MAKIKYUが今月中頃に青春18きっぷを使い、富山へ出向いた際には、行きは高山本線を用いたのですが、帰りは北陸本線~大糸線~中央本線経由のルートを利用しました。
その際に富山~糸魚川間で乗車した北陸本線の普通列車は、同区間では比較的出没率が高く、MAKIKYUが乗車を期待していた寝台電車改造の419系ではなく、(元)急行型の475系電車でした。
475系は概ね1960年代に製造された急行型電車で、直流/交流双方の電化区間に跨って走行可能な車両という事もあって、直流区間と交流区間に跨る急行列車がほぼ全廃状態となった国鉄の分割民営化後も、専ら交流区間のローカル輸送用として同種の455系(こちらは交流電化区間は50Hzに対応・475系は60Hz)等と共に、徐々に廃車が進みながらも、比較的最近まで結構な数が残存していました。
とはいえこれらの交直両用の急行型電車も老朽化に加え、近年の石綿問題や、地方におけるローカル輸送では当たり前になっているワンマン運転への対応が困難な事などもあって、近年になってJR東日本では仙台地区にE721系電車が大量導入されて運用離脱、またJR九州でも817系電車などの新型車導入や、他地区からの車両転配などで淘汰されていますので、今や定期的な乗車機会はJR西日本の北陸エリアのみという状況になっています。
北陸エリアでは、JR西日本の他エリアは直流電車ばかりで転用が困難な事(それでも七尾線などに、直流区間専用の電車を改造して導入した事例がありますが…)や、新車導入も近年わずかに行われただけという状況ですので、475系は今も多数が残存しており、今でも比較的容易に乗車可能となっています。
しかし北陸エリアを走る475系も、大半は白と青の北陸エリア普通列車標準塗装を纏っており、リバイバル塗装編成は標準塗装の編成と共通運用される上に、運用範囲も敦賀~直江津間と広範囲に跨る事もあって、狙っても簡単には捕まらない存在です。
MAKIKYUが北陸本線を利用した際には偶然この編成の姿を目にする事が出来、それも乗車する列車に充当されていましたので、期待していた419系には乗車できなかったものの、予想外の幸運を手にしたと感じたものです。
乗車した編成は先頭車のヘッドライトが最近見かける機会が少なく、シールドビーム化されていない大型のモノ(北陸ではそれなりにあるのですが…)を用いている上に、車内もローカル輸送向けに車端部のロングシート化などが行われているものの、本格的なリニューアルを行った様子が見受けられず、「動く博物館」的印象を受けましたので、サービス面では余り感心できない事かもしれませんが、リバイバル塗装を施すには適任の車両と感じたものでした。
ただ北陸エリアを走る他の475系や、近郊型の413系などと同様に、先頭部の種別表示幕(一部で快速に充当される以外は専ら「普通」ですので、現状では必要性はさほどでもないのですが…)が塞がれている事や、3両編成中の中間車両にLED式の行先表示器が設けられている点などは、急行列車として活躍した全盛期とは大きく異なる点といえ、リバイバル塗装の装いでも今日を感じさせる面と言えます。
475系の使用年数や走行距離に加え、冬季の降雪や日本海沿いを走る過酷な使用環境などを考えると、普通に考えるならばそろそろ引退の噂が流れても不思議ではなく、その最後のはなむけに往年の装いを復活させた・・・と言っても良い程ですが、JR西日本は、JRグループの中でも車両を非常に長く使い続ける傾向がある上に、北陸エリアではこの475系以上に老朽化が進んでいると思われ、普通列車としての使い勝手も悪い419系ですらまだまだ活躍している状況です。
そのため北陸エリアでは特急型は683系増備車の導入でようやく旧型車両(485系)取替えの目処が見えてきたとは言え、普通列車に関しては475系の活躍はまだ暫く続きそうな気配を感じますが、今後もリバイバル塗装の姿を保ち続けるのか、それとも白と青の北陸エリア普通列車標準塗装に戻されるのかも気になる所です。