東京都心から30km程度の場所に位置し、都心から電車で約1時間と言う距離でありながらも、公共交通機関の不便さで知られる北総監獄(千葉ニュータウン)は、MAKIKYUも不本意ながらこの地に幽閉されていた時期があり、この事もあってその惨状などは、既に「MAKIKYUのページ」でも幾度か取り上げています。
また「MAKIKYUのページ」をご覧の皆様方の中にも、実際に北総監獄へ足を運ばれ、その惨状に驚いている方や、驚きを通り越して呆れている方も居られるかと思いますが、今日限りでこの公共交通不毛の地である北総監獄を走る路線バスの一つで、このエリアを基盤としており、「北総監獄から拡がる虹色網」をモットーとしているバス事業者の「木下(Kioroshi)線」と呼ばれる路線が廃止となります。
この路線はJR木下駅~白井車庫[~白井駅]を結び、大半の区間は木下街道を走るこの路線は、同社の運行する白井線(西船橋駅~船橋法典駅~馬込沢駅~鎌ヶ谷大仏駅~白井駅[~白井車庫])と乗り継ぐ事で、西船橋から木下までバスのみで移動できる事でも知られ、北総監獄を構成する自治体の中では比較的規模の大きい印西・白井両市を結ぶ役割も果たしています。
(運行区間の[ ]内は一部便のみの運行区間を示しています)
とはいえ元々公共交通不毛の地で自家用車利用が多い上に、近年では印西・白井両市共に木下線とかなりの区間で並行するコミュニティバス(これも印西市のバスは「北総監獄から拡がる虹色網」をモットーとしているバス事業者が運行受託しており、白井市のバスも一部は同社が運行受託しています)が運行されており、コミュニティバスの割安運賃(印西市の場合は100円均一)に対して初乗り160円~の対キロ運賃(整理券方式)は割高な事(木下駅~清戸道(印西・白井市境:北口循環線木刈4丁目停留所とも至近距離)間で380円など)もあり、運行本数も決して多いとは言えないにも関わらず、近年は利用が非常に少ない状況が続いていました。
そのため千葉県内で強大な影響力を持つ大手私鉄がこの路線を運行していた頃や、「北総監獄から拡がる虹色網」をモットーとしているバス事業者が発足した頃には、主に専属の中型車(現在は廃車)が充当(随分前には大型車が充当された便に乗車した事もありますが、近年では西船橋駅を発着する白井線ですら大型車を見かけない状況です)されていたこの路線も、近年では小型車やマイクロバスを見かける事が多くなり、それも昼間は運行間隔が2時間程度開くにも関わらずバスの様子を見るとガラガラという有様でした。
こんな状況では廃止の報を聞いた時も特に驚かず、遂にその時が来たか…と感じたもので、木下線廃止で印西市内の木下街道沿い(永治地区など)は、今後公共交通機関がコミュニティバスのみに限られる事になりますが、木下街道を走るコミュニティバスは朝の木下方向へ向かう便と、夕方の木下方向からの便が増便され、辛うじて永治地区などから近隣の高校へ通う学生の足などは確保される状況です。
とはいえ木下駅から電車に乗り換えて少々遠方の学校へ通う木下線沿線の学生や、白井市内から木下及び成田線沿線の学校へ通う学生の交通手段確保といった観点では課題が残り、コミュニティバスのみとなる事での運行本数の大幅減便や、運行時間帯の大幅縮小などは大問題です。
その上木下線と白井線の両便が運行している白井駅~白井車庫間では、今後白井線の便のみが既存ダイヤで運行されますが、木下線廃止に伴う白井線のダイヤ改正などはありませんので、同区間では今後バスの運行時刻が入出庫時間帯に偏り、時間帯によっては何時間もバスが来ない事態が生じる事も大問題です。
それに自治体跨ぎとなる白井駅周辺から木下へ向かうには、木下線利用以外では他自治体を経由してかなりの大回り&2回以上の乗り継ぎを強いられる鉄道乗り継ぎや、北総監獄中央駅での鉄道・バス乗り継ぎのいづれも不便極まりない上に、コミュニティバスは印西・白井両市内のみの移動ならまだしも、両市のバス間での乗り継ぎは考慮されていないだけに、こちらも大問題です。
こんな事態が過疎化の深刻な地方の山村などではなく、東京都心から30km圏エリアで生じる事は異常で、ただでさえ公共交通不毛の地として知られる北総監獄の公共交通事情が、更に悪化する事になりますが、北総監獄の服役囚(住民)ですら木下線廃止を知らず、地域の公共交通が置かれている実情を把握していない人物が多く、北総監獄服役囚の公共交通に対する意識の低さも、非常に困ったものだと感じたものです。
写真は木下線で「北総監獄から拡がる虹色網」をモットーとしているバス事業者が発足した頃に活躍した中型車(現在は廃車)と廃止の告知、木下線運行時刻表(清戸道バス停:木下駅方向)と4月1日からの増便が書き加えられた印西市コミュニティバス運行時刻表(木刈4丁目:西ルート)です。