路の普速(客車列車)は、昔の装いに回帰するかの如く濃い緑色+黄帯塗装への変更が進み、列車種別毎に異なっていた新空調車塗装が、数を減らしている旧来の非空調車(緑皮車)と同等の装いに改められていますが、この米軌路線の客車は新空調特快塗装を堅持。

 
客車内は車両の大きさこそ日本の在来線車両を連想する小柄なものながら、設備的には旧来の緑皮車(非空調車)硬座車と大差なく、薄いクッションの入ったビニール張り直角座席は質素な印象を受けますが、これでもベトナム国鉄のハードシート(木のベンチ)に比べれば遥かに快適と感じたものでした。

客窓も開閉可能、ベトナム国鉄非空調車両の様なアクリル製穴開き窓もない上に、南方ながら標高が高い事もあり、常春とも言われる昆明では窓を開けて外の風が入る状況であれば、車内も空いており短時間乗車なら質素な車両でもそこそこ快適と感じたものでした。

ちなみにMAKIKYUが昆明で乗車した米軌路線は、昆明北~王家営間を夕方に運行する列車で、片道1時間強の道程でした。

    
車窓は標準軌線との並行区間やマンション建設が進む開発途上の風景、高速鉄道新線の高架橋下に畑の拡がる農村風景など変化に富んでおり、途中幾つかの駅に停車しながらの道程はあっという間と感じたものでした。

 
現在旅客列車の終点となっている王家営站は貨物駅の脇に旅客用のホームと駅舎を設けた所という印象で、站前は閑散とした印象でした。

乗客の大半は来た道を戻る状況、MAKIKYUもその一員でしたが、王家営站での折返時間には記念撮影に興じる人物の姿も散見され、移動手段というよりもアトラクションやクルージングの感覚で乗車している乗客が多いのでは…とも感じる程でした。

ちなみに昆明の米軌線は、残念ながら最近旅客輸送が停運(運休)になってしまったという情報もあり、MAKIKYUは良い時期に乗車したものと感じています。

また米軌路線の起終点站となっている昆明北站は、雲南鉄路博物館を併設しています。

ここでは米軌路線は勿論、近年急速に路線網を拡大している動車組列車に関する展示も多数あるなど、かなり内容の充実した博物館と感じたもので、こちらに関しても機会があれば別記事で追って取り上げられれば…と思っています。


ベトナム-中国を結ぶ国際列車~利便性は難ありですが…

2018-02-21 | 鉄道[中華人民共和国]

昨夏MAKIKYUが東南アジア方面へ足を延ばした際、ベトナムでは国内の鉄道を利用しただけでなく、ベトナム~中国を運行する国際列車にも乗車機会がありました。


この国際列車はHa Noi郊外のGia Lam~中国国境のDong Dang間でベトナム国鉄の路線を走行、国境を超えた後は凭祥(Pingxiang)~南寧(Nanning)間で中国鉄路を走行します。

 
Gia Lam駅は基幹駅のHa Noi駅に比べると遥かに小規模、市内中心部からも少々離れており、駅前の通りは車通りも少ない路地ですので、国際列車発着駅という雰囲気とは程遠く、日本の亜幹線駅レベルと言っても過言ではないと思います。


Gia Lam
駅から南へ78分程度歩いた所にバスターミナルがあり、このターミナルと市内各地を結ぶバスは頻発していますので、市内バスを乗りこなせるなら少々不便という程度ですが、バス乗車が苦手な方にとってはかなり使い難いと感じるかもしれません。
(Gia Lam
Ha Noi間はメーターゲージ(軌道幅1000)車両しか走行できませんので、Ha Noi発着は物理的に不可能ですが、シャトル列車でも設定できれば外国人向け利便性は大きく向上する気もします)

この国際列車の運行距離は両国合わせても400㎞程度、4桁㎞を走る列車も当たり前の中国はおろか、ベトナムの2大都市間を結ぶ統一鉄道と比べても、運行距離や所要時間は遥かに短いものです。

しかしながらベトナム・中国両国の出入国手続などがある関係で、出入国手続き実施駅での長停車時間を含めた所要時間は12時間以上を要しており、移動手段としては余り使い勝手が良いとは言えないのが実情です。

 
充当車両は中国鉄路の軟臥車4両、他に中国国内のみ硬座車を連結しての運行となっており、一応中国国内では「特快」として運行する列車ながらも、専ら快速以下の列車で用いられる最高速度120/h25G形客車(以前は朱色とグレーの装いで「紅皮車」とも呼ばれていましたが、近年は緑色と黄帯の装いに塗替えが進み、他形式との識別がし難くなっています)が用いられているのも大きな特徴です。


中国鉄路車両での運行に加え、客室乗務員も中国(南寧鉄路局)担当となっており、発車直後の車内改札で乗車券と引き換えに換車票を交付(到着直前に回収:乗車券を返還)されるなど、列車に乗ってしまえばベトナム国内運行時でも中国内にいる様な錯覚に陥る状況でした。

南寧行の列車だと2時台にベトナム出国手続、5時頃に中国入国手続を実施するために列車から下車しイミグレに出向く事になりますので、寝台車での運行ながらも一夜をゆっくりと過ごせる状況ではなく、結構疲れると感じたものです。

   
ちなみにMAKIKYUHa Noi駅で国際列車乗車券を購入しましたが、この乗車券もレシートの様な味気ないベトナム国鉄が運行する国内列車の乗車券とは大違い、手書きの複写式で漢字(中国語)とアルファベット(ベトナム語)に加え、キリル文字(ロシア語)の記載もある独特なもので、この点でも注目と感じたものでした。

移動手段としての有用性という点で見れば、Ha Noi~南寧間は昼行都市間バス利用の方が至便とも感じ、深夜早朝に出入国手続時間を行わなければならない現状の改善に期待したいと感じたものです。

ただ汽車マーク入りのスタンプ(ベトナムは出入国スタンプに、出入国で用いた乗物を示すイラストが入ります)が押印される事をはじめ、ベトナム国内ではメーターゲージと標準軌双方の列車が走行可能な3線区間を運行するなど、趣味的には非常に注目点の多い列車です。

またHa Noi~昆明間の国際列車が休止となり、他にベトナムと国境を接するラオス・カンボジア両国との間は鉄路がない状況ですので、現在のベトナムでは唯一の国際列車として、他国と鉄路がつながっている事を示すシンボルとしても重要な存在になっています。

高速鉄道開業が相次ぐ中国国内の鉄道事情と対比すると、まだまだ改善余地は大いにあると感じ、今後どの様な動きが出て来るのかも気になる所ですが、運行形態や充当車両などが変更されるとしても、中越2国間で国際列車が走り続ける事に期待したいと感じたものでした。


(
お断り)この国際列車は中華人民共和国と東南アジア(ベトナム)に跨って運行していますが、中国車両による運行である事も考慮し、鉄道[中華人民共和国]カテゴリーでの取り扱いとさせて頂きます。


MTR南港島線~昨年末に開業した無人運転の新路線

2017-09-17 | 鉄道[中華人民共和国]

7月後半~8月中、MAKIKYUはシンガポールまで出向いていましたが、復路の道中では香港にも立ち寄っており、その際には近年開業した地下鉄の延伸区間にも乗車したものでした。

昨年後半に新しく開業した区間は、10月の観塘線(Kwun Tong Line)・油麻地(Yau Ma Tei)~黄埔(Whampoa)間と12月の南港島線(South Island Line)・金鐘(Admiralty)~海怡半島(South Horizons)間の2区間。

両区間合わせても10㎞ですので、次々と新路線が開業し既設地鉄路線の延伸も進む大陸本土に比べると、香港の地鉄延伸は微々たるものと言う気もしますが、発展途上で急速なインフラ整備が進む地域と、インフラ整備がある程度完成し成熟した地域の差異が現れていると言っても過言ではない気がします。

香港で新たに開業した2区間の中でも、観塘線はMTR(香港鉄路有限公司)の中でも割合古参の路線で、今まで終点だった油麻地から既存路線が2駅延伸したのみ、それも延伸区間は全区間地下ですので、乗車した際の楽しみという点では今一歩と言う印象を受けたものでした。
(黄埔~何文田の1駅間は単線になっているなど、特徴的な面もありますが…)

これに対し年末の12月後半に開業した南港島線は、路線自体が昨年末に開業したばかりの路線で、車両も既存路線とは異なる南港島線専用の車両が運行しています。

  
長い車体で片側5扉という輸送力の大きい車両規格はMTR既存路線と同様で、ステンレス製の座席などもMTRでは標準的なものですが、香港島の中心部にある金鐘を起点としていながらも、短い3両編成での運行となっています。


ホームも1両増結した4両編成での運行には対応しているものの、それ以上の編成増は厳しそうと感じたもので、8両編成が次々とやって来てもピーク時には積残客を多数出す路線もある香港にしては…とも感じたものでした。


新規開業路線と言う事もあってか、無人運転を行っているのも大きな特徴で、列車先頭部からの前面展望も楽しめます。


南港島線は両端駅こそ地下駅ながら、途中に地上区間が存在しており、途中駅に一部も地上駅となっていますので、トンネルだけでなく外の景色も楽しめ、車内最前部からすれ違う列車の車両撮影ができるのも魅力的と感じたものでした。

香港MTRの新規開業2区間でどちらに乗ろうか迷った時は、南港島線の方が断然おススメとも感じ、また今まで公共交通機関はバスのみだった香港島南部への利便性向上という点でも大きな役割を果たしていると感じたものでした。

南港島線は今後更なる路線延伸計画もあるなど、今後の展開にも注目したい路線と感じたものでした。


中国・天津市内を走るトランスロール&リンク先サイト追加のお知らせ

2017-03-22 | 鉄道[中華人民共和国]

MAKIKYUは最近所用が立て込んでいる事もあり、今年の遠出(首都圏外への遠征)は1月の東北方面のみ、普段よりも遠出の頻度が下がっており、海外ともなると昨年は韓国1回のみ、今年はまだ予定すら…という状況です。

長期休みが確保できれば、船でまた中国辺りへも足を運びたいと感じる位ですが、日中国際航路でも片道40時間以上を要する遠方(船便での訪中は他に韓国経由という方法もあり、こちらの方が航路数や就航便数は充実しています)ですので、現状では中国再訪が実現するのかどうか…という程です。

中国は遠くてなかなか頻繁に足を運ぶ事が出来ない土地ながらも、目覚ましい発展と共に交通機関の整備も凄まじい勢いで進み、とても追いかけきれない状況は、停滞どころか衰退傾向にある島国とは大違いで羨ましい限りですが、以前乗車したもののブログ記事化できずに月日が経過…というものは無数にあり、その一つが天津市内を走るトランスロールです。


トランスロールはフランスで開発されたゴムタイヤ式トラムの一種で、日本では営業路線での導入事例は皆無ですが、開発国フランスをはじめ、中国やイタリアなどでも導入事例が幾つか存在しており、中国の中でも最初に営業運行を開始した路線は天津市内に存在します。

天津市内を走るトランスロールは2007年開業、開業からまもなく10年となりますが、MAKIKYUも以前一度乗車した事があり、市内中心部からは40㎞程度離れた天津経済技術開発区(以下開発区と記します)内を運行しています。

外国人観光客が頻繁に訪問する地域ではないものの、天津市内中心部からも津浜軽軌(地下鉄9号線)と呼ばれる電車で容易に足を運ぶ事ができ、開発区内にある津浜軽軌の途中駅・泰達駅がトランスロールの起点駅になっています。
(北京~天津も高速列車が頻発しており、短時間で容易に移動できますので、北京からの日帰り訪問も容易です)

トランスロールはここから8㎞程度の区間を運行、開発途上の真新しい街並みを駆け抜け、学院区北駅までの間を運行しています。

近年目覚ましい発展を続けている中国の状況を知らず、何十年も前の印象しか思い浮かばない人物がトランスロールに乗車するものなら、イメージと余りに違う現状に驚くのでは…と感じる程で、今日の中国はまだまだ発展途上で遅れている面もあるものの、進んでいる部分は日本を遥かに仰臥していると感じます。

 
このトランスロールは日本でもお馴染みの路面電車とは異なり、レールが2本ではなく1本だけ、そしてゴムタイヤ駆動となっているのが大きな特徴です。

ライトレールと新交通システムを掛け合わせた雰囲気の交通機関と言っても過言ではなく、遠目で見る限りは一般の路面電車と大差ないものの、軌道などを見ると別物である事が一目瞭然です。


車内も窓が大きく近代的な雰囲気なのは、新しい路線・車両ならではとも言えますが、その一方で座席の硬さなどは中国の都市交通機関の典型ともいえ、この辺りは日本の都市交通を利用し慣れた人物が乗車した際、どの様に評価するのかの判断が大きく分かれる所かと思います。


またトランスロール自体をはじめ、開発区内の沿線も近代的な雰囲気ながら、MAKIKYUが乗車した際には終点駅(学院区北)周辺に移動式販売車による露店が幾つも出店していました。

この移動式販売車も近年の日本では滅多に見る機会のないオート三輪が多数という状況、トランスロールとオート三輪の移動式販売車が並ぶ、新旧混在の姿は如何にも今日の中国を象徴する風景の一つとも感じたものでした。


この移動式販売車で販売している刀削麺を求めた際には、訪問当時の金額で6元(日本円換算で100円程度)だったと記憶しており、廉価な中国の庶民料理を堪能しながら、近代的なトランスロールが行き交う姿を眺めるのも悪くないと感じたものでした。

中国のトランスロールは天津以外に上海でも運行、こちらも乗車した事があり、これ以外にも各地で路面電車の新設も相次ぐ状況、その中には無架線トラムなども存在し、機会があればこれらの新路線も色々乗車したいと思っています。

ただ瀋陽・蘇州など広大な国土の各地に新路線が点在する状況では、一挙に各地の路線を乗車するのは至難の業で、中国各地の新路線乗車記を見る度に、羨ましいと感じる位です。


また今日付けで「railbus' photo album」(railbus様)へのリンクを設定致しました。
アドレスは
http://www7b.biglobe.ne.jp/~railbus/
です。

こちらのリンク先サイトでも今日取り上げた天津のトランスロールをはじめ、中国各地の都市交通機関や列車、中国以外の海外交通機関などの内容を多数取り扱われています。

海外関連だけでなく昔の名古屋市電など、MAKIKYUは生まれる前で見た事もない日本国内の懐かしい画像なども多数公開、かなり見応えのあるサイトと感じたものです。

主内容が海外(中国)関連となりますので、リンク集(0)にリンクを掲載すると共に、暫くの間(概ね1~2ヶ月)は新規リンク告知も兼ねて、トップページのブックマークにもリンクを掲載致しますので、興味のある方はアクセス頂けると幸いです。

なお「MAKIKYUのページ」では引き続きリンク先サイトを募集しておりますので、HPやブログをお持ちでリンク希望される方が居られましたら、各記事(コメント不可設定としている一部の告知記事など以外)へのコメント欄、あるいは「このページについて(ご案内と注意事項)」の項にあるメールアドレス宛に一報お願い致します。


香港・ライトレールで脱線事故~死者発生の報を聞かないのが不幸中の幸いですが…

2013-05-18 | 鉄道[中華人民共和国]

昨日夕方、中華人民共和国・香港特別行政区(以下香港と記します)の路面電車で脱線事故が発生し、多数の負傷者が発生したニュースは、ネット上などでも盛んに報じられ、海外の事故とは言えども、ご存知の方も多いかと思います。

香港の路線電車と言うと、香港島内を走る2階建て電車が有名で、香港へ足を運んだ事がない方でも、香港中で走り回る2階建ての路線バス(平屋車を探す方が苦労する位、凄まじい数が活躍しています)と共に、香港の交通機関と聞いて真っ先に想像される方も多いかと思います。

香港ではこの香港島内を走る2階建て電車の他に、新界と呼ばれる九龍半島側の郊外西方でも、軽軌(ライトレール)と呼ばれる電車が走っており、今回脱線事故が発生した路面電車は、香港島内を走る2階建て電車ではなく、新界を走る軽軌の方になります。

中華人民共和国(中国)自体が、日本国内各地や韓国の様に、列車や船などで簡単に足を運べる地ではなく、日韓とは時差も存在し、船での訪問では船中泊を余儀なくされます。

その中でも香港や近隣の広東省は遠方ですので、MAKIKYUが足を運んだのはまだ2回、その内新界を訪れたのは2006年に1回だけという有様ですが、新界訪問時にはこの軽軌にも乗車しています。
(以下の写真は全て2006年夏に撮影したもので、現在も路線形態や使用車両などは同様ながら、車両の装いなどが改められている様です)

新界を走る軽軌は、団地群の中にバス並みの緻密な路線網を築いており、地域内交通として重要な役割を果たしている他、西鐵(West Rail)と呼ばれる都心~新界を結ぶ郊外電車の、屯門・元朗など新界エリア各駅と団地群の間を結ぶフィーダー路線的存在にもなっており、ICカード・八達通(オクトパス)での西鐵~軽軌乗継優恵も実施されています。

新界を走る軽軌は都心内や都市中心部~郊外間の路線ではなく、郊外に立地する団地群の中だけを走る路面電車という点でも異色の存在ですが、長い歴史を誇る香港島内の2階建て電車とは異なり、営業開始は1980年代と、比較的歴史の浅い路線です。


主に専用軌道を運行し、車両もステップなしの高床車、電停も地鉄や郊外電車程ではないにしても高床ホームであるなど、日本の電車に例えるなら都電荒川線や江ノ島電鉄(江ノ電)を思わせる雰囲気があり、今流行のLRTで大多数を占める超低床ノンステップ連接車が走る路線とは異なった趣があります。

比較的歴史の浅い路線という事もあり、複線区間や高架区間も多く存在し、電停や電車の姿を見なければ、郊外電車と錯覚してしまいそうになる所も多いのですが、狭い地域内に高密度な路線網を築いている事から、一方通行の単線区間や分岐箇所での三角線なども多数存在するのが大きな特徴で、系統も複雑多岐です。


元英国領という土地柄も影響してか、車両も路線バスの如く、ドアや運転席が片側にしか存在しない欧州スタイル(有名な香港島の2階建て電車も同様です)となっており、終点駅ではラケット状になったループ線で折り返す形態となっているのは、日本や中国大陸本土の路面電車とは大きく異なる特徴の一つです。
(中国大陸本土で2本のレール上を走る営業用の路面電車は東北の大連・長春のみ、他にトランスロールと呼ばれる1本のガイド用レール+ゴムタイヤのガイドウェイ式トロリーバスと言っても過言ではない低床電車が、天津と上海の郊外で運行中です)

この様な路線ですので、分岐箇所の三角線や終点駅でのループ線箇所を中心に、急曲線も至る所に介在しており、乗客として乗車するとなかなか乗り応えはあります。

とはいえ比較的低速での運行とは言えども、完全専用軌道の都市鉄道ではなく、システム的には路線バスなどと同様に、乗務員の注意力に頼る部分が多い路面電車ですので、一部で報じられている速度超過も有り得なくはなく、三角線やループ線などの箇所で減速が遅れた(或いはしなかった)事が要因で事故が発生した可能性も充分考えられる気がします。


ちなみに新界の軽軌は、路面電車にしては異色の両開き3扉の単車ですが、車内での運賃収受を行わない信用乗車制を取り入れている事から、輸送力を確保するために2両連結での運行(車両間の通り抜けは不可)となる事も多くなっています。

今回の事故もニュース記事の写真などを見ると、2両編成の列車で発生している様で、結構な数の乗客が乗車していた事から負傷者数も70名以上、中には重傷者も発生している事が報じられています。

現段階では死者発生の報を聞かない事が不幸中の幸いですが、負傷者の早期回復と詳細な事故原因の究明、そして同種事故の再発がない事を願うばかりです。


大連快軌・金州支線~中国では珍しく2両編成で運行

2012-10-20 | 鉄道[中華人民共和国]

先日「MAKIKYUのページ」で取り上げた大連軽軌ですが、今日は先日の続編として、2008年末に開業した金州支線に関して取り上げたいと思います。

金州支線は現在延長14km程、基本的には支線内のみの運行(僅かに大連駅前まだ直通する列車の設定もあり)で、開発区駅では階段を昇降しての乗換となる不便さは頂けない気がします。

軽軌の本線は4両編成の電車で運行しており、設備的には支線内も4両編成の運行が可能になっていますが、現在支線内の電車は2両編成となっています。


日本のJRや私鉄であれば、支線区や地方での電車による2両編成での運行は多数存在し、特に物珍しいものではありませんが、国鉄(中国鉄路)はCRH(高速列車)を除くと専ら機関車牽引の客車列車、地鉄などの都市鉄道も4~6両程度での運行が大半を占めている中国大陸本土にしては、珍しい編成と言えます。
(地鉄は逆に長い方でもせいぜい8両、需要が多い割に日韓の様な10両編成やそれ以上の編成での運行を行っていないのは、少々不思議な感じもするのですが…)

支線内運行の電車は、デザイン的には本線の電車に類似しているものの、前面を真っ赤に塗った派手な装いが特徴で、遠目で見ても一目で識別できる程ですが、短編成という事も影響してか、中国の都市鉄道では珍しい前パン(先頭車前部にパンタグラフ設置)となっているのも大きな特徴です。


設備的にも、短い支線内を運行する車両と言う事もあってか、本線のセミクロスシートとは異なる3扉ロングシートとなっており、混雑対策を考えるのであれば、本線もこの様な車両を入れた方が…という気がします。


ちなみに金州支線は、始発駅の開発区駅周辺自体も割合最近になって開発が進んだエリアと言う雰囲気があり、沿線もこれから開発が進んで大変貌を…という印象を受けたものです。


終点九里駅近くなどは、如何にも東北地方といった景観が広がり、新路線の新しい駅の目の前には3輪のタクシーなどが待ち構える様も、中国らしい雰囲気です。


今後九里駅から更に延伸予定もあり、同駅先の引き上げ線なども延伸に対応した構造となっていますので、今後路線の延伸が行われた際にも、中国では珍しい短編成による運行が続くのかも気になる所で、今後の展開にも注目したいものです。


大連快軌3号線~地方都市では少数派の郊外電車

2012-10-16 | 鉄道[中華人民共和国]

MAKIKYUが7月に久々に中国へ足を運び、まず最初に入国した大連は、6年ぶりの訪問となり、「MAKIKYUのページ」でも既に大連站前で分断されていた路線が繋がって直通運転が行われるようになった有軌電車(路面電車)旧203・201系統→(新)201系統や、興工街から郊外へ向かうBRT(快速公交)などを取り上げています。

大連は都市規模の割に、乗り物の種類が豊富で、最近増えているBRTや中国では数少ない有軌電車だけでなく、軽軌と呼ばれる郊外電車も大連站前から発着しており、これも中国の地方都市では比較的少ない乗り物です。


この大連軽軌は、大連站前から開発区を経て金石灘までの間を結ぶ路線が本線で、この路線だけでも約50km程の距離があり、専ら地上区間を走りますので、郊外電車にしてはそこそこの乗り応えがあります。

この路線にはMAKIKYUが以前大連を訪問した際に乗車しているのですが、他に2008年末には途中の開発区站から九里へ向かう金州支線が開通しており、こちらは初めて乗車したものでした。


本線で活躍する電車は4両編成で、開業からまだ10年も…という路線だけあって車種は1種類のみ、最近の中国ではありふれた雰囲気の電車という印象ですが、先頭車が2扉・中間車が3扉と車両によって扉数・配置が異なるのが特徴的です。


設備面でも、全線を乗り通すと1時間程度を要する事も影響してか、ボックス席も設けられているのが特徴で、座席にカバーがかかっているのは如何にも中国的ですが、4両程度の編成では混雑時には…という状況ですので、この設備を維持したまま運行するのであれば、増発か増結を望みたいと感じるものです。
(車両数を増やし、金州支線の電車も大連站前まで延伸するのが、MAKIKYUとしては現状では最も妥当な施策と感じているのですが…)

金州支線に関しては、近日中に続編記事として追って取り上げたいと思います。


大連を走る新型路面電車~この車両も中国では…

2012-10-06 | 鉄道[中華人民共和国]

先日「MAKIKYUのページ」では、中国・大連市内を走る旧型の有軌電車(路面電車)に関して取り上げましたが、大連の201路では現在、古参車と共に新型の低床連接車も活躍しています。

興工街で201路と接続して郊外へ向かう202路も、基本的にこの新型低床車での運行となっており、大連の有軌電車の主力的存在と言っても過言ではない状況です。


デザイン的には広島電鉄の「グリーンムーバー」や、ヨーロッパの各地で活躍し、この車両とほぼ同種のジーメンス製低床連接車(MAKIKYUは見た事もないのですが…)とよく似た印象を受けますが、一応地元・大連で製造された車両で、全低床車ではなく部分低床車になっているのも特徴です。

 
MAKIKYUが何年も前に大連を訪問した際にも、202路でこの電車に乗車しているのですが、その後201路の改修・車両入れ替えに伴って増備された車両も多数あり、この車両は初期に導入された車両とは異なる装いになっていますので、運行開始当初に比べるとカラーバリエーションが充実しています。

また座席こそ中国の公共交通機関らしい「硬座」ですが、旧型の路面電車や、大連市内を走るBRT以外の公交汽車(路線バス)の大半とは異なり、空調が装備されている点も、居住性の面では大いに評価できるものです。


ただ見た目は近代的な車両を走らせながらも、運行面では車掌乗務となっている上に、折り返し地点でのポイント転換は未だに自動化されておらず、車掌が電車から一旦降りてポイント設置箇所へ向かい、棒を使ってポイント転換作業を行うなど、LRTらしからぬ光景も見受けられたものです。

新旧の車両が入り乱れて走るだけでなく、運行システム面も…という辺りは、沿線の雰囲気と共に、如何にも中国的と感じたものでした。


大連市内で今も活躍する古参路面電車~装いなどは変化しているものの…

2012-09-29 | 鉄道[中華人民共和国]

先日「MAKIKYUのページ」では、中国遼寧省・大連(Dalian)市内を運行しているBRT(Bus Rapid Transit)に関して取り上げましたが、今日はこの記事中でも触れた有軌電車(路面電車)に関して取り上げたいと思います。

大連の有軌電車は、少し前は大連火車站から東西各方面へ向かう路線(201路・203路)と、郊外の興工街から南へ向かう路線(202路)の3系統が存在していました。

その内大連火車站を発着する2路線は、比較的近年になって統合され、201路という1つの系統として運行しており、建前上は興工街~大連火車站~華楽広場間の区間車と、更に先の東海公園まで至る系統の2系統が存在しています。

MAKIKYUが7月に訪問した際には、運行している電車は区間車ばかりで、東海公園方面へは華楽広場~東海公園間をピストン運行する電車に乗り換えという状況になっていましたが、停留所などにこの旨を示す掲示等は見当たらず、華楽広場以遠ピストン運行の電車も、201路区間車の案内を掲出している辺りは、日本では考えられない事です。

この201路では現在、新型の低床連接車と旧型単車の2種類が混用されており、旧型単車は旧203路(大連火車站から東へ向かう路線)で活躍していた車両です。

この車両は満州国時代に製造された年代物の古参車で、その出自故に日本の路面電車に良く似た雰囲気を漂わせており、日本の路面電車に乗り慣れた身としては、何処となく親近感を感じる車両ですが、近年まで長春などで活躍していた同形車が退役した今日では、乗車できるのは大連の201路のみとなっています。

 
この古参電車は相当な経年車と言う事もあってか、外観や内装などは随分改められており、車内に製造年代を示すプレートなどが見当たらないのも惜しい限りですが、昔ながらの吊り掛け駆動の下回りなどはそのままで、冷房化改造なども施されていません。


座席が相当硬いのは余り感心できないと感じる方も多いかと思いますが、都市内における軌道系交通機関は、歴史の浅い路線が大半を占める中国大陸本土内においては、昔ながらの電車という点でも非常に希少な存在です。


この電車も少し前は青系統と緑系統の2種類の装いを纏った車両が存在していたのですが、現在青系統の装いは見かけなくなり、変わって赤系統の装いを纏った車両が散見される状況でした。

 
装いが複数存在するだけでなく、似たような車両も良く見ると窓割に差異(ドア間の窓が4枚の車両と、5枚の車両が存在します)が見受けられるのも興味深い所で、車両の差異によって装いを分けているのではなく、同じ装いでも2両並んだ車両を良く見ると…という状況になっているのも注目です。

低床の新型連接車に比べると、居住性の面ではお世辞にも良好とは言い難く、おまけに非空調車にも関わらず新型車と運賃も同一に設定されています。
(中国では路線バスなどで、同一系統でも空調車は割高な運賃を設定している事が多いです)

都市交通のサービスレベルに大きな格差が生じるという点では、この旧型単車は余り歓迎できない車両かもしれませんが、新型低床車に混じって活躍する姿は興味深く、趣味的には非常に面白い存在と言えます。

広大な中国といえども、有軌電車自体が数少ない状況ですので、こんな光景は大連以外で見る事は叶わず、旧型単車はかなりの経年車ですので、大連でも何時までこの様な光景が見られるのか…とも感じますが、末永い活躍に期待したいと感じたものです。