いつぞやバス停でナカジマサンとご一緒。
同じ町内だが班が違う、違うが家はいつも通る道筋にあるし会えばちょこっとお話をする。
90歳になられたそうだ。90歳か、とため息がでる。母が倒れたときと同じ年だ。
比べてはなんだが母はほとんど外出をしなかった。したとしても老人車のお世話になって。
同じ年だが元気が違う表情が違う、気力や行動力が違う。
どこがどうなってなのかしら、ナカジマサンいきいき90歳。
バスが来るまで立ち話。
「主人が亡くなってから25年も経ちました、あっという間でした」とおっしゃる。
ご主人もよく存じ上げていた。そうなんだ、25年てすごく長く思うけれどあっという間か。
「娘が、今日は私がついていけないからお母さんひとりで出かけるんだから気を付けてね、って言うの」
「寒いからそこらへんにあるものを着て出てきましたのよ」
なんておっしゃるけれど、なんの。
綺麗な色のブラウスに薄手のカーデガン、薄いベージュのパンツをすてきに履きこなして。
薄化粧がお年によく似合ってすごく上品。
髪の色を褒めたら、皆さんにそう言っていただけてと、とてもうれしそう。
娘は白いままでいいって言うけど髪くらいは、ね。ってお手入れしていることがよく分かるお言葉。
外見に気を配るって大事なんだなと感じ入って。我が身を振り返っていつもの反省。
さすがに背中は曲がって歩く姿はちょっと見には痛々しいけれど、杖なしでしっかり歩いている。
合唱で神楽坂に週1回通っている話はずっとずっと以前に聞いていたことを覚えていたので、
そのことに触れると。
今も神楽坂には通っています、もう月に2回行けばいいところですけど、とおっしゃるからびっくりよ。
お家から神楽坂にまでってJRで1回は乗り換えなくちゃならない、ゆうに1時間以上かかる。
そこにおひとりで出かけるなんて、しかも月に2回も。
90になっても、生活全般ひとりで決めてひとりで行動、なかなかできることではない。
「寝ていきますから」って。えっ?
バスで地下鉄の駅まで行きますでしょ、地下鉄の中は寝てるんですよ。
それであざみ野まで行ってそれから田園都市線で・・・
そこまで聞いたところでバスが来た。
誰の手も借りずバスに乗り込み揺れる後部座席に落ち着いたところまで見届けて。
終点で「お気をつけて」と別れて。
もうもう私は圧倒されっぱなしで、なんと言っていいのか。90歳ばんざい。