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KORAIL・南道海洋観光列車「S-train」(3)~乗車編

2014-09-28 | 鉄道[大韓民国・KORAIL列車]

「MAKIKYUのページ」では6月に乗車したKORAILの南道海洋観光列車「S-train」に関する記事を2つ程取り上げましたが、今日はその続編として乗車中の車中から眺めた景色や、停車駅の様子などを取り上げたいと思います。

MAKIKYUが乗車した「S-train」は、一応「慶全(Gyongjeon)線」の列車という扱いになるものの、列車の始発駅となっている釜山(Busan)から、同線の始発駅・三浪津(Samnanjin)までの50km弱は、KORAIL一の大幹線・京釜(Gyongbu)線を走ります。


京釜線は韓国初訪問以来、MAKIKYUは訪韓の度に何処かの区間、時には全区間を利用する路線ですので、訪韓暦2桁に達したMAKIKYUとしては、異国の鉄道ながら通い慣れた道の様にも感じる状況ですが、それでも釜山の市街地を抜けて洛東江沿いを走る車窓は、個人的にはKORAILの中でもお気に入りの一つです。

アメリカンスタイルのDLが牽引する客車列車や貨物列車、フランスTGVベースの高速列車・KTXなどと次々にすれ違う光景を見ると、釜山の街中など各地で見受けるハングル表示などと共に、福岡からは200km強、長崎県・比田勝(対馬市)からは直線距離で100kmも離れていない地ながらも、日本国内ではなく海外までやって来たと感じるものです。

慶全線の起点・三浪津は列車分岐のためにある駅といっても過言ではなく、S-trainも一旦停車したものの、通過駅だけあり運転停車のみですぐに発車となります。

慶全線における旅客流動の主流となっている京釜線大邸(Daegu)方面(更にソウルまで直通する列車や、東大邸でソウル方面列車と乗り継ぐ乗客も多数あり)からは、KORAILではありふれた存在と言える三角線で三浪津駅の西側をショートカットしている上に、釜山方面から慶全線沿線の各都市へは大回りとなり、釜山方面~慶全線方面への直通列車運行本数は1日数本と言う状況です。


おまけに三浪津始発の慶全線列車が皆無である事も災いしてか、釜山市内~慶全線沿線各都市間の旅客輸送は、市外バスなどの都市間バスに比べて劣勢ですので、一応分岐駅ながらも停車列車は少なく、実態は京釜線の一小駅に近い状況と言っても過言ではない状況で、この事も災いしてか駅構内も閑散とした状況でした。
(日本国内で例えるなら、岩手県・盛岡~宮古間の都市間バスと鉄道の都市間輸送状況に近いと言っても過言ではありません)


慶全線に入ると、以前は全線が単線非電化で如何にもローカル線という雰囲気だったものの、近年大規模な線路付け替えを伴う複線電鉄化が進められ、晋州(Jinju)まではKTXも走る様になった事から、この区間は新線に乗車している様にも錯覚し、よくここまで大規模な工事を次々と…と感心する程です。


途中停車駅の馬山(Masan)では、JR九州が「ななつ星」の運行を計画する際に、参考にしたとも言われるクルーズトレイン「ヘラン」の姿も見受けられましたが、停車時間が短い事もあり、じっくりと撮影できない状況なのは少々惜しいと感じたものでした。

晋州を過ぎると、複線電化の真新しい路線とは一変し、単線非電化で比較的きつめの曲線も多い状況となり、列車の速度も落ちるなど、如何にもローカル線と言った雰囲気に様変わりします。

交通機関としての機能性は劣るものの、趣味的な面白さと言う観点では、こちらの方に軍配が上がり、暫く走ると北川(Bukcheon)駅に停車します。

北川は同名駅がJRにも存在していますが、北川に限らず日本と漢字表記が同一の駅名が多数存在(仁川や水原、東海などが代表例)し、異国ながらも親近感を感じる辺りは、韓国の鉄道ならではと言えます。
(中華人民共和国も青島や松江など、日本と漢字表記が同一の駅名が幾つも存在しており、鉄道駅の無い都市名も含めれば、北川という地名も3カ国に存在します)

MAKIKYUの知人の中には、JR北川駅に停車する列車には幾度も乗車しているものの、同駅を通過する列車には殆ど乗車せず…という人物も居るのですが、MAKIKYUは日韓どちらの北川駅も通ったのは数回程度です。


両者は島式ホーム1面2線で上下列車が離合可能な、単線区間にある田舎の小駅と言う共通点もあります。


KORAILの北川駅は駅構内に多数のコスモスが植えられ、近年では「コスモス駅」として駅名票なども特別仕様になっているのが特徴で、4分程度と短い時間ながらも、S-trainは観光列車らしくホームの散策などができる停車時間も設けられています。

北川を出ると、宝城行のS-trainではその後順天(Suncheon)と得粮(Deungnyang)の2駅でも長めの停車時間が確保されていますが、前者は全羅(Jeolla)線と慶全線が交わるジャンクションで、全羅線を走るS-trainと相互接続を図るための停車ですので、駅自体に特別なイベント等はありません。

ただ全南地区における鉄道の要衝だけあり、駅構内では多数の車両が留置されている姿などを見る事もでき、レールファンであれば注目のポイントかと思いますし、全羅南道では大規模な部類に入る町で、周辺に観光スポットも多数抱える事から、順天で下車する乗客も多く、順天を過ぎるとS-train車内も閑散とした状況になります。

 
そして終点宝城の一つ手前・得粮では10分程の停車、運行本数の少ない慶全線順天以西ながらも、丁度ここで定期列車(ムグンファ号)との列車交換が設定されているのですが、同駅到着前は終点を目前にこの小駅で長時間停車は…とも感じたものでした。

 
得粮の駅舎内にはかつて使用していたタブレット閉塞の機器類や、今は見られないピドゥルギ(鳩)号列車をはじめとする多数の写真なども展示されており、これらを眺めていれば多少の停車時間があっても…と感じる状況でした。

駅周辺もレトロな街並みを再現した箇所が存在する様で、有名な宝城茶園へ向かうS-train利用者向け観光バスも、終点の宝城駅ではなく、一つ手前の得粮駅から出発する事も考慮すると、観光列車としては妥当な停車時間と感じたものでした。

 
そして得粮を出発すると、10分程で終点の宝城駅に到着、MAKIKYUは以前一度だけ光州市内→釜山市内へ向かう際に、慶全線列車で通った事はあるものの、田舎の小駅という事もあり、宝城駅を利用するのは先月が初めてでした。

宝城は茶で有名な街で、茶園へ向かうバスも発着するバスターミナルは、駅から徒歩10分程度の距離にあります。
(茶園は駅から徒歩で行ける距離ではありません)

宝城到着後はバスに乗車するため、徒歩でバスターミナルへ向かったものでしたが、このバスターミナルや乗車したバスに関しては、近日中に追って別記事で取り上げたいと思います。


KORAIL・南道海洋観光列車「S-train」(2)~車内編

2014-09-25 | 鉄道[大韓民国・KORAIL列車]

先日「MAKIKYUのページ」では、KORAILの南道海洋観光列車「S-train」に関して取り上げましたが、今日はその続編で車内の様子に関して取り上げたいと思います。

「S-train」の客車は、ムグンファ号用で使用している客車の中でも、通称「リミット」と呼ばれる比較的新しい車両を種車にしており、この車両は他のムグンファ号用客車と同様に、日本のJR在来線特急普通車並みのシートピッチながら、シートピッチの割にはリクライニング角度が比較的大きい回転式リクライニングシートを装備しています。
(リクライニング角度が大きいお陰で、長時間乗車でも比較的快適に過ごせ、夜行利用でもそこそこと感じる一方、座席を向かい合わせにした際には、座席を早く倒したモノ勝ちになってしまう弱点もあり、日本国内ではこの点を考慮して敢えてリクライニング角度を抑えている車両もありますので、この点は一長一短です)


客室の過半数はこの座席をそのまま活用しつつも、モケットやシート自体の装いを変える事で、観光列車ならではの華やいだ雰囲気に改められています。

内装もカッティングシート仕上げなどで随分印象が変わり、車両デッキに足を踏み入れるだけでも、一般列車とは異なる列車である事を実感させられる程です。


日よけがカーテンからブラインド(多少開閉に難儀するのが難点ですが…)に改められており、ブラインドは絵柄入りとなっていますので、これも観光列車ならではと感じる所です。

各座席に充電用コンセント(韓国国内用のCタイプのみ対応:日本国内用の電化製品を利用する際には要変換プラグ)が改造で追設されているのも特徴ですが、コンセントはあって困るものではないと思いますので、一般列車でも今後設置が拡大されれば…と感じます。

一般的なリクライニングシートが並ぶ客室でも、客車によって天井の絵柄を変えるなど、車内を動き回って眺めるのも楽しめる様にしていたり、一部座席を撤去してベンチを設置している辺りは、均質性が求められるビジネス向け列車などとは異なる観光列車ならでは…と感じる所です。


車内には自転車置き場も設置されており、KORAILでは観光列車だけでなく、首都圏を走る広域電鉄の通勤電車(4扉ロングシート)でも、一部でこの装備が見受けられますが、これは日本では余り見られない韓国らしい装備と言え、他にも車内でのイベント開催などを考慮してか、座席を撤廃してフリースペース化した空間も存在します。


客席もムグンファ号と同等のリクライニングシートが主流ながらも、一部はグループ客などの利用を想定したボックス席などに改められており、中にはカップル席と称したセミコンパートメント区画も存在します。


これらは座面がビニール貼りとなっており、当然ながらリクライニング機能などもありませんので、グループでの利用を除くと個人的には…と感じる所ですが、多様な設備を備え、多様な客層に応える観光列車という意味では、この様な区画が設けられるのも…と感じます。


また一般列車でも一昔前は食堂車を連結し、今日ではこれに変わってカフェ車を連結している列車も数多いKORAILだけあり、客車5両と言うさほど長い編成ではないにも関わらず、飲食物などの物販を行うコーナーも設置されています。


ここには日本の一部観光列車などと同様に、乗車記念スタンプも設置している辺りは、観光列車ならではと感じたものです。

物販は物凄く地域色のあるものは…という印象で、韓国では一般的なものばかり、値段も市価に比べると割高感は否めない気がしましたが、飲み物や菓子類だけでなく、レトルト食品や弁当(掛紙にS-trainがデザインされたプルコギ弁当)などもありましたので、比較的長時間の乗車で、乗車前に食料などを買いそびれて…といった場合などには有用かと思います。


「S-train」ではこの物販コーナーとは別の車両に、沿線の河東(Hadong)郡で取れた茶を提供する茶室も設けられており、客室以外の空間が「多過ぎる」と言っても過言ではない状況で、おまけに物販コーナー脇にも飲食スペースが設けられていましたので、車両数なども考慮すると、物販・飲食スペースは1箇所に集約しても…と感じたものでした。

MAKIKYUが乗車した際には、「S-train」所定運賃(セマウル号特室料金)よりも5000W割引されており、KORAILの運賃水準が比較的割安ですので、日本の感覚から見ればさほど割高感はありません。
(割引適用後の釜山~宝城間260km強の「S-train」片道乗車は、日本円相当額で2400円程度、ほぼ同等距離の釜田~宝城間ムグンファ号一般室乗車は、日本円相当額で1700円程度(曜日などによる若干の変動あり)で、割引なしの所定金額で「S-train」に釜山~宝城間を片道乗車した場合は、日本円相当額で3000円弱になります)

それでも同じリクライニングシートを装備しているムグンファ号一般列車(一般室)を、「S-train」と同一区間で利用するのに比べると、5000Wの割引がなければ、現地物価などを考慮すれば随分割高になりますので、フリースペースを若干縮小する代わりに、座席数を増やして値下げする事は考えても…と感じたものでした。

この「S-train」に関しては、続編記事をもう一つ近日中に公開したいと思います。


KORAIL・南道海洋観光列車「S-train」(1)~外観編

2014-09-22 | 鉄道[大韓民国・KORAIL列車]

6月にMAKIKYUが韓国へ足を運んだ際には、幾つもの観光列車に乗車し、その中でも中部内陸観光列車「O-train」や、白頭大幹峡谷列車「V-train」などは、既に「MAKIKYUのページ」でも取り上げましたが、これらの観光列車の中で最初にMAKIKYUが乗車したのは、「S-train」(南道海洋観光列車)と呼ばれる列車でした。

「S-train」は比較的海岸に近い区間を走る慶全(Gyongjeon)線を走る観光列車として設定され、「S」は「South」や「Seaside」などに由来しています。

当初は慶全線(厳密には他路線にも跨るのですが…)で2区間の運行だったのですが、利用実態などを考慮してか、比較的短期間の間で2度の運行区間変更が行われています。

2014年6月~の運行区間は、釜山(Busan)~三浪津(Samnanjin:「S-train」は通過)~順天(Suncheon)~宝城(Boseong)と、龍山(Yongsan:ソウル市内)~西大田(Seo-Daejeon)~益山(Iksan)~順天~麗水(Yeosu)の2区間で、青字部分のみが慶全線運行区間となります。

そのため現在慶全線を走るのは、2列車が設定されている「S-train」の片方だけと言う状況ですが、両列車は上下共に順天で接続、隣接ホームで乗り継ぐ事も可能なダイヤが設定されており、2系統の列車を走らせる事で、順天やその周辺の全羅南道(Jeolla-nam-do)各地を観光する際の便宜を図っています。

MAKIKYUが「S-train」に乗車したのは、慶全線を運行する系統の全区間で、釜山市内から慶全線方面へ向かう列車は、通常釜田(Bujeon)駅を発着するのですが、「S-train」だけはKTXなどが発着する釜山駅発着となっていますので要注意です。
(釜山~釜田間は地下鉄1号線で15分程度、また釜山市内では他に西郊の亀浦(Gupo)駅にも停車しますので、宿泊場所などによってはこちらを利用するのも一つの手です)

この「S-train」は、慶全線の一部区間が非電化という事もあり、ディーゼル機関車が牽引する客車列車となっています。

編成は2系統共に現在のKORAILではありふれた存在ながらも、専用塗装に改められたアメリカンスタイルのディーゼル機関車(DL)+ムグンファ号用客車の改造車両5両+電源車(計7両)で構成されており、両系統共に1編成ずつで予備車なしですので、「S-train」は基本的に月曜日運休となります。
(車両検査の関係などで、これ以外にも閑散期の平日などに運休日が設定される事がありますので要注意です)


列車の先頭に立つDLは、如何にも異国の列車という雰囲気があり、強烈な表情をした姿もインパクトは絶大で、韓国で不定期刊行されている鉄道雑誌「Railers」の表紙を飾った事もある程です。

「S-train」の存在を知らない人物にこのDLの写真を見せ、玄界灘を挟んで福岡とは僅か200km強、高速船に乗船して3時間程度で足を運べる近場を走っている列車と説明したら、少々驚かれるかもしれません。

 
DLが従える5両の客車と電源車は、どちらも日本とは異なる大陸の列車ならではの雰囲気が漂う車両ですが、これもKORAILではありふれた存在で、外観は装いを除くと一般列車とは差異が少ないものです。


「S-train」は2系統が運行されている事もあり、MAKIKYUが乗車した慶全線系統の列車は青系統の装いですが、龍山駅発着のもう1編成は赤系統の装いとなっており、両列車が同一ホームで隣同士に停車し、相互接続となる順天駅での誤乗防止にも役立っているのでは…と感じます。

またKORAILの列車線を走る一般列車では、最近走り始めたばかりの新型電動車を除くと、今でも列車種別・行先表示はサボの使用が
一般的で、「S-train」も客車側面にサボを掲げていますが、このサボの様式は、他の一般列車とは異なる「S-train」独特のモノとなっています。


MAKIKYUが乗車した際には、釜山発着列車の終着駅が宝城に変更されてから日が浅い状況だったものの、以前の行先の上にステッカーなどを貼り付けての代用ではなく、きちんと新たなサボが掲出されていました。

この「S-train」は観光向けに特化した列車だけあり、車内設備なども非常に特色の強いモノになっているのですが、こちらに関しては近日中に別記事で追って取り上げたいと思います。 


銀行名を語る不審メールを受信~絶対にURLクリックは…

2014-09-20 | Weblog

今日MAKIKYUが普段利用しているメールアドレスを開いたら、大手都市銀行の一つ・三菱東京UFJ銀行を送信者とした不審メールが届いたものでした。

MAKIKYUも日頃三菱東京UFJ銀行とは取引があるのですが、同行ネットバンキング等の利用はしていない上に、送信者が台湾のフリーアドレスで内容も余りに…と感じる事もあり、三菱東京UFJ銀行のHPへアクセスしてみたら、トップページの冒頭に「2014年9月19日 三菱東京UFJ銀行の名をかたった偽メールによる被害が発生しています!」という警告が出ており、不審メールに関する問い合わせ先(フリーダイヤル)なども記載されています。

MAKIKYU宛に送信された不審メールは、宛先も正規のアドレスではなく別アドレス宛のモノが届く有様でした。

三菱東京UFJ銀行側に問い合わせたら、不審メールに記載のURLへは絶対にアクセスせず、同行の不審メール関連受信専用アドレス(フリーダイヤルに問い合わせた際に教授頂きました)へメール内容を送信した後、削除して頂きたいとの事でした。
(当然ながら同行の受信専用アドレスへメール内容を転送した後、内容を削除しました)

「MAKIKYUのページ」をご覧の皆様方も同種のメールを受け取られる事がありましたら、この不審メールに記されたURLへは絶対にアクセスせず、可能であれば三菱東京UFJ銀行宛に報告・偽メール関連の被害防止に協力頂ければ…と思います。

ちなみにMAKIKYU宛に送信された不審メールの内容は、以下の通りです。
(送信者や受信者、リンク先URLなどは一部改変(改変部分は●表記)しています)


件名  【三菱東京UFJ銀行】本人認証サービス
送信者 三菱東京UFJ銀行 a62●●●●●●1@yahoo.com.tw 
宛先 m●●●●●-t●●●@tkz.bbiq.jp
日時 2014年09月20日 02:33:08

こんにちは!
最近、利用者の個人情報が一部のネットショップサーバーに不正取得され、利用者の個人情報漏洩事件が起こりました。
お客様のアカウントの安全性を保つために、「三菱東京UFJ銀行システム」がアップグレードされましたが、お客様はアカウントが凍結されないように直ちにご登録のうえご確認ください。

以下のページより登録を続けてください。

https://entry11.bk.mufg.jp/(以下省略) 

Copyright(C)2014 The Bank of Tokyo-Mitsubishi UFJ,Ltd.All rights reserved――


奈良交通・五新線のバス専用道が廃止に~国道経由化で利便性は向上するものの…

2014-09-18 | バス[近畿]

今日ネット上のニュース記事を見ていたら、奈良交通のバス専用道(五條~城戸)が今月限りで廃止(閉鎖)され、来月からは専用道付近を通る便が国道経由に変更となるため、最後のお別れ乗車をする乗客で賑わっているという記事を目にしたものでした。

廃止されるバス専用道は、かつて奈良県の五條から和歌山県の新宮へ向かう鉄道として構想があり、途中までの建設は行われたものの、結局鉄道として開業する事はなく、建設済の一部区間がバス専用道に整備され、国鉄バスとして運行していた「五新線」の大半を占める区間です。

五新線は国鉄分割民営化の際、西日本JRバスに引き継がれたものの、その後地場の民営バス事業者・奈良交通に移管され、今日まで運行を続けていました。

バス専用道が存在する地域は、元々山間部で道路混雑などが激しい地域とは言い難い上に、付近を併走する国道も、バス専用道と並行する区間では、道路状況が極めて悪いと感じる所ではありません。

また趣味的には注目と言える存在ながらも、一帯の路線バスが奈良交通に一元化された後は、JRバス引継便とそれ以外で運行経路が異なり、山間部で運行本数も限られる中で、便によって経由が異なるという不便な状況にもなっていますので、この様な状況が一帯何時まで続くのか…とも感じていました。

MAKIKYUはこの五新線バス専用道を走る路線には、国鉄バス~西日本JRバス時代・奈良交通移管後のどちらも乗車した事はなく、未乗のまま終焉を迎えてしまいそうですが、付近を走る国道(168号)は「日本一長い路線バス」としても知られ、近鉄大和八木駅を基点に御所・五條バスセンター・城戸・上野地・十津川村役場・十津川温泉・熊野本宮・志古を経てJR新宮駅へ至る有名な「八木新宮線」も運行している区間で、同線には3年程前に一度乗車した事があります。


その時には国道を運行する八木新宮線車中から、五新線のバス専用道を目撃(写真・以前八木新宮線に関する記事を公開した際に掲載した画像の再掲載です)しており、八木新宮線もこの専用道を運行すれば、趣味的な面白さは…などとも感じたものでした。

とはいえバス専用道が老朽化し、施設維持にも手間取る状況であれば、JRバス移管便を他の便が走る国道経由に変更し、一帯を走る全便の経路を一元化した方が分かり易く、総体的に見れば利便性向上にも繋がる路線再編を行うのは当然の事と言え、バス専用道廃止のニュース記事を見たら、いよいよこの時が来た…と感じたものでした。

ちなみに五新線のバス専用道を走る便は、輸送需要が限られる事もあり、現在では基本的に小型車を用いている様ですが、八木新宮線は大型路線車ながらも、長距離乗車を見込んだ特別仕様車を充当している事でも知られています。


この特別仕様車は結構な古参車(写真・以前八木新宮線に関する記事を公開した際に掲載した画像の再掲載です)で、奈良交通が事業者限定バスコレクション(Nゲージサイズのバス模型)を発売する際にも、新型低床車と共に対象車種に選定された程ですので、注目度もかなり高い車両ですが、活躍路線故に相当な走行距離にも達しているかと思いますので、今後どれだけの活躍が続くのかも気になる所です。

また以前「MAKIKYUのページ」では、八木新宮線に関して取り上げた記事が幾つかあり、以下に該当記事へのリンクを設定致しますので、興味のある方はこちらもご覧頂けると幸いです。

奈良交通・八木新宮線(1)~使用車両は長距離路線にも関わらず…
http://blog.goo.ne.jp/makikyu/d/20100910

奈良交通・八木新宮線(2)~車内運賃表示器の各種表示
http://blog.goo.ne.jp/makikyu/d/20100912

奈良交通・八木新宮線の車窓風景(1)~大和八木駅→上野地編
http://blog.goo.ne.jp/makikyu/d/20100928

奈良交通・八木新宮線の車窓風景(2)~上野地→新宮駅編
http://blog.goo.ne.jp/makikyu/d/20101001


都羅山駅を発着するDMZ観光バスと安保観光

2014-09-16 | バス[大韓民国]

先日「MAKIKYUのページ」では、大韓民国(韓国)の非武装地帯(DMZ)へ向かう観光列車「DMZ-Train」に関して取り上げましたが、この列車の終点駅になっている都羅山(Dorasan)駅はDMZという特殊区域となっており、一般人が周辺を自由に動き回れる環境ではありません。

また都羅山駅を発着する列車も、現在では2往復のDMZ-Trainのみ(運休日あり)となっており、折り返し時間も結構ある上に、DMZ-Train以外の公共交通機関も存在しないため、DMZ-Trainで都羅山駅に到着した観光客は、都羅山駅を発着する周辺観光のツアーバスに乗車し、安保観光をするか、都羅山駅とその周辺(一部の整備された箇所)を見学するかの2者択一という状況です。

MAKIKYUは初訪韓(=初の海外旅行)の2002年夏にも、都羅山駅を訪問しており、6月のDMZ-Train乗車で2回目の都羅山駅訪問、以前の訪問時も安保観光のツアーバスに乗車したのですが、その時には南侵第3トンネルの見学が出来なかった事もあり、6月の都羅山駅訪問時も安保観光のツアーバスに乗車したものでした。

このツアーバスは、都羅展望台と南侵第3トンネルの2箇所を観光し、2時間程度で始発地の都羅山駅へ戻るコースとなっており、DMZ-Trainの折り返し時間を利用しての観光に丁度良い時間設定となっています。


バス代と南侵第3トンネルの入場料・昇降機運賃込みで11700W、昇降機を利用せずに徒歩見学とすればもう少し割安になり、韓流バスを堪能しながらDMZという特殊区域を見学できるという、日本に居たらまず体験できない観光という事も考えると、値段的にも悪くないものです。
(見学時は貸し出しのネックストラップを着け、バスの座席(指定制)はこのストラップのプレートに記された箇所になります)

 
MAKIKYUが以前安保観光のツアーバスに乗車した際には、繁忙期でバスが複数台出ており、わざわざエアロシティのトップドア車(他は全て観光車)を選んで乗車した記憶がありますが、今回は1台のみで、充当車両は近年日本にも進出している現代(HYUNDAI)の新型観光車・UNIVERSEでした。

MAKIKYUは韓国へ足を運んでも、専ら個人旅行と言う事もあってか、貸切車両へ乗車する機会は少なく、UNIVERSEも広域急行バスや高速バスで何度か乗車した程度ですので、UNIVERSE貸切車への乗車は今回が初めてでした。


車内は韓国では一般的なビニール張りの座席となっている他は、2人がけの座席が並ぶ典型的な観光バスと言った雰囲気でした。


運転席を見渡すと、日本のバスに比べるとサイズが大きく、マイクロバスのシフトレバーを連想させるシフトレバー(一応フィンガーコントロール)が特徴的で、韓国ではこの手のシフトレバーを良く見かけるほか、今日導入される新車でも、車種によってはロッド式(長い棒)も当たり前と言う状況です。


南侵第3トンネルの駐車場には、MAKIKYUが安保観光ツアーで乗車したバスと同一事業者・塗装ながらも、デザインの異なるユニバースが停車している姿も見られ、興味のある方は両者の差異などを見比べてみるのも面白いかと思います。


南侵第3トンネルの駐車場には、DMZという場所柄も影響してか、軍関係の車両なども見受けられ、撮影は余りおススメできません(この手のバスを撮影する際は自己責任でお願い致します)が、中には自家用バスベースの車両も見かけましたので、掲載したいと思います。
(バスの用途故に、ナンバー部分を一部加工しています)

ちなみに南侵第3トンネル見学の際は、北韓(北朝鮮)が侵略(南侵)目的で掘削した素堀のトンネルで、見学前には隣接するDMZ映像館で映像(音声あり)による案内を受けてからの見学となります。
(映像は韓国語での案内ですが、外国人向けにヘッドホン案内も用意されており、その中には日本語もあります)

この南侵第3トンネルや一部で頭をぶつける危険性もある事から、ヘルメット着用が義務付けられており、トンネル内も撮影禁止となっていますので、残念ながら写真でトンネル内の様子を紹介する事はできません。


そのため南侵第3トンネル観光で紹介できるのは、昇降機(モノレール)程度という状況ですが、現在活躍しているのは昨年導入された「平和(Pyonghwa)号」と呼ばれる車両です。


その前に活躍していた車両は、昔KORAILで走っていた列車名を連想させる「統一(Tongil)号」で、こちらも両先頭車のみに短縮された姿の車両が、昇降機乗り場近くで保存されています。


もう一つの見学箇所(順序はこちらが先です)の都羅展望台は、コイン式双眼鏡も設置され、北韓(見えるのは見世物の村という話もあります)が見渡せる展望台で、展望台の展望スペースに描かれた黄色いラインよりも外側は撮影禁止となっています。


場所柄常に軍隊による監視も行われており、余り綺麗な写真は撮影できないのですが、黄色いライン上から北韓方を撮影すると、この様な状況です。


また安保観光バスの発着点にもなっている都羅山駅は、現状こそ安保観光に訪れる観光客がボチボチと言う程度ながらも、南北間を
直通する列車が何時運行する事になっても対応できる様に、イミグレーション(出入境施設)の備えた結構規模の大きな駅となっています。


設備的には現在の京成東成田駅(旧成田空港駅)や、イベント開催日以外の西武球場前駅の方がまだマシと言っても過言ではない程、大規模な設備を持て余している状況で、南北間を直通する列車が定期的に行き交う様になり、大規模な駅施設を活躍できる日が訪れる事を待ち望みたいものです。


(お断り)記事内容はバスを中心にそれ以外の話題も混在していますが、この記事は「バス[大韓民国]」扱いとさせて頂きます。


Peach×ラピート ハッピーライナーに遭遇~同発列車で追い掛けも…

2014-09-13 | 鉄道[近畿・スルッとKANSAI加盟社局]

JR全線の普通・快速列車が5日(回)乗り放題となる格安乗車券・青春18きっぷ有効期間も、去る10日で終了となりましたが、MAKIKYUは今月に入ってもまだ残存期間が残っている状況で、有効期間終了間際に立て続けに使う事になったものでした。
(今夏は仕事のスケジュールなどもあり、8月中に利用が難しかった反面、9月に入ってからまとまった休みが確保できたのも一因なのですが…)

今月に入ってもまだ3日分残存していた18きっぷも、一日は日帰り旅行で利用したものの、残り2日間は北陸~関西方面へ足を運ぶ際に利用したもので、スケジュールや18きっぷ残回数の関係もあり、関西からの帰路は少々奮発して新幹線利用(今回はグリーン車利用でしたので、18きっぷ利用による普通列車乗り継ぎとは、正反対と言っても過言ではありません)と言う状況でした。

北陸~関西方面へ足を運んだ際には、18きっぷで乗車できるJR線の普通・快速列車以外にも、別途運賃を支払ったり、企画乗車券類などを用意して幾つもの私鉄や路線バスなどにも乗車したものでした。

その一つが大阪なんばから南方へ路線を展開する南海電気鉄道で、先日南海電車に乗車した事で、MAKIKYUは今年大手15私鉄全てに乗車した事にもなったのですが、南海電車では7日から格安航空(LCC)のPeach Aviation(以下Peachと記します)の装いに改めた電車を走らせており、走り始めたばかりのこの車両にも遭遇したものでした。

対象車両は関西空港アクセス列車として運行している有料特急「ラピート」に用いられる50000系電車1編成(6両)で、同系の特別塗装は今年春~夏にかけて運行された真っ赤な装いに続くものとなります。

MAKIKYUは日頃関西に身を置いている訳ではなく、関西訪問も年に1~2回程度ですので、真っ赤なラピートは実際に姿を見る機会がなく、ネット上の画像などを見るだけで見納めになってしまったのですが、Peach×ラピート ハッピーライナーと称するPeach塗装のラピートも一編成だけですので、走り始めたばかりでたまたま遭遇するとは…と感じたものでした。


MAKIKYUが先日南海電車を利用した際には、南海線の電車でなんばに到着した直後に、なんば駅にPeach×ラピート ハッピーライナーが現れる状況で、暫くホームに停車している事から、様子を眺めたり撮影したりしたものでした。

Peachの機体色を纏ったPeach×ラピート ハッピーライナーは、特徴的な形状の先頭部が真っ白となっていますので、通常なら濃い塗装故に余り目立たないスカートを繋ぐボルトなどが、非常に目立つと感じたもので、装い一つで車両の印象が大きく代わる事を実感させられたものです。

なんば駅に入線したPeach×ラピート ハッピーライナーは、折り返し9時30分発の関西空港行に充当でしたが、MAKIKYUはこの時に南海電車をはじめ、関西一円を走る多数の私鉄・バスなどが乗り放題となる「スルッとKANSAI 2dayチケット」を利用しており、南海電車に関しては区間を気にせずに何処でも自在に乗車できる状況で、高野線ホームにはPeach×ラピート ハッピーライナーと同発の急行電車が停車している状況でした。


Peach×ラピート ハッピーライナーと同発の高野線急行は、南海電車で活躍する車両の中では、個人的な好感度も高い山岳区間直通対応の2扉車・2000系で、南海電車利用時には選んで乗りたい車両の一つですので、この電車の先頭に乗り込んだものでした。

 
乗車した2扉車充当の高野線急行は、Peach×ラピート ハッピーライナーと同発という事もあり、なんば出発から暫く高野線・南海線の2路線が併走する複々線区間では、両者の併走が見込まれる状況でしたが、MAKIKYUの乗車時にはなんば出発をはじめ、その後の停車駅新今宮・天下茶屋でも、Peach×ラピート ハッピーライナーの方が僅かに先発する状況でした。

そのためPeach×ラピート ハッピーライナーを追い掛ける格好となり、先頭車前方からその様子も何枚か撮影も出来たのですが、これはPeach×ラピート ハッピーライナーと同発の高野線電車が走っていても、狙って撮影できるものではなく、タイミング次第では上手く撮影できない偶然の産物ですので、随分希少なシーンを見る事が出来たと感じたものでした。

 
また関西は多数の私鉄とJRがサービス合戦を繰り広げ、鉄道に対して関心を持つ客層が多い土地柄もあってか、MAKIKYUが乗車している高野線急行に新今宮から乗り込んだビジネスマンの方も、車中から併走するPeach×ラピート ハッピーライナーの姿を撮影している状況でした。
(高野線急行に新今宮から乗り込まれた方も、gooブログでブログを開設されており、Peach×ラピート ハッピーライナーに関して記事公開されていますので、トラックバックを送信させて頂きました)

南海も公式HPのPeach×ラピート ハッピーライナーを紹介する項で、「Peachカラーの特別デザインを施した特急ラピートが登場するのは6編成中1編成のみ!まさに出遭えたらラッキー!」と謳っている位ですが、余所者がたまにしか利用しない南海電車に乗車し、この車両に出遭うだけでなく追い掛けシーンも撮影できたとなると…と感じたものでした。

ただPeachのHPでは、「空飛ぶ電車が本物に?!」と謳われているのですが、空を飛ぶのが大嫌いなMAKIKYUとしては、ラピートが空を飛ばれては…と感じますし、ラピートの終点・関西空港には何度か足を運んだ事がありますが、ここから大空の彼方へ向けて飛び立つのは、何処の会社かを問わず、個人的には勘弁願いたいものです。

ちなみにこの日はPeach×ラピート ハッピーライナー遭遇後、南海線で人身事故による運転見合わせ→堺周辺の乗客は堺駅から南海バスで高野線堺東駅へ向かい、そこから高野線に振替輸送も行われていましたが、その中には韓国・ソウルから初めて日本を訪問し、関西空港からなんば・日本橋(Nipponbashi)へ向かう観光客も含まれていました。

この時たまたま堺東駅の近くにある某大手旅行会社で帰りの新幹線乗車票を手配した後、堺東駅へ向かう途中でまたまたバス降車場に居合わせたMAKIKYUは、堺東駅でバス~電車に乗換となる事情を理解できずに、南海バス乗務員も事情を上手く説明出来ずに困っている中で、MAKIKYUが間に入って片言で事情を説明~なんばまで案内するといった事もありました。
(ただ日本語が出来ない外国人観光客とはいっても、韓国語の片言やハングルの筆談などが通じますので、7月に中央本線で乗り合わせたオランダ人観光客と意思疎通するよりは、ずっとラクに感じたものでしたが…)

日本初訪問の外国人観光客が、入国早々にいきなり乗車する事はまずないと思われる泉北高速準急行にご案内してから事情を伺うと、韓国から関西空港まで空を飛んできたとの事で、とてもMAKIKYUは真似出来ない芸当と感じたものでした。

ラピートに充当される50000系電車は、2000系と共に南海電車で活躍する車両の中では、個人的な好感度が比較的高い方で、空港アクセスに用いられる特別車両の中では、乗車回数も多い方(それでも2回ですが…)に入ります。
(空港へ足を運ぶ機会自体が限られるMAKIKYUとしては、空港アクセスの有料列車を利用する機会は非常に限られ、日本国内の旅客鉄道はほぼ全線に乗車していながらも、成田エクスプレスやスカイライナー、ミュースカイやはるかにはまだ一度も乗車した事がなく、韓国のKORAIL空港鉄道も一般列車にしか乗車した事がありません)

とはいえ終着駅故に、一応MAKIKYUは本州住まいながらも、韓国旅行の際には利用したくない交通機関の一つと感じており、また韓国へ足を運ぶ機会があれば、次もまた西鉄バスを利用できれば…と感じたものでした。
(当然ながら博多駅や天神などから博多港国際ターミナルへ向かい、そこからMAKIKYUの韓国旅行では毎度恒例となっているJR九州高速船「BEETLE」や共同運航の未来高速「KOBEE」などを利用できれば…と思っており、博多以外でも下関などであれば悪くない話なのですが…)


KORAIL・平和列車「DMZ-Train」(2)~車内編

2014-09-10 | 鉄道[大韓民国・KORAIL列車]


先日「MAKIKYUのページ」で取り上げたKORAILの平和列車「DMZ-Train」(写真・先日公開した画像の再掲です)ですが、今日は先日の続編記事として車内の様子を取り上げたいと思います。

DMZ-Trainは先日の記事で触れた通り、CDC(都市通勤型ディーゼル動車)と呼ばれる車両を種車に、観光列車向けに改造を施した車両となっており、元々統一号→通勤列車で用いられていた車両ですので、CDCの客室設備はセミクロスシートとなっていました。
(クロスシート部分は転換式ですが、一部はボックス配置で登場した後、転換式に改められた車両も存在します)

現在も通勤列車として京元(Gyongweon)線で活躍する車両は、この設備を堅持しており、大邸地下鉄放火事件以来強化された、内装材の不燃化対策が施されずに今も活躍している数少ない車両にもなっていますが、それ以外の車両は用途変更と共に内装不燃化対策も併設されており、化粧板の交換等も行われています。

用途変更されたCDCは、ムグンファ号用に改造されたRDCと呼ばれる車両が大半を占めており、こちらの座席は他のムグンファ号と同様の回転式リクライニングシート(JR特急普通車相当)に取り替えられ、客室と客ドア付近はデッキを設けて分離されるなど、CDC時代とは随分様変わりした状況で、江原道(Gangweon-do)を走る「パダ(海)列車」用車両に改造された車両などは、それ以上に様変わりしています。


しかしながら「DMZ-Train」はソウルから片道1時間程度の都羅山(Dorasan)駅までの運行で、運行距離や乗車時間が短い事から、セミクロスシートの座席は大半が再用され、デッキなし2扉車のままであるなど、他のCDC改造車に比べると、CDC時代の面影が強く残存した車両と言えます。


とはいえ床材や座席モケットなどは種車と随分異なる鮮やかなモノに交換、一部座席へのテーブル設置や、車端の一部座席(元々は転換式クロスシート)を窓向きにも転換できるロングシート配置にするなどの変化が見受けられ、見るからにCDC改造車という雰囲気ながらも、観光列車ならではの改造点が幾つも見受けられます。

車両側面の化粧板には、様々な言語で「平和 愛 和合(peace love Harmony)」の意味を記したステッカーでコーティングされ、この中にはMAKIKYUには読めないモノが幾つも存在しています。
(余談ながらDMZ-Trainは3両編成と言う事もあり、各車両には「平和室」「사랑(愛)室」「和合室」という呼称も付けられています)


中国語表記(平和は「和平」と表記)が存在する事もあってか、日本語は漢字ではなくひらがなで「へいわ あい わごう」と記されている事や、韓国語の「愛」は漢字の読み方(애)ではなく、「愛」を示す固有語の「사랑」と表記されている辺りは、多少なりとも日韓両国の言語を解する人間が見れば、気になる所かと思います。


片道の乗車時間が1時間程度、3両と言う比較的短い編成ながらも、中間車(사랑(愛)室)の車端部には、物販コーナーが設けられていたり、走行中の前面展望を映し出すモニターが設置されていたりする点も、観光列車ならではと感じます。

物販コーナー脇には、乗車記念スタンプやポストカードも置かれており、ポストカードはメッセージを記して車内に掲げられたモノも多数見受けられたものでした。


MAKIKYUも客室乗務員(残念ながら日本語はNGでした)から掲示用メッセージを勧められ、外国人と分かると少々驚かれましたが、車内にも一枚メッセージを残したほか、日本国内の知人数名宛てとして車内設置ポストカードに車内設置スタンプを押印した後、メッセージを記して旅先からのAIR MAILとして送付したものでした。
(AIR MAILとして韓国から日本へ送付する場合、別途切手(MAKIKYUが郵便局で尋ねた時は400W、該当金額の郵票(切手)がないため、200W郵票を2枚貼る事になりました)が必要になりますが、それでも日本の国内郵便よりも割安ですので、DMZ-Train乗車の暁には、知人宛に旅先からの便りを送るのもおススメです)


先頭車乗務員室背後からの前面展望に関しては、以前MAKIKYUが一度だけ乗車した事がある東海岸を走る観光列車「パダ(海)列車」と同様に相変わらずの状況で、構造的には展望をウリにする事も容易かと思いますので、今後の改善にも期待したいものです。


また車内の広告掲出枠には、韓国語で記された詩などの掲出と共に、現在KORAILで活躍する各種車両や、過去にKORAILで活躍した車両などの写真も掲げられており、この様なモノを見ながら車内の様子を観察していると、1時間程度の乗車(都羅山行きは場所柄臨津江(Imjingang)駅での一旦下車・セキュリティチェックがあるため、所要時間は若干長くなります)はあっという間に感じたものでした。
(ちなみにこの写真の片側は、DMZ-Trainの種車にもなっているCDCが、過去に纏っていた様々な装い(現在は塗装変更で消滅)の一つです)

ちなみにこの「DMZ-Train」は設備的にCDCと大差ないにも関わらず、観光列車だけあって、一般列車では最も割高な「セマウル号特室」料金が適用となります。

DMZ(非武装地帯)へ乗り入れる列車と言う特異性を考慮しても、韓国の物価を考慮すると少々割高感が否めず、日本のJR観光列車並みと言っても過言ではありませんので、一応地元住民向けの短距離特定運賃設定なども存在するものの、運賃設定に関しては、もう少し検討の余地ありとも感じたものでした。


KORAIL・平和列車「DMZ-Train」(1)~外観編

2014-09-07 | 鉄道[大韓民国・KORAIL列車]

MAKIKYUが6月に大韓民国(韓国)を訪問した際には、近年KORAIL(韓国鉄道公社)が続々と登場させている幾つもの観光列車に乗車し、既に「O-train」と「V-train」に関しては、「MAKIKYUのページ」でも取り上げましたが、KORAILではそれ以外にも幾つかの観光列車を運行しており、その一つが平和列車「DMZ-Train」です。


「DMZ」という言葉は、馴染みのない方も多いかと思いますが、「非武装地帯」の事で、日本ではこの様な地域は存在しないものの、韓国は今でも北韓(北朝鮮)とは「急戦状態」の「準戦時国家」となっており、南北境界付近には一般人の立入が制限されている特殊区域が存在しています。

韓国は日本と非常に近く、良く似た雰囲気故に海外まで足を運んでいる事を忘れてしまいそうな雰囲気もありますが、この様な地域の存在や、準戦時国家と言う特性もあってか、今日でも徴兵制度が存在し、街中でも兵役訓練に就く迷彩服を着た人物の姿を見る事も珍しくない辺りは、日本とは異なる国家の状況を意識させられるものです。

「DMZ-Train」も、名前の通りこの非武装地帯(DMZ)へ向かう列車である事から、この様な列車名が付けられており、MAKIKYUが乗車した列車はソウル駅を起点に、京義(Gyongui)線を北上し、非武装地域内に位置する都羅山(Dorasan)駅までの間を結んでいます。
(一時分断された京義線の線路も、現在は都羅山駅以北の線路復旧が行われていますので、物理的には京義線という名前の通り、列車は戦前の如く新義州(Sinuiju)までの直通運行や、更に丹東を経て遠方まで運行する事も不可能ではないと思いますが、朝鮮半島の南北分断と言う特殊な事情もあり、都羅山駅を跨いでの定期列車運行は…という状況です)

この都羅山駅自体が、非武装地帯に位置する事もあり、今日では専ら都羅山駅周辺の非武装地域内に位置する観光スポット見学者が訪れる駅となっていますが、以前は通勤列車が発着していた都羅山駅も、「DMZ-Train」運行開始後は同列車のみとなっていますので、現在鉄道を利用して同駅を訪問する場合、必然的に「DMZ-Train」を利用する事になります。
(バス大国の韓国と言えども、非武装地帯という特殊性もあり、都羅山駅を発着する路線バスは存在しませんので、公共交通機関を利用して訪問する場合は、「DMZ-Train」以外の手段は存在しないのが現状です)

この「DMZ-Train」は、以前都羅山駅を発着する「通勤列車」にも使用していた都市通勤型ディーゼル動車(CDC)と呼ばれる車両を、観光列車向けに改装して充当しています。

KORAILでは通勤列車が次々と運行中止・他列車への格上げされていますので、現在大半が用途変更に伴う改造を施され、原型のまま残存する車両はかなり少なくなっています。

用途変更を伴う改造を施されたCDCの大半は、ムグンファ号用(RDC)に改造された事もあってか、各車に2箇所設置された両開き式の客扉は、1扉が撤廃されているのが大きな特徴になっています。


江原道(Gangweon-do)の東海(日本海)沿いを走る「パダ(海)列車」用に転用改造された車両も、一部扉の撤廃改造が施されているのですが、「DMZ-Train」は2扉のままとなっていますので、他のCDC改造車に比べると、車両形状自体はCDC時代の姿と変化が少ないと言えます。


しかしながら観光列車という事もあってか、装いは大きく改められ、都羅山方1両だけ他2両とは異なる装いとなっているのも、「DMZ-Train」の大きな特徴となっている他、車両形状の変化が比較的少ないとは言えども、一部窓の拡大化改造など、CDC時代とは異なる部分も幾つか存在しています。


また「DMZ-Train」の側面サボも、一般列車とは異なる様式の専用サボが用意されている点は、観光列車ならではと感じたものでした。

観光列車という事もあり、車内の雰囲気などはCDC時代とは色々変化しているのですが、こちらに関しては近日中に別記事で追って取り上げたいと思います。


JRバス関東の復刻塗装車に偶然遭遇~神出鬼没の存在ながら…

2014-09-04 | バス[首都圏]

先日「MAKIKYUのページ」では、横浜市営地下鉄グリーンラインで今年増備された車両に関して取り上げましたが、先月下旬にMAKIKYUが横浜市交通局の1日乗車券を利用して市内各地を廻った際には、市営バスで市ヶ尾駅前にも足を伸ばしたものでした。

市が尾駅は市営バスや東急バスが多数発着する他、横浜市内では少数派の小田急バスなども発着し、この他にも東名高速道路のICからも比較的近い立地も影響してか、近年では少数ながら高速乗合バスも発着しています。

この高速乗合バスの中には、JRバス関東が運行する便も含まれており、MAKIKYUが市ヶ尾駅前に居た時は丁度同社便の発着時刻で、JRバスの高速車が発着する姿を見る事になったのですが、やって来た車両は見慣れた白とブルーの車両ではなく、国鉄時代の装いを復刻した特別塗装車でした。


この特別塗装は2種類が存在し、国鉄バスの塗装と言うと、旧国鉄が高速バスを運行する際に導入した青系統の装い(現在のJRバス関東車両とは、色合いや塗り分けは別)を思い浮かべる方が多いかと思います。
(写真は以前交通科学博物館(現在閉館)に関する記事を公開した際に使用した、同館内に保存されていた国鉄ハイウェイバス車両です)

2種類存在する特別塗装の一つは、JR側が「青いつばめ」と称しているこの装いで、HPにおいて特定便での運行も案内されているのですが、MAKIKYUが目撃した特別塗装車はこのバスではなく、もう1種類の特別塗装車でした。

こちらは「赤いつばめ」と呼ばれ、JRバス関東による公式紹介では、50年程前の高速バス運行開始に際し、その試験車両に用いられた装いと案内されています。

営業運転では用いられなかった塗装という事もあり、馴染みのない装いですが、既存車両とは大きく異なる色彩もあってか、非常に際立つものです。


新型セレガにこの装いは、少々違和感も感じたものでしたが、このバスは現在ダイヤが特定されておらず、神出鬼没の存在となっています。

特に狙っていた訳でもないのに、随分珍しい装いの車両が稼動する姿を拝む事ができたのは希少な機会で、MAKIKYUが市ヶ尾で再びこの車両を見る事があるのだろうか…とも感じたものでした。


バスコレのシークレット他~シークレットはまさかの…

2014-09-01 | Weblog

数日前にTOMYTECが発売しているNゲージサイズ(150分の1スケール)の路線バス模型「THEバスコレクション」の第19弾(以下バスコレと記します)が発売され、「MAKIKYUのページ」をご覧の皆様方の中には、購入された方も居られるかと思います。

MAKIKYUも先日発売されたバスコレ19弾を1箱(12台入)購入し、中身を確認した所、全12種の内11台とシークレット1台という状況でした。

シークレットは2種のエアロスターどちらかの塗装違いになるのでは…と予想しており、引き当てるとは思っていなかったのですが、これは絶対に出ないだろうと思っていた車両が出てきただけに、シークレットモデルを見た時には仰天したものでした。

今回のバスコレクションに関して、某知人とメールでやり取りしていた時に、某知人から「エコハイブリッドがモデル化されないのは残念」という話が持ち上がり、こちらも「この車両のためにわざわざ金型を起こすのは…」と話をしていた位ですので、全国各地を探しても他に類を見ない1台だけの珍車ともなれば、モデル化は尚更ありえないと想定していました。


ちなみに今回、バスコレのシークレットとしてモデル化された車両は、兵庫県の神姫バスが1台だけ試験導入した前後扉のエアロスターノンステップ車で、MAKIKYUも姫路市内でこの車両の実車に1度だけ乗車した事があります。


以前「MAKIKYUのページ」でも記事として取り上げた事があり、ノンステップ車ながらも車椅子対応ではなく、おまけに機械式AT車であるなど、全国各地で数多く活躍するエアロスター・ノンステップ車の中でも、最も特徴的な異端車両の一つです。
(該当記事をご覧になりたい方は、こちらをクリックして下さい)

MAKIKYUの乗車後、転属・特定輸送用に廻され、現在では一般の乗車は叶わないという話もネット上で目撃した事がありますので、そうなるとただでさえ希少な車両の価値が更に…という状況になっています。

ただこの車両は他に類を見ない、異端中の異端とも言える車両だけに、この金型を活用して他モデルを製品化する事はまず望めず、こんな車両をわざわざモデル化する費用を回収する事も考えれば、バスコレが値上がりするのも…と感じますので、製品化は賛否両論が大きく分かれる所かと思います。

ちなみにこのシークレットモデルを引き当てた代わりに、神姫バスの通常モデル(エアロスターK前後扉車)は逆シークレット化し、まだ手元に…という状況ですので、こちらもバラ売りなどで早く手に入れたいものです。

神姫バス関連のバスコレは、以前も神戸市内定期観光用の特別塗装車(エアロバス)を引き当て、その後通常の高速車モデルをバラ売りで別途入手した事がありますので、MAKIKYUは神姫バスとは何かと縁が…とも感じますが、神姫バスグループには有名な2両連接バス(ベンツCITARO・オレンジアロー 連SANDA)をはじめ、他にも珍車が幾種も存在するだけに、他の珍車が今後モデル化されるのか否かも気になる所です。
(個人的にはゾーンバスのエアロスターMMや、明石市営バス移管に伴って移籍してきたブルーリボンシティ前後扉車(2段ステップ)辺りが出てくれば面白いと感じますが、今後これらの車種はバスコレに登場するのかどうか…)


またバスコレとは話が変わりますが、「MAKIKYUのページ」アクセス解析では、1月ほど前に筑肥線で新形式車両(305系)を導入する事が話題になった事も影響してか、連日キーワードや閲覧の多かった記事で「817系」に関する項目が上位を占めています。

817系はJR九州で活躍する交流区間専用の一般型電車で、MAKIKYUは九州へ足を運ぶ事自体が最近では年に2回程度、そのため乗車頻度も決して高い車両ではないのですが、九州へ足を運ぶと各地で活躍しているだけに、最近では概ね年に1回程度は何処かで乗車していると感じます。

同系の中でも、九州各地で活躍するクロスシート車(0番台や1000番台など)は、シンプルな車両ながらも独特なデザインや、合板と本革を組み合わせた転換式クロスシートなどは気に入っており、着席箇所による当たり外れなどもあるのですが、当たり席に座れれば下手な特急車よりもずっと良いのでは…と感じています。


最近福岡地区ではこれとは異なるタイプも導入され、こちらは2000番台(2両・写真)と3000番台(3両)の2種が存在、ラッシュ時の混雑対策としてロングシート化されている事と、車体色が銀色ではなく白く塗装されているのが大きな特徴で、真っ白な装い故に一部では「白缶」とも称されています。
(実車に関する記事をご覧になりたい方は、こちらをクリックして下さい)


この車両のロングシートは合板を用いた非常に特徴的なもので、一部では「板切れ」「ベンチ」などとも称され、賛否両論が大きく分かれる座席になっています。
(個人的には、それでも首都圏の標準軌某大手私鉄が近年導入している座席に比べればまだマシながらも、長時間乗車には余り適さないと感じています)


知人の中には白缶を大絶賛している者も居り、他車両と白缶が併結された編成が来たら、白缶の先頭車両を選んで乗車するという者も居ますが、先月末にこの白缶3両編成もNゲージ模型として発売され、MAKIKYUも1編成だけ購入したものでした。
(MAKIKYUは他車両との併結を想定し、動力なしの増結セットのみ購入したもので、併連している車両は以前MAKIKYUが購入した他メーカー製品です)

少々値段が高めな事に加え、ステッカーの類が…というのは難点で、模型の内装はさすがに木製ではないのですが、他車両と併結して走らせれば、模型としてはなかなか面白いものです。


また写真は近隣の某レンタルレイアウト走行中の1シーンですが、この車両が走る線路を跨ぐ陸橋を走る高速バスは、幾ら交流区間とは言えども…というギャップを感じるもので、この様な実車ではありえない組み合わせも、模型ならではの面白さと感じたものでした。