まつなる的雑文~光輝く明日に向かえ

まつなる兄さんのよしなしごと、旅歩き、野球、寺社巡りを書きます。頼りなく豊かなこの国に、何を賭け、何を夢見よう?

第26番「無動寺」~近畿三十六不動めぐり・9(延暦寺東塔エリア)

2017年12月11日 | 近畿三十六不動
無動寺を目指すところで、まずは延暦寺の根本中堂がある東塔エリアに向かう。これは後で書く内容だが、事前の調べにて、無動寺にあまり早く行き過ぎるよりは、11時を目処に行くとよいということを目にした。現在の時刻は9時前。ならばもう少しゆっくり出ればよいのだろうが、この後に西塔エリアにも行くことを考えて、朝のうちに先に東塔エリアを回っておこうというものだ。

延暦寺の拝観券を引き換えて中に入る。この時間はまだ人の姿も少ない。まず工事中の根本中堂に向かおうとすると、境内のスピーカーから僧侶の読経の声が響く。開経偈、般若心経と進み、「南無根本伝教大師福聚金剛」という、最澄の宝号を唱える。真言宗、四国八十八所でいうところの「南無大師遍昭金剛」の位置付けだ。これらを唱えて「本日も一日ご無事で」というような一言で締めていた。会社の始業前に社歌を流したり、体操したり、スローガンを唱えたりというのと同じ朝礼のお勤めなのかな。また、工事関係者への「ご安全に」という祈りもあるのだろう。

その根本中堂に入る。現在大改修中でフェンスに囲まれているが、外陣に入ることはできる。まずはここで経本を見てのお勤め。先ほどあった「南無伝教大師福聚金剛」も唱えてみる。

この後は大講堂に上がる。根本中堂は厳かな感じがしたが、こちらは開放的である。大日如来を中心としつつ、仏教の各宗派、中でも天台宗から起こった各宗派の祖たちや、もちろん伝教大師最澄、遡って聖徳太子、さらにはインドや中国の高僧など、いわば仏教界のオールスターというか、レジェンドたちの肖像画や木像がずらりと並ぶ。賑やかといえば失礼だが、延暦寺が仏教の総合大学であるとの説得力を感じる。この中に含まれていないのが弘法大師空海だが・・。この大講堂の前に幟が並ぶ。今年2017年が相応和尚の1100年の御遠忌とあり、つい先月に大法要が行われたという。相応和尚といえば、天台宗の中の修験道に近い修行である千日大峰行の創始者である。そういえば前に新西国めぐりで比叡山に来た時に、国宝殿の企画展示で相応和尚と千日大峰行の展示をしていたのを見たが、それは1100年忌の行事の一つだったのか。今さらながら気づいた。そして、この相応和尚と、今回の目的地である無動寺は深い関係がある。無動寺に、1100年忌の年の最後に(サイコロの出た目で)訪ねることになったのも何かの引き合わせと思いたい。

この後は戒壇院、阿弥陀堂、法華堂を仰ぎ見て、まだ時間があるので別料金で国宝殿に入る。通常の展示室におわす仏像は薬師如来をはじめとして変わらないが、今回は近畿三十六不動めぐりで来ているためか、不動明王に目が行く。比叡山の北にある葛川明王院も峰行に関係するお堂として紹介されている。この葛川明王院、公共交通機関で行くなら近畿三十六不動めぐりの中で1、2を争う難所であるが、いずれは訪ねることになる。

今回の札所めぐりの主役は伝教大師最澄よりもむしろ相応和尚が相応なのかなという感じで、時間もちょうどよくなったので東塔エリアを後にしてケーブルの駅に戻る。さて、これから無動寺に向かうことに・・・。
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