以前の記事で、元号が令和になったのを機会に、新たな札所めぐりを始めようということに触れた。西国三十三所めぐりの3巡目を地元・葛井寺から本格的に始めたのに続いてのことである。
西国四十九薬師霊場。これまでの観音菩薩、弘法大師、不動明王に続く新たなシリーズである。本尊である薬師如来は東方浄瑠璃世界におわす仏で、病気を治す、命を延ばすというのが代表的なご利益とされている。またそれを発展させて、災難や苦痛から解放するとか、飢えに苦しまないとか、全ての人々が必要なものを手に入れて豊かになるようにするとか、現世の功徳を施すともされている。
私自身健康に不安がないわけではなく現に通院もしているし、悩むことも多々ある。ただ無条件にそこから解放されるものではなく、自分で努力しなければならないのは当然のこと。それはわかっているがなかなか完璧に実践できないのも人間。やはり心の拠り所があればなと思う。
これと合わせて、これまでシリーズで訪ねた関西一円に広がる札所めぐりにも薬師霊場があり、多くの人が巡拝しているのなら私もぜひ行ってみようというものである。エリア的に西国三十三所の札所に近いところもあるので、合わせての探訪となるところも出るだろう。
西国四十九霊場は比較的新しく、結成は平成元年(1989年)。つまりちょうど30年前のことだ。平成の初めにできた札所めぐりを令和の初めに始めるのも何かの縁だろう。
札所は奈良の薬師寺に始まり、奈良、和歌山、大阪、兵庫、京都、滋賀、三重の7つの府県にある49ヶ所をめぐる。最後は延暦寺の根本中堂だ。49という数は四国めぐりには及ばないが西国、新西国、近畿三十六不動よりも多いし、札所めぐりでは初めて三重県にも足を踏み入れる。公共交通機関で訪ねるには難関のところもあり、ゲームに例えるのはいかがかと思うがそのぶん攻略のしがいはありそうだ。
回るにあたってのルールは例によって以下のとおり。
・最初は薬師寺、最後は延暦寺根本中堂で終わる。
・次の行き先は、候補をくじ引きで決めてサイコロの目を振り分け、サイコロの目が出た札所を訪ねることにする。
・利用する交通手段は鉄道、バス、徒歩とする。レンタカー、レンタサイクルは特別に必要と認められる場合のみ利用として、タクシーは原則利用しないこととする(よほどの緊急事態でない限り)。
・朱印は四十九薬師霊場の専用バインダー用のものをいただく(もちろん、札所ではお勤めをする)。
まあ別に公式ルールがあるわけでもなく、回りやすいように回ればよいだけのことだ。
さて、行き先の選択肢をエリアで分けてみた。これがサイコロの出目に対応していく。
・生駒(霊山寺)
・奈良市北(般若寺)
・奈良公園(興福寺、元興寺、新薬師寺)
・橿原(久米寺)
・宇陀(室生寺)
・五條(金剛寺)
・高野山(龍泉院、高室院)
・海南(禅林寺)
・河南町(弘川寺)
・羽曳野(野中寺)
・堺(家原寺)
・天王寺(四天王寺)
・大阪キタ(国分寺)
・池田(久安寺)
・伊丹(昆陽寺)
・西宮(東光寺)
・三田(花山院)
・加古川(鶴林寺)
・たつの(斑鳩寺)
・福崎(神積寺)
・丹波市(達身寺)
・福知山(長安寺、天寧寺)
・但馬(大乗寺、温泉寺)
・舞鶴(多禰寺)
・長浜(総持寺)
・湖東(西明寺)
・三重(石薬師寺、四天王寺)
・多気(神宮寺)
・名張(弥勒寺)
・加茂(浄瑠璃寺)
・伏見(法界寺、醍醐寺)
・東山(雲竜院)
・西京(正法寺、勝持寺)
・亀岡(神蔵寺)
・高雄(神護寺)
・大原(三千院)
・安土(桑實寺)
・湖南(善水寺)
・三井寺(水観寺)
札所は薬師寺を出発して奈良市内を回り、まずは南の和歌山から大阪を経て、時計回りに関西をめぐる。そして京都市内を経て比叡山に至る順路である。誰もが知る寺もあれば、札所めぐりで初めて知った寺(むしろこちらのほうが多い)もあり、そうそうたるラインナップだ。これまでの関西での札所めぐり同様、自宅を中心に放射線状に順不同、サイコロの出た目に沿って回る。薬師如来の真言は「おん ころころ せんだり まとうぎ そわか」。だからサイコロ振って「ころころ」回るとか?
・・とまあ、それはふざけているかもしれないが、ともかく49の札所を訪ねてみよう。新たな発見、心の支えが見つかるといいな・・・。