先月MAKIKYUが久々に中国まで足を運んだ際には、帰国の際に利用したフェリーが関西(神戸)着で、生活圏の首都圏からは結構離れており、訪問機会も限られる場所(それでも年に1~2回は訪問し、新幹線で通り過ぎる事も含めれば結構な頻度になるのですが…)ですので、帰国後もそのまま直帰せず、関西を道草してから帰路に就いたものでした。
その際には京阪電車を利用する機会もありましたが、京阪電車は現在、昭和40年代に製造された直流電動機を用いた古参車がゴロゴロしており、交野線こそ近年のワンマン化実施で大半が新型車に入れ替わっているものの、本線普通・準急や宇治線では車体断面が丸い古参車(2000番台)に当たる事も少なくなく、昭和50年代製の電車が次々と退役している首都圏に身を置くMAKIKYUとしては、随分古い車両が多い路線と言う印象があります。
(京阪電車に限らず、関西私鉄はこの傾向が強いのですが…)
2000番台の古参車は、2200系や2600系など幾つかの種類があり、特に2600系は車体形状や台車などに様々なバリエーションが存在、編成や経年もバラツキがある雑型車といえ、多様な編成を構成できる事もあって、京阪電車を利用する際には、嫌でも見かける程の存在です。
最近では新旧塗装が混結して走る姿も時折見受けられ、趣味的には面白い存在ですが、経年車でエネルギー効率の面でも芳しくない上に、支線区でのワンマン運転実施にも難があり、サービス面でも…という事で、近年徐々に淘汰が進んでいます。
京阪電車の新型車両と言うと、中之島線開業時に同線の花形列車・快速急行用に導入され、その後利用実態を踏まえ、現在は主に特急で運用される3000系電車を思い浮かべる方が多いかと思います。
この車両は某大手デザイン会社が絡む事もあって、外観・内装共に従来の京阪電車とは大きく異なるものとなっており、この車両で京阪間を乗り通しても概ね400円前後と言うのは、熾烈なサービス合戦を繰り広げる関西ならではです。
(特に車両規格が京阪電車に比較的類似しており、首都圏の辺境・北総監獄(千葉ニュータウン)を走る「開発を止めた某鉄道」(元○○開発鉄道)は、運賃も京阪電車などに比べると遥かに…という状況ですので、それなら車両などのサービス面でも遥かに上を望みたいものですが、この会社だけは期待しても無駄そうです。先日「MAKIKYUのページ」でも取り上げたモノレール車両の様に、千葉県内でもこの車両と同じデザイン会社が絡む傑作車両も存在しているのですが…)
3000系電車は乗降性なども配慮してか、座席数がやや少なく、京阪間を乗り通す時などは…という評もありますが、設備・デザイン共に特別料金を要しない車両の中では、かなりのレベルに達しており、もっと数を増やしても…と感じるものです。
しかしながら一部に転換式クロスシートを採用した客室設備や、8両固定という関西では比較的長い編成(中間車を抜いて7両や5両を構成する事も可能ですが…)は、京阪間の優等運用で用いるには最適でも、本線普通車や支線区で用いるにはやや難があります。
こちらに古参車が多く改善も急務な事から、3000系の支線区版とも言える車両が待ち遠しいものでしたが、この用途で登場した新型車が13000系電車で、今年春に運転を開始しており、MAKIKYUは先月初めて乗車する事が出来ました。
13000系は3000系を短編成化(4両)・客室設備のオールロングシート化や用途の違いによる塗装変更を行った車両と言う雰囲気を受けますが、単に3000系に最小限の設計変更を施したのではなく、よく見ると前面貫通路上に設置されたライト数や、行先・種別表示窓部分がやや角張っているなどの差異が見受けられ、側面の窓割も異なるものになっています。
近年の新型車では大半がシングルアームパンタグラフを採用し、中には古参車でも積雪や車両限界・騒音対策などでこのタイプに換装する事例(JR東日本・中央本線の115系電車や、小田急線の通勤型車各形式など)も存在しますが、廃車発生品を転用した事もあってか、最近の新型車では珍しく下枠交差式パンタグラフを採用しているのも特徴で、今後シングルアーム式への交換が行われる事があるのか否かも気になる所です。
車内に足を踏み入れると、3000系と同様に某大手デザイン会社が絡む事もあってか、3000系の色違い・オールロングシート車といった印象も受け、床面のデザインや配色を変えた客ドア部などは、3000系に類似した雰囲気を感じます。
ドア上にLCDモニターを設置している辺りも、最新型車両ならではと言えますが、座席脇の大型袖仕切りや、蛍光灯カバーのない天井部などは、3000系とは異なる13000系の特色です。
蛍光灯カバーが省略されても、蛍光灯配列や取り付け部分のデザインなどで既存一般車に劣らない雰囲気を実現しているのは、大いに評価できる所で、車両番号や製造メーカーを示した銘板の代わりに、これらをまとめた1枚のステッカーとしている辺りは、最近の首都圏の電車を連想させるものがあります。
13000系は一応2編成併結して8両で運行する事も可能な様ですが、現在は4両単独で主に宇治線の運用に充当、また時折交野線にも充当される様ですが、専ら短距離の支線用に製造された車両だけあって、3000系のコンセプトは継承しながらも、同系や近年改装された特急専用車・8000系の様な、特別料金不要車両では最高レベルの設備を誇る車両とは言い難いものです。
しかしながら物凄く高級な造りにしなくても、デザイン上の工夫などで、支線区などで用いる車両でも、見栄えのする車両を走らせる事が出来るという点では、非常に良い事例と感じられ、最近首都圏で増殖している「某社レンズ付きフィルムに良く似た名称で呼ばれる事が多い電車」などを導入している事業者(関西でも狭軌某大手私鉄の最新型車はこの部類に入りますが…)も、単にコスト面で優位な車両を目指すだけでなく…と感じたものでした。