毎度午後になると、ぶらぶらぶらぶら暇をもてあます、いや違う、楽しむ。
午後外出すると、たとえ1時2時に帰ってもなんだか忙しかった気がして・・・
夜までのぶらぶらたっぷり時間がないと生きていけない、いやはや(大げさ)。
佐渡の大先輩ワタナベサンは多彩な趣味を持っていて生活を謳歌している、ようだ。
家庭菜園で野菜作り。狭い畑といえど前を通ると性格そのまま、実に丁寧几帳面な仕事。
俺はミニトマトを作ってくさらせるのが趣味だ、と公言しているから、
何をもったいないことを、と思って写真を見せてもらったら。あらああお見事。
ご自分の背丈以上の茎から、真っ赤なミニトマトの実がびっしりとよくもよくもと思うくらいにぶら下がっている。上から下まで。
これじゃ食べきれない、くさっていくのも当然だ。作るのが面白いのね。
他にも蕎麦打ちをはじめ料理はお手のもの、息子のお嫁さんが喜んで食べてくれると嬉しそうに報告する。
山菜取り、魚釣り、トキのおっかけ写真撮影。その他もろもろ。
なにしろ「イベントは自分で作れ!」の教え張本人さんだから。
で、9月の話だから古くなるけれど。
例によって薬局で世間話に興じていたら「ほら来た」と薬局ご主人。見るとワタナベサン。
「おめが来ると不思議と人が集まる」と言われているから私も人寄せパンダなみ。
入って来るなり「ばかったってばかったって」と怒り心頭のご様子。
ワタナベサン、いつでもたいてい怒っている。
私も、目と脳みその線が切れとる、おめもばかだな、と何度叱られたことか。
何でも奥様がこれから病院と銀行に連れていけと。どっちを先に行ったらいいかとワタナベサンに聞いたそうな。
ばかったっての怒りはそこにある。時間が決まっとる病院じゃないのと言ったら、「なあ、それがふつうだ」って。
「自分で決めてください、ゆうとこへ行きます」と返事したんだって。そして、
「へちこぜえ(おせっかいという意味の佐渡弁)だけど病院から行ったほうがいいんじゃないですか」って言うてやったわ、と。
ワタナベサンが丁寧な言葉になると恐ろしい。
そんな類の世間話をあれこれして。
「さてと昼からは何しようかな」と言うから「昼寝でもしたらどう?」と言ったら、いけない、地雷を踏んでしまった。
「何をばかなこと言うとる!これからずっと寝んなんのに。もったいない!」と叱られてしまった。
そうだわ、ワタナベサンはそろそろ80歳に近いんだったわ。
1時間でも時間を惜しんで何かに打ち込む人だったんだわ。
そんな先輩に昼寝をしろなんて。自分と同じことを言ってはいけない。
頭と体を動かして何かをせずにはいられない人だから、「昼寝なんてもったいない!」人なのね。
「これからずっと寝んなんから昼寝はもったいない」か、そうか。お覚えておこう。
「おめ、昼からひまか」と聞かれたから「いつでもひま」と答えたら「来るか」と言うので「行きます」と。
約束の時間に行ったら、座敷にずらっと並べたトキの写真から「好きなのを選べ」と言われて。
パソコンに入っているトキの写真を見せてもらって。
気に入った写真をもらって帰ったけれど、その後もワタナベサンはパソコンいじっていた。
パソコンいじった後はなにしていたんだろうね。
ぐだぐだしていると、ときどきワタナベサンを思い出す。