JRグループといえば、日常生活での通勤・通学や、国内旅行などで列車やバスなどに乗車する事で、「MAKIKYUのページ」をご覧の皆様方の中には、お馴染みの方も多いかと思います。
JRグループの鉄道やバスなどは、在来線やJRバス一般路線をはじめ、高速鉄道(新幹線)や、一部の高速乗合バス路線などでも定期乗車券の設定があり、実際に購入された事がある方も多いかと思います。
(MAKIKYUも以前、JR東日本の定期乗車券を購入・利用した事があります)
JR旅客各社の鉄道各線やJRバス各社の定期券は、JRグループの鉄道・バス旅客営業路線が全て日本国内で完結していますので、当然ながら日本国内を移動する定期券となります。
しかしながらJRグループの旅客輸送は日本国内だけでは完結しておらず、空路の運航こそないものの、海路による国際航路が存在している事は、ご存知の方も多いかと思います。
JRグループによる国際航路は、かつてはJR九州直営だったものの、現在は完全子会社の「JR九州高速船」が運航しており、実際にこの航路を利用して海外へ足を運んだ事がある方も居られるかと思います。
MAKIKYUも初の海外旅行以来、「BEETLE」という名称を持つJR九州高速船の国際航路は何度も利用しているお馴染みの存在で、海外旅行で利用した事がある交通手段の中では、個人的には最も利用回数が多い手段になっている程です。
現在運航している航路は、福岡(博多)~釜山と、対馬(比田勝)~釜山航路の2航路で、MAKIKYUはまだ対馬島へは足を運んだ事がありませんので、比田勝航路には当然ながら乗船した事がありません。
福岡~釜山航路は、JR九州直営時代の「「BEETLE」運航開始当初から今日まで、20年以上に渡って運航しており、日本発着国際航路における年間旅客数もダントツの日本一を誇っています。
一時期は競合関係にあった韓国・未来高速の「KOBEE」と共同運航化を行い、今日に至っていますが、この福岡~釜山航路では遂に定期乗車券も発売開始となり、「BEETLE」HPにニュースリリースが出ています。
その名称は「ビートル平日フリーパス2013」で、JRグループの定期乗車券は今まで日本国内だけだったものの、遂に海外までの定期券も登場する様になったのか…と感じますが、既に博多~鹿児島中央間(288.9km)の新幹線定期券(通勤1ヶ月:206880円)が発売されている事などを踏まえると、国際航路とは言えども200km強の距離ならば、定期券が出てきても不思議ではないのかもしれません。
ちなみに今回登場する定期乗車券は、フリーパスと名乗りながらも、路線バスや一部地方私鉄などの定期券で普及している持参人式ではなく、JRの鉄道各線定期券などと同様に記名人本人のみ利用可能で、一部バス会社などで設定がある平日定期券と同様、名前の通り土休日などに適用対象外となる日が設定されています。
(とはいえ福岡発日曜日や、釜山発土曜日などは殆どが利用可能で、土曜日の福岡発と、日曜日の釜山発を除くと、適用対象外となる日は意外と少ない気がします)
また「BEETLE」は要予約の全席指定制で、定期券(フリーパス)に燃料サーチャージが含まれませんので、要事前予約+乗船毎に燃料サーチャージ支払いの必要が生じます。
そのためJRの鉄道や路線バスの定期券に比べると利便性が…とも感じますが、価格は年度方式(4月1日~翌年3月31日まで1年間有効)で5万円となっています。
5万円の定期券というと、一応大手私鉄の自社線内完結となる京成電鉄・京成上野~成田空港間(成田湯川経由:64.1km)が1ヶ月49900円、この片道1200円の区間を1ヶ月利用するのとほぼ同額です。
(この経路の一部区間は様々な問題を抱える曰くつきですので、大手私鉄路線とは見做し難い面もあるのですが…)
九州内では屈指の高頻度高速バス路線として知られ、西鉄・九州産交共同運行の福岡~熊本間「ひのくに号」の定期券は1ヶ月45000円(普通運賃は片道2000円)、これと比べても少し高い程度ですので、「ビートル平日フリーパス2013」は通用期間や運航距離、所定運賃(普通運賃は片道13000円)からの割引率と言う点では、驚異的な激安価格設定と感じます。
「BEETLE」の運航時刻や路線特性、別途燃料サーチャージを要する事などを踏まえると、さすがに国境を跨いでの日常的な通勤通学などはまず考えられず、場合によっては定期代よりも燃料サーチャージの累計額の方が…となる状況ですので、「ビートル平日フリーパス2013」は、実質的には用務や旅行などで月に数度の乗船が良い所かと思います。
それでも月に1往復→計12往復すれば、制約の大きい往復5000円の激安運賃を更に回数割引したと捉えても良く、そこまでの高頻度で乗船しなくても、年間で週末の利用除外日以外で4~5回程度、韓国内に3泊以上滞在する旅程での乗船機会があるなら、概ね現行各種割引運賃を複数回利用するよりも安くなります。
定期券所持者本人の韓国内滞在日数が制約されない事や、同行者2名まで往復10000円で乗船できる同行者割引特典(有効期間6泊7日)もある事を考えると、使い方次第ではかなり有用な定期券(フリーパス)なのでは…と感じます。
日韓航路では老舗の関釜フェリーも、青春18きっぷ利用者向けの割引企画を実施し、他に福岡(博多)~釜山間を運行するかめりあ(フェリー)も月替わりの企画運賃設定などを行うなど、各社共にサービス合戦を繰り広げています。
これらの割安運賃設定により、乗船客の増加→日韓交流の更なる促進も期待され、MAKIKYUも機会があればまた船で韓国へ…と感じています。
とはいえ首都圏に身を置く状況では、福岡や下関までの道程が少々…といった所で、新幹線でも片道4時間半~5時間の道程、その運賃・料金も決して安くない状況では、私用で年間指の数程度かそれ以上の回数で九州まで足を伸ばすのは少々厳しく、さすがに定期券は使いこなせないと感じてしまうのは残念な限りです。
国内旅行もどちらかと言うと西日本方面の方が贔屓、韓国や中国へ足を運ぶ時も便利…となると、関西や福岡など西日本方面の方が羨ましいと感じてしまうものですが、その他の諸事情も踏まえるとなかなか厳しいのが現状です。
(余談ながら関西~九州北部間は夜行フェリーを使えば比較的割安かつ快適に移動できる様で、青春18きっぷ利用での普通列車乗り継ぎでも夜行列車利用なしでの日着が可能、車両設備面でも結構快適に過ごせる車両が多く走っています。
新幹線も最近は「バリ得こだま」といった企画商品が出回るなど、距離的にほぼ同等の関西~首都圏と比べ、割安で快適な交通手段が揃っている感があります)
首都圏など東日本方面では、九州と海を隔てて200km程度しか離れていない韓国でも、旅行会社などは旅客航路利用客を想定していない状況で、旅行商品は航空機利用ばかりでパンフを見ただけでもウンザリさせられ、MAKIKYUの周囲でも韓国へ足を運んだという
話を聞くと、空を飛んだという話ばかり、それどころか中には「BEETLE」の存在すら知らない…という事もしばしばです。
空を飛ぶのが嫌でも、韓国などへ行ってみたいと感じる旅行者数は結構居るのでは…と感じますので、東日本方面では発売箇所や使い勝手の制約が大きい「日韓共同きっぷ」だけでなく、JR新幹線+「BEETLE」往復と宿泊を組み合わせた旅行商品を設定するなど、もう少し何とかならないものだろうか…と感じていますが、こんな事を感じてしまうのはMAKIKYUだけでしょうか?
(MAKIKYUが韓国へ足を運ぶ際は、最近は新横浜~博多間新幹線のぞみ号往復+福岡市内宿泊付きのビジネス向けフリープラン旅行商品(2週間程度までなら、1泊分以外の宿泊手配なしで帰路利用日の延長可)と、別途予約の「BEETLE」割引運賃組み合わせという有様ですので…)