新門司港に到着。こちらも団体の乗船券にて乗船となる。船体は往路と同じ「フェリーきたきゅうしゅうⅡ」で、寝台もツーリスト(2等洋室)。往路は下段だったが復路は上段である。ベッドの大きさはもちろん同じなのだが、前が階段なのでバッグを並べるには狭い。ツアーを共にした客同士なのだから外の通路に置いてもいい感じである。
荷物を置くとすぐにレストランに向かう。何せ昼からの「長崎大移動」の後である。乗り換え時間もわずかで、途中で何かを買うということもできなかったし(あ、新幹線の車内販売で何か買っていた人はいたかな)、往路は夕食を済ませてからの乗船だったので、夜のレストランがどのようなものか見てみたかった。幸い行列もできておらず、内側のテーブル席を確保することができた。
メニューはバイキングということで・・・アホかというくらいどうしても選んでしまう。またアルコールは追加で、瓶ビールや「檸檬堂」は最初に食券を買うカウンターで一緒に購入する。生ビールは、レストラン内にビアガーデンのようにジョッキとビールサーバがあり、一杯500円で自動的にジョッキに注がれる。これらを揃えての旅の打ち上げである。そうして食事をしているうちに出航、これで九州の地を離れることにする。
しかるべく飲み食いした後、夜の展望台に出る。後方に九州の島影の稜線がうっすらと見え、遠くで灯りがチラチラするのが見える。空を見上げるとうっすらではあるが星も見える。じっくり見ると北斗七星の形が浮かぶ。北斗七星って、何年ぶりに目にしたか。
入浴を済ませ、寝台に戻る。翌朝は自宅に戻るだけなのでゆったりする。それほど電波がよくない(一応船内にはWiFiがあるのはあるが・・)ので、メールの下書きの形で今回の紀行文を書き進める。
翌朝、普段の起床のリズム通りに5時に目覚める。左手には大きな島影がある。航路図から見れば小豆島である。そらは多少雲はあるものの好天である。
・・・とすると、上手い具合に行けば船上から日の出を見ることができるのではないか。前日の改元初日の5月1日は曇りのため日の出は見られなかったが、全国的には雨のところも多かった。だから1日遅れの初日の出と見ることもできる。
しばらくデッキに陣取っていると右前方の空が赤くなってきた。水平線から上るダルマ太陽とはいかず、少し上からであったが太陽が顔をのぞかせた。
それが少しずつ形をはっきりさせ、やがて光となった。1日遅れで新しい時代の瞬間に立ち会えたような、そんな勝手な思いがある。他にデッキにいた人は数人だけで、せっかくの日の出なのに皆さんもったいないなと思った。
家島諸島沖を通過。朝の播磨灘の景色を見るうちに朝食の時間帯となった。朝も同様にバイキング形式でいただく。
明石海峡大橋の下をくぐる。往路の夕方と同様、大勢の人がデッキに出てくる。この橋をくぐるとようやく戻ってきたなと思わせる。南港まであと1時間だ。
大阪南港に近づく。岸壁からフェリーの作業の人たちが手を振る。少しずつ近づき、無事に着岸する。ようやく戻ってきた。やれやれという気分と、いろんなことがあった5日の旅だった。
フェリーを降りた後は流れ解散だが、ターミナルビルの入口では添乗員Kさんが出てのお見送りである。31名が無事に下船するのを見届けるということだ。改めて、ありがとうございました。
この後はニュートラムと四つ橋線から乗り継いで帰宅。元号またぎの旅は実にてんこ盛りで、深い思い出が残るものになった・・・。