先日「MAKIKYUのページ」では、近江鉄道で運行を開始した2両連接バス「JOINT LINER」に関して取り上げましたが、近江鉄道グループでは最新鋭の超低床輸入連接バスとは対極とも言えるバスも活躍しています。
この対極とも言える存在が、子会社の湖国(Kokoku)バスが運行している「彦根ご城下巡回バス」で、この路線は土休日などの昼間に彦根駅を起終点に、彦根城周辺など市内中心部を巡回運行する路線となっています。
この路線では専属車両を充当、ゆるキャラの一つで彦根の地名度向上にも貢献している「ひこにゃん」をデザインしており、このデザインは如何にも今風と言った趣ですが、車両面ではボンネットバスを充当しており、この車両選定は観光向けに特化した路線ならではとも言えます。
各地で観光巡回バスとして活躍するボンネットバスの中には、一般的なマイクロバスにダミーのボンネットを設けた「偽ボンネットバス」も数多く存在していますが、「彦根ご城下巡回バス」で用いられている車両は「偽」ではなく昭和40年代に製造された正真正銘の「ボンネットバス」です。
国内各地で希少な存在としても注目される正真正銘の「ボンネットバス」は、他メーカーに比べ、いすゞが長く製造していた事もあり、いすゞ製の車両が大半を占めており、「彦根ご城下巡回バス」で活躍するボンネットバスも、国内で現在活躍するボンネットバスでは多数派を占めるいすゞBXD30です。
正真正銘の「ボンネットバス」という事もあり、ひこにゃんをデザインした今風の装いを除けば見るからに古風な雰囲気が漂い、車内に足を踏み入れると、床も昔ながらの板張りとなっています。
(彦根市内を走る湖国バスでは一般路線用の中型車でも床が板張りの車両を稼働している姿を目撃していますので、日頃湖国バスを利用している地元の方から見れば、タダの古いバスにしか映らないかもしれませんが…)
また正真正銘の「ボンネットバス」という事もあり、走行中のエンジン音なども近年国内路線車としては絶滅した、BUやCJM系のいすゞ製モノコック車に近い雰囲気を感じる、如何にも古いバスといった独特なサウンドが堪能でき、見るだけでなく乗って楽しめる車両とも感じたものでした。
また「彦根ご城下巡回バス」は近江鉄道グループの一般路線バス回数券(金券式)などは通用対象外となっているのは少々残念と感じましたが、1乗車210円(彦根駅周辺の短距離利用以外)・2回以上の乗車で元が取れる1日乗車券(彦根城などの入場割引特典あり)が300円で発売されています。
そのため彦根へ足を運べば、希少なボンネットバスにも比較的容易に乗車できるのは非常に有り難く、「JOINT LINER」との乗り比べも面白いのでは…と感じたものでした。
(同じ滋賀県内の近江鉄道グループでも運行エリアは少々離れており、運行日なども異なりますので、両者が並んで活躍する姿を見る機会がまずないのは少々残念な気もしますが…)
しかしながら正真正銘の「ボンネットバス」という事もあり、当然ながら非冷房車ですので、夏の盛りには代車運行となる旨が告知されている上に、「彦根ご城下巡回バス」は観光向けに特化した路線という事もあり、運転日が限られているのも要注意と感じたものでした。
日本国内でも近年、2両連接バスを導入する事業者が相次いでいるものの、まだまだ少数派で物珍しい存在と言う事もあり、活躍自体が注目される状況となっています。
首都圏と並び公共交通が発達している地域として有名な関西でも、一般路線用に導入・運行を行っている事業者はまだ2つだけという状況で、運行路線も限定されていますので、関西在住の方でも「まだ乗った事がない」という方も決して少なくないと思います。
この2事業者の一つは兵庫県の神姫バス、同社では「オレンジアロー 連 SANDA」という名称で2台が活躍しており、この車両は最近になって土休日のアウトレット輸送にも充当される様になっています。
平日は週5日仕事や学校などで忙しく、土休日しか空いた時間が確保できないという方には、以前は非常に乗り難い存在だった同車も、最近は乗車難易度がやや下がった感があります。
同車に関してはMAKIKYUも以前に1度乗車、「MAKIKYUのページ」でも関連記事を公開(興味のある方はこちらをクリックして下さい)していますが、今月に入ってから関西では神姫バスに加え、近江鉄道でも関西では2例目となる2両連接バスの運行を開始しており、MAKIKYUは早速乗車する機会がありました。
近江鉄道では南草津駅~立命館大学(びわこ草津キャンパス:通称BKC)間を結ぶ路線の一部便に充当、連接車両は「JOINT LINER」と称しており、同車は2台導入されています。
「JOINT LINER」は神姫バスをはじめ、新潟交通以外の輸入連接バス運行事業者(岐阜乗合・神奈中・京成バス)でも用いられているベンツ製の「CITARO」と呼ばれる車種で、国内の連接バスでは最もポピュラーな車種と言っても過言ではない存在です。
一般車両とは大きく異なる単色塗装となっている点も、既に輸入連接バスを運行している他事業者と同様ですが、薄い黄色の塗装はインパクトの強い塗装を用いている輸入連接バス運行他事業者各社に比べると、やや控えめと言う印象を受けたものでした。
車内に足を踏み入れると、こちらも外観と同様に他事業者のCITAROとは色違いの同型車という印象で、国産バスとは異なる輸入車ならではの硬めと感じる座席なども、「オレンジアロー 連 SANDA」などと同様と感じたものです。
座席モケットは紺色となっており、これも鮮やかな印象を受けた「オレンジアロー 連 SANDA」などに比べると控えめの印象を受けたものです。
ただ車両前方には今流行の♡形吊り輪を用いたつり革も見受けられ、これは2両連接バスの中では全体的に控えめな印象の強い「JOINT LINER」において、一つのアクセントになっているのでは…と感じたものでした。
この「JOINT LINER」は特定時間帯に旅客が集中する学生輸送に特化して導入した車両と言う事もあり、南草津駅~BKC間を結ぶ各系統の中でも、専ら両区間を直行運行する便に用いられていますが、片道だけ実車運行を行い、残る片道は回送運行となる事も多くなっていますので、試乗で南草津駅やBKCに出向かれる方は要注意です。
(MAKIKYUが南草津へ足を運んだ際には、南草津駅発は16時前の便が最終でしたが、BKC発の便は18時過ぎまで存在する状況でした))
また日本国内では既にCITAROの2両連接バスを走らせている各事業者や、CITAROとは別タイプの2両連接車を運行している新潟交通以外でも、既に連接バスの試運転を行っている事業者が存在する状況です。
有資格の乗務員不足などが問題化している現状では、道路条件などの環境が整うのであれば、今後も既に運行実績のある各事業者をはじめ、それ以外の都市圏事業者でも新たに2両連接バスの運行を行う事例が増加する可能性は濃厚かと思いますが、近江鉄道でも当面2台のみの活躍で推移するのか、更に車両数を増やす事になるのかも気になる所です。
今日ネット上のニュース記事を見ていたら、「韓国で急行列車が脱線 機関士1人死亡、8人重軽傷」という記事が目に入ったものでした。
(以下青字部分はニュース記事抜粋)
韓国南部・全羅南道麗水(チョンラナムドヨス)市の栗村(ユルチョン)駅近くで22日午前3時40分ごろ、急行列車「ムグンファ号」が走行中に脱線した。乗員・乗客27人のうち、機関士1人が死亡し、8人が重軽傷を負った。関係当局が原因を調べている。
韓国鉄道公社によると、ソウルの龍山(ヨンサン)駅発、麗水エキスポ駅行きの9両編成で、事故で5両が脱線し、一部は横転した。日本人の被害は確認されていないという。
(記事抜粋は以上)
MAKIKYUは韓国への訪問回数も2桁に達しており、異国ながら全羅線の事故発生個所もムグンファ号(写真)で複数回通過した事があります。
また栗村(Yulcheon)は順天(Suncheon)市と麗水(Yeosu)市の境界に近い所で、両市中心部を市内バス乗継で移動する際の乗換地点にもなる街です。
(栗村自体は麗水市に属し、栗村まで順天市の市内バスが乗入れています)
栗村は有名な観光地などではなく、韓国の典型的な田舎町と言った雰囲気の街ですので、余り外国人が足を運ぶ所ではないと思いますが、MAKIKYUは以前市内バス乗継で順天→栗村→麗水と移動した事もあります。
その際に栗村到着時が丁度昼時、また麗水市内中心部へ向かう市内バスの待ち時間が30分強あった事から、バス停近くの食堂でカルククスを食べた事も覚えていますが、栗村という街の名前がこんな形で出てくるのは残念と感じます。
また今回の事故では乗客に多数の負傷者が発生している他、乗員の殉職者も発生しており、負傷者の早期回復と事故原因の究明、並びに同種事故の再発防止策を講じ、同様の報を再び聞かずに済む事を願いたいものです。
今月「MAKIKYUのページ」では、京都丹後鉄道(丹鉄)で近年運行開始した観光列車「丹後あかまつ号」と大改装を施した特急車両「丹後の海」に関して取り上げましたが、丹鉄では特別料金を要する観光列車や特急列車だけでなく、普通運賃のみで乗車可能な普通列車用車両でも改装が進行し、以前とは趣が異なる状況になりつつあります。
先日取り上げた「丹後あかまつ号」は、追加料金を要する観光客向け特別車両に加え、豊岡方に1両一般車両(特別料金不要)を連結した2両編成で運行している事を以前の記事でも記していますが、この観光列車の一般車両は「コミューター車両」と称する改装車両を充当しており、外観もクリーム色を基調とした装いに改められています。
この「コミューター車両」は一般車両の主力となっているKTR700・800形を改装したもので、「丹後あかまつ号」や「丹後の海」などと同様に、JR九州や両備グループなどの車両デザインを手掛けている某有名デザイナーが関与しています。
「丹後あかまつ号」一般車両としての運用だけでなく、未改装の同型車と同様に丹鉄線内の普通列車としても活躍、未改装車は順次改装見込みですので、今後数を増やし丹鉄の新たな主力となる日もそう遠くないのでは…という状況です。
用途が通勤通学などの生活交通向け主体という事もあり、木材をふんだんに用いた家具の様な座席などは見受けられず、座席は既存の転換式クロスシート(普通列車用にしては豪華な部類と感じます)をそのまま活用しながらも、座席モケットは某有名デザイナーが近年好んで用いている市松模様、床はフローリングに改められ、天井などは白を基調としたシンプルな雰囲気になるなど、某有名デザイナーが関与した車両らしい仕上がりとなっています。
また「コミューター車両」以外に、「丹後あかまつ号」の兄弟分とも言える「丹後あおまつ号」に改装された車両も1両存在、こちらは姿を見ただけで乗車機会はなかったのですが、特別料金不要列車としての運行ながらも座席は総取換え、内装は某デザイナーの個性が非常に強く表れたものになっています。
物理的には他の一般車両との混用も可能なものの、特定ダイヤ限定運行で一部運用は公表されるなど、「準観光列車」と言っても過言ではない存在になっています。
雰囲気的には「あかまつ」に近いものの、座席数が多い上に、向きが固定され進行方向と逆向きになってしまう座席が幾つも存在してしまうなど、居住性の面では「コミューター車両」に比べても難ありと感じてしまう雰囲気、好き嫌いが大きく分かれそうな存在と感じたものでしたが、観光向けに目を惹く存在としてはこれも悪くないのでは…と感じたものでした。
丹鉄は経営移譲に前後して様々な動きが見受けられ、何年も前のKTR(北近畿タンゴ鉄道)時代に利用した時とは随分雰囲気が変わったと感じますが、全国的にも注目され採用事例が増加している某デザイナーの関与が、ウィラーグループ内でも鉄道だけに留まらず、他交通機関にも波及する事になるのか否かも気になる所です。
JR九州と並び、某有名デザイナーが関与した車両が数多く存在する両備グループも、超低床電車「MOMO」のデザインに某有名デザイナーが関与した事がキッカケで他の電車やバス、船舶にも特徴的なデザインが波及し、現在に至っていますので…
去る14日夜に熊本県内で大規模な地震が発生、熊本市東郊に位置する益城(Mashiki)町を中心に大規模な被害が生じた事は、ニュースなどでも盛んに報じられていますので、「MAKIKYUのページ」をご覧の皆様方もご存知かと思います。
また14日の地震に加え、今日未明にも熊本県を中心に大規模な地震が発生、地震規模などを考慮すると14日の地震が「前震」だったとする見解も発表され、これはやはり本震の2日前にも大規模な地震が発生、本震では未曽有の被害が生じた東日本大震災を連想する状況です。
これ以外にも熊本県内を中心に、九州内で比較的規模の大きい余震発生も相次いでおり、まだ今日の地震に関しては被害の詳細も掴めていない状況ですが、14日の前震を上回る被害が生じている事はほぼ確実かと思います。
今回の各地震では家屋倒壊や各種インフラ寸断をはじめ、多数の負傷者も発生、また不幸にも亡くなられた方も居られるなど、人的被害も相当と感じています。
この場からも負傷された方の早期回復、並びに亡くなられた方の冥福を祈ると共に、熊本県内をはじめとする被災地域において、地震発生前に近い平静な状況に戻る事を願いたいと思います。
(写真は「MAKIKYUのページ」で過去に取り上げた熊本県内関連記事で用いた画像の再掲です)
今春の「青春18きっぷ」(JR普通列車乗り放題の格安企画乗車券)有効期間は10日で終了となりましたが、「MAKIKYUのページ」をご覧の皆様方の中には、今春にこの乗車券を利用して遠方への旅行などに出向かれた方も少なくないと思います。
MAKIKYUも今春に青春18きっぷを利用して西日本方面へ向かう機会がありましたが、その際には道中の静岡市内で途中下車、別途運賃を支払い静岡鉄道(静鉄)の電車にも乗車し、同線で活躍を始めたばかりの新型車両にも乗車する事が出来ました。
この新型車両は「A3000形」と称し、初期車登場から40年以上が経過した既存の1000形車両代替用に今後も導入予定となっていますが、既存1000形全編成(12編成)代替の内7編成は「shizuoka rainbow train」と称し、編成毎に異なる鮮やかな装いで登場する事も発表されています。
活躍を始めたばかりの同形第1編成も「shizuoka rainbow train」の一員でブルーを基調とした装いを纏っており、特徴的な前面形状と共に没個性的な印象になりがちな「sustina」と呼ばれる総合車両製作所(J-TREC)のメーカー標準仕様車でも、外観は特徴的な印象を受ける車両に仕上がっているのでは…と感じたものでした。
静鉄では久々に登場した最新型車両と言う事もあり、行先表示も静鉄では初登場となったフルカラーLEDを採用、日本語とEnglishが交互表示となるタイプですが、一部時間帯で急行列車を運行する関係で、運行列車の大半が普通ながらも、色分けされた種別表示も行われているのが特徴です。
(優等列車の運行本数などを考慮すると、普通運行時には種別無表示でも差支えない気もしますが…)
車内に足を踏み入れると、メーカー標準仕様をほぼ踏襲した車両と言う雰囲気が漂い、ステンレス剥き出しの客ドア内側やFRP成形の天井板などは、近年首都圏私鉄などでよく見かける光景と大差ない印象を受けます。
大型袖仕切りやバケットタイプのロングシートなども、近年の標準仕様と言う印象が強いものですが、ドア付近以外のつり革(長さが長いモノ)の吊り輪形状は他社ではまず見かけない独特な形状となっているのが大きな特徴と感じたものでした。
ただ専ら2両という短編成で地上区間のみを走行する事もあるのか、近年の新型車両では珍しく車両間の仕切り扉が見受けられず、貫通路も広幅となっているのが特徴的で、この点は昭和時代の私鉄車両を思わせる雰囲気があると感じたものでした。
運転台は既存の1000形と同様にT字型のワンハンドルタイプを採用、それどころかドアチャイムまで東急線でお馴染みのタイプ(東急関連以外ではまず聞かない)を採用している辺りは、東急の影響が強い路線ならではとも感じたものでした。
ただドア上に設置されたLCDモニターによる案内表示は、近年阪急電車や阪神電車の最新型車で見受けられるモノと同種と見受けられ、中国語や한국어も表示される横長タイプを採用しているのが特徴的と感じたものでした。
電車発車前のブザーや既存1000形とは異なる英語放送入り自動放送なども関西私鉄に近い雰囲気と感じ、車両面では関東私鉄に近い雰囲気が漂い、地理的にも首都圏からさほど遠くない地域を走る鉄道ながらも、静鉄グループがスルッとKANSAI加盟社局の一つという事も影響しているのか…と感じたものでした。
またスルッとKANSAI加盟社局の中では、南海電気鉄道も近年まで東急車輌製の車両を好んで導入、同社が東急資本から離れてJ-TRECに転換した後にもJ-TREC製車両を導入した事例がありますが、最新型車両では近畿車両製に移行した事もあり、A3000形はスルッとKANSAI加盟社局では初の「sustina」シリーズ登場という事にもなり、この点でも注目の存在と感じたものでした。
先日「MAKIKYUのページ」では京都丹後鉄道(丹鉄)の観光列車「丹後あかまつ号」に関して取り上げましたが、先月運行移譲後初めて乗車した丹鉄では、一般車両改造の観光列車だけでなく、特急車両の改装車両も昨年末に運行開始しています。
この車両は「タンゴディスカバリー」の愛称でも知られる2両編成の気動車・KTR8000形を改装、改装を施した車両は「丹後の海」と称しており、「丹後あかまつ号」などと同様に、JR九州や両備グループなどのデザインで定評ある某有名デザイナーが関与したモノになっています。
改装前の「タンゴディスカバリー」(写真)は、車両内外の雰囲気はJR西日本をはじめとする関西特急車両の典型、内装も万人受けする落ち付いた雰囲気の車両と言う印象でした。
しかし強烈な個性を放つ車両を、次々と国内各地に登場させている某有名デザイナーが関与した事で印象は大きく様変わりし、車体随所に英文字やロゴなどを配した藍色メタリックの装いを見ただけでも、随分な変貌を遂げた事を実感したものでした。
車内に足を踏み入れると、外観以上に大変貌を遂げており、木をふんだんに用いた内装や様々な柄の派手なモケットが混在する座席、展望スペースと客室との間に設けられた暖簾などは、某有名デザイナーがデザインに関与した車両らしいと感じ、近畿地方ではなくJR九州の特急車両に乗車しているのでは…と錯覚しそうになる位でした。
ちなみに近年某有名デザイナーがデザインに関与したリニューアル車両では、客室内を大改装しても天井は白基調のシンプルな造作としている車両が多く、丹鉄の「丹後あかまつ号」などもこの典型事例の一つと言えます。
「丹後の海」では天井部分や客室デッキ付近の側壁なども木材でコーディネート、天井から座席下を照らず照明器具も多数追設するなどの改造が施されており、この改造は某有名デザイナーが改装に関与した数々の車両の中でも、「丹後の海」における大きな特徴の一つと感じたものでした。
また某有名デザイナーは、新造車両においては客窓を各席毎に独立したモノにして、着席位置による展望性の優劣が少なくなる様に意図した車両を多数登場させており、改装車両でも旧高千穂鉄道の観光トロッコ列車を改造したJR九州キハ125系400番台「海幸山幸」などで、展望性を考慮した大窓に敢えてピラーを設けた前例がありますが、「丹後の海」でも元々座席2列分の大きさがある客窓の中央にピラーを設ける改造を施しているのも大きな特徴となっています。
この改造のお蔭で、各席毎にブラインドを任意の位置に調節できる利点はあるものの、展望性と言う観点ではマイナス要因にもなりますので、これは賛否両論が分かれる所で、個人的には大窓を持つ車両に関しては、わざわざピラーを設けずに大窓を活用しても…と感じたものでした。
様々な面で大改装された「丹後の海」は、以前の「タンゴディスカバリー」とは随分雰囲気が変化し、好き嫌いがハッキリと分かれる非常に強烈な個性を放つ車両に様変わり、関西私鉄の優等車両では南海の空港特急「ラピート」に用いられる50000系電車に匹敵するレベルとも感じたものでした。
個人的には従来の「タンゴディスカバリー」とは大きく異なる雰囲気も、総体的に見れば悪くないのでは…と感じていますが、観光向けの列車としての一般向けPRには絶大な威力を発揮しそうな反面、新幹線接続をはじめ、京都市内と府内北部を結ぶビジネス列車的な要素も強い列車にも充当される車両ですので、落ち着いた雰囲気の車両でゆっくりと過ごしたい向きにもどれだけ応えられるのか…とも感じたものでした。
京都~山陰本線経由~府内北部(福知山・舞鶴・宮津など)への特急としては、丹鉄車両だけでなくJR電車によって運行される列車が多数存在、ビジネス向けとしてはこちらの方が適した印象もありますが、乗客側もニーズに応じて両者を使い分ける動きが出て来るのか…とも感じたものでした。
JR電車も近年旧式の国鉄型車両を全面淘汰した事で、特急料金を徴収するのに相応しい設備や居住性を備えた車両ばかりになっていますので、観光旅行で天橋立などを訪問する際には、全く異なる雰囲気を持つ2者を乗り比べるのも悪くない気がしますが、「MAKIKYUのページ」をご覧の皆様方は如何お考えでしょうか?
先月MAKIKYUが関西方面へ足を運んだ際には、久々に京都府北部へも足を運び、北近畿タンゴ鉄道から事業移譲が行われた京都丹後鉄道(丹鉄)にも、移譲後初めて乗車したものでした。
丹鉄は旧高速ツアーバス大手のウィラーグループが運営している事でも有名ですが、運行車両でウィラーグループの都市間バスでお馴染みのピンク色の装いは用いられておらず、ウィラーらしいと感じるのは駅名標程度という状況と感じたものでした。
ただ北近畿タンゴ鉄道末期から車両の改装が進められ、近年JR九州や両備グループなどの車両デザインで定評のある某有名デザイナーが改装に関与したリニューアル車両が次々と登場、目を惹く存在となっています。
その一つが「丹後あかまつ号」で、一般車両の主力車両になっているKTR700形気動車を観光列車専用車両に改装し、一般車両と連結して特定ダイヤの普通列車として運行しています。
「丹後あかまつ号」乗車の際は310円の乗車整理券購入が必要ですが、満席でなければ車内でアテンダントから乗車整理券を購入する事も可能、また一般車両と併結する事で整理券完売時も列車への乗車自体は可能で、短距離利用の地元客にも配慮している辺りは評価できる気がします。
ちなみに「丹後あかまつ号」は「あかまつ」という名前の通り、赤を基調とした装いとなっており、同型車を改装した他の観光列車用車両は「くろまつ(黒)」と「あおまつ(青)」も存在しています。
車内に足を踏み入れると、随所に見られるロゴや英文字をはじめ、木をふんだんに用いた内装、市松模様を用いた座席モケットなどは非常に特徴的で、一方車両側面や天井の化粧板はシンプルな白色と言うのも、某有名デザイナーが最近改装に関与した車両の典型と言った雰囲気と感じたものでした。
乗務員室の折畳座席も客席とは異なるデザインながら、様々な所で某有名デザイナーが関与した車両に乗車した事がある方ならば、お馴染みとも言える柄のモケットが採用されており、これも地味ながら注目点の一つという気もしたものでした。
また客室中央付近には本棚も設けられ、この本棚には某有名デザイナー自らが車両デザインに関して記した本も見かけたものでしたが、某有名デザイナーが関与した観光列車に各地で乗車していると、他地域の某有名デザイナーが関与した観光列車と似た様な状況となっており、初乗車ながらも何度も乗車した事がある車両の様に錯覚してしまった面もあります。
とはいえ全区間乗り通しても料金310円で乗車できる観光列車としては、設備的にはまずまずという印象で、観光列車ならではとも言える景観の良好な箇所での徐行運転なども評価できると感じたものでした。
丹鉄は沿線のほぼ中間地点に日本三景の一つにも数えられる「天橋立」を抱えており、「丹後あかまつ号」も観光列車と言う列車性質上、天橋立駅で過半数の乗客が入れ替わり、西舞鶴~豊岡の全区間を乗り通した乗客はMAKIKYUだけという状況でしたが…