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ロシア・ウラジオストクの市内電車

2020-05-10 | 鉄道[その他海外]

現在世界各地で猛威を振るっている新型コロナウイルス、日本でも緊急事態宣言が出され学校や公共施設の閉鎖が相次ぎ、外出自粛要請が発令されるなど、様々な影響が出ています。

日本の隣国の1つ・ロシアでは感染者が10万人を突破、感染者が人口大国の中国を上回った事がニュースで報道されており、ロックダウン(都市封鎖)継続中であるなど、現状は日本とは比べ物にならない程深刻と感じられ、世界各地でコロナ禍が何時まで続くのか…と思うと気が滅入るものです。

ちなみにロシアはMAKIKYUも昨夏初めて足を運んでおり、その際に乗船したDBSクルーズフェリーに関しても、既に「MAKIKYUのページ」で取り上げていますが、昨秋から休航になっていたDBSクルーズフェリーは先日韓国海洋水産部に運航免許を返納、航路廃止となった事も報じられており、コロナ禍が災いしてしまったのか…と思うと残念な限りです。

このDBSクルーズフェリーが休止ではなく「廃止」になった事で、日本から直接ロシアへ向かう定期旅客航路は消滅、「近くて遠い国」という印象が否めないロシアが、心理的にはまた遠くなってしまう様にも感じますが、コロナ禍が静まった後に新たな運航引受会社が現れ、日露航路が再開される事を願うばかりです。

随分前置きが長くなってしまいましたが、昨夏MAKIKYUがロシアへ足を運んだ際に乗車した交通機関などのブログ記事化はまだ全然…という状況、そして現状では当分彼の地に足を運ぶのも難しいと思いますが、今日はMAKIKYUがロシアへ上陸した後に初めて乗車した鉄道でもあるウラジオストクの市内電車を取り上げたいと思います。

ウラジオストクはかつて多数の市内電車が運行、その中には国際フェリーターミナルも至近のウラジオストク駅に乗り入れる系統も複数存在していましたが、今世紀に入ってから路線廃止が相次ぎ、現存するのは市内東側を走るミンヌイ・ゴルトク(Минный городок)~サハリンスカヤ(Сахалинская)間を結ぶ6系統のみとなっています。

両電停共にウラジオストク駅から市内バス1本で行く事ができるとはいえ、中心部から離れた郊外間を結ぶ路線ですので、レールファン以外の観光客は余り利用機会がないのでは…とも感じたもので、その分生活路線としての雰囲気を存分に感じられたものでした。

車両や軌道の状態はお世辞にも良好とは言い難く、そう遠くない時期に大規模改修か路線廃止が行われても不思議ではないと感じたものでしたが、1系統のみながら複数種の車両が活躍しており、趣味的には面白い路線と感じたものでした。


MAKIKYUが最初に乗車した車両は、見るからに古めかしい車両という雰囲気の丸っこい車両。

後で調べたら形式名はРВЗ-6 (RVZ-6)との事で、1960年~87年とかなり長期に渡って製造された車両です。


終端駅ではラケット状に周回して折り返す事から、この車両だけに限らず、各車両共に運転台と乗降扉は片側のみに設置されており、この辺りも日本とは大きく異なる異国の電車らしさと感じたものでした。

旧ソ連各地に6000両以上が導入された様ですので、大ベストセラー車両と言っても過言ではない存在ですが、経年による老朽化で退役車が相次ぎ、現在活躍している車両は非常に少なくなっており、ウラジオストクでは少数派でした。


車掌が乗務して乗車券販売で車内を巡回する事から、運転席と客席は完全に仕切る事ができる構造になっているのも大きな特徴です。


車掌が販売する乗車券は感熱紙を用いたレシートの様なモノ、QRコードが印刷されているのが特徴で、ウラジオストクで利用した市内交通は路面電車だけに限らず、路線バスとケーブルカーも同種の乗車券でした。


車内の座席はクッション性皆無の一方向きクロスシート、日本の路面電車に例えると岡山市内を走る超低床電車と大差ないレベルという印象。

見るからに古めかしい車両ながらも、駆動方式は吊り掛け式ではなくカルダン駆動になっているため、軌道状態の悪さに起因する振動などは結構激しいと感じる一方、加減速音に関しては、日本の旧型単車に比べると遥かに静かとも感じたものでした。


6系統の主力車両は、こちらも1960年代~90年代まで長期に渡って製造され、如何にも共産圏の電車という雰囲気の角張った風貌の電車・KTM-5型。


装いは広告電車などではないにも関わらず不統一、様々なバリエーションが存在しており、趣味的には面白い反面、メンテナンスなどを考慮すると統一した方が良いかも…とも感じたものでした。

こちらは15000両以上が製造され、旧ソ連各地で導入された様ですので、スケールの大きさは桁違いと感じます。


角張った風貌の車両はKTM-5型以外にも、同型の後継版とも言えるKTM-8型も導入されており、こちらは1988年から20年近くに渡って製造、見るからに古めかしい2形式に比べると程度の良い車両とも言えます。

単車ながらも乗降扉が4箇所存在、中2扉が両開き式になっているのが大きな特徴で、車内収受式ワンマン運転が当たり前の国ではまずこんな車両は造らないだろうな…という雰囲気ですが、メンテナンスや過酷な環境が影響してか、これも年式の割には結構ガタが来ている様に感じる車両が幾つも見受けられたものでした。

このウラジオストク市内電車6系統、MAKIKYUが乗車した後に中古車両が導入された様で、これにより状態の悪い車両が一部代替された様ですので、現在は雰囲気も幾分変化している様です。

現在の世相故に暫くは足を運べそうにないのは残念な限りですが、ウラジオストクでは少数派のРВЗ-6にも乗車でき、ロシア入国当日、早速乗りに行った甲斐があったと感じたものでした。

またウラジオストクの市内交通は市内電車が現在1系統しかない事から、主流は路線バスとなっており、その中にはウラジオストク駅と市内電車の電停を直結する路線もありますが、この路線をはじめとした市内バスに関しても、近日中に別記事で取り上げたいと思います。


ベトナム国内を走るローカル列車~ハードシートとソフトシートでは雲泥の差

2018-02-10 | 鉄道[その他海外]

先日「MAKIKYUのページ」では、ベトナム統一鉄道に関して取り上げましたが、人口や国土の大きさの割にインフラ整備がまだまだのベトナムでは、幹線とも言える2大都市を結ぶ統一鉄道(Ha Noi~Sai Gon)でも単線非電化、日本の亜幹線並と言っても過言ではない状況です。

鉄道総延長も営業距離2600㎞程度ですので、統一鉄道だけで路線長の過半数を占める状況になっていますが、MAKIKYUが今夏ベトナムを訪問した際には、統一鉄道以外にHa Noi~Lao Cai、Ha Noi~Hai Phong、Ha Noi(Gia Lam)~Dong Dangの路線にも乗車しています。

その中でもHa Noi~Lao Caiの路線は約300㎞程度、Lao Caiは中国雲南省・河口と接する国境の街で、MAKIKYUがベトナムに初入国した際も昆明→河口→Lao Cai→Ha Noiと移動したものでした。

線路は中国・昆明までつながっているものの、メーターゲージ(軌道幅1000㎜)の路線は中国側の旅客営業が昆明近郊以外は休止状態となっており、現在昆明~河口北(河口の街外れにある新駅)間は標準軌(軌道幅1435㎜)の旅客列車が近年営業開始した新線を走る状況ですので、過去には昆明~Ha Noiの直通列車も存在したものの、現在は河口・Lao Caiでの乗継が必要になっています。

河口は河口北駅と国境が少々離れており、タクシーなどで15分程度の距離(市内路線バスも列車接続便が少数運行)ですが、Lau Caiは国境と駅の間も徒歩20分強、タクシーに乗りたいと思うなら探すまでもなく客引きが近づいてくる程ですので、国境~駅の移動は比較的容易です。


このLao CaiとHa Noiの間は統一鉄道などに比べると曲線が多く、線形が芳しくない事もあってか9時間以上を要し、昼間の列車は1往復のみ、他に寝台車も併結した夜行列車も運行しています。

 
MAKIKYUはLao Cai駅で当日Lao Cai発の昼行列車乗車券を発車2時間前に購入、この列車はソフトシート(中国の軟座などに相当)が1両、他は全てハードシート(中国の硬座などに相当)となっており、ソフトシートでも日本の物価から見れば割安ですが、1両しかなく満席との事でハードシートに乗車したものでした。


ハードシートは名前の通りで座席は硬い木のベンチ、日本の普通車と同じ感覚で乗れる車両とは言い難いどころか、悪評名高い中国の硬座車をも凌ぐ劣悪な設備を誇る車両です。

このハードシートも冷房車と非冷房車の2種類が存在、両者で料金も異なり、Lao Cai~Ha Noi間列車のハードシート車は全て非冷房車ですので、ハードシートの中でも特にハードな旅が約束されていると言っても過言ではない状況です。


非冷房車の旅だと、窓が開けられ車窓を眺めたり撮影できるのがせめてもの救い…と言いたい所ですが、ベトナム国鉄の非冷房車では日本の国鉄が北海道向け装備として採用していた二重窓を連想するアクリル製の内窓(穴開き)が設置されています。

走行中この内窓を開けて外の風に吹かれていると、時折車内を巡回する乗務員から内窓を閉める様に注意されますので、外の車窓を眺めて撮影するにも冷房車の方がマシと言っても過言ではなく、ハードシート非冷房車は安い事だけが取り柄の座席と言っても過言ではないとも感じたものでした。

Lao Cai~Ha Noiでは連結車両編成の関係で止む無くハードシート非冷房車に乗車したものの、昼行列車でも9時間強の乗車はかなり疲れると感じ、夜行なら絶対勘弁願いたい代物(それでもHa Noi~Ho Chi Minhを航空機で移動するよりはまだマシな気もしますが…)と感じたものでした。


またHa Noi~Hai Phongの路線と統一鉄道の一部区間(Ha Noi~Yen Trung)では、ソフトシート(冷房車)に乗車。


こちらはビニール張りのリクライニングシートが並び、座席回転ができず約半分の座席が進行方向と逆向きになる難点はあるものの、それ以外は日本の特急普通車辺りと大差ない居住性を誇る車両と感じたものでした。

 
車両によっては、内装に木を用いたレトロな雰囲気の車両もあるなど、幾つかのバリエーションが存在しているものの、設備的には中国の軟座に比べると車両格差は小さい様に見受けられ、居住性もハードシートとは雲泥の差と感じたものです。

そのためソフトシート連結列車で空席があるならば、隣駅までの乗車などの短距離移動以外では是非こちらを…と感じたものでした。


この他に旅客列車として運行している姿は見なかったものの、幾つかの駅で2階建て客車が留置されている姿も目撃しており、こちらの存在も気になったものでした。

また冒頭でも触れたHa Noi(Gia Lam)~Dong Dangの路線は中国国境に至る路線、中国(南寧)との間を結ぶ国際列車に乗車していますが、こちらに関しては近日中に別記事で追って公開したいと思います。


ベトナム統一鉄道~南北の大都市を結ぶ大動脈

2018-02-04 | 鉄道[その他海外]

「MAKIKYUのページ」では先日、ベトナムの2大都市・ホーチミンとハノイの市内や近郊を走る路線バスに関して何度か取り上げており、この2大都市間は都市間バスの運行も存在します。

しかしながらMAKIKYUが昨夏ベトナムに足を運んだ際には、この2都市間の移動で都市間バス(寝台バス)ではなく鉄道(列車)を利用しており、この鉄道が一時期南北に分断されていたベトナムの南北を結ぶ大動脈・ベトナム統一鉄道です。
(ホーチミン~ハノイ間は列車とバス以外に国内線航空便も多数存在していますが、個人的には選択肢の対象外です)

ベトナムの鉄道はインドシナ標準軌とも言われる軌道幅1000㎜(通称メーターゲージ)が大半を占め、ハノイ市内~中国国境までの間などでは標準軌(軌道幅1435㎜)の車両も入線可能な3線区間も存在していますが、各路線共に単線・非電化となっています。

貨物列車も多数運行、また旅客列車は専ら中長距離客向けながらの区間列車も存在するため、2大都市の基幹駅・Sai Gon~Ha Noi間を結ぶ列車は5往復のみの設定となっており、1700㎞強の距離を最速30時間弱で結んでいます。

2大都市間を結ぶ列車は、1往復を除きSEと呼ばれる最優等種別で、MAKIKYUがSai Gon~Ha Noiで乗車した列車もSEですが、全区間乗車だけでなく途中駅で乗降する乗客も多い事もあり、2種類の寝台車(ソフトベッド・ハードベッド)と2種類の座席車(ソフトシート・ハードシート)が混結された長編成となっています。

 
MAKIKYUが乗車したSEの牽引機も、最初は「DOI MOI」という表記がベトナムらしいと感じる角張った形状のディーゼル機関車が牽引していたものの、運行距離が長い事もあってか途中で機関車交代もあり、もう少し新し目で丸っこい形状のディーゼル機関車に交代していました。

乗車した客車はベトナム国鉄の中では最上級のソフトベッド、中国の軟臥とほぼ同等の車両で、格付けとしては日本のA寝台に近いものの、設備的には中国の軟臥と同様に2段式の開放室B寝台と同レベルと言った車両です。


外観は青と赤のツートンカラー、ベトナム国鉄の客車は各等級共にこの塗装ばかりで、外観は余り綺麗とは言い難い印象。

 
ただ車内は綺麗に整備されており、荒廃が進んだ日本の客車寝台末期よりは状態も良好と感じたものでした。


ベトナム国鉄の乗車券はレシート上の感熱紙、券面にQRコードが印刷されているのが大きな特徴で、韓国KORAILの窓口発券乗車券とよく似た雰囲気と感じたものです。

Sai Gon~Ha Noiのソフトベッド上段乗車券は1251000VND、数字の単位がかなり大きいベトナムドンだけあって凄まじい数字と感じますが、日本円に換算すると6200円強となります。

ベトナムの物価を考慮すると決して安いとは言い難いものの、JRならB寝台の寝台料金だけでも6480円かそれ以上を要しますので、定期列車1列車の乗車だと日本では経験できない距離を移動する事も考慮すると、列車で移動できる余裕があるなら是非…と感じたものです。

単線非電化である事に加え、メーターゲージという規格も影響してか、2大都市間を結ぶベトナムの大動脈とも言える統一鉄道でも、日本の亜幹線に近い雰囲気が漂っていると感じたものです。


途中駅もコンパクトな構造で簡素な駅が多く、跨線橋がなく線路上を横断して列車に乗車する事もしばしば、同じ社会主義国でも隣国・中華人民共和国の大規模な駅設備などとは雰囲気も大違いと感じたものです。

 
車窓は南国ならではの農村風景をはじめ、日本の田舎とよく似た田園風景などが拡がる区間も多く存在。


2大都市のほぼ中間辺りに位置するダナンを出発し、少しハノイ方面(北方)に進んだ山越えの区間は、旧曲線の続く勾配線をゆっくりと運行。


この区間では眼下のオーシャンビューも絶景でしたが、しかしながら2大都市間を結ぶ列車も時間帯によってはこの区間を夜間帯に通過しますので、もし旅程を調整できるならこの区間の車窓を眺める事が出来る列車に乗車した方が…と感じたものでした。


またMAKIKYUが乗車した列車は車中2泊の長丁場、他にも長時間乗車の乗客が多数いる事もあり、車販弁当や乗務員の食事供給も兼ねた食堂車も1両連結されています。


2日目の夕食は食堂車を利用、メニューは限られており利用時に注文できた食事類は定食1種類のみでしたが、この定食は40000VND(約200円)と割安で、さっぱりとした味付けのおかずやスープなども悪くないと感じたものでした。
(飲物は別料金・またメニュー表にはフォーなどの表記もありました)


車内では食堂車だけでなく、2日目の昼食でワゴン巡回販売も利用したものでしたが、こちらもVND40000で内容的には食堂車内の定食と大差なく、学校給食を連想するトレー(食後に係員が回収)に盛り付けての提供が印象的でした。


車内販売では食事類以外にも菓子類やデザート、飲料などの販売も随時実施しており、朝食時間帯にはアイスコーヒー(VND15000)も購入したものでしたが、こちらは注文時にコーヒーの注入量が少なくこれしか…と思ったものの、今までに飲んだ事がないと言っても良い程濃厚で氷が少し解けるまで飲むのに難儀する程、コーヒーの本場だけあると感じたものでした。

ベトナムでは統一鉄道のSE寝台車以外にローカル列車の座席車にも何度か乗車しており、こちらに関しても近日中に別記事で追って取り上げたいと思います。


カンボジアを走る鉄道・ROYAL RAILWAY(3)~列車からの車窓とタケオ駅

2017-10-09 | 鉄道[その他海外]

先日「MAKIKYUのページ」では、ROYAL RAILWAYで活躍する車両に関して取り上げましたが、今日はその続編でプノンペン駅から乗車した列車からの車窓と、列車を下車したタケオ駅に関して取り上げたいと思います。
(タケオ→プノンペンの復路も同一経路ですが、乗車時間が夜間帯になりますので、車窓写真は全て往路乗車中のものになります)


プノンペン駅を出発した列車は、出発すると程なく車窓左手に車両基地が見え、ここには何両かの客車の姿が見えてきますが、車両基地に留置されている客車は、MAKIKYUが乗車した列車の様に綺麗に整備された車両ではなく、ボロボロに朽ち果てて外板に穴が空いた車両ばかり。

Wikipediaに掲載されている凄まじい記述も、この車両を用いて運行していたなら…と感じる程の代物でした。


日本のに搬入され、解体待ちとなっている除籍車両の方が格段にマシと感じる程で、整備して使う事もまず無理だろうと思われる状況でしたが、中には外板の穴が空いた部分に洗濯物を吊るしている光景も見られたものでした。


車両基地を過ぎると、暫くはプノンペンの市街地を走りますが、線路脇に立ち並ぶ住宅はスラムと言っても過言ではない、台風でも襲来したら倒壊するのでは…と感じるボロボロの家も多く見受けられたものでした。


家屋の前を通る道路も舗装されておらず、ぬかるんで所々に水たまりができていたり、砂埃が舞いあがっている所も少なくない状況。


中国程顕著ではないものの、新たな建物などを建造している姿も多数見受けられ、タイやベトナムなどの近隣諸国に比べても、カンボジアはまだまだ発展途上である事を強く実感させられる状況でした。


プノンペンの市街地を抜けると、田園風景などが拡がる平野を走り、急勾配や急曲線などはなく線形も悪くない気がしましたが、軌道状態は余り良くないのか速度はさほど上がらない状況。


プノンペン~タケオは路線図上では隣駅ながら、途中には幾つかの信号所も設置されており、途中では貨物列車とも交換、その際には一旦信号所の手前で暫く停車した後にゆっくりと信号所に入線する状況。

クルージング感覚でゆっくりと車窓を眺める事が目的なら悪くない気もしますが、75㎞程度の距離で途中停車駅がないにも関わらず、所要時間が2時間以上を要しており、貨物列車を先に信号所に入線させた後、減速なしで信号所を通過できるようになるだけでも、旅客列車の輸送改善に大きく貢献するのでは…とも感じたものでした。


そして日が暮れる頃にタケオ駅に到着、MAKIKYUはここで列車を下車し2時間後のプノンペン行を待ちます。

プノンペンを午後に出発する列車に乗車し、当日中に列車でプノンペンへ戻れるのはダイヤの関係で日曜日だけですので、列車乗車目的でタケオ駅に滞在する事を考える人物は他にもいるのかどうか気になったものでしたが、MAKIKYUの乗車日はアメリカからの旅行者で同じ事を考えて実行した人物を1名見かけたものでした。


タケオ駅では10分程の停車時間があり、列車乗客向けに飲料水の販売なども行っていましたが、駅周辺は閑散とした農村と言う雰囲気で、駅舎に隣接して住居兼商店が1件あるほかは、食堂などは見当たらない状況でした。


地理不案内な土地で周囲も電灯が少なく暗い事もあり、駅から離れて独り歩きするのは…とも感じ、駅舎隣接の住居兼商店でカップラーメンと飲み物を購入、商店でカップラーメンにお湯を入れてもらい夕食に。

このカップラーメンはタイからの輸入品でピリ辛、商店内で売られている菓子類などもタイからの輸入品が過半数と見受けられる状況でした。


夕食を済ませた後も列車の入線時刻まで1時間以上あり、商店兼住居の住居部分も少し見せて頂き、許可を得て内部も数枚撮影しましたが、建物はコンクリートの床に角材で構成した骨組、そして骨組にトタン板を張り付けだけの簡素なもので、家屋内には幾つものハンモックが見受けられる状況でした。

当然ながら空調もなく、この簡素な住宅で指の数以上の人数が生活しているというのは、今日の日本ではまず考えられない事で、ここで生活するのは容易ではないな…とも感じたものでした。

そして列車の入線時刻が近づくと、駅舎内に鉄道係員が現れて乗車券販売などを行うものの、所定時刻を過ぎても列車が来る気配はない状況。

また係員が乗車券販売を行っているデスク上には、韓国語のテキストが置かれており、韓国語が話せるのか否かを片言の英語で尋ねたら、別の係員を指さし、この係員に尋ねたら「勉強中で少しできる」との事。

漢字が書かれたノートも見せ、中国語も少しできるという事で、この係員に「火車晩点?」と尋ねたら通じず、「열차지연(列車遅延)?」と書いたメモを見せたら「1hour」との回答。

そこで片言の韓国語を用い、以前韓国を旅行した際の写真などを見せながら遅れている列車を待つ状況でしたが、この係員は母国語(クメール語)ではなく英語を用いて韓国語や中国語を勉強している様で、日本ではこの様な駅係員はまずいないだろうな…と思うと、かなり勉強熱心な人物とも感じたものでした。

またタケオ駅駅係員だけでなく、駅舎兼商店に在住の小学校高学年位に見える子供も、中国語を勉強しているとの事で多少の漢字筆談が出来る状況で、タケオで漢字やハングルが通用するとは思っていなかっただけにビックリでしたが、どちらも日本語はできないとの事でした。
(プノンペンの日系ホテルでもフロントに日本語が出来る人物がいない事が多い状況でしたので、カンボジアでは英語はある程度通用するものの、日本語が通用する事は非常に稀です)

カンボジアでは滞在日数も数日程度、列車乗車以外は体調を崩し発熱してホテル内で休んでいた状況でしたので、記事として取り上げられる事は余り多くないですが、都市間移動の基幹交通として多数運行している長距離バスに乗車する機会もありましたので、機会があればこちらも今後取り上げたいと思います。


カンボジアを走る鉄道・ROYAL RAILWAY(2)~旅客列車内外の様子

2017-10-04 | 鉄道[その他海外]


先日「MAKIKYUのページ」では、カンボジアを走る鉄道・ROYAL RAILWAYに関する記事を公開しましたが、今日は続編として旅客列車内外の様子を取り上げたいと思います。

カンボジアは一時期鉄道運行自体が全面休止となり、今日でも旅客列車の運行区間や運転本数が限られている事もあってか、ネット上での情報発信なども少ないのが現状です。

特に日本語では数少ない情報源の一つとなっているWikipediaでも、軌道状況や使用車両、沿線治安など様々な面で凄まじい内容の記述が幾つも見られ、「現地のクメール語を理解できなければ利用は困難」という記述まで見受けられる程です。

しかしながらMAKIKYUがROYAL RAILWAYを利用した際には、プノンペン駅窓口では簡単な英語が通用し、タケオ駅に至っては韓国語や中国語も独学で勉強している駅員が居り、片言の韓国語と筆談でやり取りする事も可能な状況でしたので、旅客営業休止前の惨状を記していると思われるWikipediaの記載などとは情勢も大きく変化していると思われます。

たまたま旅客列車運行日にプノンペンに滞在していた事もあるとはいえ、クメール語は文字の解読すらできず、カンボジア訪問自体が初めてのMAKIKYUでも、単独で乗車券を購入して乗車できる位でしたので、その気になれば現在は外国人旅行者でも比較的容易に利用できる鉄道なのでは…と感じ、MAKIKYUの乗車時には地元民(カンボジア人)だけでなくアメリカからの旅行者なども見受けられる状況でした。

旅客営業で使用している車両も、非電化路線だけにディーゼル機関車牽引の客車列車となっており、客車も新型車両を導入している訳ではないものの、大々的な改装を行い空調も完備されているなど、ベトナム国鉄のハードシートやタイ国鉄の3等車などに比べれば遥かに快適と感じたものです。

MAKIKYUが乗車したプノンペン→タケオ(→シアヌークビル)の旅客列車の編成をシアヌークビル方から順に取り上げると、以下の通りとなります。

機関車・BB1051

オレンジ色・箱型のディーゼル機関車でフランス製。
車体塗装は日本で数少ないナローゲージ(軌道幅762㎜)&機関車牽引による客車列車運行を行っている黒部峡谷鉄道の電気機関車を連想する雰囲気。

客車1号車・ZZFF802
 
元々は気動車だった車両の動力装置を外し、客車化したと推測される車両。
車内の座席はロングシート。

客車2号車・BZAFF66
 
5両編成の客車で唯一のクロスシート車。
背の低いボックス席が並んでおり、MAKIKYUの乗車時は乗客が少ない事もあってか、1号車と共に冷房が入っていない状況でした。

客車3号車・AZAFF84
 
他のロングシート車よりもやや簡素な印象の車内が特徴。

客車4号車・BZAFF61
 
ロングシートの客室以外にコンパートメントタイプの個室(?)も備えているものの、個室は鍵がかかっており使用できない状況でした。

客車5号車・ZZ801

1号車と同様に元々は気動車だった車両の動力装置を外し、客車化したと推測される車両。
車内客室の床に段差があるのが特徴で、車端部分は旅客立入禁止の業務用区画。

客車5号車の後部に有蓋貨車・GGIL893
 
貨車内には発電機が設置され、バイクなどの小荷物輸送と発電車を兼ねている状況。
発電機の中には日本語表記が見受けられるものも存在。

有蓋貨車の後部に無蓋車載車を2両連結

プノンペン駅に入線した列車(シアヌークビル朝発)では何台かの自家用車を積載していたものの、MAKIKYUが乗車した列車ではトラクターとトゥクトゥクが各1台積載されるのみで、MAKIKYUの乗車列車に限れば車載車は1両でも充分と感じた程。


カンボジアのトゥクトゥクは原付の後部に客車(荷台)を後付したタイプが主流、トゥクトゥクはプノンペン市内でもタクシーとした多数走っている他、荷物輸送で使われる事も多く、車載車に積載されたトゥクトゥク(写真)もかなりの荷物を搭載。

※客車5両は全て家庭用と思われる冷房装置の室外機が床下に装備され、車内も家庭用と思われる冷房装置が何台か設置。

客車は全て青と白の塗装で統一されており、車両間の連結はねじ式連結器を使用。


バッファーは片側一つだけとなっており、幌は韓国や中国など海外では一般的なゴム筒を突き合わせたもの。

客車の両先頭車は元々の気動車だった車両と推測される車両故に、前面は両車両共に片側が湘南型の2枚窓。

ライトを潰した痕跡がある他、前面もガラスを塗装したり網が入っているなど、車内から車外を見渡すのは…と言う状況。

また(シアヌークビル→)タケオ→プノンペンで乗車した旅客列車は、乗車時間が夜間帯と言う事もあって写真も数枚しか撮影できていないものの、こちらも編成はディーゼル機関車+発電車兼用有蓋貨車+客車+車載車の編成で、機関車はシアヌークビル行列車と同型の番号違い。


客車は元々気動車だった車両の動力を外したと推測される車両が2両背中合わせ、こちらも塗装は青と白でプノンペン方車両の番号はZZ803。


車内の座席はZZ803がボックス席、もう1両のシアヌークビル方車両は転換式クロスシートでした。


この他にもプノンペン駅には見るからに古めかしい風貌の車体で、車端幌上に冷房装置の室外機を設置した客車1両(VRSVFF24)と、発電車兼用と推測される有蓋貨車1両の姿も目撃しています。

そのため2017年8月時点で稼働可能な旅客用客車は、最低でも8両以上存在している事になります。

今後運転日や本数の増大、バッタンバン・ポイペト方面路線復旧などの動きがあれば、新造か中古導入などによる所要車両数増も考えられ、現状の運行形態が何時まで続くのかも気になったものでした。

列車乗車中の車窓やタケオ駅の様子などに関しては、近日中に別記事で追って取り上げたいと思います。


カンボジアを走る鉄道・ROYAL RAILWAY(1)~プノンペン駅と列車乗車券

2017-09-29 | 鉄道[その他海外]

7月~8月にかけてシンガポールまで足を運んだ際には、日本~中国間の国際航路(フェリー)以外はずっと陸路で移動した事もあり、先日「MAKIKYUのページ」で取り上げた香港以外にも色々な所に立ち寄っています。

その一つが「カンボジア王国」で、MAKIKYUが今夏初訪問した東南アジア6か国(5か国はベトナム・ラオス・タイ・マレーシア・シンガポール)の中では、個人で訪問する際の旅行難易度は最も高いのでは…と感じたものでした。

カンボジアは内戦などが続いた事もあり、東南アジアの中でも経済水準などは芳しいとは言い難く、また国内各地に今でも地雷などが多数埋まっている事なども影響してか、インフラ整備もまだまだこれから…と言う状況です。

国内の交通機関も決して発達しているとは言い難く、鉄道(ROYAL RAILWAY)2路線が存在するのみとなっています。

一時期カンボジアの鉄道は、タイ国境の街・ポイペト~首都・プノンペン間を結ぶ路線(385)と、首都・プノンペン~カンボジア唯一の国際港湾を持つ港町・シアヌークビルの間を結ぶ路線(263)2路線双方が運行休止している程でしたが、後者は改修工事が行われ2013年に運行再開、前者も復旧に向けた工事が現在行われている状況です。

現在運行している路線はプノンペン~シアヌークビルの1路線のみでメーターゲージ(軌道幅1000)の単線非電化、貨物輸送が主体となっており、旅客列車は昨年運行再開したばかりですが、旅客列車の運行は週末のみとなっています。


旅客列車の運行内容は…
・金曜日は午後プノンペン発→シアヌークビル行1
・土曜日は朝プノンペン発→シアヌークビル行と朝シアヌークビル発→プノンペン行が各1(合計1往復2)
・日曜日は朝と午後にプノンペン発→シアヌークビル行とシアヌークビル発→プノンペン行が各1(合計2往復4)
・月曜日は朝シアヌークビル発→プノンペン行1
となっており、プノンペン・シアヌークビルのどちらからも、日帰りで往復乗車できるのは日曜日のみとなっています。

それどころか週中の火~木曜日は祝日などがある場合を除くと、原則として旅客列車の運転は皆無ですので、ふらりとカンボジアを訪問し列車に乗ってみようと思っても、訪問日次第では列車運転が皆無という事もあり、乗り潰しが難しい鉄道の一つとも言えます。
(
列車乗車への拘りがなければ、プノンペン~シアヌークビル間を多数の都市間バスが走っていますので、両都市間の移動自体は週中でも無問題です)

ちなみにMAKIKYUがカンボジアへ足を運んだ際には、体調不良で発熱し昼過ぎまでホテルで休んでいる日も…という有様でしたが、丁度滞在日に旅客列車が2往復している日曜日が含まれていました。


日曜日午後には体調は万全とは言い難いものの、列車に乗れるか否かは別として、せめて列車の姿を見て撮影する位は…という事でプノンペン駅へ足を運んだものでした。

 
プノンペン駅は一応首都の玄関駅ながら、旅客列車の発着本数は僅少と言う事もあってホームは島式12線のみ、駅舎内やホームなどは閑散としている状況でした。


側線が何本もあるのが大きな特徴で、また駅構内に静態保存されている蒸気機関車
(SL)の姿などもありました。


また駅の乗車券発売窓口で夕方発の列車に途中まで乗車し、折返しの列車でプノンペンへ戻れるか否かを、簡単な英単語を並べたメモを差し出して尋ねたら、途中のタケオ駅(プノンペンから75)までの乗車なら当日中のプノンペン帰還も大丈夫、空席もあるとの事で、プノンペン~タケオの往復分で乗車券を購入したものでした。


発券された乗車券は発券枚数が少ない事もあってか手書発券、独自通貨(Riel)と共に米ドルが流通している国柄も影響してか、乗車券購入時も米ドルを使用し額面も米ドル表記となっており、駅名表記がプノンペン→PP/タケオ→TKと略称表記されているのも大きな特徴と感じたものでした。

 
乗車券購入後は発車まで1時間以上待ち時間があった事もあり、駅のすぐ向かいにあるガソリンスタンドに併設された、エアコンの効いたベーカリーショップ(値段はカンボジアの物価を考慮するとやや高めの印象)でおやつタイムに。


そして発車20分前位になって乗車扱い開始(駅構内での改札はなし)となり、列車に乗り込みましたが、列車内や乗車中の様子などに関しては、近日中に別記事にて追って取り上げたいと思います。