Maria Callas Diary

着物・ドール・お料理・お家・家族など、日々のことを日記として書いています。

新橋芸者「ちよ美」ちゃんお披露目の会に行ってきました / 病院で最後の診察

2012-11-13 23:59:52 | 日記
午後からお休みを頂き、病院へ先週の手術後の診察に行ってきました。
診察の結果はもう何の問題もないということで、今日から浴槽への入浴も、
スポーツも、お酒も、全部解禁ということでした。やった~

夫は今日も都合を付けて病院へ付き添ってくれました。先生からの説明を
私の後ろで「うんうん」とうなづきながらきちんと聞いてくれていて、問題が
ないと聞いてとても安心したようです。一緒に来てくれてどうもありがとう
「これでこの件は診察終了となります」と言われ、病院通いも終わりです。

夕方帰宅してから、私はいそいそと髪をセットし着物に着替え始めました。
というのも、今日はとってもとっても素敵な会にご招待頂いているのです

三味線と日舞のお稽古場の同門の子が、このたび晴れて新橋から芸者さん
としてデビューすることになりました日舞も三味線もお唄も習っているので、
下地はバッチリです。新橋の七重さんという芸者のおねえさんが新しく置屋を
始めるにあたって、元々知り合いだったその子にお声がかかったそうです

下地があるので仕込み期間が短くて済んだようで、この秋から見習いとして
お座敷に入り、晴れて今週、芸者さんとしてお披露目となりました

お披露目にあたり、三味線のお稽古場のメンバーにもお声をかけてくれて、
なんとお披露目の会に参加させて頂けることになったのです芸者さんの
お披露目に立ち会えるなんて、なかなか出来ることではありません


今日はその子が主役ですので、おめでたごとなので華やかさを出しつつ、
自分自身は派手にならないように、という難しいさじ加減が必要でした
無地ものであまり地味にしても、ああいう場では仲居さんっぽいですし...

持っている中で派手ではない訪問着で近々着る予定のないものというと、
こちらの訪問着だけでした。訪問着は舞台のために誂えたものが多くて、
華やかなものばかりなので…

なるべくおとなしくなるように、帯も控えめな色柄のもの、伊達襟もつけず、
帯揚げもシンプルな輪出しですっきりとした装いを心がけました


この着物は結納の時に着ていた着物ですが、長く着られるように、地色は
とても綺麗で優しい色合いで決して派手ではなく、柄も大きさに若々しさは
ありますが色使いはけっこう地味で、帯次第で40代後半でも着られます。
水色としては一番好きな地色で、気に入っている訪問着です


着物は淡い勿忘草色の縮緬地に桧扇と流水、菊をメインとした四季の花が
描かれた、いかにも古典でどこか愛らしさを感じさせる「千總」の訪問着。
帯は菱形の中に四つ花菱が金糸や様々な色糸を使って織り出されている、西陣の
名門「河合美術織物」の唐織の袋帯。
帯揚げは白い綸子地にピンクの梅絞りの輪出し。
帯締めは蜜柑色と白と金のグラデーションになった礼装用の平組紐。


病院が終わってから支度をしていったので、予定の時間よりも5分程遅れて
しまいましたが、会場である新橋の老舗料亭「金田中」さんに到着しました。
東京では珍しく今も残る、一見さんお断りの名料亭です

入り口を入ると下足番のおじさまと仲居さんが待っていてくださって、まさに
「料亭」な雰囲気に心が躍ります。一度は伺ってみたかった場所なので、
今回このような機会に恵まれて本当に幸せです


最初はバーのようなスペースにて、芸者のおねえさん方とお話をしながら
お座敷の準備が出来るのを待っていました。今日はお披露目する芸者さん
のほかに、その子のおねえさんになる七重さん、若手芸者の君二郎さん、
ベテランの晶子ねえさんの3人が来てくださっていました


バースペースにて、席にずっとついてくれていたのは君二郎さんでした。
お肌がとっても綺麗でつるんとしていて、お話も上手でとても良く気の付く
方でした。君二郎さんは半玉さんとして新橋でデビューされ、今は立派な
芸者さんになられています



お座敷の用意ができたところで、全員でバースペースから移動しました。
お座敷は掘りごたつになっていて、どの年代の方にも過ごし易い空間です。
天井の照明が市松模様になっていて面白いな~と思いました。


お床には大きな花瓶に立派なお花が生けられていて、お軸は可愛らしい
りんごが描かれたものが掛けられていました。りんごの絵のお軸は珍しい
ので、作者をお伺いしておけば良かったとあとで気づきました


そしていよいよ、今日お披露目の芸者さんの登場です。七重さんが新しく
開いた置屋「良千代田」の名前から、「ちよ美」ちゃんと名づけられました


まだまだ若く可愛らしいちよ美ちゃん。お稽古場では一番年下なのですが、
いつもよく気が付いて、お師匠さんのお茶などをささっと用意してくれます。
入門はちよ美ちゃんのほうが先なので本当は私や他の人達がしなければ
いけないところですが、あまりにも素早く気が付いてくれるので…


今日もこうして、飲み物がなくなる前に気が付いては用意をしてくれました。


お座敷が始まっても、はじめのほうはいつもの本名で呼んでしまっていたの
ですが、時間が経つにつれて「ちよ美ちゃん」と呼ぶことに慣れてきました


お披露目用に作られた手ぬぐいと、初めて作った千社札をいただきました
芸者さんのお披露目は一生に一度きり。そう考えるとこの記念の手拭いは
もったいなくて使えないですね





今回のお料理はコンパクトメニューになっていたのですが、さすが「金田中」。
どのお料理も美味しく、特に揚げ物が美味しかったのにはびっくりしました
先付け・お造り・焼物・煮物(焼物の下に煮物の器があります)と続き、
カラスミの乗ったモチモチご飯と茶碗蒸しで〆です。

途中途中で色々とお料理の説明をしてくださったのですが、あまりの緊張と
楽しさとお酒のせいですっかり忘れてしまいました。写真のみで失礼を…


最初はビールでしたが途中から日本酒に切り替わり、冷酒を楽しみました。
こんな細かい氷を盛った器にみずみずしい枝を飾り、お酒とお猪口を冷やして
あるなんて、とっても涼しげで素敵な演出ですね。さすが料亭さんです


こちらの切子のグラスがとっても素敵でした。葡萄の模様のグラスなので、
日本酒のほかに、サイズ的に貴腐ワインを飲んでも良さそうですね。


最後は甘味ではなく乾物をたくさん盛ってくださいました。どれも美味しそう
全員のんべえということがバレていたのかしら(笑)


少し歓談のあと、そろそろ踊りでも。。。となり、まずは七重さんが「白扇」を
踊ってくださいました。長い年月で培われた安定した踊りは、さすがですね


次にちよ美ちゃんの踊りを見せてもらえるということで、他の芸者さん達が
準備に入りました。左が君二郎さん、真ん中がちよ美ちゃんのおねえさん
の七重さん、右が晶子ねえさんです。


まずは手をつききちんとお辞儀をして、ちよ美ちゃんの踊りが始まりました





今日は「初春」と「奴さん」の2曲踊ってくれました。初春はしっとりと、奴さん
は粋に唄いながら踊ってくれて、今までこの子の踊りも唄も何度も見たことが
ありますが、やはり芸者「ちよ美」としての踊りはオーラというか何か違って、
引き込まれるように見てしまいました


これから彼女は厳しくも華やかな世界でどんどん磨かれていくのでしょうね。
お稽古場でもみんなに愛され、国境を越えてたくさんのお友達に恵まれて
いる彼女ですから、この世界でも多くの方に愛されていくのだと思います

おねえさん方からたくさんの事を学び、お稽古に精進して、ますます綺麗に
なって...きっとすぐに売れっ子芸者さんになってしまうのだと思っています。
これからお稽古にお座敷に大変な毎日が待っていますが、持ち前の明るさ
と素直さと頑張り屋さんの性格で、楽しく頑張っていって欲しいと思います

このブログを見てくださっている皆様、もし新橋花柳界でお遊びになる機会が
ありましたら、ぜひ「良千代田」の「ちよ美」ちゃんをよろしくお願いします

とても良く気が利いてお話も聞き上手で可愛らしくて、彼女がいてくれれば
絶対に楽しいお座敷になること間違いなしですよ