今月上旬にMAKIKYUが乗車し、一般路線バスとしては日本一の運行距離・時間を誇る事で有名な奈良交通の八木新宮線(大和八木駅~新宮駅)ですが、今日はその道中の車窓を取り上げたいと思います。
始発の大和八木駅は、近鉄大阪線の急行系列車で大阪の鶴橋から約30分、京都・奈良方面からの橿原線がクロスする近鉄でも重要な接続駅としても知られており、大阪などへのアクセスも至便な事からベッドタウンとしての開発も進み、周辺は典型的な大都市郊外の街といった雰囲気です。
MAKIKYUが乗車した便は、大和八木駅を出発して程なく、新宮駅を朝早くに出発した便とすれ違い、6時前に始発地を出発した便が昼頃にまだ終点に到着しない辺りは、八木新宮線の長大さを実感させられます。
大都市郊外の典型的な街並の中を、他の奈良交通一般路線バスなどに混じり、長距離仕様のバスが走る様は独特で、この様な景色は高田市・忍海・御所と次々と近鉄線の駅前を通る事もあり、御所を過ぎるまで続きます。
その後は五條までの間鉄道とはやや離れたルートを通る事もあり、八木新宮線以外の一般路線バスも通る経路で侘しさこそないものの、やや長閑な景色の中を走り、大和八木駅から1時間強で五條バスセンターに到着します。
五條バスセンターはバス乗り場と乗車券発売窓口に加え、小さな車庫も備えた五條地区の奈良交通バスの拠点です。
MAKIKYUが乗車した八木新宮線のバスはここで1回目の休憩時間、15分程停車となりますが、バスセンターに隣接して大型ショッピングセンターがあり、乗車前に食料を調達しそこなった場合などは、ここで調達する事も可能です。
(MAKIKYUも停車時間を利用し、このショッピングセンターに買出しに出向いていました)
五條バスセンターを出発すると、一旦JR五条駅(和歌山線)を経由し、この間で新宮発の八木新宮線第2便とすれ違います。
その後駅前が狭く、バス発着時には切り返しも必須の五条駅では、JRからの乗継客を拾い、新宮へ向けて山中を進む事になりますが、五條の市街地を過ぎると途端に山深い景色の中を進む事になり、いよいよ長大山岳路線らしい雰囲気となってきます。
五條から城戸までの間は、旧国鉄の未成線・五新線をバス専用道とした区間があり、かつてこの区間には国鉄~JRバスが路線を持っていましたが、現在この路線は奈良交通に移管となっています。
ただ八木新宮線のバスはバス専用道を走る事はなく、この専用道を眺めながら一般道路を走る事になりますが、山深い土地で一般道・専用道の双方共にバスの本数は少なく、特に専用道の方は休日運休便が多い事もあって、休日は朝1往復のみという状況になっています。
また一般道路もそこそこ整備されている様に見受けられ、特に道路混雑に悩まされるような所でもありませんので、五條~城戸間や城戸以遠へ向かうバスの経路を一本化して方が…とも感じたものですが、五新線の専用道は趣味的には興味深い存在で、MAKIKYUも機会があれば一度専用道経由のバスに乗車してみたいものです。
城戸を過ぎると天辻峠越えとなり、天辻峠は分水嶺となる事から、峠の周辺でかなりのアップダウンが続きますが、アップダウンこそ激しいものの、道路自体は整備が進みさほどの狭路などはなく、この峠を越える辺りまでは自家用車のドライブでも比較的快調に走れそうな感じです。
天辻峠を越えると程なく阪本の集落に入りますが、阪本を過ぎると八木新宮線も国道ならぬ「酷道」といった雰囲気の道幅が狭い区間が断続的に続く区間を走る事になります。
この「酷道」ともいえる状況は五條市大塔地区(旧大塔村)や十津川村内の至る所で見受けられ、大型2種免許持ちのMAKIKYUでも、こんな所でハンドルを握るのは…と感じる程ですので、よくこんな悪路が続く区間で大型路線車を走らせている…と感心する程です。
またこの悪路が続く区間も年々改良が進み、所々では比較的走り易い片側1車線ずつが確保された箇所もあり、MAKIKYUが乗車した際には大塔地区内で改良工事の為に通行止めとなっている区間も存在していました。
通行止め区間にはバス停も幾つか存在しており、一部停留所の休止や停車位置の変更などもあり、通行止め区間に差し掛かる際には、その旨を伝えるアナウンスもありましたが、国道ですらかなり酷い状況が続く土地柄だけに、国道から離れた迂回路は更に凄まじいもので、一般車ですらすれ違いが出来ない所を大型路線車が走るのは相当なものです。
そしてバスは大塔地区を抜けると、日本一広い「村」として知られる十津川村に入り、程なく谷瀬吊り橋で有名な上野地に到着、ここで休憩した後に再び山深い狭路を進みますが、上野地から先の様子に関しては後日別記事で取り上げたいと思います。