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東武鉄道 20400型電車~宇都宮線運用に転用された元日比谷線直通車

2019-05-19 | 鉄道[北関東]

今年のGW期間は平成天皇の生前退位などがあったため、例年にない祝日続きとなり、長期休みを利用して日頃滅多に足を運ぶ機会のない遠方へ出向かれた方も少なくないと思います。

MAKIKYUは何日か仕事が入った事もあり、仕事以外の日も遠方へ出向く事はなく、割合近場へ外出した程度、最も遠方でも宇都宮周辺という状況でした。

宇都宮は東京都心一帯からの交通選択肢が多様で、多少割高でも早く行きたい向きだと東北新幹線利用、一方所要時間が長く乗換回数が増えても安く行きたいとなれば東武鉄道利用、またその間を取ってJR在来線利用など、様々なニーズに応じた交通機関が存在するのは魅力的と感じる方も少なくないと思います。

その中でもMAKIKYUがGW期間に宇都宮へ出向く際に利用したのは、普通運賃でも距離の割に値頃感のある東武鉄道、東武利用の場合は日光線~宇都宮線利用となりますが、東武宇都宮線では昨年秋から車両代替が始まり、少し前まで主力だった8000系も今月宇都宮線内での定期運行を終了しています。

少し前まで宇都宮線における主力車両だった8000系に代わり、新たな宇都宮線の主力車両となったのが20400型で、20400型は新造車ではなく、地下鉄日比谷線直通で用いている車長18m級の20000系列各形式(20000型/20050型/20070型)を4両編成に短縮して改造転用したものです。

装いはマルーンの細帯→紺色の細帯+窓周りに黄色を配したものに改められ、行先表示器はフルカラーLED化、運行路線の土地柄を配慮してか半自動押しボタンスイッチが追設されるなど、日比谷線直通で活躍している20000系列とは様々な点で差異が存在しています。

 
側面の行先表示は「ワンマン」「行先(東武宇都宮/新栃木など)」を交互に表示、ここまで大々的に「ワンマン」表示を行う車両は他社を含め余りないと思われ、行先表示の英文部分を英文/ワンマン交互表示にするなど、今後表示様式を改めても良いのでは…と感じたものでした。


ちなみに20400型の中でも最初に登場したのは3扉車の20070型のみを種車にした編成、次いで20000型を混成した編成が登場していますが、今年に入ってから一部車両が5扉車の20050型を種車にした編成も登場しています。


MAKIKYUが栃木駅で南栗橋発の列車から乗り換えの際に停車していた宇都宮線列車も、一部車両が20050型を種車にした編成でした。


MAKIKYUが乗車した編成は、東武宇都宮方から数えて2両目の車両のみが元5扉車、2箇所の扉を埋めた部分は大窓が設けられているものの、ステンレス製車両という事もあってか、見るからに改造車である事が一目瞭然と言う印象。

こんな車両が1両だけ組み込まれた編成は非常に不揃いな感があり、一部の趣味者からはかなり注目される存在なのでは…とも感じたもので、今後この様な編成だけでなく、4両全てが元5扉車で構成された編成の登場も予定されています。


車内に足を踏み入れると、化粧板や座席モケットが日比谷線直通用車両の4扉車代替に伴って導入進行中の最新型車両・70000系と同種のものに改められています。


一部ドア上には小型ながらLCDモニターも設置、天井などに種車の雰囲気を感じる部分も多々あるものの、先代主力車両の8000系に比べると、随分近代的な印象と感じたものです。


ただ外観程の違和感はないものの、元5扉車は特徴的な戸袋窓がそのまま残存しており、扉を埋めた箇所に設けられた大窓周辺は、枕木方向に配していたつり革を取り付けるパイプの撤去痕が見受けられるなど、如何にも改造車という雰囲気が色濃く、これは善し悪しの評価がかなり分かれるのでは…とも感じたものでした。

また私事ながら、20400型はMAKIKYUが令和時代になってから乗車した鉄道車両の新形式第1号にもなっています。

これからしばらく続くであろう令和時代における宇都宮線主力車両としての活躍に期待すると共に、導入予定編成数を考慮すると宇都宮線以外の北関東ローカル各線に導入される事も推測されますので、今後の動向にも注目していきたい車両の一つと感じたものでした。


阪急7000系「京とれいん 雅洛」~神宝線用車両改造の観光列車

2019-05-11 | 鉄道[近畿・スルッとKANSAI加盟社局]

少し前の事になりますが、3月下旬に運行開始した阪急電鉄の京都線観光列車「京とれいん」の第2弾「京とれいん 雅洛」(以下「雅洛」と記します)、3月末にMAKIKYUが関西へ足を運んだ際にも乗車機会がありました。

「京とれいん」の第1弾は、かつて京都線特急の花形だった2扉車・6300系を改造、8→6両に編成短縮した車両で、観光列車向けに一部車両(3・4号車)の車内設備を大改造、それ以外も座席モケットや化粧板の張替などでイメージチェンジを図りつつ、改造前の面影も色濃く残した車両となっています。

6300系「京とれいん」は大改造を施行した2両以外の座席など陳腐化が否めない部分も存在、種車構造故に客扉が両端に寄っており、ホームドア対応が困難である上に、車体幅の関係で神戸線・宝塚線(両者を総称して神宝線と呼ばれる事も多々あります)への乗り入れができないなどの問題も抱えています。

最近十三駅でホームドアが導入された事により、6300系「京とれいん」充当列車(他車両代走時を含む)は種別を快速特急→快速特急Aに改め、同駅を通過扱いにするといった動きもあり、趣味的には非常に注目の車両でありながら、使い勝手の面では…と感じてしまうのも事実です。

また近年の訪日外国人観光客増加などに伴い、日中の京都線特急も混雑が常態化している感があり、これを補完する役割も兼ねた快速特急(観光列車)の増便も是非…という状況でしたので、6300系「京とれいん」が抱える諸問題を解決した形の観光列車登場は阪急もよく考えたと感心するもので、これが今日取り上げる「雅洛」です。


「雅洛」は京都線車両ではなく神宝線用車両の中堅格、丁度更新時期に差し掛かっていた7000系6両1編成を改造しており、種車が神宝線用車両という事もあって宝塚や神戸三宮(その気になれば能勢電鉄・神戸高速鉄道・山陽電気鉄道沿線へも?)への直通運転が可能になっており、この特性を生かし早速西宮北口発着の臨時列車へ充当された実績も存在します。


阪急ならではのマルーンの装いは堅持しつつも、観光列車ならではの装飾デザインをはじめ、独特なデザインに改められた客扉などは、「雅洛」が一般車両とは異なる特異な性質の車両である事を強く訴えている様にも感じたものでした。


元々2扉車だった6300系とは異なり、3扉車を2扉車に改造している事から、元々中間扉が存在した箇所は扉が埋められ、代わりに丸窓が設けられていますが、この部分のデザインも改造車故の不格好な姿ではなく、良いアクセントになっていると感じる辺りは「さすが!」と感じたものでした。


「雅洛」の車内に足を踏み入れると、種車がオールロングシート車だった事もあり、化粧板や座席モケットなどを張り替えただけの箇所も存在、MAKIKYUが乗車した乗務員室のすぐ近くにあるロングシートもこれに該当します。

 
ロングシートも一部は畳の上にクッションを設置、占有区画も広々とした「DXロングシート」もしくは「プレミアムロングシート」と言っても過言ではないものに改められており、「ロングシート=詰込重視の短時間乗車向け設備」と捉えている人物も、このロングシートに座ったら価値観が変わるのでは…とも感じたものでした。


種車故に6300系「京とれいん」の様な多数のクロスシートの存在は望めないものの、6300系「京とれいん」でも設備的に大きな特色となっている一部に畳みを用いた2+1列配置のボックス席も設定、また撮影は出来ていませんが、一部車両では窓方向に向けた座席も設けられています。

これらの座席は同じ設備でも号車や区画によって座席モケットのデザインなどを変えており、一度ならず何度か乗車しても楽しめるのでは…と感じ、結構な盛況ぶりもあってMAKIKYUも一部しか視察・撮影ができていませんが、機会があればまた別の機会に未乗の梅田方車両も…と感じたものでした。


また先述の中間扉を埋めた箇所は、一部がミニ庭園や畳敷きのベンチ(?)になっており、特に海外から訪日した観光客などは非常に喜ぶだろう…とも感じ、6300系「京とれいん」と共に特別料金不要で乗車可能な列車にしては、「雅洛」は破格の設備を誇る乗り得列車と感じたものです。

ただ7000系は更新に伴い主回路更新(界磁チョッパ制御→VVVFインバーター制御)を実施した編成も多数存在、これは神宝線向けだけでなく能勢電鉄移籍車両にも該当しますが、「雅洛」は主に土休日の快速特急用で走行距離が少なく、加減速頻度も少ない事が影響してか、下回りは界磁チョッパ制御のままだった事は少々気になる点と感じたものでした。

京阪間では圧倒的な速達性を誇り、最近では試行的に特別料金を要する「Aシート」導入列車も運行しているJR新快速や、座席指定車両「プレミアムカー」が公表を博し、今後更なる導入も発表された京阪特急/快速特急と比べると、阪急京都線は観光向け快速特急「京とれいん」2車種の存在こそ際立つものの、それ以外の特急に関してはやや劣勢気味という印象も否めない気がします。

土休日昼間に快速特急A/快速特急として運行している「京とれいん」2車種の運行は大いに評価できる気がしますが、土休日昼間時間帯などで混雑が常態化している特急の車両増結(2両増結車を増結:8→10両)など、全体のサービスレベル向上が実現すれば、運賃の安さや発着地の利だけでない京阪間移動での「選ばれる要素」にもなるのでは…と感じたもので、今後阪急電鉄が京都方面への輸送改善策などを講じる事があるのか否かも気になる所です。

「雅洛」や6300系「京とれいん」をはじめ、阪急京都線他列車・車両や京阪間の競合2路線の話題も含め、何か気になる事などがありましたらコメントもどうぞ。