昨晩娘から電話が来た。
やっぱり。
ちょうど保育園のお迎えの時間かもなと案じていたのよ。
あの突然の豪雨の中お迎えして帰ったんだって。
もう30分遅かったらカラッと上がっていたのにねえなんてこぼしていた。そういうこともあるよ。
で。
糸井重里鼎談集 第3弾 『続々と経験を盗め』
対談本が好きな私としては引っくり返って読むのにちょうどよい面白さ。
テーマ一覧
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天気が教えてくれること (木村尚三郎×根本順吉×糸井重里)
禁煙という挑戦 (阿部眞弓×山村修×糸井重里)
ラジオへの誘い (永六輔×山田美保子×糸井重里)
歩く楽しみ (池内紀×デューク更家×糸井重里)
サルを知る (浅香光代×山極寿一×糸井重里)
花粉が飛んだ日 (佐橋紀男×寺門ジモン×糸井重里)
汲めども尽きぬトイレの話 (清水久男×山戸里志×糸井重里)
豆腐の不思議を味わう (福田浩×吉田よし子×糸井重里)
健康は口の中から始まる (上田実×鈴木正成×糸井重里)
落語の入口へご案内いたします (春風亭昇太×橘蓮二×糸井重里)
もっと楽しむ水族館 (櫻井博×中村康夫×糸井重里)
脱・東京の住み心地 (大貫妙子×川勝平太×糸井重里)
おしゃべり革命を起こそう (阿川佐和子×御厨貴×糸井重里)
中でもいちばんの「目からうろこ」の面白さは、糸井重里 根本順吉 木村尚三郎 「天気が教えてくれること」
発行が2006年で、婦人公論掲載の「井戸端会議」1999年から2004年からセレクトした、
とあるからいつの鼎談か分からないが、いやいや今の風潮にもぴったり当てはまって、そういうことなのねと頷くしだいでして。
まさに「経験」を盗ませていただきました、はい。
難しいところは例によって省いて興味津々な部分、ね。
木村さんいわく。
人間は気温が低い時に動くんですって。
気温が低いと作物ができない。来年も再来年も不作かもしれないし、生きていけるかどうかわからない。それで移動すると。
寒い時気候のよくない時は人は西や南に関心を持つ。紀元3世紀から4世紀にかけてゲルマン民族の大移動があった。
当時は寒かったということが分かり、ドイツの東の方にいたゲルマン人が寒冷化が強まったため西へ西へと行った。
この民族の大移動が今日のヨーロッパ諸国のもとをつくった。普通は西と南に動く。
ところが一部の変わった人間は西北に動いて、これがイギリス人。
だからイギリスは今でもほかのヨーロッパの人たちに馴染まないでしょう。
そうだそうだ。イギリスは変わってるんだ。だからEU離脱なんて行動に突っ走るんだ、なんてそこに帰結して納得。
「天候によって日常の生活も影響を受ける」
木村
不景気で先が見えない時も人は動く。旅行という形で。
どこへ行くかというと、ひたすら西へ西へ。もう一つは南。温かい方に関心が向いて、逆に元気がいい時は東か北に向かう。
暗い時代はディテールに関心が集まって、大きなことに目を向けようとしなくなる。身の回りのことばかりが気になるんです。
糸井 小さい差異だけを、穴を掘るようにふかーく追求する、みたいな。
そうよそうよ、今のテレビなんてまさにその通りだもんね。
どうでもいいことにどうしてそこまでごちゃごちゃ報道するんだろうねえと、悪態ついてテレビを消す。
木村
今はまた移動するから、道具も据え置き型より人間にくっついて動けるものが売れていますね。
ペットボトルや携帯電話、ノート型パソコンや弁当とか。
日本では18,9世紀の人たちがやっぱり大移動で、薬籠、印籠、矢立、みんな持って歩いた。
そのころの日本は水田開発がストップして、耕すべき大きなところがなくなってしまい、ちょっと凶作になると、
たちまち農民一揆や間引き、都会では米騒動が起こる。
そういうとき、人は突き動かされるように移動したんです。お遍路、お伊勢参り、富山の薬売りなど、みんなそうです。
うーんそういうことか。
移動するからくっついて動けるものが売れるのか、スマホなんて最たるものだ、ほんとにそうだわね。
不景気になると家にじっとしているような気がするけれど逆なのね。
突き動かされるように移動したくなるのね。
私が突き動かされるようにどこかに行きたくなるのも先行きの見えない暗い時代のせいなのね、なんて。
そういうことにしておく。
他にも「落語の入り口へご案内いたします」なんて笑点の昇太さんを思い浮かべて楽しんだりして。
「健康は口の中から始まる」でえっ歯磨きは起きてすぐにするべしなのと目からうろこ。
第3弾しか読んでいませんが、その道のプロの方の経験をしっかり盗んで日常に生かします、なんてけっこう本気。
なかなか楽しませていただきました。