まつなる的雑文~光輝く明日に向かえ

まつなる兄さんのよしなしごと、旅歩き、野球、寺社巡りを書きます。頼りなく豊かなこの国に、何を賭け、何を夢見よう?

雨天の高浜海水浴場

2019年05月13日 | 旅行記H・九州

4月30日、午前中から弘法大師、遣唐使、キリスト教と見て回り、三井楽町に入る。ここで昼食ということで、五島唯一の道の駅である「遣唐使ふるさと館」に到着する。ここで雨がパラパラと落ちてきた。いよいよ、「平成最後の夕日」というのは厳しくなってきたようだ。

食事の前に、隣接する五島列島酒造に立ち寄る。原材料は全て五島産を使用しているということで、麦焼酎と、かんころ芋と呼ばれる五島独特のさつま芋から造った芋焼酎の製造工程の説明がある。

酒造会社といっても大がかりな蔵を持つわけではないが、タンクなどを窓越しに見た後で、試飲と販売がある。麦や芋の焼酎は普段飲まないので試飲も嘗める程度だが、これは実家への土産にちょうどいいだろうと麦と芋のセットを購入する。過去に九州内での酒類の品評会で何度も金賞を受賞したという一品である。

ちょうど前日(4月29日)が酒蔵開きで、イベントが行われる予定だったが大雨のために中止されたという。

道の駅のレストランで食事となる。朝食の「五島灘」はバイキング形式だったため席は自由だったが、ここからは席割がされている。もちろん、男性一人客、女性一人客がそれぞれ1テーブルに固められる。昼のメインは五島豚のしゃぶしゃぶ。五島牛というのは有名で聞いたことがあるが、最近は養豚にも力を入れているそうだ。素材の味を楽しむならしゃぶしゃぶというところだろう。しばらく鍋が沸くのを待ち、湯にくぐらせる。出汁はアゴ(トビウオ)で取ったものだ。味はしつこくなく、柔らかい。また、うどんの締めには「日本三大うどん」の一つとされる五島うどんが入る。普段食べるよりも細くて柔らかい。食のメニューも結構押さえるところは押さえているようだ。前夜、博多で五島料理の店に入らなくてよかった。

先に「日本三大うどん」と書いたが、そのうちの二つは讃岐と稲庭というのは有力だが、「日本三大」によくある「残りの一つ」論争はここにもある。バスの車中でも話題になったが、富山の氷見、群馬の水沢という声もある。参加者からは京都や大阪も「日本三大」に入るかは別にしてもポピュラーな食べ物だし、伊勢もあるとの声も出たが、ここは地元の顔を立てて五島うどんが一番ということで収まる。

今回のツアーでは土産物の品揃えの豊富さと、今後のスケジュールの関係からここが土産物購入タイムとなった。五島うどんを買い求める客も多い。また私は、アゴ出汁醤油の元というのを買い求めた。瓶の中にアゴの干したのと昆布が入っていて、そこに醤油を注いで4~5日寝かせる。するとアゴの風味がする醤油ができる。帰宅後にやってみたが、普通の醤油にワンポイントついた感じがした。何回か繰り返し使えるし、水で伸ばすとめんつゆにも応用できる。

またその間、フロアに展示されている万葉集や遣唐使の紹介パネルを見る。五島とのつながりは先にも触れたので省略するが、今回コースに含まれていない「辞本涯」の碑の写真パネルを見つける。この先の岬に立つもので、弘法大師が唐に渡る際に残した言葉である。「日本の最果ての地を去る」という意味で、ひょっとしたら命を落とすかもしれない中での覚悟の言葉とされている。そのような覚悟の末、唐から密教を持ち帰り、後の仏教文化に大きな影響をもたらした功績に改めてうなるばかりである。

そろそろ時間となる。ほとんどの客が五島の牛乳で作ったソフトクリームやカップを手にバスに戻る。売り子さんも不慣れな行列ができて大変そうだった。「もう少し商売っ気があってもいいんだけど」とはガイドのSさん。

さらに西に進み、高浜海水浴場に向かう。「日本の渚百選」の一つで(残りの99ヶ所がどこかというのは置いておく)、絵に描いたような白浜と紺碧の海が広がるという。ただあいにくの天気で、バスが着くとちょうど雨が降り出した。もっとも前日(29日)はもっと雨が強く、別のツアーが高浜海水浴場を訪ねたが誰もバスを降りようとしなかったとか。

まずは浜を見下ろす高台に上がる。漁業や海を守る魚藍観音像が立つ高台から海水浴場を見ることができる。雨とはいえ、海の色が紺碧から藍色へとグラデーションをなしているのがよく分かる。普通にきれいな海だと思う。五島でこうした海岸に出会えるとは思わなかった。

また逆の方向には嵯峨島がある。「ひょっこりひょうたん島に似てませんか?」と案内があるコブ2つの島である。その昔、平家の落人が移り住んだことから京都の嵯峨の名前をつけたそうで、現在も人が住み、先ほど訪ねた道の駅近くの港から渡し船があるとのこと。民宿もあるそうだ。

浜辺の景色を楽しんだ後、海水浴場の駐車場まで下る。せっかくなので砂浜を間近で見よう、また砂浜に足を踏み入れようという。途中に小川の流れができていて、石づたいに渡る。ただ後から渡ろうとして足を踏み外し、小川にはまった人がいた・・・。

季節がもう少し暖かかったら、また晴天だったら、海水に足をつけたくなるような砂浜である。シーズンには島外から多くの海水浴客で賑わうそうで、地元の人たちは少し離れたところで泳ぐのだとか。純粋に景色を楽しむなら今の時季がちょうど良かったのかもしれない。貝殻を拾うのがお勧めということで砂を掘って素敵なものを見つけようとする人もいる。

砂浜からの帰りは慎重になる。若い人が中心となって声をかけあい、石のぐらつきを確認し、渡った先で手を取る。連携プレーのおかげで帰りは転倒ゼロで全員バスに戻った。

時刻はまだ14時になるかならないかだが、ここで折り返しとなり、福江の中心部に戻る。この後はいったんホテルにチェックインして、平成最後の夕日を見るために大瀬崎に向かう。戻りの車中も、ガイドSさんに添乗員Kさんが絡んで賑やかな時間に・・・。

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