風そよぐ部屋

ウォーキングと映画の無味感想ノート

映画/洗骨

2019年11月22日 | 映画

秀作です。
予告編を見た時は、奇をてらう感じがしたのですが、とんでもありませんでした。素敵な映画でした。


左は、この映画の助演女優の大島蓉子さんです。テレビでは何度も見たことがあります。この映画の最も感動的
役を演じました。主演女優賞ものです。右は、監督・脚本の照屋年之、漫才コンビのガレッジセールのゴリです。
沖縄の先島諸島の一つ・粟国島が舞台です。ストーリーは決して複雑ではなく、極めてシンプルです。

テーマは、妻・母の「洗骨」を契機に家族の絆の回復と落ち込んでいたそれぞれの「再生」です。
洗骨とは、なじみがない言葉です。死者を一度、土葬や風葬した後に、死者の骨を海水や酒などで洗い、再度埋葬す
る葬制でだそうです。
この文化は、アジア、北米先住民、アフリカ、インド洋諸島、東南アジア、オセアニアなどにも広く分布したそうです。
私達の「日常的」では、火葬が一般的ですが、自然葬は、狭義には散骨と同義であり、広義には風葬、鳥葬、水葬、火葬、
土葬、樹木葬、冷凍葬など、自然に回帰するような葬り方全般を指すそうです。日本本土にはなじみのない洗骨です
が、深い意味があると思いました。大切な人の死の受容は難しいです。洗骨はおおむね4年後に行うようです。4年と
いう月日は、大切な人の死を静かに受容するのに適当な年月の長さなのかも知れません。
昨今では、海洋散骨や骨を粉にして「廃棄」するのもあるようです。
映画で洗骨を扱うとシリアス過ぎるキライがあります。脚本・監督の照屋は、まさに「緊張と緩和」の絶妙なバランス
でこの難問を越えました。
ただ、私は、洗骨と出産のシーンは長過ぎと思いました。このシーンをもっとさりげなくさらっとすればするほど良
かったと思います。久々に、素敵な日本映画でした。粟国島にも行きたいと思いました。      【11月11日】


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