まつなる的雑文~光輝く明日に向かえ

まつなる兄さんのよしなしごと、旅歩き、野球、寺社巡りを書きます。頼りなく豊かなこの国に、何を賭け、何を夢見よう?

土俵の「女人禁制」と相撲協会の対応

2018年04月05日 | ブログ
先の記事で、松尾寺に向かう途中で下車した西舞鶴で見かけたものとして、4月4日開催の大相撲の舞鶴巡業について触れた。町歩きの中で、舞鶴市制施行75周年記念イベントで、舞鶴での巡業が69年ぶりとして前回の番付などが資料館に展示されていたのを見た。

・・・その巡業が、まさかああいう形で注目を集めたとはね。

挨拶のために土俵に上がっていた舞鶴市長が急に倒れ、救護のために咄嗟に土俵に上がった医療関係者らしい女性複数に対して、アナウンス係の行司が「女性は土俵から下りてください」と連呼した一件である。

市長はくも膜下出血だったが、こうした救護のおかげか、入院、手術となったが大事には至らなかった。一方で、行司のアナウンスを含めた協会の対応には多くの批判が起こっている。まあこのタイミング、何かあれば相撲協会を叩こうという向きにとっては思いがけず舞い降りてきたネタである。今度は「女人禁制という伝統と人命のどちらが大事なのか」である。

私は、「女人禁制」というものを何でもかんでも否定するのは少し違うと思う。現代の合理性や価値観だけで物事の是非を決めてしまうのなら、伝統や文化というのはいらないだろう。神事の要素もある大相撲も、ちょんまげや着物を着る必要もなく、取り組み前後の所作もいらないとなる。それでは単なる力比べである。

ただ、この一件での「女性は土俵から下りてください」というのは、相撲協会側が女人禁制の意味を正しく理解していなかったのではと思う。神事、宗教としては禁制だとしても、目の前で人が倒れているというのは神事ではない。そこは男性女性を言う場面ではないだろう。

あの場面なら、やはりまずは救護優先。女性が土俵に上がったことに対して場内アナウンスするのではなく、その場は成り行きを見守り、後で個別に事情を訊くなりすればここまでの騒ぎにはならなかったのではないか。その場にいた人たちは、まず市長が大変なことになり、そこに女性も含めた救護の人が駆けつけ、どうなるのか見守っていたはずだ。市長が晴れの舞台(というか土俵の上)で倒れたということが発端で、ここが一番のトラブルのはずである。そこであんなアナウンスをしたために騒ぎが別の方向に行った。

また、女人禁制がけしからんと言っている人の中には、単に今の相撲協会をバッシングしたいだけなのでは?と思わせるものもある。何だかなあ。

ただ、何か突然のことが起きた時にどう対処するかは、私も会社組織にいる人間として考えなければならないと感じた。マニュアルの杓子定規な運用ではなく、柔軟な対応、咄嗟の判断、決断、事後のフォローなど。このところ相次ぐトラブルを見て、相撲協会はこの辺りのセンスが十分養われていないのではないかと思う。そうならば、こうしたところに外部の知恵を入れれば改善の余地があるかもしれない。

今はともかく、舞鶴市長の1日も早い回復を願うことである・・・。
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