首都圏を走る鉄道の中では、余りに高額過ぎる運賃で悪評名高く、また首都圏の辺境・公共交通の不毛地帯とも言われている北総監獄(千葉ニュータウン)を走る「開発を止めた某鉄道」(元○○開発鉄道)の惨状は、「MAKIKYUのページ」でも時折取り上げており、ご存知の方も多いかと思います。
しかも昨年末には、ただでさえ余りに高過ぎる運賃を更に値上げする事を発表しており、この事をご存知の方も多数居られるかと思いますが、今日2月10日から「更に値上げした激高運賃」の適用が始まります。
(写真は2007年時点での「開発を止めた某鉄道」駅掲出運賃表で、事情を知らない方は余りの凄まじさで目玉が飛び出る程かと思います)
「開発を止めた某鉄道」側では、今日の運賃改定では通学定期券運賃を据え置くと共に、普通運賃や定期券運賃の値上げ幅も僅かである事を盛んにPRしていますが、元々余りに高額過ぎる運賃が更に…という有様ですので、都市鉄道における最高額運賃路線としてギネスブック入りを狙っているのでは…と勘繰りたくなる程です。
値上げ(改定)前と値上げ後の、「開発を止めた某鉄道」主要区間における運賃を比較すると、以下の様になります。
京成高砂~新柴又間・1.3km(初乗り運賃)
普通運賃(現金)190円→200円
通勤定期券(1ヶ月)8530円→8570円
通学定期券(1ヶ月)3740円(据置)
北総監獄中央~印西牧の原間・4.7km(両駅からの最安運賃)
普通運賃(現金)290円→300円
通勤定期券(1ヶ月)12790円→12860円
通学定期券(1ヶ月)5390円(据置)
新鎌ヶ谷~北総監獄中央間・11.1km(比較的利用が多い中距離区間の運賃)
普通運賃(現金)560円→570円
通勤定期券(1ヶ月)24300円→24430円
通学定期券(1ヶ月)10570円(据置)
京成高砂~印旛日本医大・32.3km(「開発を止めた某鉄道」の最長区間運賃)
普通運賃(現金)810円→830円
通勤定期券(1ヶ月)34960円→35140円
通学定期券(1ヶ月)15150円(据置)
ただでさえ余りに高額過ぎる運賃に加え、駅間が長いとすぐに初乗り運賃を超えてしまう事や、一部では「メタボ運賃」とも呼ばれ、中距離(11~12km程度)での運賃が極端に高くなっている事などから、他路線と同じ感覚ではとても「開発を止めた某鉄道」は利用できないと言っても過言ではありません。
これも経営が苦しく、路線維持も限界寸前の地方私鉄などであれば致し方ないかもしれませんが、大手私鉄の関連会社である上に、近年では親会社大手私鉄との2重戸籍路線→実質的に大手私鉄の一部となっている現状も踏まえると、異常と言わずして他に…という有様です。
さすがに北総監獄の服役囚(地域住民)も、「開発を止めた某鉄道」の余りの惨状に見かねて、昨年からは有志が動き出し、鎌ヶ谷観光バスが運行を行う「生活バスちばにう」を、新鎌ヶ谷~北総監獄中央間で月~金曜日(祝日に該当する場合は減便特別ダイヤ)のみ運行する程ですが、ただでさえ余りに高過ぎる「開発を止めた某鉄道」運賃が更に値上げともなれば、生活バスちばにうへの旅客転移(逸走)も一層進むのでは…と思います。
ちなみに新鎌ヶ谷~北総監獄中央間の「生活バスちばにう」運賃は、以下の通りとなります。
普通運賃(現金)300円[他に3000円で11枚綴りの回数券設定あり]
通勤定期券(1ヶ月)12000円
通学定期券(1ヶ月)6800円
路線バスは鉄道に比べ、定期券の割引率が低く設定されている事が多く、300円区間の一般的な水準を適用すると、通勤定期券13500円・通学定期券10800円程度になりますが、土日運休と言う事を考慮しても、通学定期券に関しては特に割引率が高く設定されているのも特徴です。
これでも他の鉄道などに比べ、特別安い訳ではないのですが、「公共交通の不毛地帯」と言われる北総監獄の、余りに凄惨な状況が幾分マシになっているという意味では、評価できる所かと思います。
また「開発を止めた某鉄道」新鎌ヶ谷~北総監獄中央間とほぼ同距離の、全国の主な鉄道の運賃と比較すると、「開発を止めた某鉄道」や「生活バスちばにう」の運賃がどの程度の水準かより明確になると思いますので、以下に比較対象例を幾つか挙げたいと思います。
JR東日本・日暮里~新宿(11.3km)
普通運賃(現金)200円
通勤定期券(1ヶ月)5820円
通学定期券(1ヶ月)4640円(大学生)
東京メトロ・新宿3丁目~平和台(11.4km)
普通運賃(現金)240円
通勤定期券(1ヶ月)7990円
通学定期券(1ヶ月)4460円
小田急電鉄・新宿~成城学園前(11.6km)
普通運賃(現金)220円
通勤定期券(1ヶ月)7800円
通学定期券(1ヶ月)3260円
東武鉄道・北千住~松原団地(12.1km)
普通運賃(現金)250円
通勤定期券(1ヶ月)9830円
通学定期券(1ヶ月)3750円
つくばエクスプレス・北千住~三郷中央(11.8km)
普通運賃(現金)370円
通勤定期券(1ヶ月)13310円
通学定期券(1ヶ月)8870円
東葉高速鉄道・東海神~八千代中央(11.7km)
普通運賃(現金)570円
通勤定期券(1ヶ月)23760円
通学定期券(1ヶ月)11880円
富山地方鉄道・電鉄富山~相ノ木(11.3km)
普通運賃470円
通勤定期券(1ヶ月)18250円
通学定期券(1ヶ月)13210円
名古屋鉄道・赤池~浄水(11.3km)
普通運賃400円
通勤定期券(1ヶ月)14690円
通学定期券(1ヶ月)5020円
阪急電鉄・梅田~蛍池(11.9km)
普通運賃220円
通勤定期券(1ヶ月)8620円
通学定期券(1ヶ月)2960円
近畿日本鉄道・難波~東花園(11.9km)
普通運賃300円
通勤定期券(1ヶ月)10800円
通学定期券(1ヶ月)4560円
泉北高速鉄道・中百舌鳥~光明池(12.1km)
普通運賃280円
通勤定期券(1ヶ月)11240円
通学定期券(1ヶ月)6920円
神戸電鉄・湊川~箕谷(12.1km)
普通運賃410円
通勤定期券(1ヶ月)15860円
通学定期券(1ヶ月)7770円
JR九州・博多~篠栗(12.1km)
普通運賃280円
通勤定期券(1ヶ月)8180円
通学定期券(1ヶ月)6400円(大学生)
西日本鉄道・福岡(天神)~下大利(11.6km)
普通運賃290円
通勤定期券(1ヶ月)11290円
通学定期券(1ヶ月)4390円
上記は全国の主な鉄道における11~12km程度の距離を乗車した際の運賃一例ですが、JRや他大手私鉄などに比べると、「生活バスちばにう」でも決して割安な訳ではありません。
大手私鉄の中では運賃水準が割高な部類に入る名古屋鉄道の中で、更に加算運賃が適用されて高額な豊田線、そして都市鉄道の中ではやや割高な部類に入るつくばエクスプレスや神戸電鉄など比べても…という状況で、ニュータウン新線の一つに数えられる泉北高速鉄道などは、一部で高いと騒がれながらもさほど高額な部類に入らない事も一目瞭然かと思います。
(神戸電鉄は路線条件故に致し方ない面もあり、その事をHPでも案内しているなど、旅客に高額な運賃負担を求める事を何とも思っていない「開発を止めた某鉄道」とは大違いです)
ましてや「開発を止めた某鉄道」の運賃水準ともなれば、改定(値上げ)前運賃と地方私鉄の中でも運賃が高額な部類に入る富山地方鉄道(地鉄)を比べても…という状況、「開発を止めた某鉄道」と並び超高額運賃で有名な千葉県内3セク鉄道・東葉高速鉄道と比べても「どんぐりの背比べ」状態(こちらの方が相互直通運転が割安な運賃となっているため、実質的負担はやや低減)です。
通学定期券は「開発を止めた某鉄道」の方が、自治体補助の絡みで一応地鉄よりも割引率が高くなっていますが、地鉄電車は遠距離の定期券利用者向けに電車全線フリー定期券を設定しており、こちらは通学定期券だと13370円・通勤定期券でも23660円(1ヶ月)となります。
そのため地鉄電車で「開発を止めた某鉄道」京成高砂~印旛日本医大間(32.3km)とほぼ同距離の稲荷町~立山(32.4km)間を利用した場合、定期運賃は地鉄電車の方が遥かに安くなります。
両社(青字が「開発を止めた某鉄道」の改定後運賃/緑字が地鉄電車運賃)を対比すると…
普通運賃830円/1000円(えこまいか・Passca利用で実質運賃は若干割引)
通勤定期券(1ヶ月)35140円/23660円(電車全線フリー定期)
通学定期券(1ヶ月)15150円/13370円(電車全線フリー定期)
「開発を止めた某鉄道」が実質的に大手私鉄の一部路線と化している実態を踏まえると、ただでさえ余りに高額過ぎる運賃を更に値上げと言うのはとんでもない話で、こんな酷い話は全国各地を探しても他に類を見ないのでは…と感じます。
おまけに「開発を止めた某鉄道」は、料金不要列車の中では最上級と言える様な車両は皆無であるどころか、日本国内の地下鉄線内を走る車両の中では、ダントツのワースト車両とも言われている7260形と呼ばれる旧型かつ消費電力量の大きい陳腐車両を、未だに使い続けている有様です。
他にも質の悪い車両を多数走らせており、運行頻度などの利便性も、首都圏都市鉄道の中では芳しくない部類に入ると思います。
そのため高品質な輸送サービスを提供するために、品質に見合った運賃を設定しているとは到底言い難く、こんな有様では「開発を止めた某鉄道」沿線を中心に「できるだけ 乗らずに済ます 北総線」というタイトルの書籍が出回るのも…と感じます。
公共交通機関の積極利用に努めているMAKIKYUでも、「MAKIKYUのページ」でも以前取り上げた名著「できるだけ 乗らずに済ます 北総線」の書名タイトルの如く、「開発を止めた某鉄道」だけはできるだけ乗らずに済ませ、時折所用で北総監獄へ出向く際にも、極力「生活バスちばにう」の利用に努めたいと思う程です。
(MAKIKYUが最近所用で北総監獄へ足を運ぶ際には、目的地の大半は中央地区です)
「MAKIKYUのページ」をご覧の皆様方も、今日の「開発を止めた某鉄道」における運賃改定(値上げ)に関しての見解等ありましたら、是非コメントもどうぞ。
(以前「MAKIKYUのページ」で取り上げた名著「できるだけ 乗らずに済ます 北総線」に関する記事をご覧になりたい方は、こちらをクリックして下さい)