中国四十九薬師めぐりの前泊として、11月12日の午後、広島から益田に向けて移動。途中、広島新四国八十八ヶ所の札所にも立ち寄り、可部線の廃線跡に出会ったことから三段峡のミニ散策までついてきた。
国道191号線は三段峡の先は県境区間に入ることもあり、周囲の建物も少なくなってきた。景色はそれなりに雄大で、広島県にこうしたところがあったのかと改めて感心するばかりである。広島県の観光といえば瀬戸内側が取り上げられることが多いが、県の大部分は山地である。
島根県に入る。このルートで陰陽連絡したのは初めて。平成の大合併もあり、この先はずっと益田市である。里山風景の中をずっと走る。
益田の市街地に入って来た。ここまで今一つすっきりしない空模様だったが、海岸の方向には夕日が出ているようだ。翌日は晴天が期待できそうだ。
益田駅に到着。山陰線、山口線が接する駅で、夕方の時間帯は各方面へのローカル列車も出発する頃合いだ。ふと列車に乗ってみたくなるが、帰って来るのが大変である・・・。
益田といえば、今年の7月に5日間ほど出張で滞在したことがある。今だからそのことに少し触れるが、私の職場で出張のため益田に来ていた従業員が新型コロナに感染し、同行していた者も濃厚接触者に認定されたことがあった。そのため、各方面への対応と感染者、濃厚接触者の経過観察ということで私が広島から出向くことになった。彼らは宿泊していたホテルのご厚意もあってそのまま留め置きとなっていたが、感染した従業員は保健所の指示で江津にある島根県立少年自然の家での療養となり、保健所のクルマで移送された。そして濃厚接触者はそのままホテルでの経過観察となり、コンビニでの食事の買い出しくらいならOKだが、ホテルの大浴場やレストランの使用はNGとなった。
私はといえば、もし感染者、濃厚接触者が重症化でもすれば・・ということで益田に来たのだが、感染者も少し熱があるもののそのほかは異常なく、また濃厚接触者は自覚症状も何もなしである。一応何かあった時の備えとはいえ、何もなければやることはそれほどなかった。私も清掃時間をのぞけば日中も同じホテルの自室にいたが、そりゃ、テレビもつけるし夕方はちょうど場所中だったので大相撲中継を観ながらパソコンでできる範囲の仕事をしていた。私とすれば、益田にてリモートワークを行っていたようなものである。
最初の頃は夕食も近くのコンビニで買ったもので済ませたが、後半には益田駅前の居酒屋でも一人で一献やったし(留め置きの皆さんには申し訳ないが)、東萩までローカル列車で往復したりもした。結局、その週が終わると濃厚接触者も解除となり、感染者も療養先から自力で戻れる目途がたったので、私も広島に帰還した。
2022年夏は世間もまだまだコロナに対して敏感に反応していた。そして冬、第8波に入ったとも言われていて感染者数も増加しているが、世間の受け止めはそれほどでもない。それだけ、これまでの経験で得られた知見が現実に反映されているということだろう。
この夜は、駅前にある益田グリーンホテルモーリスに泊まる(ちなみに、夏にコロナ対応で宿泊したホテルは駅の反対側に立地するところ・・)。クルマは駅に隣接する市営駐車場に停めるよう案内される。フロントで駐車券を提示すると1泊330円で割引利用ができる。
部屋からは益田駅の構内を見下ろすことができる。現在は気動車が行き来するだけの小ぢんまりとした運用だが、奥にはかつて操車場でもあったのか、空き地が広がっている。あちら側も国道191号線沿線で店舗も多く並んでいるが、駅には自由通路もなく分断されたように見える。夏の宿泊時にも不便だなと思ったのだが・・。
今回はワクチン接種による「全国旅行支援」適用プランを利用する。これで宿泊費が4000円台で済んだし、1000円のクーポン券もいただけた。
部屋でしばらくくつろいだ後、夜の一献ということで出かける。無難なところなら駅前のロータリーにチェーン居酒屋もあるのだが、駅から少し南に入ったところに小ぢんまりではあるが飲食店街が広がっている。ただ、グルメサイトではあまり情報が出てこない。また、この日は予約客のみという表札の出る店もある。まあ、適当な店がなければロータリーに戻ってチェーン居酒屋で豪快に一献としよう。
その中、18時の開店直後に入ったのが「屋台ざんまい」という店。グルメサイトで良い評価の書き込みが多かったのと、21時までの入店で2時間飲み放題1200円とあったのでこちらにする。幸いカウンターに空席あり、パーテーションで区切られているので実質2席使用できた。
飲み放題だからとメニューがそれほど制限されているわけでもなく、多少でも飲む人なら最初から飲み放題にしたほうが安くつくのではないかと思う。店の人もそのように勧めていたし。
あ、でも飲み放題のビールはプレミアムモルツではなく金麦。そこにこだわる人はご注意かな。
魚、肉、大衆酒場の定番メニューも豊富に揃っている。最初は枝豆、冷奴で。
馬刺し、地鶏たたきも。益田というよりは九州の色合いだが、ちょっと張り込んでみる。
魚の代表として、おすすめのホワイトボードにあったスズキの造り。
串焼きメニューに「江木さん」というのがある。ただし書きで「赤天」とあった。赤天といえば石見の名物の一つで、ちゃんとメニューにあったのがうれしい。鉄板でちょっとあぶると風味が増してより美味くなる。「江木さん」というのは、この赤天の生みの親である江木蒲鉾店から取ったもののようだ。
日本酒の飲み放題メニューには見慣れない銘柄が並ぶ。益田や津和野といった石見地方の地酒である。飲み放題の日本酒といえば全国的な大手メーカーのものが一般的だが、地酒が(もっともお手軽な本醸造のものだろうが)何種類もあるのもよろしい。その中で、扶桑鶴、菊弥栄、日本海といったところを味わう。
今思えば、後半サワーに切り替えるくらいならもう3種類もいただいてコンプリートしておけばよかったかな・・。
「屋台ざんまい」のおすすめメニューとしてお好み焼(広島、関西いずれもOK)もあり、店の大将が鉄板で焼くのを見るのも楽しいが、さすがにここまでの飲み食いで満腹となり、締め料理なしで会計とする。また益田に来た時に訪ねたい店である・・。
ホテルに戻り、大浴場に向かう。大浴場のある3階全体がゲストラウンジとなっていて、自販機、フリードリンクコーナーのほかに、夜のラーメンのサービスというのもある。また3000冊のマンガが置かれていて、このラウンジで自由に読むこともできるし、部屋に持ち込むこともできる。入浴後、しばらくこのスペースでリラックスした。
部屋でゆっくり眠った翌20日、ロビー横のレストランコーナーでビュッフェ形式の朝食である。和・洋・中華メニューも豊富でしっかりといただく(盛り付けが下品なので写真は撮らなかったが・・)。
中国四十九薬師めぐりとして益田から浜田を目指すが、益田に来て宿泊と夜の一献だけというのももったいないのと、益田は室町時代の画家・禅僧である雪舟ゆかりの地ということで、浜田に行く前に少しだけ益田のスポットを回ることにした・・・。