先日「MAKIKYUのページ」では、JR信越本線・横川~軽井沢間廃線跡の一部を活用したトロッコ列車・シェルパ君に関して取り上げましたが、今日はそのトロッコ列車で使用されている車両に関して取り上げたいと思います。
トロッコ列車の編成は横川(ぶんかむら)方から順に、機関車・客車(窓ガラスあり)・オープン型客車(窓ガラスなし)の3両で構成されており、機関車の付け替えは原則として行いません(とうげのゆ駅での機回しも不可です)ので、列車がとうげのゆ方面へ向かう際は機関車が最後尾、ぶんかむら方面へ向かう際は機関車が最前部となっており、65‰もの急勾配(ぶんかむら~とうげのゆ駅間の最急勾配:営業線時代の横川~軽井沢間における最急勾配は66.7‰)となっている路線だけあって、常に勾配を下る側に機関車が連結されているのが特徴です。
機関車はさすがにJR線時代に主役として活躍したEF63形という訳には行かず(この車両は今でも体験運転用に稼動していますが、架線の保守なども考えると…)、ディーゼル機関車が牽引していますが、このディーゼル機関車はTMC-500Aと呼ばれる急勾配の碓氷峠専用に製造された貴重な車両で、下りの際に速度が出過ぎない様にする特別な装置が備えられているのが特徴です。
客車もJRの第一線で活躍していた車両となれば、いくら線路幅が1067mmで物理的に走行可能であるとはいえ、1両だけでも大型故に重量が重くなり過ぎ、保線用車両ではとても推進運転などは出来ませんので、シェルパ君運行開始に際して特別に製造された小型の2軸客車が使用されていますが、この専用客車の外観は2両共に旧型客車をイメージしたダブルルーフとなっているのが特徴です。
2両の内横川(ぶんかむら)方に連結されている客車は、側扉が引戸となっており、冷暖房完備・座席も座面にはモケットが貼られていますが、空調装置も家庭用エアコンを2台設置している点は、一般の営業線で活躍する鉄道車両ではなかなか見られないもので、先頭(とうげのゆ方)に連結されているオープン型客車に比べると居住性は優れていると言えますが、それでも客車は小型という事もあってボギー車ではありませんので、居住性は決して良いとは言えません。
先頭(とうげのゆ方)に連結されている客車は、窓ガラスのないオープン型客車(一応アクリル板の取り付けが可能な様です)となっており、こちらは側扉が折戸となっているのも隣の客車との差異ですが、オープン型客車故に当然空調なし、また座席も木製と居住性は言うまでもない状況ですので、営業用の鉄道であれば特殊な観光列車などを除くと用をなさない代物です。
ただシェルパ君はアトラクション的存在で碓氷峠鉄道文化むら内施設の一環として運営されており、列車乗車や車窓を楽しむためだけに運行されていると言っても過言ではない列車ですので、外の景色を楽しめ、先頭部での展望も楽しめるオープン型客車の方が人気がある様です。
また2両の客車間は自由に往来可能な事もあって、MAKIKYUは両者を乗り比べていましたが、「MAKIKYUのページ」をご覧の皆様もシェルパ君に乗車される機会がありましたら、両方の車両を乗り比べてみると面白いかと思います。
写真はとうげのゆ駅停車中のシェルパ君ぶんかむら方(先頭は機関車)・とうげのゆ方(先頭はオープン型客車)と、客車車内の様子です。