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川湯温泉駅と温泉街へ向かう阿寒バス~短距離路線ながら豪華車両も活躍していましたが…

2013-10-27 | バス[北海道]

少し前に「MAKIKYUのページ」では、北海道の道東で運行している「くしろ湿原ノロッコ」号に関して取り上げましたが、約1年程前の昨年秋にMAKIKYUが川湯温泉駅からこの列車に乗車(今秋川湯温泉駅発着の列車設定はありません)した際には、網走方面から釧路へ向かう一本前の列車を川湯温泉駅で下車した後、川湯温泉駅始発となる定期列車置き換えのノロッコ列車発車時間まで時間が空く事もあり、この時間を利用して川湯温泉の温泉街まで足を運んでいました。

 
川湯温泉はJR駅と温泉街が離れており、徒歩で両者を移動するには厳しく、時刻表を見ると一応主要駅と感じられる川湯温泉駅(ワンマン列車の下車時には、運賃は車内支払い)や駅前は閑散としており、如何にも北の大地と言った雰囲気が漂っています。

駅名も「川湯温泉口」にでもした方が…と感じる程で、有名な川湯温泉以外に駅近くにも「川湯駅前温泉」が存在する様です。

川湯温泉駅~川湯温泉間のアクセスとしては、片道所要約10分・280円の路線バスを阿寒バスが運行しており、MAKIKYUはこの路線で初めて阿寒バスに乗車する事になったのですが、列車の運行本数自体が少ない土地柄だけあって、バス便自体も本数は決して多いとは言い難いものです。

ただ列車接続で温泉街へ(から)のアクセスを考慮したダイヤ設定となっており、川湯温泉駅で列車を途中下車し、1本後の列車が来るまでの空き時間に温泉街へ足を運ぶには便利な存在で、バス乗車自体が目的でなくても、存在を知っていれば便利な路線かと思います。

MAKIKYUがこの路線に乗車した際には、往復共に結構古参の部類に入る首都圏中古の路線車、どちらも大都市圏の排ガス規制区域では車検を通らない車両ですので、この手の車両に乗車できるだけでも、個人的には嬉しいものです。


また限られた規模の路線・運行本数や台数で運行している路線となると、往復で同じ車両に当たる事も珍しくないのですが、往復で同じ乗務員の方が乗務していながらも、川湯温泉到着後に車両交換(乗り換え)となっており、行きは日野製中型の前中扉車、帰りは三菱製大型のトップドア車が充当され、装いや出自、車内設備も大きく異なる2種の車両に乗車できた事も、大きな収穫と感じたものでした。


MAKIKYUが乗車した際には、往復共に乗客数は指の数にも満たない状況で、タクシーでも充分と感じる状況でしたが、川湯温泉からの帰路のバスで川湯温泉駅到着後には、臨時トロッコ列車から多くの乗客がバスに乗り継ぐ事もあり、折り返し便は2人がけの座席が相席になる程の盛況ぶりで、大型車の威力発揮と感じさせる状況でした。


この大型車は元事業者では空港リムジン用などに導入された事もあり、路線車にしては結構豪華な設備を誇っているのも特徴で、阿寒バス以外にも幾つかの地方事業者で第2の活躍をしていますが、片道僅か10分程度の路線で充当するには勿体無いと感じ、もっと足の長い路線に充当しても…と感じる程でした。

観光車よりも路線車の方が好きなMAKIKYUとしては、この車両は座席にリクライニング機能こそ付いていない(日本一長い路線バスとして取り上げられる事もよくある奈良交通・八木新宮線(近鉄大和八木駅~十津川経由~JR新宮駅)でも、専用車の座席にリクライニング機能はありません)ものの、座席数も比較的多い車両ですので、釧路~羅臼間の長距離路線にでも充当してくれれば是非…と感じたものです。

日頃首都圏に身を置くMAKIKYUは、川湯温泉は滅多に足を運ぶ機会のない所ですが、機会があればこの車両にも再び巡り合えれば…と感じたものでしたが、結構な古参車と言う事もあってか、ネット上の情報では残念ながら今年廃車になってしまった様です。

ちなみに川湯温泉の温泉街にある「温泉」は、大半が温泉旅館などに設けられたものですが、川湯温泉のバス営業所(バス終点)からも徒歩数分(少し手前のバス停からはすぐです)には、鄙びた雰囲気の公衆浴場もあり、こちらは料金も割安です。


川湯温泉の温泉水は、強酸性で口に含むと凄まじい味がする非常に特徴的なもので、この公衆浴場の近くには足湯(無料)もありますので、バスの折り返し時間に多少の余裕があれば立ち寄り湯もおススメです。


苫小牧市予約運行型バス「樽前ハッピー号」~市営バス移譲路線もこの路線だけは…

2012-11-07 | バス[北海道]

先日「MAKIKYUのページ」では、苫小牧市内を走る道南バスの旧苫小牧市交通部(苫小牧市営バス)移譲路線に関する記事を取り上げましたが、現在苫小牧市内を走る市営バス移譲路線に関しては、大半の路線が民営移管後もほぼ市営バス時代の車両や運行形態を踏襲しています。

しかしながら市内西部の錦西営業所から、樽前山の麓にある北樽前までの区間を運行していた錦西樽前ガロー線(樽前線やガロー線と呼ばれる事もよくあります)だけは、道南バス移管時に従来通りの運行形態を踏襲せず、樽前ハッピー号と名付けられた予約運行型バスとして再出発しています。

先月MAKIKYUが苫小牧を訪問した際には、この樽前ハッピー号にも乗車する機会がありましたが、この路線は沿線人口も限られ、市営バス時代も運行本数が少ない路線だけあって、大半の区間で自由乗降区間が設定されるなど、閑散路線の典型とも言える状況だった様です。

そのため沿線にある樽前小学校(苫小牧市内で唯一学区外からの通学が認められている小学校で、学区外の市内各地からも児童がバスで通学します)の通学時間帯に当たる便などは、定時運行路線として運行するものの、それ以外の昼間時間帯などに運行する便は予約制として、基本的には前日昼までの電話による事前予約が存在しない場合は運休する予約運行型バスに改められています。

予約運行便も休日ダイヤでは、錦岡方(錦西営業所・錦岡駅・駒沢大学など)から定時運行便で北樽前まで向かい、折り返しの便ですぐに引き返す事も出来るのですが、平日ダイヤでは片道は予約制の便を利用しないと乗車が困難です。
(予約者が存在しない時は、定時運行便への運行車両を回送させるダイヤもありますので、このダイヤの回送区間だけでも定時運行化(回送区間から外れる停留所のみ予約制継続)にして頂ければ…と感じます)


この様な路線ですので、ふらりと訪れて乗ろうとしても、予約制の便に予約が入ってなければ運休と言う余所者泣かせの路線になっていますが、白樺の並木が続く道を走り、樽前山を望む車窓は北の大地・北海道ならではの雰囲気を存分に感じる事ができ、旧苫小牧市営バス路線の中で車窓景観の良さはトップクラスかと思います。


MAKIKYUが苫小牧を訪問したのは平日で、それも樽前ハッピー号の予約制運行便の電話予約もしていない状況でしたが、訪問日は北樽前方向へ向かう予約制運行便(折り返しは定時運行便)に予約が入っており、運行が確定していた事(結局予約者は現れずに、乗車予定停留場の発車予定時刻を超過し、乗客はMAKIKYUだけという状況だったのですが…)もあって、予約リストに乗客追加と言う形で対応して頂きましたので、当日でも錦西営業所に問い合わせれば、予約制運行便に乗車できる可能性もあります。
(この方法は事前に他乗客による予約が入っている場合のみ有効で運次第ですので、樽前ハッピー号に確実に乗車したい場合は、事前に予約を済ませておくか、休日ダイヤ運行日の定時運行便を狙うに越した事はありません)

この樽前ハッピー号は予約運行型バスへの変更と共に、苫小牧市の施設等で運行していた送迎バス類も統合した形態となっているために、定時運行便や予約制運行便で各施設等の停留場で乗降の予約が入っている場合には、施設内へ乗り入れる様に路線設定も改められ、運賃設定も市営バス時代より若干割安に設定されています。

樽前ハッピー号では各種ワンマン設定(合成音声による車内放送や、整理券発行機と連動した運賃表示)を行っていないため、停留所名放送は流れず、カード利用時(旧トマッピーカード・道南バスカードの双方が利用可能です)における運賃収受も、乗務員による手入力となっています。

車両面でも従前の樽前線で使用していた大型路線車(基本的には他路線と共通の路線車ですが、トップドア車が充当される事も多かった様です)では運行が困難になり、乗降客数も学区外の市内各地から通学する小学生(概ねマイクロバス1台の着席定員程度)を除くと、数が限られる事もあってか、中型車による運行となっています。

旧苫小牧市営バスではかつて中型車を保有し、樽前線でこの車両を走らせていた事もあった様ですが、晩年路線車は大型車のみになっていましたので、道南バス他所で用いていた中型車を錦西営業所に移籍させて樽前ハッピー号に充当しており、苫小牧市営バス移譲路線では今の所唯一、緑色の道南バス色のバスが走る路線にもなっています。

 
MAKIKYUが樽前ハッピー号に乗車した際には、日産ディーゼル製の中型トップドア車が充当され、平成12年式でホイールパーク式サイドブレーキやフィンガーコントロールシフトを装備しています。


座席も2人がけのハイバックシートがズラリと並び、自家用バスに近い雰囲気があり、結構ハイグレードな車両に感じられますが、これだけの車両で、この地にしては新しい部類に入る車両にも関わらず、未だに冷房を装備していない非冷房車というのは非常に大きな特徴です。

北海道各地の路線バスを利用しても、今日道南バス以外で非冷房車に当たる事は稀(道南バスでは既存路線・苫小牧市営バス移譲路線共に非冷房車はまだ数多く、北海道では鉄道も札幌圏以外の普通列車では非冷房車が当り前の様に走っているのですが…)ですので、こんな車両は日本中を探しても、道南バス以外には一体どれだけ存在するのかという代物で、夏場でも窓を開け放てば何とか暑さを凌ぐ事ができ、冷房が必要な時期が短い土地柄とは言えども…と感じます。


また樽前ハッピー号はこの車両以外にも、いすゞ製中型車が充当される事もある様で、MAKIKYUが錦西営業所に立ち寄った際には、車庫内に留め置きされていたものの、北海道から帰還する際に乗車した札幌~函館間のJR列車(特急スーパー北斗号・その後特急スーパー白鳥号~新幹線はやて号に乗継)で錦岡を過ぎて樽前山を望む区間で、この車両が走っている姿を目撃していますので、日によってはこちらに当たる事もある様です。
(このいすゞ車は冷房車の様ですが、夏場にはこちらを優先的に用いているのか否かも気になります)

樽前ハッピー号は苫小牧市内の中でも外れの地域を運行しており、遠方からの観光客が訪れるようなエリアでもない上に、運行ダイヤなども踏まえると、道外の人間が乗車する機会は非常に稀な路線かと思いますが、「MAKIKYUのページ」をご覧の皆様方も錦岡周辺を訪問する機会がありましたら、是非樽前ハッピー号への乗車を検討されては如何でしょうか?


苫小牧市内を走る道南バス(市営バス移譲路線)~社名表記こそ変わったものの…

2012-11-02 | バス[北海道]

先月MAKIKYUが北の大地・北海道へ出向いた際には、苫小牧在住の知人訪問を兼ねていた事もあり、苫小牧市内で路線バスにも乗車する機会がありました。

苫小牧市内の路線バスは、今年春までは主に苫小牧市交通部(市営バス)が運行しており、他に市外からの郊外路線を道南バスやあつまバスが運行、他に札幌行き高速バス(北海道中央バス高速とまこまい号/道南バスハスカップ号・共に整理券方式運賃後払いの座席定員制)に市内区間のみでも路線バス感覚で乗車可能ですが、苫小牧市営バスは今年3月限りで永年の歴史に幕を下ろした事は、ご存知の方も多いかと思います。

近年全国各地で公営バスの廃止・民営移管が相次ぎ、北海道では苫小牧市営バスの民営移管で公営バス(廃止代替などを除く)は全廃、いわゆる市営バスの北限は本州の青森市営バスになってしまいましたが、苫小牧市内を主管していた市営バス路線は、市営バス運行末期には錦西営業所の受託運行を行っていた道南バスに移管されています。

道南バスと言うと、緑系の装いのバスを思い浮かべる方が多いかと思いますが、市営バス移譲路線は運行形態が変わった錦西樽前ガロー線(錦岡駅・錦西営業所~北樽前)を除くと、現段階で道南バス塗装のバスは走っておらず、市営バス時代と同じクリームと赤色の装いを堅持しており、事業者名表記の「苫小牧市営」部分に上から「道南バス」の社名と社紋(苫小牧在住の知人は、このマークを大賞賛しているのですが…)のステッカーを貼り付けただけとなっています。

路線自体も錦西樽前ガロー線を除くと、暫くの間は市営バス時代と運行時刻なども含めて変わらず、車内放送も「市営バス」部分を「道南バス」に差し替えただけ、市営バス時代に発売しており、MAKIKYUの手元にも使い残し残額があるトマッピーカード(市営バス専用カード)も、市営バス移譲路線では従来通り使用可能であるなど、昨年MAKIKYUが苫小牧で市営バスに乗車した際と大差ない印象を受けたものです。

苫小牧市営の約2倍程の規模を誇り、やはり3月で事業終了となった呉市営バスが、事業終了が近づいた頃には回数乗車券を発売停止(PASPYは通用)・移管後の広島電鉄では通用対象ではなく、広電に移管されて半年程度でも、既に市営バス塗装車が…という情報をネット上で見ると、道南バスと広島電鉄の対応は対象的な気がします。

苫小牧では市営バス移譲以前からの道南バス郊外路線(苫小牧~新千歳空港・登別温泉など)が存在し、この路線では市営バス時代から通用した一部乗車証や、トマッピーカード・通学用バスカードなどが通用せず、市営バス移譲路線と乗車券類の扱いが一部異なる事等を踏まえると、コスト削減に加え、誤乗防止という点でも有用なのかもしれません。
(今までの道南バスカードが、市営バス移譲路線でも通用する様になり、移譲路線で発売・通用するバスカードも、一部の高割引券種を除いて道南バス既存路線で通用する様になったのは、利便性向上という点で大いに評価できますが、トマッピーカードは道南バスの既存路線で使えませんので要注意です)


車両面でも苫小牧市営名物だった5Eトップドア車などは見かけず、古参車の一部などが処分されると共に、新開の苫小牧営業所(旧交通部)と錦西営業所で車両と人員の移動が生じ、錦西では減車・減ダイヤになった様ですが、錦西樽前ガロー線以外はほぼ現状維持という状況ですので、今や日本で道南バス以外では滅多に…という非冷房車もまだ結構活躍しています。

 
その中には平成元年頃に導入された床が板張りの車両や、リクライニングシートのトップドア車も紛れており、趣味的には非常に注目の存在ですが、毎日利用するとなれば夏場は…という感もあり、現場の乗務員氏も大変な気がします。

 
他にも苫小牧市営バス時代に中古車両として導入された首都圏移籍車(旧局番300番台・三菱1台を除きいすゞ車)も大活躍しており、今や排ガス規制区域では乗車が叶わないU-LV324Kがゴロゴロ…というのも、趣味的には嬉しいものです。


非冷房車や首都圏移籍車以外に、低床車が本格的に出回りだした時期に苫小牧市が導入し、導入当時の地方路線バスにしては画期的な存在だったワンステップ車も時折活躍し、1台だけの虎の子的存在になっているノンステップ車(苫小牧駅前のバスターミナル入線禁止になっている様で、運用上は扱い難い様です)にも遭遇できました。


しかし比較的程度が良好なワンステップ車などでも、サイドブレーキがホイールパーク式の車両は…という状況で、首都圏などの大都市圏では同年式車がお払い箱という現状を踏まえると、今後旧年式車の中でも状態の良くない車両や、サービス面で大問題を抱えていると言っても過言ではない非冷房車などは、中古車導入などで多数退役車が出ても不思議ではない気がします。

中古車導入などで車両代替が行われるとすれば、錦西樽前ガロー線以外の市営バス移譲路線で道南バスカラーのバスが走り始める可能性も濃厚かと思いますし、道南バス旧苫小牧営業所が廃止され、旧交通部に統合されている事を踏まえると、今後従前からの苫小牧営業所所属車両との運用共通化などの動きが生じてくるのかも気になる所です。


イオン苫小牧店への無料送迎バス~首都圏で見慣れた特徴ある車両が…

2011-12-01 | バス[北海道]

10月末にMAKIKYUが北海道の苫小牧を訪問した際には、市内を走る苫小牧市営バスの他に、柳町にあるイオン苫小牧店(苫小牧駅~沼ノ端駅の中間辺りに位置し、道南バスの車庫がすぐ近くにあります)の無料送迎バスにも乗車したものでした。

この無料送迎バスは苫小牧市内や周辺地域で路線バスを運行する苫小牧市営バスや道南バスなどではなく、フジタバスと呼ばれる中小事業者が、苫小牧駅前~イオンSC間を平日1時間毎で運行(土休日は増便・早朝深夜の運行はなし)しています。

イオンへの買物客輸送目的で走らせているために途中下車はできませんが、無料で乗車する事ができ、無料と言う事もあってか立席客が多数発生するなど、かなりの盛況振りでした。
(イオン周辺は他に有料の札幌~苫小牧間高速バス(苫小牧駅~イオン間のみでの乗車も可能)や、市営バス・あつまバスなどの一般路線バスも走っています)

この無料送迎バスでMAKIKYUが乗車した車両は、東京都内で活躍していた路線バスの中古車で、行先表示幕部分には「イオン無料送迎バス」というステッカーが貼られ、ミラーも大型のモノに取り替えられています。

とはいえ装いは首都圏で活躍していた頃のままとなっていますので、ナンバープレートとステッカー、ミラーを別とすれば、足立区辺りで活躍する路線バスと錯覚する程で、とても北の大地で活躍するバスという雰囲気ではありません。

またこの車両が導入された頃はまだ低床ワンステップ車は少数派でしたが、その事をPRする狙いもあってか、前面が黒く塗装された特徴的な装いもそのままで、車内も一般路線車にしてはやや高級なハイバックシートがモケットまでそのままで使われているなど、元事業者でこのタイプの車両が姿を消した今日では、往時の姿を色濃く残す車両としても注目の存在と言えます。

フジタバスではこの他に、リムジンバスで活躍していた日野SELEGAも社名部分を張り替えるなどの軽微な改造で走らせ、こちらもイオンの送迎バスに充当されている姿を目撃しています。

ちなみにこのバスの目的地となっているイオン苫小牧店は、苫小牧市交通部車庫(新開)からも徒歩で10分足らずの箇所に位置しており、現在柳町のイオン周辺幹線道路沿いは結構栄えている印象があります。

バスターミナルもある苫小牧駅周辺は、地方都市の恒例とも言える中心市街地空洞化で閑散としている事等も踏まえると、イオンやその周辺で買物してから交通部へ足を運び、終焉が迫る市営バスを視察するといった利用方法も有用です。

「MAKIKYUのページ」をご覧の皆様方も苫小牧へ足を運ぶ機会がありましたら、市営バスと共にこの無料送迎バスにも注目されると面白いかと思いますが、如何でしょうか?


まもなく終焉を迎える苫小牧市営バス(4)~トップドア車編

2011-11-29 | バス[北海道]

「MAKIKYUのページ」でここ数日取り上げ、まもなく終焉を迎える苫小牧市営バスですが、現在使用している車両は路線バスで一般的な前中扉の路線車が主流を占めるものの、他に前ドアのみの車両(トップドア車)も活躍しています。

苫小牧市営バスでは一般路線だけでなく、貸切事業も行っている為に、少数ながら貸切専用車(いわゆる観光バス)も存在しています。

 
こちらは事業縮小の関係で一部車両が売却された事もあり、純粋な貸切専用車は僅かに残存するだけとなっており、MAKIKYUが交通部(新開)を訪問した際には、2台の貸切専用車は共に車庫内に駐車している状況でした。

そして苫小牧市営バスの中で最も特徴的で、趣味的にも注目と言えるのが、一般路線と貸切・契約輸送用途の双方に使用可能な貸切兼用車の存在で、このタイプの車両は殆どが交通部所属となっています。

貸切兼用車の中で比較的新しい車両は、主に観光・高速バスで使用される日野SELEGAとなっており、北海道では事業者によっては高速バス用車両を一般路線に充当したり、苫小牧市内では札幌行き高速バスが市内区間のみで利用可能である事などを踏まえると、さほど驚く事でもないかもしれませんが、SELEGAでは非常に珍しい非冷房車が存在する事は注目です。


貸切兼用のSELEGAは3台在籍しており、MAKIKYUが交通部を訪問した際には3台全てが車庫内に駐車している状況(その後市内で契約輸送に従事している姿も目撃しています)でしたが、その内写真の車を含む2台が非冷房車との事で、夏場に窓を全開にして走る姿も一度見てみたいものです。


貸切兼用車は他に一般路線車タイプも存在しており、こちらは富士重工製車体にいすゞ製の下回りを組み合わせたもので、一般路線車でもエアサス標準の苫小牧市営バスですので、当然ながらエアサス車ですが、今日でも多数が活躍する7Eボディでも、決して新しい車両でない事もあってか、非冷房車となっています。


そして最も注目の存在と言えるのが、最近では地方へ足を運んでも見かける機会は少なくなった富士重工5Eボディの貸切兼用車で、古参車だけあって廃車が進み数を減らしていますが、今日でも1987年(昭和62年)式105・106号車の2台が在籍しています。


交通部を訪問した際には、交通部職員の方の好意で106号車の車内も見学できたのですが、車内は後に座席を交換したらしく、古さを感じさせず綺麗な印象を受けたもので、座席はリクライニング機能も装備しています。

また105号車は、貸切兼用車としては例外的に錦西営業所に配置され、錦西営業所で最も年式が古い車両であると共に、特異な車両として注目を集めており、他の一般路線車と共に一般路線で活躍しています。

MAKIKYUが苫小牧を訪問した日には、105号車は残念ながら稼動しておらず、その姿をカメラに収める事も叶いませんでしたが、帰路に札幌から函館へ向かうJR特急列車(スーパー北斗号)に乗車した際には、錦岡を過ぎて車窓右手に樽前山を望む雄大な景観と共に、樽前ガロー線に充当されている姿を目撃できたもので、古参車ながらも健在振りを目にする事ができたものでした。

現在苫小牧市営バスでは、一般路線用の2扉車で5Eボディ車は全廃されており、この点だけでも105・106号車の存在は非常に注目ですが、おまけに5Eボディで長尺トップドア車、おまけに豪華なリクライニングシートを装備するにも関わらず、非冷房車となると、日本全国のバスを探しても他に同種のバスが存在するのだろうか?という珍車で、交通部の方から実際に以前106号車を指定しての貸切依頼があったという話も聞いた程です。

MAKIKYUは随分前にフェリーで渡道し、フェリーターミナル~苫小牧駅間で市営バスを利用した際には、このタイプの車両(車番未確認)に乗車した記憶がありますが、先月苫小牧市営バスを利用した際には残念ながら105・106号車に乗車する事は叶いませんでした。

また105号車は快適なリクライニングシートを装備し、混雑時に立席乗車になると通路が狭く、大変な事を除くとかなりの乗り得車両である反面、知人によると座席配置やドアが1箇所しかない事が災いし、乗降に時間を要する事から充当可能なダイヤが限られており、使い勝手は余り良くない上に、経年車故に草臥れた部分も見受けられるとの事でした。

最古参の経年車でおまけに非冷房車、路線車としての使い勝手が芳しくない事なども踏まえると、いつ退役を迎えても不思議でない車両ですが、来年春の道南バス移管後も継承されて使い続ける事になるのか気になる所です。


まもなく終焉を迎える苫小牧市営バス(3)~移籍車両編

2011-11-25 | バス[北海道]

先日「MAKIKYUのページ」では、苫小牧市営バスで活躍する路線車に関して取り上げましたが、今日はその続編として、他事業者から移籍した車両に関して取り上げたいと思います。

苫小牧市交通部では、平成11年を最後に新車導入がストップしているものの、その後も老朽車淘汰の為に車両代替は必須となる事から、新車導入終了後は毎年の様に他事業者からの中古車両を導入しています。

現在その数は30台を越え、市営バスで活躍する路線車の3分の1以上が他事業者からの移籍車両という程ですので、結構な頻度で遭遇しますが、移籍車両は道南バスに運行委託している錦西営業所に配属される割合が高くなっています。

市営バスにおける移籍車両の特徴としては、まず局番に新車で導入した車両とは異なる300番台の番号が割り当てられ、関東鉄道バスの9000番台が割り当てられている車両などと同様に、振番ルールさえ知っていれば、誰でも容易に移籍車である事が見分けられる事が挙げられます。

また苫小牧への移籍前は、皆首都圏で活躍していた車両ばかりで、現段階では首都圏と共に排ガス規制による特定地域に指定され、地方へ多数のバスが移籍している阪神地区や中京圏の車両は存在していません。

車種も大半はいすゞ製の大型短尺車になっている事が挙げられ、新車で導入された車両は長尺車ばかりなのとは対照的です。

冬場の運転性にはやや難がある様ですが、元々首都圏で使用していた車両だけあって全て冷房装備となっており、苫小牧市営バスの冷房車比率向上にも大きく貢献しています。


最初の移籍車は元東京都交通局(都営バス)の車両で、富士重工製車体のいすゞ車ですので、巣鴨か深川のいずれかで活躍した車両かと思いますが、苫小牧市営バスで中扉4枚折戸となっているのは、今の所はこの元都営バスのみです。
(苫小牧市内では道南バスにも中4枚扉の移籍車両が在籍し、MAKIKYUも姿を目撃していますが、こちらは本州の民間事業車からの移籍車両です)

都営バスが地方への中古バス転売を中止した後は、川崎市交通局や国際興業の中古車両が多数導入されており、これらは苫小牧市営バスでかなりの勢力を誇るまでになっています。

 
阪神地区などからの移籍車は存在しない事から、西日本車体工業(西工)製こそ存在しないものの、富士重工製車体(7E)と純正(キュービック)の双方が存在し、川崎市営から移籍した車両の中には、両者が混在しています。


これらの中には、導入当初は少数派だった逆T字窓(最近のバスはこのタイプばかりですが…)の車両や、ワンステップ車(最近のワンステップ車より床面が10cm程高く、ステップの段差はやや大きいです)も含まれているのが特徴です。


比較的最近になって移籍した車両は、大都市圏での淘汰対象がV8エンジン搭載車になっている事から、MAKIKYUの中ではまだ新しいバスと言う印象があるKC-LV380Lなどが導入されていますが、国際興業からの移籍車はV8エンジン搭載車でもリーフサス(板バネ)で2段窓、2段ステップ車でシフトレバーもロッド式であるなど、年式の割には…と感じてしまう気がします。


最も最近導入された移籍車は、京浜急行バスで活躍していたキュービックのバリアフリー対応ワンステップ車で、サスペンションもエアサス(空気バネ)を装備するなど、デザイン的には型落ちの印象が否めないとはいえ、最新の新車に見劣りしない接客レベルを備えた車両と言えます。

移籍車は主に錦西営業所に配置される傾向があるものの、苫小牧市営バスでは比較的新しいV8エンジン搭載車は、大半が交通部所属となっており、特に最新導入車の元京急ワンステップ車は、導入された2台共に交通部所属となっています。

そして忘れてはならないのが、309号車と呼ばれる川崎市営バスからの移籍車両で、いすゞ車ばかりの移籍車群に混じり、1台だけの移籍三菱エアロスターMとなっており、苫小牧市営の三菱車で唯一のリーフサス車にもなっています。


この車両は錦西営業所に所属し、新車で導入された三菱車は全て交通部所属という事もあって、錦西営業所で唯一の三菱車と言う事でも注目の存在と言えますが、MAKIKYUが苫小牧を訪問した際には、偶然駅前のターミナル待機場に停車している姿を目撃できたものでした。

苫小牧市営バスに関しては、一般路線用とは異なる特殊用途の車両に関しても、近日中に別記事で取り上げたいと思います。


まもなく終焉を迎える苫小牧市営バス(2)~古株一般路線車編

2011-11-22 | バス[北海道]

先日取り上げた苫小牧市交通部(市営バス)ですが、平成11年までは新車が導入されており、公営交通だけあってか車両は国産4メーカー全てが導入されていますので、車両のバラエティは結構豊富で、趣味的にはなかなか面白いものです。

 
車体長が長く、後部ウインカー・ブレーキランプが厳つい印象のバスが多いのは、北の大地を走る路線バスならでは…という印象があり、新車で導入された車両は基本的にエアサスを装備し、平成9年頃に導入された車両でもワンステップ低床車が導入されると共に、バーコード読取式運賃箱やバスカード(トマッピーカード)を比較的早期に導入されるなど、比較的進んだ印象を受ける一面もあります。


ただ土地柄もあってか、ノンステップ車は交通部所属の三菱製1台だけで、この車両が導入されて以降は新車導入がストップし、以降の車両代替は大都市圏中古車導入によって賄われていますので、現在の他事業者移籍車数は30台を越える程になっています。

 
一方比較的冷涼な土地柄が影響してか、平成7年までに導入された車両は、今日の日本国内における路線バスでは少数派の非冷房車となっており、非冷房車が数多く走る点も趣味的に注目です。

また新車で導入された三菱ふそう製車両は皆交通部に終結しており、錦西営業所所属の新車導入車両は他の3メーカーばかりになっています。

ちなみに先月MAKIKYUが苫小牧を訪問した際に会った知人は、現在この市営バス運行に携わっており、MAKIKYUも知人が運転するバスに乗車したものでしたが、MAKIKYUの苫小牧訪問日に乗務していたバスも、全国的には数少なく、苫小牧名物とも言える非冷房車の71号車でした。

 
富士重工7Eボディに、いすゞ製下回りを組み合わせた71号車は、デザイン的にはさほどの古さを感じないものの、車齢20年を越えたP-規制車(P-LV214N)だけあって、よく見ると結構古さを感じたものです。


苫小牧市営バスでは、この71号車をはじめ、比較的古参の車両は床が昔ながらの板張りとなっている点も特徴で、シフトレバーもロッド式でしたが、一方で市内バスにしてはやや豪華なハイバックシートが装備され、その座席モケットは「トマッピー」のキャラクター入りデザインとなっていたのも興味深いものでした。

北海道を走る2段ステップの路線車では、床が板張りの車両が今でも結構活躍しており、先月MAKIKYUは道内他都市でも床が板張りのバスに当たっていますが、「床が板張りの非冷房車」は全国的にもかなり希少で、趣味的には興味深い反面、知人によると夏場は結構シンドイとの事でした。


また苫小牧市営バスでは現在、行先表示は全てLED式に改められているのですが、中には前面表示で名産のホッキ貝をイメージしたイラストが表示される「ホッキフェスタ」の表示(側面は文字表示のみ)もあり、知人に頼んで普段なかなか見れないこの表示も出してもらったものでした。

苫小牧市営バスでは他に少々特殊な車両や、他事業者からの移籍車両も多数活躍しており、こちらに関しては後日別記事で取り上げたいと思います。


まもなく終焉を迎える苫小牧市営バス(1)~駅前に構えるターミナル

2011-11-19 | バス[北海道]

先月末から今月初めにかけて、MAKIKYUは北の大地・北海道へ出向いていましたが、最大の目的地は苫小牧で、以前職場で同僚だった知人を訪問すると共に、まもなく終焉を迎える苫小牧市営バス(苫小牧市交通部)に乗車し、その姿をカメラに収めて来る事でした。

苫小牧市営バスは現在車庫を市内2箇所に構え、90台弱の車両を保有・運行して市内路線バスの大半を担っていますので、地方都市の市営バスにしてはそこそこの規模を誇っています。

約半数の車両が交通部(新開)に所属し、残りの半数は民営委託(道南バス)の錦西営業所(錦岡)に所属していますが、来年春で現在錦西営業所の受託運行を行っている道南バスに全面移管される事が確定しており、これにより北海道では公営バスの歴史に幕を下ろす事になります。
(北海道では比較的近年まで札幌と函館でも市営バスを運行しており、MAKIKYUも以前乗車した事がありますが、どちらも電車運行は続いているものの、バス部門は民営移管されて消滅しています)

また苫小牧は酷寒の北の大地だけあり、冬の気候は極めて厳しく、各交通機関にも影響が及ぶ事もしばしば…という事で、この時期の訪問は避けたい事や、知人からの訪問要請なども踏まえると、今年中には何とか訪問を…と思っていたのですが、東日本大震災やその他の個人的事情により、先月末にようやく訪問できたものでした。

  
この苫小牧市営バスは、苫小牧駅前に乗車券売り場や待合室、バス待機所も設けた比較的大規模なターミナルを構えており、なかなか壮観ですが、運行本数の割には設備過剰な印象があり、おまけに地方都市の典型とも言える駅周辺の中心市街地空洞化も影響してか、やや寂しい雰囲気が漂っているのは残念な限りです。

 
このターミナル内にある待合室には、永年の市営バスにおける軌跡を振り返る写真展示なども行われており、まもなく市営バスが終焉を迎える事を強く実感させられたものでしたが、最後まで無事に地域の公共交通としての役割を果たす事を願いたいものです。

現在活躍中の市営バス車両に関しては、近日中に別記事で取り上げたいと思います。


函館の街を走るAEROSTAR ECO HYBRID~道内では勿論初登場の最新鋭車ですが…

2008-07-22 | バス[北海道]

先日MAKIKYUが北海道へ出向いた際には、時間の関係で街中をゆっくりと廻る事は叶わなかった(函館は他の道内各都市に比べてかなり近く、首都圏から列車で1泊2日の日程でも難なく行けますので、機会があれば別途函館を訪問する旅行もしたいものです)ものの、札幌へ向かう往路は函館駅で途中下車しており、乗継時間の合間に指定席券発券や青春18きっぷの購入を済ませると共に、駅前を発着する市電や路線バスを視察していました。

函館市内を走る路線バスは、以前は函館市交通局(函館市営)と函館バスの2事業者が存在していましたが、近年函館市営は路線バスから撤退し、路線を函館バスに移管すると共に、かつて東急グループの一員であった函館バスは、東急グループから離れて函館市が新たに出資する新体制で再スタートを切っており、現在市内や近郊を運行する一般路線バスに関しては、函館バスに一元化されています。

函館バスはかつて東急グループであった事から、車両の塗装は東急バスと同様の銀色に赤帯を纏った装い(比較的長距離の路線などで、異なる塗装の車両も走っていますが…)となっており、東急グループを離れた現在でもこの塗装を用いていますが、東急バスからの移籍車両も数多く走っている事から、首都圏の人間にとっては、はるばる北の大地へやって来たはずなのに、見慣れたバスが街中にゴロゴロ…という状況になっています。

ただ東急バスからの移籍車両や、函館市営バス撤退によって路線と共に移管となった車両だけでなく、新車の導入もそれなりに行われており、これ自体は特に驚くことでもないのですが、函館駅前でMAKIKYUが見かけた車両の中には、三菱ふそうAEROSTAR ECO HYBRID(エアロスター エコ ハイブリッド)の姿も見られました。

この車両はモーターを動力源としており、発電用エンジンを搭載すると共に、制動(ブレーキ)時のエネルギーも再活用する仕組みのハイブリッド車両で、メカニズム的には昨年小海線に登場して注目を集めたJR東日本の新型ハイブリッド気動車・キハE200形「こうみ」などを連想しますが、見た目こそ天然ガスノンステップ車などと大差ないものの、発進時にも通常の路線バスとは全く異なり、トロリーバスの如く静かに発進(MAKIKYUはまだ国内のトロリーバスには乗車した事がありませんので、大陸を走るトロリーバスを連想しての話ですが…)して行きましたので、通常の路線バスとは別格とも言えるこの車両が、函館の地を走っている事には驚いたものです。

ちなみにこの車両は、MAKIKYUもまだ試作車(AEROSTAR HEV)として導入された遠州鉄道(静岡県)の車両に一度乗車しただけで、車両価格が非常に高額となる事もあってか、両者合わせても全国的にまだ導入事例が少ない希少な車両です。

北海道では勿論この函館バスが導入1例目となっている様で、その事を誇らしげに側面に告知している状況でしたが、函館バスで走り始めたAEROSTAR ECO HYBRIDの今後の活躍を期待すると共に、冬の寒さが厳しい北の大地においても、この特殊な車両が適応していけるのか否かも気になる所ですが、函館の街をゆっくりと廻る機会があるならば、その際にはこの車両にも是非乗車してみたいと感じたものです。


十勝バス・広尾線~かつて「愛国から幸福ゆき」の縁起きっぷで知られた路線は…

2008-07-19 | バス[北海道]

   
 

昨日ジェイ・アール北海道バスの日勝線に関する記事を取り上げましたが、今日はMAKIKYUが日勝線のバスを終点の広尾で下車した後、帯広へ向かう際に乗車した十勝バス・広尾線に関して取り上げたいと思います。

帯広~広尾間はかつて国鉄広尾線と呼ばれるローカル線が走っており、この路線の途中には「愛国」「幸福」をはじめとする縁起の良い駅名が幾つも存在した事でも知られていますが、これらの駅名が並んだ乗車券が一時期大ブームになった(MAKIKYUはこの頃の事は知らないのですが…)とはいえ、国鉄末期の大赤字の中では不採算線区の一つである事には変わりがなく、国鉄広尾線はJR北海道に引き継がれる事はなく、1987年の国鉄民営化直前に残念ながら廃止されています。

そのため昨日取り上げたジェイ・アール北海道バス日勝線(旧国鉄バス)も、鉄道の終点間を結ぶ鉄道連絡路線ではなくなっていますが、廃止された広尾線の代替交通機関としては、帯広を中心に十勝一帯の路線バスを手がける十勝バスが、国鉄廃線後20年以上を経た現在に至るまで、帯広~広尾間の路線バスを運行しています。

現在系統番号60番が付けられているこの路線は、十勝バスでも広尾線と呼ばれ、かつては快速便なども存在した様ですが、現在は普通便のみの運行となっており、80km強に及ぶ帯広~広尾間を、2時間以上かけて走破しています。

そのため一般路線バスとしては比較的長距離の部類に入り、十勝平野の広大な農村風景の駆け抜けるこの路線はなかなか乗り応えがありますが、車窓風景に加えて「○○□号線」(○は地名・□は数字が入ります)といった停留所が幾つも続く様は、如何にも北海道ならではと感じさせられるものです。

運賃も全区間を乗り通すと1830円を要し、十勝バスでは回数券も1乗車1人3枚までしか使用出来ないのは少々手痛い感がありますが、運行本数は1日14往復(但し土休日運休の便もあり)が運行され、広尾発の始発は5時台、帯広発の終車も21時頃(広尾到着は23時過ぎになります)となっており、土地柄を考えるとかなり健闘している部類に入ると言えます。

現在使用されている車両も、十勝バスではお馴染みの黄色い塗装の車両ではなく、「南十勝夢街道」と書かれ、虹をイメージした専用塗装の車両が用いられています。

この車両は一般路線タイプとはいえ、比較的長距離を運行する事もあって、座席も背もたれが大きく、比較的高級感のある座席(リクライニングまでは付いていませんが…)を装備していますが、車両自体は現在大型車が主力とはいえ、一部で中型車も運用されており、MAKIKYUが乗車した際は中型車による運行でした。

またかつての広尾駅舎も、現在も十勝バスの案内所(十勝バスの終点は別の場所ですが、ジェイ・アール北海道バスの起終点や乗り継ぎはこの場所になります)として活用されており、ここで広尾発の十勝バス定期券や硬券乗車券(朝5時台の始発前から窓口が開きます)も扱っているほか、駅舎内は広尾町鉄道記念館として、国鉄広尾線に関する資料や写真の展示が行われており、鉄道運行当時の改札までそのまま残存している事は嬉しい限りです。

広尾線沿線では他にも幾つかの駅が、今でも姿を留めていますので、今回の旅行では時間の関係もあって立ち寄れず、十勝バス広尾線を乗り通す旅となったのですが、その内また広尾線沿線を訪れる機会があれば、これらも是非訪問してみたいと感じたものです。

あと「愛国から幸福ゆき」の乗車券は、広尾での取り扱いはないものの、現在広尾線を運行する十勝バスでも、硬券による乗車券(勿論券面区間での利用も可能です)を販売しており、帯広駅前にある案内所で購入する事が出来ますので、MAKIKYUも1枚購入して来ました。

この乗車券の地紋は、広尾で記念に購入した新生までの乗車券(広尾で発売している硬券乗車券の中で最も額面の安い乗車券で、係員の方によると記念に購入するケースも多いとの事です)とは異なっており、また十勝バスの回数乗車券もまた異なる地紋を用いているのは特徴的です。
(硬券乗車券は「幸福から愛国ゆき」の方が新タイプの地紋ですが、この地紋の表記は「とかち」と「TOKACHI BAS」(BUSではない)になっているのも特徴です)

写真はMAKIKYUが乗車した広尾線の中型車(帯広駅到着後に撮影したもので、行先表示は回送になっています)と主力の大型車(帯広到着の翌朝撮影したもの)、乗車中のワンシーンと広尾駅舎、十勝バスの硬券乗車券と回数券(赤斜線はMAKIKYUが追加)です。


ジェイ・アール北海道バス・日勝線~かつては鉄道連絡線として運行していた路線ですが…

2008-07-18 | バス[北海道]

  

先日「MAKIKYUのページ」では、MAKIKYUが日高本線で乗車したキハ40形350番台車に関して取り上げましたが、今日は日高本線を終点の様似まで乗り通した後に乗車した、ジェイ・アール北海道バス日勝線に関して取り上げたいと思います。

ジェイ・アール北海道バスというと、札幌圏で多数の路線バスを運行しており、近年では札幌市内を運行していた市営バス一部路線の移管(琴似営業所など)も引き受けていますので、どちらかというと都市型路線を運行している印象が強いですが、札幌圏以外にも現在様似と深川に営業所を構えており、前者は日勝線、後者は深名線(JR線代替路線・運行は道北バスに委託)を運行しています。

日勝線は名前の通り、日高と十勝を結ぶ路線という事で、全国版の時刻表にも掲載されている様似~えりも~庶野(しょや)~広尾間の路線をはじめ、浦河方面の路線も含めた様似営業所管内の一般路線全体がこの路線名となっています。

様似~浦河方面の路線は昼間1~2時間に一本程度と、日高本線よりも運行本数が多く、土地柄を考えると一部区間ではかなり健闘している部類に入るといえますが、今回MAKIKYUが乗車したえりも方面の路線は運行本数も限られ、それも途中のえりも岬や庶野までの区間便も含まれる状況です。

そのため終点の広尾まで運行する便は一日僅か3往復、その内1往復は土休日運休ですので、様似~広尾間をバスで移動するとなれば、これに合わせて旅程を組まないと…という程の状況で、なかなか乗り難い路線と言えます。

かつては広尾で広尾線に乗り換えて帯広まで行けたものの、広尾線も20年以上前に廃線→バス代替(帯広~広尾間は現在十勝バスが代替バスを運行)となっている事や、MAKIKYUが乗車した際は、えりもの市街地を過ぎた後は貸切状態で、終点の広尾まで他に乗客の姿が見当たらなかった事などを考えると、この本数でも止むを得ないという印象を受けたものです。

特に運行本数の少ない庶野~広尾間では、最近トンネルに付け替えられた区間(長いものでは5km程度)もあるものの、海沿いを走る区間も多く、乗り応えも充分と言う感がありますので、機会があれば片道2340円(様似~広尾間を乗り通した場合)という決して安いとはいえない運賃を払ってでも、乗車しておきたい路線の一つですが、MAKIKYUが乗車した日は天気も決して良いとはいえない状況だったのは惜しい限りでした。

ちなみに日勝線で使用されている車両は、MAKIKYUが乗車した際は淡路交通から移籍したモノと思われるいすゞ製の車両(キュービックLV)でしたが、座席は一部が1人がけに改められており、この部分の座席モケットが別物になっているのが特徴的でしたが、車内にも「湯処花ゆずきセットきっぷ」(札幌圏のジェイ・アールバス沿線にある温泉施設の入場券と、バス往復のセット乗車券)の広告が残っているなど、見るからに札幌圏で使用した後に様似へ転属した感じの車両でした。

とはいえMAKIKYUが日勝線に乗車した際には、様似~えりもへ向かう途中で観光タイプの車両(これも時刻を考えると広尾発着)とすれ違っており、その時によって充当される車両は異なる様です。

また様似地区のジェイ・アール北海道バスでは、札幌圏で取り扱っているジェイ・アールバスカードも使用できますので、このエリアでバスに乗車する機会は限られる方でも、札幌圏で時々同社のバスに乗車する機会が…という状況でしたら、バスカードの利用もおススメ(MAKIKYUは道内の人間ではありませんが、今後も札幌圏で時々ジェイ・アールバスを利用する機会がありそうですので、バスカードを利用しました)です。

ただとくとくバスカード(昼間時間帯専用カード)は利用できず、またバスカード利用時は乗車時にもカードリーダーに通す必要(札幌圏のジェイ・アールバスでは整理券を取り、降車時に運賃箱へ整理券を投入してバーコードを読み取らせてからバスカードを挿入)があるなど、札幌圏とは勝手が異なる部分もありますので要注意です。
(余談ながら様似駅~えりも岬間の往復であれば往復割引乗車券の設定もあり、同区間の利用であれば、こちらの利用がオススメです)

写真は日勝線で乗車した車両とその車内の様子、庶野~広尾間での車窓のワンシーン(この区間では、この様な車窓が至る所で見られます)です。