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梅小路蒸気機関車館・SLスチーム号~館内の短距離を走る列車ながらも…

2009-01-08 | 博物館・保存施設等

 
  

先月MAKIKYUが関西方面へ出向いた際には、久々に(約20年ぶり位かと思います)蒸気機関車の動態保存で知られる京都の梅小路蒸気機関車館を訪問したのですが、その際には館内を走る「SLスチーム号」と呼ばれる列車に乗車する機会がありましたので、今日はこの列車に関して取り上げたいと思います。

SLスチーム号は、名前の通りSL(蒸気機関車)が客車を牽引する列車で、路線はスチーム号運行の為に敷設された往復1km程度の距離を運行しており、折り返し地点は転車台や乗降場(ホーム)などは存在していないため、SLスチーム号への乗車は必然的に往復乗車となります。

折り返し地点では機関車の向きを変える事も出来ませんので、館内のSLスチーム号乗り場を出発してから、折り返し地点に至るまでは、推進運転となるのも特徴で、運行区間は非常に短く、その路線自体もさほど面白いものではありませんが、牽引する蒸気機関車は他の博物館や遊園地などで見られる専用の新造車(場合によっては格好だけで、中身はディーゼル機関車などの事も多いですが…)などではなく、かつて国鉄の第一線で活躍していた本物の蒸気機関車というのが大きな特徴で、これは他の博物館などが真似できない蒸気機関車の動態保存を手がけている梅小路ならではと言えます。

SLスチーム号を牽引する蒸気機関車も、館内で動態保存となっている蒸気機関車の数両が、数日毎に交代するのも特徴で、これだけの事ができる施設は、日本ではもはや梅小路以外には…と思わせるものがありますが、MAKIKYUがSLスチーム号に乗車した際には、C61 2号機がその役割を担っていました。

SLスチーム号に牽引される客車は2両編成となっており、こちらは一応JR在来線と同じ線路幅1067mmの台車を履いた車両ながらも、古風なSLとは不釣り合いな印象を受けるものですが、車内は木製のベンチが並び、ボックス配置となった座席毎にドアが設けられている代わりに、車両間はおろか他のボックスとも行き来が出来ない状況ですので、この座席配列だけは大昔の列車を思わせるものがあります。
(今でも鉄道博物館や加悦SL広場などに保存されている鉄道創世期の客車などで、その様を観察する事が出来ます)

SLとこの客車の組み合わせを見ると、非常に奇妙なものがありますが、如何にも遊具的な印象を受け、SLとは裏腹に余り注目を集めそうにもないこの客車も、客車間は棒状の金具(?)で連結されているものの、牽引する蒸気機関車は自動連結器を装備している為に、機関車と連結する側や、推進運転の際に先頭となる側には、これに対応したアダプター(?)を装備しているなど、よく見ると興味深く感じられる面もあります。
(余談ながら営業線でも、銚子電鉄1000系電車の様に自動連結器本体ではなく、自動連結器との連結に対応したアダプターを取り付けている事例があります)

またSLスチーム号は最終列車の運転終了後に牽引していた機関車を切り離し、その蒸気機関車が方向を変えるために転車台を廻る姿(MAKIKYUが訪問した際には、必要以上に転車台を廻っていましたが…)や、石炭の燃えカスを処理する姿まで公開されるのも特徴で、この様なシーンは日頃なかなか見る事が出来ないだけに、こちらもなかなかの見物です。

このSLスチーム号は路線長こそ非常に短く、国内各地でイベント列車などで運行されるSL牽引列車や、海外で今も現役で活躍するSL牽引列車などと比べると、乗り甲斐や雰囲気の面では今一歩と感じる所です。

とはいえ運行に多大な手間と時間を要する蒸気機関車が牽引する列車に、短い時間ながらも僅か200円(他に梅小路蒸気機関車館入館料400円が必要です)で、煤が飛んでくるSLならではの汽車旅を手頃に味わえる事は有難いもので、「MAKIKYUのページ」をご覧の皆様も京都を訪問する機会がありましたら、是非一度梅小路蒸気機関車館内を走る、SLスチーム号に乗車してみては如何でしょうか?

写真はSLスチーム号と転車台を廻る牽引機(C61 2)、客車とその車内、客車間の連結部分の様子です。


赤い電車(旧)谷汲駅~往時を偲ばせる雰囲気は充分ですが…

2008-08-28 | 博物館・保存施設等

先日岐阜県の揖斐川町コミュニティバスに関する記事を公開した際には、旧名鉄谷汲線駅舎と、かつて活躍していた車両が保存されている事にも触れましたが、MAKIKYUが谷汲山でバスを乗り継ぐ際には、乗り継ぎ時間に余裕があった事もあり、旧谷汲駅舎と保存車両を視察する機会がありましたので、少々取り上げたいと思います。

旧名鉄谷汲線・谷汲駅は旧谷汲村(現在は揖斐川町に合併)の中心部に位置し、現在谷汲地区を発着する揖斐川町コミュニティバスのターミナルになっている谷汲山停留所からも徒歩で数分、また樽見鉄道谷汲口駅からのバスで谷汲山の一つ手前の停留所「谷汲」の目の前にあります。

谷汲線の末期は名鉄一の閑散路線で沿線も非常に侘しく、現在谷汲の地では鉄道(少々離れた谷汲口駅を発着する樽見鉄道はありますが…)はおろか路線バスすら廃止→コミュニティバスに転換、また谷汲線のルートを辿る代替バスも路線廃止となっている状況です。

そのため趣味的には非常に面白く趣のある路線であった半面、MAKIKYUが廃止確定後の末期に一度だけ乗車した際には、21世紀初頭まで残り、それも概ね1時間間隔で列車が運行されていた事には感心させられた程です。

その使用車両も末期は専らモ750形と呼ばれる戦前製の古豪が用いられ、時にはこれまたモ750形に劣らぬ相当な年代物の、丸みを帯びた優美なスタイルを誇るモ510形と呼ばれる車両も運用される状況でした。

谷汲線廃止後もモ750形は21世紀まで生き延びた希少な古豪という事もあって、谷汲線廃線時まで活躍した車両の内1両(モ755号)が谷汲駅跡に保存されており、もはや稼動する事は叶わないものの、現役時代を上回る程の美しい姿となっているのは喜ばしい限りですが、末永く良好な状態で保存するには止むを得ないとはいえ、車両上部に設けられた屋根の支えが車両側面にもあるために、全貌を眺めたり、現役時代さながらのシーンを撮影するのが難しいのは難点です。

  

また谷汲線廃止の頃には想像できなかった事ですが、その後谷汲線と接続していた揖斐線・黒野~忠節間と岐阜市内線も2005年に廃止となっており、これによって用途廃止となったモ510形(514号車)も新たに保存車両に加わっていますが、こちらは比較的撮影しやすい状況となっているのは喜ばしい事です。

あと旧谷汲駅跡は現役当時の車両だけでなく、駅舎や駅構内の表記なども現役時代さながらの状況ですので、今でも電車が発着していても…という雰囲気を漂わせており、駅構内こそ架線が撤去されている他は往時のままといった印象ですが、駅舎の看板は「赤い電車(旧)谷汲駅」(現行ロゴ入りの名鉄谷汲駅看板も駅舎内には存在していますが…)となっており、駅構内を外れた所で線路も途切れている様を見ると、随分寂しいものです。

  

ちなみに谷汲駅舎は現役時代末期の運賃表なども残っており、これを見ると現在の谷汲は鉄道廃止後、岐阜・名古屋方面との公共交通のアクセスが随分不便になったと感じさせられ、今では随分足を伸ばし難い状況の谷汲ですが、「MAKIKYUのページ」をご覧の皆様も岐阜を訪問され、樽見鉄道や養老鉄道などに乗車される機会がありましたら、是非揖斐川町コミュニティバスで谷汲の地を訪れ、「赤い電車(旧)谷汲駅」で谷汲線が走っていた頃を偲ばれてみては如何でしょうか?


錦川鉄道・とことこトレイン(車両編)

2008-05-09 | 博物館・保存施設等

   

先日「MAKIKYUのページ」では、錦川鉄道のとことこトレインに関して取り上げましたが、今日はその車両に関して取り上げたいと思います。

とことこトレインで使用している車両は、阿知須町(現在は山口市に合併)で2001年に開催された、山口きらら博と呼ばれる博覧会で使用した遊覧車2編成を錦町(現在は岩国市に合併)が購入したもので、この2編成が岩国市などが出資した第3セクターの錦川鉄道に貸与されています。

使用している2編成は、共にトヨタ製のトーイングトラクターが3両の客車を牽引する編成となっており、とことこトレインの路線は1000m以上の長さになるトンネルが2つ存在する事もあって、トラクターは天然ガス車両となっているのが大きな特徴で、2編成の形態は同一ながらも、塗装はそれぞれ異なるものになっています。

とことこトレインの走る岩日北線記念公園上の錦町駅~雙津峡温泉駅間では、路盤の幅は単線用で整備されており、列車交換駅や信号所などは存在していない事から、基本的には2編成の内どちらか一方が運用されており、多客期には2編成を続行運転する事もある様です。

客車は典型的なゴムタイヤのトロッコ遊覧車といった感じのもので、とことこトレインは時速10km程度の速度で、錦町~雙津峡温泉間約6km程度の区間を片道40分程度の時間をかけて走行します(路線バスで同区間は15分程度)ので、かなりゆっくりとしたものです。

それでも路盤の所々で凹凸が存在する事や、車両の乗り心地は見た目通りという事もあって、居住性はお世辞にも…という状況で、むしろその乗り心地を楽しむと考えた方が良さそうな乗り物ですが、これは全国数箇所で走っている観光用のトロッコ列車に乗車するのと同様と言えます。

最後尾の客車は過ぎ行く景色を眺めたり、撮影するには好都合な車両ですが、この車両は元々座席数が他車両に比べて少ない上に、車掌用の座席が1席設けらているのは要注意で、また鉄道(清流線)利用者向けの予約席は1両目に設定されています。

ちなみにとことこトレインの走る錦町~雙津峡温泉間の未成線は、全区間が岩日北線記念公園上という事で、とことこトレイン自体も公園内の遊具扱いとなっており、特に免許などの必要もない様ですが、交通機関ではなく遊具扱いとなっている事もあって、悪天候などの諸事情で急遽運休になる場合もある旨が客車内にも記されています。

あと鉄道(清流線)利用者向けの予約席以外は当日販売の自由席とはいえ、1編成の定員は55名となっており、定員超過の場合は乗車不可となりますので、岩日北線記念公園の未成線視察や、きらら夢トンネル見物などの遊覧目的で往復乗車を楽しむのであれば良いとしても、雙津峡温泉へのアクセスとして利用する場合などには注意が必要です。
(乗車券の発売場所も錦町駅となっており、雙津峡温泉駅から乗車の場合は乗務員(空席があれば…)となっていますので、特に要注意です)

ちなみにこのとことこトレイン、見た目は「トレイン」と名乗りながらも列車とは大きく異なる乗り物ですが、未成線区間の高架線を走る様を沿線から眺めると、ミニ列車が走っている様に感じさせられ、とことこトレインは観光用で、未成線ながらも悲願の列車運行!と錯覚させられるもので、全国に幾つも存在する未成線の数々も、今後錦川鉄道に習って活用される事がないのだろうか…と思うのはMAKIKYUだけでしょうか?
(既に未成線を活用している事例も皆無ではありませんが…)

写真はMAKIKYUがとことこトレインに乗車した際にやって来た編成の機関車と客車最後尾、もう一編成のとことこトレインと沿線から眺めた未成線(岩日北線記念公園上)を走るとことこトレインです。


錦川鉄道・とことこトレイン(路線編)

2008-05-07 | 博物館・保存施設等

  
   

先日「MAKIKYUのページ」では、錦川鉄道で活躍する気動車に関して取り上げましたが、現在は錦川清流線と名乗る錦川鉄道は、国鉄時代には岩日線という路線名を名乗っており、この名前は岩国と日原(にちはら:津和野の近くにある山口線の駅です)それぞれの頭文字を取ったものでした。

現在の錦川清流線の終点は錦町となっており、こんな事を書くと「日原は?」と思う方も居られるかと思いますが、岩日線自体が廃線→第3セクター転換となる程の状況ですので、国鉄の財政難で錦町から先は工事が凍結されており、国鉄時代の岩日線という名称の様に日原までの鉄路が実現する事はなく、錦町までの盲腸線として現在に至っています。

しかしながら錦町寄りの区間は路盤などが概ね完成した状況のまま放置される事になり、未成線として永らく放置されていましたが、その内錦町駅から6km程山間を進んだ雙津峡温泉までの間で、2002年から「とことこトレイン」と呼ばれるトラクター牽引の遊覧車が走っています。

錦町~雙津峡温泉間の路盤は「岩日北線記念公園」という扱いになっており、このトレイン(厳密には列車ではないのですが…)はその遊具扱いで交通機関という位置づけではありませんし、とことこトレイン自体も岩国市が保有しています。

ただ「とことこトレイン」の運行は錦川鉄道が受託していますので、観光用で冬季を除く土休日や休暇期間の昼間のみの運行、また厳密には鉄道とは違った乗物ながらも、錦町~雙津峡温泉間は錦川鉄道の延伸区間と言っても良く、大抵は活用されずに放置されてしまう未成線を6kmにも渡って活用している事はレールファンとして喜ばしい事で、また未成線をこれだけ大規模に活用している事例は他にないという点でも、注目すべき存在といえます。

また「とことこトレイン」が走る錦町~雙津峡温泉間の岩日北線記念公園上路盤は、鉄道として建設されただけあって、カーブなどは非常にゆったりとした感じになっており、それこそ全国で幾つか存在する鉄道の廃線や未成線を利用したバス専用道路を連想させられるものがありますが、錦町~雙津峡温泉間にある途中の集落では1箇所駅を設置する予定があった事もあり、その痕跡が見られる辺りも面白い所です。

それに岩日北線記念公園上路盤を単に遊覧車が走るだけでなく、路線上に2箇所存在する長大トンネル(全長1000mを超えます)の内、錦町駅を出てすぐの所にある広瀬トンネル(きらら夢トンネル)と呼ばれるトンネルでは、トンネル内に蛍光石を用いた大規模なトンネル壁画があって、この場所で数分間停車して壁画を楽しめる様になっているなど、レールファンでなくても楽しめる様に趣向を凝らしているのも特筆すべき点と言えます。

ちなみにこの「とことこトレイン」は錦町~雙津峡温泉間で片道600円(往復はその倍額・片道のみでも乗車可)となっており、運転日が土休日など特定日に限られますので要注意(詳細は錦川鉄道公式HP内に掲載あり)ですが、錦町~雙津峡温泉間は路線バス利用(岩国市営錦バス)でも470円を要する事から、観光用の遊覧車という性質も考えると、その運賃設定はむしろ割安とも言えます。

錦川清流線の利用促進も兼ねている事から、同線を利用して訪れると、清流線の利用証明書(錦町到着時に車内精算する際に配布)を持参する事で100円引き(片道500円)となるのも有り難いものですが、鉄道利用の場合は電話での事前予約可能という特典も用意されています。
(MAKIKYUがとことこトレインに乗車したのは平日だけあって、予約なしで直接現地に赴きましたが、日によっては多客故に突然訪問しても、定員超過で乗車できない事もある様です)

この「とことこトレイン」、現在では山間の田舎町では大きな注目を集める観光資源の一つとなっており、とことこトレインを模したお菓子などの土産物なども売られている程ですが、「MAKIKYUのページ」をご覧の皆様も錦川清流線に乗車される機会がありましたら、是非もう一歩足を伸ばして「とことこトレイン」にも乗車して、雙津峡温泉まで足を伸ばしてみては如何でしょうか?

あと「とことこトレイン」で使用している遊覧車と、岩国市営錦バスに関する記事も近日中に掲載予定ですので、こちらはもう暫くお待ち頂ければと思います。

写真はとことこトレイン錦町駅と雙津峡温泉駅、雙津峡温泉駅周辺の様子ときらら夢トンネル内のトンネル壁画、乗車中のワンシーンと錦町駅の駅名標(雙津峡温泉駅にも同様の駅名標があります)、とことこトレインの乗車券(○鉄の印は鉄道利用を示しており、もう一枚のきっぷは錦川清流線の普通乗車券で硬券)です。


鉄道博物館内を走るミニ列車・新幹線はやて号~実車とは随分な差が…

2007-11-18 | 博物館・保存施設等

   

「MAKIKYUのページ」では先日、鉄道博物館内に敷設されている1067mm軌道(JR在来線などで用いられている線路幅です)と、ミニ列車軌道に関する記事を取り上げましたが、この両者が並行して敷設されている箇所は通常、1067mm軌道の方は列車が走る事がないものの、ミニ列車軌道の方は本館~ノースウイング間のシャトル列車が運行されています。

使用されている車両は一応新幹線E2系を模したもので、塗装などを見れば「はやて」号である事は一目瞭然なのですが、編成は先頭車を含めて6両しかありませんし、定員は1両当り6人(運転台付き車両は更に少なく3名程度です)しか乗車できず、先頭車は連結器を備えていない事もあって、「はやて」号実車の如く「こまち」と連結して走るという事もありませんし、大陸を走る色違いの同形車両(和諧号)の様な2編成併結も行っていません。

また運行路線も途中で一箇所にポイントが設けられ、ミニ運転列車の軌道とつながっているのですが、これは通常使用されておらず、両端の駅を含めて全区間が単線で交換設備も設けられていない区間を1編成がピストン運行していますので、現在非常に混雑している鉄道博物館内のシャトル列車としては明らかな輸送力不足とも言える状態に陥っており、MAKIKYUが訪問した際も20~30分待ちという有様でしたが、本館~ノースウイングの間は徒歩でも移動可能で、こちらの方がずっと早いですので、このミニ列車はシャトルとしての機能は果たしていないといっても過言ではなく、実質的にアトラクション的存在となっています。

MAKIKYUは「はやて」号の実車にはまだ乗車した事がなく、同形車両も色違いの和諧号(はやて号で使われている車両とは、細部に色々と違いがありますが…)に乗った事があるだけですので、はやて号はこのミニ列車が初乗車になったのですが、ミニ列車だけあって大柄なE2系実車とは比べ物にならないナローゲージよりも遥かに小型の車両、座席も硬いプラスチック製(?)で空調も未装備と、居住性はお世辞にも良いとは言えないもので、非常にゆっくりとした速度で走る事もあって、E2系実車とは雲泥の差を感じさせられるものです。

またたままた運転台付きの先頭車両に乗車し、運転台の様子なども視察できたのですが、ブレーキハンドルの位置や速度計などはミニ運転列車などと同仕様にしているのか(?)、どう考えても新幹線という感じではないのも特徴的でした。

ただこのシャトル列車はミニ運転列車(予約制:200円)とは異なり、入館者自体が体験運転する事は出来ないものの、入館者であれば誰でも無料(入館料以外の追加料金不要:ただ入館料だけでも和諧号に100km程度乗車するよりも高いのですが…)で乗車できますので、鉄道博物館を訪問する機会があるならば、訪問記念に乗車してみるのも良いかもしれません。

写真はミニ運転列車の外観と運転席、車内の様子です。

また参考までにE2系実車(MAKIKYUは「はやて」号にはまだ乗車した事がありませんので、MAKIKYUが以前乗車した色違いの和諧号で代用・既公開記事で掲載)の写真も掲載します。


補足・鉄道博物館内の1067mm軌道とミニ列車軌道~現状で動態保存車両の運行は…

2007-11-12 | 博物館・保存施設等

  

昨日「MAKIKYUのページ」では鉄道博物館に動態保存車両として収蔵されているキハ11 25(現在JR東海で現役のキハ11形ではなく、旧国鉄時代に国鉄からは形式消滅した旧型気動車キハ17系列の事です)を取り上げましたが、その記事で触れた動態運行に関する記述は、鉄道博物館を訪問していない方には分かり難い部分もあるかと思いますので、今日は補足記事として博物館内の1067mm軌道(俗に狭軌と呼ばれ、日本のJR在来線や首都圏大手私鉄の過半数などで用いられている線路幅です)と、それに並行して敷設されているミニ列車(鉄道博物館内を走るオモチャの様な列車です)の軌道に関して取り上げたいと思います。

鉄道博物館内を走るミニ列車は、入館者自身が運転可能な単行車両(予約制となっており、幾つかのJR東日本在籍車両を模した車両が走っていますが、混雑が激しい現状では整理券配布となっており、MAKIKYUが訪問した際は整理券配布の行列が締め切りとなっている有様で運転・乗車は断念せざるを得ない状況でした)と、新幹線E2系を模した車両(係員が運転する運転台付き車両が両端に連結された6両編成・乗車のみで入館者が運転する事は出来ませんが、MAKIKYUが訪問した際はそれでも30分待ちで、こちらは何とか乗車できました)の2種類が存在します。

2つのミニ鉄道が走る区間は分離されていますが、検査時などを想定して新幹線車両は入館者が体験運転を行うエリアにある工場へ自走して引き込める様になっており、この連絡線部分は通常入館者が徒歩で通行する事もあって蓋がされています。

この連絡線に踏切などはなく、入館者の通路になっている事もありますし、また開館前や閉館後も新幹線車両は通常工場への取り込みは行わない様で、休館日などにメンテナンスを行うなどの事情がない限り新幹線車両の連絡線通行は見られそうにないですので、この区間の通行を見る機会は少なそうです。

少々前置きが長くなってしまいましたが、2つのミニ列車の中でも新幹線E2系が走る区間(ほぼ一直線に等しく、終端の駅付近で多少線路が曲がっている程度です)はJR在来線などで使用している軌道幅1067mmの線路(JRの営業線ともつながっており、実際に鉄道博物館への収蔵車両格納などで使用)と並行しています。

両者が併走する区間では枕木を共用しているのが特徴的ですが、両者の軌道は格段の差がある事が一目瞭然で、ミニ列車は軌道幅が狭いだけでなく線路自体も随分小さいのがよく分かるのですが、両者の併走区間ではミニ列車の軌道が1067mm軌道と随分近い状態で敷設されており、ミニ列車が走行している限り、1067mm軌道に車両を走らせると両列車が接触しそうな状況ですので、動態保存車両として薄暗い屋内とは別個に保存されているキハ11 25をここで走らせるのは、ミニ列車を運休にでもしない限りは厳しそうに感じられます。

また鉄道博物館は開館したばかりという事もありますが、相当な賑わいとなっており、更なる拡張を行っても良さそうな気がします(JR線の車窓からも丸見えで、大宮の工場に放置されている車両の中にも、新たに鉄道博物館へ収蔵して良さそうな車両がありますし、別個に動態保存列車の走行軌道を整備すれば、ミニ列車の走行区間に併走する部分も多少整備するだけで収蔵車両の保存スペースが確保できそうです)ので、拡張を行うのであれば現在試運転列車が使用している館外のJR試運転列車などが使用している軌道を整備し、ここに動態保存車両として収蔵しているキハ11 25などを走らせる方が、保存車両の運行を行うには妥当なのかもしれません。

ただそうなると現在JRが試運転を行っている線路に、館内から見える高崎線や埼京線では走らない車両の試運転列車がイレギュラーな編成でやって来て入館者の注目を集めるという、JRの営業線や工場と至近距離にある鉄道博物館ならではのお楽しみが実現しなくなってしまいますので、その点ではやや難ありでしょうし、他にも色々課題があるかと思いますので、上記の様な構想は夢物語で終わりそうですが、「MAKIKYUのページ」をご覧の皆様で鉄道博物館へ行かれた方は、如何感じられるでしょうか?

写真は動態保存車両(キハ11 25)の近くにあるミニ列車(新幹線E2系)の発着駅(ミニ列車乗車待ちの行列から撮影)と1067mm・ミニ列車軌道の並行している部分の様子、そして以前鉄道博物館訪問の雑記記事として取り上げた際に掲載した写真とは逆側から撮影した館内屋外空間の様子(脇の試運転線路に停車している車両と体験運転ミニ列車で偶然同じタイプの車両が並んでおり、試運転列車が営業運転と異なるイレギュラーな編成を組んでいる姿は入館者の注目の的でした)です。

あと鉄道博物館内を走るミニ列車に関しても、近日中に別記事で取り上げたいと思います。


鉄道博物館の収蔵車両:キハ11 25~撮りやすい位置は魅力的ですが…

2007-11-11 | 博物館・保存施設等

 

MAKIKYUは今月初めにさいたま市にOPENしてまもない鉄道博物館を訪問しましたが、館内には多数の車両が収蔵されており、その一つが今日取り上げるキハ11 25です。

キハ11形は旧国鉄が1950年代に導入した一般型気動車・キハ10系列の一員で、この系列は軽量化を図る為に車体幅が狭くなっているのが大きな特徴ですが、キハ11形はその中でも両運転台・寒冷地仕様となっており、他にも片運転台車などは別形式を与えられており、キハ10系列はキハ11形以外にも幾つかの形式が存在します。

1970年代後半~80年代前半にかけて、現在のJRにおけるローカル輸送でも大活躍しているキハ40系列などと代替で廃車となっており、JRへ引き継がれた車両は存在しませんが、国鉄から引退した車両の一部は幾つかの地方私鉄に譲渡されており、MAKIKYUはこの系列には乗車した事がありませんが、21世紀になるまで現役で活躍していた車両もあった程です。

しかし老朽化の進行などもあって、最後までキハ11形を使用していた茨城交通でも2004年に退役していますが、その最後まで活躍した車両であるキハ11 25は茨交引退後に特別整備され、鉄道博物館に収蔵されています。

この車両は稼動可能な様に整備されている模様で、その関係もあって他の鉄道博物館収蔵車両が詰め込み状態で展示されている屋内の薄暗い空間ではなく、離れの野外で公開されていますので、写真が撮りやすい事も魅力的ですが、ローカル線用の気動車(ディーゼルカー)という比較的地味な役回りの車両という事もあって、新幹線やSLなどに比べて一般の博物館入館者にはインパクトが薄い様ですし、その上一両だけ離れに置かれていて車内の様子も伺えない(ブラインドが下ろされています)だけあって、希少な車両の割に人気は今一つの様です。

ただ現状の鉄道博物館では、ミニ列車(はやて号)ですら行列が出来て大盛況という状況ですので、暫くして客足が落ち着かない限りは館内での運行は難しそうですし、それまでは他の収蔵車両に比べて注目度の低い状態が続きそうです。

また今後入館者を乗せてキハ11形を走らせるにしても、現状では館内野外部分の線路(屋内に繋がっており、実際にJR営業線から館内への収蔵車両搬入にも使用)は随分接近した状態でミニ列車の軌道が敷設されており、両者を同時に走らせるのはまず不可能かと思いますし、キハ11形の乗車に対応したプラットホームなども整備されていませんので、現状で館内の線路を走らせるのは少々厳しく感じられます。

博物館内の線路に並行している線路(柵の外側)もJRが試運転列車の運行などで使用しており、ここを走らせるのも色々課題があるかと思います(ここを整備する方が有力かもしれませんが…)ので、仮に動態保存という事で稼動させるのであれば、どの様な形態で走らせるのかも気になる所ですが、つい数年前まで稼動していた車両だけありますので、是非再び稼動する姿を目にしてみたいものです。


先日ようやく鉄道博物館へ(雑記)

2007-11-04 | 博物館・保存施設等

   

10月14日「鉄道の日」には2つの鉄道に関連する博物館が開館し、その内「小田急バーチャル鉄道博物館」(バーチャルという名の通りネット上に存在しており、小田急電鉄HPからアクセス可能です)は既に何度も訪問しており、「MAKIKYUのページ」でも関連記事を取り上げています。

しかし10月14日に開館したもう一つの鉄道に関する博物館で、かつて東京・神田にあった交通博物館を移転して新装OPENした埼玉県さいたま市の「鉄道博物館」は、開館当日に入場制限が行われる程(MAKIKYUの知り合いにはこれに泣いた人物もいます)で、MAKIKYUもつい一昨日(2日)ようやく訪問する事ができたのですが、先日訪問した際に感じた事や訪問記などを、今日は雑記として記したいと思います。
(これから鉄道博物館訪問を検討されている方は、宜しかったら参考にして下さい)

鉄道博物館へのアクセスは、大宮~内宿間を運行する埼玉新都市交通(ニューシャトル)で大宮駅から一駅、その名も「鉄道博物館」という駅(鉄道博物館開館にあわせて、大成(おおなり)から改称された駅ですが、ICカードの利用履歴には未だに旧駅名が表示されます)に直結しており、他に東武野田線北大宮駅からも徒歩圏ですし、やや健脚向けで悪天候時などは厳しいですが、各路線が集まる大宮駅からも徒歩20分強でアクセス可能な場所に位置しています。

ニューシャトルには大宮から1駅乗車するだけでも180円(全線では340円です)かかりますので、MAKIKYUはそれならという事で、ニューシャトルには終点一つ手前の羽貫駅から乗車して鉄道博物館駅を目指しましたが、ニューシャトルを利用して鉄道博物館へ来館する方の殆どは大宮方からアクセスしている模様(そのため大宮~鉄道博物館の1駅間だけ混雑する事も多い様です)で、内宿方からのアクセスは比較的空いていますのでおススメです。

ただニューシャトルは大宮駅以外に他鉄道線との接続駅がなく、また上越新幹線に並行して走ってはいるものの、大宮・鉄道博物館以外の駅から至近距離に他路線の駅も存在していませんので、大宮・鉄道博物館の両駅以外にニューシャトル以外の公共交通機関を用いてアクセスするとなれば、必然的に路線バスを使用する事になりますが、これは上尾~羽貫駅(一部は更に伊奈学園総合高校まで運行)の朝日自動車(東武系のバス事業者でバス共通カードの利用も可能です)をはじめ、上尾駅~ガンセンター(丸山駅まで徒歩圏です)間など朝日だけでも幾つかの路線があります。

他にも新規参入事業者である丸建自動車(けんちゃんバス:バス共通カードなどは使えませんが、運賃は150円均一と割安です)の上尾~蓮田間の路線(志久駅を経由する路線と、丸山駅を経由する路線に分かれます)や、上尾市のコミュニティバス(ニューシャトル沿線も一部は上尾市に含まれる事もあり、原市などの駅近くを通ります)などもありますが、どのバスも決して本数は多くない状況です。

ただ上尾駅東口に行けば、ニューシャトルの何処かの駅に抜けるバスを捕獲するのは比較的容易ですので、大宮~鉄道博物館の1駅間混雑を避けたい方や、バスと組み合わせてニューシャトルで鉄道博物館へアクセスするルートに興味のある方は、上尾駅からアクセスされると便利かと思います。
(ニューシャトルの駅から上尾駅に向かう場合や、上尾以外の駅(蓮田など)からニューシャトルの駅へアクセスされる場合は本数が余り多くないですので、事前に時刻を確認しておいた方が良いです)

こんな事を記しているMAKIKYUですので、先日の鉄道博物館訪問の際には当然上尾駅へ向かい、上記に記した羽貫駅までのバスを利用したのですが、上尾まではMAKIKYUの現在住んでいる横浜市内から直通で行ける電車も運行されているものの、さすがにこれは面白みに欠ける上に車両の質も…という感がありますし、運賃が高い事(片道1110円)もありますので、横浜~渋谷間で東急東横線を利用し、その後JRを板橋・(赤羽)・浦和で乗り継いでアクセスしたのですが、これですと横浜~渋谷間260円・渋谷~上尾間650円(合計910円)で済みます。

また先日はわざと板橋・浦和の両駅で途中下車(改札を出場)する事で更に50円浮かせており、これはいびつなJRの運賃制度に起因するものですが、この事は「MAKIKYUのページ」においても過去に何度か記しており、板橋での途中下車はともかくとして、浦和で一旦途中下車するだけでも運賃制度の違い(電車特定区間とそれ以外)も影響して40円変わります(渋谷~浦和間380円・浦和~上尾間230円、合計610円)ので、改札出場の手間を惜しまなければ、渋谷~上尾間をJRで移動する際には浦和で一旦下車した方が利口です。
(電車を乗り通すだけで余計な運賃がかかるのではたまらないですので…ちなみにJRでこの様な事例は無数に存在し、例えば小田急や京王沿線の方が鉄道博物館を訪問するのに新宿~大宮間でJR線を利用する場合、川口か西川口で途中下車するだけで30円安くなり、回数券の場合も分割して購入した方が経路に制約が生じるものの、運賃は得になります)

ところで鉄道博物館自体の話からは随分それてしまいましたが、肝心な鉄道博物館自体の話に移りますと、入館料1000円というのは随分強気な価格設定という感があり、JRみどりの窓口で発売している前売券を購入してもドリンクのサービス特典(館内食堂で使用可能)があるものの割安にはならず、ニューシャトルの運賃も考えると結構割高な感がありますし、また前売券は発売枚数制限の関係もあって予め日時を指定(但し発売制限数に達していなければ当日でも購入可能で、MAKIKYUが入館当日に浦和駅で購入した際には、残数47でした)しなければならない点は、随分不便なものです。
(ただ鉄道博物館においては入場券購入も混雑していますので、可能であれば前売券を購入した方が賢明です)

入館に際しては最新の博物館だけあってIT技術を駆使し、ICカードによる入館時の改札をはじめとして、専用の入館カード以外に手持ちのPASMOやSuicaが使える事もウリ(但しMAKIKYUが首都圏のJR利用時に愛用しているJRのICカード・ICOCAは不可です)となっていますが、前売券利用者の場合は専用カウンターにおいて引換券と交換で自動的に入館カード利用(他に会員なども)となっており、この入館カードは種別(大人・会員・子供など)によって色分けされているのが特徴で、また予約制アトラクション(ミニ運転列車など)のデータを記録できる機能もある様ですが、現状では混雑の余り整理券を配るほどの状況で、この機能を発揮できていないのは皮肉なものです。

薄暗い色をした建物(同日OPENした小田急の博物館とは対照的です)の館内に入ると、開館フィーバーもあるのか結構混雑しており、シミュレーター(以前交通博物館にあったもの)でもかなりの行列、ミニ運転列車(200円)の整理券も既に締め切りとなっており、ドリンク券もあるので試しに…という事で利用した日本食堂(館内レストラン)も食事時を外れているにも関わらず30分待ち、挙句の果てにはミュージアムショップまで入店待ちとまだ結構混雑していて落ち着かない感があり、訪問した11月2日(平日)でこの有様でしたので、土休日に訪問したらどれだけ凄い事になるか想像するだけでも恐ろしいですが、まだ暫くは落ち着いて見学できる状況ではなさそうです。

ただ以前の交通博物館時代に比べて大幅に収蔵数が増えており、充実した展示車両の見学などは身動きが取れない程ではありませんので、見学そのものはそれなりに楽しめ、展示車両と共に作られた時代の情景セット(ホームなど)もなかなか良い感じですし、2階部分から多数の展示車両を見下ろすのは悪くないのですが、演出効果を狙った事もあるのか多数の車両が収蔵されている館内は極めて暗く、しかも収蔵車両数の割に館内は狭い事(それでも国内にある他の鉄道関連博物館と比較すれば大きいですが…)もあって、満員電車の如く展示車両が詰め込みとなっている感があり、「薄暗い」「詰め込み」となれば某社レンズ付きフィルムによく似た名称で呼ばれる事が多いJRの某安物車両を連想させられて感心できるものではありませんし、個々の保存車両を撮影するには極めて不都合な点は惜しまれます。

また館内とJRの営業線路が繋がっているとはいえ、現状ではもう殆ど収蔵車両数の増加が見込めそうにない点(この点では中国北京の鉄道博物館では無造作に車両が陳列されているだけという感があるものの、空間的余裕という観点では評価でき、今後にも期待できそうです)も気になります。

とはいえ交通博物館時代より収蔵内容が大幅にグレードアップしており、日本国内の鉄道関連博物館では最大級の規模を誇る事もあって、MAKIKYUは館内に6時間程度いたものの、まだまだ物足りない感がありましたので、混雑で落ち着かない状況で割高な入館料金を払うのは躊躇いがありますが、開館フィーバーが冷めて少し落ち着いた頃に再度訪問し、館内をゆっくりと見学すると共に、先日の訪問では体験できなかったミニ列車の運転なども挑戦してみたいものです。

この鉄道博物館に関しては、まだ保存されている収蔵車両の数々など記したい事は多数ありますが、それらに関しては後日追って取り上げたいと思います。

写真はニューシャトル車中(大宮行電車が鉄道博物館駅に到着する手前)から眺めた鉄道博物館と鉄道博物館の入場券類(JR乗車券と同等の前売券=入館カード引き換え時に回収・前売券利用者特典のドリンク引換券・入館ICカード[一般]、赤斜線はMAKIKYUが追加)、鉄道博物館2階から眺めた1階の保存車両群です。


お座敷客車「くつろぎ」~碓氷峠鉄道文化むらの休憩車両ですが、このグレードは…

2007-10-06 | 博物館・保存施設等

   

「MAKIKYUのページ」では先月も何度か碓氷峠鉄道文化むらに関係する記事を公開しましたが、今日は鉄道文化むら内の休憩車両として使用されているお座敷客車「くつろぎ」に関して取り上げたいと思います。

この車両は12系と呼ばれる急行形客車を改造したジョイフルトレイン(主に団体列車や特定の臨時列車で使用される特別仕様の車両)で、1980年代前半の国鉄末期にジョイフルトレインに改造された車両ですが、国鉄からJRに継承された後もずっと高崎に配属され、車両の老朽化もあって99年に現役を退いていますが、塗装は87年に茶色系のシックな塗装になって以来、引退までずっとこの塗装で活躍し、退役後もこの塗装で残存しています。

編成は両端に車掌室を設けた車両を組み込んだ6両で、車内はゆったりとした畳敷きのお座敷でグリーン車扱いとなっていますので、形式は種車の「スハフ」「オハ」から「スロフ」「オロ」に改められており、各車両には配属先の群馬県やその周辺地域にちなんだ地名(赤城・榛名・妙義・浅間・秩父・男体)が付けられているのも特徴です。

現在は6両の内4両が解体されてしまったものの、2両が鉄道文化むらで休憩車両として活用されて第二の車生を送っていますが、これもスロフ12 822(赤城)・オロ12 841(榛名)と各形式を1両ずつとしている点も評価できるかと思います。

車内を見ると、照明や空調関連などは鉄道用をそのまま使うのは難ありなのか、家庭用のモノが別個に設置されていたり、一部が取り替えられたりしており、車外にも家庭用エアコンの室外機が目に見える状態で設置されていますので、この点は一般の静態保存車両と異なり、第一線から退いたとは言え、休憩用として活用されているが故の特徴とも言えます。

これは休憩施設として活用されている事に歓迎すべきなのか、それとも原型を損ねるという点で難ありなのか評価が分かれそうで、また他の静態保存車両に比べて車体の色褪せなどが激しく感じられてしまう(他の保存車両の状態が物凄く良好ですので、こう感じてしまうだけかもしれませんが…)のも難点です。

ただそれでも今月中に大宮に開館予定で、保存車両の両数も同程度の「鉄道博物館」でも休憩用車両も2両が用意されるものの、こちらは仙台近郊などで晩年はローカル輸送に活躍した元急行形(455系・リニューアル車)で、この車両は普通列車の普通車として活躍していましたので、敷地内の展示内容の優劣(まだ鉄道博物館を訪問した事はありませんので、評価はできませんが…)はともかくとして、休憩用車両のグレードは鉄道文化むらの方に軍配が上がりそうです。

日本の鉄道関連展示施設としては格段の広さを誇る鉄道文化むら内を廻って疲れたら、豪華な設備でゆったりと過ごせるのは有難く、ここで名物の「峠の釜飯」を味わうのもなかなか良いものですので、「MAKIKYUのページ」をご覧の皆様も鉄道文化むらを訪れる機会がありましたら、是非この休憩用車両「くつろぎ」にも立ち寄られてみては如何でしょうか?
(ちなみに「くつろぎ」車内への入場・休憩には、入場料以外の別途料金は要しません)

写真は車外(エアコンの室外機にも注目)と車内(天井の写真にも注目)の様子です。


碓氷峠のトロッコ列車・シェルパ君(車両編)~居住性は決して良いとは言えませんが…

2007-09-29 | 博物館・保存施設等

   

先日「MAKIKYUのページ」では、JR信越本線・横川~軽井沢間廃線跡の一部を活用したトロッコ列車・シェルパ君に関して取り上げましたが、今日はそのトロッコ列車で使用されている車両に関して取り上げたいと思います。

トロッコ列車の編成は横川(ぶんかむら)方から順に、機関車・客車(窓ガラスあり)・オープン型客車(窓ガラスなし)の3両で構成されており、機関車の付け替えは原則として行いません(とうげのゆ駅での機回しも不可です)ので、列車がとうげのゆ方面へ向かう際は機関車が最後尾、ぶんかむら方面へ向かう際は機関車が最前部となっており、65‰もの急勾配(ぶんかむら~とうげのゆ駅間の最急勾配:営業線時代の横川~軽井沢間における最急勾配は66.7‰)となっている路線だけあって、常に勾配を下る側に機関車が連結されているのが特徴です。

機関車はさすがにJR線時代に主役として活躍したEF63形という訳には行かず(この車両は今でも体験運転用に稼動していますが、架線の保守なども考えると…)、ディーゼル機関車が牽引していますが、このディーゼル機関車はTMC-500Aと呼ばれる急勾配の碓氷峠専用に製造された貴重な車両で、下りの際に速度が出過ぎない様にする特別な装置が備えられているのが特徴です。

客車もJRの第一線で活躍していた車両となれば、いくら線路幅が1067mmで物理的に走行可能であるとはいえ、1両だけでも大型故に重量が重くなり過ぎ、保線用車両ではとても推進運転などは出来ませんので、シェルパ君運行開始に際して特別に製造された小型の2軸客車が使用されていますが、この専用客車の外観は2両共に旧型客車をイメージしたダブルルーフとなっているのが特徴です。

2両の内横川(ぶんかむら)方に連結されている客車は、側扉が引戸となっており、冷暖房完備・座席も座面にはモケットが貼られていますが、空調装置も家庭用エアコンを2台設置している点は、一般の営業線で活躍する鉄道車両ではなかなか見られないもので、先頭(とうげのゆ方)に連結されているオープン型客車に比べると居住性は優れていると言えますが、それでも客車は小型という事もあってボギー車ではありませんので、居住性は決して良いとは言えません。

先頭(とうげのゆ方)に連結されている客車は、窓ガラスのないオープン型客車(一応アクリル板の取り付けが可能な様です)となっており、こちらは側扉が折戸となっているのも隣の客車との差異ですが、オープン型客車故に当然空調なし、また座席も木製と居住性は言うまでもない状況ですので、営業用の鉄道であれば特殊な観光列車などを除くと用をなさない代物です。

ただシェルパ君はアトラクション的存在で碓氷峠鉄道文化むら内施設の一環として運営されており、列車乗車や車窓を楽しむためだけに運行されていると言っても過言ではない列車ですので、外の景色を楽しめ、先頭部での展望も楽しめるオープン型客車の方が人気がある様です。

また2両の客車間は自由に往来可能な事もあって、MAKIKYUは両者を乗り比べていましたが、「MAKIKYUのページ」をご覧の皆様もシェルパ君に乗車される機会がありましたら、両方の車両を乗り比べてみると面白いかと思います。

写真はとうげのゆ駅停車中のシェルパ君ぶんかむら方(先頭は機関車)・とうげのゆ方(先頭はオープン型客車)と、客車車内の様子です。


碓氷峠のトロッコ列車・シェルパ君(路線編)~鉄道文化むら内施設の一環という位置づけながらも…

2007-09-26 | 博物館・保存施設等

   

MAKIKYUが今月上旬に訪問した群馬県・横川(安中市)にある「碓氷峠鉄道文化むら」では、園内に保存されている車両や、先日取り上げたアトラクション的な遊覧鉄道(あぷと君)の他に、かつて信越本線として使用された横川~軽井沢間の廃線の一部を使用したトロッコ列車も運行しており、これが今日取り上げる「シェルパ君」です。

この列車は長野新幹線開業に伴う横川~軽井沢間の廃線後にオープンした鉄道文化むらの開園当初は運行されておらず、2005年になって運行が始まったのですが、土・日・祝日や夏休み期間などに運行されるこのトロッコ列車はぶんかむら駅~とうげのゆ駅間の2.6kmを結んでおり、途中の丸山変電所跡にはまるやま駅も設けられています。

これはアトラクション的鉄道としては異例の長さを誇り、営業用鉄道の短い支線を凌ぐ程の規模ですし、、それも路線の大半はかつて国鉄~JRの営業線(信越本線下り)として使用されていた事も他に類がなく、軌道幅もこの手の鉄道としては異例の1067mmとなっていますので、かなり本格的な鉄道と言えますが、起点のぶんかむら駅周辺ではかつて横川~軽井沢間で活躍し、現在でも体験運転で活躍しているEF63形電気機関車が同じ線路を走行するのも特徴です。

そのためこのトロッコ列車「シェルパ君」はディーゼル機関車が客車を牽引する非電化路線ながらも、大半の区間は架線柱や架線が往時のまま残されており(機能は果たしていませんが…)、軌道もアトラクション的鉄道としては異例のPC枕木となっていますが、廃線後の信越本線跡から分岐してとうげのゆ駅に至る短い区間などは、シェルパ君運行に伴って敷設された区間だけあって非電化で、枕木も木製となっているなど、廃線跡を転用した区間との差異は一目瞭然です。

運賃は一乗車当り片道500円・往復900円になっており、他に碓氷峠鉄道文化むらの入園料(500円・ぶんかむら駅は鉄道文化むら内にあります)が別途必要になる点は、鉄道文化むら施設内の一環という位置づけを象徴しており、まるやま駅での途中下車も同一列車以外は前途無効になってしまいますが、アトラクション的鉄道だけあってまるやま駅では数分の停車時間が設けられていますので、列車の停車中に一旦列車を降りて変電所の姿を見る事は可能です。

最初からこの列車に乗車する予定があるならば、鉄道文化むら入園時にトロッコ列車セット券(片道・往復とも設定あり)を購入しておけば、100円割安となりますのでおススメで、MAKIKYUもこのセット券を利用しましたが、シェルパ君のみのセット券以外に終点とうげのゆ駅に隣接している温泉施設「峠の湯」の利用券(3時間)とのセット券も設定されていますので、峠の湯へ立ち寄られる予定のある方は、こちらを利用されるのも良いかもしれません。

また現在ぶんかむら駅~とうげのゆ駅間を運行している「シェルパ君」ですが、信越本線(下り)の廃線跡はとうげのゆ駅(厳密にはその手前で分岐していますが…)より更に先まで残存しており、この区間にはめがね橋などの見所も存在(MAKIKYUが訪問した際には、台風の影響で通行止めとなっていました)していますので、今後の更なる路線延長にも期待したいものです。

あとこのトロッコ列車で使用している車両に関しては、車両編として近日中に別記事で取り上げたいと思います。

写真は起点のぶんかむら駅(隣に停車している電気機関車は、体験運転で使用しているEF63形)と途中のまるやま駅(右手は丸山変電所跡・上り線部分はアプトの道と称する遊歩道として整備)、とうげのゆ駅手前の分岐(左側がとうげのゆ駅へ向かう新設軌道・右側は現在未使用の信越本線廃線)ととうげのゆ駅です。


園内遊覧列車・あぷと君で活躍する10000形(?)DL~EC40形を模したDL

2007-09-21 | 博物館・保存施設等

 

昨日「MAKIKYUのページ」では碓氷峠鉄道文化むらの園内を走る「あぷと君」と呼ばれる軌道幅2フィート(610mm)の遊覧列車に関して取り上げましたが、この遊覧列車の牽引には、昨日取り上げた英国製の石炭焚きで走る本格的な蒸気機関車(SL)の他に、ディーゼル機関車(DL)も活躍しています。

牽引する客車は3両だけですので、運行時間帯によって機関車のみを付け替えるのですが、一般客へのインパクトはSLに比べて低い事もあってか、DLは午前中や夕方を中心に活躍し、SLに比べて稼働率が低くなっています。

ただこのDLは随分昔に碓氷峠で活躍していたEC40形電気機関車を模した形をしており、これは如何にもこの鉄道文化むらならではの感がありますが、このDLは何故か形式番号「10000」を名乗っており、この番号には何か由来があるのかどうかも気になる所です。

またこの遊覧鉄道「あぷと君」にはさほど急勾配といえる区間はなく、当然アプト式などのラックレール区間も存在していませんが、このDLは「あぷと君」という名称にはピッタリな感があり、それなりの雰囲気も出ているかと思いますし、この遊覧鉄道のバリエーションに幅を持たせるという観点でも面白い気がします。

ちなみに「あぷと君」の牽引機関車が時刻によってDLとSLのどちらであるかは、鉄道文化むら内のあぷと君乗車券売り場近くに掲示も出ていたと記憶していますが、どちらに乗車した場合でも「あぷと君」の運賃は同じですので、時間帯の関係もあってMAKIKYUはSL牽引列車の方にしか乗車していないものの、好み次第ではこちらを選ばれても良いかと思いますし、或いは両者を乗り比べてみるのもまた面白いかもしれません。

写真はSL運行時間帯に側線に留置されているDLと、ED40形の後釜とも言えるEF63形が走る軌道幅1067mmの線路と併走する区間で、3両の客車を牽引して走るDLの姿です。

追記:EC40形と表記すべき所を、ED40形と誤記していましたので訂正いたします。
またこの機関車の番号(10000)は、EC40の称号改正前にあたる形式名で、ご指摘頂いた皆様ありがとうございます。


碓氷峠鉄道文化むらの園内遊覧列車・あぷと君~石炭焚きで走る本格的なSL列車

2007-09-20 | 博物館・保存施設等

   

MAKIKYUは今月上旬に青春18きっぷの5回目を使い、群馬県・横川(現在は安中市)にある碓氷峠鉄道文化むらを初訪問して来ましたが、この園内は内容も非常に充実しており、2~3時間はあっという間に過ぎてしまう程…

そんな園内はかつての横川運転区跡地を利用したもので、広々とした園内にある数々の保存車両だけでも鉄道関連の博物館としては日本一では…と感じる程(来月開館予定の鉄道博物館も、かなりの規模になる様ですが…)で、これを取り上げるだけでブログ記事も幾つも作れそうな感がありますが、それ以外にもEF63形電気機関車の体験運転(予約制:MAKIKYUは鉄道車両の体験運転をした事があるとはいえ、ここでの運転を体験した事はありません)や園内を走る遊覧列車の運行など、お楽しみは盛り沢山で一日中居ても飽きない位ですが、今日は園内を走る遊覧列車・あぷと君に関して取り上げたいと思います。

この遊覧列車は園内をエンドレス状に周回する様に軌道が敷設され、全長約800mの環状線を一周する路線ですが、線路幅は日本国内のナローゲージ路線として知られる近鉄内部(うつべ)・八王子線や三岐鉄道北勢線、黒部峡谷鉄道の762mmより更に狭い610mm(2フィート)となっています。

これは日本国内の営業用鉄道では使われていない軌道幅ですが、部分的に横川~軽井沢間の廃線後も残された軌道(体験運転やトロッコ列車運行などで使用:当然JR在来線で用いられている1067mmです)と併走する区間では、その狭さが一目瞭然です。

使用車両は機関車1両が客車3両を牽引しており、3両の客車は「赤城」「榛名」「妙義」と群馬県の山々にちなんだ愛称が付けられていますが、客車自体に形式番号等は付与されておらず、この辺りは如何にも遊覧列車ならではという感があります。

この客車は内装に木材をふんだんに使用しており、小型車両だけあって座席は通路を挟んで2+1配列で並んでいますが、座席は硬い木製のベンチの様なものとなっており、空調装置なども備えられていませんので、居住性はお世辞にも良いとは言いがたい気がします。

ただ乗車時間は数分程度ですので、非空調+木製座席でも実害はありませんし、客車は小型とはいえ2軸車ではなくボギー車(一般的な旅客用鉄道車両の大半が使用している形態で、1車両に台車が2つ:1台車に車輪は2軸あり、1両当たりの車輪は4軸)となっている事は特徴的です。

機関車は主に「グリーンブリーズ」という名称が付けられた蒸気機関車(3950号)が用いられていますが、こちらは碓氷峠鉄道文化むら開園に合わせて準備された1998年製とはいえ、この手の遊覧鉄道ではよくあるSLもどきではなく、鉄道発祥の地・英国で製造された正真正銘のSLで、それも重油焚きではなく石炭を使用していますので、駅構内や機関車周辺は懐かしさを感じるような独特の匂いを放っている点も注目です。

ちなみにこの園内遊覧列車・あぷと君は1乗車400円で乗車可能(他に鉄道文化むら入園料が別途必要です)で、アトラクション的存在とはいえ車庫には転車台が用意され、本線上には腕木式信号機の姿も見られるなど雰囲気もなかなかですので、さすが鉄道文化むらの乗り物だけあると感じさせられ、訪問した暁には是非乗車したい列車ですが、自動券売機で購入する乗車券は食堂の食券の如く…といった感じで、これだけはもう一工夫欲しいものと感じてしまいます。

また昼間を中心に運行されるSL牽引列車の他にディーゼル機関車牽引で運行される場合もあり、こちらも別記事で追って取り上げたいと思います。

写真はSLが牽引する園内遊覧列車とその客車の車内、乗車中のワンシーンと610mm(2フィート)と1067mmの軌道が併走する箇所の様子(乗車中に客車最後尾から撮影)です。


野辺山を走るナローSL~小海線より少しだけ標高の高い所を走るのも…

2007-08-11 | 博物館・保存施設等

   
   

先日MAKIKYUは小海線で最新鋭のハイブリッド気動車・キハE200形『こうみ』に乗車し、「MAKIKYUのページ」でもこの車両に関する記事を掲載しましたが、この新型車両で運行される臨時列車・八ヶ岳高原列車の終着駅・野辺山は、日本の鉄道(ロープウェイなどを除く)で最も標高の高い地点に位置する駅として知られています。
(清里~野辺山間の長野県側には鉄道最高地点が存在し、それを示す標柱も立っていて近辺に土産物店などが数軒あります)

この野辺山には野辺山SLランドと称する小さな遊戯施設があり、どちらかというとファミリー向けのこの施設内にはゴーカードなどの遊具が幾つかあるのですが、SLランドと名乗っているだけあり、当然その目玉としてSL(蒸気機関車)が園内を走り回っています。
(野辺山SLランドのHPはこちら)

園内は規模もさほど大きいものではなく、SLが走る線路も園内を1周するだけ(エンドレスの線路配置に車庫へ入る分岐線が存在する程度ですが、非電化単線の線路は通称ナローゲージと呼ばれる線路幅762mm(近鉄内部線や三岐鉄道北勢線と同じ線路幅です)と、遊戯施設にある鉄道にしてはかなり本格的な部類に入ります。

この園内を1周する線路をゆっくりと走る列車の乗車時間は1周5分足らずですので、あっという間の汽車旅ですが、使用されているSLは遊戯施設でよくある模造品(動力源に電気などを使用)やアトラクション用に製造されたSL(東京と名乗りながら千葉県にある有名な某テーマパークで走っている鉄道などが該当)などではなく、台湾にあるナローゲージのサトウキビ輸送鉄道で使用されていた本格派で、1948年製の製造プレートや「台糖」のマークなども付いており、正真正銘のSLである事を物語っています。

使用されるSLはスクラップ寸前の状態から復元して1980年代に日本へ持ち込まれたもので、諸事情によりボイラー部分などは別個に新製しており、その関係で機関車の後部が随分出っ張っているのが特徴ですが、この改造が起因してか客車とは直接連結器同士をつなぐ事が出来ず、連結器間にドローバーの様な金属製の棒を挟み込んでいる姿は独特な感があります。

またSLに牽引される2軸客車も2両あって1両目は窓なしのトロッコ車両、2両目は一般の鉄道車両ではまず考えられないドーム型の屋根や家庭用の窓サッシを用いた変り種車両でこちらも注目ですが、ナローSLが牽引する列車への乗車機会自体が希少ですし、走る路線も「日本で一番高い所を走る鉄道」である小海線よりも少しだけ標高の高い地点を走っているのも惹かれるものがあります。
(まあ中国・四川省の芭石鉄路などに比べればスケールは小さいですが、容易に足を伸ばせない遠方ではなく、首都圏からでも日帰りで手軽に乗車できる点も大きなポイントです)

このSL列車は先日MAKIKYUが訪問した際には10時10分~16時10分まで30分間隔で運行され、土・日・祝日や夏休み期間に運行され、それ以外の時期はDL(ディーゼル機関車:一般にはSL程のインパクトはないものの、こちらも木曽の森林鉄道で使用されていた本格派です)牽引となります。

このナロー鉄道の運賃は1乗車300円、またSLランド自体の入場料は無料(稼動車両以外にも、保存されているSLやモーターカーの姿を見る事が出来ます)ですので、「MAKIKYUのページ」をご覧の皆様も野辺山へ行かれる機会がありましたら、是非SLランドへも足を伸ばされ、今注目を集めている最新鋭のハイブリッド車両とは対照的なSL列車のノンビリとした汽車旅も堪能されてみては如何でしょうか?

ちなみに野辺山SLランドは国道沿いに位置しており、自家用車でのアクセスは便利ですが、路線バスなどの公共交通機関は存在しませんので、公共交通機関利用で野辺山駅を利用する場合は徒歩で約1kmの道程を歩く(MAKIKYUはこの方法で行きましたが、片道15分程度です)事になりますが、鉄道最高地点への訪問(野辺山駅から2km程離れており、ここも公共交通機関は存在しません)も兼ねてタクシーやレンタサイクル(有料:野辺山駅前の観光案内所などで取り扱っています)などを活用して訪問するのも悪くないかもしれません。

写真はSLランド内を走るSL列車とその客車、走行中のワンシーンと機関車連結部、園内に留置されているモーターカーとSLの製造プレート、ドーム型客車車内の様子です。


常陸小川駅に保存のDD901号機関車が…解体中の姿に遭遇

2007-02-28 | 博物館・保存施設等

 

昨日MAKIKYUは3月一杯で廃線となる鹿島鉄道乗車へ出向き、その際に乗車した車両の一つを今日の記事でも取り上げていますが、鹿島鉄道の鉾田行き列車乗車中に常陸小川駅を通った際には、貨物輸送の廃止後に廃車されたものの、その後常陸小川駅で静態保存されていたDD901号ディーゼル機関車の真横に重機の姿が…

しかも機関車の両側のボンネット部分が外され、運転台部分だけが残存している状況でしたので、最初は何をしているのだろうかと気になったのですが、ボンネットのあった部分には何人かの作業員がバーナーの火花を散らして作業しており、最悪の結末―解体の真っ最中と言う有様でした。

その後石岡方面へ向かう列車に乗車し、常陸小川駅に到着した際には機関車の運転台部分も無くなり地面に転がされている状況で、下回りだけが無残に残る状況に変貌しており、あっという間の解体劇には驚かされました。

MAKIKYUとしては、鹿島鉄道の廃線後に既存営業車やこの保存車の処遇がどうなるかは気にしていましたが、まさか廃線を来月に控えた今の時期にあっさりと解体されたのは誠に残念で、この機関車の姿を楽しみにこれから鹿島鉄道訪問を…と考えられていた方の期待を裏切る事にもなりますので、色々事情があって解体は止む無いという状況であったとしても、せめて廃線前の名残乗車でやってくる大勢の人々に姿を披露して貰い、解体は廃線後にしてもらいたかった気がします。

また画像は昨日の解体中シーンと共に、保存されていた往時の姿(列車内から撮影したものです)を掲載しますので、まだこの機関車を見た事が無く、一度この機関車の保存されている姿を見たかったという方は宜しかったらご覧頂けると幸いです。