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KORAIL京江電鉄線~昨秋鉄道空白地帯に開業した新路線

2017-01-22 | 鉄道[大韓民国・広域電鉄/地下鉄等]

先日「MAKIKYUのページ」では、韓国・ソウル市内と南郊を結ぶ新盆唐線(DX-LINE)の終端・光教(Gwanggyo)駅に関して取り上げましたが、この駅から乗車した江南(Gangnam)行のDX-LINE列車を下車した駅が板橋(Pangyo)で、板橋駅はKORAIL広域電鉄・京江(Gyonggang)線の始発駅にもなっています。

昨年秋の訪韓時、MAKIKYUは板橋駅でDX-LINEからこの京江線に乗り換えたのですが、京江線は昨年9月に開業したばかりの新線ですので、乗車したのは昨年秋が初めてで、韓国へは何度も足を運んでいるという方でも、京江線には乗車した事がないという方も少なくないと思います。

この京江線の新規開業区間は板橋~驪州(Yeoju)間56㎞、当初仮称で城南驪州線と呼ばれていた路線が、他の予定線を含めて京江本線とされて、その内の一部を構成する状況になっています。

現在はソウル南郊の城南市にある板橋を起点に東へ向かい、京畿道の鉄道空白自治体だった広州(Gwangju)市・利川(Icheon)市を経て、驪州(Yeoju)市に至る区間を運行しているものの、今後東西双方で延伸し、将来的には両端でKORAIL既存路線と接続し仁川(Incheon)広域市~原州(Wonju)市を結ぶ予定になっています。
(現在の他鉄道線連絡は始発の板橋駅でDX-LINEと接続する以外は、板橋の隣駅・二梅(Ime)でKORAIL盆唐線と接続するのみです)

板橋から京江線電車に乗車すると、暫くは都市化の進んだエリアが主体という事もあってかトンネルの中を走り、一旦地上に出ても西側(板橋寄)はトンネル区間が大半を占める状況です。


地上区間はソウル近郊に位置する京畿道の中では開発があまり進んでいない地域という事もあり、駅前でも長閑で閑散とした雰囲気の所が多いと感じたものです。

駅間が比較的長く両端駅を含めても11駅しかない事もあり、全列車各駅停車ながらも56㎞を1時間弱で走破しており、結構早いと感じたものですが、昼間時間帯の運行本数は毎時3本程度と、都市圏線区にしては少ないと感じたものでした。


ちなみに現在使用している車両は371000系と呼ばれ、京江線向けに新造された電動車ですが、他のKORAIL広域電鉄で活躍している車両とはデザインなどは酷似した標準仕様車両で、ソウル近郊を走る通勤電車の典型と言った雰囲気の車両ですが、現在の編成両数は4両、韓国の広域電鉄では最短の部類に入ります。


濃いブルー1色のラインカラーが配されている事に加え、先頭車前照灯が3灯になっている事と、KORAIL広域電鉄では最近になってようやく本格採用される様になったシングルアーム式パンタグラフが、外観上では大きな特徴となっています。


車内も造りは広域電鉄他路線の車両と大差ない4扉ロングシート車ながら、暖色系の座席モケットはソウル近郊のKORAIL広域電鉄他路線では見かけない京江線車両ならではの特徴となっており、標準設計的車両ながらも一風変わった雰囲気と感じたものでした。


またMAKIKYUが京江線に乗車した際は、途中駅では下車せずに終点の驪州まで乗車しましたが、驪州駅も市内中心部とは少々離れた街外れに位置しています。


そのため駅前は閑散とした雰囲気でしたが、バス大国の韓国だけあって市内中心部まで移動できる市内バス路線も設定され、写真の901番は昼間約25分間隔で運行しています。

京江線電車の運行本数を考慮すると、接続交通機関としては充分な便数が確保されていると言っても良いと感じたものです。
(MAKIKYUは驪州駅到着後901番バスでバスターミナルへ移動し、その後楊平(Yangpyong)へ移動しましたが、驪州駅から市内バスで楊平方面へ向かう場合は、バスターミナルへ出て乗換となります)

 
駅自体も開業したばかりの新線で、ホームドア設置率の高い韓国という事もあり、途中各駅共々スクリーン式ホームドアを完備しています。


おまけに将来の増結に備え、ホームは現在の運行両数(4両)以上の長さが予め確保されており、現在列車が停車しない両端は柵が設置されて入場できない状況ですので、保安面では人身事故発生が毎日の様に報じられる日本の首都圏各線とは大違いで評価できる事ですが、駅ホームからの列車撮影は絶望的な状況と言わざるを得ないのは残念な所です。
(列車の写真は驪州駅から板橋方へ徒歩で4~5分程度移動した所から撮影しています)

車両は新型1形式のみ・駅ホームでの列車撮影は絶望的な状況となると、趣味的な関心はイマイチと感じる向きも少なくないと思いますが、京江電鉄線開業で京畿道南東部に位置する各自治体へのアクセスは飛躍的に向上した事は多いに評価できると感じています。

京江線の運行本数や両数などは、現状では大都市近郊線区としては最小限のレベルと言わざるを得ない状況ですが、今後の発展余地は大いにある路線と感じ、今後どの様に変貌して行くのかも注目の路線と感じたものでした。


新盆唐線・光教駅とアクセスバス路線

2017-01-17 | 鉄道[大韓民国・広域電鉄/地下鉄等]

昨秋MAKIKYUが韓国へ足を運んだ際には、昨年初頭に延伸開業した新盆唐(Sin-Bundang)線の延伸区間・亭子(Jeongja)~光教(Gwanggyo)間にも乗車機会がありました。

新盆唐線は「DX-LINE」という愛称名を持ち、ソウル市内の江南(Gangnam)と南郊を速達輸送する新線で、江南~亭子間の開業も2011年ですので、路線自体が開業から日が浅い新線です。

近年開業したばかりの路線と言う事もあり、スクリーン式のホームドアは各駅に完備、全列車で自動運転を行っているのも大きな特徴です。

都心と郊外を速達輸送する目的で建設された事もあり、首都圏(ソウル都市圏)内を運行する通勤線区であるにも関わらず、途中駅間が8㎞程度離れた箇所も存在しています。

運賃体系も一応首都圏統合運賃制が適用されるものの、ソウル近郊では相当数の系統が存在する広域急行バスなどと同様に追加運賃が必要となっています。

そのため他路線との乗換口には中間改札が設けられているなど、「安いけど各駅停車ばかりで遅い」と感じる事が多い大半の首都圏地下鉄・広域電鉄路線とは随分趣の異なる路線となっています。

 
2011年に開業した江南~亭子間は全区間が地下区間となっており、列車撮影や車窓を楽しむのはとても…という状況で、今年開業した区間も殆どが地下区間となっていますが、新規開業区間の終点・光教駅は地上駅となっており、駅舎も地上に設けられた橋上駅・駅近くには車両基地も併設されています。
(写真は光教駅舎と、駅前から眺めた駅周辺の様子です)

 
光教駅周辺は僅かながら地上区間を走行し、光教駅構内で列車を撮影する事も出来ますので、延伸前に比べるとDX-LINEの列車撮影も格段に容易になっています。
(光教開業以前はKORAIL盆唐線の車両基地を間借りしており、盆唐線の竹田周辺で回送列車を撮影する事は可能でしたが、回送列車の運行時間帯などは限られており、終日地上で列車が発着する今日とは大違いです)

 
ホームにはスクリーン式のホームドアが設置されていますので、駅ホームで入線する列車や停車中の列車全体を撮影するのは困難、改札のすぐ近く(改札内)が列車撮影ポイント状態でしたが、先頭部や車端部だけを撮影するのであれば、ホームドア越しに撮影する事も出来ます。


ちなみに現在DX-LINEで活躍する車両は、D000系と呼ばれる車両1形式だけで、40年以上の歴史を誇る1号線などに比べると、車両面でのバラエティに乏しいのは新線故に致し方ない事です。


ただ広域電鉄では最近になってようやく導入され始めたシングルアーム式パンタグラフを全車両が装備しており、客ドアも韓国の都市鉄道では比較的少数派のプラグドアとなっている辺りは大きな特徴です。
(KORAILの列車線では、プラグドアを採用した車両が多数派で、シングルアーム式パンタグラフを搭載した車両も多数活躍しています)


車内は乗車時間が比較的短い通勤線区と言う事もあり両開き4扉オールロングシート、プラグドアなどの特徴を除くと、質素な内装や硬めの座席など、最近韓国で導入されている通勤電車の典型といった印象ですが、座席モケットが2色色分けとなっている点は独特です。


自動運転を行う路線だけあり、車端部が展望スペース状態となっており、最前部は立席にも関わらず結構な人気のある区画ですが、先日取り上げた仁川2号線などとは異なり、地上区間が光教駅周辺だけに限られてしまうのは残念な限りです。

また光教駅は一応水原(Suwon)市に属するものの、広域電鉄の路線図を見ると盲腸線状態となっており、光教駅~水原駅を鉄道だけで移動しようと思ったら、結構な大回りになります。
(それでも盆唐線が近年水原まで延伸開業していますので、あり得ない程の大回りではないですが、盆唐線水原延伸前に盆唐~水原間を鉄道だけの乗継で移動するのは、日本で日光~足尾間を列車のみで移動するのに近い状態でした)

バス大国の韓国ですので、水原駅~光教駅間は当然市内バスで移動する事も可能で、MAKIKYUも光教駅へ向かう際には、水原駅前から市内バスに乗車したものでした。

光教駅から比較的至近の京畿(Gyonggi)大学付近を通るバスは多数存在するものの、光教駅前を経由する路線は少なく、また水原・光教両駅共に起終点ではなく途中停留所となる点も要注意です。


ちなみにMAKIKYUが乗車した市内バスは写真の400番、ソウル郊外の京畿道ではありふれた存在と感じるG-BUS塗装の現代製2段ステップ車両ですが、このバスの後に写っている400-4番も両駅間を結ぶ路線です。

両者共に毎時2本程度しかない上に、写真の様に団子状態で運行する事もあり、首都圏市内バスにしては利便性も芳しくない印象があり、韓国旅行が初めてで韓国語は全くできないという方などは、単独で乗車するのはやや難ありかと思います。


乗車時間は片道30分強ですので、韓国の市内バスではさほど長い部類には入りませんが、水原駅~光教駅間の途中では有名な八達門(Paltal-mun)も経由し、車窓観光も楽しめますので、韓国一人歩きに慣れている方か、そうでなくても韓国内に知人が居り同行可能な方であれば、車窓観光を兼ねて乗車するのも悪くない路線と感じたものでした。


またMAKIKYUが先月DX-LINEに乗車した際は、光教駅から乗車した列車は「江南」行で、この列車には終点まで乗車せず途中の「板橋」駅で下車したものでした。
(写真はDX-LINEの列車内ドア上に設置されたLCDモニターで、한글に加えてローマ字と漢字も併記されていますので、板橋を経て江南まで向かう列車である事は一目瞭然だと思います)


板橋も東京都内の板橋(いたばし/Itabashi)区はお馴染みの存在で、幾度も足を運んでいますが、韓国の首都圏にある板橋(판교/Pangyo)は以前一度通過した事がある程度、この駅で列車を下車するのは先月が初めてでした。

韓国の首都圏にある板橋駅は今秋に開業したばかりの新線始発駅にもなっており、この路線にも乗車機会がありましたので、こちらも近日中に別記事で追って取り上げたいと思います。


永宗島を走る磁気浮上鉄道~開業まで随分手間取った無償運行路線

2017-01-05 | 鉄道[大韓民国・広域電鉄/地下鉄等]
昨秋MAKIKYUが韓国へ足を運んだ際には、仁川(Incheon)広域市内でも市内中心部とは少々離れた永宗(Yeongcheon)島にある仁川国際空港にも足を運ぶ機会があり、MAKIKYUがここへ足を運んだのは3回目でした。

1度目の訪問はKORAIL空港鉄道乗車、2回目の訪問はKORAIL空港鉄道に直通するKTX(高速列車)乗車が主目的(2回目の片道は東仁川駅~仁川国際空港間の市内座席バス利用)でしたが、3回目となる今年も過去2回に続き鉄道乗車目的での訪問、今回の目当ては磁気浮上鉄道乗車でした。
(MAKIKYUは仁川での出国歴も何度かあり、パスポートにも「INCHEON」と記されたスタンプが幾つかありますが、これは全て仁川「港」発着の国際航路(フェリー)利用。日本在住で仁川市内やその周辺を訪問する旅行者は、仁川「空港」を出入国で利用する事も結構多い様ですが、訪韓回数13回のMAKIKYUは仁川「空港」を出入国で利用した事はまだありません)

磁気浮上鉄道は既に市内で鉄道路線を運行している仁川交通公社やKORAIL空港鉄道ではなく、仁川国際空港公社が運行、当初は2014年内開業予定となっていたものの延期が相次ぎ、今年2月にようやく開業を迎えています。

現段階の運行区間は仁川国際空港~龍遊(Yongyu)間の5.6㎞、途中にも4駅が設けられており全線複線、龍遊駅の先も列車折返や出入庫に用いる軌道が続いていますので、この句ヵんも含めると総延長は約6㎞程度になります。


仁川国際空港駅は空港ターミナル内ではなく、KORAIL空港鉄道の駅がある建物内に設けられていますが、空港鉄道からの乗継だと意外と目立ちにくく、無意識に通り過ぎて空港ターミナル内へ向かってしまう可能性も…と感じる状況でした。


そのため磁気浮上鉄道への乗車目的で仁川空港へ足を運ぶ際は要注意とも感じたものですが、現在は無償運行ながらも将来は有償化する事も考慮してか、駅構内には自動改札機も設置されており、無料と大きく記されていたのも印象的でした。

磁気浮上鉄道自体は日本の名古屋郊外で運行している「リニモ」とほぼ同種、韓国では既に大田(Daejeon)広域市で有償運行を行う試験路線が1路線あり、これも一度乗車した事がありますが、韓国で本格運行を行っているのは現在仁川国際空港公社が運行する1路線のみです。

 
来を象徴する乗り物としてPRする意図もあるのか、仁川国際空港駅の駅舎をはじめ、途中駅の周辺でも近代的で独特な雰囲気と感じるデザインの構造物が幾つも見受けられたものでした。


黄色を基調とした装いで、最近の韓流らしい丸みを帯びたデザインの運行車両・UTM-03系も車内外共に近代的な雰囲気と感じたものです。

 
特に車内の座席配置は独特と感じたもので、自動運転を行っている事もあり、最前部は前面展望を存分に堪能できる特等席となっています。

 
また開業から日が浅く、空港のある永宗島は元々ソウル市内や仁川中心部から近い割には、開発があまり進んでいなかった事もあって空港建設地になった事もあり、沿線途中は建設中の建物が幾つも見られる所や、一面空地が拡がる区間も数多く存在し、車窓は中国の都市鉄道を思わせる雰囲気があるとも感じたものでした。
(仁川空港周辺と中国の遼寧省や山東省は400㎞程度しか離れていませんので、雰囲気が似ていると感じて当然かもしれませんが…)

 
そして終点の龍遊駅は、目の前がKORAIL空港鉄道の車両基地になっており、レールファンなら空港鉄道の俯瞰遊覧を目的に乗車しても…と感じる状況です。

 
駅構造は仁川国際空港駅以外の既存各駅と同様に上下線でホームが分かれている相対式、列車は駅よりも先まで運行して折り返しとなりますので、乗車列車で来た道を折り返す場合にも一旦階段を下りて反対側ホームに移動する必要があり、そのまま乗り続ける事が出来ないのは少々面倒です。

龍遊駅周辺は余り華やかな雰囲気ではなく、仁川空港内の様な外国人向けの店などはありませんが、駅前の通り向かいには海鮮系の韓国人向け食堂が幾つか軒を連ねており、磁気浮上鉄道乗車の序に韓国らしい食事を…という向きには、この食堂を利用するのも悪くないと思います。


MAKIKYUはどんなメニューがあるのかと興味本位で覗いていたら、その内の一店から客引きの声がかかり、昼時を過ぎても昼食を取っていなかった事もあり、この店で昼食を注文したものでした。


多数の品が並ぶ定食は10000W程度と昼食にしては割高感があり、量も多過ぎと感じた事もあり海鮮入りのカルククス(7000W)を注文、MAKIKYUが外国人と分かると外国語メニュー(写真入りでしたが表記は英語と中国語のみ)を差し出され、店内にあるメニュー表記の「해물칼국수」を指差しして呼称したら、店員はハングルが読めるとは思っていなかった様で、少々驚いた様子でした。

食事内容もカルククス自体が韓国でも何度か食べた程度、その中でも「海物」を名乗るカルククスを食べるのは初めてでしたので、これも1度試すのは悪くないな…と感じたものでした。

また磁気浮上鉄道は現在無料運行を行っている事もあってか、団体ツアー客の乗車も散見し、試乗ツアー客を客待ちしている観光バスの姿なども何台か見かけたものでした。

この団体客が居るか否かで車両の混雑ぶりは大きく変化し、小型車両による運行故に、団体客乗車時は少々混雑するのは難点と感じたものです。

現段階では無料で乗車できますので、特に鉄道関係に興味がある訳でなくても、韓国出入国で仁川国際空港を利用する方が、出国までの時間潰しや空港周辺の見学を兼ねて乗車するのも悪くないと感じたものでした。

運行間隔は15分毎ながらも、時間帯が10時台~18時台に限られており、遅い時間に龍遊行に乗車すると、空港へ戻りたい場合に帰りの列車がないのは要注意ですが…
(龍遊駅南東には一応市内バスの停留所(거잠포회센터)もあり、ハングル解読が可能なら外国人旅行者でもその気になれば仁川空港へ戻る足として使えない事もないですが、検索した限りでは座席バス302番(松内駅発着・仁川空港経由)を除くと各系統共に毎時1本程度と便数も少なく、余り使い勝手も良いとは言えません(一応21時頃まで運行)ので、磁気浮上列車で龍遊駅まで乗車し、帰りの列車がない時に使う程度に考えておいた方が良いと思います)

仁川都市鉄道2号線~今夏開業したミニ地下鉄

2016-12-19 | 鉄道[大韓民国・広域電鉄/地下鉄等]

先月MAKIKYUが韓国へ足を運んだ際には、今年首都圏(ソウル市内とその近郊)で開業したばかりの新路線も幾つか乗車機会がありましたが、その一つが仁川(Incheon)市内を走る都市鉄道2号線です。

仁川2号線は仁川都市鉄道(仁川地下鉄)1号線に続き、仁川広域市では2路線目となる地下鉄路線で、黔丹梧柳(Geomdan Oryu)~雲宴(Unyeon)間の29.2㎞が7月末に一挙開業、運営も1号線と同じ仁川交通公社が行っています。

線路幅は韓国の列車線や都市鉄道各線と同じ標準軌(1435㎜)となっていますが、韓国では「軽電鉄」と呼ばれる小型車両を用いた第3軌条方式の路線で、電圧も架線集電式の1号線とは異なります。


2路線間での車両互換性は全くない事もあり、2号線の車両基地は既存1号線の車両基地とは別に雲宴駅の南側に設けられています。


この駅の周辺は開発もまだまだこれからと言う雰囲気で、発着する市内バス路線も少なく閑散とした印象でした。

 
南端となる雲宴駅だけでなく北端となる黔丹梧柳駅も、駅周辺は閑散とした状況で今後の開発に注目…という雰囲気でした。

こちらは雲宴駅に比べると市内バス発着系統数こそ多いものの、駅前のバス発着場には停留所ポールがなく、地元民でもない限りは何処にバスが停車するのかも判別できない有様だったのには閉口させられたものでした。
(2号線乗車時には仁川市内在住の知人と行動を共にしており、知人がバス停車場所などを把握していましたので無問題でしたが、単独行動だったら結構厄介だった…と感じる状況です)

また両端駅は他鉄道線との接続がない単独駅ですが、途中駅の黔岩(Geomam)でKORAIL空港鉄道・朱安でKORAIL京仁電鉄線(ソウルメトロ1号線直通)・仁川市庁で仁川1号線にそれぞれ接続しており、統合運賃制のお陰で他事業者路線との乗り換え駅となる黔岩や朱安での乗換でも、運賃負担をほとんど気にせずに利用できるのは有難い限り(黔岩でKTXに乗り継ぐ場合は例外)です。


車両は軽電鉄規格の路線と言う事もあり、開業に合わせて新形式2000系が導入、小型車両で2両という都市鉄道にしては非常に可愛らしい編成です。

韓国内を走る地下鉄各線の中では断トツの短編成ですが、ホームは4両分までの延伸に対応、車両側も将来の需要増を想定し増結が容易に出来る様になっています。


車内は比較的シンプル、韓国の都市鉄道では典型的な雰囲気と言っても過言ではない仕上がりになっていますが、自動運転を実施し基本的に乗務員が乗務しない運行形態(監視要員が乗務する場合もあり)をとっています。


そのため最前部は前面展望が存分に堪能できる特等席となっており、地下鉄故に地下区間が主流ながらも、北側を中心に所々で地上区間も存在します。

前面展望が楽しめない路線も多い韓国都市鉄道の中では、乗って楽しむのも絶好の路線と感じたもので、全線乗り通すと50分程度を要するものの、乗り通しても飽きないと感じたものでした。

仁川広域市内では、全面新規開業の営業路線はこの2号線1路線だけですが、他にもKORAIL水仁線が松島(Seongdo)~仁川間で延伸開業しています。

これに加え仁川国際空港のある永宗(Yeongchong)島でも、仁川空港公社が運営・現時点では運賃無料の磁気浮上鉄道が開業しており、今年の仁川市内は鉄道新線ラッシュと言っても過言ではない状況で、この2路線にも乗車機会がありました。

磁気浮上鉄道は運賃無料の現状では、営業路線とは言い難いですが、全面新規開業路線で趣味的にもかなり興味深い存在と感じ、こちらに関しても近日中に別記事で追って取り上げたいと思います。


済州島内を運行する列車~旅客営業用の公共交通機関ではないですが…

2015-01-15 | 鉄道[大韓民国・広域電鉄/地下鉄等]

先日「MAKIKYUのページ」では、大韓民国(韓国)の済州(Jeju)島内を走る市外バスに関して取り上げましたが、その際には記事の最後に「730番市外バスに乗車し、途中停留所で下車した際には…」と記し、気になった方も居られるかと思います。

MAKIKYUが昨年6月に済州島を初訪問し、晴れて韓国全道(38度以北の通称「北韓」を除く)訪問を達成した際には、済州島内で「鉄道」にも乗車しており、韓国全道での鉄道・列車乗車も達成しています。

しかしながら日本のJRと同様に、韓国のKORAIL(韓国鉄道)も本土全道にネットワークを持つものの、離島の済州島内には路線がなく、日本でも沖縄県だけが唯一JR旅客営業線区の存在しない都道府県になっているのと似た様な状況になっています。

沖縄県は永年日本で唯一「鉄道のない県」と言われ続けていたものの、今世紀に入ってから沖縄都市モノレール「ゆいレール」が開業、現在も旅客営業を行う鉄道はこの1路線だけながらも、那覇市内の足として定着し、新しい路線と感じるゆいレールも開業から10年を超えています。

MAKIKYUが昨年春に沖縄本島を訪問した際には、当然ながらこの「ゆいレール」にも乗車し、日本国内全47都道府県での鉄軌道系交通機関への乗車も達成となりましたが、済州島では現在でもゆいレールの様な都市内を運行する鉄軌道系交通機関は存在せず、公共交通は専らバスのみと言う状況になっています。

そのため済州島で鉄道・列車に乗車したというと、不思議に感じる方も居られるかと思いますが、エコランド(Ecoland)というテーマパーク内に4.5kmの鉄道路線が敷設されており、このエコランドは済州~西帰浦(Sogwipo)間を南朝路(Namcheoro)経由で結ぶ市外バス(730番)の途中に位置しています。
(最寄停留所は済州石文化公園かギョレ自然休暇村ですが、乗務員に「エコレンド(Ecoland)」と言えば通用します)

テーマパーク内の移動手段兼アトラクションですので、旅客営業用の公共交通機関ではないのですが、「鉄道」の走る地域とは程遠い印象がある済州島において、鉄道・列車に乗車できるのは貴重です。

日本では余り知られていないものの、エコランド自体も結構人気がある様で、MAKIKYUの訪問時は繁忙期ではないにも関わらず、結構多くの人出が見受けられ、観光案内所の方(日本語案内員)から伺った話でも、エコランドは結構人気があって混雑するとの事でした。

エコランド内では入出場ゲートのある「Main(メイン)駅」を起終点として、途中には「Eco bridge駅」「Lake side駅」「Picnic garden駅」「Green & Rose garden駅」の4駅が存在しています。

全線が単線非電化で線路幅は610mm、各駅共にホームは1本しかない事もあり、列車は片方向のみの運行となっています。

途中下車せずにMain駅へ戻って来る事も可能ですが、Main駅では乗降箇所が分離されており、Main駅へ戻ってくると再度の乗車はできませんので要注意です。
(列車の運賃はテーマパーク入場料に含まれており、Main駅へ戻って来た後にまた列車に乗りたい場合は、再度入場料を払って入場する事になります)

そのため大半の乗客は各駅で下車して駅周辺を散策・見学し、各駅周辺を廻る事になり、MAKIKYUも当然各駅で下車しているのですが、基本的にパーク内の各駅間を徒歩で移動する事は不可能となっており、先の駅へ行った後に手前の駅へ戻る事は出来ません。
(「Eco bridge駅」と「Lake side駅」の間だけは、徒歩で移動する事も可能で、Lake side駅まで乗車した後にEco bridge駅へ向かい、来た道を再び辿る事も可能なのですが…)


この園内を走る列車は、全て機関車牽引の客車列車となっており、旅客列車を牽引する機関車は全てSL風の外観をしたDL(ディーゼル機関車)ですが、事業用にDLも存在しており、途中駅で留置されている姿も目撃しています。

 
客車はオープンタイプと箱型の2種類が存在し、編成内の客車はどちらか一方のタイプで統一されています。

 
車両のグレードはどちらも大差ないのですが、座席配置などが異なっていますので、両者の差異を色々比べながら乗るのも面白いかと思います。

ちなみにSL風のDL+客車の編成は、各編成毎に装いが異なり、愛称も付けられているのですが、合計6編成が活躍しています。

「Eco bridge駅」と「Lake side駅」の間を何度も移動する様な事をしなければ、基本的に乗車できるのは最大5編成までで、途中下車した後に乗車したのは同一編成になる可能性もある事を考慮すると、一度の訪問で全編成に乗車するのはほぼ不可能な状況となっています。
(これがもし全編成乗車を狙うレールファンを目論んでの企みであれば、かなり上手い商売かもしれません)

ちなみに各編成の愛称は以下の通りとなり、エコランド園内ではPicnic garden駅が列車の撮影には比較的好適と感じたもので、以下の編成写真は全てPicnic garden駅にて撮影したものです。
(Main駅の到着ホーム到着前の列車も、光線状態次第では比較的撮影し易いと思います)



済州の赤い火山岩を象徴する「Red sand」


美しい花を象徴する「Yellow flower」


コッチャワルを象徴する「Green forest」
(「コッチャワル」とは、火山の噴火で流れ出た溶岩が固まり、その上に形成された森を済州の方言で表した言葉です)


湖を象徴する「Blue lake」


済州の黒い玄武岩を象徴する「Black stone」

ネット上で「エコランド」を検索すると上記5編成が出てくる事が多いのですが、他にも1編成「Purple dream」も存在しています。


エコランド内にある各駅や、園内の様子などに関しては、近日中に別記事で追って取り上げたいと思います。


AUTS試験車両に遭遇~中国の地鉄車両を連想する雰囲気も…

2014-07-15 | 鉄道[大韓民国・広域電鉄/地下鉄等]


先月MAKIKYUが韓国を訪問した際には、KORAIL湖南(Honam)線列車に乗車中、一老(Illo)駅で非営業の試験車両が稼動している姿を目撃する機会もありました。

MAKIKYUは韓国を訪問する度にKORAILを利用し、以前にも提川(Jecheon)駅で振子式試験車(TTX:Tilting Train eXpress)の運行に遭遇し、同車に関する記事も取り上げた事がありますが、今回の試験車両遭遇はそれに続く2例目となります。
(以前取り上げた振子式試験車両・TTXに関する記事をご覧になりたい方は、こちらをクリックして下さい)

振子式試験車両は、山岳線区における曲線区間の速度向上などを目的にしており、優等列車用車両の試験車両という事になりますが、今回遭遇した試験車両はAUTS(Advanced Urban Transit System)と呼ばれ、車両1両当たり両開きドアを4箇所設けた通勤型仕様で、試験車両でも性質は全く異なるものです。
(JRに例えるならば、どちらも試験車として製造され、僅か数年で廃車となったE991系(TRY-Z)とE993系(ACトレイン)並みの差異があります)

AUTSは韓国で不定期刊行されている鉄道雑誌「Railers」でも取り上げられ、表紙を飾った事もある車両ですので、存在自体はMAKIKYUも以前から知っていました。

とはいえ主に試験運行を行っている箇所が、ソウルから約400km離れ、釜山からも決して近くない湖南線の末端近く、おまけに試験車両故に確実に運行している訳ではありませんので、実際に稼動している姿を見るのは初めてでした。

また一老は日本での知名度は余り高くなく、この地名を初めて聞くという方も居られるかと思いますし、日本人観光客が余り足を運ばない所かと思いますので、韓国内に在住している方は別として、日本から訪問した旅行者でこの車両の姿を見た事があるという方は、余り多くないかと思います。


この車両の風貌は、比較的日本の通勤電車に近似した点が多いKORAIL広域電鉄や、同線と一部区間で相互直通運転を行っているソウルメトロで活躍する車両とは異なり、客ドアがプラグドアになっています。

パンタグラフ(韓国の通勤電車は下枠交差式ばかり)もKTX(フランスTGVベース)など、ヨーロッパ由来の車両を連想する形状のシングルアーム型になっているなど、他の通勤型車両とは大きく異なる車両である事が一目で分かる異質なものです。

車体長などの車両規格こそ異なりますが、個人的には中国の南方で活躍する地鉄車両(SIEMENSやALSTOMなど、欧州系メーカー標準仕様車をカスタマイズした車両が多数活躍しています)を連想する雰囲気を受けたものでしたが、プラグドアは外観こそスマートなものの、中国・上海などで混雑時のドア開閉に支障を来すなどの難があり、後の増備車で取りやめになった前例もありますので、混雑線区での採用は厳しい気もします。

外見で判別できる差異だけでなく、メカ的にも様々な新機構を取り入れている様で、できることなら発車や停車時の走行音なども聞ければ…と感じたものでしたが、列車乗車中に停車した際に偶然車中から目撃しただけで、せっかくの試験車遭遇も、窓越しに眺めるだけしかできなかったのは少々残念に感じたものでした。

また確実に遭遇できるとは言い難いものの、このAUTSが頻出する一老駅は、田舎の小駅だけあって停車列車も限られており、高速列車KTXは全て通過となっています。

都会的な雰囲気のAUTSが佇むには場違いな印象の所と言っても過言ではなく、アクセスし易いとは言い難いのが現状で、近隣の主要都市・木浦からは短距離故に、KORAILの運賃体系なども考慮すると、レールパスの類でも所持していない限り、列車利用は…とも感じます。

一老駅を発着する木浦市内発着の市内バス(108番・800番)は運行本数も限られ、こちらもバス大国の韓国にしては余り至便とは言い難いのが現状です。
(それでも両者を合わせれば毎時3本程度は確保されていますので、日本の地方都市に比べれば至便で、運賃も比較的割安に設定されているのは有り難いのですが…)

そのため外国人旅行者にとっては、AUTS狙いでの一老訪問はやや難易度が高い気もしますが、機会があれば木浦市内バス乗車も兼ねて一老駅を利用するのも…と感じたものでした。
(ハングルが読めないと、単独行動はややハードルが高いと思いますが、市内バスの経由地・行先などを記したハングル標記解読が可能で、何度かの韓国個人旅行暦があれば、単独行動でも何とかなると思います)


ソウルメトロ・2号線で追突事故発生~他にNYでも地下鉄事故が…

2014-05-04 | 鉄道[大韓民国・広域電鉄/地下鉄等]

先月大韓民国(韓国)では清海鎮(Cheonghaejin)海運が運航する仁川(Incheon)~済州(Jeju)間貨客フェリー「セウォル」号が、全羅南道・珍島(Chindo)沖で転覆・沈没し、その後の対応にも問題があったため、現在確定しているだけでも200名を超える犠牲者が出る程の大惨事となっています。

この事は韓国内に限らず、韓国外でも大きく報じられており、「MAKIKYUのページ」でも既にこの事故に関連した記事も取り上げていますので、アクセス頂いている皆様方もご存知かと思います。

韓国社会におけるセウォル号沈没事故の衝撃は極めて大きく、事故後次々と明るみになった清海鎮海運の杜撰極まりない運航体制は言語道断で、セウォル号と共に仁川~済州間を運航し、一部では兄弟船とも言われる「オハマナ」号の運航停止・特別監査は当然と感じます。

清海鎮海運以外の公共交通機関各事業者における安全確保も特に注目されている最中、今月に入ってから首都ソウルにおいて地下鉄の追突脱線事故が発生しています。

今月はソウルだけでなく、米国New Yorkでも地下鉄脱線事故が発生した事が報じられ、こんな短い期間に次々と事故が発生するのは…とも感じますが、現在報じられている限りではセウォル号沈没事故とは異なり、両国を代表する2都市でほぼ同時期に発生した地下鉄事故では、共に死者発生の報を聞かないのが不幸中の幸いと感じます。

今回事故が発生したソウルメトロ2号線は、ソウル市内を環状運行する循環線区間と、車両基地への入出庫を兼ねた2線の支線から構成され、比較的歴史の浅いソウルの都市鉄道においては老舗格的存在で、ソウル市内の公共交通機関各路線の中でも非常に利用が多い路線の一つとなっています。

MAKIKYUがソウルへ足を運ぶ際には、市内宿泊場所の関係などもあり、2号線は必ず乗車する路線という程ではないのですが、それでも何度も乗車した事がある路線で、今回事故が発生した上往十里(Sang-Wansimni)駅を利用した事はないものの、循環線区間に存在する同駅は何度か通った事があります。

そのためMAKIKYUは米国へは足を運んだ事はなく、New Yorkは馴染みの薄い遠方の土地と感じる一方、ソウルは異国とは言えども訪問回数は2桁に達し、その中でも実際に何度も利用している路線で発生した事故だけに、上往十里駅の追突脱線事故は非常に身近な所で…と感じます。

今回の追突脱線事故は信号や保安装置(ATSなど)が正常に機能していれば、ブレーキが利かないなどの車両故障がない限りまず発生しない事故で、信号や保安装置が故障していたか、或いは意図的に保安装置が機能しない状況で運行したのが事故の主因かと思います。

信号や保安装置の故障も恐ろしい話ですが、意図的に保安装置が機能しない状況で運行したのであれば、安全意識の欠如によって発生した人災と言わざるを得ない事になります。

少なくとも「人災」ではない事を願うと共に、事故原因の究明と十分な再発防止策が講じられ、再び同種事故の報を聞かない事と、負傷者の早期回復を願うばかりです。

ちなみに今回追突脱線事故が発生した2号線は、ソウルの都市鉄道においては老舗格的路線と言う事もあり、開業当初に導入された車両は経年で置き換えられており、その後導入された車両も新型車両への取替えが進み、現在は10両編成で運行される循環区間充当車両だけでも、新旧合わせ複数種の車両が入り乱れて活躍する路線となっています。


今回の事故該当車両は、衝突側・被衝突側共に現行車両の中では古参に属する部類の車両で、両車種共に以前「MAKIKYUのページ」でも類似車両に関して取り上げた事がありますが、一方は2号線開業当初に導入された車両と類似したデザインで、地下鉄車両ながらも日本ではありえない「前面非貫通車」となっています。
(韓国では前面非貫通の地下鉄車両がソウルメトロ2号線だけでなく、釜山(Busan)や大邸(Daegu)でも運行しています)


もう一方の編成も、前面非貫通の先頭車を含む古参車両の編成で、後年組み込まれた比較的経年の浅い車両を寄せ集め、一部中間車の先頭車化改造などを行った編成で、これらの古参編成はクリーム色と緑色の装いとなっているのも大きな特徴です。
(2号線の新型車両はラインカラーの緑帯を巻いたステンレス車体です)

ちなみにこの記事で使用している画像は、過去の既公開記事でも使用した2006年撮影の聖水(Seongsu)支線(聖水~新設洞(Sinseoldong)間)活躍車両です。

聖水支線はソウル市内を走る都市鉄道の中では、最短の部類に入る4両編成での運行となっているのも特徴ですが、ソウルメトロをはじめとする韓国の地下鉄は日本とは比べ物にならない勢いでホームドア設置が急速に進み、現在では同じアングルでの撮影は…という状況になっています。
(スクリーンタイプのホームドアが導入されれば、車両の駅撮りには非常に有り難くない存在ですが、ホームドア形状の是非はともかく、ホームからの転落による人身事故などの輸送障害が近年多発している状況を鑑みると、ホームドア設置可能箇所への設置自体は、安全性が高く安定した輸送を実現するには重要な事かと思います)

安全面などで現在色々問題になっている韓国の公共交通機関も、日本より進んだ部分もあり、この事は鉄道や船舶だけでなく路線バスなどでも同様ですが、日韓両国で互いに良い面を生かし、取り入れつつも各種の問題点を着実に改善し、今後両国の公共交通機関がより良いものとなる事を願いたいものです。


(追記)今回の事故はネット上のニュース記事などを見ると、「人災」ではなく信号機データ変更の際にデータ入力ミスがあり、事故の数日前から保安装置が正常に作動しない状況になっていた事が主因の様です。


KORAIL広域電鉄・安山線で活躍するトングリ~姿を見る機会は少ないものの…

2014-04-24 | 鉄道[大韓民国・広域電鉄/地下鉄等]

先日「MAKIKYUのページ」でも取り上げたKORAIL広域電鉄・安山(Ansan)線では、日本の首都圏を走り、最近では東京メトロ副都心線~東急東横線相互直通運転開始に伴い、神奈川県内まで姿を見せるようになった西武鉄道の6000系電車を連想させる角張った前面形状のステンレス車が大半を占めています。


KORAIL所属車両とソウルメトロ所属車両では、下回りや内装などは異なるものの、見た目は装いが異なるだけで共通設計車なのでは…と錯覚してしまいそうな状況ですが、KORAIL車両の中には少数ながら日本の車両とは少々異なった雰囲気の丸みを帯びた前面形状の車両も混在しています。

安山線やその直通運転線区である果川(Gwacheon)線~地下鉄4号線では、MAKIKYUは一度しか遭遇した事がないのですが、通称「トングリ」と呼ばれる車両は西武6000系風の角張った前面形状の車両と、マティズと呼ばれる最新型の過渡期に登場し、類似車両が1号線や盆唐(Bundan)線でも活躍しています。

1号線や盆唐線に比べると、在籍数が少ないために遭遇頻度も当然ながら…という状況ですが、これに加えて客ドア窓が一昔前の旧営団地下鉄車両(今日でも一部は東京メトロで活躍中)の如く、背の低い子供などでは外を見渡せない小窓となっているのも大きな特徴です。

同線は中堅格的車両ばかりで、最新型から古参車まで様々な車両が揃い、バラエティ豊かな1号線系統に比べると、車両面での面白みは…という状況の中で、注目の存在とも言える車両で、写真こそありませんが、登場時は先日取り上げた安山市内バスの記事最後に取り上げた車両と同じオレンジ系の装いを纏っていました。


内装交換も行われていますので、乗ってしまえば今日では最新型と大差なく、既存車両でもLED蛍光灯が凄まじい勢いで普及しているのですが、客室内はシンプルな印象ながらも、蛍光灯形状のお陰で意外と見栄えがすると感じ、日本でも同形状のLED蛍光灯がもっと普及しないものかとも感じるのはMAKIKYUだけでしょうか?


京畿道安山市・安山駅とその周辺の様子など

2014-04-19 | 鉄道[大韓民国・広域電鉄/地下鉄等]


16日に発生した元マルエーフェリー「フェリーなみのうえ」こと清海鎮(Chonghaejin)海運「セウォル」号沈没事故は、多数の死者・行方不明者発生が報じられるなど、近年では類を見ない程の大惨事となってしまい、それもMAKIKYUよりもずっと若く、まだ人生これからの高校生が多数というのは余りに…と感じます。
(写真は前回記事でも使用した、清海鎮海運HPからの転載画像です)

事故後救出された壇園(Danweon)高等学校の教頭が、事故で多数の犠牲者が発生した事を苦に自殺してしまい、救助活動に当たっていた隊員の事故死者も発生するなどの2次被害も発生しており、これ以上の被害が出ない事を願うと共に、今後1人でも救出者が多く出る事を願いたいものです。

今回の清海鎮海運「セウォル」号沈没事故では、船舶の相次ぐ改造や無謀な操船、異常発生後の対応などあらゆる点で杜撰さが際立っており、止む無く発生した不幸な事故ではなく、これでは事故が発生しない方が不思議とも感じる有様で、2年程前に千葉県印西市の陸援隊(針生エキスプレス)が怠起した関越自動車道高速ツアーバス事故を連想する方も少なくないかと思います。

「セウォル」号沈没事故は大韓民国(韓国)で発生していますので、MAKIKYUにとっては一応異国で発生した事故とはいえども、既に韓国へは10回程足を運んでおり、沖縄などよりも遥かに至近な土地ですので、全く知らない所で発生した余所事とは言い難く、以前大邸(Daegu)で発生した地下鉄1号線・中央路(Jungangno)駅における放火事故と共に、非常に身近な所でこんな事が…とも感じます。

事故後盛んに報じられている壇園高等学校の所在地、京畿(Gyonggi)道・安山(Ansan)市は、韓国に馴染みのない方などは、今回の事故で初めて名前を聞いたという方も少なくないかもしれませんが、MAKIKYUは何度も足を運んだ事がある所で、2年程前に訪問した際に撮影した写真を、幾つか取り上げたいと思います。

安山市はソウルの南西に位置し、ソウル中心部から地下鉄4号線と相互直通運転を行っている安山線電車を利用すると、概ね1時間程度で市内各駅へ到達できます。

 
2社相互直通運転を行っている路線だけあり、KORAIL車両が主流を占めながらも、時折ソウルメトロ車両の姿を見る事もできます。

バス大国だけあってソウル市内や近郊の各所との間を結ぶバス路線も多数存在しており、余り観光で外国人が足を運ぶ所ではありませんが、その気になればソウルから簡単に足を運ぶ事ができ、郊外のベッドタウンながらも75万人もの人口を誇る辺りは、人口密度の高い韓国ならではと感じます。


壇園高等学校やそのすぐそばへは足を運んだ事がなく、最寄駅のKORAIL広域電鉄安山線・古桟(Gojan)駅も電車で通っただけですが、その2駅西側に位置する安山駅などは、MAKIKYUも以前利用した事があり、安山市内と近郊都市を結ぶ市内バスにも乗車した事があります。
(壇園高等学校は、最寄駅の古桟駅からは2km北側に位置しています)


安山駅は一部列車の始発・終着駅となっており、緩急結合も可能なホーム2面4線+留置線という、郊外主要駅の典型と言った雰囲気の駅ですが、市内中心部からは少々離れている事もあり、駅周辺はそれほど栄えている雰囲気では…と感じたものでした。

この安山市では、市名を関した「安山」駅よりも、3駅程ソウル市内方向へ向かった「中央(Jungang)」駅周辺の方が栄えており、市外バスターミナルは中央駅の徒歩圏に位置する他、安山市庁(市役所)も中央駅と一つ安山方にある古桟駅とのほぼ中間辺りにあります。

中央駅は改札こそ入出場していないものの、安山から乗車した都心方向の列車を一旦同駅で下車し、ホームに降り立った事があります。


中央駅は相対式2面2線で運用されているものの、待避線を増設できる様に設計されているのも大きな特徴で、韓国の都市鉄道では今後の更なる発展を見越して、設備的に余裕が見受けられる路線・駅が他にも多数存在します。


中央駅周辺は巨大な「アパート」と呼ばれる集合住宅が、至る所に見受けられる典型的な韓国のベッドタウンの光景が拡がっています。

この安山線の開業自体、最も古い区間でも1988年と比較的歴史が浅いのですが、元々の鉄道線を複線電鉄化した路線などを除くと、ソウル近郊の都市鉄道では少数派の全線地上区間を走る路線と言う事もあり、MAKIKYUにとってもソウル近郊ではお気に入り路線の一つで、全線立体交差で踏切が見受けられないのも、比較的新しい路線(それでも開業から日が浅い路線が多い韓国の都市鉄道の中では、老舗の部類に入ります)らしいと感じる所です。

日本国内とはやや雰囲気が異なる面などもあるものの、何度も足を踏み入れたことがある典型的なベッドタウンと言った雰囲気の安山市が、事故現場の珍島(Chindo)と共に、セウォル号事故で名前が知れ渡ってしまったのは悲しい話です。

この事故によりこれらの地域だけでなく、韓国全土でイベントの相次ぐ自粛など、重苦しい雰囲気となっていますが、再び同様の悲劇が起きない事を願いたいものです。


龍仁軽電鉄(2)~路線編

2014-03-17 | 鉄道[大韓民国・広域電鉄/地下鉄等]

先日「MAKIKYUのページ」で取り上げた龍仁軽電鉄(龍仁Ever Line)ですが、今日は先日の続編で同線の駅設備などに関して取り上げたいと思います。


龍仁Ever Lineの起点・器興(Giheung)駅は、KORAIL盆唐線の同駅と隣接しており、龍仁Ever Lineで唯一他鉄道路線との乗換駅にもなっています。

盆唐線は器興駅周辺をはじめ、大半が地下区間であるのに対し、龍仁Ever Lineは全線が地上(高架)を走っており、乗り換え専用通路などもありませんので、一旦外へ出て乗換となります。


乗り換えの移動距離は大した事ないものの、短距離ながらも屋根などが設置されていない屋外を移動する事になりますので、荒天の日などは少々厄介で、乗り換え需要も決して少なくないと思いますので、最寄の出入口間だけでも屋根などを設置し、荒天時でも傘なしで両
線間の乗換に支障を来さない様になれば…と感じます。


龍仁Ever Lineの駅舎内に足を踏み入れると、自動改札機やタッチパネル式自動券売機など、最新の都市鉄道らしい設備が並び、エレベーターなどのバリアフリー設備も完備していますが、自動改札機は最近韓国で流行しており、乗車券類の全面IC化実現によって可能になった薄型省スペースタイプではなく、比較的大型の機器を用いています。


コンコースからホームに上がると、2線共に両側にホームが設置され、乗降ホームが分離された形態となっているのは、乗換駅で多客が見込まれる起点駅らしい設計と感じますが、車両撮影などには不適な構造と言えます。


器興駅から軽電鉄の電車に乗り込むと、沿線は韓国では典型的な巨大アパート群や、まだ開発途上で今後大きく様変わりするのでは…と感じる更地が拡がった光景などが随所で見受けられます。


典型的な都市郊外路線と言った趣ですが、典型的な都市郊外路線とは言っても、日本とは異なる異国だけに、日本から旅行で訪れて龍仁Ever Lineに乗車した場合、国内とは一味違った雰囲気を堪能できるのでは…と思います。

途中駅は上下ホームが分かれた対向式となっており、龍仁Ever Lineの列車は単行運転にも関わらず、ホームは2両分が確保されており、上下列車共に後寄りに停車します。


現状では今日流行のスクリーン式ホームドアも設置されていませんので、器興駅以外の駅では駅ホームでの対向列車撮影も比較的容易ですが、終点の前垈・Everland駅は地平駅で上部に駅舎が設けられ、ホームは暗く車両撮影に不適ですので、駅ホームからの車両撮影は途中駅狙いが良いかと思います。

ただホームドアの設置こそないものの、東急線の都市型ワンマン運転実施線区の如く、ホーム柵+乗降口部分にセンサーが設置されており、このセンサーの感度がかなり高い上に、センサーが人間や異物を感知すると、結構な音量で警告が鳴りますので、車両撮影などの際は要注意です。
(対向ホームで列車待ちをしていた乗客がうっかりセンサーに近づいた際には、警告音だけでなく遠隔監視員からの注意警告(?)も行っている状況でした)

また現段階では1両編成での運行+ホーム柵のみでホームドアなしとなっていますが、今後2両編成での運行や、ホームドア設置などが行われるとなれば、駅ホームでの撮影は意外と難しくなるかも…と感じたものです。

龍仁Ever Lineはソウル郊外とは言えども、近年DX Line開業などで利便性が向上してもまだ都心から1時間程度を要し、終点駅近くにあるエバーランドを除くと、観光地も…という状況ですので、沿線に居住しているか、知人でもいない限りは、余り利用機会の多い路線ではない気もします。

とはいえ日本では乗れないタイプの都市鉄道ですので、「MAKIKYUのページ」をご覧の皆様もソウル近郊へ足を運び、エバーランドへ出向く機会がある際や、同線に興味を持たれた方などは、是非一度乗車してみては如何でしょうか?


龍仁軽電鉄(1)~車両編

2014-03-13 | 鉄道[大韓民国・広域電鉄/地下鉄等]

MAKIKYUが12月に韓国へ足を運んだ際には、ソウル近郊で幾つかの新規開業した鉄道路線・区間に乗車する機会がありましたが、その一つが今日取り上げる龍仁(Yongin)Ever Lineです。

龍仁軽電鉄は最近韓国の都市部で開業が相次ぐ軽電鉄の一つで、軽電鉄は英訳するとLight railですが、LRTをはじめとする路面電車の類ではなく、日本流に言えば新交通システムに相当する軌道系交通機関です。

龍仁Ever Lineは名前の通りソウル南郊の龍仁市内を運行しており、KORAIL広域電鉄盆唐線と接続する器興(Gifung)を起点に、前垈(Jeondae)・Everland駅までの約18kmを結んでいます。

ソウル郊外の通勤通学路線としての色彩が強い路線ですが、終点の前垈・Everland駅近くにあり、韓国有数の遊園地として知られるエバーランドへのアクセス路線にもなっており、龍仁Ever Lineという愛称名もあります。

軽電鉄の中では比較的早期に建設が進み、MAKIKYUは韓国初の軽電鉄として開業するのでは…と思っていた程ですが、運営経費負担の問題などで開業は先延ばしとなり、昨年春にようやく営業運転開始しています。

龍仁Ever Lineは、韓国では4番目に開業した軽電鉄になるのですが、釜山2路線と議政府の1路線はどれも異なる方式の軽電鉄となっており、龍仁Ever Lineはこれら3路線とも異なる方式を採用しています。

韓国では軽電鉄がまだ4路線しか存在しないにも関わらず、そのどれもが異なるというのは、趣味的には非常に面白いものの、今後各地で軽電鉄を普及・維持していく際に差し支えないのか気になる所です。

ちなみに龍仁で活躍する車両は、世界3大鉄道車両メーカーの一つとも言われるボンバルディアが開発した「ART」と呼ばれる車両を用いており、丸っこい前面形状などは見るからに異国の交通機関という印象を受けます。

設備的にはリニア地下鉄の地上区間を、駅設備などを小規模にして無人全自動運転化した路線と言う雰囲気で、軽電鉄ながらも2本のレールが敷設されている辺りは、釜山の釜山・金海軽電鉄とも共通します。


釜山・金海軽電鉄は2両編成での運行なのに対し、龍仁Ever Lineは現在単行運転ですので、釜山・金海軽電鉄でも設備過剰な印象を受けるのですが、こちらは尚の事という気がします。

車両内に足を踏み入れると、短距離の通勤通学路線だけあってか、設備的には実用本位なオールロングシートで、立席空間を広く取った設計となっており、車体幅が広い割には車高が低く、客ドアも広めに確保されているため、少々扁平な印象を受けます。


座席がステンレス製となっている辺りは、モケットが張られた座席に馴染んだ日本人の目で見ると、少々違和感を感じますが、乗車時間が比較的短い事を考えると、まあ許容範囲といった所かと思います。
(韓国ではソウル市内や近郊を運行する地下鉄車両の一部でも、難燃化改造の際にステンレス製座席に取り替えられた車両が存在しています)

荷棚やつり革が設置されていない辺りも、如何にも異国の交通機関と感じる所で、全体的に簡素な印象が強い車両ですが、韓国の都市鉄道車両における化粧板は、無地でシンプルな印象のモノが大半を占めている中で、この車両は柄入りとなっている点も特徴的と感じます。

無人全自動運転の車両だけあり、当然ながら前面展望は良好な部類に入りますが、前面形状が丸みを帯びており、車体幅の割にガラスが小さめな事もあり、座席に座ったまま前面展望を楽しむにはやや難有りです。


折り畳み椅子でも持ち込んで乗車(さすがにこの列車に乗車するためだけに、わざわざ異国から折り畳み椅子を持ち込むのは大袈裟過ぎますが…)したいと思ってしまう造りなのは少々惜しい所で、車両片側は車椅子スペース確保のため、座席が片側にしか設けられていないのも特徴です。


また新規開業した都市鉄道で、他路線とは互換性がないシステムを採用した独立線区の場合、どうしても車両バラエティと言う面では既存路線に比べると見劣りが否めないものですが、龍仁Ever Lineは特殊塗装車が多数走っており、カラーバリエーションと言う点では、新路線にしてはかなり充実した部類に入るのも特徴です。

 
標準塗装車を探す方がむしろ…と感じてしまう程で、僅か18km程度の路線でよくここまで様々な装いの車両を走らせていると感心する程ですが、特殊塗装車でも車内の内装などは特に変化が見られないのは惜しい限りで、こちらも何らかの工夫があれば…と感じたものでした。

駅設備などに関しては、近日中に続編記事で取り上げたいと思います。


議政府軽電鉄~韓国では初登場のVAL

2012-08-09 | 鉄道[大韓民国・広域電鉄/地下鉄等]

先月MAKIKYUが福岡から高速船(未来高速KOBEE)に乗船し、釜山(Busan)へ向かった後は、更に列車でソウル近郊(首都圏)へ向かったのですが、その際にはまだ開業から日が浅い議政府(Uijeongbu)軽電鉄にも乗車したものでした。

議政府軽電鉄は名前の通り、ソウル近郊にある京畿道議政府市内で運行する都市鉄道で、「軽電鉄」という言葉は日本ではまず用いませんが、中国の「軽軌」とほぼ同義と言って過言ではなく、既存の地下鉄・広域電鉄よりも小型の車両を用い、小規模な設備で運行する鉄道を指します。

英訳すれば「Light-rail」にでもなるかと思いますが、現在韓国では営業用路面電車の類は存在しておらず、地方私鉄などもありませんので、専ら新交通システムや、これに準ずる路線を指す事になります。

この軽電鉄で営業を開始した路線自体が、最近開業した路線ばかりで数が少なく、議政府以外で現在営業運転を行っているのは、以前「MAKIKYUのページ」で取り上げた釜山交通公社4号線と、やはり釜山市内と近郊(慶尚南道金海(Gimhae)市)を結ぶ釜山-金海軽電鉄の2路線のみです。

あとは設備こそ完成しているものの、運営費用負担などを巡る交渉がまとまらずに開業が先延ばしになっており、何時になったら営業運転開始の報が聞けるのか…というソウル郊外・京畿道龍仁(Yongin)市の軽電鉄程度です。

その中でも釜山交通公社4号線は、日本の新交通システムに酷似した路線(AGT)で、一応地下鉄と同種の扱いで案内(半分程度の区間は地下ですので、一応地下鉄にも該当するのですが…)され、運賃も地下鉄と同一体系ですので、大阪市のニュートラムに近い路線と言えます。

残る釜山-金海軽電鉄と龍仁の軽電鉄は、2本のレール上を、新交通システムより一回り大きな小型車両が走っており、日本では見られない韓国独特の都市鉄道と言えます。

議政府の軽電鉄は両者のどちらに属すのかというと、2本のレール上を走るのではなく、コンクリート製軌道を、ゴムタイヤを履いた車両が走るという点では、日本の新交通システムに近いのですが、日本で運行している路線は存在せず、フランスなどで用いられているVALと呼ばれるシステムを採用しているのが特徴です。


VALという事も影響しているのか、日本国内の新交通システムや、釜山交通公社4号線とは雰囲気が異なり、高架の軌道を最初見た時は、日本の新交通システムに比べると、簡素な印象を受けたものでした。


駅構内に足を踏み入れると、まだ開業したばかりの路線と言う事もあってか、開業を告知する列車イラスト入り垂れ幕も見られる状況でした。


駅ホームは開業したばかりの新路線で、無人自動運転を行う路線という事もあってか、ホームドアの普及率が高い韓国では当然であるかの如く、各駅ホームにはスクリーンタイプのホームドアも設置されています。


2両編成で運行している車両も、TGVをカスタマイズした車両として有名な高速列車KTXの如く、ヨーロッパで使用しているVAL車両を、少しだけカスタマイズしたのではという雰囲気があります。



暖かみを感じる車内の照明色や、急加速している様に感じられた走りをはじめ、1両の片側に両開き式の客扉が3箇所もあり、1両当りの客扉は両開きドア1箇所か、片開き扉2箇所の車両ばかりと言う印象がある日本の新交通システムとは、随分異なる印象を受けるものです。


座席はオールロングシートとなっており、無人自動運転車両ならではの最前部特等席などは左右両側に座席が設けられているものの、車幅が狭い事もあってか、ドア間は座席が片方にしか設けられていないのも大きな特徴で、そのお陰で着席定員は随分少なくなっています。

内装も韓国の地下鉄車両各種などと同様に、比較的簡素な雰囲気に仕上がっていますが、車内側が金属地剥き出しとなった客ドアは、下方向にガラス部分が大きく拡大され、丸みを帯びた車体断面と共に、車両デザインにも大きな影響を与えています。

客ドアは金属地剥き出しの場合、社紋などが描かれている事が多い韓国の都市鉄道車両にしては珍しく、綺麗な無地となっており、窓ガラスの取り付け方法などを見ると、何処となく「某社レンズ付きフィルムによく似た名称で呼ばれる事が多い電車」や、この車両のパーツを多用した車両などを連想させられたものです。


この議政府軽電鉄は現在、議政府市内の鉢谷(Balgok)~塔石(Tapseok)間10km強を運行しており、既存鉄道とはKORAIL広域電鉄1号線(京元線)の回龍(Hoeryong)・議政府両駅で接続しており、コンクリートの塊とも言える巨大アパートが続く車窓は、如何にも韓国の大都市圏を走る都市鉄道と言った雰囲気があります。

始発の鉢谷駅は、回龍駅から徒歩でも10分程度でアクセスできるかと思いますし、議政府駅前からも市内バスの便が複数存在し、MAKIKYUは議政府駅の西口側から出るマウルバスでアクセスしたものでした。

終点の塔石駅も、駅のすぐ近くから議政府駅へ向かう市内バスの姿を目撃しており、少し歩いた所からは、地下鉄車庫設置のために設けられ、運行本数が減少する盲腸線区間としても知られるソウル都市鉄道公社7号線の長岩(Changam)駅へ抜ける市内バスなども走っており、MAKIKYUは議政府軽電鉄を完乗した後、このバスで長岩駅へ向かったものでした。

議政府軽電鉄は一応T-moneyでの乗車も可能なものの、運賃が広域電鉄や市内バスなどとの統合料金制になっておらず、おまけに1乗車1300Wと、日本の交通機関に比べれば安いとは言えども、他公共交通機関の運賃が低額に押さえられている韓国では、やや割高感もあります。

そのため韓国では初登場、日本国内には存在しないVAL試乗を目当てに足を運ぶ場合、単純に往復乗車するよりも、個人的には市内バスと組み合わせての訪問がおススメと感じたものでした。

韓国では今後も各地で軽電鉄導入計画があるものの、議政府に続いてVALを導入する都市が続くのかも気になる所で、「MAKIKYUのページ」をご覧の皆様方も議政府へ足を運ぶ機会がありましたら、是非議政府軽電鉄に乗車してみては如何でしょうか?


釜山交通公社 4000系電車~韓国初の新交通システム車両

2012-06-27 | 鉄道[大韓民国・広域電鉄/地下鉄等]

先日「MAKIKYUのページ」では、釜山交通公社4号線に関して取り上げましたが、韓国初の新交通システムとして開業した同線では、4000系と呼ばれる車両が活躍しており、まだ開業から日が浅い路線ですので、活躍する車両は同系のみとなっています。

4000系は内外共にブルー系統の色彩を多用しており、港町・釜山のイメージを強く印象付けるものですが、同線は日本の新交通システムで多い海沿いの埋立地などを走る路線ではなく、郊外の内陸部における交通利便性向上を目的に建設された路線で、雰囲気的に似合いそうな海沿いを走る区間が存在しないのは惜しい限りです。


この車両の外観は、前面を見ると中央に貫通路が存在してそうな雰囲気を受け、地下区間が半数を占める路線ともなれば当然と言う声も聞こえそうですが、釜山の地下鉄1号線や2号線の車両と同様に非貫通式となっています。

前面形状も影響してか、デザイン的にはやはり擬似貫通車となっている、日本の中京地区某大手私鉄の新型一部特別車車両を連想させるものがあります。


無人運転を行う路線だけあって、最前部からの展望も楽しめますが、非貫通式ながらも一枚窓などではなく擬似貫通式のデザインを採用している事もあってか、前面窓は3分割になっており、結構スマートな印象を受ける外見とは裏腹に、車内側の見栄えはイマイチといった感があります。

客室設備面でも、ドア上にLCDモニターによる案内装置が設置されている辺りは最新型らしい雰囲気ですが、日本の新交通システムでは採用例も多いクロスシートは採用されず、収容力重視のオールロングシートとなっている点は、元々地下鉄3号線の支線として計画した郊外の路線だけあると感じます。


座席の座り心地は、韓国の都市鉄道では一般的な「超薄超硬」で、個人的には日本の首都圏標準軌某大手私鉄で最近増殖しており、軟らか過ぎて「ブカブカ」した座席よりはマシとは言えども、余り良好な印象は受けませんが、全線乗り通しても30分もかからない乗車時間を考えると許容範囲と言った所です。
(さすがにソウル市中心部の地下鉄区間から、忠清南道まで広域電鉄の電車に乗り通すともなれば、長時間乗車に対応した座席の開発も考えた方が良い気もするのですが…)

韓国ではまだ走り始めて日が浅い新交通システムも、都市鉄道自体がまだ発展途上と言える韓国では、今後釜山に続く導入事例が出てくるのか気になる所ですが、「MAKIKYUのページ」をご覧の皆様方も釜山に足を運ぶ機会があれば、比較的容易に乗車できる路線ですので、是非一度乗車してみては如何でしょうか?


釜山交通公社 4号線~韓国初の新交通システム

2012-06-24 | 鉄道[大韓民国・広域電鉄/地下鉄等]

先日「MAKIKYUのページ」では、昨年釜山で新たに開業した軽電鉄「釜山-金海軽電鉄」に関して取り上げましたが、昨年釜山ではこの軽電鉄以外にもう1路線新たな都市鉄道が開業しており、この新路線が釜山交通公社の4号線です。

4号線は釜山-金海軽電鉄よりも早い昨年3月に開業したものの、開業後にMAKIKYUが訪韓したのは今年2月だった事もあり、乗車したのも2月が初めてでした。

4号線は当初、起点駅の美南(Minam)駅で接続する地下鉄3号線の支線として建設予定だったものの、途中で計画が変更されて新交通システムとして建設される事になり、韓国初の新交通システムになっているのも大きな特徴で、郊外の機張(Gichang)郡に位置する安平駅までの10.8kmの間を運行しています。

新交通システムながらも、運営は既存の地下鉄1~3号線を運営する釜山交通公社が担っていますので、運賃も当然ながら既存地下鉄と共通の通し運賃となっており、地下鉄と通し運賃で乗車できる新交通システムと言う点では、大阪の南港一帯を走るニュートラムを連想させるものがあります。
(その上市内バスとの乗継制度が存在するとなれば尚更ですが、釜山ではをはじめとする韓国の各都市では、都市鉄道~市内バス乗継利用で運賃割引や通算などが適用されるのはICカード利用時のみ、現金乗車の場合は適用外ですので要注意です)


また当初は地下鉄3号線の支線として建設された事も影響しているのか、美南方の約半分の区間は地下線となっており、日本の新交通システムは高架線が大半を占めますので、4号線の地下区間に乗車していると、広島を走るアストラムラインの都心区間に乗車している様な印象を受けたものです。


アストラムラインと違って地下区間が結構長く、新交通システムながらも地下鉄と言って過言ではない路線とも言えますが、終点の安平方は地上に出て高架区間となりますので、「地下を走る新交通システム」と「高架線から眺める郊外の街並み」を一挙に楽しめます。


高架線となる郊外の街並みは、まだ開発途上のエリアが多く、釜山でも都心部から少し離れると結構長閑な所も…という印象を受けますが、一方で巨大なコンクリートの塊とも言えるアパート群(2~3階建て程度の建物が多い日本のアパートとは異なり、30階建て程度が当り前・団地と言った雰囲気です)なども散見でき、沿線は4号線開業で利便性が大きく向上していますので、今後様相が大きく変わる事かと思います。


設備的には日本の新交通システムに類似した印象があり、地下鉄などの都市鉄道では既存路線でもホームドア設置率の高い韓国の事ですので、当然ながら各駅共にスクリーンタイプのホームドアを完備し、無人自動運転となっているのも新交通システムでは当り前の光景です。

ただ韓国の大半の地下鉄と同様に右側通行となっており、車窓から眺める街並みや韓国語で流れる案内放送と共に、新幹線や大手私鉄も走る福岡からは僅か200km程度しか離れていない土地を走る路線ながらも、異国の路線である事を実感させられるものです。

韓国では昨年釜山でこの4号線(新交通システム)と軽電鉄と言う、今まで韓国内では存在しなかった新種の都市鉄道が相次いで開業し、趣味的に非常に興味深い存在であると共に、現在KORAILでも電鉄線の建設が進むなど、今後都市鉄道が充実発展する事が見込まれ、停滞はおろか衰退しているのでは…と感じてしまう近くの某島国の有様を見ると羨ましいものです。

あと4号線を走る車両に関しては、近日中に別記事で取り上げたいと思います。


釜山-金海軽電鉄~釜山で走り始めた新形態の郊外電車

2012-06-19 | 鉄道[大韓民国・広域電鉄/地下鉄等]

2月にMAKIKYUが韓国を訪問した際には、昨年釜山(Busan)市内で相次いで開業した都市鉄道の2つの新路線にも乗車する機会がありましたが、その一つが今日取り上げる釜山-金海(Gimhe)軽電鉄です。

釜山-金海軽電鉄はまだ昨年9月に開業したばかりで、釜山市北西部・西部市外バスターミナルもある沙上(Sasang)を起点に、今まで軌道系交通機関のなかった釜山の金海国際空港を経て、釜山の隣町・金海市の加耶大(Gaya Univ.)までの23.4kmを結んでいます。

既存の軌道系交通機関とは、起点の沙上で地下鉄2号線、途中の大渚(Daejeo)で地下鉄3号線とそれぞれ接続するほか、金海市庁周辺など、今まで軌道系交通機関に恵まれなかった金海市中心部で初の軌道系交通機関にもなっています。

同線の開業により、MAKIKYUの様な非居住外国人が金海市を訪問するのが非常に容易になった他、現行設備では各駅停車の列車しか運転できず、結構な時間(全区間乗車で40分強)を要するとはいえ、それでも今まで専ら市内バスなどに頼っていた地域の移動利便性向上に大きく寄与しています。
(余談ながらMAKIKYUは釜山-金海軽電鉄を全区間乗車した後、釜山市内の亀浦(Gupo)まで市内バスを利用して釜山に引き返していますが、この市内バスは途中で道路渋滞に捕まった事もあり、加耶大~亀浦間で1時間以上を要しています。また路線の複雑さや案内なども、不慣れな外国人旅行者にはかなり使い難いかと思います)


この釜山-金海軽電鉄は、韓国の旅客営業用鉄道として開業した都市鉄道では初の「軽電鉄」と呼ばれる新形態の路線で、「軽電鉄」は英訳すると「Light rail」になりますが、路面電車型の車両などを用いて併用軌道や道路脇の地表を走る訳ではなく、高架複線の線路に2本のレールが引かれていますので、線路外から一見しただけでは一般的な都市鉄道と大差ない雰囲気を受けます。
(写真は高架駅になっている起点の沙上駅です)

しかしながら活躍する電車は、車体長が短い2扉の2車体連接車を用いており、高架複線の立派な施設の割には小柄な車両が…という感があり、日本の鉄道に例えるならば、つくばエクスプレスの路線に江ノ電の電車を走らせている様な雰囲気(物理的に不可能な話ではないと思いますが、相当のコストや制約があり、鉄道模型の世界でもない限り、実現性はほぼゼロかと思います)を受けます。


この短い2車体連接車は、最新型である上に韓国の電車だけあって、大手私鉄や新幹線の走る福岡からは200km程度しか離れていない地を走る電車にも関わらず、日本の電車とは随分趣が異なる丸っこいデザインが特徴で、見た目は如何にも最近の韓流電車と言った
印象を受けます。


日本の新交通システムなどとは異なり、2本のレールの上を走る電車にも関わらず、新交通システムを連想させる無人運転車両となっており、最前部まで客席が設置されているのも特徴で、韓国の都市鉄道では前面展望が楽しめない路線が多い中、前面展望を存分に楽しめるのも有難いものです。

客室設備面では、専ら短時間乗車の都市内交通機関と言う事もあって、座席はロングシート配置になっており、個別区分形となっているのも特徴です。


その座席も最近の韓国では一般的な「薄くて硬い」座席となっており、この座席上部には荷棚の設置がなく、傾斜した車体断面や通路中央に設けられたポールなども、如何にも異国の電車を感じさせる雰囲気があります。

そして設備面も、最新の都市鉄道だけあって各駅にはホームドアが完備、それも上部までガラスが伸びるタイプとなっており、車両は2両にも関わらず、設備的には4両程度までの運行に対応できそうな雰囲気です。


韓国のホームドアは上部までガラスが伸びるタイプが一般的であると共に、既存の都市鉄道でもこのタイプの設置が続々と進んでおり、
車両規格統一により各列車の乗車位置が一致するにも関わらず、ホームドアはおろか、既存路線では柵の設置すらなかなか進まず、連日人身事故発生の報を聞く何処かの島国は…と感じてしまうものです。


そして他路線とは独立した運賃体系の線区(ハナロカードなどで地下鉄と乗り継いだ場合、乗継割引あり)と言う事もあってか、乗車券類の全面IC化を実現しており、各駅の自動改札機には磁気乗車券投入口が存在していないのも大きな特徴で、日本でも他路線とは直通運転や改札内連絡を行っていない首都圏某港町の市営地下鉄などでは、今後導入予知が充分あるのでは…と感じるものです。
(韓国では他に大邸(Daegu)や光州(Gwangju)などの地下鉄で実現しており、首都圏(ソウル都市圏)でもデポジット式1回用カード導入で磁気乗車券を撤廃しています)


軌道設備面でも、韓国の旅客営業用鉄道では初の第3軌条方式を採用しており、国内に幾つもの路線が存在する地下鉄ではなく、高架を走る郊外電車が初採用事例になるのは意外な気もしますが、今後このタイプの小型車両を使用し、地方都市で地下線区を走る都市鉄道が登場しても…と感じるものです。
(釜山-金海軽電鉄では地下区間はおろか、トンネルすら存在しないのですが…)

この軽電鉄は、様々な種類の鉄道が存在する日本でも類を見ない独特の交通システムで、新交通システムとライトレールの中間に位置する様な鉄道と言う雰囲気ですが、現在他にソウル近郊の龍仁(Yongin)でも設備が完成した同種路線が存在しています。

しかしながら当初は龍仁軽電鉄が韓国初の軽電鉄として開業するのでは…と言われていた程だったにも関わらず、運営費用問題などで揉めており、設備面は完工しているにも関わらず未だに営業運転が実現しておらず、こちらも早期の営業開始を望みたいものです。

また韓国では他都市でも軽電鉄導入計画が幾つも持ち上がっており、日本では類を見ない独特の中量輸送交通の今後の展開にも注目ですが、「MAKIKYUのページ」をご覧の皆様方も釜山に足を運ぶ機会がありましたら、比較的容易に乗車できる路線ですので、是非一度釜山-金海軽電鉄に乗車してみては如何でしょうか?