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阪急6300系「京とれいん」~特別料金不要車両では破格の設備を誇る観光用車両

2011-09-29 | 鉄道[近畿・スルッとKANSAI加盟社局]

今月MAKIKYUが関西を訪問した際には、阪急京都線で今年春に走り始めた6300系「京とれいん」と呼ばれる観光用車両にも乗車する機会がありました。

6300系は京都線特急と言う第1線から退き、この用途は現在、主に最新型の9300系が担っているものの、一部は4両編成に短縮されて嵐山線用に改造され、現在の嵐山線主力車両として活躍している事はご存知の方も多いかと思います。

嵐山線用に改造された車両に関しては、以前MAKIKYUも2回程乗車した事があり、「MAKIKYUのページ」でも取り上げた事がありますが、客扉が車端に寄った特殊な扉配置故に、花形から退いた車両でよくある扉増設改造は行われず、優美な外観を保っています。

設備的にも元々が一般車両にしては高級な部類に入る車両である上に、用途変更も影響して座席数こそ減少したとはいえ、座席は改造前と同じく転換式クロスシート(座席は別物に取り替えられています)を装備するなど、乗車時間の短い嵐山線内での運用では勿体無い位と感じてしまう程です。

そのため嵐山線で現在活躍する6300系は、デザインだけでなく設備的にも現代で充分通用し、それどころか下手な新型車両よりもずっと良いと感じる位です。
(少なくとも関西の狭軌某大手私鉄で走る一部指定席特急の、自由席車として運用される最新型車両よりはずっと良い気がしますし、首都圏で最近増殖している「某社レンズ付きフィルムに良く似た名称で呼ばれる事が多い電車」や、これに準じた車両は比較に値しない程です)

こんな車両ですので、嵐山線用の車両に乗車した際には、2編成併結した再び京都線特急で走らせてくれれば…とも感じた程でした。

嵐山線の6300系に乗車し、この様な事を感じるのはMAKIKYUだけではないと思いますし、阪急側も6300系には相当な思い入れがあるのか、一度は京都線から完全に退いた6300系を、嵐山線用とはまた別の形でリニューアルして再投入したのが「京とれいん」です。

「京とれいん」への改造に際しては、車内設備を観光用車両に仕立て直すと共に、編成も8両編成から中間付随車2両を外した6両編成に改められ、嵐山線への入線も可能になっており、現在の通常運用で入線する機会こそないものの、過去に嵐山線での運行実績もあります。


外観は「京とれいん」のロゴや、「和風」をイメージさせる扇子などのイラストが金色や銀色で追加された他は、美しいマルーンの装いを保っており、阪急らしい優雅な雰囲気を保ちつつも、一般車両との差別化を図っているのが特徴です。

外観は特に大きな形状変更などを伴わずとも、登場から30年以上が経過した今日でも見劣りしないのはさすがで、比較的完成度が高い車両の多い関西においても、際立っていると感じます。

車内に足を踏み入れると、6両編成の「京とれいん」は2両毎に車内の雰囲気を変えているのが特徴で、両端の2両ずつは設備的には従前と大差ないものの、座席モケットや化粧板、照明色などを変える事でイメージチェンジを図っています。


1・2号車と5・6号車では座席モケットの色彩を変えているのが特徴で、緑系モケットはともかく、朱色のモケットは阪急電車の一般的印象とは異なりますが、「木目の内装+グリーン系座席モケット」とは異なる内装でも、優雅な印象を感じるのは阪急ならではです。


この車両は京都線特急時代の座席をそのまま使用しているため、座席の足元が狭いのが難点で、見た目は古さを感じない6300系も、30年以上前に製造された車両と痛感させる部分ですが、少し前までの阪急電車(と系列をはじめとする一部鉄道)ならではともいえるアルミ製の鎧戸式日よけなども存置されています。

設備的に大幅なリニューアルが図られ、素人目には新車と見間違う程の嵐山線車両では見られない原型の要素が色濃く残っており、現在の運行形態が観光列車に特化している事を考えると、グレード的には新鋭の9300系には見劣りするとはいえ、往年の活躍ぶりを思わせる京都線の疾走が堪能できる事と共に、一部車両で原型の設備を存置する事も大きな付加価値かと感じたものです。

また2扉車でドア間にズラリと座席が並ぶレイアウトだけあり、座席数も確保され、ドアに近い端部以外は全て進行方向を向けられると共に、グループ利用の際には任意の座席を向かい合わせにできるなど、観光列車としては絶好の条件が揃っていると言えます。


そして「京とれいん」の目玉と言えるのが、京町屋風に改造された中間の3・4号車で、座席は2+1列のボックス席に改められ、座席定員は大幅に減少していますが、このお陰で座席は非常にゆったりとしており、この様な設備が設定できるのは観光列車ならではです。


この車両の座席は一部に畳を用いると共に、客室へのエントランスとして木製の格子状飾りが設けられるなど、原型とは大きく異なる変貌を遂げています。

木材を多用して「和風」を強く感じさせる内装は、どことなくJR九州などの車両を手がける某デザイナーが手がけた車両を連想させますが、このデザイナーならではの特徴と言える派手なロゴや英文字などはなく、某デザイナー関連以外で和の雰囲気を強く感じさせる内装も悪くないものです。

MAKIKYUは大阪梅田行快速急行始発の河原町駅からこの車両に乗車し、終点が近づき車内も空いてくる淡路を過ぎてから前方の車両に移動したものでしたが、大変貌を遂げた独創的な車両と、原型の雰囲気を色濃く残した車両のいずれかを選んで乗れる点は大きな魅力です。

また設備的には非常に優れ、居住性の良い車両に安価に乗車できるとは言え、同じ様な車両ばかりで京阪間の競合線区に比べて面白みが…という京都線特急に付加価値を付けると共に、快速特急として一部特急に続行する形で運行し、多くの着席機会を確保するという点でも、慢性的に混雑している京都線特急の補完的存在として、非常に有用な列車と感じたものでした。

6300系の車両規格故に、神宝線方面や地下鉄堺筋線への直通運転が出来ないのは惜しい限りですが、京町屋風のボックス席は設備的に優れているだけでなく、非日常的な独特の雰囲気を堪能できる事も考えると、多少の追加料金を課しても良いのでは…と感じた程です。


そして観光列車らしく車内には京都観光に関連したパンフレット類を設置したり、ワンマン列車以外の阪急電車では異例の自動放送(外国人観光客向けに4ヶ国語放送となっており、日本語はJRのワンマン放送を連想させる雰囲気で、中国語は全く理解できませんが、韓国語は彼の地と同じく次駅を「이번역」と放送していた点も評価できます)を流す点も評価できる所です。

関西では地下鉄以外の鉄道で普及が遅れている自動放送は、今後他の阪急電車にも普及する事を期待したいものですが、車内にLCDモニターなどの文字による次駅案内などを行う設備が見当たらなかったのは少々気になったものです。

京阪間を乗り通しても片道400円足らずで乗車できる車両にしては破格の設備と感じたもので、規格は大差ないにも関わらず、10分に満たない乗車時間で500円以上の高額運賃を徴収する事もしばしばという首都圏の辺境・北総監獄(千葉ニュータウン)を走る「開発を止めた某鉄道」(元○○開発鉄道)などとはえらい違いですが、土休日の快速特急での運転や貸切対応だけでなく、機会があれば嵐山線用車両の検査時代走などでの登板にも期待したいものです。

また再び「京とれいん」運転時間に阪急京都線を利用する機会があれば是非再び乗車したいと感じたものですが、「MAKIKYUのページ」をご覧の皆様方も乗車機会がありましたら、是非一度「京とれいん」へ乗車してみては如何でしょうか?


京阪10000系「きかんしゃトーマス号2011」

2011-09-25 | 鉄道[近畿・スルッとKANSAI加盟社局]

今月MAKIKYUが関西を訪問した際には、スルッとKANSAI 3dayチケットを利用して動き回った事もあり、関西の大手5私鉄は各鉄道共に何処かの区間で利用機会があったのですが、その中でも京阪電車は本線と共に交野線にも乗車機会があったものでした。

交野線は現在、大半の列車が4両編成のワンマン運転となっており、昼間時間帯などは枚方市~私市間を何本かのワンマン列車がピストン運行する形態となっています。

このワンマン列車はワンマン関連装備の関係で、比較的新しい10000系と呼ばれる車両に限定されており、この車両は本線の営業列車で遭遇する事はまず無いのですが、交野線に乗車するとかなりの高確率でこの車両に当たります。

10000系は比較的新しい車両だけあって、製造年次によって車内蛍光灯カバーの有無が分かれるなど、若干仕様が異なるとはいえ、古い通勤型車両などに比べると、編成毎の差異などの趣味的な面白みは少ないものです。

おまけに同系独特の装いだったターコイスグリーン1色の塗装も、他形式に比べて早く新塗装化が進められて絶滅したため、充当路線・列車が脇役的な事とあわせ、どうしても存在感の薄さは否めない気がします。


しかしながら交野線で活躍する1編成は、「きかんしゃトーマス」のラッピングが施されて随分派手な装いとなっており、この1編成だけは相当な存在感を誇っています。

MAKIKYUが交野線を利用した際には、このラッピング車両にも当たったものでしたが、運転時刻がHPなどで公開されている事もあって、この電車の時刻を狙って乗車した親子連れなども見られ、他の電車に比べて注目度は桁違いで、乗車率も高いように見受けられたものでした。

 
このラッピング電車は、外観だけでなく車内もきかんしゃトーマスの世界が拡がっており、化粧板の上に貼られたステッカーやつり革などに、きかんしゃトーマスで登場する多数のキャラクターが登場し、ドアステッカーもオリジナルデザインになっているなど、なかなか賑やかな印象を受けたものです。

 
車端の広告枠には、過去に京阪線内で走った「きかんしゃトーマス」ラッピング電車の写真も掲げられているのですが、京阪ではここ数年、本線系線区と大津線それぞれで年毎に異なる編成・デザインできかんしゃトーマスのラッピング電車を走らせている事もあり、随分様々なバリエーションが存在しており、きかんしゃトーマスにはさほど関心のないMAKIKYUとしても、このギャラリーは結構楽しめたものでした。

また交野線のワンマン列車は、当然ながら自動放送が流れるのですが、「きかんしゃトーマス号2011」の一部列車(専ら土休日の昼間)ではトーマスの声で放送が流れる様になっており、MAKIKYUが乗車した際にもこの放送が流れたのですが、通常の駅名案内の後にこの列車ならではの放送も追加されるなど、なかなか強烈なモノで、この様子を収めた動画を某知人に見せたら大絶賛していたものでした。

その上現在交野線では、起点の枚方市駅(交野線が発着する5・6番ホーム)を含む各駅で「きかんしゃトーマス」関連の装飾を行っていますので、まるで遊園地のアトラクションに乗車しているかの様な雰囲気を受けたものでしたが、沿線には有名な観光名所もなく、専ら通勤通学の足としての生活路線的色彩が強い交野線に、他所からの乗客を呼び込むには、悪くない施策とも感じたものでした。

ちなみに「きかんしゃトーマス」関連の電車は、京阪電車以外に山梨県内の中小私鉄(バス事業の方が大規模で、こちらは神奈川県や静岡県でも走っています)でも走っており、MAKIKYUは以前こちらにも乗車した事があり、「MAKIKYUのページ」でも取り上げた事がありますので、興味のある方は合わせて見て頂ければと思います。
(該当記事はこちらをクリックして下さい)

山梨の方は各駅の装飾やトーマスの声による放送こそないものの、車内装飾の徹底振りでは京阪より上で、どちらの方がトーマスの世界を深く堪能できるかは微妙な所ですが、京阪では1編成しかない珍車ではなく、何本かの編成が存在する比較的地味な存在の車両1編成をラッピングし、目を引く存在に仕立て上げたという点では、大いに評価できるかと思います。

あと最近乗車したキャラクター系ラッピング電車というと、きかんしゃトーマスではないのですが、この電車の他に首都圏某大手私鉄の10両固定編成という壮大な編成のラッピング電車にも乗車していますが、こちらは評判は上々だったものの、東京都の条例に接触するとの事で、早くも終焉を迎えるという残念な話がある事はご存知の方も多いかと思います。

京阪の場合は既に「きかんしゃトーマス」関連のラッピング列車運行実績が豊富な事や、東京都とは縁の無い路線という事もあり、首都圏大手私鉄の様な事態にはならないかと思いますが、今後各鉄道事業者においてラッピング電車等を走らせる事を自粛する方向には向かわない事を願いたいものです。


小田急F-Train・急遽ラッピング運行終了へ

2011-09-23 | 小田急グループ

先月小田急線で運行を開始し、鉄道ファンだけでなく一般利用者や沿線住民からも大きな注目を集めていた藤子富士夫キャラクターをラッピングした特別電車「F-Train」ですが、急遽今月末で車体ラッピングが終了となる事が発表されました。
(車内つり革などの装飾は継続される様です)

ラッピングが急遽終了になる事由は、東京都屋外広告物条例に接触するとの指摘が東京都都市整備局からあったとの事ですが、F-Trainの評判も上々だっただけに、ネット上でも「夢を乗せて走る電車を行政が潰す」「訳が分からない」といった類の見解が見られるなど、この事は随分波紋を呼んでいます。

F-Trainは沿線に藤子富士夫ミュージアムが開館する事に合わせて走らせたとはいえ、ミュージアム側からの広告費用を申し受けている訳でもなく、この列車を走らせる事で小田急側も直接特別な利益等は得ていない様ですし、中吊りではミュージアム開館の案内などもあるものの、車外にはこの事を宣伝する文句などもありません。

そのためMAKIKYUの個人的な解釈としては、広告電車という印象はなく特別塗装電車とみなしていますが、東京都側の見解としてはキャラクターのデザインだけでも屋外広告物の扱いになって届出が必要な上に、広告面積も規定を超えているとの事です。

東京都屋外広告物条例が広告物とみなす対象も随分厳しいと感じると共に、F-Trainは特に有害なものではなく、わざわざ取り締まり対象にする有益性がどれだけあるのか…と感じてしまいますが、「MAKIKYUのページ」をご覧の皆様方は如何お考えでしょうか?

また東京都内を走る電車以外でも、キャラクターのデザインを施した鉄道車両は全国で幾つも存在しており、その幾つかは「MAKIKYUのページ」でも取り上げていますが、他路線を走るキャラクターのデザインを施した車両にも、同種の条例による取締りや、新たな条例制定などで影響が波及しないか気になる所です。

※写真は以前「F-Train」に関する記事で使用したものの再掲です。


阪神電気鉄道 5550系電車~ニュージェットの増備車両

2011-09-21 | 鉄道[近畿・スルッとKANSAI加盟社局]

MAKIKYUは今月に入っても青春18きっぷに1回分の余りがあり、最後の1回分は有効期間最終日の10日まで持ち越したのですが、この日は仕事が早く終わり、その後この最後の1回分を使って普通列車を乗り継ぎ、神戸の三宮まで足を運んだものでした。

仕事後に出発した事もあって、静岡県内で日が暮れる有様で、兵庫県内に足を踏み入れたのは日付が変わってからとなり、この日は宿泊場所も決めていなかった事もあって神戸市内のネットカフェ泊となりました。

青春18きっぷ1回分相当額(2300円)+ネットカフェのナイトパックを合わせても4000円足らずで済みますので、青春18きっぷ利用の定番と言えるムーンライトながら号車中泊(指定席料金510円:時期によっては変動あり)よりはやや割高になりますが、体を横にして夜を越せる快適さなどを考えるとMLながら号での移動よりも快適です。

ましてやこの行程と同程度の価格になる格安バス(横4列席)などに比べれば、快適さは桁違いかと思いますので、MAKIKYUは以前にも似た様な事を何度か実行していますが、この様な格安旅行が出来る体力や気力がある内はまた…と感じています。
(旅行後の仕事の事等を考え、翌日以降の宿泊はビジネスホテル、帰りは新幹線利用とそこそこの出費が発生しているのですが…)

その後11日からは関西の多くの私鉄・バスが乗り放題となる「スルッとKANSAI 3dayチケット」を利用し、多数の鉄道やバスに乗車したものです。

阪神間を移動する際には、阪神間で最も海寄りを走る阪神電車を利用する機会もあったのですが、その際には昨年末に営業開始したばかりの5550系電車にも乗車機会がありましたので、取り上げたいと思います。

 
5550系は「ニュージェットカー」と呼ばれる普通車専用車・5500系電車の増備車で、まだ1本しか走っていませんので、日頃阪神電車を利用する機会が多い地元の方は別として、MAKIKYUの様な余所者にとってはなかなか捕まえ難い車両で、外観は5500系と非常によく似ています。
(2枚の写真は御影駅のほぼ同一箇所で撮影した5550系(左側)と5500系(右側)、興味のある方は両者を対比してみて下さい)


外観上はフルカラーLEDを採用した種別・行先表示や、シングルアーム式となったパンタグラフ(設置場所も5500系と異なります)などが5500系との大きな差異になっていますが、5500系の完成度が高い事もあってか、デザイン的には20世紀の電車5500系を踏襲していながらも、軽快な印象の装いもあって古さを感じないものです。

車内に足を踏み入れると、こちらも内装の色彩などは5500系と大差なく、ドア上の案内表示も相変わらずのLED式、座席も片持ち式ではなく暖房機のカバーが床面まで届くタイプであるなど、20世紀末の電車と言われても違和感ない雰囲気ですが、それでも最近首都圏で大増殖している「某社レンズ付きフィルムに良く似た名称で呼ばれる事が多い電車」や、その部品を多用した安物電車(今日では少数ながら関西でも走っていますが…)などに比べれば遥かに見栄えは良いものです。


大きな進化は感じなくても、最近の首都圏私鉄の様な退化を感じないだけでも羨ましいものですが、防火対策の一環で蛍光灯グローブが廃止され、蛍光灯がむき出しになっているのは5500系との相違点です。

これに加えて空調ダクトの形状も5500系とは異なったものとなり、天井だけ見るとなんば線~近鉄直通用のステンレス製新型車・1000系を連想させる雰囲気となっており、5500系に比べるとややシンプルな印象を受けますが、それでも蛍光灯取り付け部分の形状を工夫して見栄えにも気を配っている点は評価できるものです。

また5550系は、5500系製造開始から15年以上も経過している事もあって、VVVFインバーターをはじめとする下回りが刷新されている事が最大の特徴で、1000系電車に準じた下回りを用いて低騒音化が図られています。

そのため5550系は、5500系と1000系の要素をミックスさせる事で、既存車両をベースに最小限の設計変更で、現代の普通車専用車に仕上げたと言っても過言ではない気がしますが、阪神普通車の目玉と言える日本一の超高加速に関しては、1000系よりも電動車比率を上げる事で適応しています。

1000系は基本的にMT比半々(2両2編成で4両の場合は2M2T)の所を、5550系は3M1Tとしているのですが、それでも5500系は全電動車編成(4M)である事を考えると、編成内にT車を1両組み込んでも4.0km/hという驚異的な加速度を確保しているのは大したものです。

おおまけにT車組み込みでも編成出力は5500系を上回る様ですので、技術の進歩を実感させられますが、その一方で高速運転で知られる首都圏の標準軌某大手私鉄では、阪神普通車程過酷な加速は求められないにも関わらず、最近の新型車で4両全電動車という編成が大増備されていますので、節電が叫ばれる地域・時勢も踏まえると、せめて5550系程度のMT比にはできないものかと感じてしまう所です。

ただ5550系のT車は中間車ではなく、神戸方制御車(運転台付き車両)となっており、下り列車では先頭に陣取って超加速音を堪能できず、その上5500系の走行音は関西の車両で屈指のお気に入り、走りっぷりの良さも相まって時間に余裕があれば、5500系を選んで乗車する程(5500系普通車で阪神間を乗り通した事も何度かあります)のMAKIKYUとしては、趣味的な観点では5500系よりやや劣ってしまうと感じたのは惜しいものです。

とはいえ旧型ジェットカーに比べればかなり快適で、現代のサービス水準に合致するだけでなく、省エネにも貢献する車両かと思いますので、今後の増備にも期待したいと感じたものでした。


神奈中バス車内デジタルサイネージ「かなch.」モニター設置車に乗車

2011-09-18 | 小田急グループ

昨日MAKIKYUが馬車道駅前で開催された「バス利用感謝デー」イベントに参加した際には、現地までの足として神奈川中央交通(神奈中)の路線バスを利用したものでしたが、その際には10月から本格運用が始まる地域密着型情報配信サービス「かなch.」(カナチャンネル)のLCDモニター装備車両に当たったものでした。


「かなch.」は運転席背後にLCDモニターを設置し、天気予報やニュースをはじめ、各種広告などを表示するもので、既に電車ではドア上などにLCDモニターを2つ並べて設置し、その内の片方をこの用途に充てている事例が数多く存在しますが、首都圏の路線バスでは初と宣伝しています。

MAKIKYUも海外の路線バスで広告用モニターを設置している車両に当たった事(ただ次停留所案内などはなく、そのバスがFirst busと名乗っている割には…と感じた事もあります)はあるものの、日本国内ではまだまだ…といった感があります。

試験配信を行っているモニターを見ていたら、「かなch.」運用開始の案内や広告申込先、試験配信中の案内などと共に、天気予報やニュースなどが流れており、ニュース画面では関連画像が存在する場合には静止画像が表示されていたものの、関連画像が存在しない場合には「No image」という文字と共にキャラクター(神奈中との関連性は分かりませんが…)が登場するのはユニークなものです。


今日では携帯端末などが普及し、バスに乗り込むと降りるまでずっと端末に…という姿も良く目にしますが、基本的に携帯電話は非常用連絡手段として用いる程度で、ニュースなどは自宅のPCなどを使うMAKIKYUとしては、天気予報を確認し忘れたときなどには便利と感じたものです。

また電車やバスを利用する際には、結構車内の広告類にも目が行くものですが、ニュース以外にも地域情報などが放映される様で、現段階では舞岡営業所の一部車両(概ね年式の新しいワンステップ車が対象になっている模様)のみで実施される様ですが、今後神奈中の他営業所や他事業者でも同様の取り組みが広がるのか気になる所です。

あと先日「バス利用感謝デー」イベントに参加した際には、小田急バスの展示車両として動員された、武蔵境営業所の日野製ハイブリッドバス(ブルーリボンシティ・ノンステップ)車内にもよく似たLCDモニター(こちらもLECIP製)が設置されているのを目撃していますが、こちらは専らハイブリッドシステムの宣伝に用いられ、当面情報配信等の用途で用いる予定は無いそうです。


神奈川県バス協会主催・バス利用感謝デーイベントに参加

2011-09-17 | バス[首都圏]

来る9月20日は「バスの日」となっており、「MAKIKYUのページ」をご覧の皆様方の中には、この事をご存知の方も多いかと思います。


この9月20日や、その前後の土日・祝日などには、全国各地のバス事業者で様々なイベントをはじめとする企画が催されますが、MAKIKYUの地元・横浜でも神奈川県バス協会が主催の「バス利用感謝デー」イベントが馬車道駅近くで開催され、MAKIKYUは丁度休みの日でしたので、近場と言う事もあってイベントを視察してきました。

今回のイベントでは神奈川県内各事業者(一部を除く)の車両展示や、物販などが主な内容となっており、車両展示では日頃馬車道駅周辺を走るバスも幾つか見られましたが、普段ならまず横浜市内に顔を出す機会がない珍車も出没したものでした。


MAKIKYUの個人的な注目車両としては、東急バスが今後路線開設を予定している虹ヶ丘営業所~渋谷駅間の高速道路経由便などで使用予定の三菱ふそう製最新モデル(AT標準)のワンロマ車で、緑色の装いは田園都市線のラインカラーをイメージした様ですが、MAKIKYUはむしろ池上線の新型車両(7000)をイメージしてしまったものでした。


この車両の内部に足を踏み入れると、背もたれの大きな座席がズラリと並び、補助席も設けられるなど、バリアフリー対応のワンステップバスでは最大限の着席定員確保を狙っていると感じたものでした。

この事もあってか座席はやや狭い様に感じられ、リクライニング機能も装備していないなど、高速バスと言うにしてはやや物足りない印象があり、鉄道+一般路線バス乗継に比べて割高な運賃設定を予定している路線への導入となると、運行開始後の利用客評価がどの様になるのか気になる所です。
(ただ渋谷まで乗り換えなしである事に加え、首都圏で最悪の部類に入るラッシュ時の田園都市線における混雑から開放され、バスに乗れればほぼ確実に着席できるメリットはありますので、利用可能な交通機関の選択肢が増える事は悪くないと思います)


またMAKIKYUがこのバスの車内を視察している際には、会場内を駆け回って愛嬌を振舞っていた「はまりん」が丁度バスに乗り込み、運転席に陣取って多数のカメラが向けられる事となり、MAKIKYUは撮影者の邪魔にならない様に暫くバスの中に…という状況になりましたが、このバスの運転席には無事に乗り込めたはまりんも、神奈中バスの運転席には一生懸命入ろうとしても乗り込めず、諦めて引き返す一幕もあり、意外とメタボな一面も垣間見たものでした。


東急バス以外では、箱根登山バスの施設めぐりバスで活躍する「Skylight」を視察できたのも大きな収穫で、最近箱根方面へ足を伸ばす機会がないMAKIKYUは、このバスに初めて遭遇する事になりましたが、このバスも箱根を訪れる機会があれば是非乗車したいものです。


この他の事業者では、京浜急行バスが鎌倉市内で走らせている「りんどう号」用の特別仕様車を展示した以外は、専ら一般路線車の展示となっていました。

 
フジエクスプレス(グループ全体の規模は大きいですが、横浜市内での路線バスは小規模です)や大新東といった小規模事業者は、いくら稼動車両数の少ない土曜ダイヤ運行日とはいえ、少ない営業車の中から展示用車両をよく捻出したと感じたものでしたが、他の大手事業者は、国土交通省標準仕様ノンステップバスをはじめとする典型的な新型路線車が主流を占めており、変わったバスを幾つも走らせている事業者がこの様な車両を展示しているのを見ると、やや物足りない気もしたものでした。


とはいえその中でも県内最大手の神奈川中央交通は、馬車道駅前を通る路線にも充当される舞岡営業所の車両2台が展示されただけで、目玉の連接バスTwin Linerや代燃車三太号、自転車ラックバスなどの特徴的な車両の展示は無かったものの、昔使用していた「冷房車」マークを最新型車(お94号車)に掲げていたのは注目すべき点と感じたものでした。


JR小海線・小海駅を発着する路線バス~3事業者のバスが発着するにも関わらず…

2011-09-15 | バス[甲信越]

先日少し様相が変わったJR小海線を走るシリーズ式ハイブリッド気動車・キハE200形をはじめとした記事を取り上げましたが、MAKIKYUが先月末に小海線に乗車した際には、途中の小海駅などで途中下車する機会もありました。

小海線は小海駅を境に列車本数も大きく変わり、時刻表を見ると非常に目立つ存在の基幹駅ですが、時刻表をパッと見ると小淵沢寄りの印象を受けるものの、小諸方の佐久盆地内は駅間が短い事もあり、距離的には小諸の方が近くなります。
(小海線の中間地点は、小海から小淵沢方に3駅進んだ佐久海ノ口駅付近で、同駅は小諸・小淵沢双方からの営業距離がほぼ同等です)


この小海駅では、駅前を発着するバス事業者も3者存在し、駅前には3つのポールが立っているとなると、この話を聞いただけでは基幹駅ならでは…と感じる方も居られるかと思いますが、3事業者全てが白ナンバーの自治体バスで、民間事業者や交通局などの路線バスではない辺りは、地方における公共交通を取り巻く環境の厳しさを示していると言えます。

3つの自治体バスの内、一つは小海駅のある小海町が運行するバスで、このバスが小海駅での発着本数も最も多くなっています。

小海町営バスは主に町内交通を担うと共に、鉄道のフィーダー的存在も果たしていますが、小海では少し時間に余裕がありましたので、MAKIKYUは比較的本数の多い松原湖線に少しだけ乗車したものでした。

松原湖線は小海町内を起点に、松原湖駅入口を経由して松原湖方面へ向かう路線で、松原湖駅入口バス停はJR松原湖駅から徒歩5分程度と比較的至近にあります。
(松原湖駅にはバス停までの道程を示した標識もあり、こちらには徒歩3分とありましたが、駅からは上り坂になり、案内よりはやや余計にかかる気がします)

時間帯によっては、小海線小淵沢方面の列車がない時間にバス便が…という事もある程で、小海線と上手く組み合わせれば、小海駅~松原湖駅入口間での乗車は比較的容易で、MAKIKYUもこの区間で乗車したものでした。

運賃は区間毎に定められた運賃を、降車時に支払う方式となっており、初乗り100円、小海駅~松原湖駅入口間では200円と、長野県内の一般路線バスに比べて割安に設定されています。


MAKIKYUが乗車した三菱製中型車(AEROMIDI)は自家用仕様のトップドア車で、バス前面の字幕には行先を表示しているものの、側面は行先ではなく路線名を表示しているのはユニークです。

トップドア車ですので、当然ながら前ドアからバスに乗り込む事になりますが、車内に整理券発行機が見当たらない事から、先払いかと思い乗務員に訪ねたら後払いとの事で、後払いでは少数派の信用方式を採用しているのも大きな特徴です。
(後払い信用方式のバスは、以前岩国市内を走る自治体バスに乗車した事がある他、大手事業者の一般路線では、京成バスや奈良交通の一部路線に存在します)

また区間制運賃を採用する運賃後払いの路線バスでは、整理券発行機と共に、運賃表示器も定番のアイテムと言えますが、小海町営バスでは車内に運賃表示器も設置されておらず、代わりに運転席背後に設置された三角表で確認する方式となっていました。
(大手事業者でも、東北地方の一部などでは今でも運賃表示器を導入せず、三角表を用いている事業者が存在しています)

これに加えて日本国内のワンマンバスでは、殆どのバスで装備されている音声による案内もなく、いつ何処のバス停を通過したかも…という状況でした。

車内には自動両替装置付運賃箱の装備こそあるものの、路線バスとしては最小限度に近い質素な装備で運行しているという印象を受けたもので、乗客数が僅少で民間事業者が撤退し、自治体が最小限の経費で路線バスの運営を維持するための方策とも感じたものでした。
(MAKIKYUの近所では運賃前払い路線しか走らないにも関わらず、整理券発行機や運賃表示器を装備したバスがゴロゴロ走っており、これが3桁の台数になりますので、不要な装備にどれだけの費用を要しているのかも気になります)

あと小海駅前では乗車機会こそ無かったものの、北相木村の村営バスも目撃しており、こちらは小海町内と北相木村を結ぶ1本の路線が存在するだけですが、大都市圏のバスを連想させるいすゞ製中型ワンステップの最新型(ERGAMIO)で、行先もLED表示を採用するなど、随分斬新な印象を受けたものでした。


長野県内では民間事業者でも、一般路線車は大都市圏中古車の導入が相次ぐ状況を踏まえると、村営バスにしては随分意外な印象を受けたもので、車両自体は比較的標準的な最近のバスといった雰囲気ですが、この様なバスが白ナンバーの自治体バスで活躍する事自体が稀ですので、逆に強烈な印象を受けたものでした。

この他に小海駅では南相木村の村営バスも発着しており、今回は時間が遭わずに姿を見る事も叶わなかったのは残念ですが、機会があればその姿を見届けると共に、なかなか乗り難いバス路線ですが、乗車もできれば…と感じたものでした。


派手になったハイブリッド気動車・キハE200形「こうみ」とぶりっどちゃん

2011-09-12 | 鉄道[甲信越]

先月MAKIKYUが青春18きっぷを利用し、吾妻線の観光列車「リゾートやまどり」号に乗車した際には、その後西武高原バスを利用して長野県入りしたものでした。

このバスに関しても先日「MAKIKYUのページ」で取り上げましたが、その後しなの鉄道(青春18きっぷは使えませんので、別途乗車券購入です)を利用して小諸へ向かい、小海線に乗車したものでした。

小海線はJR線で最も標高の高い区間を走る事で有名で、標高の高い地点に位置する駅のベスト10は、大半が同線に集中する程ですが、これに加えて2007年にはシリーズ式ハイブリッド気動車・キハE200形「こうみ」が3両導入された事でも注目を集めています。


キハE200形「こうみ」は、MAKIKYUも登場直後に乗車した際には、「MAKIKYUのページ」でも記事を取り上げていますが、その後同系はおろか小海線の乗車機会すらなく、先月の小海線乗車は4年ぶりと言う状況でした。
(以前キハE200形「こうみ」に関して取り上げた記事をご覧になりたい方は、こちらをクリックして下さい)

 
4年ぶりに乗車した小海線では、主力となっているキハ110系列の気動車と共に、注目を集めているキハE200形にも乗車しましたが、ステンレス車体にブルーとイエローの装いこそ変わらないものの、車両前面に貼られた「KOUMI」ステッカーをはじめ、側面ドアボタン付近にはキハE200形を擬人化したキャラクター「こうみくん」のステッカーも貼られるなど、以前より随分派手になったと感じたものでした。


車内に足を踏み入れると、ボックス席背もたれ部分には以前には無かった黒色のシートカバーが掛けられ、このカバーには「こうみくん」と、見るからに今流行のキャラクターといった雰囲気の「ぶりっどちゃん」のイラストが印刷されており、すれ違い列車の車内からも良く目立つ程でした。

小海線の目玉車両と言う事もあってか、広告枠を利用してキハE200形の走行写真などを掲載したギャラリーとなっている点は、以前と変わらないのですが、目玉のハイブリッドシステムを華々しく宣伝するためだけに設置されていたLCDモニターは姿を消しており、ある程度の周知ができたので広告での宣伝だけで充分と判断されたのかもしれません。

 
また小海線ではキハE200形だけでなく、駅名標も一部で「わくわく エコランド 小海線」と表記され、「こうみくん」のイラストが入った看板(?)が追加されて遊園地の乗り物を思わせる雰囲気になった他、主力のキハ110系列気動車でも一部車両で「こうみくん」や「ぶりっどちゃん」のステッカーが貼られるなどの変化が見られたものでしたが、この様なキャラクター路線化が更に深度化していくのかも気になる所です。


軽井沢=草津温泉間を走る西武高原バス~吾妻線乗車の際には利用価値大の景勝路線

2011-09-09 | バス[甲信越]

先日「MAKIKYUのページ」では、JR吾妻線万座・鹿沢口駅とその周辺の様子を取り上げましたが、MAKIKYUが先月「リゾートやまどり」号で同駅に到着した後は、少々乗継時間が開くものの、バスに乗り継いで長野県内(軽井沢町)へ向かったものでした。

現在万座・鹿沢口駅を発着する路線バスは、主に西武高原バスという西武バスの分社が運行を担っており、他に廃止代替バスが少数発着する状況ですが、西武高原バスの路線は軽井沢駅~中軽井沢駅~鬼押出し園~万座・鹿沢口駅~草津温泉間を結ぶ路線が発着しています。
(万座・鹿沢口駅~草津温泉は、万座温泉・白根火山を経由する路線がメインで、吾妻線沿線から草津温泉へ向かう場合は、長野原草津口駅からのJRバス利用が運賃・所要時間・本数共に圧倒的優位です)

西武高原バスの路線車は、西武バス本体からの移籍車が大半を占めており、観光バスタイプ(一部は高速と兼用の様です)と路線バスタイプの両者が存在しますが、特に厳密な使い分けはされていない様で、同じダイヤでも日によって充当車両が大きく異なる様です。

そのため乗りたい車両に当たるかどうかは運次第といった所で、個人的には路線車が好きなMAKIKYUとしては、できれば大型路線車、せめて中型路線車に当たれば…と思っていました。

 
MAKIKYUが乗車した便では、少し前の西武バス本体で典型的な車両という雰囲気の、ベージュと草色の日産ディーゼル製大型路線車が充当され、側面字幕の雰囲気も西武バスそのものといった印象でしたので、個人的には大当りの車両に遭遇できたのは幸いでした。

西武高原バスでは、路線型の車両も大半は通称「レオカラー」と呼ばれる高速バスや伊豆箱根バス・近江鉄道などで用いられている装いとなっており、西武バス路線色のバスは少数派です。

そのため西武バス路線色の車両に当たったのは予想外でしたが、車内は2人がけ座席主体の着席重視仕様となっていた辺りは、観光地を走るバスならではと感じたものでした。
(西武バスから大型路線車を移籍させる際には、極力座席数の多い貸切兼用車などを選んでいる様です)


この路線は万座・鹿沢口駅から県境を越えて軽井沢町へ向かい、途中では浅間山麓の高原地帯を走行しますが、首都圏で乗り慣れたタイプの路線車から眺める浅間山の景観も格別でした。

ちなみにこのバスは群馬県方面から軽井沢町に入ると、中軽井沢駅を経由して軽井沢駅まで運行しますので、しなの鉄道で小諸・長野方面へ抜ける場合には、中軽井沢駅で乗り換えた方が、運賃・時間の両面で優位となり、MAKIKYUも中軽井沢駅で下車したものでした。


写真は中軽井沢駅到着時の、車内前方にある運賃表示器の運賃表示で、MAKIKYUが乗車した万座・鹿沢口駅は整理券番号「15」でしたので、一時間程度の乗車にしては決して安いとは言い難い運賃で、群馬県や長野県のバス運賃は全般的に割高な傾向がありますが、それにしても著名な観光地ならでは…と感じてしまったものでした。

景観の良さに加え、行き止まりの盲腸線的な印象が強い吾妻線末端部から、来た道を引き返さずに周遊ルートを組めるという点でも、なかなか利用価値のある路線ですが、この運賃と充当車両が一定しないのは難点で、全便を西武バス本体からの移籍路線車にしてでも、もう少し安くならないかと感じてしまったものでした

(お断り)この路線の走行エリアは群馬県~長野県に跨りますが、西武高原バスの拠点が軽井沢町にあり、先日の乗車区間に長野県内も含まれることから、「中部」カテゴリーでの取り扱いとさせて頂きます。


JR吾妻線 万座・鹿沢口駅~定期特急列車の終着にもなっている駅ですが…

2011-09-07 | 鉄道[北関東]

MAKIKYUが先月末に青春18きっぷを利用し、群馬県の吾妻線を走る臨時快速列車「リゾートやまどり」号に乗車した際には、始発の高崎から終点の万座・鹿沢口(Manza-Kazawaguchi)駅まで乗り通したものでした。
(今後来月運転予定の「リゾートやまどり」は手前の長野原草津口駅止まりとなっており、同車両で運転される特急「リゾート草津」も長野原草津口までの運転です)

 
万座・鹿沢口駅は嬬恋村にあり、吾妻線の終点・大前駅の一つ手前にありますが、特急列車の終着駅で名前を良く聞くものの、列車交換設備もなく、駅係員による乗車券発売も行っていない小駅(ゲロゲロと鳴く両生類(?)による特急券や指定席券の発売などは行っていますが…)ですので、この様な駅である事を知らずに初めて訪れた観光客などは、相当驚くのでは…と感じてしまう程です。

昼間の時間帯は列車の運転間隔も大きく開き、定期列車は青春18きっぷが使えない特急列車を合わせても、昼間は最大で3時間程運転間隔が開く上に、駅周辺も徒歩圏には観光名所と言える程の見所も乏しいのが現状です。

そのため駅から離れた箇所に点在する観光名所への、乗り換え拠点的な印象が強いのですが、接続するバス路線なども相次ぐ減便などにより、運行本数も限られています。

今日では運行本数の限られるバス路線も、主に定期特急列車などに接続するダイヤを組んでいるため、臨時列車の「リゾートやまどり」で万座・鹿沢口駅に到着しても、車などでの出迎えがない限りは…というのが現状です。

 
駅構内にあるバス時刻表も空欄が目立ち、駅前のバス乗り場も複数の乗り場があるにも関わらず、設備を持て余していると感じてしまうのは寂しい限りです。


その様な状況を見越してか、「リゾートやまどり」の到着時には、駅改札前で観光協会の係員が出迎え、徒歩1分程度の至近距離にある観光案内所で名産のキャベツ試食を宣伝していたものでした。


無料で食べ放題のキャベツは、本場の新鮮な採れ立てだけあって美味で、20~30分程度の時間潰しには充分ですが、さすがにこれだけで1時間以上も時間を潰すのは少々厳しく、MAKIKYUは駅から徒歩7~8分程度の所にあり、源泉掛け流し温泉の立ち寄りが手頃にできる民宿に立ち寄っていました。

他には駅近くのコンビニ(セブンイレブン)が1件、それと数件の食堂などがある程度で、最低限の食事は可能ですが、観光案内所で時間潰しに困った「リゾートやまどり」の乗客が多数見受けられたもので、これではせっかく吾妻線に観光列車を走らせても、10月の運転区間短縮は止む無しと感じたものです。

今後万座・鹿沢口駅発着の臨時列車を走らせる際には、列車を走らせるだけでなく、臨時列車に接続する臨時バスを走らせるなど、交通機関の確保をはじめとした観光客の受け入れ体制強化が必須と感じたもので、今後の改善に期待したいものです。


JR東日本485系「リゾートやまどり」(3)~その他車内編

2011-09-04 | 鉄道[北関東]

先日「MAKIKYUのページ」では、群馬地区を走るJR東日本485系「リゾートやまどり」車内座席に関して取り上げましたが、今日はそれ以外の車内の様子を、その他車内編として取り上げたいと思います。

MAKIKYUは「リゾートやまどり」改造前のお座敷列車時代に、改造種車となった車両には乗車した事がありませんので、以前との対比などはできませんが、元々がお座敷列車と言うかなり特徴的な車両だけに、設備的にも一般の旅客車両には見られない設備などが多く見られるのが特徴です。


両先頭車先頭部は、展望席を兼ねたフリースペースとなっており、JR東日本の観光列車は先頭部を特定の旅客向けの空間とせず、乗客全てが利用できる空間とする傾向が強いですが、この「リゾートやまどり」ではこの空間にゆったりとしたロングシートを配しており、ロングシートというと一般的に低級な印象が強いですが、一般列車でもこれ位の座席を採用すれば、結構評判が良いかも知れません。
(現に最近までテレビ付き車両を走らせていた某大手私鉄などは、一部座席をロングシートに改造する際、ロングシートでもクロスシートに見劣りしない様に…と意気込んだ座席を設置している程で、ロングシート=粗悪とは限りませんので…)


車両自体の前面窓が比較的大きな1枚ガラスを採用している事もあり、この展望席区画からは最前部or最後尾の車窓が良く見え、長さは青函トンネルに負けない(?)吾妻線名物の樽沢トンネルを通過した際には、客室内の座席に腰掛けているとなかなか実感しずらい凄さを存分に堪能できた程です。

ただサンバイザーの枠やモニターなどが結構目立ちますので、前面に太い柱がある車両(251系やキハ72系など)に比べると良いとはいえ、前面展望の様子を写真撮影する際などは、相当なズームを使わないと邪魔が入ってしまうのは少々難点です。


また「リゾートやまどり」の列車前面には、車内側から前面窓の下の方に、列車名を示すプレートを掲出しているのですが、現在運転している2列車ではそれぞれのプレートを用意しているのではなく、2列車の列車名を片面ずつに表記した両面表記のプレートにまとめており、車内側からは特急「リゾート草津」の列車名が丸見えの状況でした。

今後「リゾートやまどり」「リゾート草津」の2列車以外に充当する機会が生じた場合は、新たなプレートが用意されるのか、それともプレートなしで運行するのかも気になる所です。
(その気になれば「快速」部分だけをテープなどで塞ぎ、「リゾートやまどり」表示とするのもありかもしれませんが…)


ちなみに展望区画のある先頭2両には、車端側に洗面所とトイレ(洋式/男性用)が備えられており、他に3号車に車椅子対応の大型トイレもあるのですが、両先頭車のトイレ近くにはベンチの様な椅子が備えられ、列車のトイレは結構順番待ちで立ったまま利用待ちと言う姿を目にする事を考えると、ちょっとした装備ながらも結構気が利いていると感じたものです。

そしてMAKIKYUが乗車し、他車両とは窓割が大きく異なる2号車は、「リゾートやまどり」が展望性を重視して座席を窓割りに併せて設置したため、前後の座席間隔が異様に広い事は既出ですが、この車両の3号車寄りには『ミーティングルーム「和」』と称する畳敷きのフリースペースが備えられています。


この区画は「リゾートやまどり」の種車がお座敷列車である事の面影を、乗客に訴えかけている様にも感じたものですが、個人的にはこんな中途半端な形で畳敷きの空間を残す位よりも、いっそのこと窓割が異なる2号車だけお座敷のままで残し、この車両だけグリーン車扱いにでもした方が…とも感じてしまったものです。

この他の中間車も、4号車にはキッズルーム(子供向けの遊び場)が備えられ、3・5号車には両先頭車の展望区画とよく似たロングシートのフリースペースがあるなど、ただでさえ2+1列座席で座席の前後間隔が広く、座席定員が少ない車両を普通車扱いにしている割には、随分
空間にゆとりがあるのは、快適性の面では大いに評価できるものです。

ただ設備的なゆとりと言う面では破格でも、車内の内装などはあり合わせを組み合わせた印象が強い上に、観光列車ならではの演出要素に欠けると感じる点は、他のJR東日本における観光列車と同様です。

そのためハード面では破格の設備を誇るとはいえ、デザインで注目を集めだけでなく、車内での観光列車ならではの演出要素が充実しているJR他社(今年に入ってから新幹線の延伸が行われた会社です)の観光列車などに比べると、鉄道好きの旅客はともかく、それ以外の一般客へ列車の旅ならではの魅力を訴えるには…と感じる所です。

今後JR東日本の「リゾートやまどり」をはじめとする観光列車は、ハード面だけでなく、ソフト面での質的向上も課題かと感じたものですが、そのためには相応のコストも要するかと思いますし、会社体質や経営方針、土地柄なども関係しますので、なかなか難しいかもしれません。

それなりの運賃・料金を要する特急「リゾート草津」はともかく、普通車扱いの指定席券さえ購入すれば、割安な青春18きっぷなどでも乗車でき、現に割安な青春18きっぷを利用して快速「リゾートやまどり」で乗車した事を考えると、支払った対価以上のレベルではあり、過剰な要求かもしれませんが…


JR東日本485系「リゾートやまどり」(2)~座席編

2011-09-02 | 鉄道[北関東]

先日「MAKIKYUのページ」で取り上げたJR東日本のジョイフルトレイン「リゾートやまどり」ですが、この車両はお座敷車両を座席車に改造しており、この改造と共にグリーン車→普通車へ格下げも行われています。


運用上は普通車に格下げになったとはいえ、座席車への改造に伴って装備した座席は、旧成田エクスプレス車両の253系グリーン車で使用していた廃用品を採用しており、253系グリーン車と同様に2+1列の横3列座席となっています。

JR東日本では、在来線特急車はグリーン車でも2+2列の横4列座席を採用している車両が多く、JR他社の特急車に比べると設備的には…というのが現状で、その分グリーン料金をJR他社(JR九州を除く)よりやや割安に設定している程ですので、普通車扱いで横3列座席は破格のグレードを誇っていると言えます。

そのため現在「リゾートやまどり」を用いて運転している2列車の中では、割高な特急扱いとなっている「リゾート草津」でも、同区間の定期特急車両のグリーン車をはるかに凌ぎ、それにも関わらず定期特急列車の普通車指定席(全国各地のJR特急車の中で、最も陳腐な部類に入るかと思います)と同額で乗車できますので、グリーン車用の座席にしてはやや重厚感に欠けるのですが、普通車扱いではかなり乗り得な車両と言えます。

まして快速扱いで、車両名と同様の列車名を用いている群馬県内列車「リゾートやまどり」ともなれば、座席指定券さえ購入すれば、割安な青春18きっぷでの乗車も可能な程で、青春18きっぷで乗車可能な車両の中では、座席グレードは5本の指に入るかと思います。
(ただ首都圏の一部ホームライナーで用いられる251系電車のグリーン車に比べると、座席グレードはやや見劣りが否めないかと思います)


ただ元々外人(主に欧米系)受けするデザインを狙った成田エクスプレス用の座席を、和風の元お座敷電車に装備していますので、モケット交換こそ行っているものの、グレー1色でFRP製(?)の座席背面や袖仕切りなどは、車内の雰囲気とは随分浮いていると感じてしまい、如何にも有り合わせを組み合わせたという印象が否めない気がします。

また「リゾートやまどり」は、展望性を考慮して各座席と窓割が一致する様になっており、座席前後のシートピッチの広さもウリとなっており、車内で設備を案内する放送でも、「グランクラスや航空機ファーストクラス並み…」と謳っていた程(少々大袈裟な表現かもしれません)ですが、その中でも2号車だけは窓が他の車両より大きく、この関係で座席の前後間隔が他の車両よりも広くなっています。


MAKIKYUが「リゾートやまどり」の指定席券を購入した際には、乗車前日に指定席自動券売機を利用し、思いつきで空席照会をしたら、「△」(残数僅少)で座席選択ができず、窓側は満席の状況でした。

 
どの座席でも購入できるだけ良いと考え、指定券を購入したら、この2号車に当たったのですが、乗車してから車内を見渡すと、この車両だけ窓枠形状が異なる上に、座席自体も足置きや背面テーブルがないなど、他の車両とは雰囲気が若干異なるものでした。

足置きや背面テーブルがないのは、前の座席との間隔があまりに広過ぎて、前席後部に他車両と同形態で設置しても、用をなさない事が大きいかと思いますが、その代わりに肘掛部分に収納式のテーブルが備えられています。


この肘掛に装備されたテーブルは、弁当か飲み物のどちらか一方を置く位は支障ないのですが、両方を置くとなるとやや厳しい大きさで、使い勝手の面ではイマイチかもしれません。
(写真はこのテーブルに指定席券を置いた際の様子で、リゾートやまどりでは専用の検札印が用いられている点も注目です)

そのため座席間隔は異様なまでに広いものの、2号車とそれ以外の車両のどちらが良いかは好みが割れる所で、2号車以外の車両も、在来線特急グリーン車レベルのかなり広い座席間隔となっていますので、こちらでも占有空間の広さは充分過ぎるレベルと感じたものでした。

車内の座席以外の空間に関しては、近日中にまた別記事で取り上げたいと思います。