まつなる的雑文~光輝く明日に向かえ

まつなる兄さんのよしなしごと、旅歩き、野球、寺社巡りを書きます。頼りなく豊かなこの国に、何を賭け、何を夢見よう?

観戦記 オリックス・バファローズ(2軍)対愛媛マンダリンパイレーツ@舞洲(交流戦はNPBの意地で・・・)

2018年04月22日 | プロ野球(独立リーグほか)
5月の連休に四国八十八所めぐりのうち、愛媛県で残っている4つの札所(60番横峰寺、63番吉祥寺、64番前神寺、65番三角寺)を回るプランを立てていた。伊予西条をベースキャンプにして前の3つを回り、往路または復路のいずれかで四国中央市(伊予三島、川之江)にある三角寺に行こうというものである。

そんな中、3月に四国アイランドリーグの公式戦日程が発表されたのを受けて計画を見直すことにした。4月30日に、川之江の球場で愛媛マンダリンパイレーツ対高知ファイティングドッグスの試合が行われるとある。私の四国八十八所めぐりの中のミッションに「アイランドリーグ観戦」を入れており、愛媛については昨年観戦してクリアしているのだが、日程が近い中、ごくたまにしか開催されない川之江での試合というのをぜひ観たいなと思う。そのため、八十八所めぐりのスケジュールを一部変更する形にして、4月の29日、30日にも四国を訪ねることにした。アイランドリーグの日程で八十八所めぐりのコースを変えてしまうとはね・・・。

さて、先日アイランドリーグのホームページを見て驚いた。4月22日に、愛媛マンダリンパイレーツがオリックス・バファローズ2軍との交流戦(練習試合扱い)を行うと紹介されていた。場所は舞洲のバファローズスタジアム。北神戸から昨年2軍の本拠地が舞洲に移転したが、訪れたことがない。バファローズの2軍の試合を観るのも兼ねて行ってみることにする。気になるのは、2軍の日程は福岡でのホークス戦(ウエスタンリーグ公式戦)になっていること。バファローズはどのようなメンバーが出るのだろうか。

舞洲には西九条駅から大阪シティバスに乗ってアクセスする。舞洲にはスポーツ施設やバーベキュー施設などがあり、若い人のバス利用も多い。バスにはバファローズの帽子をかぶった人もおり、その人に合わせるように舞洲東で下車する。ここから歩いて舞洲バファローズスタジアムに到着である。22日は交流戦・練習試合の扱いということもあり入場は無料。それはよいとして、愛媛の移動費用などがどうなるのかが気になる。この日はアイランドリーグとホークス3軍の試合が組まれていることもあり、試合にあぶれた愛媛が大阪まで対戦相手を求めて遠征したようにも見えるし・・。

この日は川之江での観戦前の「予習」という気持ちも込めて、バファローズファンながら愛媛マンダリンパイレーツ目線で観てもいいかなと思う。スタンドのところどころには同じような、いやパイレーツ目当てで訪れた人の姿も見える。

愛媛の打撃練習も終わり、バファローズの選手もアップに出てくる。選手を見て納得した。100番台の背番号をつけた育成選手が多い。2軍の「主力」は福岡に行って、残った育成選手たちがこの日の対戦相手を務めるというものである。まあ、アイランドリーグやBCリーグがNPBの球団と対戦する時、ホークスやジャイアンツは「3軍」である。バファローズには3軍はないので、育成選手が中心の起用ということか。その中にあって、背番号24の宮崎、背番号99の杉本といった1軍経験ありの選手の姿もある。これらの選手が3軍扱い?とも取れるし、独立リーグのチームに胸を出すにあたりこうした選手も入れておく(九州に遠征した2軍の留守番役の選手とも言える)のも相手への配慮かリスペクトかとも取れる。

練習試合ということで試合前のイベントもなく、試合開始である。バファローズの先発はドラフト4位の高卒ルーキーの本田。140キロ台後半の直球を軸に、2回を完ぺきに抑える。パイレーツもペレス、ヘイドーンという、リーグでは打撃部門の上位にランクされる外国人打者を擁するがまずは速球に押される。高卒でドラフト本指名にかかるだけのことはあるなと感じさせる。

一方のパイレーツは大卒で今季新入団の竹本が先発。こちらのストレートは130キロ台後半。独立リーグならまずまずの球速を持つと言えるが、やはりNPBの140キロ台後半を投げる投手(しかも1軍未経験)と比べると力が落ちるように見える。2番の佐野にヒットを許し、迎えるは宮崎。振り抜いた当たりはレフトへ飛ぶ。開始早々にバファローズが1点先制。うーん、やはり独立リーグと、2.5軍とは言えNPBのチームとの差なのかな。

2回裏には竹本が連続で歩かせる。得点は許さなかったものの、四球、特にストレートの四球というのはいただけないようにも思う。

3回からバファローズは吉田凌が登板。2015年夏の甲子園、東海大相模で小笠原(現・中日ドラゴンズ)との左右の両エースで優勝した投手で、その年のドラフトでバファローズから指名を受けた選手だが、現在はこの位置である。今季ドラゴンズで開幕投手を務めるまでになった小笠原との差は・・・というところだが。

その吉田に対して、パイレーツ先頭の7番・真山がチーム初安打となるレフトへの二塁打を放つ。これにネット裏から大きな拍手を送る女性ファンもいる。続く大本のバントをキャッチャーのフェリペが三塁に送球するがセーフ。チャンスが広がったところで中川が一・二塁間を破るヒットを打ち、1対1の同点に追いつく。

1番に戻って太田が右中間への大きな当たり。2人が生還し3対1となり、自らも三塁まで行く。続くペレスはレフトへの当たり。これが犠牲フライとなって太田が生還、4対1とパイレーツがリードを奪う。その後追加点はなかったがさらに四球や三振振り逃げで吉田にプレッシャーをかける。

3回裏、バファローズの先頭は宮崎。振り抜いた当たりはレフトフェンスを越える本塁打。4対2と追い上げる。宮崎は4回裏の次の打席でもレフトへの犠牲フライを打ち、3打席で3打点と気を吐く。今季はインフルエンザでチームを離れたというくらいしかニュースになることもなく、1軍からもまだ声がかからない。本人の心中はいかがなものかと察してしまう。

3回に4点を取られた吉田も4回、5回はランナーを出しても併殺で切り抜ける。一方のパイレーツも4回まで投げた竹本に替わり、5回からは左腕の樽見が登板。ランナーを出すものの、ショート真山の好プレーもあり得点を許さない。前半を終えて4対3とパイレーツがリードを保つ。

6回表、バファローズは3人目の東。今季神戸弘陵高校から育成ドラフトで入団した右腕。140キロ前半を出すが、堀尾、途中出場の近藤が振り抜いてそれぞれレフト前、センター前に落とすヒットを放つ。真山がバントで送り、大本がセンター前に放つ。これで6対3とリードを広げる。2.5軍相手とはいえ堂々とした攻撃である。

7回表、バファローズは4人目の神戸。こちらは昨季の育成ドラフトでの入団。バックスクリーンの球速表示で150キロ超を記録する。これにはスタンドもどよめき、パイレーツの打者も腰が引けた空振りとなる。独立リーグの投手は130キロ台後半、たまに140キロが出るか出ないかというところでの150キロ超である。かと思えば、次の打者へは全て110キロ台のカーブでタイミングを狂わせて空振り三振を取ったりする。このあたりは育成とはいえNPBの投手としての意地だろうか。

NPBの意地が見えたのは8回裏。パイレーツは7回から田邊が登板しているが、2安打と四球で満塁のピンチを迎える。ここで打席にはここまで3打点の宮崎。

思い切って振った当たりは、「まさか、まさか・・」という雰囲気の中、レフトフェンスの向こうに吸い込まれる。何と逆転満塁本塁打。7対6と一気に試合がひっくり返る。これが1軍の試合ならば・・・というところだが、2軍戦とはいえ7打点とはなかなかできることではない。

続く杉本も長打力がある打者。思い切って引っ張り、これもレフトフェンスを越える。8対6と突き放す。ここまでパイレーツも健闘したが、やはりNPBの地力だろう。

9回表、バファローズは鈴木優が登板。都立高校の星と呼ばれた投手である。こちらも最速153キロの速球でパイレーツの攻撃を3人で片づける。8対6、試合終了・・・というところだが、パイレーツの選手たちが走って守備位置につく。この日は練習試合で、点数に関係なく9回裏まで行うとのことである。パイレーツの選手も終盤は代打や守備固めの登場でガラリと替わっており、こちらはせっかくのNPB球団との試合なのでベンチ入りの選手を使い切ってしまおうというところ。一方のバファローズは野手の控えを置かない最小限のメンバーのようで、全員がフル出場と対照的である。これも練習試合ならではのこと。

9回裏はパイレーツでセットアッパーを務める片山が登板。そのまま3人で抑え、9回裏まで行ってバファローズが8対6でパイレーツに勝利した。最後はNPB球団の意地としての逆転勝ちだが、途中までの経過を見ると、2.5軍相手なら独立リーグのチームも互角に渡り合えることが見て取れた。この試合でパイレーツの選手がNPB入りに向けてアピールすることができただろうか・・?

さてこれで、次の四国での観戦に向けた「予習」になったかなと思う。4月30日は札所めぐりの後の金剛杖を手に球場に向かえればいいかなと楽しみにしている・・・。
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