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富士急行6000系「ラブライブ!サンシャイン!!」ラッピング編成

2018-09-11 | 鉄道[甲信越]

数日前MAKIKYUは山梨方面へ出向く機会がありました。

その際には富士急行線で期間限定運行している「ラブライブ!サンシャイン!!」ラッピング編成が丁度良い時間帯に走っており、大月方の短区間だけながらも視察・乗車機会がありましたので、取り上げたいと思います。
(運行時刻は富士急行公式HPに掲載されていますので、上手く時間に合わせる事が出来れば容易に捕獲できます)

 
このラッピングは現在富士急ハイランドで開催されている「ラブライブ!サンシャイン!!」コラボ企画の一環で実施、ラッピングが施されたのは主力車両になっている6000系(元JR205系)の2段窓編成です。

「ラブライブ!サンシャイン!!」のラッピング車両というと、アニメ舞台の近隣を走る伊豆箱根鉄道駿豆線の「HAPPY PARTY TRAIN」が有名で、MAKIKYUは同車にも何度か乗車、「MAKIKYUのページ」でも取り上げた事があります。

  
富士急のラッピング編成はハイランドでのコラボ企画と連動した期間限定という事もあり、「HAPPY PARTY TRAIN」の様な全面ラッピングではなく、既存車両にキャラクターのステッカーなどを貼り付けただけという雰囲気。

ラッピング電車としての見栄えは残念ながら「HAPPY PARTY TRAIN」には遠く及ばないと感じたもので、3両編成で「ラブライブ!サンシャイン!!」の主要キャラクター9名が各車両に3名ずつ配されている点は「HAPPY PARTY TRAIN」と共通しています。

しかしながら「HAPPY PARTY TRAIN」では学年別(三島方から順だと2年生・1年生・3年生)の配置になっているのに対し、富士急のラッピング電車ではユニット別(富士山方から順だとCYaRon!・AZALEA・Guilty Kiss)となっており、これは「HAPPY PARTY TRAIN」とは異なる配置にする事を意図したのか…とも感じたものでした。

・CYaRon!(クモハ6002)
  

・AZALEA(モハ6102)
  

・Guilty Kiss(クハ6052)
  

車内に足を踏み入れると、ドアステッカーは「HAPPY PARTY TRAIN」の様な専用のものではなく従来通りながら、中吊りなどの車内広告掲出箇所は「ラブライブ!サンシャイン!!」一色。

 
某有名デザイナーが関わった車両ならではとも言える車端の暖簾との組み合わせなどは、乗客によってかなり好みが分かれるだろうと感じたものでした。


車内広告も中吊りは富士急ハイランドのコラボ企画で用いているデザインのものがズラリ、戸袋部分の広告掲出欄も富士急行線各駅などに掲出されている広告と同様のものが掲出されています。


これに加えて窓やドアの上にある車内広告掲示欄には、アニメで登場したシーンが各車両50枚程度掲出。

 
その中でも左右両側の前後端に掲出の4枚は、各車両共通のキャラクター9名全てが関わるシーンとなっています。

それ以外は車両毎に外観ラッピングと同一のキャラクター1名、もしくは2名が登場するシーンとなっており、どのキャラクターの登場シーンも2桁ありますので、「ラブライブ!サンシャイン!!」のアニメを一通り見た事がある人物なら結構見応えあるのでは…と思います。

3両合わせると9名登場のシーンも含め150種程あり、MAKIKYUが「ラブライブ!サンシャイン!!」ラッピング電車に乗車した際は大月駅で比較的長い折返し時間がありましたので、全てのシーンを撮影する事もできました。

ただ余りに数が多過ぎて全てを取り上げるのは難しい状況ですので、MAKIKYUの独断の偏見でユニット毎に2名のキャラクターが登場するシーンを1枚ずつ+各キャラクターの特性を表していると感じたシーン1枚ずつを取り上げさせて頂きます。

・キャラ2名登場シーン
  

・CYaRon!(クモハ6002)
 
・AZALEA(モハ6102)
  

・Guilty Kiss(クハ6052)
  

各キャラクターの登場車両を見ると、富士急のラッピング電車と「HAPPY PARTY TRAIN」の双方で先頭電動車に登場するキャラが2名、双方で中間車(電動車)に登場するキャラも1名、そして双方で制御車(モーター無し)に登場するキャラクターも1名居り、これはキャラクターの性格を表現しているのか…とも感じたものでした。
(ただの偶然かもしれませんが…)

また遠方在住などで富士急行の「ラブライブ!サンシャイン!!」ラッピング電車に乗車機会はなさそうなものの、窓やドアの上にある各キャラクターの登場シーンで、特定キャラクターのシーンをもっと見たいという方が居ましたら、Twitterアカウントにて追加公開したいと思いますので、その旨コメントお願い致します。


(お断り)MAKIKYUは一応「ラブライブ!サンシャイン!!」のアニメは一通り見ており、各キャラクターの名前程度は分かりますが、この分野に関しては余り精通していません。
ラッピング電車などの交通関連を除く「ラブライブ!サンシャイン!!」関連のコメントを投稿された場合、内容によっては対応できない可能性もありますのでご了承下さい。


先月実施された新潟駅線路切替工事に伴う特別ダイヤと代行輸送

2018-05-12 | 鉄道[甲信越]

GW期間中は東京メトロ銀座線が渋谷駅線路切替工事を実施、これに伴い一部区間の運休と折返運転が実施され、ネット上では日頃見れない行先や聞けない放送などが話題に上がる一方、不慣れな人物が困惑している事なども散見する状況です。

MAKIKYUは一部区間運休と折返運転実施中の銀座線は利用機会がなかったものの、今後も渋谷周辺では明日(13日)に京王井の頭線で下北沢駅橋脚架け替え工事実施、午前中の一部区間運休・振替輸送とバス代行実施が告知されています。

その後も5月26日(土)~26日(日)・6月2日(土)~3日(日)に今度は JR埼京線・湘南新宿ラインで渋谷駅線路切替工事実施、一部区間運休・並行する山手線を増発と相次いでイレギュラーな特別ダイヤ実施が予定されていますので、この期間に上記の路線を利用予定の方は要注意です。

また渋谷周辺とは話が変わるものの、MAKIKYUは一月程前に新潟へ足を運ぶ機会があり、その際は丁度新潟駅高架化に伴う線路切替工事の実施日でした。

この線路切替工事に伴い大幅なダイヤ変更をはじめ、一部列車・区間の運休とバスによる代行輸送も実施されていました。

 
新潟駅構内では高架化前の最後の姿や、イレギュラーな運行形態の列車をカメラに収めるファンの姿も多数見かけ、越後線の高架化切替前最終列車(写真)の出発を動画に収める人物も散見したものでした。


新潟駅前にはJRが貸切した代行輸送用の観光バスも複数台待機、他に新潟交通の一般路線車も多数代行輸送に充当されており、新潟交通グループの貸切車両は佐渡島からの応援車両(新潟交通佐渡)の姿も見かける程でした。

白新線普通列車は新潟~豊栄間で列車の大幅減便と気動車4両による運行を実施、上り列車は東新潟駅通過という非常に変則的な運行形態となり、特急いなほ号も下りの一部列車を除き運休でした。

 
変則運行の白新線はMAKIKYUも乗車機会があり、乗車した列車はキハ40形(両運転台車)がキハ47形(両開き扉の片運転台車)2両を挟んだ編成。


塗装も3色が入り乱れ見るからにイレギュラーな編成、中間のキハ47形は2両共にセミクロスシート、一方両端のキハ40形は共にオールロングシート車でした。
(途中駅ですれ違ったもう1本の気動車4両編成は、キハ110形+キハE120形+キハ110形+キハ110形という両運転台車のみの編成、これも滅多に見る機会のない編成と感じたものでした)

 
豊栄駅では以北へ向かう普通列車(電車充当)と乗換が生じる他、特急いなほ号運休に伴い臨時快速列車も運転、この臨時快速列車は新潟~豊栄間代行バスと接続する運行形態となっており、豊栄駅前でも何台もの代行輸送用貸切バスの姿を見かけたものでした。


MAKIKYUは変則運行の普通列車で豊栄まで移動した後、豊栄から酒田行の臨時快速列車に乗車したものでしたが、臨時快速列車は日頃特急いなほ号に用いられるE653系1000番台の7両編成。


側面のLED式行先表示もきちんと快速 酒田や快速 豊栄の行先を表示しており、フレッシュひたち号運用離脱後、新潟転属前にE653系が首都圏の臨時快速列車に充当された際とは大違い(この時は行先表示なしで快速表示のみ)と感じたものでした。


E653系は新潟転属に伴い塗装変更などと共に、1号車のグリーン車化改造が実施され、非常にシートピッチが広いグリーン席が設定されている事も大きな特徴になっていますが、臨時快速列車ではデッキと客室を仕切る扉に「本日、1号車のご利用は出来ません。2号車から7号車(自由席)をご利用下さい」と記された紙が貼られており、グリーン車の客室内には立入出来ない状況になっていました。


そのため臨時快速は一応7両編成での運行ながら、実質6両での運行と言っても過言ではない状況になっていましたが、それでも乗車した車両は半分以上が空席という状況でした。

ちなみにE653系は首都圏で活躍していた頃は何度か乗車した事があるものの、新潟転属後に乗車したのは先月が初めてでした。


普通車の設備は首都圏で活躍していた頃と大差ないと感じたものの、座席モケットが異なる柄のものに交換されています。
(右側は新潟転属前に撮影:現行との対比用です)

 
座席後部にチケットホルダーが取り付けられたのも特徴で、このチケットホルダーに写真の乗車券を挟む人物は余りいないだろう…とも感じたものでした。

特急車両にしてはやや狭いシートピッチも相変わらずでしたが、車内も比較的空いていた事からかなり快適に過ごす事ができ、日頃特急料金を収受する列車での運行が大半の車両が普通乗車券のみで乗車可能でしたので、非常に乗り得と感じたものでした。

線路切替工事などで大規模なダイヤ変更や運休、バス代行輸送実施となると、関係する現業従事者をはじめ、不慣れな旅客にとっても負担が大きいと感じる反面、イレギュラーな運行故に趣味的に注目される事も多く、今後もこの様な状況に遭遇する機会があれば、その際の様子を記録すると共に、「MAKIKYUのページ」でも取り上げられれば…と思っています。

また先月MAKIKYUは先月臨時快速に豊栄~酒田の全区間で乗車、その後普通列車に乗り継いで更に北方へも足を運んでいますが、その際に乗車した列車などに関しても今後幾つか取り上げられれば…と思っていますので、興味のある方はご覧頂けると幸いです。


JR東日本E259系「成田エクスプレス」~空港連絡以外の用途にも活躍する特急型車両

2017-06-28 | 鉄道[甲信越]

JR東日本が成田空港連絡列車として走らせている特急「成田エクスプレス」、JR発足後に運行開始した列車にも関わらず、運行開始当初に導入された車両が第一線から退いており、JR東日本における車両代替の早さを感じさせる一例と言っても過言ではない気がします。

先代車両・253系は一部が長野電鉄へ売却、また経年の浅い一部編成は東武直通特急用に改造転用され、MAKIKYUは長野電鉄で先代成田エクスプレス車両に初めて乗車する有様でした。

また現在成田エクスプレスで活躍中の2代目車両・E259系は2009年秋に運行開始しており、こちらも運行開始から既に7年以上の月日が経過しており、東京都心を超えて横浜などへ足を延ばす列車も多数設定されていますので、日頃首都圏各地の鉄道路線を利用する事も多いMAKIKYUは、嫌でも姿を見る車両の一つとなっています。

ただ大の飛行機嫌いで成田空港を出国や帰国で利用する機会はなく、成田空港へ足を運ぶ際も料金不要列車利用と言う事もあってか、成田エクスプレスを見かける機会は多いものの、乗車機会のない列車の一つとなっており、充当車両のE259系に関しても未乗という状況でした。

しかしながら今月富士急行線を利用した際には、富士急線内各駅乗降可能なフリー乗車券を利用、そして丁度不定期運行(主に土休日に運行)となっている成田エクスプレスが出発する時間に河口湖駅に居合わせた事もあり、少しだけですが成田エクスプレス&E259系に初乗車したものでした。

富士急線内は自社車両が専ら2~3両で運行している路線と言う事もあり、JRから直通する4両編成以上の列車運行に制約があり、始発の河口湖駅では最も長いホームでも6両編成だと1両分のドアカットが必要になる程。


そのため日頃6両編成で運行していると短く見えるE259系も、河口湖駅ではかなりの長編成と感じたものでした。

 
そして車内に足を踏み入れると、空港連絡輸送を主目的とした列車への充当を意図して導入された車両故に、車端部には荷棚とは別でラゲージスペースが設けられていますが、最近は空港連絡輸送用以外の列車でも設置される事例が数多く出ており、多少の座席定員数減を看過出来る状況なら、優等列車の付加価値として設置が進んでも…と感じます。



ちなみに現行成田エクスプレスは全て6両編成(1~5号車が普通車・6号車がグリーン車)か6両×2編成での運行となっており、MAKIKYUが乗車したのは普通車の方でしたが、座席モケットは黒を基調に赤いシートカバーがかかる先代同様の色使いで、外観塗装と同様に内装も先代車両の印象を踏襲しているとも感じたものでした。


ただ先代車両の大半は、普通車の座席がリクライニング・回転機能のない固定クロスシートとなっており、優等列車にしては物足りない印象が否めなかったのに対し、E259系ではJR在来線特急では一般的な回転式リクライニングシートに改められており、居住性の面では大改善されたと感じたものでした。


このリクライニングシートは普通車にしてはリクライニング角度もまずまず、片道2時間以上の乗車となる行楽特急などへの充当でも充分なグレードと感じたものですが、脚台が座席中央部下にあり、座席回転の際は足踏式ペダルではなくひじ掛け背後にあるレバーを操作するタイプとなっているのは少々独特と感じたものでした。


空港連絡輸送を主眼に導入された車両だけあり、自動放送やLCDモニターなどによる多言語案内も充実、富士急線内でも英語は当然として中国語や한국어の案内も見られる状況で、不慣れな人物にとっては複雑だろうと感じる運行系統を示す地図も表示されるなど、外国人向けによく考えられているなと感じたものでした。


また車内LCDモニター案内では、他車両と同様に富士山(旧:富士吉田)駅の英訳表示は「Fujisan」ではなく「Mt.Fuji」と表示される辺りは、評価が分かれる所だろうとも感じたものでした。

ちなみに河口湖発の成田エクスプレスは東京都心を経て成田空港まで運行しており、富士山麓一帯を訪問した外国人旅行者が終点まで乗車→そのまま航空便で帰国という事も少なくないと思いますが、JR線内は全席指定席の成田エクスプレスも富士急線内のみ空席利用も可能となっています。

富士急線内は自社車両による有料特急と同格扱いとなっており、大月~河口湖間の乗車では運賃+特急料金400円、富士山~富士急ハイランド~河口湖間のみの利用に至っては運賃のみで乗車でき、電車好きの子供を連れた家族連れが富士急ハイランド駅から1駅だけ乗車する姿なども見受けられたものでした。


MAKIKYUが乗車したのも河口湖→富士山の2駅間、成田エクスプレス&E259系の初乗車は乗車券のみ(特急券なし)での乗車となりましたが、車両設備を考慮すると乗車券のみでの乗車はかなり乗り得、機会があれば大月~河口湖間で乗車しても…と感じたものでした。

ただ全車指定席でA特急料金適用となるJR線内での利用となると微妙な所で、また海外旅行へ行く・海外旅行から帰る際の足として使う機会がない事を願いたい列車だな…とも感じたものでした。

(お断り)成田エクスプレスの主な運行区間は千葉県内・東京都内・神奈川県内などになりますが、今月MAKIKYUが乗車したのは富士急線内(=山梨県内)のみですので、この記事は鉄道[甲信越・北陸]カテゴリーでの取り扱いとさせて頂きます。


富士急8500系「富士山ビュー特急」~昨年運行開始した大改装車両

2017-06-20 | 鉄道[甲信越]

今月MAKIKYUは山梨県内を走る富士急行線を利用する機会があり、その際には昨春に運行を開始した特急「富士山ビュー特急」にも初めて乗車したものでした。

「富士山ビュー特急」はJR東海で使用していた371系電車を譲受、3両編成への短縮をはじめ内外の大改装などを経た車両を用いた有料特急列車で、形式番号も富士急では8500系に改められています。

371系はJR時代1編成しか存在しない希少な車両としても知られており、これまた2編成しか存在しない小田急20000形(RSE)と共に(小田急)新宿~松田~沼津間の特急「あさぎり」で用いられ、また間合いで静岡地区のホームライナーなどにも充当されていました。

RSEも1編成は3両編成に短縮され富士急で活躍中ですので、富士山の南麓を走る御殿場線で活躍していた2形式が、富士山の反対側(北麓)で再び並んで活躍する事になり、これは偶然なのか、それとも富士急が意図的に2形式を揃えたのかも気になる所です。

RSEは先代フジサン特急の後継車として活躍、内装などは小田急時代と大差ない状況の車両も存在するのに対し、371系はJR九州や両備グループなどの車両デザインを多数手がけた某デザイナーが絡む大改装を施行後に営業開始しており、JR時代とは随分雰囲気の異なる車両になっています。


外観は塗装変更でJR時代より重厚な雰囲気、また車体に多数表記された英文字やロゴなどは某デザイナーが関与した車両ならではと言う印象を受けます。


車両構造上バリアフリー改造が必須だったRSEとは異なり、車体形状の変化は余り大きくないと感じたものでしたが、運用は富士急線内の有料特急に限定される事もあってか、行先表記は固定式のステッカー表記に改められています。


車内へ足を踏み入れると内装は大きく様変わり、デッキに足を踏み入れただけでもJR時代とは随分雰囲気が変わった事を感じたものです。

  
客室内は様々なモケットの座席が存在しており、すだれを用いたブラインドが装備されている辺りも、某デザイナーが関与した車両ならではと感じます。


天井を木材でコーティングした内装仕上げなどは、某デザイナーが改装に関与した車両の中でも、最近改装された車両でよく見られる特徴と言っても過言ではなく、照明器具なども別物に取り換えられていますので、ビジネス列車的な雰囲気が強かった371系時代とは随分変わったな…と感じたものです。


某デザイナーが関与した改装車両・京都タンゴ鉄道「丹後の海」などと同様に、座席2列分の広窓に木枠を設置、各列毎に窓が設けられている様な見付けに改められており、最前部の乗務員室仕切り部分にも飾りの木枠が装備されるなど、車内は「木を見せる列車」なのでは…と感じる程の木材尽くしとなっています。

371系は(ワイドビュー)あさぎりとも名乗っていた位で、横方向だけでなく上下方向の視野もかなり広く確保されていたのが大きな特徴の車両だった事もあり、窓に木枠を装備した事で左右・上下両方向において視界が狭まってしまい、窓の一部はフィルムでブラックアウトされるなど、富士山の絶景を眺めるには…と感じてしまったのは、個人的には少々残念と感じたものでした。

某デザイナーは景色を見難くする事で敢えて景色を見ようとする様に意図したのか、それとも車窓よりも木材を用いた内装作品を見せる事を意図したのか…とも感じたものですが、どちらにしても展望性が大きく損なわれている状況で「ビュー」と名乗るのは難ありで、木枠などの木工作品を見せる事を主目的とする列車であるなら、「富士山ウッド(wood:木)特急」とでも名乗った方が良いと感じたものでした。

 
またMAKIKYUは自由席車に乗車したものの、富士山方1両は電装解除・等級格上げを行った「クロ8501」となっており、この車両は座席自体がJR時代とは大きく異なるものに取り換えられていますが、指定席(別料金)利用者以外は客室内立入どころか物販ブースからの客室内撮影も禁止(車外からの撮影は可)という状況でした。

この車両の指定席料金は富士急行線内のグリーン料金(成田エクスプレス運転時に適用)よりも高額な設定となっており、更に高額な菓子類などとのセットプラン設定列車も存在、専属の客室乗務員も乗務しています。

この指定席車は座席形状こそ大きく異なるものの、新幹線グランクラスを連想する一面があり、気軽に乗れる車両とは言い難い雰囲気を感じたものです。

個性の強い列車を次々と世に送り出している某デザイナーが関与した列車の中でも、「富士山ビュー特急」は指定席車をはじめ、様々な面で賛否両論が特に大きく分かれる列車なのでは…と感じたものでした。


富士急行8000系「フジサン特急」(2)~車内編

2015-07-14 | 鉄道[甲信越]

先月「MAKIKYUのページ」では、小田急から富士急行へ譲渡された8000系車両(元20000形RSE)に関して取り上げましたが、今日はその続編で車内の様子に関して取り上げたいと思います。

20000形RSEは小田急時代、2階がグリーン車となっているダブルデッカー車2両を組み込み、7両で運行していたものの、富士急では輸送実態に合わせ、両先頭車と平屋車1両の3両という編成に短縮されています。


RSEはダブルデッカー車の車内設備が特徴的で、グリーン車以外にも階下にはグループ客向けのセミコンパートメントも設けられていましたが、平屋車は有料特急車両では典型的な回転式リクライニングシートが2+2列配置で並んでおり、富士急でも3両中2両はこの座席配置をほぼそのままの形で踏襲しています。

特に大月・河口湖方の先頭車両に関しては、フジサン特急らしいイラスト入りのシートカバーやカーテンなどを除くと、小田急時代と殆ど変わらない雰囲気となっています。


座席なども小田急時代そのままですので、シートピッチはまずまずですが、足元が詰まっていて狭いと感じる状況は相変わらずで、全線乗り通しても1時間に満たない「フジサン特急」では大きな問題にはならない気もしますが、長時間乗車となると少々難のある座席と感じます。


中間車両は富士急移籍に合わせ、バリアフリー対応車に改造されたのが大きな特徴で、客ドアもこの車両だけ原型の折戸ではなく、幅が拡張された引戸になっています。


この引戸近くに車椅子対応型の大型トイレも設けられており、これは小田急時代と最も異なる点と言えます。

客室も新設された引戸のあるデッキからすぐの座席だけ、段差なしで客室内へ入れる様になっており、この区画が車椅子対応席になっていますが、それ以外は小田急時代を踏襲したハイデッカー構造となっています。


そのため車椅子対応区画から背後の座席へ向けて階段が設けられており、この階段を見ると、RSEがハイデッカー構造である事を改めて実感させられますが、階段以降の客室設備は大月・河口湖方の先頭車両と同様に、小田急時代と余り差異がない様に感じたものでした。


その一方で富士山方先頭車に関しては特急料金に加えて、他の2両よりも割高な特別料金を要する車両になっている事から、小田急時代とは設備的に大きく異なる車両になっているのが大きな特徴です。


車端にある折戸の客ドア近くは、座席こそ従来用いていたモノを再用しているものの、向かい合わせ配置でテーブルを配置し、グループ客向け座席としており、小田急時代に存在したセミコンパートメントこそ廃止されたものの、これに近い区画が別の形で復活したと言っても過言ではない状況になっています。

それ以外の座席は2+1列配置となっていますが、1列席はかつて2階建て車の階下にあった座席を転用したものと見受けられ、座席の窓側にはテーブルが配置されているのが大きな特徴です。


2+1列配置ながらも、グリーン車の如く座席の横幅が大きく拡がった訳ではなく、シートピッチ自体も小田急時代と大差ない状況、足元の狭さも相変わらずですので、座席だけを見ると要特別料金の車両にしては役不足が否めない気がします。


ただこの車両は先頭の運転席背後に、座席定員には含まれないラウンジが設けられ、このフリースペースの存在も考慮すると、座席指定で確実時着席できる事と合わせ、多少の特別料金を要するのも…と感じる所です。

多数の乗客で新宿~町田間などでは特急券完売、乗車後に特急券を購入した場合は車内発券料金を徴収する事で、事前購入をお願いしている状況の小田急ロマンスカーでは、先頭に定員外のフリースペースを設置する事はとても…と思います。

そのため小田急ロマンスカーではまず実現できないゆとりある空間から、富士急の名物とも言える富士山の展望を求めるのであれば、大月から富士山方向へ向かう際には利用価値ありなのでは…と感じたものでした。


このラウンジには子供向けに、運転台の模造品も設置されていましたが、ワンハンドルの8000系とは大違い、これはよく見ると以前発売されていた鉄道模型運転用コントローラー(模型用にしては結構いい値段でした)で、形状こそ国鉄末期の標準的な形態と言っても過言ではないですが、大きさは実際に運転台よりも小ぶりですので、子供向け運転台として使うには丁度良いアイテムとも感じたものでした。

富士急行ではRSEに続き、兄弟車両とも言えるJR東海・371系も購入しており、今後転用改造を施した上でこちらも「フジサン特急」として運用見込みとなっていますが、改造内容がRSEと同様になるのか、それともまた異なった雰囲気の車両になるのかも気になる所です。

また8000系に乗車した際の感想としては、特急料金の設定金額などを踏まえると、設備的にはそこそこのてレベルで、車両自体の快適さは旧国鉄車両を用いている先代の2000系よりも向上した反面、先代は元グリーン車だけあって非常にゆとりのある座席が特徴的でしたので、座席に関しては先代車両と比べると、グレードダウンが否めないと感じてしまったものでした。

全車両で先代レベルを求めるのは過酷かと思いますが、今後廃車発生品などを用い、富士山方先頭車だけでもグレードアップできないものか…と感じたものですが、こんな事を感じてしまうのはMAKIKYUだけでしょうか?
(シートピッチを拡張する代わりに座席を2+2列配置にすれば、窓割が合わず展望性に難のある座席が生じる欠点はありますが、着席定員自体はさほど変わらない気もしますので…)


富士急行8000系「フジサン特急」(1)~外観編

2015-06-18 | 鉄道[甲信越]

先月MAKIKYUが富士急行線を利用し、富士五湖方面へ足を運んだ際には、往路でJRのお座敷車両「華」を用いた臨時列車を利用し、既に「MAKIKYUのページ」でも取り上げていますが、その際は帰路の富士急行線内で「フジサン特急」を利用したものでした。

「フジサン特急」は特急専用車を用いた有料特急で、大月~都留文化大学前~富士山(旧・富士吉田)間を乗車する際には、乗車券の他に特急券が必要となり、運行当初はJR165系改造車を譲受して塗装や形式を改めた2000系車両が、専属で用いられたものでした。

しかしながら2000系は設備的には非常に優秀な車両ながらも、種車の古さが災いして老朽化が進み3両2編成中の1編成が退役、残る1編成もそう遠くない時期の退役が見込まれる状況です。


富士急では車両検査時などに一般車両を特急として充当、特急料金を値下げして対応する事もしばしばですが、退役した1編成の代替は別途特急専用の中古車両導入で対応する事になり、退役した1編成の代替で導入された車両が8000系です。


8000系は近年小田急での活躍を終えた20000形RSE2編成の内、1編成7両を両先頭車と中間車1両の3両に短縮して導入したもので、もう1編成も…と感じたものでしたが、富士急では今後兄弟車両のJR371系も購入する事を発表しており、両者の競演にも期待したいものです。

ちなみに8000系は中古車ながらも平成になってから製造された車両で、2000系に比べれば遥かに経年が浅いだけでなく、現在小田急で活躍するロマンスカーの最古参車・7000形LSEよりも新しい車両です。

更新時期やJR直通用の少数派と言う特殊性も災いし、早期退役したと言っても過言ではなく、引退の際にはまださほど古い車両ではないにも関わらず…と感じた方も多いと思います。

退役後も暫くは保留車扱いとなり、何処かへ譲渡されるのでは…という噂が様々な所で流れていましたので、富士急への譲渡話が小田急と富士急の双方から出た際には、なかなかいい話だと感じ、昨年富士急での活躍を始めた暁には是非一度乗車できれば…と感じたものでした。


そして先月「フジサン特急」に乗車した際に、ようやくこの8000系への乗車機会が巡ってきたのですが、2000系と同じく富士山をイメージしたキャラクターずくめの独特な装いに改められ、2階建て車両も外された短編成になったとはいえ、両先頭車の車両形状などは小田急時代と大差ない姿のままで活躍しています。


折戸の先頭車客扉上部や、前面窓下に設けられた3色LEDの愛称名・行先表示器もそのまま活用、列車名や行先などは小田急時代とは異なるものの、表示様式も同一ですので、先頭車だけを見ると塗装以外の外観上の変化はかなり少ないといっても過言ではない状況です。

ただ中間車両はRSEがハイデッカー車両と言う事もあり、バリアフリー対応の関係で乗降口に段差のない引戸を採用、このドア付近の客室内に段差なしで移動可能な車椅子スペースを設置、車椅子対応トイレも設置されています。


ドア形状だけでなく、車椅子スペースにおける客窓の大きさなども小田急時代とは異なっていますので、8000系における塗装以外で最大の変化点と言っても過言ではない状況になっています。

車内の様子も小田急時代とは変化が見られますが、こちらに関しても近日中に別記事で追って取り上げたいと思います。


JR~富士急を直通運転・臨時快速「お座敷富士芝桜号」

2015-05-20 | 鉄道[甲信越]

5月9・10日と16・17日の週末は、JR中央本線~富士急行線を直通運転するお座敷列車「お座敷富士芝桜号」が、新宿~河口湖間で1往復設定され、「MAKIKYUのページ」をご覧の皆様方の中には、この列車が運行していた事をご存知の方も居られるかと思います。
(もしかしたら乗車したと言う方もいるかもしれませんが、その節はコメント等頂けると幸いです)

 
MAKIKYUは富士五湖周辺の観光なども兼ねて今月富士急沿線へ足を運ぶ機会があり、その際は「お座敷富士芝桜号」の運転日だった事もあり、往路でこの列車に乗車する機会があったのですが、充当車両は「華」と呼ばれる485系電車改造お座敷電車でした。


JR東日本に所属する他のお座敷電車は何度か乗車した事があるものの、華は先日初めて乗車したもので、485系ながらもパンタグラフ設置部分だけ低屋根構造と言う辺りは、様々な線区に乗り入れての運用が想定されるお座敷電車ならではと感じます。

「お座敷富士芝桜号」はお座敷車両充当という事もあって「全車グリーン車指定席」ながらも、快速列車としての運行で普通列車グリーン料金(指定席)が適用、また富士急行線内のみでの利用はできないものの、グリーン料金はJR区間の乗車距離に応じて算定された額のみでした。

MAKIKYUが乗車したのは八王子~(JR中央本線)~大月~(富士急行線)~河口湖で、日頃なかなか乗車する機会がないお座敷列車が、乗車券以外は50km未満の八王子~大月間グリーン料金のみで乗車可能、運転停車などもあり乗車時間が長い割には安価で乗車でき、富士急行の運賃が割高な事を差し引いても、結構お得感のある列車と感じたものです。


乗車駅の八王子駅では、他の臨時列車も含め「華」が運転される機会がそこそこある事もあってか、乗車位置目標にも「はな」という案内が見受けられたもので、その隣には「やまなみ・せせらぎ」と「ニューなのはな」の案内も見受けられたのは印象的でした。


ホームに「華」が入線すると、指定席券を所持している乗客以外は乗車できない臨時列車である旨が盛んに案内されており、指定席券を
持っているMAKIKYUは、仙台市営地下鉄を連想する楕円形のドア窓が特徴的な「華」の扉が開くと、早速乗り込んだものでした。


デッキに足を踏み入れると、乗車早々にスリッパの姿が見えるのは、お座敷電車ならでは…と感じたもので、ポットなどが見受けられるのも、一般列車ではまず見られない大きな特徴と感じたものでした。


更に客室内へ足を踏み入れると、お座敷電車ならではの畳敷きとなった客室は、非日常感を演出するには充分過ぎる雰囲気です。


特徴的な天井形状はお座敷・座席兼用車の「ニューなのはな」や、元はお座敷車両だった車両を改造した「リゾートやまどり」にも通じる雰囲気で、荷物も荷棚の代わりに片隅に設けられた、蓋付きの収納箱へ収める様になっているのも特徴的です。


車両端にはカラオケ装置なども設置され、団体列車として充当される事も多い車両ならではと感じたものですが、TV上には号車番号と共に「モロ484-6」などの車号標記が見受けられ、この標記を見ると停車中でも「室内」ではなく「車内」にいる事を嫌でも実感させられます。


お座敷となった客室だけでなく、フリースペースが充実しているのも「華」の大きな特徴で、カタカナの「コ」の字型にソファーが配列されている箇所と、ロングシート配置の双方が存在しています。

日頃余り良く言われる事がないロングシートも、「華」に限ってはかなりゆったりとした掛け心地で、お座敷のテーブルが他のグループ客で占拠されている状況で一人だけ相席…と言った場合などは、他に利用希望者がいない状況なら、ここでずっと過ごすのも…と感じる雰囲気でした。


両先頭車の乗務員室付近は展望スペースも兼ねた状況になっており、レールファンならお座敷よりもこちらの方が…という向きもあるかもしれませんが、「華」の編成は中間に電動車ユニットを2ユニット挟んだ編成となっており、両先頭車は「クモロ」ではなく「クロ」になっている点は惜しいと感じる方も少なくないと思います。


またMAKIKYUは先日「華」に初乗車しただけでなく、日頃滅多にお座敷車両が走る機会がない富士急行線内で、お座敷電車を堪能できるという点でも、またとない機会だったと感じており、乗車時には車中から逆さ富士を望む事もできたものでした。

MAKIKYUは以前「富士登山電車」に乗車した際、逆さ富士に関してはアテンダントの方から話を伺っていたのですが、車内から逆さ富士を撮影した後に近くに居合わせた乗客に逆さ富士の写真を見せたら、「よく撮れましたね」という話も持ち上がる状況で、車中で居合わた方々との、お座敷電車ならではの一時も悪くなかったと感じています。

その中には子供連れのファミリー客も多数見受けられ、小さい子供がいると一般列車、それも特に乗り継ぎやトイレなしなどは…という声も聞かれ、この列車があるからこそ芝桜見物に列車を利用した乗客もいた程ですので、毎年5月の芝桜シーズンに恒例となっている富士急行線へのお座敷電車による臨時列車、来年以降の設定にも期待したいと感じたものでした。


(お断り)「お座敷富士芝桜号」は東京都~山梨県に跨って運行する臨時列車ですが、この記事は鉄道[甲信越]カテゴリーでの取り扱いとさせて頂きます。


371系は予想通りの結果に…

2014-12-17 | 鉄道[甲信越]


先月末での現役引退が発表され、JR東海での営業運転が終了、去就が注目されていた1編成だけの特急型車両・371系(写真)ですが、昨日付けで公式に譲渡が発表され、ご存知の方も多いかと思います。

譲渡先は371系と兄弟車両とも言われ、共にあさぎり号で活躍していた小田急20000形(RSE)の1編成が譲渡された富士急行で、RSEと同様に7両編成中両先頭車を含む3両へ編成短縮する事も発表されています。

これは以前から噂されていた事で、その気になればまだまだ使える371系をそのまま潰すのは…という気もしますし、富士急の特急車は1編成をRSEで代替したものの、もう1編成は古参の旧国鉄165系ですので、この代替としても適任なのでは…と個人的には感じています。

371系は現行塗装のままでも、富士山をバックに走るのは結構似合いそうな気もしますが、RSEと同様にフジサン特急としてキャラクターがゴロゴロ描かれた姿に変身するのか、それとも某有名デザイナーが関与してまた異なる姿になるのか、今後再登場の際にはどの様な姿になるのかも気になる所です。

かつて小田急線内や御殿場線内で見られたRSEとの競演も、富士山の反対側で再び実現する事は、趣味的にも非常に注目かと思いますが、運行開始した暁には是非一度乗車し、JR時代とどの様に変化したのかも注目したいものです。

まだRSE改造車すら富士急では乗車していませんので、まずはこちらが先かもしれませんが…


アルピコ交通 上高地線「なぎさTRAIN」

2013-06-10 | 鉄道[甲信越]

今月初めにJR東日本が発売する「週末パス」を利用した際には、利用対象路線の一つとなっているアルピコ交通(上高地線)の電車にも乗車したものでした。

長野県に縁のある方や、バス事情に詳しい方を除くと、アルピコ交通と聞いてもピンと来ないという方も居られるかと思いますが、松本電気鉄道などをはじめとする「アルピコグループ」の各社(他に川中島バス・諏訪バス)を合併し、2011年に社名を改めたもので、アルピコ交通への社名改称後も、愛称名として旧各社の名称も併用されています。

このアルピコ交通における交通事業の主体は、高速道路経由で都市間を結ぶ高速バスや上高地などへ向かう観光路線、松本市周辺を運行する生活路線などの「路線バス」ですが、他にも基幹となる会社の旧社名が「松本電気鉄道」ですので、社名の通り松本~新島々間で鉄道1路線も運行しています。
(かつては他に松本~浅間温泉間などを結ぶ路線もあったのですが、現在運行しているのは1路線のみです)

現在運行している1路線は「上高地線」という路線名が付けられていますが、この電車だけで有名な上高地まで足を運ぶ事はできず、上高地へ向かう場合は終点の新島々駅で同じアルピコ交通が運行する路線バスに乗換となります。

とはいえ松本~上高地間のアクセスとしては、路線バスと合わせて重要な役割を担っている他、松本の近郊電車としての役割も担っています。

現在では全線単線・2両編成のワンマン電車が毎時1~2本程度走る典型的な地方私鉄と言った状況ですが、1999~2000年にかけて車両入れ替えが行われ、現在に至っています。


現在運行に供される車両は3000系1形式のみ、高速バス運行で協力関係にある京王グループの京王井の頭線で用いていた車両の改造車で、同形の改造車はアルピコ交通以外にも幾つかの地方私鉄で活躍しています。

MAKIKYUはアルピコ交通の鉄道線はおろか、車両入れ替えで元京王車が走る様になってからの上高地線乗車自体が初めてと言う有様でしたが、他の京王3000系移籍各社では、全て元京王3000系改造車に乗車していますので、先日のアルピコ交通電車乗車で、ようやく京王3000系移籍各社の元京王3000系乗車を達成できたものでした。

 
幾つかの地方私鉄への譲渡例が存在する京王3000系の中では、改造内容は他社と類似したものが多く、電車に乗っている限りでは、アルピコ交通移籍車ならではの特徴は余り感じないものです。

とはいえ運転台がワンハンドルタイプに改められている事(残念ながら写真はありませんが…)や、ステンレス車にも関わらず車体を白く塗装している点は、京王3000系の他社移籍車には見られない特徴と言えます。


また現在2両4編成(8両)が活躍するアルピコ交通3000系は、編成による差異なども少なく、他形式の活躍もありませんので、車両バラエティという点でも地味な印象が否めないのですが、MAKIKYUが乗車した列車は「なぎさTRAIN」として前面マークの掲出や車体ラッピングが施されていました。


なぎさTRAINでは、車体ラッピングが側面最前部ドアの窓ガラスにまで及んでおり、車窓を楽しむ向きには不適ですので、この点は評価が大きく分かれるのでは…と感じたものでしたが、車両面では単調な印象が強い上高地線において、彩を与える存在としては評価できる電車と感じたものでした。

ちなみにアルピコ交通の通常運賃は主力事業の路線バスと同様に、電車も決して安いとは言い難く、運行本数も決して多いとは言えない路線ですので、沿線に所用が存在するか、上高地へ観光に出向くのでなければ、週末パスの様な乗車券がないと、松本駅で姿を見かける機会はあっても、なかなか乗車する機会のない路線と感じます。

この様な路線にふらりと乗車できるのも、週末パスの一つのメリットで、JR線で遠くへ足を運んで距離を稼ぐだけでなく、幾つもの地方私鉄に乗車できる点は、大いに評価できると感じたものでした。

上高地観光や沿線への所用などがなくても、週末パスで松本へ足を運ぶ機会がありましたら、この「なぎさTRAIN」をはじめとするアルピコ交通の上高地線電車にも乗車してみては如何でしょうか?


両開き扉車が活躍するJR只見線~日頃は片開き扉車が活躍しているのですが…

2012-05-16 | 鉄道[甲信越]

先月MAKIKYUが青春18きっぷを利用し、新潟県内へ足を運んだ際には、通称「上越国境」とも呼ばれる新潟~群馬県境で在来線(JR上越線)を利用して首都圏へ帰還したものでした。

県境を跨ぐ越後中里~水上(Minakami)間は旅客列車の本数が僅少な事で有名で、在来線を利用して首都圏~新潟県内などを移動する旅行者泣かせの区間になっている事は、ご存知の方も多いかと思います。

MAKIKYUが先月新潟県内から帰還する際にも、長岡方面から水上行きの電車に乗車には時間が開く事から、途中の小出(Koide)まで先回りし、久々にJR只見線に乗車したものでした。

JR只見線は全線非電化単線のローカル線で、日本全国でも屈指の閑散線区として有名な路線ですが、乗客数だけでなく列車本数も僅少で、通常ダイヤでも全線を通して運行する列車は3往復のみという状況です。

MAKIKYUも全線を通して乗車したのは1回だけで、後は福島県内の会津盆地内で幾度か…という程度ですが、昨年の豪雨による水害で現在会津川口~只見~大白川間は不通となっており、現在会津若松~会津川口間と、大白川~小出間の両側に分断されて運行しています。

おまけに山深い県境を越える只見~大白川間は、並行道路も整備されておらず、この事が超閑散線区でありながらも、只見線が国鉄末期の廃線対象から免れて今日まで走り続けている大要因にもなっています。

お陰で元々流動が少ない区間とはいえども、未だに代行バス運行や振替輸送を実施する事もままならず、放射線の影響で長期不通が確実な常磐線の福島県浜通り中部と同様に、JR東日本では数少ない不通区間となっており、途中の田子倉駅(秘境駅として有名な存在で、無人地帯に等しいのですが…)も足を運ぶのが非常に厳しい状況になっています。
(会津川口~只見間はバスによる代行輸送が実施されており、東日本大震災による津波被災各線区・区間は常磐線の一部区間を除き、バス代行輸送か、定期券・回数券利用者を対象とした路線バス振替が実施されています)

そのため先月MAKIKYUが只見線を利用した際には、新潟県内の区間のみを乗車する事になり、MAKIKYUが只見線の新潟県内区間のみを利用するのは初めてでした。


只見線では通常会津若松に配置された両運転台・片開き扉のキハ40形が運用され、会津若松は仙台支社管轄となる事から、新潟県内の区間でも仙台地区の小牛田に配置されたキハ40系列と同色の車両が活躍しています。

しかしながら災害の影響で只見線が分断され、小出方の新潟県内区間は鉄路では会津若松と遠く離れてしまった上に、元々新潟県内は新潟支社管轄区間と言う事も影響してか、鉄路では小出と遠く離れてしまった会津若松所属の車両ではなく、新津所属の車両が姿を見せていました。

新津所属の気動車は大きく分けて、国鉄継承車のキハ40系列と、JR化後に導入されたキハ110系列・キハE120形の新系列に分類され、両者はブレーキ方式の相違などで互換性がなく、それぞれのグループ内で編成を構成して運行していますが、キハ40系列は基本的に他の車両基地に所属している同系列をはじめ、JR各社の国鉄から継承した一般型気動車各形式などと併結も可能となっています。


その事もあってか、只見線小出方では新潟県内に残存した会津若松所属のキハ40形1両と、新津所属のキハ40系列による併結運転が行われており、新津所属の車両は片運転台・両開き扉のキハ47形が担ぎ出された事から、平時の只見線定期列車ではまず見られない両開き扉車による旅客列車運転が実現しており、MAKIKYUが只見線で両開き扉車に乗車するのは、当然初めてでした。


2両は互換性を有し、共に今や少数派となった非冷房・エンジン未換装の車両とはいえ、所属が異なる事から装いも異なり、通常の状況では昼間に見かける機会がない大白川の行先表示も違和感たっぷりという状況でした。

この表示もキハ40形は前面貫通扉上部の種別幕部分に行先表示、キハ47形は前面種別幕部分は「普通」表示で、側面サボ受けに「大白川⇔小出」表示と相違があり、キハ47形のイレギュラーぶりを強調している様に感じたものでした。

 
車内もワンマン化されて運賃箱を装備(ワンマン運転を実施していない只見線列車では無用の長物です)し、ボックス席の片側が1人がけに改められると共に、モケット張替えなどを行っているキハ40形と、ほぼ国鉄そのもので原型の要素が色濃く、オレンジ色の優先席つり革が辛うじて現代である事を感じさせるキハ47形は対照的でした。

乗車した列車は利用の少ない時間帯・方向で、新潟県内のみの盲腸線化している事も災いしてか、MAKIKYUが乗り込んだ際には「車両数=乗務員数=乗客数(MAKIKYUを含む)」という有様で、運転本数は指の数にも満たないにも関わらず、ほぼ貸切状態だったのには…という有様でした。

これでは人件費や設備費はおろか、燃料費にもなりませんので、通学時間帯の輸送に対応できるのならば、収容力確保に優れたロングシート車などを限定運用し、単行で走らせても充分なのではと感じてしまう程でした。

県境部分の不通分断が続く現状では、余所者にとっては非常に乗車し難く、特に新潟県内の区間は尚更という感があるJR只見線ですが、岩泉線の後を追う事にならない事を願うと共に、「MAKIKYUのページ」をご覧の皆様も機会があれば是非足を運ばれ、乗車されては如何でしょうか?


JR東日本・長野地区の観光列車「リゾートビューふるさと」(2)

2012-04-26 | 鉄道[甲信越]

先日「MAKIKYUのページ」で取り上げ、大糸線などを走る長野地区の観光列車「リゾートビューふるさと」ですが、今日は続編として車内の様子などを取り上げたいと思います。

「リゾートビューふるさと」で用いられるHB-E300系は、観光列車用に特化した車両だけあり、指定席としての運用ながらも、特急料金などの優等料金や、グリーン料金などの特別料金を必要とせず、指定席券さえ購入すれば普通乗車券をはじめ、割安な「青春18きっぷ」などでも乗車可能です。

しなしながら設備的には特急車両や、首都圏普通列車のグリーン車などと遜色ない回転式リクライニングシートを装備しており、車内設備面では、一般車両にしては極めて豪華な部類に入ります。


回転式リクライニングシートは、座席自体は特急普通車と同レベルながらも、向かい合わせでの利用でも窮屈さを感じない1200mmピッチで配置され、特急グリーン車に匹敵するスペックを誇ります。

HB-E300系登場以前に運転開始し、既存一般気動車を改造した仙台地区の観光列車用気動車「リゾートみのり」などのJR東日本における観光列車でも、全般的に座席空間のゆとりを重視し、長時間座席に座ったままでも快適に過ごせるように配慮されています。

観光列車の運行で定評あるJR九州では、観光列車の座席間隔こそさほど広くないものの、車内を某デザイナーが「魅せる空間」として徹底的にアレンジし、フリースペースなどを多く確保する傾向にあるのとは対照的ですが、今後もJRグループにおける観光列車運転実績ではJR九州と双璧をなすJR東日本では、この傾向が続くのか気になります。

 
フリースペースも「リゾートビューふるさと」ではJR九州の観光列車の様に、車内に本棚などを設置するといった変り種こそないものの、運転席背後はミニロビーや車内イベント開催スペースを兼ねた展望席となっており、前方or後方の車窓を楽しめる固定座席の他に、JR東日本ではJR他社と異なり、クロスシートでは余り好んで採用しないものの、観光列車では定番になりつつある「転換式ロングシート」も用意されています。


一方のフリースペースには乗車記念のスタンプと、列車の写真入りとなった押印用台紙が用意されている辺りも観光列車らしく、これもJR東日本の観光列車では定番になっていますが、南小谷行き列車では途中の穂高駅で観光列車らしく、長時間停車(30分弱)を利用した穂高神社への参拝案内もあり、観光列車の乗客が参拝に出向くと、菓子のサービス(スタンプ台紙の左側)があるのは意外でした。

 
他にも観光列車らしく、記念撮影用の日付入りボードや景色の良好な箇所での徐行運転(写真は徐行区間での車窓です)、車掌などによる放送案内や沿線観光協会など外部人による車内での催しは、JR東日本における観光列車の定番になっているものの、MAKIKYUの個人的な印象としては、今までJR東日本の観光列車はトップダウン型の傾向が強く、現場の乗務員によるソフト面でのサービスはイマイチ…という印象がありました。

 
しかしながら「リゾートビューふるさと」では「リゾートアテンダント」と称する客室乗務員が、状況に応じた観光案内などを行う他、専用紙製シートを手回しで回す事で、様々な楽曲を流せる特殊なオルゴールを用い、列車名にちなんで「ふるさと」の演奏を行うなど、現場側の乗務員自らが観光列車ならではの旅を盛り立てていたのも評価できる点で、今までのJR東日本における観光列車でソフト面での物足りなさを感じていたMAKIKYUとしては、JR東日本の観光列車も随分進化したと感じたものでした。
(ちなみにMAKIKYUが「リゾートアテンダント」の方から伺った話では、オルゴール演奏は外部人による車内イベントを行った際に、演奏者からの勧めで取り入れ、オルゴールを固定し、マイクに接続する木枠は手製との事です。)

また乗務されていた「リゾートアテンダント」の方は、観光列車の運転実績で定評あるJR九州の観光列車にも、乗客として乗車した事があり、JR九州における客室乗務員のサービスも高く評価していましたが、JR東日本の観光列車はJR九州の観光列車程の派手さはないものの、ハード面では座席のゆとりなどが大きく評価できるだけに、今後「リゾートビューふるさと」以外の観光列車でも現場の創意工夫により、ソフト面でも観光列車運転でJR九州と双璧をなす存在になる事に期待したいと感じたものでした。


JR東日本・長野地区の観光列車「リゾートビューふるさと」(1)

2012-04-24 | 鉄道[甲信越]

今月初めにMAKIKYUが青春18きっぷを利用し、新潟へ足を運んだ際には、往路は大回りして大糸線を利用したものでした。

現在は全線平常運行となっている同線も、通称大糸北線と呼ばれ、JR西日本が運行する南小谷以遠の非電化区間は、今月初めは「雪崩の恐れがあるため」という事でバス代行になっていました。

この代行バスに関しては、「MAKIKYUのページ」でも少し前に取り上げていますが、JR東日本が運行する南小谷以南の電化区間では「リゾートビューふるさと」と呼ばれる観光列車を利用し、今日はこの列車に関して取り上げたいと思います。


「リゾートビューふるさと」はHB-E300系と呼ばれるシリーズ式ハイブリッド気動車で運行しており、メカニズム的には小海線で運行しているキハE200形「こうみ」と同種の車両で、気動車と言うよりも発電エンジンと蓄電池を装備した電車と言った方が良い車両です。

お陰で騒音や振動面などの居住性は一般的な気動車よりはるかに優れていますが、重量や製造コスト面で難があり、観光列車用に居住性を重視した車両としてはベストな選択かと思いますが、高速性能が求められる特急用や、経済性・汎用性が重視される一般用としての普及にはまだ暫くの時間を要しそうです。

このHB-E300系は長野地区に配置され、「リゾートビューふるさと」と称された車両以外にも、北東北に色違いの兄弟分車両が存在し、
「リゾートしらかみ」の一部と「リゾートあすなろ」で活躍していますが、MAKIKYUは北東北のHB-E300系にはまだ乗車した事がありませんので、「リゾートビューふるさと」で初めて同系に乗車したものでした。

「リゾートあすなろ」は「リゾートビューふるさと」と同じ片運転台の先頭車を背中合わせにした2両編成で、設備的にも大差ない様ですが、「リゾートしらかみ」用は中間車を組み込んだ4両編成で、こちらはボックス席も設定されるなど、やや趣が異なったものになっています。

ちなみに長野地区に配置されたHB-E300系は、主に車両名と同名で、MAKIKYUが乗車した座席指定制の臨時快速列車「リゾートビューふるさと」に用いられ、時折飯山線などで他の臨時列車として運転される事もあります。


「リゾートビューふるさと」として運転する場合は長野~松本経由~南小谷間の運行となり、「リゾートアテンダント」と称する客室乗務員が乗務する代わりにワンマン運転となるのは、JR九州の観光列車を連想させられます。

とはいえ「リゾートアテンダント」は車内検札や乗車券発券を行わない事もあってか、側面のLEDによる種別・行先案内でワンマンと表示しながらも、一部区間で車掌が乗務して検札を行い、JR東日本お得意の「一部区間ワンマン」となっているのも大きな特徴と言え、今後もこの方式が続くのか気になる所です。

また「リゾートビューふるさと」として運転する場合、全区間が電化区間での運行となり、非電化区間への乗り入れが可能な気動車ならではの特性を生かしておらず、おまけに運行本数が少ない南小谷以遠の大糸北線接続も芳しくない状況です。

そのため今後大糸北線にも乗り入れ、糸魚川までの延伸運転を検討する余地もあると感じ、おまけに長野発着で大糸線方面へ運行するとなると、以前開催された長野五輪に関連して整備された道路を通行し、長野~信濃大町間や長野~白馬間を1時間強で結ぶ特急バスが所要時間や運賃面(青春18きっぷなどで往復利用する場合は別ですが…)でJRを圧倒しています。

「リゾートビューふるさと」は首都圏や名古屋方面から松本で乗り継ぎ、大糸線内の観光地へ向かう観光客利用が多い輸送実態も考えると、今後運転区間の見直しが行われても…と感じたものでした。

車内や乗車中の様子に関しては、近日中に別記事として追って取り上げたいと思います。


富士急行 6000系電車(2)~車内編

2012-03-08 | 鉄道[甲信越]

先月末に運行を開始し、先日「MAKIKYUのページ」でも取り上げた富士急行の6000系電車ですが、JR九州や両備グループなどで多数の車両などのデザインを手がけた某デザイナーが絡むだけに、外観だけでなく内装もドーンと変化しています。

 
車内は座席モケット以外、製造当初から変化の少ない車両が多い205系においては、最も異色の存在に変化した車両と言っても過言ではなく、1車内に幾種もの柄が存在する座席モケットをはじめ、外観と同様に水色に塗られた客ドア、車両間貫通路に設けられた暖簾や、吊り輪に木材を使用したつり革などは、非常に特徴的で目を引くものです。


横浜線や八高線など比較的至近で同種車両が活躍し、これらの路線に乗り慣れた乗客が富士急行線を利用した際にも、ただの払い下げ車両ではなく、それなりのインパクトを感じる車両に仕上げられているのでは…と感じたもので、広告枠にこの車両のイラストが幾種も掲出されている点も、観光客などが利用した際に楽しめる仕掛けと言えます。

 
床がフローリング仕上げに改められており、ドア付近には若干の段差が出来ているのも大きな特徴で、外観上素人目には先頭車化改造車である事が分かり難い富士山方先頭車も、乗務員室仕切り扉の位置が中央に設けられ、上下で扉位置が異なる事は、如何にも後に改装した車両である事を強く印象付ける雰囲気があります。

また車椅子スペースの設置をはじめ、半自動ドアスイッチとドアチャイム設置、ドア上にLEDによる次駅案内などの文字表示装置が設置され、英語放送入りの自動放送も流れるなど、地域性や現代のニーズに応じた機能面での強化も行われています。

ドアチャイムや自動放送、全角6文字分のLED文字表示装置などは、JRの中でも富士急行線と直通運転を行っている会社の車両を連想させる雰囲気があり、その一方で内装は同じデザイナーが絡むJR九州を思わせる雰囲気がありますので、全く様相の異なるJR2社が融合したかの様に錯覚させられます。

この様に見た目の雰囲気は、205系→6000系に形式を改めると共に、内外共に大きく変化していますが、20m級4ドア車の3両編成で輸送力車両とも言え、「COMMUTER TRAIN」と名乗っているだけに、オールロングシートの座席など、接客設備面では典型的な通勤型車両と言える205系の原型を踏襲している部分も多く、収容力重視の車両と言った雰囲気も感じられます。

某デザイナーが手がけた車両では、富士急で活躍中の「富士登山電車」をはじめ、幾つもの鉄道で良く見られる本棚やベビーサークルなどの実用性とは程遠い装備はなく、座席自体もモケット以外は205系時代を踏襲しており、化粧板も205系原型を概ね踏襲するなど、個性が強過ぎる車両を次々と世に送り出す某デザイナーの絡む車両にしては、実用本位な印象を受けたものです。

この6000系は元々JR線を走っていた車両だけに、物理的にはJR線を走らせる事もさほど難しくないかと思いますので、大月からJR線に乗り入れての運行を行い、本家205系と並ぶ事で進化ぶりを実感できる機会が巡って来る事にも期待したい所で、また205系は廃車解体するにはまだ…という感もありますので、今後富士急以外の私鉄やJR会社間での移籍劇が続くのかも気になる所です。


富士急行 6000系電車(1)~外観編

2012-03-05 | 鉄道[甲信越]

今月に入り、今季の青春18きっぷ利用が解禁となりましたが、MAKIKYUは昨日早速この18きっぷの1回目を使用し、日帰りで山梨県内へ足を運んだものでした。

その際には、先月29日に運行開始したばかりの富士急行の新型車両・6000系電車の運行時刻(土休日に限りHPで公開しています)だった事もあり、大月駅で中央線を途中下車し、少しだけこの新型車両に乗車したものでした。
(当然ながら富士急行線は青春18きっぷの通用対象外で、別途乗車券を購入して乗車しています)


6000系は元JR205系を、JRから譲り受けて改造した通勤型電車で、古い車両を多数使い続けており、まだ205系は暫く自社で使い続ける雰囲気が漂うJR西日本所属車両ではなく、多数が既に廃車や別線区へ転用されており、改造車も多数存在する元JR東日本所属車両が種車になっています。

編成は3両編成となっており、富士急行の一般車両で3両編成の車両は初登場になると共に、205系は元々先頭電動車が存在せず、電動車は2両1ユニットとなる事から、最低両数が4両となりますので、JR東日本所属の一部車両と同様に、中間車の先頭車化改造による先頭電動車が存在するのも特徴となっています。

 
3両編成中富士山駅方の先頭車になるこの改造車は、JR東日本の鶴見線や仙石線などで見られる独自形状ではなく、205系オリジナルの前面を中間車だった電動車に接合しているのが特徴で、少なくとも現時点においては、JRでは見られない富士急行ならではの車両になっています。

反対側の先頭車は原型の前面そのままですので、こちらと釣り合いを取ることも、オリジナル形状の前面となった一要因かもしれませんが、良く見ると先頭車化改造を施した車両はパンタグラフ増設で先頭にもパンタグラフが装備されるなど、独特な雰囲気があります。

そして6000系の大きな特色として、JR九州や両備グループの車両デザインを多数手がけ、富士急グループでも最近になって、富士登山電車や身延登山鉄道(ロープウェイ)などのデザインを手がけている某有名デザイナーによる外観・内装の改装が行われている事が挙げられ
ます。

 
このデザイナーが手がけた車両は、外観に英文字やロゴを多数配するものが多く、6000系もこの特色が強く現れていますので、中間車の先頭電動車化改造をはじめ、押しボタン式ドアスイッチや3色LED化された行先表示(普通列車でも律儀に普通表示が出ます)などの機能面での変化以上に、JR時代とは大きく異なる車両に変化した事が、このデザインによって実感できるものです。

個人的にはこの某有名デザイナーが手がけた車両のデザインは好きな方で、西方へ行かなくても近場でこの様な車両を目にする事が出来るのはありがたいと感じますが、個性が強過ぎるだけに好みが大きく分かれそうです。

また6000系は車内も大変貌を遂げ、ドーンと派手に改装されているのですが、こちらは近日中に別記事で追って取り上げたいと思います。


JR身延線・山梨県内の現状~373系も1編成が残留

2011-10-17 | 鉄道[甲信越]

数日前MAKIKYUは山梨県内へ足を運び、現在一部区間が台風の影響による土砂災害により不通となり、バス代行輸送が行われている身延線を利用する機会がありました。

その際に利用した列車代行バス(西富士宮~身延間)は、先日「MAKIKYUのページ」でも取り上げていますが、今日はその続編として、現在列車運行が行われている山梨県内区間(甲府~身延間)の現状を取り上げたいと思います。

この区間はローカル列車が甲府盆地内の鰍沢口までは概ね毎時1本、鰍沢口以遠の山間部は2時間に1本程度となり、通常はこれに加えて身延線全線を踏破し、更に東海道本線に乗り入れて静岡まで運行する特急「(ワイドビュー)ふじかわ」号が7往復運転されています。

しかしながら特急は県境付近一帯が不通となった影響で、全面運休となっており、甲府周辺~東海道新幹線沿線(名古屋・大阪方面)の列車移動は、現在東京都心や新横浜を経由する大回りルートの方が至便な状況となっています。

普通列車も元々運行本数が少ない山梨県内では、ごく一部の列車が運休となっている程度で、列車減便は比較的本数の多い富士~西富士宮間で間引きが目立つのですが、それでも身延周辺では列車や代行バスが2時間に1本程度しか運行されていません。

おまけに身延周辺の身延線以外の公共交通機関は、身延駅~身延山間の山交タウンコーチが運行する路線バスを除くと、一般路線・高速バス共にかなり限られていますので、現在公共交通機関を利用して身延周辺を訪問するのは、非常に不便で厄介な状況となっています。

車両面でも、身延線の充当車両は静岡車両区に所属しており、普通列車用の車両は御殿場線などと共用していますが、不通区間発生の影響で、台風通過時に山梨県方に居た車両は、通常の経路では基地へ帰区できなくなると共に、車両基地から山梨県方に車両を送り込む事も厳しくなっています。

今回の不通区間発生では、甲府ではJR東日本の中央本線(東線)と接続しており、こちらは特に災害等による不通などはない事から、その気になれば中央本線から辰野経由飯田線や塩尻経由中央本線(西線)、或いは横浜線or南武線~東海道本線を経由する大回りルートを使う事で、他社管内を経由する事にはなるものの、静岡とはレールが繋がっており、トレーラーなどを使わなくても、直接車両を移動させる事は物理的に可能です。
(それでも頻繁に移動させる事は厳しいですが…)

しかしながら今の所山梨県内の中央東線で313系などが走ったという話は聞かず、台風通過時に山梨県内で運用されていた車両が、一部区間復旧後にそのまま使われている様で、運行車両は車庫に帰区できない事から清掃などが行き届かず、全体的に汚れた印象が目立ったものでした。

 
ちなみにMAKIKYUが甲府~身延間で身延線を利用した際には、313系3両編成(ロングシート)のN8編成に当たり、同タイプは他にN10編成が身延駅に停車している姿を目撃しています。

それ以外の山梨県内残留車両は、MAKIKYUが確認した限りですが、途中ですれ違った列車と、鰍沢口・身延両駅に停車していた車両で、以下の編成を確認しており、他に代行バス乗車中には、芝川駅でも313系1編成(行先表示はLED・編成は未確認)を目撃しています。

313系2両編成(セミクロス・ワンマン対応車) V4 V5 V6 V8
313系2両編成(ロングシート) W3 W4
373系3両編成 F4


この内MAKIKYUが身延線を利用した際に稼動していたのは、乗車した列車以外は全て2両編成セミクロスのV編成で、ワンマン運転対応と言う特性が、稼働率の高さに繋がっていると感じたものです。


これらの身延線の山梨県内運用車両は、車庫へ帰区できない事も影響してか、トイレが全て使用停止となっており、その旨を示す張り紙が見られたのは、東日本大震災で長期不通となり、その後一部区間で再開したJR仙石線の気動車(矢本~石巻間)を連想させられ、こんな所でも災害の影響を感じたものですが、甲府~身延間を普通列車で乗り通すと1時間以上は要しますので、利用の際は要注意です。

またMAKIKYUが身延線を利用したのは昼間と言う事もあってか、身延で留置となっている車両が目立ち、その一方で特急「ふじかわ」号の全面運休により、ただでさえ少ない列車本数の大幅減が行われているのは、不便極まりなく頂けないと感じたものです。


特急用の373系が山梨県内には1編成しか残留しておらず、特急の運行には限界があるとはいえ、昼間に稼動していない2両編成のロングシート車を活用し、特急のダイヤで臨時快速を設定する事はできないのかも気になる所で、現在の一部区間バス代行が長期化するのであれば、何らかの対策を望みたいものです。

 
あと特急用の373系は、F4編成1本が身延駅で留置されている姿を目撃しており、こちらは日頃まず同系では目にする事がない「(普通列車)身延」の字幕を出していたのが気になったものです。

ネット上の情報では、朝ラッシュ時に身延~甲府間を普通列車で往復している姿が取り上げられており、ピーク時の車両不足対策としている様です。

同系は設備的に優れた車両である上に、身延線沿線での列車運行区間でも減便が相次ぎ、利用客に使い難い状況を強いている状況ですので、当面特急や特急ダイヤでの臨時快速の設定が厳しいのであれば、昼間の車掌が乗務する普通列車でも大々的に運用して欲しいと感じたものです。