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今日開業したKTX京江線~運行車両はKTX 平昌?

2017-12-22 | 鉄道[大韓民国・KORAIL列車]

来年2月には韓国・江原道の平昌(Pyongchang)とその周辺で冬季オリンピックが開催、翌3月にはパラリンピックが開催される事が決定しており、ご存知の方も多いと思います。

韓国の中でも江原道は余り交通利便性が芳しくない街が多い地域で、オリンピック開催の中心都市となる平昌も首都・ソウルからの足は高速道路利用の都市間バスや自家用車でのアクセスが一般的な街でしたが、冬季オリンピック・パラリンピックの関係者や観客輸送対策も兼ねて高速鉄道整備が進められ、晴れて今日開業を迎えています。

新たに開業した高速鉄道は京江線と呼ばれる路線、同名路線は既に京畿道内でも一部区間が開通しており、こちらは広域電鉄の通勤電車が運行中ですが、今日開業したのはこの区間とは少々離れた江原道内の西原州(Seo-Weonju)~江陵(Gangneung)間です。
(正式には江陵駅周辺は既存の嶺東線との共用区間ですが、同線は江陵~正東津間が営業休止となっており新線切替も行われていますので、実質的にはこの区間も含め新規開業といっても過言ではないと思います)

起点の西原州では中央線と接続、KTX(高速列車)は全て同駅通過となっており、北海道新幹線開業前のJR津軽海峡線中小国駅を連想させる状況となっており、KTXも西原州以西(ソウル方)は既存の中央線(近年大改良されて複線化されていますが…)などを運行しています。

 
MAKIKYUは江陵→ソウルの片道で乗車しましたが、終点駅となっている江陵駅は立地場所こそ営業休止前と同様で、韓国ではよくある新線移設で不便な寂しい場所に…という状況ではないものの、既存駅舎を解体して新駅舎を建設しています。


以前は地上駅だったものの半地下式に改められており、以前の江陵駅を知る身としては随分変わったな…と感じさせられ、ホームは既存路線(嶺東線)と今日新規開業した京江線(KTX)でそれぞれ島式1面2線、両者併せて2面4線となっています。
(嶺東線の江陵~正東津(Cheongdongjin)間運転再開はオリンピック輸送終了後となる事もあり、今日は嶺東線ホームにKTXの予備車両1編成が待機していました)


駅舎内では京江線の新線区間に関する案内展示やパンフ配布もあり、開業初日らしいと感じたものでしたが、日本に比べると鉄道に対する関心が低い国柄も影響してか、100km以上の新線開業にしては静かなスタートとも感じたものでした。

 
KTX京江線で運行する車両は、既に実績のあるKTX-山川(Sancheon)を小改良した車両で、旅客案内上も「KTX-山川」と案内しているものの、車両表記はKTX-平昌となっており、車両運用も既存の京釜線や湖南線などのKTX-山川とは別になっている事も考慮すると、正式名称をKTX-平昌にしても良かったのでは…と感じたものでした。

KTX-平昌はKTX-山川を小改良した車両ですので、紫色のKTX-山川(現在はSRTとして運行)と既存KTX-山川の要素を融合した車両という雰囲気が強く、 運行距離が比較的短い事もあってか、SRTと同様に車内に売店が見当たらなかったのも特徴と感じたものでした。

 
LCDモニターによる案内も見慣れた雰囲気、MAKIKYUが乗車した一般室車は、既存KTX-山川とはカラースキームなどは類似しているものの、 車両自体は余り新鮮味を感じるものではない気もしたものでした。

 
ただモケットの柄や座席下の足元空間などは差異があり、足元空間が広くなった事は大いに評価できる事と感じ、個人的な座席評価(一般室)はSRT>KTX-平昌>KTX-山川>>KTX(論外)という印象です。


ちなみに特室座席は2+1列配置、シートピッチも広く確保されるなど一般室との差別化が図られていますが、一部で競合する優等高速バスに比べると、見劣りが否めない印象でした。


また江陵駅を出発すると、江陵駅周辺は単線区間となっており、名鉄岐阜駅(名鉄本線)や西武本川越駅の周辺を連想させる雰囲気とも感じたものです。

地上に出て嶺東線と分岐してからも暫くは単線区間が続く状況、走行時間で6~7分程度は単線区間を走る状況でしたので、高速鉄道にしてはかなり簡素な設備で運行する路線とも感じたものでした。


東海に面する街・江陵では降雪も日陰などに僅か…という程度だったものの、山間部に入り平昌辺りになると地面も真っ白という状況で、冬季オリンピック開催地らしいとも感じたものでしたが、既存の中央線と合流するまでが1時間強、停車駅の少ない列車なら1時間足らずなのでは…という状況で、新線区間は江陵~ソウル間の移動時間短縮にも大きく貢献していると感じたものでした。

ただ既存の中央線に入ってからは、広域電鉄や貨物列車なども運行する区間を共用する事もあり、時折徐行運転を強いられるなど、新線区間に比べると列車の走りも随分異なるもので、既存路線との直通運転も容易なKTXの特徴を実感するには絶好とも感じたものです。

ソウル市内にある清凉里(Cheongnyangni)では乗客の過半数が下車、その後は漢江沿いをゆっくりと走り、高速鉄道という印象とは程遠い雰囲気のラストスパートとなりソウル駅到着、江陵からは2時間弱の道程は、最後が勿体無い印象を受けたものでした。

ソウル市内~江陵方面のアクセス向上だけなら清凉里発着でも充分な反面、不慣れな外国人旅行者の移動利便性向上や既存高速列車との乗継などを考慮すると、ソウル駅や仁川国際空港(ソウル駅から更に西へ運行)などを発着する列車の設定も必須と感じたものでした。

今後五輪開催時には観客や関係者輸送などに大きく貢献し、その後も江陵など江原道の街とソウルを結ぶ路線として大きな役割を果たす事が期待される路線ですが、KTX-平昌はオリンピック・パラリンピック終了までの期間限定なのか、それともその後もこの名称を使い続ける事になるのかも気になると感じたものでした。


韓国・SRT試乗に参加(駅設備・配布物編)

2016-11-29 | 鉄道[大韓民国・KORAIL列車]

先日「MAKIKYUのページ」では、韓国でまもなく営業開始予定の新高速列車・SRTに関して取り上げましたが、今日は先日の続編で車両以外の駅設備や配布物などに関して取り上げたいと思います。


SRTのソウル側起点は水西(Suseo)駅、以前は地下鉄3号線の終点だった所で、ソウル市内の中では南東の外れと言った場所ですので、MAKIKYUはここまでの道程が結構遠いと感じたものですが、この一帯は結構な人口密集地帯で既存高速鉄道(KTX)が発着するソウル駅や龍山駅への移動に結構な時間を要する所ですので、KTX利用の便が余り芳しくないソウル市内南東部や隣接する城南市からの高速鉄道利用は、利便性が飛躍的に向上すると感じたものでした。


また水西はソウル市内の中では外れとはいえ既に市街地化が進んだ所で、日本なら東京23区の外れ辺りに近い感覚の所(蒲田・小岩・成増など)ですので、日本の感覚だとよくソウル市内で新たに高速鉄道の大規模な新駅を建設したと感じると思いますが、これでも中国で次々と開業する高速鉄道(CRH)の大規模ターミナルに比べると、コンパクトな駅という印象も受けたものでした。


近日営業開始予定のSRT専用新駅だけあって、駅構内も真新しく、トイレに入った際も足を踏み入れた際にこれは…と感じた程、誰も居なかった事もあり、思わず中の様子を撮影してしまう程でした。

  
水西駅構内の出発案内表示はLCDモニターを用いており、発着列車がSRT試運転列車だけと言う事もあり、特に試運転を示す案内はなく列車番号と出発時刻・行先などが案内されているだけでしたが、帰路のKORAILの既存列車も発着する木浦駅などでは、駅構内のLED案内で「SR試運転/SRT TEST」という表示が見受けられたものでした。

SRTはKORAILの既存列車線と同様に信用乗車方式を採用、駅構内には改札口は設置されずホームに立ち入ることが出来る様になっており、ホームは地下に設けられています。

 
水西駅の配線は島式3線(1~6番線)、中国のCRHターミナル駅に比べると小規模ながらも、発着列車数などを考慮すると日本の新幹線駅よりは設備的に余裕があるとも感じたもので、ホーム駅名標もKORAILとは異なる様式でしたが、かなりシンプルな印象でSRTロゴ位は入っていても…と感じたものでした。
(東京駅の東北・上越・北陸新幹線ホームなどは、以前より増設されたとは言えども、発着列車数を考慮すると設備的にはこれでもギリギリと感じますので…)


水西駅は起終点駅という事もあり、北側には車止めが設けられており、その先には地下鉄3号線水西駅へ続く連絡通路も設けられていますが、試乗段階では連絡通路は封鎖中で一旦地上へ出ての乗換を要する状況で、ただでさえ不便さが否めない水西までのアクセスに加えて…とも感じたものでした。

ちなみにSRTは水西以外に東灘(Dongtan)・芝制(Jije)の2駅も新規開業、この途中2駅の様子は撮影できていませんが、東灘駅は水西駅から50㎞強に渡って続く長大トンネルの途中にある地下駅で、通過列車を考慮してかホームドアが設置されていたのが印象的でした。


また今月MAKIKYUがSRT試乗列車に乗車した際には、往路の列車では記念品の配布があり、SRTイラストが描かれた化粧箱の中身は菓子類などでした。

復路の列車では試乗列車らしくアンケートの配布があり、アンケート用紙は外国人の市場参加を想定していないのか韓国語のみ、内容的には何となく推測できるものの…という状況でしたが、満足度を示す5択の設問で、満足か普通の箇所に○が大半と感じる内容でした。


このアンケートは用紙と共にSRTロゴ入りのボールペンが添えられ、これは回答に対する謝礼で持ち帰れる状況でしたので、営業開始前の試乗と言う貴重な機会を得られた事に加えて記念品も…というのは非常に有難いと感じたものでした。
(韓国語を理解できる方向けに、アンケート用紙画像は他画像より縮小率を下げて大サイズで公開しています)

今月の韓国訪問ではSRT試乗だけに限らず、今年開業した幾つもの新路線などにも乗車する機会があり、これらに関しても来月以降に順次取り上げていきたいと思っていますので、興味がありましたらご覧頂けると幸いです。

(お断り)先日のSRT記事と同様に、取り扱いカテゴリーは便宜的に 鉄道[大韓民国・KORAIL列車] での取り扱いとさせて頂きます。


韓国・SRT試乗に参加(車両編)

2016-11-26 | 鉄道[大韓民国・KORAIL列車]

今月MAKIKYUは韓国へ足を運ぶ機会があり、韓国内の知り合いに訪問の旨を伝えたら、SRT試乗の乗車券予約を余分に確保してあり、もし良かったら一緒にSRT乗車を…という誘いがありましたので、SRTに試乗したものでした。

SRTは来月開業予定の新高速鉄道で、ソウル市内南部の水西(Suseo)を起点に、平沢(Pyongtaek)市に位置する既存高速鉄道(KTX)との合流点までの60㎞強が新規開業区間、以南は既存高速鉄道と線路を共用する運行形態となっています。

車両規格的にはKORAIL電化区間なら広域電鉄の一部区間(一山線など)以外は可能かと思いますが、現段階では水西~大田~東大邱~釜山(京釜線)と水西~益山~光州松汀~木浦(湖南線)で営業予定となっており、KTXが運行するそれ以外の区間(麗水・馬山・浦項など)への運行予定はない模様です。

SRT試乗も実際の営業予定区間と同様に水西~釜山と水西~木浦の2区間(途中停車駅降車可)で実施され、運行本数も京釜線の方が多かったものの、需要も旺盛な事から京釜山線の方が確保し難い状況となっており、MAKIKYUが乗車したのは湖南線の方でした。

SRTの新規開業区間は開発の進んだ地域も多いソウル市内や南郊という事もあり、水西駅を出発してから50㎞強はずっと地下区間(トンネル)を走り、地上区間は10㎞程度しかないのが特徴で、水西駅から50㎞強にわたって続くトンネルは青函トンネルよりはやや距離が短いものの、鉄道トンネルでは新ゴッタルドトンネル(スイス)・青函トンネルに次いで世界第3位の長さを誇ります。

新規開業区間の途中には東灘(Dongtan)と芝制(Jije)の2駅も設置、東灘駅は長大地下区間に位置する地下駅ですが、芝制駅は既存のKORAIL京釜電鉄線に隣接する箇所に新駅が設けられ、KTX駅までのアクセスに難がある京畿道南部からの高速鉄道利用もかなり便利になります。


使用車両は既存KTX-山川をベースに、内装などを変えた130000番台の車両が新規に導入されたほか、KTX-山川の中でも昨年登場し、現在KORAILが暫定使用している120000番台の車両(通称ダリアン)もSRTに移籍して充当される事になっています。

新規導入された130000番台の車両は、外観はロゴを除くと塗装などもダリアンと同一で、両先頭車(動力車)と3号車(特室)を除く全ての車両が一般室(JRの普通車相当)、ダリアンとは客室定員なども同様です。


ただ試乗で乗車したSRT車両は、座席などがダリアンとは異なったものとなっており、乗車した編成では一般室でも特室車両の隣に位置する4号車だけが異なる形状の座席となっていたのが特徴で、最近JR東日本などが好んで導入している可動枕付(近年の韓国ではitx-セマウルなどでも導入)、モケットは黄緑色と茶色を基調とした落ち着いた雰囲気となっています。

 
それ以外の一般室座席はダリアン一般室と同様に可動枕なしながらも、角張った印象のダリアン一般室とは異なり、丸みを帯びた形状となっているのが特徴で、モケットも赤基調の華やいだ雰囲気となっていました。

座り心地に関しては個人的にはダリアン・SRT4号車・SRT4号車以外の普通車共に大差なくJR在来線特急やミニ新幹線の普通車とほぼ同レベル、シートピッチの面などで日本の新幹線最新型車両(N700系やE5系など)に比べると若干見劣りが否めないものの、足元空間の広さなどの面で既存KTX-山川よりは優れていると感じており、悪評名高いKTX一般室座席は比較対象外と言っても過言ではない位です。

  
乗車券予約の関係で同日中に往復乗車となり、当初は往復共に一般室乗車予定でしたが、復路は特室に空席があり、同行者が交渉して特室に乗車する事ができ、一般室との乗り比べも出来たものでしたが、こちらもダリアン特室とは座席モケットなどが異なっていたのは大きな特徴と感じたものでした。

ダリアン乗車は一般室のみで、MAKIKYUは特室に乗車した事はありませんが、KTX-山川の特室には一度だけ乗車した事があり、2+1配列で電動リクライニングを装備した座席というスペック自体は同様、乗車した際の感想もKTX-山川特室に乗車した際と同様にフル規格新幹線の普通車2+2列座席(N700系山陽~九州新幹線用車両や山陽新幹線700系レールスターの指定席車・九州新幹線800系車両など)とほぼ同レベルでした。

新幹線グリーン車などに比べると見劣りは否めず、シートピッチだけでなくリクライニング角度もさほど大きくない事を考慮すると、電動リクライニングは必要なのか…とも感じましたが、一般室に比べると特別料金を設定しているだけありワンランク上の設備で、1人席は相席を気にしなくて済むのは大きなメリットかと思います。


乗車した際の総体的な感想としては、座席に関しては車両自体が新幹線よりも小柄な事に加え、乗車時間が短い事もあってか、日本のフル規格新幹線に比べるとやや見劣りが…という所で、動力集中方式の車両だけあって、鋭い加速が特徴的なN700系などに比べると、出足の遅さも否めない気がしましたが、デッキ脇の荷物収納スペースなどは新幹線よりも優れていると感じたもので、既存KTX-山川などと同様に立席客向けの補助席をデッキ脇に設けているのも評価できると感じたものです。


営業運転を想定した試乗という事もあり、駅構内の案内表示はTest Run表示などが見受けられたものの、車内外の案内も営業列車同様に行われており、車外のLED表示はフルカラーではなくKTX-山川などでお馴染みの3色LED(韓国ではバスのフルカラーLED導入はかなり進んでいますが、鉄道は…という状況です)でしたが、水西の行先表示などは新鮮に感じたものでした。

  
車内案内は既存KTX-山川などと同様に、LCDモニターによる多言語表示(韓国語・英語・日本語・中国語)で次駅案内などを行っている点も評価でき、日本の新幹線がLED文字案内による2ヵ国語表示に頑なに拘るのは…とも感じたものでしたが、車内放送が韓英2か国語のみだったのは少々残念とも感じたものでした。
(韓国では一部の都市鉄道などで4か国語放送を実施しており、KORAILも一部の観光列車などで実施しています)

SRTに関しては始発の水西駅や、車内で配布された物品等に関しても、近日中に別記事で取り上げたいと思っています。

またSRT向けに新規導入された130000番台車両と共に、今後SRTで運行予定となっている120000番台車両(通称ダリアン)に関しては、昨年MAKIKYUが乗車した際に取り上げたブログ記事もありますので、興味のある方はこちらも併せてご覧頂けると幸いです。
(該当記事をご覧になりたい方は、こちらをクリックして下さい)


(お断り)SRTはKORAIL(韓国鉄道)とは別の事業者が運行する高速列車ですが、便宜的に 鉄道[大韓民国・KORAIL列車] カテゴリーでの取り扱いとさせて頂きます。


湖南高速鉄道用のKTX-山川~紫色の装いだけでなく客室内も…

2016-01-25 | 鉄道[大韓民国・KORAIL列車]

最近MAKIKYUは昨年韓国観光公社が開設、韓国好きの有志が韓国旅行に関する話題などの情報交換を行うサイト「みんコリ(みんなの韓国旅行)」にも時折アクセスしており、同サイト内へのブログ(みんコリログ)へも何度か記事を投稿しています。

その中では昨春に開業を迎え、昨年MAKIKYUが韓国を訪問した際に乗車機会のあった湖南高速鉄道用KTX-山川に関して取り上げていますが、「MAKIKYUのページ」ではまだ取り上げていませんので、今日取り上げたいと思います。

湖南高速鉄道は忠清北道・清州(Cheonju)市に位置する京釜高速鉄道の既存駅・五松(Oseong)を起点に、益山(Iksan)を経て光州広域市内の光州松汀(Gwangju-Seongjeong)までの182.2㎞を結ぶ高速列車専用線で、一部列車は益山以北のみの運行(益山以南で全羅線に乗り入れる列車も含む)となっています。
(KTX
は在来線にも乗り入れ可能ですので、この特性を生かして湖南高速鉄道を経由せず、既存の西大田(Seodaejeon)経由で龍山(Yongsan)~益山間を運行する列車なども存在し、五松以北は各列車共に既存の京釜高速鉄道に乗り入れて運行しています)

湖南高速鉄道は京釜高速鉄道に比べると、沿線人口や旅客需要も少ない事もあり、KTXの中でも列車長が短い新型のKTX-山川で運行する列車比率が高いのも特徴で、その中には湖南高速鉄道用に新規導入された車両も多数存在します。
(
湖南高速鉄道では既存のKTX-山川も混用されており、既存KTX-山川に関して以前「MAKIKYUのページ」で取り上げた記事をご覧になりたい方は、以下のリンクをクリックして下さい)
(1)(2)(3)←既存KTX-山川に関する記事(外観・一般室・特別室の3部構成です)


湖南高速鉄道用に新規導入された
KTX-山川は、車両デザインや編成数などは既存のKTX-山川と同様ながらも、白に紫色のラインという今までのKTX-山川とは異なる装いとなっているのが大きな特徴です。

物理的には京釜高速鉄道でも運用可能な車両ながらも、運用は基本的に湖南高速鉄道の一部列車のみに充当となっており、一部列車は2編成併結運行となっています。
(
既存KTX-山川とも併結可能かと思いますが、MAKIKYUが目撃した重連列車は同一塗装の編成同士のみです)


客室設備面では飲食物などの物販コーナーが姿を消し、座席も一般室・特別室共に既存のKTX-山川とは別物になっているのが大きな特徴です。


MAKIKYUが乗車した際にはモケットの違い程度はあるにしても、座席自体も別物を採用しているのは予想外でしたので、少々驚いたものでした。


座席に関しては既に「みんコリログ」でも取り上げていますが、一般室座席が日本の
JR在来線特急などで最近よく見かける背面テーブル付きの回転式リクライニングシートになり、足元も座席下空間が既存のKTX-山川よりも広くなっています。


最新型車両と言う事もあり、今流行のコンセントプラグも装備していますが、プラグ形状は韓国で標準的なCタイプとなっている辺りは異国の車両らしい所で、電圧も日本とは異なりますので要注意です。


他のKTX各列車と同一運賃適用(KTX逆向き座席以外)ながらも、他のKTX各列車より快適と感じるのは嬉しいものですが、それでもシートピッチなどはJR在来線特急やミニ新幹線並ですので、日本のフル規格新幹線の普通車標準レベルに比べると、やや見劣りが否めない気もします。
(
日本のフル規格新幹線が、普通車でも快適過ぎるだけという気もしますが…)

KTX
と既存KTX-山川は割高なKTX運賃適用の割には、設備面特に一般室座席が芳しくないと感じていましたので、ようやくKORAILでも決して安いとは言い難いKTX運賃に見合うだけの車両を登場させたと感じると共に、湖南高速鉄道と京釜高速鉄道の五松以北でKTXを利用する際には、今後も是非選んで乗車したい車両と感じたものです。


ただ特室に関しては見ただけで乗車していませんが、シートピッチや座席幅などはまずまずながらも、リクライニングは電動式ながらも傾斜角度はさほどでもない雰囲気でしたので、この点は今後改善の余地ありかも…と感じたものでした。

また「みんコリ」のアドレスは以下の通りです。
https://minnakorea.jp/

このサイト内のみんコリログ(https://minnakorea.jp/blog/)MAKIKYUが投稿した記事もあり、当該記事では既存のKTX-山川とKTXも含めた韓国の高速列車各車両の座席に関して取り上げた記事もあります。

また文字数の関係で記事を分割していますが、韓国鉄道(KORAIL)の一般列車座席に関して取り上げた記事もあり、各列車の設備面での違いなどを一般向けに説明していますので、興味のある方はこちらもご覧頂けると幸いです。
(KORAIL
各車両の座席に関する感想コメントなどがありましたら、みんコリログ内とこの記事のコメント欄どちらを利用して頂いても結構です)


日韓共同きっぷ・遂に発売終了

2015-04-04 | 鉄道[大韓民国・KORAIL列車]

今日JR九州とJR西日本のHPへアクセスしたら、昨日付けで日韓共同きっぷの発売終了に関するお知らせが出ているのを確認したものでした。

〈日韓共同きっぷの画像は、近日中に追って掲載したいと思います〉

日韓共同きっぷは日韓両国の鉄道(JR・KORAIL)と、両国間を結ぶ航路(高速船BETTLEか関釜フェリー)をセットにして、それぞれの乗車券・乗船券を別々に購入するよりも割安になる企画乗車券で、片道タイプで設定されているのが大きな特徴です。
(日韓両国の鉄道のみで、航路部分を自身で別途手配するタイプもあります)

ただ出発駅が限られている上に、出発駅周辺の旅行会社などでしか購入できず、その上出発間際の購入ができないなど、制約が非常に大きく使い勝手が芳しくないのが現状です。

既に発売実績が僅少なJR北海道やJR東日本のエリアに関わる設定は廃止されており、他の企画乗車券や旅行商品などを組み合わせた方が優位な状況である事が殆どという状況ですので、発売終了もやむを得ない気がします。

とはいえMAKIKYUは過去に日韓共同きっぷを2回程利用した事があるだけに、少々残念に感じる面もあり、「MAKIKYUのページ」をご覧の皆様方の中でも日韓共同きっぷを利用した事がある方は、同感と感じる方も居られるかと思います。
(ちなみにMAKIKYUが以前日韓共同きっぷを利用した際は、小倉発と佐賀発でどちらもソウルまで、日韓間の移動はBEETLE利用タイプを通販で取り寄せたものでした)

近年はJR九州高速船「BEETLE」で割引率の高い割引運賃が設定される事が多く、首都圏や京阪神方面からだと九州までの新幹線ビジネスパック、福岡市周辺以外の九州在住なら博多までの2・4枚きっぷなどと、BEETLEの割引運賃を組み合わせた方が…というのが現状です。

MAKIKYUが最近韓国へ足を運ぶ際も最近は専らこのパターンで、実質的に差し支える事はあまりないのですが、KORAILを利用した事がない海外旅行初心者にとっては、日韓共同きっぴでは特定列車限定とはいえども、日本国内でKORAILの列車手配が可能なメリットもあります。
(KORAIL部分はOPEN発券とした上で、韓国到着後に指定を受ける事も可能で、MAKIKYUは差額精算でKTX特室を利用した事もあります)

一時日本人でも入会可能で、ネット予約や割引特典などがあったKORAILの鉄道会員制度も、後に住民登録番号か外国人登録番号がないと列車予約などが不可能になる改編が行われ、韓国非居住者のMAKIKYUは会費返還→退会せざるを得ない羽目になりましたので、これに代わり今後日本国内でもKORAILの列車手配が可能な体制が整う事を望みたいものです。

またJR西日本のHPでは今後JRとBEETLEなどの船舶、KOREA RAIL PASSをセットにした商品の設定予定である旨の記述が見受けられますが、今後具体的な発表が行われるとの事ですが、新商品がどの様な内容になるのかも注目したいものです。


(お断り)記事内容的にはJR・船舶・KORAILと多岐に跨りますが、この記事は鉄道[大韓民国・KORAIL列車]カテゴリーでの取り扱いとさせて頂きます。

 


KORAIL・南道海洋観光列車「S-train」(3)~乗車編

2014-09-28 | 鉄道[大韓民国・KORAIL列車]

「MAKIKYUのページ」では6月に乗車したKORAILの南道海洋観光列車「S-train」に関する記事を2つ程取り上げましたが、今日はその続編として乗車中の車中から眺めた景色や、停車駅の様子などを取り上げたいと思います。

MAKIKYUが乗車した「S-train」は、一応「慶全(Gyongjeon)線」の列車という扱いになるものの、列車の始発駅となっている釜山(Busan)から、同線の始発駅・三浪津(Samnanjin)までの50km弱は、KORAIL一の大幹線・京釜(Gyongbu)線を走ります。


京釜線は韓国初訪問以来、MAKIKYUは訪韓の度に何処かの区間、時には全区間を利用する路線ですので、訪韓暦2桁に達したMAKIKYUとしては、異国の鉄道ながら通い慣れた道の様にも感じる状況ですが、それでも釜山の市街地を抜けて洛東江沿いを走る車窓は、個人的にはKORAILの中でもお気に入りの一つです。

アメリカンスタイルのDLが牽引する客車列車や貨物列車、フランスTGVベースの高速列車・KTXなどと次々にすれ違う光景を見ると、釜山の街中など各地で見受けるハングル表示などと共に、福岡からは200km強、長崎県・比田勝(対馬市)からは直線距離で100kmも離れていない地ながらも、日本国内ではなく海外までやって来たと感じるものです。

慶全線の起点・三浪津は列車分岐のためにある駅といっても過言ではなく、S-trainも一旦停車したものの、通過駅だけあり運転停車のみですぐに発車となります。

慶全線における旅客流動の主流となっている京釜線大邸(Daegu)方面(更にソウルまで直通する列車や、東大邸でソウル方面列車と乗り継ぐ乗客も多数あり)からは、KORAILではありふれた存在と言える三角線で三浪津駅の西側をショートカットしている上に、釜山方面から慶全線沿線の各都市へは大回りとなり、釜山方面~慶全線方面への直通列車運行本数は1日数本と言う状況です。


おまけに三浪津始発の慶全線列車が皆無である事も災いしてか、釜山市内~慶全線沿線各都市間の旅客輸送は、市外バスなどの都市間バスに比べて劣勢ですので、一応分岐駅ながらも停車列車は少なく、実態は京釜線の一小駅に近い状況と言っても過言ではない状況で、この事も災いしてか駅構内も閑散とした状況でした。
(日本国内で例えるなら、岩手県・盛岡~宮古間の都市間バスと鉄道の都市間輸送状況に近いと言っても過言ではありません)


慶全線に入ると、以前は全線が単線非電化で如何にもローカル線という雰囲気だったものの、近年大規模な線路付け替えを伴う複線電鉄化が進められ、晋州(Jinju)まではKTXも走る様になった事から、この区間は新線に乗車している様にも錯覚し、よくここまで大規模な工事を次々と…と感心する程です。


途中停車駅の馬山(Masan)では、JR九州が「ななつ星」の運行を計画する際に、参考にしたとも言われるクルーズトレイン「ヘラン」の姿も見受けられましたが、停車時間が短い事もあり、じっくりと撮影できない状況なのは少々惜しいと感じたものでした。

晋州を過ぎると、複線電化の真新しい路線とは一変し、単線非電化で比較的きつめの曲線も多い状況となり、列車の速度も落ちるなど、如何にもローカル線と言った雰囲気に様変わりします。

交通機関としての機能性は劣るものの、趣味的な面白さと言う観点では、こちらの方に軍配が上がり、暫く走ると北川(Bukcheon)駅に停車します。

北川は同名駅がJRにも存在していますが、北川に限らず日本と漢字表記が同一の駅名が多数存在(仁川や水原、東海などが代表例)し、異国ながらも親近感を感じる辺りは、韓国の鉄道ならではと言えます。
(中華人民共和国も青島や松江など、日本と漢字表記が同一の駅名が幾つも存在しており、鉄道駅の無い都市名も含めれば、北川という地名も3カ国に存在します)

MAKIKYUの知人の中には、JR北川駅に停車する列車には幾度も乗車しているものの、同駅を通過する列車には殆ど乗車せず…という人物も居るのですが、MAKIKYUは日韓どちらの北川駅も通ったのは数回程度です。


両者は島式ホーム1面2線で上下列車が離合可能な、単線区間にある田舎の小駅と言う共通点もあります。


KORAILの北川駅は駅構内に多数のコスモスが植えられ、近年では「コスモス駅」として駅名票なども特別仕様になっているのが特徴で、4分程度と短い時間ながらも、S-trainは観光列車らしくホームの散策などができる停車時間も設けられています。

北川を出ると、宝城行のS-trainではその後順天(Suncheon)と得粮(Deungnyang)の2駅でも長めの停車時間が確保されていますが、前者は全羅(Jeolla)線と慶全線が交わるジャンクションで、全羅線を走るS-trainと相互接続を図るための停車ですので、駅自体に特別なイベント等はありません。

ただ全南地区における鉄道の要衝だけあり、駅構内では多数の車両が留置されている姿などを見る事もでき、レールファンであれば注目のポイントかと思いますし、全羅南道では大規模な部類に入る町で、周辺に観光スポットも多数抱える事から、順天で下車する乗客も多く、順天を過ぎるとS-train車内も閑散とした状況になります。

 
そして終点宝城の一つ手前・得粮では10分程の停車、運行本数の少ない慶全線順天以西ながらも、丁度ここで定期列車(ムグンファ号)との列車交換が設定されているのですが、同駅到着前は終点を目前にこの小駅で長時間停車は…とも感じたものでした。

 
得粮の駅舎内にはかつて使用していたタブレット閉塞の機器類や、今は見られないピドゥルギ(鳩)号列車をはじめとする多数の写真なども展示されており、これらを眺めていれば多少の停車時間があっても…と感じる状況でした。

駅周辺もレトロな街並みを再現した箇所が存在する様で、有名な宝城茶園へ向かうS-train利用者向け観光バスも、終点の宝城駅ではなく、一つ手前の得粮駅から出発する事も考慮すると、観光列車としては妥当な停車時間と感じたものでした。

 
そして得粮を出発すると、10分程で終点の宝城駅に到着、MAKIKYUは以前一度だけ光州市内→釜山市内へ向かう際に、慶全線列車で通った事はあるものの、田舎の小駅という事もあり、宝城駅を利用するのは先月が初めてでした。

宝城は茶で有名な街で、茶園へ向かうバスも発着するバスターミナルは、駅から徒歩10分程度の距離にあります。
(茶園は駅から徒歩で行ける距離ではありません)

宝城到着後はバスに乗車するため、徒歩でバスターミナルへ向かったものでしたが、このバスターミナルや乗車したバスに関しては、近日中に追って別記事で取り上げたいと思います。


KORAIL・南道海洋観光列車「S-train」(2)~車内編

2014-09-25 | 鉄道[大韓民国・KORAIL列車]

先日「MAKIKYUのページ」では、KORAILの南道海洋観光列車「S-train」に関して取り上げましたが、今日はその続編で車内の様子に関して取り上げたいと思います。

「S-train」の客車は、ムグンファ号用で使用している客車の中でも、通称「リミット」と呼ばれる比較的新しい車両を種車にしており、この車両は他のムグンファ号用客車と同様に、日本のJR在来線特急普通車並みのシートピッチながら、シートピッチの割にはリクライニング角度が比較的大きい回転式リクライニングシートを装備しています。
(リクライニング角度が大きいお陰で、長時間乗車でも比較的快適に過ごせ、夜行利用でもそこそこと感じる一方、座席を向かい合わせにした際には、座席を早く倒したモノ勝ちになってしまう弱点もあり、日本国内ではこの点を考慮して敢えてリクライニング角度を抑えている車両もありますので、この点は一長一短です)


客室の過半数はこの座席をそのまま活用しつつも、モケットやシート自体の装いを変える事で、観光列車ならではの華やいだ雰囲気に改められています。

内装もカッティングシート仕上げなどで随分印象が変わり、車両デッキに足を踏み入れるだけでも、一般列車とは異なる列車である事を実感させられる程です。


日よけがカーテンからブラインド(多少開閉に難儀するのが難点ですが…)に改められており、ブラインドは絵柄入りとなっていますので、これも観光列車ならではと感じる所です。

各座席に充電用コンセント(韓国国内用のCタイプのみ対応:日本国内用の電化製品を利用する際には要変換プラグ)が改造で追設されているのも特徴ですが、コンセントはあって困るものではないと思いますので、一般列車でも今後設置が拡大されれば…と感じます。

一般的なリクライニングシートが並ぶ客室でも、客車によって天井の絵柄を変えるなど、車内を動き回って眺めるのも楽しめる様にしていたり、一部座席を撤去してベンチを設置している辺りは、均質性が求められるビジネス向け列車などとは異なる観光列車ならでは…と感じる所です。


車内には自転車置き場も設置されており、KORAILでは観光列車だけでなく、首都圏を走る広域電鉄の通勤電車(4扉ロングシート)でも、一部でこの装備が見受けられますが、これは日本では余り見られない韓国らしい装備と言え、他にも車内でのイベント開催などを考慮してか、座席を撤廃してフリースペース化した空間も存在します。


客席もムグンファ号と同等のリクライニングシートが主流ながらも、一部はグループ客などの利用を想定したボックス席などに改められており、中にはカップル席と称したセミコンパートメント区画も存在します。


これらは座面がビニール貼りとなっており、当然ながらリクライニング機能などもありませんので、グループでの利用を除くと個人的には…と感じる所ですが、多様な設備を備え、多様な客層に応える観光列車という意味では、この様な区画が設けられるのも…と感じます。


また一般列車でも一昔前は食堂車を連結し、今日ではこれに変わってカフェ車を連結している列車も数多いKORAILだけあり、客車5両と言うさほど長い編成ではないにも関わらず、飲食物などの物販を行うコーナーも設置されています。


ここには日本の一部観光列車などと同様に、乗車記念スタンプも設置している辺りは、観光列車ならではと感じたものです。

物販は物凄く地域色のあるものは…という印象で、韓国では一般的なものばかり、値段も市価に比べると割高感は否めない気がしましたが、飲み物や菓子類だけでなく、レトルト食品や弁当(掛紙にS-trainがデザインされたプルコギ弁当)などもありましたので、比較的長時間の乗車で、乗車前に食料などを買いそびれて…といった場合などには有用かと思います。


「S-train」ではこの物販コーナーとは別の車両に、沿線の河東(Hadong)郡で取れた茶を提供する茶室も設けられており、客室以外の空間が「多過ぎる」と言っても過言ではない状況で、おまけに物販コーナー脇にも飲食スペースが設けられていましたので、車両数なども考慮すると、物販・飲食スペースは1箇所に集約しても…と感じたものでした。

MAKIKYUが乗車した際には、「S-train」所定運賃(セマウル号特室料金)よりも5000W割引されており、KORAILの運賃水準が比較的割安ですので、日本の感覚から見ればさほど割高感はありません。
(割引適用後の釜山~宝城間260km強の「S-train」片道乗車は、日本円相当額で2400円程度、ほぼ同等距離の釜田~宝城間ムグンファ号一般室乗車は、日本円相当額で1700円程度(曜日などによる若干の変動あり)で、割引なしの所定金額で「S-train」に釜山~宝城間を片道乗車した場合は、日本円相当額で3000円弱になります)

それでも同じリクライニングシートを装備しているムグンファ号一般列車(一般室)を、「S-train」と同一区間で利用するのに比べると、5000Wの割引がなければ、現地物価などを考慮すれば随分割高になりますので、フリースペースを若干縮小する代わりに、座席数を増やして値下げする事は考えても…と感じたものでした。

この「S-train」に関しては、続編記事をもう一つ近日中に公開したいと思います。


KORAIL・南道海洋観光列車「S-train」(1)~外観編

2014-09-22 | 鉄道[大韓民国・KORAIL列車]

6月にMAKIKYUが韓国へ足を運んだ際には、幾つもの観光列車に乗車し、その中でも中部内陸観光列車「O-train」や、白頭大幹峡谷列車「V-train」などは、既に「MAKIKYUのページ」でも取り上げましたが、これらの観光列車の中で最初にMAKIKYUが乗車したのは、「S-train」(南道海洋観光列車)と呼ばれる列車でした。

「S-train」は比較的海岸に近い区間を走る慶全(Gyongjeon)線を走る観光列車として設定され、「S」は「South」や「Seaside」などに由来しています。

当初は慶全線(厳密には他路線にも跨るのですが…)で2区間の運行だったのですが、利用実態などを考慮してか、比較的短期間の間で2度の運行区間変更が行われています。

2014年6月~の運行区間は、釜山(Busan)~三浪津(Samnanjin:「S-train」は通過)~順天(Suncheon)~宝城(Boseong)と、龍山(Yongsan:ソウル市内)~西大田(Seo-Daejeon)~益山(Iksan)~順天~麗水(Yeosu)の2区間で、青字部分のみが慶全線運行区間となります。

そのため現在慶全線を走るのは、2列車が設定されている「S-train」の片方だけと言う状況ですが、両列車は上下共に順天で接続、隣接ホームで乗り継ぐ事も可能なダイヤが設定されており、2系統の列車を走らせる事で、順天やその周辺の全羅南道(Jeolla-nam-do)各地を観光する際の便宜を図っています。

MAKIKYUが「S-train」に乗車したのは、慶全線を運行する系統の全区間で、釜山市内から慶全線方面へ向かう列車は、通常釜田(Bujeon)駅を発着するのですが、「S-train」だけはKTXなどが発着する釜山駅発着となっていますので要注意です。
(釜山~釜田間は地下鉄1号線で15分程度、また釜山市内では他に西郊の亀浦(Gupo)駅にも停車しますので、宿泊場所などによってはこちらを利用するのも一つの手です)

この「S-train」は、慶全線の一部区間が非電化という事もあり、ディーゼル機関車が牽引する客車列車となっています。

編成は2系統共に現在のKORAILではありふれた存在ながらも、専用塗装に改められたアメリカンスタイルのディーゼル機関車(DL)+ムグンファ号用客車の改造車両5両+電源車(計7両)で構成されており、両系統共に1編成ずつで予備車なしですので、「S-train」は基本的に月曜日運休となります。
(車両検査の関係などで、これ以外にも閑散期の平日などに運休日が設定される事がありますので要注意です)


列車の先頭に立つDLは、如何にも異国の列車という雰囲気があり、強烈な表情をした姿もインパクトは絶大で、韓国で不定期刊行されている鉄道雑誌「Railers」の表紙を飾った事もある程です。

「S-train」の存在を知らない人物にこのDLの写真を見せ、玄界灘を挟んで福岡とは僅か200km強、高速船に乗船して3時間程度で足を運べる近場を走っている列車と説明したら、少々驚かれるかもしれません。

 
DLが従える5両の客車と電源車は、どちらも日本とは異なる大陸の列車ならではの雰囲気が漂う車両ですが、これもKORAILではありふれた存在で、外観は装いを除くと一般列車とは差異が少ないものです。


「S-train」は2系統が運行されている事もあり、MAKIKYUが乗車した慶全線系統の列車は青系統の装いですが、龍山駅発着のもう1編成は赤系統の装いとなっており、両列車が同一ホームで隣同士に停車し、相互接続となる順天駅での誤乗防止にも役立っているのでは…と感じます。

またKORAILの列車線を走る一般列車では、最近走り始めたばかりの新型電動車を除くと、今でも列車種別・行先表示はサボの使用が
一般的で、「S-train」も客車側面にサボを掲げていますが、このサボの様式は、他の一般列車とは異なる「S-train」独特のモノとなっています。


MAKIKYUが乗車した際には、釜山発着列車の終着駅が宝城に変更されてから日が浅い状況だったものの、以前の行先の上にステッカーなどを貼り付けての代用ではなく、きちんと新たなサボが掲出されていました。

この「S-train」は観光向けに特化した列車だけあり、車内設備なども非常に特色の強いモノになっているのですが、こちらに関しては近日中に別記事で追って取り上げたいと思います。 


KORAIL・平和列車「DMZ-Train」(2)~車内編

2014-09-10 | 鉄道[大韓民国・KORAIL列車]


先日「MAKIKYUのページ」で取り上げたKORAILの平和列車「DMZ-Train」(写真・先日公開した画像の再掲です)ですが、今日は先日の続編記事として車内の様子を取り上げたいと思います。

DMZ-Trainは先日の記事で触れた通り、CDC(都市通勤型ディーゼル動車)と呼ばれる車両を種車に、観光列車向けに改造を施した車両となっており、元々統一号→通勤列車で用いられていた車両ですので、CDCの客室設備はセミクロスシートとなっていました。
(クロスシート部分は転換式ですが、一部はボックス配置で登場した後、転換式に改められた車両も存在します)

現在も通勤列車として京元(Gyongweon)線で活躍する車両は、この設備を堅持しており、大邸地下鉄放火事件以来強化された、内装材の不燃化対策が施されずに今も活躍している数少ない車両にもなっていますが、それ以外の車両は用途変更と共に内装不燃化対策も併設されており、化粧板の交換等も行われています。

用途変更されたCDCは、ムグンファ号用に改造されたRDCと呼ばれる車両が大半を占めており、こちらの座席は他のムグンファ号と同様の回転式リクライニングシート(JR特急普通車相当)に取り替えられ、客室と客ドア付近はデッキを設けて分離されるなど、CDC時代とは随分様変わりした状況で、江原道(Gangweon-do)を走る「パダ(海)列車」用車両に改造された車両などは、それ以上に様変わりしています。


しかしながら「DMZ-Train」はソウルから片道1時間程度の都羅山(Dorasan)駅までの運行で、運行距離や乗車時間が短い事から、セミクロスシートの座席は大半が再用され、デッキなし2扉車のままであるなど、他のCDC改造車に比べると、CDC時代の面影が強く残存した車両と言えます。


とはいえ床材や座席モケットなどは種車と随分異なる鮮やかなモノに交換、一部座席へのテーブル設置や、車端の一部座席(元々は転換式クロスシート)を窓向きにも転換できるロングシート配置にするなどの変化が見受けられ、見るからにCDC改造車という雰囲気ながらも、観光列車ならではの改造点が幾つも見受けられます。

車両側面の化粧板には、様々な言語で「平和 愛 和合(peace love Harmony)」の意味を記したステッカーでコーティングされ、この中にはMAKIKYUには読めないモノが幾つも存在しています。
(余談ながらDMZ-Trainは3両編成と言う事もあり、各車両には「平和室」「사랑(愛)室」「和合室」という呼称も付けられています)


中国語表記(平和は「和平」と表記)が存在する事もあってか、日本語は漢字ではなくひらがなで「へいわ あい わごう」と記されている事や、韓国語の「愛」は漢字の読み方(애)ではなく、「愛」を示す固有語の「사랑」と表記されている辺りは、多少なりとも日韓両国の言語を解する人間が見れば、気になる所かと思います。


片道の乗車時間が1時間程度、3両と言う比較的短い編成ながらも、中間車(사랑(愛)室)の車端部には、物販コーナーが設けられていたり、走行中の前面展望を映し出すモニターが設置されていたりする点も、観光列車ならではと感じます。

物販コーナー脇には、乗車記念スタンプやポストカードも置かれており、ポストカードはメッセージを記して車内に掲げられたモノも多数見受けられたものでした。


MAKIKYUも客室乗務員(残念ながら日本語はNGでした)から掲示用メッセージを勧められ、外国人と分かると少々驚かれましたが、車内にも一枚メッセージを残したほか、日本国内の知人数名宛てとして車内設置ポストカードに車内設置スタンプを押印した後、メッセージを記して旅先からのAIR MAILとして送付したものでした。
(AIR MAILとして韓国から日本へ送付する場合、別途切手(MAKIKYUが郵便局で尋ねた時は400W、該当金額の郵票(切手)がないため、200W郵票を2枚貼る事になりました)が必要になりますが、それでも日本の国内郵便よりも割安ですので、DMZ-Train乗車の暁には、知人宛に旅先からの便りを送るのもおススメです)


先頭車乗務員室背後からの前面展望に関しては、以前MAKIKYUが一度だけ乗車した事がある東海岸を走る観光列車「パダ(海)列車」と同様に相変わらずの状況で、構造的には展望をウリにする事も容易かと思いますので、今後の改善にも期待したいものです。


また車内の広告掲出枠には、韓国語で記された詩などの掲出と共に、現在KORAILで活躍する各種車両や、過去にKORAILで活躍した車両などの写真も掲げられており、この様なモノを見ながら車内の様子を観察していると、1時間程度の乗車(都羅山行きは場所柄臨津江(Imjingang)駅での一旦下車・セキュリティチェックがあるため、所要時間は若干長くなります)はあっという間に感じたものでした。
(ちなみにこの写真の片側は、DMZ-Trainの種車にもなっているCDCが、過去に纏っていた様々な装い(現在は塗装変更で消滅)の一つです)

ちなみにこの「DMZ-Train」は設備的にCDCと大差ないにも関わらず、観光列車だけあって、一般列車では最も割高な「セマウル号特室」料金が適用となります。

DMZ(非武装地帯)へ乗り入れる列車と言う特異性を考慮しても、韓国の物価を考慮すると少々割高感が否めず、日本のJR観光列車並みと言っても過言ではありませんので、一応地元住民向けの短距離特定運賃設定なども存在するものの、運賃設定に関しては、もう少し検討の余地ありとも感じたものでした。


KORAIL・平和列車「DMZ-Train」(1)~外観編

2014-09-07 | 鉄道[大韓民国・KORAIL列車]

MAKIKYUが6月に大韓民国(韓国)を訪問した際には、近年KORAIL(韓国鉄道公社)が続々と登場させている幾つもの観光列車に乗車し、既に「O-train」と「V-train」に関しては、「MAKIKYUのページ」でも取り上げましたが、KORAILではそれ以外にも幾つかの観光列車を運行しており、その一つが平和列車「DMZ-Train」です。


「DMZ」という言葉は、馴染みのない方も多いかと思いますが、「非武装地帯」の事で、日本ではこの様な地域は存在しないものの、韓国は今でも北韓(北朝鮮)とは「急戦状態」の「準戦時国家」となっており、南北境界付近には一般人の立入が制限されている特殊区域が存在しています。

韓国は日本と非常に近く、良く似た雰囲気故に海外まで足を運んでいる事を忘れてしまいそうな雰囲気もありますが、この様な地域の存在や、準戦時国家と言う特性もあってか、今日でも徴兵制度が存在し、街中でも兵役訓練に就く迷彩服を着た人物の姿を見る事も珍しくない辺りは、日本とは異なる国家の状況を意識させられるものです。

「DMZ-Train」も、名前の通りこの非武装地帯(DMZ)へ向かう列車である事から、この様な列車名が付けられており、MAKIKYUが乗車した列車はソウル駅を起点に、京義(Gyongui)線を北上し、非武装地域内に位置する都羅山(Dorasan)駅までの間を結んでいます。
(一時分断された京義線の線路も、現在は都羅山駅以北の線路復旧が行われていますので、物理的には京義線という名前の通り、列車は戦前の如く新義州(Sinuiju)までの直通運行や、更に丹東を経て遠方まで運行する事も不可能ではないと思いますが、朝鮮半島の南北分断と言う特殊な事情もあり、都羅山駅を跨いでの定期列車運行は…という状況です)

この都羅山駅自体が、非武装地帯に位置する事もあり、今日では専ら都羅山駅周辺の非武装地域内に位置する観光スポット見学者が訪れる駅となっていますが、以前は通勤列車が発着していた都羅山駅も、「DMZ-Train」運行開始後は同列車のみとなっていますので、現在鉄道を利用して同駅を訪問する場合、必然的に「DMZ-Train」を利用する事になります。
(バス大国の韓国と言えども、非武装地帯という特殊性もあり、都羅山駅を発着する路線バスは存在しませんので、公共交通機関を利用して訪問する場合は、「DMZ-Train」以外の手段は存在しないのが現状です)

この「DMZ-Train」は、以前都羅山駅を発着する「通勤列車」にも使用していた都市通勤型ディーゼル動車(CDC)と呼ばれる車両を、観光列車向けに改装して充当しています。

KORAILでは通勤列車が次々と運行中止・他列車への格上げされていますので、現在大半が用途変更に伴う改造を施され、原型のまま残存する車両はかなり少なくなっています。

用途変更を伴う改造を施されたCDCの大半は、ムグンファ号用(RDC)に改造された事もあってか、各車に2箇所設置された両開き式の客扉は、1扉が撤廃されているのが大きな特徴になっています。


江原道(Gangweon-do)の東海(日本海)沿いを走る「パダ(海)列車」用に転用改造された車両も、一部扉の撤廃改造が施されているのですが、「DMZ-Train」は2扉のままとなっていますので、他のCDC改造車に比べると、車両形状自体はCDC時代の姿と変化が少ないと言えます。


しかしながら観光列車という事もあってか、装いは大きく改められ、都羅山方1両だけ他2両とは異なる装いとなっているのも、「DMZ-Train」の大きな特徴となっている他、車両形状の変化が比較的少ないとは言えども、一部窓の拡大化改造など、CDC時代とは異なる部分も幾つか存在しています。


また「DMZ-Train」の側面サボも、一般列車とは異なる様式の専用サボが用意されている点は、観光列車ならではと感じたものでした。

観光列車という事もあり、車内の雰囲気などはCDC時代とは色々変化しているのですが、こちらに関しては近日中に別記事で追って取り上げたいと思います。


KORAIL・白頭大幹峡谷列車「V-train」(2)~車内編

2014-08-24 | 鉄道[大韓民国・KORAIL列車]

先日「MAKIKYUのページ」では、KORAIL(韓国鉄道公社)の白頭大幹峡谷列車「V-train」に関して取り上げましたが、今日はその続編記事として車内の様子などを取り上げたいと思います。

「V-train」は「O-train」などと同じく、「観光列車」という位置づけもあってか、KTX(高速鉄道)を除くKORAILの一般列車では最も割高な運賃が適用される「セマウル号」の「特室(JRグリーン車相当)」の運賃が適用されるため、鉄岩(Cheolam)~汾川(Buncheon)間の30km弱・片道約1時間程度の乗車でも、日本円にして800円を超える運賃を要します。

この運賃はJR旅客各社の普通運賃を超える水準で、韓国の物価を鑑みると非常に割高な価格設定、日本のJR普通運賃+割安な指定席料金の合算額程度になりますので、「O-train」や「V-train」の座席指定が有効期間内であれば無制限で受けられる「O-train pass」などを利用しない限りは少々…と感じるレベルです。

鉄岩周辺は韓国の中でも、ソウルなどからは足を運び難い場所で、物珍しい列車が走っている上に、車窓景観も…となれば、鉄岩などへ足を運ぶ機会があれば是非一度は…と感じるものです。


この「V-train」は割高な運賃故に、極めて豪華な車両を…と思う方も居られるかもしれませんが、峡谷美を堪能する事が目的の列車と言うだけあって、設備的には到底豪華とは言い難いのですが、車窓に関しては一見の価値ありです。


ビニール貼りの転換式座席(ロングシートも含めて)は、同区間を走る一般列車(ムグンファ号)の回転式リクライニングシートに比べると、座り心地の点で見劣りが否めませんが、観光列車ならではの途中駅での長時間停車などは、一般列車にはない付加価値を創出する重要要素と言えます。
(鉄岩~汾川間の運賃は、当然ながらムグンファ号の方がずっと割安です)

先日の記事でも触れた通り韓国(北韓を除く)では珍しい「非冷房車」となっているのも大きな特徴で、客車天井には韓国の鉄道では他で見る機会が…と感じる扇風機が設置されている他、冬季に備えてストーブが設置されているのが大きな特徴となっています。


栄州発の1本を除くと、所要時間は片道1時間程度ながらも、中間車両の車端には物販区画も設けられているのも、観光列車ならではと言えます。


また運行途中で幾つも存在するトンネル内を走行する際には、天井がプラネタリウムの如く…という仕掛けが凝らされ、渓谷沿いの車窓を楽しんだり、長時間停車となる途中駅での散策だけに留まらない辺りも、観光列車ならではと感じたものです。


ただ車両形状故に、渓谷美を楽しむ列車ながらも、最後尾からの展望に関してはもう一歩と感じ、できる事なら車端部分から少し離れた所、もしくは逆側車端部に出入口を設け、1枚窓+窓向き座席を設置した展望席でもあれば…と感じたものでした。


KORAIL・白頭大幹峡谷列車「V-train」(1)~外観編

2014-08-17 | 鉄道[大韓民国・KORAIL列車]

先日「MAKIKYUのページ」では、大韓民国(韓国)を走る観光列車の一つ、中部内陸循環列車「O-train」に関して取り上げましたが、現在KORAIL(韓国鉄道公社)では「O-train」などを利用して韓国の中部内陸地域一帯を観光する旅行者向けに、「O-train」運行区間とその周辺の一部区間で指定期間内フリー乗車可能な「O-train pass」と呼ばれる企画乗車券も設定しています。

既に「O-train」に関する記事を取り上げた際に、この乗車券に関しても触れており、感の良い方は画像を見て気付かれたかもしれませんが、MAKIKYUは「O-train pass」を利用して「O-train」だけでなく、もう一つ別の観光列車にも乗車しています。

この観光列車が白頭大幹峡谷列車「V-train」で、O-train運行区間の一部にもなっている嶺東(Yeongdong)線の(栄州(Yeongju)→)汾川(Buncheon)~鉄岩(Cheolam)間を1日2~3往復運行しており、同列車は「O-train pass」でも別途座席指定券の発券(無料:窓口のみ)を受ければ、乗車する事ができます。
(栄州→汾川の営業運行は朝の片道1本のみです)

汾川~鉄岩間は慶尚北道(Gyongsangbuk-do)と江原道(Gangweon-do)の道境を跨ぐ区間で、ソウルからは列車やバスなどで片道3時間以上を要する上に、周囲には大都市もなく、外国人観光客が足を運ぶ機会は余り多くない所です。

しかしながら峡谷美を堪能できるこの区間の車窓は、観光列車運行にもうってつけで、「O-train」などの列車を利用して訪問する観光客だけでなく、観光バスなどで鉄岩などにアクセスし、「V-train」に乗車するツアー客なども多数見受けられる程です。
(その殆どは韓国の内国人ですが…)

鉄岩~汾川間の乗車時間は片道1時間程ですので、乗り鉄派だけでなく、団体ツアーの行程に組み入れるにも絶好の列車といえ、MAKIKYUの乗車日は平日ながらも、MAKIKYUが韓国に入国した際の乗車希望列車が「満席」になっていた程(後にキャンセル発生等で座席確保)でしたので、時間帯の良い列車では満席御礼となる事も少なくありません。
(特に週末の「O-train」と接続する「V-train」は、ネット上で空席を検索すると満席表示が出る事が多いです)


列車が機関車+客車3両しかない短編成である事も、満席となる事が多い一因かもしれませんが、嶺東線は現在全線が電化区間であるにも関わらず、「V-train」用に塗装変更された牽引機はディーゼル機関車となっています。


客車には運転台などは設けられておらず、推進運転対応ではないため、鉄岩や汾川では機関車の付け替えも行われmすが、牽引機は運転台が片側に偏った配置(韓国のディーゼル機関車では一般的な話です)である上に、機関車の方向転換を行わない関係で、鉄岩方向へ向かう列車では、機関車後部から運転する格好となります。

専用塗装の機関車は、白と黒の虎をイメージした装いですが、客車の方は機関車とは大きく雰囲気の異なる濃いピンク色となっており、編成全体の統一感はまるで…と言っても過言ではない状況です。


客車の方は峡谷美を楽しむ列車だけあってか、窓が大きく取られているのが特徴で、各車両に1箇所設けられた客扉は折戸となっています。


両端の客車は車端部に客扉が設けられているのに対し、中間に連結されている客車だけは、JR九州で運行している783系電車(ハイパーサルーン)の如く、車両中央部に扉が設けられているのも特徴です。

また車両外観から察しが付く方も居られるかと思いますが、「V-train」は現在KORAILで運行する旅客列車では類稀な「非冷房車」となっているのも大きな特徴で、車内の様子などは近日中に別記事で追って取り上げたいと思います。


KORAIL・中部内陸観光列車「O-train」車内の様子(2)~中間車編

2014-08-10 | 鉄道[大韓民国・KORAIL列車]

先日「MAKIKYUのページ」では、大韓民国(韓国)を走る観光列車の一つ、中部内陸観光列車「O-train」車内の様子に関して取り上げましたが、今日はその続編で中間車両の様子を取り上げたいと思います。

種車の「ヌリロ」号と同様に、現在4両編成での運行となっている「O-train」では、中間車は2両が連結され、2M2Tながらも韓国では珍しく両先頭車が電動車となっている「O-train」では、2両共に付随車となっています。
(韓国では近年続々と登場しているKORAILの列車線を運行している新型電動車をはじめ、広域電鉄や各都市の地下鉄で活躍している車両も、動力分散方式を採用している電動車(電車)の先頭車は、殆どがモーターなし車両となっています)

付随車となっているこの2両は、既存客席を改装した程度の両先頭車に比べ、客室内は大きく様変わりしており、一般の定期列車とは大きく異なる観光列車ならではの設備が随所に見受けられます。


1両は片側に「ヌリロ」号用の既存リクライニングシートを存置しながらも、リクライニングシートのモケットや、壁面カッティングシートの柄が変わるだけでも、両先頭車とは随分雰囲気が異なるものです。

反対側には窓側などに向けて方向を自在に動かせる1人がけ座席を設置した車両となっており、座席配置故に改造前よりも客室定員は大幅に減少しています。

MAKIKYUが2度「O-train」を利用した内の1回は、たまたま指定された座席がこの1人がけ座席だったのですが、この座席はリクライニング機能などもなく、背もたれの角度もきつめですので、長時間乗車には余り適さないと感じたものでした。

MAKIKYUの乗車日は閑散期の平日で、「O-train」の乗車率も低い状況でしたので、リクライニングシートの空席へ移動したものでしたが、比較的長時間乗車となる事も多い「O-train」では少々考え物と感じたこの座席も、乗車時間1時間程度の観光列車なら悪くない気もしたものでした。


この車両の車端部には、物販などを行うブースも設けられており、観光列車らしく乗車記念スタンプも設置されていましたが、このブースの天井は随分派手に改装されているのも特徴的と感じたものでした。


そして「O-train」で既存「ヌリロ」号とは最も大きく姿を変えたと感じたのは、もう1両の中間車で、こちらはグループ客向けのセミコンパートメントとも言える仕切り付きボックス席主体の座席配置に改められています。


この区画に設置された座席は、リクライニングなどもできず、グループ利用はともかく、個人客同士が向かい合わせで乗車するとなれば、余り感心できないものと感じたもので、各ボックスに設置された木製テーブルなども、如何にもグループ客向けと感じる設備ですが、テーブル形状を見ると、日本の某有名デザイナーが改装に関与した観光列車などに設置されているテーブルを連想させられたものでした。


この車両にはボックス席の他に、カップル向け区画なのでは…と感じる席も見受けられ、この区画は韓国らしいと感じる所です。

 
この区画と逆側の車端部分には、キッズスペースと思われる区画も存在しています。


このキッズスペースとセミコンパートメントの間にある仕切りには、世界の鉄道切手をデザインしたステッカーが貼られており、「O-train」車内には随分色々な仕掛けが…と感じたものでした。

先月の事故で1編成が使用不能となってしまったのは残念な限りですが、JR某社などで多数運行している某有名デザイナーが関与した観光列車の如く、車内の様々な設備などを見て廻るなど、「O-train」はただの移動手段ではなく「乗る事自体が楽しみ」となる列車と感じたものです。

渋い味わいを放つ古参車両による素朴な汽車旅を求める方には、「O-train」はやや不向きな存在かもしれませんが、日本国内で某有名デザイナーが関与した車両をはじめとする観光列車の旅などを楽しまれている方は、韓国へ足を運んだ際には「O-train」なども是非…と感じたものです。

MAKIKYUが6月に韓国へ足を運んだ際には、他にも近年運行開始した幾つかの観光列車にも乗車したものでしたが、こちらに関しても近日中に別記事で追って取り上げたいと思います。


KORAIL・中部内陸観光列車「O-train」車内の様子(1)~デッキ・先頭車編

2014-08-05 | 鉄道[大韓民国・KORAIL列車]

先日「MAKIKYUのページ」では、大韓民国(韓国)を走る観光列車の一つ、中部内陸観光列車「O-train」に関して取り上げましたが、今日はその続編で車内の様子を取り上げたいと思います。


「O-train」は、ヌリロ号用に製造されたアルミ合金製新型電動車(4両編成)の内、2編成を観光列車用に内外を改装した編成を用いての運行でしたが、先月の事故で1編成(写真・先日の記事で使用した画像の再掲です)が使用不能となっています。

現在は残る1編成のみでの運行となっており、急遽運転取り止めとなる列車も発生している状況ですが、MAKIKYUが6月に「O-train」に乗車した際には、先月の事故で使用不能となった編成に当たっており、以下に取り上げる車内の画像は全て事故で使用不能となった編成内で撮影したものとなります。
(現在運行しているもう1編成も、改造内容は同一の様ですので、今後「O-train」への乗車を検討している方は、参考にして頂けると幸いです)


「O-train」は先日の記事で取り上げた通り、外観は観光列車らしく華やかな姿に改装されており、ビジネス列車的色彩が強い「ヌリロ」とは同形状の車両ながらも、雰囲気は随分変わっていますが、ホームから一歩車内に足を踏み入れ、デッキを見渡しただけでもその違いは歴然としています。

 
車両デッキはカッティングシートによって、4両編成の各車両に1箇所ずつ設けられている各デッキ全てが異なる装いで仕上げられており、如何にも観光列車らしいと感じるものです。

最近KORAIL(韓国鉄道公社)が次々と登場させている新型電動車は、設備面や居住性こそそこそこと感じる反面、内装に関しては通勤電車の如く、全般的に簡素な雰囲気の車両が多くなっていますので、観光列車でなくても柄入り化粧版やカッティングシートなどにより、内装の雰囲気向上を図っても…と感じる所です。


客室は4両の内、両先頭車は概ね既存の「ヌリロ」号用リクライニングシートが並ぶ設備を踏襲しており、比較的変化が少ない部類に入るのですが、それでも緑を基調とした座席モケットや、カッティングシートによって木目調に改められた壁面などは、既存「ヌリロ」号車両に比べると、見栄えは随分向上していると感じます。

 
「ヌリロ」号用車両自体がまだ比較的新しい車両と言う事もあってか、座席自体はモケット交換程度で再用しているものの、各座席脇にはコンセント(韓国用のCタイプ・220V専用で、日本の電化製品を使う場合には変換プラグなどが必要です)も追設されており、これは既存の定期列車用車両でも設置を進めてほしいと感じるものです。


比較的変化が少ない両先頭車も、車端部分には木製ベンチなどを設置したフリースペースが用意されており、この様な区画は日本の観光列車でもよくありますが、前面展望を映し出すモニターが設置されているとは言えども、直接前面展望が楽しめない状況になっているのは残念な限りです。
(韓国では観光列車に限らず、定期旅客列車に充当される車両でも、先頭車両の乗務員室背後は窓が設けられていないか、窓があっても目張りされて見渡せない車両が大半を占めています)


ただMAKIKYUが「O-train」に乗車した際には、途中堤川(Jecheon)駅停車中に客室~乗務員室間の扉が開いており、係員の方に断りを入れて客室側から運転席を撮影させて頂きましたが、運転席の座席モケットは「ヌリロ」用そのもので、さすがに観光列車とは言えども、乗務員室を見渡せない車両という事もあってか、ここまでは改装されていない状況でした。
(日本では一部の優等車両などで、乗務員室も含めてデザイナーが「魅せる」ものとしてデザインしている車両も存在するのですが…)

 
ちなみに「ヌリロ」号用車両は、MAKIKYUがソウル駅で同駅始発となる「O-train」に乗車する際、他ホームに停車している姿も見かけ、この編成の車両内外も撮影していますので、興味のある方は観光列車への改装でどれだけ変化しているかを比較頂ければと思います。
(写真の編成は「ヌリロ」号用新型電動車の中でも、特別塗装編成ですので、車内も天井などが様変わりしており、これだけでも観光列車と感じる方も居られるかもしれませんが…)

また「O-train」は観光列車だけあり、中間2両は車内設備なども大きく変化しており、この2両は両先頭車以上に観光列車ならでは…と感じる特徴が幾つも見受けられたものでしたが、こちらに関しては近日中に別記事で追って取り上げたいと思います。


KORAIL・中部内陸循環列車「O-train」と関連情報

2014-07-28 | 鉄道[大韓民国・KORAIL列車]

先日「MAKIKYUのページ」では、韓国江原道(Ganweon-do)・太白(Taepaek)市で発生した列車正面衝突事故に関して取り上げましたが、正面衝突した列車はいずれも旅客列車で、一方は電気機関車牽引の定期客車列車、もう一方が新型電動車を用いた観光列車となっています。

新型電動車を用いた観光列車は、中部内陸循環列車(O-train)と称した列車で、MAKIKYUは先月初めて乗車したものでした。


O-trainは元々少数派の「ヌリロ」と呼ばれる列車に充当される新型電動車の内外を改装しているのですが、2編成が改装されており、MAKIKYUが乗車・撮影した編成が、残念ながら先日の事故該当編成(写真は先日の記事で使用した画像の再掲)です。

そのため現在では写真の様な姿を見る事は…という状況ですが、もう1編成の方は現在も営業運行を行っており、車番以外の仕様は同一の様ですので、O-trainに関心のある方は参考にして頂ければ…と思います。


ちなみに韓国の列車線は、プラットホームは基本的に低床となっており、車両もバスの如くステップ付きとなっています。


しかしながら「ヌリロ」用電動車とその改造車である「O-train」は、ステップが昇降式となっており、広域電鉄の発着する高床ホームでも乗降対応可能な構造となっているのも大きな特徴で、客ドア形状にも特徴があります。


MAKIKYUがソウル駅でO-trainに乗車する際には、「ヌリロ」充当編成も駅構内の別ホームに停車しており、しかも特別な装飾を施した編成でしたので、これもO-trainに負けない存在感を放つ車両と感じたものでした。

「ヌリロ」に関しては、以前MAKIKYUが乗車した際の様子を取り上げた記事もありますので、興味のある方は合わせてご覧頂けると幸いです。
(該当記事をご覧になりたい方は、こちらをクリックして下さい)


MAKIKYUがO-trainに乗車した際には、「O-train pass」と呼ばれるO-train運行区間や連携区間(運行区間周辺の特定路線・区間)で、O-trainなどの観光列車と一般列車が指定期間内乗り放題となる企画乗車券を利用したもので、その気になれば少々強行軍になりますが、O-train pass1日券を利用してソウルを拠点に、O-trainとV-trainという2つの観光列車を日帰りで堪能する事も可能です。

O-train passは内国人・外国人共に購入可能ですが、券面に利用者名(外国人の場合はローマ字)が記載され、購入時には身分証(外国人の場合はパスポート)の提示が必要になります。

パス本体はカード型でそこそこ見栄えのするものですが、KORAILの列車線は基本的に全席指定制ですので、列車乗車時にはパス本体以外に別途座席指定券の発行を受ける必要があり、この座席指定券は窓口でしか発券できません。

近年のKORAILでは、乗車券類は窓口発券だとレシート状のQRコード入りとなっており、JRの乗車券などに比べると随分シンプルで割り切ったものとも感じますが、信用乗車制導入で自動改札機を撤廃した事も影響しているかもしれません。
(指定席券売機を利用すると、もう少し見栄えの良い乗車券が発券されます)

またO-trainは観光列車故に、客室内も非常に特徴的な雰囲気に改装されているのですが、車内の様子に関しては近日中に別記事で追って取り上げたいと思います。