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MAKIKYUの公共交通を主体とした気紛れなページ。
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DBSクルーズフェリー~日韓露3ヵ国を結ぶ国際航路

2020-04-01 | 船舶[海外関連]

今年に入ってから中国湖北省を中心に新型コロナウイルスによる肺炎が蔓延、その後世界各地に拡がり、現在外国人の入国制限や入国後の一定期間隔離措置(これは国によっては内国人の場合も)を行う国が多数発生しています。

今年開催予定だった東京オリンピックの延期も決まり、外務省も渡航中止勧告発令国・地域を除く海外全てを対象に渡航自粛勧告を出すなど、非常事態と言っても過言ではない状況になっています。

現在の世相では不要不急の海外旅行はとても…という状況で、日本発着の定期旅客航路(フェリー・高速船)も政府要請により全て運休もしくは貨物のみの輸送になるなど、戦時中を除くと前代未聞の状況になっています。

四方を海に囲まれ、異国との間を結ぶ橋やトンネルもない島国の日本におり、空を飛ぶのも嫌となると、海外へ足を運ぶ際に利用する交通手段は船一択となりますので、現状では海外旅行は不可能に等しい状況とも感じています。

ちなみに日本発着の国際航路は、MAKIKYUは日韓航路と日中航路は共に何度も利用していますが、平時なら韓国・中国と共に定期航路で直接行けるロシアは「近くて遠い国」という印象が否めず、昨夏ようやく初めて足を運んだものでした。


その際には日韓露3ヵ国を結ぶ国際航路「DBSクルーズフェリー」を利用したものでしたが、この船は韓国の船会社が日本の国内航路で使用していたフェリーを中古購入、改装して運航しています。

日本は境港(鳥取県)、韓国は東海(江原道)、ロシアはウラジオストク(沿海州)という、どれも国の中では核心となる大都市やその近郊ではない地方都市同士を結んでおり、日韓両国在住者でも近隣住民以外だと境港や東海から異国へ向かう国際航路が出航している事を知らない人物も少なくないのでは…と感じます。

日韓、日露、韓露どの組み合わせでも乗船可能で、日露間を乗船する場合は東海(韓国)で一時下船する事も可能ですが、日本在住の日本国籍保有者がDBSクルーズフェリーに乗船する場合、日韓間か日露間での利用が大半を占める事になると思います。

ちなみにMAKIKYUが昨夏DBSクルーズフェリーに乗船した際は、日韓間を別航路で移動した後に韓国内を陸路移動、東海→ウラジオストク(韓露間)で乗船したものでした。

韓露間の利用でも境港の事務所に日本語を用いて電話予約する事ができ、この点は日本語が通じない事もある韓中航路の船会社への予約に比べると、かなりラクと感じたものでした。


そして乗船当日東海港に出向き、ターミナル内にて韓国ウォン払いで乗船券(写真)を購入して乗船しましたが、日本人のロシア入国にはビザ(ウラジオストクと近隣の短期滞在なら電子ビザでも可:現在ロシアは外国人旅行者の入国停止中)が必要なため、乗船券売場の係員にビザ提示も求められたものでした。
(平時なら韓国国籍保有者のロシア入国は、観光目的での短期滞在ならビザ不要となっていますが、逆に中国は日本国籍保有者と異なりビザが必要です)

MAKIKYUが韓国の出航地となる東海へアクセスする際には、市外バスを利用したものでしたが、バスターミナルは港から結構離れており、市内バスで30分程度を要しますので、日本の地方路線バスの様にどこまで運賃が上がるのか…という心配はないものの、バス利用時の移動は余裕を持った方が良いと思います。

一方韓国では脇役的存在となる事が多い鉄道は、東海駅から徒歩で港まで10分程度、市内バスもそこそこ走っていますので、韓国に不慣れな旅行者(特にハングルが読めない場合)が東海から乗船する場合は、東海まで鉄道利用でアクセスした方が無難なのでは…と感じたものでした。

 
東海港周辺は閑散とした印象で、韓中航路が多数発着し、港周辺に多数の店舗も存在する仁川港周辺などとは随分雰囲気が異なりますが、港の入口近くにコンビニ(GS25)が一店あり、飲料や弁当、菓子類程度の調達は可能ですので、飲食物を調達せずに港まで行った場合や、日露間移動で途中下船する際などには、このコンビニはかなり重宝すると感じたものでした。


またDBSクルーズフェリーは船内Wifiがなく、それどころかコンセントすら封印されている有様ですので、スマホやタブレットなどを用いてのネット環境に関しては最悪と言っても過言ではない状況でした。

しかしながら東海港のターミナル内はフリーWifiもあり、日露間利用者でも一旦東海で途中下船し、ターミナル内でネットにアクセスする乗客の姿も多数見受けられたものでした。

 
韓国出国手続きを済ませて船内に入ると、日本の中古船だけあり、余り綺麗な船と言う印象ではないものの、船内に免税店があるのは国際航路らしい所で、日本の鳥取県特産品展示コーナーがあったのも特徴的と感じたものでした。

船内での飲食は、MAKIKYUは乗船前に予め購入していた弁当や菓子パンなどを食したため、レストランなどは利用していませんが、値段は割高(日本円で一食4桁)ながら船内でも食事提供がありますので、食料調達なしで乗船しても飢える事がない辺りは、近年日本で増えているカジュアルフェリー(自販機による軽食提供あり)や長距離列車(予め食料を調達する様に案内)などに比べるとマシと言えます。


船室は上等級の個室から、カーペット敷大部屋(写真)での雑魚寝まで色々。


MAKIKYUはその中でも大部屋の中に2段ベッドが多数設置された船室(運賃はカーペット式大部屋より少し高い程度)を利用したものでしたが、設備内容を考慮すると、運賃設定は決して安くないという印象を持ったものでした。


東海出航後しばらくすると、Wifiも使えない環境で陸地から離れた海域を航行する事もあり、デッキに出て海風に当たりながら、菓子などをつまむか、居合わせた他の乗客と会話を交わす程度しかやる事がない状況でしたが、日本から乗船した乗客の中には、ロシアに自分の車両(自家用車・バイク)を持ち込み、ロシアで運転できるという理由でフェリーに乗船している乗客もおり、この点は国際免許で自分の車を持ち込んで運転する事が叶わない中国とは大違いと感じたものでした。


デッキの注意書きを見ると、韓露日英4か国語による案内が見受けられる辺りは、日韓露3国を結ぶ船らしいと感じたもので、船内係員の中には日本語を解する人物もいたものの、日本発着の他航路に比べると日本語通用率は低く、海外旅行初心者が単独で乗船するとなると、多少難儀するかも…とも感じたものでした。


そして翌日、昼前には船内から初めて足を運ぶウラジオストクの街並みが見えたものの、それからはかなりゆっくりとした速度でタグボートに案内されながら入港。

 
洋風の建物が立ち並ぶ街並みは、「日本から一番近いヨーロッパ」と言われるだけあると感じたものですが、港内を航行する時間が結構長い事に加え、入港後も入国手続きを済ませロシア入国となるまで結構な時間を要しましたので、この点は今後改善余地ありなのでは…とも感じたものでした。


ちなみにウラジオストク港はウラジオストク駅のすぐ裏手、市内中心部にも徒歩で移動可能な距離にあり、駅前や駅周辺からは市内各地へ向かう路線バスが頻発する他、駅周辺には銀行も複数ありますので、ロシア通貨(ルーブル)を持たずにロシア入りしても、両替にはさほど難儀しないなど、港の立地は非常に良いと感じたものでした。

運賃設定や設備面では難ありの印象が否めず、今後の改善に期待したい部分も多々あるものの、航空機を使わずにロシアへ行ける貴重な旅客航路だけあり、今後の運航再開を願うばかりで、再びロシアへ足を運ぶ機会があれば、また利用しても…とも感じたものでした。

また昨夏ウラジオストク入国後にロシア国内で乗車した交通機関などに関しても、その内追って取り上げる事ができれば…と思います。


関釜フェリー「はまゆう」~関釜航路で活躍する日本船

2019-09-16 | 船舶[海外関連]

今年の夏休みは長期休暇を利用して国内、または海外へ行かれた方も少なくないと思いますが、MAKIKYUもJRの格安乗車券「青春18きっぷ」で西日本方面へ向かった後、下関港から出航する国際航路で韓国へ出国したものでした。

下関港は以前青島(中国)へ向かう国際航路も出航、これも一度だけ乗船した事がありますが、この航路は休航(実質廃止)となっており、現在下関港の国際ターミナルを発着する旅客航路は釜山との間を結ぶ1航路のみとなっています。

下関~釜山間を結ぶ国際航路は1970年に就航、幾つも存在する日韓航路の中でも老舗の航路となっており、1983年以降は韓国側法人(釜関フェリー)と隔日運行、ドッグ期間以外は毎日就航が実現し、この運行形態が現在まで続いています。

MAKIKYUは以前釜関フェリー「星希」には一度乗船した事があったものの、日本側法人の関釜フェリー就航船「はまゆう」は釜山港などで姿を見るだけ…という状況が永年続いていました。

 
しかし今夏初めて「はまゆう」に乗船する機会があり、ようやく関釜フェリーで就航する2隻双方への乗船達成となりました。
(写真は釜山港停泊中の「はまゆう」と、船内に飾られていた「はまゆう」の模型です)

また関釜フェリーは近年、青春18きっぷ利用者向けに有効期間内の青春18きっぷ提示で2等運賃の割引キャンペーンを実施する事が定例化していますが、今夏はこれに加えて上等級船室でもキャンペーン価格で大幅割引を実施していましたので、MAKIKYUは青春18きっぷ提示とは別の割引を利用、青春18きっぷ提示では割引とならない上等級の船室を利用したものでした。

 
MAKIKYUが利用した船室は1等船室、2段ベッドが設けられ、部屋内にはトイレやシャワーなどもある2人部屋。


洗面用具一式やティーバッグなども用意されており、ホテルさながらと言う雰囲気でした。

食料も夕食用の弁当と翌朝分の菓子パン、これに加えて飲物も数本持参したお陰で、一旦船室に入った後は翌朝の釜山港到着まで船室から出なくても…という状況で、設備面での難点は船内にWifiがない事位と感じたものでした。

関釜フェリーでは1等船室の相部屋利用はできないため、単独利用で追加料金発生となりましたが、それでも片道8250円というキャンペーン価格は移動+宿泊費と捉えるなら、設備の割には値頃感があると感じたものでした。


ただ下関港でのターミナル使用料や燃料サーチャージは致し方ないとしても、今年創設され初めて支払う事になった「国際観光旅客税」も加わる事で、せっかくのキャンペーン価格適用にも関わらず運賃以外の諸経費を合わせると10000円超。

国際旅客観光税だけで支払金額の1割程度になってしまうのは…とも感じたもので、航空機のファーストクラスで欧米などへ出国する人物にとっては微々たる金額かと思いますが、船で200㎞程度の距離を移動するだけでもこんな費用が嵩むのは…とも感じたものでした。

また先月は半分以上を海外で過ごす状況でしたが、今後も今夏の旅行に関連した記事をボチボチ取り上げて行きたいと思いますので、引き続きアクセス頂けると幸いです。


惜別・オリエントフェリー「ゆうとぴあ」(3)~食事編

2016-01-07 | 船舶[海外関連]


先月「MAKIKYUのページ」で取り上げた山口県・下関~中国山東省・青島間を結ぶオリエントフェリー「ゆうとぴあ」は長時間航海となる事もあり、船内には食堂(レストラン)も設けられていました。
(長時間乗船となる航路では、食堂位はあって当然と感じる方も居られると思いますが、北海道から車両航走の関係で大洗まで乗船した知人が、「船内は自販機程度で食堂もない酷い船だった」とぼやいていた事があり、MAKIKYUが乗船したフェリーでもマルエーフェリー「琉球エキスプレス」(以前取り上げたブログ記事をご覧になりたい方は、こちらをクリックして下さい)の様に、全区間乗船だと「ゆうとぴあ」以上の乗船時間・距離の航路でも同様の状況、通称「カジュアルフェリー」と言われる船が幾つか存在します)

船内の食事は朝食が無料となっているのは、関西~上海間を結ぶ日中航路「新鑑真」「蘇州號」と同様ですが、朝食時間が指定されており、寝坊すると無料朝食にありつけなくなるのも同様ですので要注意です。


朝食の内容は饅頭やお粥、油条(揚げパン)など、中国のホテル朝食バイキングでよく見かけるメニューが主体、定食ではなくバイキング形式で好きなだけ食べられるのは嬉しいですが、油条は途中でなくなり補充なしという事もありましたので、「早起きは三文の得」と言っても過言ではない状況です。


1度だけ和朝食らしきものが出た事もありましたが、これは味噌汁の味などは…と感じるもので、中華式朝食に比べるとイマイチな感が否めない気がしたものでした。

昼食と夕食は自動販売機で食券を購入して注文する方式、通用するのは日本円(JPY)のみで人民元(RMB)使用不可なのは要注意ですが、食券販売機の調子が悪くて「販売中止」ランプが点灯、食堂の船員に現金手渡しで注文した事もあり、こんな所にも老朽化の影響が…と感じたものでした。


MAKIKYUが乗船時に注文したのは中華日替定食と雑炊、前者は内容的にまあまあといった所で、500円と言う設定価格も中国の市価と比べると割高ですが、日本の市価を考えると妥当なレベルと言う印象です。


雑炊300円も同様で、体調が悪い時(乗船時に発熱+海が大時化で大変だった時もありました)には丁度良いメニューと感じたものでしたが、そのままだと殆ど味付けがなく、別添えで渡される塩で味を調整するのは、国内で食べる雑炊とは趣が異なると感じたものでした。


中国人団体ツアー一行が乗り合わせた際には、日本語会話可能な引率者(日本語可)から団体向けに特別注文したメニュー(量がかなり多く残す状況)を勧められ、日本とは異なる中国らしい独特な味付けの焼き鳥などを食べる事も出来ました。
(引率者(青島在住)によると、日本の食事は米飯は美味しいものの「味付けが甘い」との事で、中国の中では味付けが甘いと言われ、日本の中華料理に近い味付けと感じる事が多い上海周辺の食事に関して尋ねたら、これもやはり「味付けが甘い」との事でした)


また船内では中国の長距離列車などと同様に、熱湯は何時でも給湯可能な状況になっており、帰国の際には中国の街中で買い込んだ方便面(カップラーメン)にお湯を入れて食べた事もありましたが、中国の街中で売られている方便面は中国メーカーをはじめ、日韓メーカー(日清や農心など)でもプラスチック製フォーク入りとなっており、蓋を開けた後に箸がなくて困るという事がないのは、日韓両国のカップラーメンとは大きく異なる点です。

中国旅行中には余り食べる機会がなく、日本国内とは味付けなどが一風異なるコンビニのおにぎりやお弁当なども、帰国前に買い込んで船内で試すのは面白いもので、食に関して色々な楽しみ方が出来るのも、長時間航海における一つの楽しみと感じたものでした。
(中国に限らず韓国旅行の際も、帰国時は乗船前にコンビニ弁当を購入して持ち込むのが定番となっており、船内に持ち込んだ弁当を見て羨ましがられた事もあります)


惜別・オリエントフェリー「ゆうとぴあ」(2)~船内編

2015-12-28 | 船舶[海外関連]

先日「MAKIKYUのページ」では、山口県・下関~中国山東省・青島間を結び、惜しくも休航となってしまったオリエントフェリー「ゆうとぴあ」に関して取り上げましたが、今日は先日記事の続編で船内の様子を取り上げたいと思います。


「ゆうとぴあ」は新日本海フェリーの国内航路で就航していた「ニューはまなす」が船名や船籍を変えて就航していた事もあり、乗員は全て中国人であるものの、船内の雰囲気は日本国内を就航する長距離航路と大差ないと感じたものでした。
(日本語会話に関しては船員によって差があり、日常会話なら全く問題ないレベルの船員もいる一方で、殆ど通じず漢字筆談となる場合などもあり、新鑑真などMAKIKYUが乗船した事がある他の日中航路に比べると、通用度はやや低いと感じたものでした)

 
船内の案内表記も元々日本語と英語が併記された所に、後から中国語が追加された箇所も多く見受けられ、船内にある毛布には前事業者・新日本海フェリーのロゴや社名も見受けられるなど、前身の面影も至る所に…と感じる状況でした。


船室は最も割安な2等Bが、いわゆる「雑魚寝」の大部屋(写真・カーペット敷き)、次いで割安な2等Aがカーテンで通路とベッドを仕切れる2段ベッドが並ぶ船室となっています。


MAKIKYUは夜行フェリー、それも特に乗船時間が長い航路の場合は、高額な上級船室を用いる事はまずないものの、極力雑魚寝は避けて少しランクアップした船室を利用する様にしており、オリエントフェリー乗船時も2等Bと2等Aの料金格差は僅少(片道正規運賃で1000円)でしたので、2等Aを利用したものでしたが、この区画は旅客利用が少なく輸送力を持て余している事もあってか、上段ベッドは布団や寝具などを撤去して荷物置場として用いている状況でした。

1等以上の上級客室に関しては、基本的に下等船室乗客は立入禁止となっており、画像もありませんが、甲板から眺めた限りではホテルのツインルーム相当の部屋という雰囲気と感じたものでした。

元々長距離を運航するフェリーとして建造された船だけあり、展望サロンやシアタールームなどのフリースペースも設けられ、シアタールームでは夜にカラオケ大会(無料:中国の歌謡曲が主体ですが、日本のJ-POPなども多数あり)も開催、中国人乗客が歌う中国の歌謡曲などを多数聴く事もできました。


展望サロンは2等室のあるフロアの前方に設けられ、陸から離れた海域を航行する時間が圧倒的に長い「ゆうとぴあ」では、入出港時前後(写真は下関入港日の朝に撮影)を除くと陸地を眺める機会は少ないですが、昼間ずっと2段ベッドで過ごすのはさすがに…という事もあり、海況が穏やかな昼間はここで過ごす時間も結構ある状況でした。
(海が大時化+体調不良も重なり、殆ど1日中ベッドの中で過ごす日もあったのですが…)


この展望サロンは日本国内航路を就航する太平洋フェリーの古参船「きたかみ」の展望サロンと類似した雰囲気も感じ、この他フロント近くにもソファーやベンチが多数設置、ここで日本語会話が可能な中国人乗客などと何時間も会話…という事もあり、これも長時間乗船となる国際航路の旅ならではと感じたものでした。


この一帯には中国語の雑誌などが多数置かれ、その中には見覚えのある漫画本も紛れていましたが、この漫画本を開いた際、その中に登場するキャラクターの一人が「小林」と呼ばれているのは少々意外と感じたものでした。
(ちなみにこの漫画の韓国語版では日本語とほぼ同等の読み方「크리링」、主人公は漢字表記を韓国語読みした「손오공」と呼ばれていますが、一方で他の漫画の韓国語版では漢字名が存在するキャラクターでも、日本語の読み方を韓国語表記した「모리 란」といった呼び方がされており、海外におけるキャラクター呼称の差異は結構興味深いものです)


また乗船中に運動したい乗客向けに、ジムトレーニングマシンなどが置かれた空間も設けられ、これに加えて卓球台が設けられている辺りは、中国を発着する航路ならではと言う雰囲気も感じたものでした。

写真を見て感じた方も居られると思いますが、就航開始から30年弱が経過している事もあってか、やや草臥れた雰囲気を感じたもので、船内に大浴場は設けられているものの、シャワールーム(個別ブース)が設けられていないのも、古参の船ならでは…と感じたものでした。

何度も乗船していると言っていた乗客からは「年々汚くなっている」という話が聞かれ、日中間を運航する国際航路でも、新鑑真などに比べると船内の手入れなどは…と感じたのは少々残念でした。
 
この「ゆうとぴあ」は乗船時間が長い航路という事もあり、食堂も設けられていましたが、船内での食事に関しては近日中に別記事で追って取り上げたいと思います。


惜別・オリエントフェリー「ゆうとぴあ」(1)

2015-12-22 | 船舶[海外関連]

山口県・下関~中国山東省・青島間を結び、オリエントフェリーが運航する国際航路「ゆうとぴあ」は、中国事情に精通されている方をはじめ、船旅に対して関心を抱いている方であれば、存在をご存知の方も多いと思います。

オリエントフェリーでは先月上旬、急遽今年限りでの運行取り止め(休航)を発表、このリリースを見て驚いた方も居られるかと思いますが、日本発の「ゆうとぴあ」航海は明日(23日)が最後となります。
(オリエントフェリーHPをご覧になりたい方は、こちらをクリックして下さい)

MAKIKYUはこの「ゆうとぴあ」には1往復だけ乗船機会がありましたので、「MAKIKYUのページ」でも「ゆうとぴあ」惜別企画として何度かに渡り、乗船した際の様子や感想などを取り上げたいと思っています。

日本側の発着港となっている下関港は、下関駅から徒歩数分の所に位置しており、「ゆうとぴあ」に乗船した事がない方でも、このターミナルへ足を運んだ事があるという方も決して少なくないと思います。
 

下関港国際ターミナルは「釜山・青島へ」という標記も見受けられ、日本発着の国際航路としてはトップクラスの地名度や歴史を誇り、基本的に毎日就航となっている釜山航路(関釜フェリー)と共に、下関市の友好都市にもなっている青島への航路が就航している事を強くPRしている雰囲気を感じたものでした。


中国側の発着港となっている青島港は、青島火車站(青島駅)から市内公交汽車(路線バス)で10分程、最寄りのバス停「海員」から徒歩5分程度の所に位置しており、港周辺は飲食店などは余り多くない(現地系コンビニなどがあり最低限の食料調達などは可能)ですが、青島火車站周辺との間を結ぶアクセスは決して悪くない立地です。


ターミナル内にある地図に国際航路の就航先として威東(Weidong)海運が運航する韓国・仁川などと共に下関への航路が記されていましたが、休航後も友好都市間を結ぶ国際航路が運航していた痕跡を留め続けるのか気になる所です。

ちなみにオリエントフェリーの下関~青島航路就航は1998年、その後2002年に同じSHKライングループ内の新日本海フェリーにおいて、日本国内航路(新潟~小樽)で用いていたフェリー「ニューはまなす」が移籍、「ゆうとぴあ」(船籍はパナマ)に改称して運航を開始し、現在に至っています。


ニューはまなすの就航は1987年ですので、就航開始から30年弱が経過、フェリーの中ではかなり古参の部類に入る存在となっており、近年の需要減と合わせて休航の要因になってしまったのでは…とも感じます。

日中間航路はハウステンボス関連会社が長崎~上海間で運航した貨客船も短期間で運航取り止め、神戸~天津間を結ぶ「燕京(YAN JING)」も2012年に運航終了となっていますので、ゆうとぴあの休航で残る航路は関西~上海間を結ぶ「新鑑真」と「蘇州號」の2航路(新鑑真は日本側発着地が神戸と大阪が隔週で入れ替わり・蘇州號は大阪発着)のみとなってしまいます。

関西発着の2航路は片道45時間程度を要し、日本発着の定期旅客航路ではどちらも運航時間・航行距離共に最長クラスに属するだけに、どちらも週1便ずつの運航となっていますので、週2便運航していた「ゆうとぴあ」を合わせると毎週4便が就航していた日中間国際旅客航路は、来年からは半分の2便に激減してしまいます。

ただ下関港からは有名な釜山航路(関釜フェリー)が毎日就航、下関からさほど遠くない博多港からは釜山へ向かう高速船(JR九州高速船「BEETLE」と、共同運航を行う未来高速「KOBEE」)が毎日複数便就航しています。

これらの航路で韓国・釜山へ向かい、その後韓国内を列車などの陸路で移動すれば、韓国の首都・ソウル市内からも都市交通(広域電鉄・市内バス)を利用して容易に足を運べる仁川港から出航する中国行国際フェリーに乗り継ぐ事ができます。

仁川発国際フェリーの行先は東北地方や山東半島の様々な都市をはじめ、それ以外も天津や連雲港など様々な行先が存在、毎日複数便が就航するなど、日中間どころか日韓間とも比べ物にならない程充実しています。
(東北地方は大連や丹東など、山東半島は煙台や威海など。一覧は仁川港国際旅客ターミナルHP(한국어)をご覧下さい)

そのため関釜フェリーやBEETLE+韓国内の陸路移動+威東海運を乗り継げば、「ゆうとぴあ」休航後に下関~青島間を陸路と海路の乗継で移動する事が可能で、個人的には最も容易な代替移動手段かと思いますし、他に仁川~山東省他都市への国際航路利用+山東省内を列車や長途汽車(高速バス)などを利用する方法も、「ゆうとぴあ」休航後の代替手段として利用価値ありかと思います。
(威東海運HPをご覧になりたい方はこちらをクリックして下さい-※English・한국어・中文のいずれかです)
 
しかし威東海運のフェリー予約や乗船は、日本国内で取り扱っている箇所が存在せず、Eメールや韓国か中国への国際電話などで直接予約・現地発券か現地入りした後の手配となり、威東海運以外の韓中間国際航路会社に関しても同様です。

そのため日本語を用い、日本国内で乗船券が容易に手配可能だった「ゆうとぴあ」に比べると面倒な印象が否めず、「ゆうとぴあ」での日中間直航に比べると韓国内を陸路移動する手間も要しますので、乗継を含めた移動時間も長くなる事を考えると、不便さが否めないのも事実です。
(MAKIKYUが以前単独で威東海運の仁川~青島航路に乗船した事もありますので、韓国内を単独で動き回れる方なら無問題かと思いますが、海外旅行未経験の方が初めての海外旅行で威東海運のフェリー予約や乗船を行うとなれば、一人旅などの場合は少々ハードルが高いと思います)


また関釜フェリーやBEETLE+韓国内の陸路移動+威東海運などをセットにした乗車船券も販売されていません(それどころか近年、日韓共同きっぷすら廃止される状況です)ので、下関→青島(或いはその逆)という表記の乗船券も当然ながら見納めとなってしまい、私用の旅行であれば「ゆうとぴあ」が就航しないなら今後中国、特に青島へ足を運ぶ気になれないという方も出てくるのでは…と感じます。
(写真は氏名や日時など一部分を塗消加工・また特別企画乗船券につき所定運賃とは異なる金額で発券された乗船券画像です)

個人的にも次々と新路線が開業する中国高鉄(CRH)などで、中国内の移動利便性が飛躍的に向上する一方で、日中間の心理的な距離が遠くなってしまい、日中間で友好都市としての交流を続けている下関・青島2市間を直航する交通手段が途絶えてしまう「ゆうとぴあ」休航は非常に残念と感じています。

「MAKIKYUのページ」をご覧の皆様方で「ゆうとぴあ」に乗船された事がある方が居られましたら、是非その際の感想などをコメント頂けると幸いです。

また船内の様子などに関しては、近日中に別記事で追って取り上げたいと思います。


シーワールド高速フェリー「ピンクドルフィン」~楸子島を経由する双胴型高速船

2014-12-16 | 船舶[海外関連]

先日「MAKIKYUのページ」では、韓国全羅南道・長興(Jangheung)~済州島を結ぶJHフェリーの高速フェリー「オレンジ1号」に関して取り上げましたが、韓国本土の中で済州島に最も近い全羅南道からは、他にも済州島へ向かう幾つかの航路が運航されています。

全羅南道と済州島の相互間の移動は勿論、KORAIL(韓国鉄道公社)の列車や都市間バス、自家用車などの陸路でソウルや釜山などから全羅南道各地へアクセスし、そこから船で済州を目指すのにも有用な存在で、現にKORAILではソウル市内の龍山(Yongsan)駅~済州間の列車と船をセットにして割引した乗車券の発売も行っている程です。
(この乗車券では龍山~木浦(Mokpo)間の高速列車(KTX)と、木浦~済州間フェリーがセットになっており、乗継利用と言う事もあって所要時間はやや長いですが、定価は航空運賃よりも割安な上に、昼行移動で日着可能ですので、韓国の首都圏(ソウル市内やその近郊の京畿道各市など)にお住まいの方が済州島へ足を運ぶ際などには、有用かと思います)

その中でも韓国の首都圏~済州間を陸路+海路で移動する際に、最も便利な航路は木浦~済州間の航路かと思います。
(特に鉄道旅行ともなれば断然他を凌ぐと思います)

現在この航路はシーワールド高速フェリーが運航を行っていますが、同航路ではフェリーと高速船という2タイプの船が用いられています。

シーワールド高速フェリーでは、同航路以外にも木浦の隣町・海南(Haenam)郡からも高速フェリーを運航しており、同社以外では莞島(Wando)郡から出航する韓一(Hanil)高速フェリーなども、全南~済州間航路としては有用な存在かと思います。
(莞島郡は木浦や光州などの全南各地からでも足を運び難く、ソウルや釜山からともなれば尚更ですが、済州への距離が近い上に高速フェリーも運航しており、運航本数など航路の充実度と言う点では他都市を凌いでいます)

これらの航路は高速フェリーも含め、大半が車両航送可能な「フェリー」となっており、特に仁川(Incheon)~済州間を直航運航していた「清海鎮(Cheonhaejin)海運」がセウォル号沈没事故以来運航休止となり、首都圏~済州間を直結する交通手段が航空便のみに限られている現状では、重要度が更に高まっていると感じますが、シーワールド高速フェリーが運航する高速船だけは車両航送ができない旅客輸送専用船となっています。
(それでも小荷物程度は積載するのですが…)


MAKIKYUが済州島から韓国本土へ向かう際に乗船した船は、この旅客輸送専用の高速船で、「ピンクドルフィン」という名称が付けられています。


ピンクドルフィンの総トン数は223t・旅客定員250名程、船長は33m・船幅11m程の双胴型で、MAKIKYUが韓国へ足を運ぶ際によく利用するJR九州高速船のジェットフォイル「BEETLE」に比べると、船体は一回り大きい程度です。

ジェットフォイルと異なり、高速航行中も船体は水面から浮上する事はなく、船体も決して大柄とは言い難い船ですので、外海で海況が芳しくない時には、その影響を大きく受けてしまうのが難点です。

MAKIKYUが済州から乗船した際には、済州港内から船内は大きく揺れ、出航前からその旨が案内される有様でしたが、済州島~韓国本土のほぼ中間に位置する離島・楸子(Chuja)島を過ぎて暫くしてようやく揺れが小さくなる状況でした。

そのため大揺れの間は、MAKIKYUも船酔い気味となり、少々辛い航海と感じたもので、小柄で高速航行中に船体が浮上しない高速船は、外海の航海には余り…とも感じたものでした。


船内設備も比較的小柄な高速船だけあり、進行方向を向いた座席がズラリと並ぶだけで、座席モケットこそ赤系統と青系統の2色が存在するものの、等級区分などはなくモノクラスです。


1階だけでなく2階にも客席が設けられているのですが、ジェットフォイルとは異なり、こちらは狭い空間となっており、客席の大半が1階席に集中しているのが特徴で、座席自体は1階席と大差ない様に見受けられたものでした。

この高速船の座席は、日本国内を就航するジェットフォイルなどと大差ない非リクライニングシートである上に、足を組んだ状態で座ると前の座席に膝が当たり、シートピッチも余り広くないなど、居住性の面では非常に芳しくないと言わざるを得ない代物です。

韓国では不評な事でも有名な高速列車(KTX)の一般室座席でも、進行方向で着席できればピンクドルフィンの座席に比べると…と感じる有様でした。


ただ座席は全て進行方向を向いているのではなく、幾つかの区画はグループ利用などを想定してか、テーブル付きで座席が向かい合わせに設置されており、座席配列の関係で向かい合わせ区画以外でも、前方に座席がなく足元が広い「当たり席」とも言える席は多数存在しています。

MAKIKYUの乗船時は比較的空いていた事もあり、MAKIKYUは指定座席から向かい合わせ区画に移動し、1ボックス占拠状態で利用できましたので、まだ幾分マシと感じたものでしたが、大揺れで船酔い状態が続く上に船内が満席だったら、かなり辛い航海になったのでは…とも感じたものでした。
(それでも船で容易に移動可能な済州~韓国本土間程度の距離で、わざわざ空を飛ぶ事を考えれば、船酔いに耐えながらの航海でもずっと良いのは言うまでもないのですが…)


また済州~木浦では定刻運航でも片道3時間超えとなる事から、船内には比較的簡易な設備ながら売店コーナーも設置され、最低限の飲料や菓子類などは調達可能ですが、こちらも大型フェリーなどに比べると…というのは高速船の性質上致し方ない気がします。
(ちなみにピンクドルフィンは木浦~済州間で途中楸子島以外にも、本土側で珍島(Chindo)にも寄港しています)

見た目は結構スマートで見栄えのする高速船である割には、乗船した際の居住性などは余り芳しいものではなく、運賃も割引キャンペーン中で定価より10000W以上割安だったとは言えども、それでも同区間のフェリーよりも割高でした。

そのため船旅を楽しむよりも、高速船ならではの速さを求める客層向けで、全南~済州間の航路乗船では、時間的余裕があればフェリー(高速フェリーを含む)の方が…とも感じたものでした。

楸子島付近は韓国本土~済州間を結ぶ船が多数行き交うものの、寄港する旅客航路はピンクドルフィンと莞島~済州間フェリーの1便のみ=島外への足は1日2往復だけという、交通の便が非常に不便な離島(勿論空港もありません)ですので、楸子島へのアクセスとしても重要な存在で、MAKIKYUの乗船時には、済州~楸子間の乗客も多数見かけたものでした。

この様な船ですので、何らかの用事でもなければ済州~木浦を再び乗り通すのは…とも感じたものでしたが、MAKIKYUはピンクドルフィンの情報を調べている際に初めて存在を知り、寄港時には下船せずに通り過ぎるだけだった楸子島へ足を運ぶ機会でもあれば、その際の手段として利用するのは…とも感じたものでした。

ピンクドルフィン乗船中に寄港した楸子島の様子などは、近日中に別記事で追って取り上げたいと思います。


JHフェリー・オレンジ1号(2)~高速フェリー船内の様子

2014-11-14 | 船舶[海外関連]

先日「MAKIKYUのページ」では、韓国全羅南道・長興(Jangheung)郡にある老力(Noryeok)港と、済州(Jeju)島の城山(Seongsan)港の間を結ぶJHフェリー「オレンジ1号」に関して取り上げましたが、今日はその続編で船内の様子に関して取り上げたいと思います。

オレンジ1号は時速50km/hを超える高速航行を行い、韓国本土と済州島の間を比較的短時間で結ぶ船ながらも、ジェットフォイルなどの小型高速船とは異なり、全長81m・全幅26mという比較的大柄の船体が特徴で、外観も一般的なフェリーと双胴型高速船を足して2で割ったと言っても過言ではない、比較的整ったスタイルが特徴です。

オーストラリアのIncat社が建造した双胴型の高速フェリーは、オレンジ1号やナッチャンRera/Worldなど、世界各地で就航している各船を合わせると、就航船数はジェットフォイルを凌ぐ程ですので、世界各地を探せば結構あるのですが、日本や韓国など東アジアに限れば、導入事業者や乗船可能な航路は限られたものになっています。

全長81m程度の「オレンジ1号」は、Incat社製双胴型高速フェリーの中では、小柄な部類に入るのですが、それでも総トン数は4000tを超えており、大型車両積載も可能なフェリーですので、空間的なゆとりは200tクラスの高速船などとは比べ物になりません。


ただ乗船時間が2時間20分と、韓国本土から離島の済州島へ向かう航路にしてはさほど長くない事もあってか、客席はフェリーでは一般的なカーペット区画が設けられておらず、進行方向向きで固定されたリクライニングシートのみとなっているのが特徴です。

この座席は韓国では高速バスなどでもお馴染みと言えるビニール張りとなっており、一般席と5000W増しの優等席で異なるものとなっています。


MAKIKYUは一般席の方を利用し、乗船時間などを考えるとこれでも充分と感じるレベルですが、座席グレードは一般席で一般高速バスとほぼ同レベル、リクライニング角度もまずまずと感じるものです。


優等席で優等高速バスとほぼ同レベルと言っても良く、見るからに差別化が図られた座席と言う雰囲気ですが、またJHフェリーを利用する機会があるならば、今度は優等席を試してみるのも…と感じたものでした。


船内の付帯設備なども、比較的乗船時間が短い高速フェリーという事もあり、充実しているとまでは言い難いものの、オレンジマートと称した売店コーナーに加え、DUNKIN' DONUTSも営業しており、ドーナツは韓国の物価を考えると高めの気もしますが、船内でちょっとおやつやカフェタイムを…と思った時には、利用するのも悪くないかと思います。


また船内には「オレンジ1号 運航情報システム」と称した現在航行位置などを表示するモニターも設置されているのですが、出航して暫くの間船内の様子などを視察し、少しだけ座席で昼寝をしている内に海域表示が「全南海域」(写真)から、6月に初訪問となった「済州海域」に変わっている有様で、高速フェリーならではの速さを実感させられたものでした。


オレンジ1号は高速フェリーだけあり、一般的なフェリーに比べると運賃はやや割高感があり、航海中はデッキに出て外の空気に触れる事ができず、老力港を出港してから暫くの間見られる多島海(Dadohae)の小島が拡がる姿なども、ガラス越しにしか眺められないのは少々残念な気もしましたが、建造からは結構な年数を経ている割には、スマートな外観だけでなく、船内も比較的綺麗な印象を受けたものでした。

航海中に多少の揺れは感じたものの、片道2時間20分の航海はあっという間で、ローカルバスなどと組み合わせて済州島へ足を運ぶ旅行を検討している方には、絶好の航路なのでは…とも感じたものでした。

ただ中国(大陸本土)籍旅行者が、現在韓国では済州島内のみビザなし渡航可能になっている事などもあってか、済州島発着航路の乗船券購入や乗船時には、身分証(外国人の場合はパスポート)の確認を行っており、乗船券購入窓口では外国人の乗船券購入者名簿も作成している様でしたが、JAPANの人物は余り利用していない様な雰囲気でした。

済州島は日本での知名度もそこそこあり、観光で足を運ぶ日本人旅行者も決して少なくない割には、日本ではJHフェリーの存在が余り知られていない様で、発着港のアクセスが余り良いとは言い難い難点もあるとは言えども、日本でも済州島へのアクセスとしてJHフェリーがもっと注目されても…と感じたものでした。


またJHフェリーの乗船券半券は、下船後も回収されずに手元に残るのですが、乗船後1週間以内に済州島内や長興郡内の一部観光施設・飲食店などでこの半券を提示すると、割引などの特典も受けられますので、JHフェリーを利用して済州島観光を検討している方は、この事も知っていると便利かと思います。

ちなみにMAKIKYUが6月に済州島を訪問した際には、済州から韓国本土へ戻る際に別航路を利用しているのですが、こちらに関しても近日中に追って取り上げたいと思います。


JHフェリー・オレンジ1号(1)~済州島へ向かう高速フェリー

2014-11-11 | 船舶[海外関連]

先日「MAKIKYUのページ」では、長興(Jangheung)郡の老力(Noryeok)港へ向かう郡内バスに関して取り上げましたが、MAKIKYUが6月にこの郡内バスに乗車して老力港へ到着した後は、ここから発着するフェリーに乗船したものでした。


老力港は全羅南道の田舎町・長興郡の中でも、中心部から郡内バスで1時間強を要する街外れですので、周囲は海とフェリーのターミナルを除くと、何もないと言っても過言ではない所です。

そのため地元の人間を除くと、非常に足を運び難い所で、観光で訪問する外国人の単独行動ともなれば尚更です。

フェリーターミナル内は充実しているという程ではないものの、乗船券売場以外に売店や軽食コーナーなどもありますので、郡内バスや無料シャトルバスと、フェリーの乗継時間に腹を満たす程度の事は可能です。


ちなみにこの老力港を発着する旅客航路は、JHフェリーという事業者が運行する「オレンジ1号」というフェリーで、済州(Jeju)島の城山(Seongsan)港へ向けて運航しています。

「オレンジ1号」と言う名称や、オレンジを連想させる装いは、韓国の中では温暖な気候を生かし、オレンジの生産で有名な済州島へ向かう船らしいと感じます。


車両航走も行っているものの、航行速度は最高で50km/hを超える高速航行を行っていますので、スタイルも一般的なフェリーとは随分異なり、車両積載対応の超大型双胴高速船とも言えます。

日本で現在就航している高速フェリーは、熊本~島原間を結ぶ熊本フェリーがあり、MAKIKYUはこの航路にも一度だけ乗船した事がありますが、見た目は何となくこのフェリーにも似ている様に感じたものでした。

ただJHフェリーの「オレンジ1号」はオーストラリアのIncat製で、熊本フェリーで使用している高速フェリーとは別タイプ、以前大きな話題になったものの、燃費の高さなどが災いして海外売却されてしまった青函航路の「ナッチャンrera」や、その姉妹船の「ナッチャンworld」などと同種のフェリーです。

「ナッチャンworld」などに比べると、「オレンジ1号」の方が船体はやや小さいものの、それでも4000t以上・全長80m超を誇り、来年佐渡汽船が導入を発表している直江津~小木航路向けの高速フェリー新船も、オレンジ1号と似た様な外観・大きさの船となります。

韓国ではシーワールド高速フェリーが、海南(Haenam)から済州へ向かう航路で使用している高速フェリーとは別タイプですが、韓一高速フェリーが莞島~済州間で使用している高速フェリーも同種で、他にも世界各地で同種の高速フェリーが多数就航しています。
(Incat社HPでも、世界各地の船会社で活躍する同社製高速フェリーを紹介しており、興味のある方はこちらをクリックして下さい)

この「オレンジ1号」は高速フェリーならではの高速航行を行い、長興・老力港~済州島・城山間を2時間20分で結んでおり、運賃は日本円相当額で片道4000円弱、一般のフェリーよりもやや高めに設定された運賃は、韓国の物価を考えると少々高めな気もします。

また高速フェリー故に所要時間が短い事もあり、訪問前は遠い離島と感じた済州島も、韓国本土からは意外に近いと感じたものでした。

しかし本土側が辺鄙な老力港発着と言うだけでなく、済州側の発着港も済州市中心部から自家用車や市外バスを利用し、1時間はかかる城山港ですので、少々マイナーなルートと言っても過言ではありません。

そのため済州市中心部に用がある場合などには、やや使い難い航路ですが、城山には済州島内にある観光地の中でも、特に有名なスポットの一つとなっている「城山日出峯(Seongsan-Ilchulbong)」などもありますので、城山を絡めた済州島周遊旅行の足としても、JHフェリーの利用価値は大きいと感じたものでした。

このJHフェリーに関しては、近日中に船内の様子などを取り上げた続編記事も公開したいと思います。


JR九州高速船「BEETLE」・グリーン席に初乗船~特急グリーン車程のグレードではないものの…

2014-07-06 | 船舶[海外関連]

先月MAKIKYUが韓国へ足を運んだ際には、日韓間の移動はMAKIKYUの韓国旅行では定番となっており、最も使い慣れたJR九州高速船「BEETLE」を往復利用したものでした。

現在「BEETLE」はビートル・ビートルⅡ世・ビートルⅢ世の3隻が活躍しており、どれも類似したスペック・外観のジェットフォイルながら、客席最後部の窓有無などの差異があります。

JR九州グループらしく、「BEETLE」各船も某有名デザイナーが内外のデザインを手がけている事でも知られ、この事はご存知の方も多いかと思いますが、「BEETLE」各船の外観や内装はこのデザイナーならではの個性が随所に感じられ、ビートルⅡ世の博多~釜山航路運航開始から現在に至るまで20年以上を経ている事もあってか、その間には内装のリニューアルなども行われています。

以前「BEETLE」と共同運航を行っている未来高速「KOBEE」において、負傷者発生を伴う鯨などの海中生物との衝突事案も発生し、海中生物の多く出没する海域での減速航行なども実施されている状況を考慮してか、近年では1階前方に設置されていた売店スペースを撤去し、代わりに客室乗務員によるワゴン販売が実施されているのも特徴です。

以前売店が設けられていた1階前方には、現在上級客席を設置しており、共同運航の「KOBEE」にはない「BEETLE」独自の設備となっています。


この上級客室の呼称を「グリーン席」としているのは、JR系ならではと感じる一方、乗船券には「GREEN SEAT」と表示される辺りは、国際航路ならではと感じたものでした。


MAKIKYUの訪韓暦は2桁に達し、その大半は「BEETLE」に乗船しているため、「BEETLE」は幾度も利用している事になるのですが、今までグリーン席を眺める事は何度もありながら、実際に利用した事はなく、先月の訪韓時には空席がありましたので、往路で初めてグリーン席を試してみたものでした。


ちなみにMAKIKYU初のグリーン席乗船で往路に充当された船は「ビートルⅡ世」で、復路で一般席利用の際に乗船したのは「ビートル」でした。

ビートル各船におけるグリーン席の利用は通常運賃(各種割引運賃利用も含む)に加え、福岡~釜山間の片道で+3000円(釜山発は30000W)のグリーン料金がかかります。

 
グリーン席利用の場合は、一般席よりも上等な座席に加え、菓子類とドリンクのサービス(通常購入だと両者のセットが500円・これに加えグリーン席利用者はドリンクフリー)や、「BEETLE」ロゴ入りスリッパの進呈、到着時における優先下船などの付帯サービスもあり、これらの付帯サービスを除く座席に対する料金は、実質的には1500円~2000円程度なのでは…と感じます。

福岡~釜山間の片道運航距離は210km強ですので、同程度のJR九州在来線特急や新幹線のグリーン料金と比較すればやや割安で、200kmまでの料金と比較すれば同程度といった所です。

「BEETLE」の場合は一般席のシートピッチは観光バス並み、リクライニングも気持ち程度(国内航路のジェットフォイルでは、リクライニング機能なしが大半ですが…)で、グリーン席は一般席よりは上等な座席となっており、たまたまなのか、それとも敢えて意図してなのかは分かりませんが、グリーン席の座席モケットはグリーン(緑色)系統となっています。


グリーン席の座席は、物凄く豪華な座席とは言い難く、座席の大きさやシートピッチ、リクライニング角度などは、JRの在来線特急普通車程度と感じたものでした。

雰囲気はともかく、座席自体に関しての評価だけならば、鉄道の特急グリーン車に比べると見劣りは否めないと感じたものでしたが、多少奮発してでも、一般席よりもワンランク上の船旅を…と考えている方にとっては、グリーン席の利用はおススメかと思います。

フェリーの様な空間的制約の少ない船舶ではなく、ジェットフォイルと言う空間的な制約が比較的大きい船舶において、モノクラスではなく複数の選択肢が存在する事で、多様な客層の要求に応えられるというのも、評価できる点と感じます。
(ジェットフォイルでは香港~澳門間を運航するTurbojetでは上級席設定がありますが、日本の国内離島航路などではモノクラスばかりですので…)

幾度も「BEETLE」に乗船している方も、グリーン席を利用すれば、いつもと少し違った船旅になるかと思いますので、試してみる価値はあるかと思いますが、「MAKIKYUのページ」をご覧の皆様方も「BEETLE」に乗船して韓国へ足を運ぶ機会がありましたら、グリーン席利用も検討してみては如何でしょうか?


JR九州高速船「BEETLE」の利用も減少・1艘は売却

2014-04-22 | 船舶[海外関連]

16日に発生した韓国・清海鎮(Cheonhaejin)海運の仁川(Incheon)~済州(Jeju)間フェリー「セウォル」号沈没事故は、この記事の投稿段階で既に100名を超える旅客の死者が発生し、更にこれを上回る行方不明者が出ているなど、未曾有の大惨事となっています。

「MAKIKYUのページ」でもこの件に関して取り上げた記事がありますが、この事故に関連して韓国では団体客を中心に、フェリーや高速船などによる船旅自体を取り止める動きも出ており、韓国内だけでなく日韓航路でも団体客の大量キャンセルなどが発生している事が報じられています。

日韓航路の代表格的存在と言え、MAKIKYUが韓国へ足を運ぶ際に利用する事も多いJR九州高速船「BEETLE」でも、大量のキャンセルなどが出ている事が報じられていますが、これに加えて高速船(ジェットフォイル)1隻の売却も報じられています。
(売却自体は「セウォル」号事故前から決まっていた様です)


売却されるのは「BEETLE5世」(通称B5)で、かつては競合していた未来高速「KOBEE」との共同運航が実現した今日では、4隻在籍はかなり余裕がある状況に伺えましたので、事業者間移籍が多く、単一事業者でずっと活躍し続けている船の方が珍しく感じるジェットフォイルにおいては、特に不思議な事ではない気もします。


「BEETLE5世」は未来高速との共同運航開始前は、「BEETLE」が一応韓国高速海運との共同運航扱いだった事もあり、同社の「ジェビ2」として運航していた事もあります。


MAKIKYUはこの頃を含めて何度も乗船している船ですが、「BEETLE」各船のリニューアル前は、JR九州の485系電車改装車「レッドエクスプレス」とよく似た内装の他船とは異なる雰囲気の船内も特徴的でした。

「BEETLE5世」の売却先は、今年春にジェットフォイルが1隻増え、大型客船1隻もまもなく代替新造となる東海汽船で、BEETLEは各船共に1階から上下船となり、2階には旅客用の乗降口が設けられていないのですが、東海汽船のジェットフォイル「セブンアイランド」は発着港設備の関係で2階からの乗降となっていますので、恐らく2階に旅客用乗降口の設置改造が行われるかと思います。


また「BEETLE」と共に日本国内のジェットフォイルの中では、かなり特徴的な装いを誇る「セブンアイランド」シリーズ(写真は三宅島・伊ヶ谷港を出航する「セブンアイランド 愛」です)として活躍するとなれば、外装も大変貌を遂げる事になると思いますが、どの様な姿での再登場となるのかも気になります。

MAKIKYUは「BEETLE」「セブンアイランド」共に何度も乗船した事があり、むしろジェットフォイルでこの2つ以外に乗船した回数の方が…という程ですが、乗船回数の多い両者を比較すると、客室設備の面では国際航路で平均乗船時間も長い「BEETLE」の方が、僅かながら座席がリクライニングし、拘りのデザイナーならではの特色が強く現れている内装など、優れていると感じますので、これらの特色が東海汽船でも踏襲され、ジェットフォイルの船内設備向上に一役買うのかも気になる所です。


比田勝港を出港する国際航路~離島のはずれながらも多数の便が…

2014-02-21 | 船舶[海外関連]

先日「MAKIKYUのページ」では、長崎県・対馬の比田勝港を発着する九州郵船の「フェリーげんかい」に関して取り上げましたが、比田勝発着の旅客航路は「フェリーげんかい」だけでなく、近年ではこの他に国際航路も就航しています。

離島から海外への足が確保されているというだけでも異例かと思いますが、その中でも島の中心都市(厳原)からは随分離れた島のはずれから出航、それもほぼ毎日就航ともなると、日本中探しても比田勝以外には…という状況で、比田勝が異国に近い特異な立地である事を改めて実感させられます。


MAKIKYUが比田勝から乗船した航路も、「フェリーげんかい」ではなく国際航路の方で、ターミナルもやや離れて立地しており、国際ターミナルの方が町内各所やバス営業所から至近の所にあります。

国際航路は全て韓国・釜山行きの高速船、MAKIKYUの乗船日は日曜日で、週末の小旅行で海外を堪能した韓国人(1泊2日は当り前で、中には日帰りでの訪問者も居る様です)が多数帰還する事もあってか、福岡発の対馬寄港便1便を含め、4隻の高速船が夕方に続々と出航する状況でした。

これはとても離島の田舎町とは思えない光景で、出航時刻が近づくと、それまで静かだった比田勝港周辺も、大勢の団体ツアー客を乗せた観光バスが何台も集まり、これらのバスから多数の乗客が下車して高速船に乗り換え、そのため港のターミナル周辺は大勢の観光客で大賑わいとなり、とても離島とは思えない状況でした。

MAKIKYUが比田勝からの高速船に乗船した日の就航船舶は、大亜高速海運の「DREAM」1隻と、福岡~釜山航路で共同運航を行っている「BEETLE」「KOBEE」が計3隻、どれも旅客定員は200名程度かそれ以上あり、比田勝の街の規模などを踏まえると、これだけの数の高速船が運航される事自体が異例です。

まして複数の高速船が夕方の1時間程度の時間に集中して出航するという、日本中の離島を探しても他に類がない光景が展開され、近年対馬と韓国の交流が盛んになっている事を実感させられたものでした。
(人口300万人超の釜山広域市の規模を考えれば、ありえなくもない話なのですが、対馬では厳原~博多間ジェットフォイルでも、通常1日2往復程度ですので…)


何隻もの高速船が集まっているために、福岡発の寄港便を除いても国際ターミナル脇に使用船舶全てを係留出来ず、「BEETLE」は「フェリーげんかい」が発着する国内航路ターミナル近くに係留、他の船が出航してから国際ターミナルへ移動・入港する状況でした。


出入国手続きもターミナル内ではなく、その隣に位置する建物内で行われるのですが、元々静かな離島のはずれにあった街が、近年急速な勢いで国際旅客増大となっている事もあり、設備的には需要に追いつかない印象があり、出航時刻の20分位前になってようやく建物内に入り手続きと言う状況でした。

多数出航する国際航路の中で、最初に出航したのは「KOBEE」で、ジェットフォイルながらも操縦席が2階ではなく、更に上の3階部分に突き出たタイプが充当されていました。


MAKIKYUも以前未来高速「KOBEE」を利用した際には、このタイプにも当たった事があり、船内設備などは大差ないのですが、一般的なジェットフォイルに比べると、見た目のスマートさはやや劣る気がします。


その次には「DREAM」が出航、こちらは「BEETLE」「KOBEE」に比べ、比田勝航路の運航実績は長く、ジェットフォイルとは異なるタイプの高速船を用いているのも特徴です。

MAKIKYUは大亜高速海運自体も利用した事がありませんので、機会があればこちらも…と思ったのですが、福岡航路に関しては欠航が相次ぐなど、「BEETLE」などに比べると運航実績の安定性では…と感じる面があり、運航実績の安定性を考慮し、12月の比田勝発では利用を控えたものでした。

その後には福岡発の「KOBEE」が寄港、そして最後に「BEETLE」が出航となりますが、MAKIKYUが乗船したのは共同運航を行っている「BEETLE」「KOBEE」の中でもJR九州高速船の「BEETLE」運航便、充当されたのはビートル1世でしたが、12月の旅行では韓国帰りの博多行きもこの船でした。

JR全線踏破を狙っている方の中には、さすがにJRバス全線乗車までという方はなかなか居られないかと思いますが、JR系の旅客航路も対象に含めている方は結構居られるかと思います。

その中でも比田勝~釜山航路は国際航路と言うだけでなく、JRの鉄道や路線バスのネットワークからは大きく外れた路線ですので、航路を含むJR全線踏破を目指していて、この航路だけは…という方も結構居られるかと思います。

乗客も殆どが韓国人、使用船舶は同一でも日本人の利用客が多い福岡航路とは様相が異なると感じたもので、グリーン席が現在運用停止となっているのも、乗船時間が短い短距離航路では…と感じる所です。

比田勝~釜山は航行距離約70km、高速船だと出航から1時間もすれば釜山港の港内を航行している状況で、福岡~釜山航路でも日韓両国の近さを感じるものですが、比田勝航路ではそれ以上に日韓両国の近さを実感させられたものでした。

また比田勝~釜山航路では、国内側(比田勝)が初訪問の街である一方、海外側(大韓民国・釜山)は何度も足を運んでおり、異国の方が
見慣れた光景である上に、足を運び易い所と言うのも不思議に感じたものです。

比田勝は国内各地からはかなり足を運び難い事もあり、近年では日本各地→釜山→比田勝(或いはその逆)で足を運ぶ日本人もしばしば居る様で、国内各地を探しても対馬以外では海外経由は…と感じる所で、この点でも比田勝が極めて異国に近い特異な立地の「国境の町」である事を実感させられたものでした。


ちなみに比田勝~釜山航路は片道2桁km、乗船時間も短い短距離航路とはいえども、国際航路ですので乗船時は当然ながら旅券(パスポート)が必須で、出入国手続きの際には「HITAKATSU」の地名が入ったスタンプが押印されます。
(パスポート下部の旅券番号がパンチされた部分は、一部画像加工しています)

MAKIKYUの日本からの出国・日本への帰国履歴は、出国・帰国共に過半数が「HAKATA」で、他は「KOBE」「OSAKA」「KANMON」がありますが、「HITAKATSU」のスタンプ押印で日本のスタンプは5つ目、日本のスタンプバリエーションが久々に増えましたが、機会があればまだ利用していない港からの出国・帰国も…と思います。

ただMAKIKYUは関西や九州の在住ではなく、ずっと首都圏に身を置いているのですが、個人的には首都圏の標準軌大手私鉄が走る駅の近くから出国・帰国するのは勘弁願いたいと感じます。

MAKIKYUの周囲で海外へ足を運んだという話を聞くと、一部では「悪徳」とも呼ばれている列車をはじめとする首都圏標準軌大手私鉄が発着する、2箇所のどちらかを出国・帰国で利用したという話ばかりで、比田勝はともかく、博多などを利用した話を聞かないのは少々寂しい気もするのですが…


JRグループ・国境を跨ぐ国際路線にも定期券登場~平日のみ通用ながらお値段も…

2013-03-07 | 船舶[海外関連]

JRグループといえば、日常生活での通勤・通学や、国内旅行などで列車やバスなどに乗車する事で、「MAKIKYUのページ」をご覧の皆様方の中には、お馴染みの方も多いかと思います。

JRグループの鉄道やバスなどは、在来線やJRバス一般路線をはじめ、高速鉄道(新幹線)や、一部の高速乗合バス路線などでも定期乗車券の設定があり、実際に購入された事がある方も多いかと思います。
(MAKIKYUも以前、JR東日本の定期乗車券を購入・利用した事があります)

JR旅客各社の鉄道各線やJRバス各社の定期券は、JRグループの鉄道・バス旅客営業路線が全て日本国内で完結していますので、当然ながら日本国内を移動する定期券となります。

しかしながらJRグループの旅客輸送は日本国内だけでは完結しておらず、空路の運航こそないものの、海路による国際航路が存在している事は、ご存知の方も多いかと思います。

JRグループによる国際航路は、かつてはJR九州直営だったものの、現在は完全子会社の「JR九州高速船」が運航しており、実際にこの航路を利用して海外へ足を運んだ事がある方も居られるかと思います。


MAKIKYUも初の海外旅行以来、「BEETLE」という名称を持つJR九州高速船の国際航路は何度も利用しているお馴染みの存在で、海外旅行で利用した事がある交通手段の中では、個人的には最も利用回数が多い手段になっている程です。

現在運航している航路は、福岡(博多)~釜山と、対馬(比田勝)~釜山航路の2航路で、MAKIKYUはまだ対馬島へは足を運んだ事がありませんので、比田勝航路には当然ながら乗船した事がありません。

福岡~釜山航路は、JR九州直営時代の「「BEETLE」運航開始当初から今日まで、20年以上に渡って運航しており、日本発着国際航路における年間旅客数もダントツの日本一を誇っています。

一時期は競合関係にあった韓国・未来高速の「KOBEE」と共同運航化を行い、今日に至っていますが、この福岡~釜山航路では遂に定期乗車券も発売開始となり、「BEETLE」HPにニュースリリースが出ています。

その名称は「ビートル平日フリーパス2013」で、JRグループの定期乗車券は今まで日本国内だけだったものの、遂に海外までの定期券も登場する様になったのか…と感じますが、既に博多~鹿児島中央間(288.9km)の新幹線定期券(通勤1ヶ月:206880円)が発売されている事などを踏まえると、国際航路とは言えども200km強の距離ならば、定期券が出てきても不思議ではないのかもしれません。

ちなみに今回登場する定期乗車券は、フリーパスと名乗りながらも、路線バスや一部地方私鉄などの定期券で普及している持参人式ではなく、JRの鉄道各線定期券などと同様に記名人本人のみ利用可能で、一部バス会社などで設定がある平日定期券と同様、名前の通り土休日などに適用対象外となる日が設定されています。
(とはいえ福岡発日曜日や、釜山発土曜日などは殆どが利用可能で、土曜日の福岡発と、日曜日の釜山発を除くと、適用対象外となる日は意外と少ない気がします)

また「BEETLE」は要予約の全席指定制で、定期券(フリーパス)に燃料サーチャージが含まれませんので、要事前予約+乗船毎に燃料サーチャージ支払いの必要が生じます。

そのためJRの鉄道や路線バスの定期券に比べると利便性が…とも感じますが、価格は年度方式(4月1日~翌年3月31日まで1年間有効)で5万円となっています。

5万円の定期券というと、一応大手私鉄の自社線内完結となる京成電鉄・京成上野~成田空港間(成田湯川経由:64.1km)が1ヶ月49900円、この片道1200円の区間を1ヶ月利用するのとほぼ同額です。
(この経路の一部区間は様々な問題を抱える曰くつきですので、大手私鉄路線とは見做し難い面もあるのですが…)

九州内では屈指の高頻度高速バス路線として知られ、西鉄・九州産交共同運行の福岡~熊本間「ひのくに号」の定期券は1ヶ月45000円(普通運賃は片道2000円)、これと比べても少し高い程度ですので、「ビートル平日フリーパス2013」は通用期間や運航距離、所定運賃(普通運賃は片道13000円)からの割引率と言う点では、驚異的な激安価格設定と感じます。

BEETLE」の運航時刻や路線特性、別途燃料サーチャージを要する事などを踏まえると、さすがに国境を跨いでの日常的な通勤通学などはまず考えられず、場合によっては定期代よりも燃料サーチャージの累計額の方が…となる状況ですので、「ビートル平日フリーパス2013」は、実質的には用務や旅行などで月に数度の乗船が良い所かと思います。

それでも月に1往復→計12往復すれば、制約の大きい往復5000円の激安運賃を更に回数割引したと捉えても良く、そこまでの高頻度で乗船しなくても、年間で週末の利用除外日以外で4~5回程度、韓国内に3泊以上滞在する旅程での乗船機会があるなら、概ね現行各種割引運賃を複数回利用するよりも安くなります。

定期券所持者本人の韓国内滞在日数が制約されない事や、同行者2名まで往復10000円で乗船できる同行者割引特典(有効期間6泊7日)もある事を考えると、使い方次第ではかなり有用な定期券(フリーパス)なのでは…と感じます。

日韓航路では老舗の関釜フェリーも、青春18きっぷ利用者向けの割引企画を実施し、他に福岡(博多)~釜山間を運行するかめりあ(フェリー)も月替わりの企画運賃設定などを行うなど、各社共にサービス合戦を繰り広げています。

これらの割安運賃設定により、乗船客の増加→日韓交流の更なる促進も期待され、MAKIKYUも機会があればまた船で韓国へ…と感じています。

とはいえ首都圏に身を置く状況では、福岡や下関までの道程が少々…といった所で、新幹線でも片道4時間半~5時間の道程、その運賃・料金も決して安くない状況では、私用で年間指の数程度かそれ以上の回数で九州まで足を伸ばすのは少々厳しく、さすがに定期券は使いこなせないと感じてしまうのは残念な限りです。

国内旅行もどちらかと言うと西日本方面の方が贔屓、韓国や中国へ足を運ぶ時も便利…となると、関西や福岡など西日本方面の方が羨ましいと感じてしまうものですが、その他の諸事情も踏まえるとなかなか厳しいのが現状です。
(余談ながら関西~九州北部間は夜行フェリーを使えば比較的割安かつ快適に移動できる様で、青春18きっぷ利用での普通列車乗り継ぎでも夜行列車利用なしでの日着が可能、車両設備面でも結構快適に過ごせる車両が多く走っています。
新幹線も最近は「バリ得こだま」といった企画商品が出回るなど、距離的にほぼ同等の関西~首都圏と比べ、割安で快適な交通手段が揃っている感があります)

首都圏など東日本方面では、九州と海を隔てて200km程度しか離れていない韓国でも、旅行会社などは旅客航路利用客を想定していない状況で、旅行商品は航空機利用ばかりでパンフを見ただけでもウンザリさせられ、MAKIKYUの周囲でも韓国へ足を運んだという
話を聞くと、空を飛んだという話ばかり、それどころか中には「BEETLE」の存在すら知らない…という事もしばしばです。

空を飛ぶのが嫌でも、韓国などへ行ってみたいと感じる旅行者数は結構居るのでは…と感じますので、東日本方面では発売箇所や使い勝手の制約が大きい「日韓共同きっぷ」だけでなく、JR新幹線+「BEETLE」往復と宿泊を組み合わせた旅行商品を設定するなど、もう少し何とかならないものだろうか…と感じていますが、こんな事を感じてしまうのはMAKIKYUだけでしょうか?
(MAKIKYUが韓国へ足を運ぶ際は、最近は新横浜~博多間新幹線のぞみ号往復+福岡市内宿泊付きのビジネス向けフリープラン旅行商品(2週間程度までなら、1泊分以外の宿泊手配なしで帰路利用日の延長可)と、別途予約の「BEETLE」割引運賃組み合わせという有様ですので…)


関釜フェリー「2013年春休み“青春18きっぷ旅”大応援キャンペーン」を実施

2013-02-18 | 船舶[海外関連]

日本~韓国間を結ぶ旅客航路は、MAKIKYUが海外旅行の際に最もよく利用しているJR九州高速船「BEETLE」や、共同運航事業者の韓国・未来高速「KOBEE」をはじめ、幾つもの航路が存在しており、「MAKIKYUのページ」をご覧の皆様方の中には、実際に船で韓国まで行った事がある方も居られるかと思います。


MAKIKYUが韓国へ足を運ぶ際、「BEETLE」「KOBEE」以外で出国したのは、下関~釜山間を結ぶフェリーを一度利用しただけなののですが、この航路は日韓航路の老舗として知られており、利用した事はなくても存在は知っている…という方も多いかと思います。

船舶の検査時以外は基本的に毎日運航しており、「BEETLE」などの日韓間高速船が繁盛する前は、この航路が発着する下関港が、日本国内にある港の中では出入国旅客数トップだった程です。

下関港からは釜山航路以外にも、中国山東省・青島への航路も発着しており、今日でも国際旅客航路発着港における下関港の出入国旅客数は、国内では「BEETLE」などが発着する博多港に次ぐ地位にあります。
(どちらも韓国旅行の出入国箇所としては非常にメジャーな存在で、MAKIKYUの周囲には、韓国へ足を運んだ事がある人物も多数居るのですが、何故か博多や下関から出入国したという話は余り聞きません)

下関~釜山間のフェリーは、現在関釜フェリー(Kampu-ferry)と、韓国方の釜関フェリー(Bugwan-ferry)の2社共同運航となっており、関釜フェリーは「はまゆう」、釜関フェリーは「星希(Seonghee)」が就航しています。

MAKIKYUは下関→釜山の片道1回しか乗船した事がありませんので、乗船した事があるのは「星希」の方だけで、「はまゆう」にはまだ残念ながら乗船した事がありません。

最近は高速船の割引運賃が多数出回っている事もあり、事前購入で旅程が短い場合などは、所要時間だけでなく運賃面でも…という状況になっているのですが、普通運賃(定価)でも2等片道9000円、手元にパスポートがあって空席さえあれば、いつでもこの値段で海外旅行に行けるのは注目です。

船内も高速船とは異なり、広々とした空間と充実した付帯設備は大きなウリで、MAKIKYUが「星希」に乗船した際には、船内に「GS25」(韓国のコンビニ:商品は勿論韓国市中で売られているもので、支払いも韓国ウォンでした)もあり、乗船した瞬間から韓国気分が堪能できたものでした。

夜行での運航となり、税関が開くまでの船内待機時間も含めると、200km強の距離を移動するのに半日を要しますので、ビジネス用途や急用での移動をはじめ、観光旅行でも単に移動を手段としてだけ捉え、経済性のみを求める方には余り適さないかもしれませんが、時間的余裕が存分にあり、ゆったりと移動を楽しむ旅を求める方には、海外旅行のアプローチとしては絶好の乗物かと思います。

昨日MAKIKYUがこの関釜フェリーのHPを見た所、15日付けで「2013年春休み“青春18きっぷ旅”大応援キャンペーン」を実施する旨の告知が出ていました。

これは今春の青春18きっぷ利用者が関釜フェリーに乗船する際には、2等片道運賃が半額・4500円(予約時に予めキャンペーン利用を告知・下関発片道と、往復での購入の2通りで割引適用)という、キャンペーン名通りの韓国旅行大応援企画で、青春18きっぷ利用者層はフェリー利用を好む方も多いかと思いますので、なかなか良い企画と感じます。

青春18きっぷなどを多用する鉄道旅行愛好者の中には、飛行機で空を飛ぶのは…という事で、国内各地へは足を運んでいるものの、海外は…という方も少なくないかと思います。
(MAKIKYUもその一人ですが…)

とはいえ初めての海外旅行であっても、関釜フェリーであれば「BEETLE」などと共に船内や釜山港でも日本語も通用し、空を飛ぶ事もありませんので安心かと思いますので、今まで海外へは…という方も、このキャンペーンを機に韓国へ足を運ばれるのも一興なのでは…と思います。

MAKIKYUは現在仕事持ちの身だけあって、もう少し時間的余裕があれば是非このキャンペーンを利用して…という所で、また韓国を訪問するとなれば、「BEETLE」利用の可能性が高いのが現状ですが、関釜フェリーもこの企画は今季だけの限定なのか、それとも今後も継続して実施するのかも気になる所です。

またMAKIKYUが韓国へ足を運ぶ際、最もよく利用している「BEETLE」と共に、関釜フェリーもJR・船・KORAILがセットで割引となる「日韓共同きっぷ」(「BEETLE」利用ならMAKIKYUも利用した事があるのですが…)の対象航路に含まれていますが、JRグループとは直接関係のある事業者ではない関釜フェリーでも、この様な企画を実施する位ですので、かつてはJR九州直営だった「BEETLE」(現在は分社化されてJR九州高速船になっていますが、それでもJR九州の完全子会社です)も、JRグループのネットワークを生かした割引企画などが出てこないものか…と感じたものです。
(個人的には新幹線~BEETLEがセット、BEETLE欠航時に新幹線の乗車日変更が出来るパッケージ商品や、新幹線や在来線などのJR線利用者を対象に、購入が面倒で直前購入が出来ない日韓共同きっぷよりも、もっと制約の少ない割引乗車券、もしくはJR券提示での高速船割引などが出れば、と思っているのですが…)


未来高速「KOBEE」~日韓間を結ぶ韓国の高速船

2009-11-11 | 船舶[海外関連]

 

先月MAKIKYUが韓国を訪問した際には、博多~釜山間の日韓間往復で高速船(ジェットフォイル)を利用したのですが、現在同区間の高速船はJR九州高速船「BEETLE」と未来高速「KOBEE」の2社が運航を行っています。

両者は以前競合して運航を行っていましたが、2006年に共同運航を開始し、予約発券業務の集約化やダイヤの調整を行って現在に至っており、共同運航開始後は乗船券の相互利用可能化などで、乗客の利便性が向上している事は有り難い限りで、共同運航開始以降は、割引率の高い各種往復割引運賃や、回数乗船券類などを利用した場合に、往復で異なる事業者の船舶への乗船も可能になっています。

しかしながら共同運航開始以降はBEETLEが主に午前博多/午後釜山発、KOBEEが主に午前釜山/午後博多発のダイヤとなり、韓国を訪れる日本人旅行者にとってはBEETLEは利用しやすいものの、KOBEEは利用し難いダイヤ設定となっています。

そのためBEETLE/KOBEEの共同運航開始以降も、なかなかKOBEEを利用する機会はなかったのですが、先月韓国を訪問した際は、帰国日の釜山を午後に出国する2便中の1便がKOBEEでの運航となっており、今まで乗船機会の無かったKOBEEへ乗船する丁度良いチャンスという事で、出航時間はBEETLEより30分程早かったのですが、この便を選んだものでした。

KOBEEは現在3艘(KOBEE・KOBEE Ⅲ・KOBEE Ⅴ)が運航に供されており、MAKIKYUが乗船した船はKOBEE Ⅲでしたが、元々は香港~澳門間で用いられていた船を用いています。

KOBEEの3艘は「Boeing 929」と呼ばれるジェットフォイルで、BEETLEと同種の船ですので、装いこそBEETLEとは異なるものの、外見や運航速度などはBEETLEと大差ないものですが、運航事業者が異なるだけに、船内の内装などに違いが見受けられたものでした。

内装は華やいだ雰囲気を感じる改装後のBEETLEとは対照的に、比較的落ち着いた雰囲気を感じるもので、座席肘掛の形状が統一されている事なども評価できる点(BEETLEは複数形状の座席が混在しています)ですが、間接照明を多用している点は雰囲気は良いものの、窓際頭上に荷棚が設けられていない点は、BEETLEに比べ実用面でマイナスと言えます。

船内設備も普通席のグレードは両者共に大差なく、少しだけリクライニングする座席などは同様ですが、BEETLEでは改装前は1階前方(ジェットフォイルはBEETLE・KOBEE共に客室が1階と2回に分かれており、座席定員は双方合わせて200名程度です)に売店が設けられ、改装後は売店を廃止して物品販売をワゴンサービスで係員が巡回する形態に改められると共に、1階前方部分にグリーン席(普通運賃に加え、片道3000円の追加料金が必要です)を設けていますが、KOBEEではグリーン席の設置は無く、売店も1階後方に設けられているなどの違いがあります。

またKOBEEは韓国の事業者(未来高速)が運航する船舶だけあって、船内では一応日本語も通用するものの、乗組員は全て韓国人となっており、これに加えて船内の表示もBEETLE程日本語が多くない事もあって、博多に到着する少し前まで日本に帰国するという感が無く、乗組員が全て日本人で構成され、釜山に着くまで海外旅行へ行くという雰囲気を感じず、帰国の際も船に乗り込んだ瞬間から、日本へ帰ってきたと感じるBEETLEとは対照的です。

これらに加え、KOBEEでは船内での物販品目などがBEETLEと異なり、BEETLE利用のパッケージ商品利用時などに配布される船内でのドリンク引換券などは利用可能な様ですが、JR九州が30歳以下の若者向けに発行しているナイスゴーイングカードの会員が、BEETLE乗船時に特典として無料で貰えるコーヒーのサービスが無い点は要注意です。

今回KOBEEに初めて乗船した際の感想としては、グリーン席の有無を除けばBEETLEとは大同小異といった印象を受け、どちらの船舶で運航しているかよりも、利用したい時間に運航している船舶を選んで乗船すれば良いのでは…という印象を受けたものでしたが、KOBEEは日本人観光客が利用しやすい時刻に運航する事は比較的少ないのが現状です。

そのため韓国にお住まいの方や、日本人観光客が余り利用したがらない時間帯での乗船を除くと、KOBEEを利用する機会は少ないかと思いますが、「MAKIKYUのページ」をご覧の皆様も韓国へ行かれる機会があり、乗船希望時間帯にKOBEE運航の便がありましたら、BEETLEと乗り比べてみては如何でしょうか?

ちなみにBEETLEに関しては、以前「MAKIKYUのページ」で公開した記事もありますので、興味のある方はこちらもあわせてご覧頂ければと思います。

(「MAKIKYUのページ」をご覧の皆様へ)
最近更新頻度が低下気味となっていますが、日本国内各地の記事とあわせ、先月MAKIKYUが出向いた韓国関連の記事も今後続々と公開したいと思っていますので、韓国関連の記事を期待されている皆様は、もう少しお待ち頂ければ…と思います。


JR九州高速船「Beetle」(2)~リニューアルされた船内の様子

2006-09-28 | 船舶[海外関連]

  

一昨日・昨日と続いて韓国の話題を取り上げて来ましたが、今日は日本~韓国を結ぶ高速船「Beetle」について取り上げさせて頂きます。

「Beetle」に関しては「MAKIKYUのページ」でも先月に一度取り上げ、その際に概要などを記していますので、今日は最近リニューアルされた後の船内を中心に取り上げたいと思います。(以前の記事は以下を参照)
JR九州高速船「Beetle」(8月1日の記事です) http://blog.goo.ne.jp/makikyu/d/20060801

「Beetle」のリニューアルされた船舶は7月から運航を開始し、これから他の船舶も順次同様の仕様に改められる様ですが、リニューアル後の従来との相違点としては以下の様な特徴が挙げられます。


・グリーン席(追加料金3000円)の設置
この座席は1階前方(「Beetle」は2階建てです)の従来免税店とCoffee shopとなっていた部分に設置されていますが、船員の方の話だと座席はJR九州にやってくる前に他事業者で使用していたものを撤去し、メーカー(川崎重工業)で保管していたものを再用したとの事。

手すりの部分などに木材を使用し、座席そのものの造りも少々大きめですが、リクライニングの角度は小さく、付加サービス(茶菓のサービスなど)などが料金差の価値という要素が強そうな気がします。


・店舗スペースの撤去
グリーン席が1階前方に設置された事に伴い、従来あった免税店とCoffee shopは撤去され、飲み物や軽食のサービスは船員が船内を巡回する方式に変更。

これは春に鹿児島~種子島・屋久島間を結ぶいわさきのジェットフォイル「トッピー」が異物と衝突して負傷者が多数発生した事や、「Beetle」自体も海洋生物との衝突などが過去にあり、それを踏まえて乗客の船内移動を極力控える措置の様です。

ただ「Beetle」では過去にワゴンサービスなどの実験を行った事がある様で、その際は冬の荒れる玄界灘などでは大変という事で短期間で取り止めになった様なので、今後変更になる可能性もなきにしもあらず、と言った所でしょうか?

またこれに伴って船内後部などにワゴンサービス用の基地(?)の様なモノが設置され、一般席のピッチ拡張も行われている様なので、座席数は従来より若干減少している様です。


・内装のリニューアル
これが今回の改装で最も目に付く点で、従来はJR九州の「RED EXPRESS」を思わせるシックな感じの内装が特徴でしたが、改装後は最近のJR九州新型車や改装車をほうふつとさせる、木材を多用した明るい内装に。

これはJR九州をはじめ、両備グループ(岡山のバス会社)などのデザインを担当するデザイナー(水戸岡氏)の志向が変わってきた事も大きな要因?といった所の様です。

デッキ部分は黒をベースとした九州新幹線「つばめ」を思わせるものになり、座席(一般席)のモケットはオレンジ系(これは1つの船内で数種類の柄を用いており、中には両備バスの渋川特急で用いられている様な感じのものも…)、座席背面のテーブルも木材を用いたモノに変更されるなど、JR九州の列車や両備バスなど水戸岡氏がデザインを手掛けた交通機関に乗車された事がある方は、何処かで見た様な…という内装に仕上がっています。

また船内のトイレは、以前は全面鏡面仕上げのなかなかインパクトのあるもので、個人的には気に入っていたのですが、これは不評だった様で、リニューアルに併せて白系をメインとしたシンプルな感じに改められ、この他船内1階前方にあるテーブルも木材を使用したデザイナーこだわりの一品に…この木材は北海道から特別取り寄せたらしく、かなり高級品の様です。


以上に挙げた様な点が今回の改装の目立つ点で、以前乗船した時と比べて随分手が入っている…と感じましたが、手を入れた部分は専ら内装部分で、インパクトが強い割には経費はさほどでも…という事です。(船員の方より)

また今回の改装にあわせて、従来名目だけ韓国船(船籍は日本福岡・船員も全て日本人)として「ジェビJebi」(韓国語:「つばめ」の意)と名乗っていた船舶も全て「Beetle」に改められる様で、これは従来競合していた韓国側の船会社・未来高速の「Kobee」との共同運航開始も影響しているのかもしれません。

今回の改装でますます快適に利用できる様になった「Beetle」、MAKIKYUが韓国へ行く際には(更にその先への足掛かりにも…)いつもこの航路を利用していますが、「MAKIKYUのページ」をご覧の皆様も機会がありましたら、乗船時間も短く(約3時間)居住性も良好なジェットフォイル「Beetle」に乗船され、韓国へ行かれるのは如何でしょうか?
(韓国からアクセスされている皆様も、日本へ来られる際は是非如何でしょうか?)


画像は改装後の新「Beetle」外観(釜山港にて)とグリーン席、一般席の様子です。

また以下のリンク先サイトへトラックバックを送らせて頂きました。
「red star's Blog」 http://blog.goo.ne.jp/yasunarit2005/