録画しておいた“クリスマスの約束 2016”を観た、クリスマス拝借、極めつけ。
番組はじまってすぐピアノを弾きながら小田さんが歌うSMAPの♪夜空のムコウが衝撃的過ぎて。
その高いのびやかな歌声にぐっと胸が詰まる。
いつ聞いても大好きな歌、この番組での曲選びに慎重な小田さんがSMAP解散の年にこの曲を選んで、
しかも2005年の“クリスマスの約束”で中居さんとこの曲をコラボした小田さん。
何らかのメッセージがあったのかしら、なんて深読みしちゃあいけないけれど。
その「夜空のムコウ」を喫茶店で初めて聞いて、
♪あれからぼくたちは何かを信じてこれたかな の歌詞で
お母様から擦りこまれていた「ら抜き言葉」禁止の呪縛が説かれたとエッセイに書いていたのが作家の川上弘美さん。
『これでよろしくて?』 の作者。
川上さんの作品は、小説もエッセイもゆるゆるしているところが好きで読んでいたけれど最近はとんとご無沙汰していた。
どうもついていけません分かりません、というのがその理由。
それが題名に惹かれて手に取ってみた。
よろしくて?なんて。およそ身辺で聞かないわ。
でもいちどは言ってみたいのよ「これでよろしくて?」なんて。どうよ横浜友、私がそう言ったら腰を抜かす?
夫とそれなりの結婚生活を送っていた38歳・専業主婦の菜月さんのマンションに、
1日3回も掃除をする嫁(義妹ね)のところにはもう一緒に暮らすことができないと義母が仮同居にやってきてくる。
そこでご多分に漏れずの嫁姑複雑心理バトルが起きて。
いやいやこれが表面だって起きればいいのだが、何しろ菜月さんはうじうじと優柔不断で思ったことをなかなか言えない人。
義母も悪くない人で、おまけに最初にここでは変な遠慮しませんと宣言したりするわけで。
菜月さん、いつも憂うつで常に義母が頭の中に君臨しているような毎日になって行く。
そんな中でばったり元カレの母親に会い、「これでよろしくて?同好会」に誘われる。
メンバーは女性ばかり年齢も職業も不肖の5人。レストランで各々好きなものを注文してシェアしながらのおしゃべり。
「いつも機嫌がいい男について」なんぞと時々のテーマがあるから、
いわば集団カウンセリングはたまた今時の言葉でいうガールズトークかしら。
いつしかその同好会に馴染んでいって。胸の内のもろもろが言えるようになって。
と、3分の2くらい読み進めていくうちに、ふとなんとなくどの雑誌の連載かしらとみるとこれが「婦人公論」。
納得、婦人公論、読まないのに納得。
後味のいいけれど、軽いような重いような静まるようないらだつような摩訶不思議な読後感をもった次第です。