先日「MAKIKYUのページ」では、高松琴平電気鉄道(琴電)の600形電車に関して取り上げましたが、名古屋市営地下鉄から移籍した車両は600形の他に、700形と呼ばれる車両も存在しています。
この車両はスペック的には600形とほぼ同様で、乗車した際の感触も大差ないもの
ですが、元々先頭車だった車両(600形は元々中間車だった車両を先頭車に改造)だった事もあり、中央に貫通扉を配した左右対称の前面は600形に比べると、やや古風な印象を受けるものです。
またこのスタイルは一昔前のありふれた電車という印象を抱いてしまいますが、琴電へ移籍した元名古屋市営車両は、大半が600形という状況で、現在700形として活躍している車両は僅か4両(2両X2本)しか存在していませんので、実は結構希少な存在です。
(地球の反対側では元名古屋市営地下鉄車両の原型先頭車が、結構大量に譲渡されて比較的メジャーな存在になっている様ですが、こちらは余りに遠過ぎますので、MAKIKYUは恐らくそこまで足を伸ばす機会はなさそうです)
しかも2本しかない700形は、種車の違いから1編成は貫通路上部に行先表示器が設けられているのに対し、もう1編成は琴電移籍の際に小さな行先表示器を取り付けた仕様となっており、どちらの仕様も1編成ずつしか走っていませんので、狙っても現れるか否かは運次第という状況です。
ただMAKIKYUが高松を訪問した際には、以前取り上げた屋島登山バスに乗車した後、琴電屋島駅から志度線に乗車した際に偶然723+724編成に遭遇し、特に狙っていた訳でもないのに乗車できたのは幸運でしたが、この車両は琴電への乗車はおろか、四国へ行ったことすら…という方でも見覚えのある方は結構多いと思います。
というのも、この車両は少し前に発売されたTOMYTEC「鉄道コレクション」(鉄コレ自体はNゲージサイズのディズプレイモデルの扱いですが、交換パーツを用いて容易にNゲージ車両として走らせる事もできます)の第8弾に登場した車両の一つにもなっており、鉄コレと聞いてこの車両を思い浮かべる方も居られるかと思います。
そんなMAKIKYUもこの車両が入線する際に前面の「723」という見て、その時何処かで見た車両の様な…と感じたもので、そこそこの数が走っている600形ならともかく、よくこんなマイナー車両が完成品として大量生産され、安価で市販しているものと感心してしまいますが、こんな事を感じてしまうのはMAKIKYUだけでしょうか?
MAKIKYUは今月初めに四国へ出向いた際には、高松周辺に路線を張り巡らす私鉄で、地方の中小私鉄にしては規模が大きいことでも知られる高松琴平電気鉄道(琴電)にも乗車する機会がありましたが、今日はその際に乗車した車両の一つで、600形と呼ばれる車両に関して取り上げたいと思います。
この車両は名古屋市営地下鉄の東山線や名城線で使用していた車両を、同局での廃車後に改造して琴電で走らせているものですが、東山線や名城線は第3軌条方式の路線ですので、この様な車両を一般的な架線集電の路線に転用する事自体が異例と言えます。
その中でも600形は琴電の元名古屋市営車両の多数派を占めており、中間車であった車両を先頭車化改造した事もあって、前面は非常用貫通路を右側に設置した左右非対称のデザインとなっています。
この姿は名古屋市営の現行東山線車両(5000系)に比較的良く似た印象を受け、車内も琴電移籍に際して徹底的な更新が行われ、その内装は改造を担当した京王重機の親会社・京王電鉄がこの当時導入していた8000系電車に良く似た印象を受けるものですので、相次ぐ改造の経緯を知らない人物が見れば、そこそこ新しい車両と錯覚しそうな程ですが、客用扉が未だにペンキ塗りとなっている辺りは、多少古さを感じさせられるものです。
(中京の某大手私鉄では未だにペンキ塗りのドアが当たり前ですが、それ以外の鉄道では大半が古参車ですので…)
この異例とも言える転用劇は、琴電でも急曲線などが多数存在する志度線の車両限界が小さく、以前は長尾線も車両限界が小さかった事で、これに適合する車両が数少なかった事が大きいですが、現在日本国内を走る数多くの鉄道の中でも、現存する車両で第3軌条→架線集電への改造が行われた車両は、琴電の他にはやはり名古屋市営の車両を改造した福井鉄道と、東京の銀座線車両を改造した千葉県の銚子電気鉄道程度(以前は銚子と同形車が日立電鉄でも多数走っていたのですが、残念ながら路線廃止と共に退役しています)程度です。
その上この車両は名古屋市営時代は非冷房車だった車両を、琴電移籍に際して冷房化改造しているのも大きな特徴で、その冷房装置も他鉄道の廃車発生品を組み合わせているのですが、3台の冷房装置は真ん中の一台だけ異なるものを用いており、こんな車両は他で目にする機会はまずありませんので、ただでさえ第3軌条→架線集電への改造という異色の改造を施されたこの車両の異端ぶりを、よりいっそう強めるものとなっています。
またこの車両は琴電を走り始めてからまだ10年程度ですが、この間に琴電は随分大きな動きがあり、既に登場当時の白に緑と黒の装いを留めた車両は存在しておらず、現在はアイボリーと活躍する長尾線・志度線それぞれのラインカラー(緑・赤)の塗装に改められています(広告車両になっている車両も多いです)が、最近では長尾線→志度線へ移動し、ラッシュ用増結車(800番台に改番)も存在するなど、この車両も琴電自体と同様に随分変化が激しいのも大きな特徴です。
現在長尾線では中型車の入線に伴い、一部が運用されるだけで脇役的存在になっているものの、小型車しか運用できない志度線では主力として活躍しており、数年前までは相当な年代物車両がゴロゴロしていた長尾線・志度線の様相を大きく変えたこの車両は、年代物車両が活躍していた頃に比べると随分単調な印象を受けがちなものの、それでも個性の強い車両である事に変わりなく、まだ暫く第二の地で活躍する事が見込まれ、今後も色々な動きが生じるのかも気になる所です。
写真は長尾線塗装を纏った600形とその車内の様子です。
今月初めにMAKIKYUが四国へ出向き、その途中で途中下車した岡山市内で乗車した岡山電気軌道(岡電)の新鋭車両「MOMO」に関しては、先日「MAKIKYUのページ」でも取り上げましたが、岡山では「MOMO」の他に3000形「KURO」にも乗車する機会がありましたので、今日はこの車両に関して取り上げたいと思います。
3000形は元々東武鉄道が日光市内の軌道線(路面電車)で用いていた車両を、1968年の同線廃止後に譲受したもので、東武での活躍は十数年に留まっていますので、第二の地である岡山での活躍期間が、古巣日光の倍以上という状況になっています。
現在では製造から50年以上が経過し、冷房改造も行われていないだけあって、岡山でも一時期は主力として活躍した3000形も、老朽化や新造車への部品転用などで次々と姿を消し、残っている車両も運用は限られたものになっていますが、その内の1両(3007号)は近年大幅なリニューアルが施され、「KURO」という名称で注目を集める存在となっています。
「KURO」は岡電をはじめとする両備グループや、JR九州などで近年お馴染みの某デザイナーが外観や内装のデザインを手がけ、外観は名前の通り真っ黒な装いとなっていますが、この塗装は同じデザイナーが手がけ、一般型気動車の特急転用で話題となったJR九州キハ140・147形気動車「はやとの風」を連想させるものがあり、この装いで街中を走り回る様はかなりのインパクトがありますが、写真撮影泣かせの存在です。
車内も「MOMO」と同じく木製の座席(材質や形状などは異なりますが…)となっており、全線を乗り通してもさほどの時間を要しない岡電では、これでも充分なのかもしれませんが、この座席に関しては評価が大きく分かれる所と言えます。
内装も革製のつり革や、すだれを用いた日よけなどが独特で、デザイナーの強烈な個性が発揮されていますが、冷房改造が施されずに非冷房車のまま存置されている事から、夏場は運用を外され、それ以外の時期も昼間時間帯の東山線限定運用となっている点は少々惜しいものです。
岡山では新旧の路面電車が某デザイナーの手によって非常に目を引くものとなっており、両備グループの路線バスもこのデザイナーによるデザインで、内外にインパクトのある車両が岡山電気軌道や両備バスで大増殖している状況です。
しかしながら岡電路面電車の主力となる中堅格の車体更新車は、石津式と呼ばれる独特なパンタグラフが特徴的で、窓割などに差異が見られるものの、こちらは意外と地味な印象を受けます(それでもオレンジ色の運賃箱などはインパクトがありますが…)ので、今後は多数派の車体更新車においても、このデザイナーの手によって目を引く車両が登場する事に期待したいと感じたものです。
MAKIKYUが今月初めに四国へ出向いた際には、岡山まで新幹線を利用した後、瀬戸大橋を渡る快速列車「マリンライナー」に乗り換えて高松を目指したのですが、その際に利用した乗車票(通常の乗車券ではなく旅行会社パッケージ利用のためこの様な名称となっており、割安な代わりに様々な制約があります)は基本的に途中下車不可であるものの、新幹線~在来線乗り継ぎとなる岡山駅だけは例外的に認められていました。
この事もあって新幹線を降りた後、岡山駅で一旦途中下車したのですが、その際には岡山市内を走る岡山電気軌道の路面電車にも乗車する機会があり、その際には新型の低床電車9200形「MOMO」に乗車する機会もありましたので、この車両に関して取り上げたいと思います。
「MOMO」は2002年夏に1編成が登場した岡山電気軌道の最新形式で、MAKIKYUは登場直後にも一度乗車した事がありますので、この電車への乗車は先日で2回目になるのですが、登場から6年以上の月日が経過していますので、既に最新鋭という程の車両ではなく、もう走り始めてから結構な年月を経ているものだ…と感じたものです。
車両自体はヨーロッパで標準仕様となっているLRV車両の一つで、ボンバルディア車製の車両をベースにしており、同種の車両は「MOMO」登場前に熊本(熊本市交通局)でも導入されていますが、狭軌(1067mm)の全面低床電車は「MOMO」が国内で初めてとなっており、海外の車両をベースにしながらも制御装置などは国産部品を用い、日本国内で組み立てを行っている点も特徴です。
(中国地方の低床路面電車というと広島の「Greenmover」が余りに有名で注目度も高いですが、こちらはドイツで製造された車両を輸入しており、第1編成は航空機で空輸された事はご存知の方も多いかと思います)
「MOMO」自体は2002年の導入以降に増備は行われておらず、1編成のみの存在に留まっていますが、その後ほぼ同種の車両が不振のローカル線を経営移管し、低床路面電車を走らせて成功を収めている事で注目されている富山県内の2路線(富山ライトレール・万葉線)でも導入されるきっかけにもなっていますので、岡山に限らず全国において路面電車の注目度を向上させ、活性化へ果たした役割は非常に大きいと言えます。
また「MOMO」の大きな特徴としては、JR九州の車両デザインなどで定評あるデザイナーが内外のデザインを手がけている事が挙げられ、同氏はその実績を買われて現在両備グループのデザイン顧問を務め、岡山電気軌道の電車だけでなく、岡山電気軌道や両備バスの車両デザインなども手がける程になっています。
この事もあって車内の雰囲気も天井や床などを見渡すと、同氏が「MOMO」登場の少し前にデザインを手がけ、今でも乗車する度に素晴らしい車両と感じさせられるJR九州の特急形電車885系「白いかもめ」(非常に特徴的な車両で好みは大きく分かれるかと思いますが、MAKIKYUは885系のNゲージ模型も2編成所有している程で、首都圏にもこれに匹敵するだけの車両がないものか…と常日頃感じています)と非常に類似したものとなっています。
先月「MOMO」の実績を元に導入され、低床電車が活躍する事で注目される富山県内2路線に乗車したMAKIKYUとしても、富山の2車種に見劣りしないどころか、数年ぶりに乗車した「MOMO」はそれ以上のインパクトを感じたものでした。
ただ「MOMO」は岡電のイメージリーダー的存在ではあるものの、1編成のみという事もあって曜日によって運行路線が限定され、検査などで運転しない日もある点は要注意で、短い岡電の路線に1編成だけと言う現状は、本領発揮には程遠いと感じるものです。
また短距離路線だけあって乗車時間が短く、さほど支障がないとはいえ、殆どの座席が木製で非常に硬く、クッション製が全くない点は好みが大きく分かれそうです(MAKIKYUとしては、高速運転で知られる標準軌の首都圏某大手私鉄で近年増殖している「ブカブカ」した感触の座席よりは良いと思っています)が、一部座席の座面には黒い皮製のクッションが設けられているだけに、今後「MOMO」がリニューアルなどを施す事があるならば、各座席(低床電車の構造を逆手にとって設けたデッドスペース脇までは厳しいですが…)にちょっとしたクッションでもあれば…と感じたものです。
MAKIKYUが今月初めに四国へ出向いた際には、高松市内にある景勝地で知られ、四国八十八箇所第84番霊場の屋島寺がある事でも知られる屋島を訪問する機会があったのですが、その際には屋島山上シャトルバスを利用する機会があり、今日はこのバスに関して取り上げたいと思います。
屋島へのアクセスは、かつては琴電屋島駅近くからケーブルカーが運行されていたものの、数年前に残念ながらこの路線は廃線となっており、一時期公共交通機関によるアクセス自体が…と言う有様でしたが、その後シャトルバスが運行開始となり、ケーブルカーの代替的存在にもなっています。
シャトルバスの路線はJR屋島駅(高徳線)~琴電屋島駅~屋島山上間を、昼間時間帯に概ね1時間毎程度の頻度で運行しており、全区間通しで乗車しても所要15分程度ですが、運賃は100円均一と一般路線バスの初乗り運賃以下という非常に割安な設定(ことでんのICカード「Iruca」を使うと更に割引となり、MAKIKYUが乗車した際はICカード利用で1乗車90円でした)となっているのは有難いものです。
車両も大都市圏では最近見る機会が殆どなくなった昭和時代の車両(昭和63年製)で、大きさも比較的小柄ながらも、割安な運賃にも関わらず観光タイプのリクライニングシート車が使用され、短距離路線にしては随分豪華な印象を受けたものでした。
また屋島山上行は琴電屋島駅を出発すると直ぐに屋島ドライブウェイ(屋島山上へ続く有料道路)に入り、10分足らずで300m弱の高度を稼いでいくのですが、この区間の眼下に見える瀬戸内海や町並みなどの車窓もなかなかでした。
そのため小柄ながらもハイグレードなバスに僅か片道100円で乗車できる上に、屋島自体も高松市内中心部から比較的アクセスし易い場所(中心部から10km以内の距離にあり、昼間でも琴電屋島駅への志度線電車は20分毎に運行しています)ですので、「MAKIKYUのページ」をご覧の皆様も高松を訪れる機会がありましたら是非乗車をオススメしたい路線の一つです。
ただ屋島山上での折り返し時間が十数分と短く、次の便を待つとなると1時間後になってしまう事(最終便だけは異なるのですが…)と、使用車両の窓ガラスが着色ガラスとなっており、車窓を撮影した際にその色が…という事は少々難点と感じたもので、今後の改善に期待したいと感じたものです。
写真は屋島山上シャトルバス充当車両と、屋島ドライブウェイ走行中の車窓ワンシーンです。
先日「MAKIKYUのページ」では、JR四国の最新型気動車・1500形に関して取り上げましたが、MAKIKYUが今月初めに高松周辺を訪れた際には、この車両以外に数少ない6000系電車にも初めて乗車する機会がありましたので、今日はこの車両に関して取り上げたいと思います。
6000系は1996年に登場した3両1編成の近郊型電車で、2編成が登場しましたが、その後増備に至る事はなく現在に至っており、少数派の異端車両になっています。
運広範囲も以前は瀬戸大橋を渡って岡山まで足を伸ばす列車にも充当されていたものの、現在この運用からは撤退しており、高松~観音寺・琴平間の香川県内のみが運行範囲となっていますが、同系単独だけでなく7000系を1両増結した4両での運用も見られるのも特徴です。
(増結する7000系はモーターなしの7100形で、6000系自体も電動車は1両のみですので、6000系+7100形の4両編成は随分無茶な印象があり、増結は電動車7000形の方が…と感じるのはMAKIKYUだけでしょうか?)
運用は限定されており、ラッシュ時間帯は基本的に2編成とも稼動(検査時などは他形式が代走)しますが、昼間は1編成しか稼動しないだけあって捕まえにくく、敢えて狙い撃ちにでもしない限りは、非常に乗り難い車両と言えます。
また6000系はJR他社車両との部品共用が多く見られ、前面は211系などと同等のデザインになっているだけあって、少数派の異端車両であるにも関わらず、有り触れた車両である様な錯覚を覚えますが、先頭車の乗務員室背後の客ドアのみが片開き(他のドアは両開き)となっているのは異色で、この車両ならではの特徴と言えます。
車内も転換式クロスシートを採用し、普通・快速列車用車両にしてはグレードの高いものとなっており、JR四国の普通列車用車両にしては珍しくトイレ付き(最近は増えてきましたが…)ですので、香川県内限定運用というのは非常に惜しく、高松~松山間直通列車にでも充当して欲しいと感じるものです。
(6000系の充当も物理的には可能ですが、編成両数などを考えると現実性は極めて低いですので、6000系レベルの車内設備を備えた短編成電車でもあると良いのですが…)
ただ概ね好感の持てるこの車両も、ドア上に装備された次駅案内表示装置がJR某社の「某社レンズ付きフィルムに良く似た名称で呼ばれる事が多い電車」と同様の全角6文字分で駅名が表示されるだけの貧相なもの(次駅名を漢字・カタカナ・ローマ字で切り替えるパターンまでそのまま)となっており、ドアチャイムまでもが「某社レンズ付きフィルムに良く似た名称で呼ばれる事が多い電車」と同様のモノとなっている点は、「四国まで来てこの様は…」と閉口させられると共に、せっかくハイレベルな車内設備を誇りながらも貧相な印象を与えかねないだけに、これだけは何とかならないものかと感じたものです。
6000系はJR四国の四国内ローカル用近郊型電車の中では、製造年では最新の部類に入るものの、既に運行開始から10年以上の月日が経過しており、もはや新鋭とは言えない状況で、今後増備される可能性もまずないと思われますが、ハイグレードな客室設備などは大いに歓迎できるもので、少数派の異端車両ながらも今後も長く活躍し続ける事に期待したいと感じたものです。
写真は高松駅停車中の6000系とその車内、貧相な印象が否めないドア上にあるLED案内装置です。
先日MAKIKYUが四国を訪問した際は、徳島を除く3県を訪問(厳密に言えば土讃線を利用していますので、阿波池田周辺で徳島県も通過しているのですが…)し、久々の四国訪問にもなりました。
その際には徳島地区を中心に活躍している1500形気動車にも、高徳線の高松周辺で初めて乗車する機会がありましたので、今日はこの車両に関して取り上げたいと思います。
1500形は2006年に初登場し、他地区で使用していた老朽気動車を、徳島地区の既存車両転出で取り替えるための補充も兼ねて導入された一般型気動車で、JR四国の中では最新鋭の部類に入る車両です。
片開きでありながら3つの扉を持つ外観が特徴的で、ビードなしステンレス製の車体こそ今時の雰囲気を持つものの、LEDではなく字幕を用いた行先表示や、2段式となっている客窓などを見ると、最新型の割には…という印象を受けたものです。
ただ車内は比較的シンプルな造りながらも、座席に転換式クロスシートを採用し、内装も木目調の温かみのあるものとなるなど、やや冴えない印象を受ける外観とは裏腹に、かなり好感の持てるものとなっており、このグレードであれば特急用の一部車両にも劣らないのでは…と感じた程ですので、高徳線の高松市内数駅間だけ乗車したMAKIKYUとしては、すぐに降りるのが惜しいと感じてしまった程です。
また初登場が2006年と近年にも関わらず、早くも複数のバリエーションが見られるのも大きな特徴で、MAKIKYUが乗車した1500形使用の高徳線普通列車(2両編成)も、1513(徳島方)と1508(高松方)の2両で、行先表示幕の位置が異なるといった特徴が見られましたが、最近になって更にエンジンなどに改良を加え、番号区分も既存車両とは別区分となった車両も登場(残念ながらこの車両に遭遇する機会はなかったのですが…)しています。
JR四国ではキハ58系列の老朽気動車こそ淘汰が完了したしたものの、まだ結構古い気動車を抱えており、その中にはワンマン化にも対応していない車両が含まれる状況ですので、今後も老朽車の取替えとサービス向上を兼ね、四国におけるローカル輸送の新標準車両として増備される事が期待される1500形ですが、今後は徳島地区のみならず他地区での導入も行われるのか、また更なる新バリエーションの登場があるのか否かも気になる所です。
写真はMAKIKYUが乗車した高徳線普通列車に充当された1513号と1508号(行先表示の位置に注目)と、転換式クロスシートを採用した同形車内の様子です。
ここ数日更新のなかった「MAKIKYUのページ」ですが、その間MAKIKYUは四国へ出向いていました。
その際には四国内の移動で「バースデイきっぷ」と呼ばれる乗車券を使用しましたので、今日はこの乗車券に関して取り上げたいと思います。
「バースデイきっぷ」とは、名前の通り誕生日と関係のある乗車券で、利用開始日が利用者の誕生日がある月のみ購入可能という制約(私事ながらMAKIKYUは2月生まれです)が課されており、購入時には生年月日の記された身分証明書の提示が必要となっています。
(MAKIKYUは購入時に動力車操縦者免許証を提示したのですが、生年月日の記された部分は折り畳まれている事もあり、JR窓口の方が最初は気付かず、こちらから該当部分を説明する有様だったのは意外でした)
ちなみにこの乗車券の内容は、JR四国の全線(瀬戸大橋を渡った本州側の児島も)に加え、土佐くろしお鉄道の全線までも特急グリーン車が連続3日間乗り放題(ただグリーン車や普通車指定席は事前に窓口で指定券交付を受ける必要がありますので、指定席券を所持していない場合は自由席利用となります)、また今回MAKIKYUは利用する機会がなかったのですが、JR四国バスの一般路線(2路線しかないのですが…)も利用可能となっており、利用者名と誕生月が購入時に手書きで記されるのも大きな特徴です。
JR四国では高松~松山間を特急指定席(普通車)で往復するだけでも10000円を超える状況(高松~松山間に限れば、往復10000円以下の割引乗車券の設定もあるのですが…)で、土佐くろしお鉄道に跨る高松~宿毛間なら特急指定席(普通車)片道でも9000円程度を要するだけに、3日間10000円の価格設定は普通車利用でも使い方次第では非常に割安ですが、その上グリーン車も利用可能となっているのは破格と言えます。
この事もあって、MAKIKYUは四国訪問時期を敢えて2月にした程ですが、バースデイきっぷは誕生月の本人以外に、最大3名までの同行が認められており、同行者も誕生月の本人と同一行程での利用に限られるとはいえ、「お連れ様用きっぷ」が10000円で購入可能となっているのも大きな特徴です。
そのためMAKIKYUが先日四国へ出向いた際は同行者なしだったものの、自分の誕生月以外で「バースデイきっぷ」を利用したいと思った時には、誕生月の家族や知り合いなどを探して共に行動する事で、バースデイきっぷの恩恵に授かる事も出来ます。
とはいえ四国やその周辺に居られる方であればともかく、首都圏に居るMAKIKYUにとっては、四国までのアクセスが大きな問題で、今回は定価より割安な日本旅行のビジネス向けパッケージ商品(1名利用可能:往復新幹線「のぞみ」指定席利用で、指定列車乗り遅れの際は当日の後続自由席利用可)を利用したものの、それでも横浜市内→高松・岡山→横浜市内までのJR(新幹線)と高松市内のホテル1泊のセットで約30000円を要しましたので、四国に限らず他のJRでも、似た様な企画乗車券が出てこないかものかと感じたものです。
写真は「バースデイきっぷ」とその案内、四国までの往復で利用したパッケージ商品の乗車票です。
(氏名が記されている部分等は一部修正し、赤斜線はMAKIKYUが追加したものです)
先日「MAKIKYUのページ」では首都圏色を纏い、大糸線で活躍するキハ52 156号車に関して取り上げましたが、MAKIKYUが糸魚川駅で北陸本線から大糸線に乗り換える際には、運用されていた156号車以外に、MAKIKYUが訪問した日には運用されていない車両を目撃する事も出来ました。
(大糸線のJR西日本管轄区間ではキハ52形が3両在籍し、原則として2両がその日の運用に充当されます)
その車両が写真のキハ52 125号車で、黄褐色と青色の随分昔の塗装を纏っているのが特徴ですが、クリームと朱色のツートンの装いはJR他社で活躍するリバイバル塗装のキハ52形や、キハ20形の私鉄譲渡車でも見られ、首都圏色(タラコ色一色)に至っては最近各地で流行しているキハ40系列のリバイバル塗装車をはじめ、山陰地区では標準塗装として今も当たり前に見られる程です。
しかし莫大な両数の車両を抱え、全国に路線を張り巡らせるJRといえども、黄褐色と青色の塗装を纏った気動車は他に類がなく、この塗装自体が他にひたちなか海浜鉄道のキハ22形風気動車(キハ22形とほぼ同形の車両を北海道の私鉄が導入し、路線廃止後に茨城交通が購入→ひたちなか海浜鉄道に継承)程度ですので、ただでさえ希少なキハ52形の中でも、特に希少な存在と言えます。
そのため大糸線で乗車する車両はどれでも良いにしろ、姿だけは一目見ておきたいと感じていましたので、糸魚川でこの塗装を纏ったキハ52形に遭遇できたのは幸運でした。
この日は糸魚川までの北陸本線普通列車で475系リバイバル塗装編成に当たり、高山本線でも国鉄急行色を纏ったキハ58形に乗車するなど、リバイバル塗装尽くしと言っても過言ではない状況だっただけに、北陸エリアはリバイバル塗装天国の様に感じた反面、経年車の多さを改めて痛感させられたものでした。
(お断り)通常の運行区間は新潟県~長野県内ですが、JR西日本北陸地区おける運行列車と言う事もあり、例外的に「北陸」カテゴリーでの扱いとさせて頂きます。
先日「MAKIKYUのページ」では、北陸本線の普通列車で活躍する475系リバイバル塗装車に関して取り上げましたが、MAKIKYUが先月中頃にこの車両に糸魚川まで乗車した後は大糸線に乗り換え、その際に乗車した車両がキハ52 156号車です。
現在新潟県と長野県に跨る大糸線のJR西日本管轄区間は、列車本数も数える程、挙句の果てに昼間時間帯はJR西日本のローカル線恒例とも言える特定日運休(代替輸送なし)列車まで存在する閑散区間ですので、当然ながら非電化区間で気動車が活躍しています。
同区間は基本的に全列車が1両のみで運行という事もあって、車両配置は3両のみで、その内2両が営業に充当される状況(そのため稀に他線区の車両が借り入れられる事もある様です)ですが、3両の配置車両は全てキハ52形と呼ばれる古参気動車となっています。
キハ52形は古い車両を永く使い続ける傾向が強いJR西日本でも、現在同社のキハ52形運行路線は大糸線のみという有様ですので、その存在自体が希少な上に、基本的に全列車がこの形式のみで運転される路線は国内各地のJR線を探しても他に類がありません。
しかもキハ52形の同系車両で、JR線上からは既に姿を消しているキハ20形(外見は類似していますが、エンジン1機搭載(キハ52形は2機)で車体長が一回り短い車両です)も未だに地方私鉄で活躍している路線はありますが、これも既に主力とは言えない状況ですので、ほぼ確実にキハ52形に乗車できる大糸線は希少な存在です。
その上大糸線で活躍するキハ52形は、越美北線から転配されてから近年まで、白と緑色の越美北線カラーを纏っていたのですが、現在は3両全てが昔の装いを再現したリバイバル塗装車となっています。
リバイバル塗装は3両全てが異なる装いですので、大糸線に乗車した際にどの塗装の車両がやって来るのかも楽しみですが、MAKIKYUが乗車したキハ52 156号車はタラコ色の通称「首都圏色」と呼ばれる装いで、こんな車両に乗車するのは一昨年島原鉄道(キハ2008号車:首都圏色の元国鉄キハ20形(該当記事はこちらをクリック)で、残念ながら昨年の南目線廃止と共に運用離脱しています)に乗車して以来…と感じたものでした。
また大糸線用のキハ52形は、運賃箱や整理券発行機、運賃表示器取り付けなどのワンマン化改造や、冷房装置(簡易型)の取り付けなど、現代のニーズに見合う改造を施され、トイレ撤去(運行距離や乗車時間を考えると、トイレなしでもさほど支障ない状況です)も行われていますが、エンジンも換装されず、車内も大規模な改装はされずに国鉄時代からの原型をよく留めています。
そのため見た目だけでなく、乗車した際も古参気動車ならではの走行音や車内の雰囲気を楽しめますが、MAKIKYUが乗車した126号車はプレスドアでない事は少々惜しいと感じたものです。
(それでもドアはペンキ塗りで充分古風な印象ですので贅沢過ぎる話ですが、大糸線には未だにプレスドアのキハ52形も存在しています)
ただ同じ新潟県内を拠点に活躍し、MAKIKYUも昨年秋に乗車する機会があった他所のキハ52形(代替車両の導入でそろそろ全面引退ですが…)に比べると、それでも非常に魅力ある存在と感じたもので、現代ローカル線の象徴とも言えるワンマン運転も、ワンマン放送に音声合成装置ではなく、今でもテープを用いている点も注目です。
しかし大糸線のJR西日本管轄区間は、険しい山中を走る路線だけに、比較的近年台風によって壊滅的な被害を受け、一部区間の長期運休を強いられた事もありますし、MAKIKYUが乗車した日も、乗車する列車こそほぼ平常通りの運行でしたが、大雪の影響で一部列車が除雪のために計画運休(バス代行)になっている有様でした。
また乗車した列車も降雪状況を把握する為に、保線関係者が最前部に添乗する状況でしたので、車窓や走行車両は非常に魅力的ですが、今の時期の訪問は残念ながら…という事も有り得ますので、この点は要注意です。
写真は糸魚川駅停車中のキハ52 156号車と、その車内の様子です。
(お断り)通常の運行区間は新潟県~長野県内ですが、JR西日本北陸地区おける運行列車と言う事もあり、例外的に「北陸」カテゴリーでの扱いとさせて頂きます。