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奈良交通・八木新宮線の車窓風景(1)~大和八木駅→上野地編

2010-09-28 | バス[近畿]

今月上旬にMAKIKYUが乗車し、一般路線バスとしては日本一の運行距離・時間を誇る事で有名な奈良交通の八木新宮線(大和八木駅~新宮駅)ですが、今日はその道中の車窓を取り上げたいと思います。

始発の大和八木駅は、近鉄大阪線の急行系列車で大阪の鶴橋から約30分、京都・奈良方面からの橿原線がクロスする近鉄でも重要な接続駅としても知られており、大阪などへのアクセスも至便な事からベッドタウンとしての開発も進み、周辺は典型的な大都市郊外の街といった雰囲気です。


MAKIKYUが乗車した便は、大和八木駅を出発して程なく、新宮駅を朝早くに出発した便とすれ違い、6時前に始発地を出発した便が昼頃にまだ終点に到着しない辺りは、八木新宮線の長大さを実感させられます。

大都市郊外の典型的な街並の中を、他の奈良交通一般路線バスなどに混じり、長距離仕様のバスが走る様は独特で、この様な景色は高田市・忍海・御所と次々と近鉄線の駅前を通る事もあり、御所を過ぎるまで続きます。


その後は五條までの間鉄道とはやや離れたルートを通る事もあり、八木新宮線以外の一般路線バスも通る経路で侘しさこそないものの、やや長閑な景色の中を走り、大和八木駅から1時間強で五條バスセンターに到着します。

五條バスセンターはバス乗り場と乗車券発売窓口に加え、小さな車庫も備えた五條地区の奈良交通バスの拠点です。


MAKIKYUが乗車した八木新宮線のバスはここで1回目の休憩時間、15分程停車となりますが、バスセンターに隣接して大型ショッピングセンターがあり、乗車前に食料を調達しそこなった場合などは、ここで調達する事も可能です。
(MAKIKYUも停車時間を利用し、このショッピングセンターに買出しに出向いていました)

五條バスセンターを出発すると、一旦JR五条駅(和歌山線)を経由し、この間で新宮発の八木新宮線第2便とすれ違います。

その後駅前が狭く、バス発着時には切り返しも必須の五条駅では、JRからの乗継客を拾い、新宮へ向けて山中を進む事になりますが、五條の市街地を過ぎると途端に山深い景色の中を進む事になり、いよいよ長大山岳路線らしい雰囲気となってきます。

五條から城戸までの間は、旧国鉄の未成線・五新線をバス専用道とした区間があり、かつてこの区間には国鉄~JRバスが路線を持っていましたが、現在この路線は奈良交通に移管となっています。


ただ八木新宮線のバスはバス専用道を走る事はなく、この専用道を眺めながら一般道路を走る事になりますが、山深い土地で一般道・専用道の双方共にバスの本数は少なく、特に専用道の方は休日運休便が多い事もあって、休日は朝1往復のみという状況になっています。

また一般道路もそこそこ整備されている様に見受けられ、特に道路混雑に悩まされるような所でもありませんので、五條~城戸間や城戸以遠へ向かうバスの経路を一本化して方が…とも感じたものですが、五新線の専用道は趣味的には興味深い存在で、MAKIKYUも機会があれば一度専用道経由のバスに乗車してみたいものです。


城戸を過ぎると天辻峠越えとなり、天辻峠は分水嶺となる事から、峠の周辺でかなりのアップダウンが続きますが、アップダウンこそ激しいものの、道路自体は整備が進みさほどの狭路などはなく、この峠を越える辺りまでは自家用車のドライブでも比較的快調に走れそうな感じです。

天辻峠を越えると程なく阪本の集落に入りますが、阪本を過ぎると八木新宮線も国道ならぬ「酷道」といった雰囲気の道幅が狭い区間が断続的に続く区間を走る事になります。


この「酷道」ともいえる状況は五條市大塔地区(旧大塔村)や十津川村内の至る所で見受けられ、大型2種免許持ちのMAKIKYUでも、こんな所でハンドルを握るのは…と感じる程ですので、よくこんな悪路が続く区間で大型路線車を走らせている…と感心する程です。

またこの悪路が続く区間も年々改良が進み、所々では比較的走り易い片側1車線ずつが確保された箇所もあり、MAKIKYUが乗車した際には大塔地区内で改良工事の為に通行止めとなっている区間も存在していました。


通行止め区間にはバス停も幾つか存在しており、一部停留所の休止や停車位置の変更などもあり、通行止め区間に差し掛かる際には、その旨を伝えるアナウンスもありましたが、国道ですらかなり酷い状況が続く土地柄だけに、国道から離れた迂回路は更に凄まじいもので、一般車ですらすれ違いが出来ない所を大型路線車が走るのは相当なものです。


そしてバスは大塔地区を抜けると、日本一広い「村」として知られる十津川村に入り、程なく谷瀬吊り橋で有名な上野地に到着、ここで休憩した後に再び山深い狭路を進みますが、上野地から先の様子に関しては後日別記事で取り上げたいと思います。


JR東日本・特急「かもしか」→「つがる」へ~新幹線連絡列車として遜色ない事に期待したいものですが…

2010-09-25 | 鉄道[東北]

 

先日JR東日本では12月のダイヤ改正概要が発表され、既にJR東日本のHPなどにアクセスされて情報をご存知の方も多いかと思います。

来る12月の改正では、東北新幹線八戸~新青森間開業に伴い、東北新幹線や接続線区を中心に大きな動きが発生する他、首都圏でも高崎線方面新特急の整理(上越新幹線と快速列車グリーン車が存在する事などを考えると、見直し止む無しかと…)や、ダイヤ改正には間に合わず来年に持ち越しになるとはいえ、昼間の南武線快速列車設定(現状では遅過ぎる上に川崎周辺の混雑も考えると、ようやくといった感があるものの大歓迎!)など、随分派手な動きが幾つも見受けられます。

先日発表されたダイヤ改正概要では、新幹線や首都圏の大きな動きと共に、JR東日本の優等列車としては地味な存在に甘んじていた特急「かもしか」の廃止も話題の一つです。

奥羽本線秋田~青森間の特急設定自体は継続されるものの、ダイヤ改正以降は現在八戸~青森~弘前間で運転されている特急の名称である「つがる」を名乗る事になります。

特急「つがる」登場前の急行「津軽」が、奥羽本線を代表する列車だった事を考えると、「つがる」の名称が再び奥羽本線に返り咲く事になりますが、特急「つがる」は八戸発着と言う印象が強いだけに、少々違和感と紛らわしさ(来年東北新幹線で運転開始予定の新列車に比べれば、随分マシかとは思いますが…)を感じると共に、わざわざ「かもしか」の名称を改める必然性があったのかも疑問に感じる所です。

ところで今後奥羽本線の特急となる「(新)つがる」ですが、運転本数が現行「かもしか」に比べて1往復多い4往復となる事が発表されていますが、これは純粋な増発ではなく、現在新潟~青森間を運転する「いなほ」を秋田で分断するもので、実質的に秋田~青森間昼行特急の運転本数は現状維持となります。
(同区間では他に長距離夜行寝台特急のヒルネ利用もあり、こちらも現状維持となるのか気になります)

ただでさえ新潟~青森間の「いなほ」は旧「白鳥」の一部を分断した列車ですので、今度の分断により昼行特急で旧「白鳥」のルートを辿るには、ダイヤ改正以後青森~大阪間では秋田・新潟・富山or金沢で乗り継いで4列車を利用する事になります。

この事は新幹線網発達などが影響し、日本海縦断の長距離旅客流動が激減している事(青森~大阪間で新幹線を利用した場合、乗り継ぎを含めても所要時間は日本海縦断在来線ルートの半分程度ですので、直通の夜行寝台以外での旅客利用は殆どないと思います)を表していると共に、国鉄分割民営化から長い月日が経つにつれ、在来線列車の地域毎運行が深度化している事を改めて実感させられます。

また現在「かもしか」で使用している独自塗装の485系は陳腐な上に編成も3両と短く、繁忙期には2編成併結による6両運転や、併結車両捻出に伴う一部列車の他形式代走(設備的には特急として更に問題ありの車両が動員されます)も行われていますので、直接フル規格の新幹線から連絡輸送を担うには余りに貧弱過ぎると言わざるを得ないものです。

これに比べると東北新幹線新青森開業で役割を終える「(現)つがる」の使用車両は、比較的新しいE751系や、古い485系でも大幅リニューアルで「かもしか」充当車両より程度の良い車両を用いています。
(青函トンネルを通る「(現)白鳥」系統に関しては、ダイヤ改正以降JR東日本区間の運行が大幅に減少する事から、大半がJR北海道車両による「スーパー白鳥」となり、ダイヤを見ると「白鳥」は1運用で賄えそうな雰囲気です)

「(現)つがる」は編成も主に6両で運転されるなど、「かもしか」に比べると随分程度が良いですので、「(新)つがる」は「かもしか」の役割を継承しつつも、「(現)つがる」の車両転用で新幹線連絡列車として遜色ないものとなる事に期待したいものです。

来る12月ダイヤ改正以降の動きに関しては、まだまだ情報が発表されていない事も多く、他にも青森地区では新型ハイブリッド気動車導入に伴い、青森地区での活躍を終える既存リゾート列車用気動車の処遇なども気になります。

また今年冬~来年春にかけてはJR東日本以外でも、各地で目を離せない大きな動きが見込まれ、MAKIKYUは慌しく各地を動き回らなければ…と感じていますが、「MAKIKYUのページ」をご覧の皆様はいかがでしょうか?

写真は「(現)つがる」の主力E751系電車と、「かもしか」の485系電車です。

E751系はさほど古くない車両でまだまだ活躍が見込まれるとはいえ、交流専用車ですので新幹線延伸後の転用先も限られますので、今後の動向が非常に気になります。


十津川村・上野地の谷瀬吊り橋~八木新宮線では20分程の見学時間があるものの…

2010-09-23 | 日本国内その他

   

今月初頭MAKIKYUが日本一の路線バスとして知られ、奈良・和歌山両県に跨る奈良交通・八木新宮線(大和八木駅~新宮駅)に乗車した際には、同線は所要時間が片道約6時間半と非常に長い上に、車両もトイレを装備していない事もあって、途中3回の休憩がありました。

その中でも八木新宮線のほぼ中間地点、十津川村北部に位置する上野地(Uenoji)では、約20分という一般路線バスにしては比較的長い休憩時間が設けられており、この様を見ると八木新宮線のバスが名乗る「特急」という種別は一体…と感じる方も居られるかと思います。

この上野地での休憩時間は、谷瀬(Tanize)吊り橋と呼ばれる吊り橋の見学も可能な様に長めに設定されており、市販の全国版時刻表でも上野地で20分停車する旨が記されている程ですが、MAKIKYUも八木新宮線に乗車した際には、この休憩時間を利用して吊り橋見物に出向いたものでした。

谷瀬吊り橋は八木新宮線などの奈良交通バスや、十津川村営バスの発着する上野地バス停(バス3台分程度が駐車可能で、小さなターミナルの様になっています)から100m位離れた所にかかっており、大和八木駅方面からの新宮駅方面行きバスに乗車した場合、吊り橋の目の前を過ぎて少し走った所でバスが停車します。

吊り橋自体は名前の通り、上野地の対岸にある谷瀬集落へ向けて川を跨ぐ格好でかかっているのですが、長さは297m、高さも54mと歩行者専用の吊り橋にしては極めて規模が大きいものです。

MAKIKYUもこれだけの吊り橋は今まで他に…と感じた程(さすがに鉄道や高速道路が通る吊り橋とは比較できませんが…)でしたが、大規模な吊り橋だけあって常時補修が行われている様で、足元の踏み板が所々で新しいものになっている所が見受けられ、補修作業を行っている姿も目撃していますので、維持管理も相当なものと感じたものです。

これだけの吊り橋ですので、十津川村では有数の観光名所にもなっており、混雑時には上野地→谷瀬方向への一方通行(谷瀬→上野地は有料の村営臨時シャトルバス利用)も実施される様です。

MAKIKYUとしてはシャトルバスにも興味はありますが、八木新宮線のバスを乗り通すとなると20分弱しか見物時間がなく、一方通行が実施されると吊り橋を対岸(谷瀬)まで往復する事は出来なくなってしまいます。

また大雨などの天候になると、一方通行が実施されていなくても橋を渡るのに難儀しますので、一方通行が実施されておらず、雨にも殆ど当たらない時に訪問できて良かったと感じたものです。

ちなみにMAKIKYUの足では上野地バス停から吊り橋へ向かい、対岸の谷瀬まで行って来た道を戻るだけなら、20分の停車時間でも充分と感じたものでしたが、谷瀬吊り橋をゆっくり見物するとなると上野地での停車時間はやや短く、八木新宮線自体も「特急」を名乗るとはいえ急ぎのビジネス利用などはまず考えられない路線ですので、もう少し停車時間があっても…と感じたものでした。

あと上野地バス停の写真を見て気付いた方も居るかと思いますが、上野地ではバス停に隣接して小規模な郵便局が設けられており、吊り橋見物と共にこちらへも訪問したいとなれば、当然20分の休憩時間では厳しいかと思います。

路線バス利用で上野地を訪れる場合、途中下車可能な乗車券(168バスハイク乗車券)を利用して次の便まで待つのが賢明かと思いますが、八木新宮線自体が一日3往復しか運行しておらず、他路線も含めた奈良交通バス全体でも運行本数は指の数程…という状況ですので要注意です。


奈良県・十津川村の村営バス~標準塗装は存在するものの…

2010-09-21 | バス[近畿]

今月MAKIKYUが長大路線バスとして知られ、奈良・和歌山両県に跨り160km以上の距離を運行する奈良交通の八木新宮線(大和八木駅~新宮駅)を乗車した際には、途中で日本一広大な「村」として知られる奈良県吉野郡十津川村を縦断しています。

十津川村は奈良県南部の山奥に位置し、日本一広大な「村」として知られる程ですので、面積は非常に広く、八木新宮線で村の南北を縦断するだけでも1時間半以上を要します。

村内は殆どが山地で、広大な面積を誇りながらも人口は4000人程度の過疎地として知られており、場所によっては最寄の鉄道駅へアクセスするだけでも2時間以上を要する程です。

村内の公共交通は、八木新宮線などの村外へ向かう基幹路線を奈良交通が運行する以外は、村内各地への域内移動に十津川村自体が村営バスを運行しており、こちらも比較的早くに民営委託(奈良交通が運行受託)した事でも知られています。

今月MAKIKYUが八木新宮線に乗車した際は、途中下車こそせずにそのまま八木新宮間を乗り通していますので、十津川村は通過しただけと言っても過言ではなく、その事もあって残念ながら村営バスへの乗車は実現していません。

しかしながら八木新宮線では十津川村内で2箇所(上野地・十津川温泉)で休憩時間が設けられ、この時間は当然ながら一旦車外へ出る事が出来ますので、その際には何台かの村営バスの姿を見る事も出来ました。


1枚目は上野地で八木新宮線のバスが待機場所に停車した際に、待機場所に停車していた日野製マイクロバス・LIESSEのトップドア車で、車両自体は過疎地の自治体バスでは一般的なタイプと言えますが、装いは自家用バス(このバスも白ナンバーですので、一応自家用扱いですが…)に村営バスの標記類などを記しただけと言っても過言ではないものです。

2枚目以降は全て十津川温泉で撮影した写真となりますが、十津川村南部の十津川温泉は多数の村営バスの起終点になっているほか、村営バスの車庫も併設しており、ここでは何台もの村営バスの姿を見る事が出来ます。
(一部車庫内で停車しているバスも含まれ、こちらは撮影許可を得て車庫内にて撮影しています)

 
こちらでも上野地と同じく、自家用仕様に村営バスの標記類などを記しただけのLIESSEの姿も見られましたが、十津川村営バスでは一応白に朱帯の標準塗装が存在しており、こちらの方が比率的には大きい様に感じられました。


標準塗装のバスもトップドアのLIESSEが主力となっており、LIESSE登場前の日野製マイクロバス・Rainbow RBの姿も見ましたが、Rainbow RBは車庫内で見かけた以外に八木新宮線乗車中にすれ違う姿も目撃しており、こちらもLIESSEと並び村営バスの主力になっている様です。

 
そして土地柄を反映してか、マイクロバスよりも更に小さいワゴン車も車庫内で見かけており、こちらも村営バス塗装と白1色の2タイプが見られましたが、こちらは白1色ともなると、十津川村の標記などがなければ、ただの自家用車と区別が付かなくなる程です。


また1台だけですが、中型路線車の日野Rainbow RR(もしかしたらRJ?)も車庫内で目撃しており、このバスだけは中扉を装備しているなど、他の村営バス車両に比べて収容力が大きいだけでなく、見栄えも格上という印象を受けたものですが、この車両がどの路線で充当されるのか気になる所です。


あと十津川温泉停車中の村営バスでは、車内の運賃表示器で幕式を用いている姿を目撃し、おまけとしてその運賃表示器の写真も載せておきます。

この十津川村営バスはただでさえ足を伸ばし難い十津川村と言う土地を走る上に、土地柄もあって各系統共に運行本数も極めて限られたものになりますので、非常に乗り難い存在と言えます。

とはいえ志古~瀞峡の瀞峡観光ジェット船と乗り継ぐ事で、志古~十津川村役場方面を移動できるルートや、八木新宮線の一部区間と重複するルートなども存在しており、その気になれば観光目的で利用するのに適した路線・便もありますので、MAKIKYUも再び十津川村を訪問する機会があれば、是非一度村営バスにも乗車したいと感じたものでした。


西鉄2000系電車・遂に来月全廃に~今月末には前面の塗り分けなども…

2010-09-16 | 鉄道[九州・私鉄等]

   

数日前日本の大手私鉄で唯一九州に路線を持つ西日本鉄道(西鉄)では、かつて大牟田線特急の主力として活躍し、近年は数を減らしつつも急行などで活躍していた2000系電車を、来月限りで運行することを発表し、HPなどでも告知していますので、ご存知の方も多いかと思います。

2000系は1970年代前半に、特急用に製造された2扉転換式クロスシート車で、既存車両と異なるクリーム色に赤帯を巻いた装いをはじめ、非貫通型となっている先頭車は運転台が車両のほぼ中央に設置されている事も、大きな特徴となっています。

大牟田線(後に天神大牟田線に改名)ではその後、現在の特急用車両の主力となっている8000系電車が登場し、花形の座を同系に譲った後は、主な活躍舞台が急行となる事もあって、各車両の中央部にも扉を増設し、3扉車となって今日に至っています。

通常花形の座を譲り、短~中距離輸送用に転用される特急用車両ともなれば、クロスシート→ロングシートへの改造が行われる事が多く、西鉄でも2000系導入前に特急用として活躍していた1000系(現在は全廃)などは、主に普通用に転用する事もあってこの様な改造が行われています。

装いも最末期に往年の活躍を労い、リバイバル塗装で運行された他は、他の一般車両と同等となるなど、どう見ても格落ちと言わざるを得ない状況になってしまい、同種の事例は他の標準軌大手私鉄でも幾つか存在しています。
(特に首都圏で活躍し、奇しくも今回西鉄で退役となる形式と同じ「2000」という形式を名乗る車両は、改造後の座席がイマイチと感じる上に、比較的最近の新種別列車設定までは長編成を構成した車両の昼間稼働率が低く持て余し気味、短編成を構成している方も性能特性に合わない列車への充当が多くダイヤを乱す事が多いなど、特に格落ち車両の印象を受けます)

しかしながら西鉄2000系の場合は、3扉車へ改造された後も特徴的な装いをはじめ、転換式クロスシートの座席も扉増設の関係で数こそ減らされたものの、花形時代の設備が存置されるなど、割合花形時代に近い雰囲気のまま今日まで活躍し続けたのは、2000系の大きな特徴の一つと言えます。

MAKIKYUは日頃首都圏に居り、西鉄電車を利用するのは九州を旅行した際や、九州の更に位置する韓国への前後泊(博多港~釜山港間はJRの高速船で片道約3時間・この高速船の出港する博多港(国際ターミナル)へのアクセスも、西鉄のバスが担っています)の序で福岡周辺を動き回った時に限られますので、乗車機会はさほど多くなく、今までの合計で指の数程度、それも3扉改造後の晩年の姿に限られる状況です。

ちなみにMAKIKYUが最後に乗車したのは、昨年韓国から帰国した直後ですので、もう一年近く前になり、現在の主な活躍舞台となっている急行で乗車しており、この時は現在最後のしている2021編成に当たり、この記事の画像もこの時撮影したものですが、経年もあってやや草臥れた印象はあったものの、設備的には特急で福岡(天神)~大牟田間を乗り通しても…と感じたものです。

今年に入ってからMAKIKYUが西鉄電車に乗車した際には、数を減らし乗り難い存在になっている2000系への乗車機会こそないものの、現に休日夜の特急として活躍する姿も目撃し、8000系の代役としても充分通用するのでは…と感じたものでした。

引退発表から退役日までの期間が短く、今後MAKIKYUが2000系に乗車する機会は…といた所で、永年の活躍を労い、前面の塗り分け変更や旧社紋(現行ロゴ導入前にも2000系には一度乗車していますので、この姿はMAKIKYUも見ているのですが…)の復活などが施された姿(プチリバイバル)となる事も発表されていますが、遠方だけにこの姿を見に行く機会がなく、終焉を迎えそうなのは少々残念です。

とはいえ今日まで花形の雰囲気を強く保ち、今日特急で走っても恥じない姿のままというのは、用途変更による扉増設車では、扉増設と共に種々の改造が施され、格落ちの観が否めない車両が多い中では大いに賞賛できる事と感じています。

この事もプチリバイバルでの姿が短期となる要因なのでは?と感じる程ですが、最後まで花形の雰囲気を強く保ち続けた2000系の姿は、退役後も記憶に留めておきたいものです。


いすみ鉄道 いすみ200型気動車~LE-Carの活躍も…

2010-09-14 | 鉄道[首都圏・私鉄等]

先日千葉県を走る第3セクター鉄道・いすみ鉄道では、今年春まで新潟県内で使用していたJRの旧型気動車(この気動車は以前「MAKIKYUのページ」でも取り上げた事があり、この記事に関してはこちらをクリックして下さい)を購入し、来年から走らせる事を発表した事は、随分大きな話題になっています。

MAKIKYUとしても以前この形式の旧型気動車に乗車した際には、随分草臥れた印象を受けたものですので、堅牢な造りの車両である上に、冷房改造済みの単行ワンマン車である事も幸いしたのだと思いますが、解体されずに静態保存か輸出されれば上等と思っていた位ですので、よくこんな古参車両が国内で再活躍の場を見出したと感心しています。

この旧型気動車の新たな舞台にもなるいすみ鉄道は、閑散ローカル線とは言っても、その気になれば普通列車や高速バスなどを利用し、首都圏一円から日帰りで訪問できるエリアにありますので、稼動開始の暁には大きな注目を浴び、訪問者も増大する事はほぼ確実かと思いますし、MAKIKYUも機会があれば…と思います。

ただこの旧型気動車の導入目的は単に目玉車両を導入するのではなく、国鉄木原線→いすみ鉄道転換時に導入されたレールバス(LE-Car)の寿命が近づいている事が大きな要因になっています。

LE-Carは昭和末期に製造された車両にも関わらず、古参気動車によって淘汰される車両が現れるとなるとは皮肉なもので、簡素な車両構造が災いした事を実感させられます。


一時期幾つもの第3セクター鉄道で導入されたLE-Carも、ほぼ同時期に導入された他鉄道の同形車はもう既に大半が…という状況ですので、現在いすみ鉄道で活躍している車両も、今では結構希少な部類に入りますが、現在いすみ200型と称している気動車(レールバス)は、MAKIKYUも3月に大多喜を訪問した際、大多喜→城見が丘という僅かな区間ながらも乗車機会があったものでした。

いすみ鉄道への転換後は今日に至るまで、全ての旅客列車がこの車両で運行されていますので、既に運用離脱した車両も1両だけ存在していますが、今ならいすみ鉄道を利用すれば嫌でも当たる状況です。

3月にいすみ鉄道を久々に利用した際には、車両自体は5年程前に乗車した時と大差ないと感じたものの、車内外の至る所に有名キャラクターのデザインが施されていたのが印象的で、車両だけに限らず駅構内の標識なども…という状況で、この状況は賛否両論が分かれる所だと思います。

 
この様な創意工夫で鉄道好きとはまた異なる客層が開拓でき、少しでも旅客増加につながればと感じますし、この列車への乗車を機会に、鉄道への魅力を感じる人が増えればと思う反面、現状では全ての車両がキャラクターデザイン入りとなっていますので、MAKIKYUとしてはキャラクターデザインのない車両が1両位はあっても…と感じたものでした。
(余談ながら今度導入される旧型気動車に関しては、車両自体をウリにする事もあってか、キャラクターデザインは施されない様です)

いすみ200型をはじめ、第3セクター鉄道が全国各地で相次いで発足した時期に導入されたLE-Carなどの軽快気動車は、簡素な車両構造故に近年各地で引退が相次ぎ、古参気動車などに比べると余り注目されない存在ながらも、次々と数を減らして気が付いたら乗車できる路線も…という状況になりつつあります。

JRで使用していた古参気動車の購入も、現在発表されている情報では1両だけですので、いすみ鉄道では古参気動車に伴って運用離脱するいすみ200型(LE-Car)が発生する公算が極めて高いとは言え、まだ暫くは活躍する姿が見られそうで、旧型気動車と共に活躍する姿は想像するだけでも非常に興味深いものです。

とはいえ車両構造上寿命が短く、他鉄道の動向なども踏まえるといつ引退しても不思議でない車両だけに、旧型気動車と肩を並べての活躍がどの程度続くのかも未知数です。

いすみ鉄道の現状を考えると、新型車導入の可能性は極めて低いとはいえ、先日発表された古参気動車以外にも、各地で徐々に廃車が進行している旧国鉄型の気動車を購入ともなれば、いつ全面淘汰されてもおかしくないだけに、今後の動向が気になる所です。

日頃首都圏に居るMAKIKYUにとって、いすみ鉄道はその気になればいつでも訪問できる所であるだけに、訪問も後回しになりがちですが、機会があれば現在活躍中のLE-Carにも再び乗車し、その姿も押さえておきたいものです。


奈良交通・八木新宮線(2)~車内運賃表示器の各種表示

2010-09-12 | バス[近畿]

先日「MAKIKYUのページ」で取り上げた奈良交通の八木新宮線は、この路線の専用車では比較的近年まで幕式の運賃表示器が用いられていた様ですが、比較的近年になってLCDモニターによる最新式の運賃表示器に交換されており、今日はこの運賃表示器の表示内容に関して取り上げたいと思います。
(ちなみに運賃表示器の撮影に関しては、乗務員の方の許可を得てから撮影しており、公開画像も一部修正しています)

八木新宮線で用いているLCDモニターによる運賃表示器は、バスワンマン機器では大手のLECIP(旧S-Light)製のモニター2面によるものとなっています。

この運賃表示器自体は全国各地の路線バスで次々と導入が進んでいますので、奈良交通に限らず様々な地域の路線バスで見かける機会が多く、これから更に導入事例は増えていく公算が高いと思われます。

この新型運賃表示器はLCDならではの特性を生かし、運賃表示や次停留所表示以外にも多様な案内などを表示できる事も大きな特徴となっています。

八木新宮線でも著名な観光地の最寄停留所で、観光地への最寄である事を映像で案内したり、主な停留所までの凡その所要時間を案内するなど、LCDならではの特性を生かした案内も行われています。


写真は始発の大和八木駅発車前のLCDモニター案内表示(MAKIKYUは大和八木方から新宮行に乗車しました)で、主な停留所までの所要時間が表示されていますが、「新宮駅 約6時間20分」という表示はこれが一般路線バス?と思う程で、八木新宮線の凄まじさを感じさせる表示といえます。


大和八木駅を出発すると一つ目の停留所は橿原市役所前、運賃は初乗りの整理券番号1番の所にだけ180円の表示が出ており、2つ先までの停留所と終点が案内される案内様式は、この新型運賃表示器では良く見かける案内表示ですが、これだけを見ると大阪の郊外(大和八木は大阪市内から近鉄電車を利用すると、急行で30分程で到達できます)を走る一般路線バスという雰囲気ながら、「終点 新宮駅」という表示はただの路線バスではない事を強く主張している様に感じます。

そして八木新宮線のバスに乗り続けると、大和八木駅から3時間弱で路線のほぼ中間、十津川村北部に位置する上野地(Uenoji)に到着し、ここは上野地の谷瀬吊橋と呼ばれる規模の大きい吊橋が存在する事でも知られています。

全国版の時刻表でも八木新宮線の項では、「特急は上野地の谷瀬吊橋で見学のため20分停車します」という案内が記されている程ですので、八木新宮線に乗車した事がない方でもバス停名だけは…という方も多いかと思います。


上野地到着時点でも整理券1番の運賃は2450円になっており、30番までの運賃用表示が全て埋まっている辺りは、この時点でも相当な距離を走る路線バスである事が容易に伺えます。

既に上野地到着時点で整理券番号は30番どころか、55番の表示(運賃区数が多過ぎるために、30番ずつに分けて表示しています)が出ているのですが、それでもモニター右側の所要時間案内では「新宮駅 約3時間15分」と出ており、まだまだ道程は終わっていない事を表しています。

そして終点の新宮駅が近づいた頃には外も暗くなり、乗車したのは昼前にも関わらず…という辺りに、他の路線バスとは比べ物にならない八木新宮線ならではの規模の大きさを感じるものです。

LECIP製の新型運賃表示器では左右両面に運賃表示を行うことも可能なものの、奈良交通では運賃表示を左側モニターに限定し、右側モニターは専ら案内事項等を表示する設定としているために、運賃表示は4区分に分けて表示するという凄まじい状況になっています   
この段階での運賃表示は、30番ずつ表示される運賃表示が識別しやすい様に、この新型運賃表示器での標準モードとなっている整理券番号1~30番(地色:青)以外に、緑(31~60番)・赤(61~90番)・紫(91番以降)と地色を変えて表示しているのが大きな特徴です。

整理券番号が3桁に到達している表示もなかなか見る事ができないだけに、この表示は日本一の長距離路線バスとなっている八木新宮線ならではの見物と言えます。

また携帯電話に関するお願いでは、この新型運賃表示器では一般的な表示ではなく、奈良交通独自の鹿をデザインした待ち受け画面を用いた表示が用いられており、新宮駅周辺は和歌山県に属するとはいえ、奈良交通自体は奈良県に拠点を置く事業者という事を強調している様にも感じられたものでした。

そして終点の新宮駅に到着すると、整理券方式運賃後払いのバスであるだけに、下車時に運賃を精算し、日本一長い路線バスへの乗車は幕を閉じる事になります。

整理券番号109番では190円にしかならない運賃も、始発から乗り通して整理券番号1番となるMAKIKYUの場合は5250円にもなり、路線バスでこんな高額運賃を支払う機会は滅多にないものです。

MAKIKYUが今回八木新宮線に乗車した際には、事前に用意しておいた奈良交通バス専用のICカード乗車券「CI-CA」を利用し、このカードでは1000円入金する毎に100円のプレミア(ひまわり[=昼間割引]の場合は200円)が付きますので、ひまわり精算可能な時間帯を運行する便に乗車した場合、実質的にはCI-CAに5000円入金する事で八木新宮線を乗り通す事が出来ます。


最後の写真はICカードで精算した際のカードリーダー表示で、5250円の表示がカード残額ではなく、1乗車で引き去られる運賃額というのは、今後MAKIKYUが各地で路線バスを利用してもこの記録を更新するのは…という所です。

ちなみに今回の八木新宮線乗車では、奈良交通のCI-CAにおける昼間割引(ひまわり)の制度が、始発地の発車予定時刻が基準となっている事から、目的地への到達時刻が適用時間帯を超えてもひまわり精算(昼間割引)の対象となっています。

ただ終日ひまわり適用となる休日を除くと、八木新宮線に乗り通す場合で昼間割引運賃対象となる便は、大和八木駅発の昼前と午後発、新宮発の場合は10時台に出発する便に限られますので要注意です。

この他にも奈良交通では八木新宮線の長距離旅客向けに、普通運賃相当で天辻(Tentsuji)~志古(Shiko)間の途中下車が可能な乗車券(168バスハイク乗車券)を設定しています。

八木新宮線で1つの便を乗り通すのではなく、途中下車して沿線観光も楽しむのであれば、こちらも利用価値があるかと思いますが、こちらは車内では購入できず、窓口での事前購入となる点は要注意です。

八木新宮線に関しては、まだ続編記事を公開したいと思っていますので、興味のある方はもう暫くお待ち頂ければと思います。


奈良交通・八木新宮線(1)~使用車両は長距離路線にも関わらず…

2010-09-10 | バス[近畿]

今月初めに1週間程更新を休止していた「MAKIKYUのページ」ですが、その間の数日MAKIKYUは有効期間終了が迫る青春18きっぷなどを利用し、西日本方面へ出向いていました。

その際には関西まで青春18きっぷを利用し、JRで移動した後に別途運賃を支払い、奈良交通の路線バスを利用する機会があったのですが、その際に利用した路線が「八木新宮線」と呼ばれる路線で、この路線は名前の通り近鉄大和八木駅~JR新宮駅間を結んでいます。

鉄道関係に精通している方や、関西の地理に長けている方であれば想像できるかと思いますが、大和八木~新宮間は相当な距離があり、紀伊半島を縦断する事で鉄道利用よりも距離的に短くなるとはいえ、八木新宮線の路線長は片道160kmを超えています。

この路線長は一般路線バスの中では日本最長の距離を運行する事でも知られており、所要時間も片道6時間半程と、路線バスにしては突出した存在となっています。

八木新宮線は路線バスとしては突出した存在であるだけに、日本一の路線バスという事を奈良交通自体もHPなどで盛んに宣伝している程ですが、MAKIKYUも大型2種免許持ちバスファンの一人として、この路線には是非1度乗車してみたいと以前から乗車を目論んでいたものですが、その念願はようやく今月になって達成できたものでした。

この八木新宮線は一応「特急」を名乗っているだけに、新宮周辺の和歌山県内では熊野交通の路線バスと並行する区間で停車停留所がかなり限られているものの、それ以外はごく一部の停留所を通過するだけとなっており、また超長距離路線であるだけに途中3箇所(五条バスセンター・上野地・十津川温泉)の休憩時間も設けられるなど、特急とは名ばかりといった印象があります。

途中では十津川村内などで狭路を走行し、景観なども素晴らしい事を考えると、個人的には時間をかけて走ってくれる事は大歓迎で、谷瀬吊橋のある上野地の休憩時間をもっと確保しても…と思う程でしたが、種別の実態は「普通」ではないものの、せいぜい「区間快速」か「区間急行」、或いは「準急」程度なのでは…と感じたものでした。
(種別に関してはJRの「海幸山幸」「はやとの風」や、海外に目を向けると「Glacier Express」の如く遅さを売りとする優等列車も存在しますので、これらと同様の考えと
捉えた方が良いかもしれません)

 
この八木新宮線は超長距離の特殊な路線であるだけに、使用車両も八木新宮線専用の車両が用意されているのですが、この専用車も観光タイプの車両ではなく、一般路線でありふれた存在の車両と言える日野BlueRibbonとなっており、あくまでも一般路線バスである事を強調している様に感じられる点は興味深いものです。


ただ日野BlueRibbonとはいえども客用扉は前扉1箇所のみで、装いは奈良交通の観光バスに近い装いとなっている他、側面の行先・経由地表示が字幕やLEDではなく、プレート掲出になっている事も目に付きます。

下回りも高出力エンジン搭載に加えて冷房用サブエンジンを搭載するなど、他の奈良交通一般路線車とは異なっており、一応長距離路線である八木新宮線の専用車としての差別化が図られています。

車内に足を踏み入れると、長距離仕様の前扉のみの車両だけあって、通路を挟んで2人がけの背もたれが大きい座席(最前列の左側のみ1人がけ)がずらりと並び、補助席も設置されているなど、座席定員を最大限確保できる座席配列となっており、路線バスと言うよりも自家用バスを連想する様な雰囲気となっています。

 
ただ座席数こそ確保されているものの、長距離を走り続けるにも関わらず、座席にリクライニング機能を備えていない事は、八木新宮線専用車の大きな特徴となっています。

座席配置こそ高速バスや観光バスに近いとはいえ、八木新宮線が高速バスや観光バスではなく、あくまでも一般路線である事を強調しているかの様に感じられるのは興味深く、リクライニング機能を備えていない座席のバスに6時間以上も乗り続けるというのは、今日の日本では八木新宮線の他に体験できるのだろうか?という程です。

この座席で途中下車せずに乗り通すともなれば、結構ハードな道中という気がする方も居られるかと思いますが、これまたハードな道程で知られる青春18きっぷ利用によるムーンライトながら号(JRの座席指定制快速列車:MAKIKYUは一応最もラクに過ごせる車両を狙い買いしたのですが…)で夜を越した後に乗車したMAKIKYUでも、思ったよりも疲れは感じなかったものです。

この事は八木新宮線の路線自体が車窓の変化に富み、山中の狭い道を走行する様を堪能していれば時間の経過が早く感じると共に、6時間以上の乗車でも高速バスの如くずっと座りっぱなしではなく、途中で3度の休憩が設けられ、実質的に1~2時間程度の路線バス乗車X4となる事も大きいのでは…と感じたものでした。

ちなみに八木新宮線の専属車両は、どれも大阪府内などの大都市圏では既に登録不可能となっている平成4年式の古参車で、しかもシフトレバーもFFシフトを装備していない車両です。


そのため乗客として乗り続けるには非常に興味深い八木新宮線も、幾らエアサス車で長距離路線用の特別仕様車とも言えども古参車である事に加え、随所に存在する狭隘区間をはじめ、長大路線にも関わらず大和八木駅~新宮駅の全区間が乗務員交代なしであるなど、乗務員の方々には相当ハードな道程なのでは…と感じたものです。

八木新宮線専用車の年式や走行距離なども考えると、今のままの状況が続くのもそう長くなく、近い将来に何らかの動きが生じる公算が高いと思いますが、興味のある方は是非一度奈良交通の八木新宮線に乗車してみては如何でしょうか?

また八木新宮線に関しては、近日中に続編記事も公開したいと思いますので、興味のある方はこちらもあわせてご覧頂ければと思います。


川崎市営バスの民間委託・今度は神奈中グループが受託

2010-09-07 | 小田急グループ

ここMAKIKYUが数日旅行に出向くなどしていたため、更新を休止していた「MAKIKYUのページ」ですが、その間にMAKIKYUの地元・神奈川県では現在車両配置のない川崎市交通局(川崎市営バス)の菅生(Sugao)車庫への車両配置を再開し、同車庫を民間委託するという話題が飛び込んで来ました。

川崎市北部の菅生車庫周辺は、一時期MAKIKYUも所用で頻繁に出向いた事もあり、この一帯へ出向く際には市バスをよく利用したもので、現在は専ら鷲ヶ峰(Washigamine)営業所のバスが運行しており、他に小田急バスの路線を利用する機会も何度かありましたが、今回の菅生車庫民間委託では小田急グループのバス事業者が運行受託事業者に内定しています。
(余談ながら川崎市バスの運行受託は、既に上平間営業所でも行われており、こちらは営業所の比較的近くに多くの路線を持つ京急グループの川崎鶴見臨港バスが受託しています)

この話を聞いただけだと市バス菅生車庫の運行を、近隣で一般路線を運行する小田急バスが…と思う方も多いかと思いますが、受託事業者は小田急バスではなく、一応川崎市内にも路線が乗り入れているとはいえ、僅少な運行本数で有名な免許路線を除くと川崎市内運行区間は僅かで、市バスとは運行エリアも異なる神奈川中央交通(神奈中)子会社の相模神奈交バスと言うのは少々意外な気がします。
(自社路線の運行エリアと運行受託営業所のエリアが異なる事例は、MAKIKYUが利用した事がある所でも大阪市北部に位置し、南海バスが運行受託している大阪市交通局井高野営業所などがありますので、路線移管と異なり運行受託の場合は、全くありえない話ではないのですが…)

神奈中HPにはこの管理受託のお知らせも掲載されており、その中にある「(仮称)菅生営業所管理委託の受託予定事業者の選定について」というリンクでは、相模神奈交バスに関する評点なども記されているのですが、このリンク先を見る限りでは菅生車庫の管理委託に応募したのは相模神奈交バス1社だけだったのも意外なものです。

神奈川県では市営バスを運行する自治体は、川崎市の他に横浜市も交通局を持ち、市内で幅広く路線バスを運行している事で有名ですが、横浜交通開発という子会社を設立して一部路線を委託すると共に、こちらは競合路線を中心に民営移管が進んでおり、神奈中グループも市営バスからの移管路線を幾つも引き受けています。

しかしながら川崎市では運営効率化に当たって民営移管ではなく、公募による民間事業者への委託割合が大きくなり、同じ神奈川県内の市営交通でも対照的な状況というのは興味深いものです。

写真はMAKIKYUが一時期菅生周辺に良く出向いていた頃に撮影し、今度委託予定となっている五所塚線(登戸駅~菅生方面)に充当されている市バスの日野製ノンステップバスです。