今年も残り1週間となったが、12月23日から24日にかけては広島市内も結構な積雪となった。朝起きるとクルマが駐車場ですっぽり雪に埋もれた状態。通勤にも一苦労、二苦労したところで、まさに「クリスマス寒波」となった。ちょうど東京から出張で来た人の対応を行っていたが、「広島は瀬戸内なので温暖なところと思っていたけど、結構『雪国』なんですね」と。昼食を市内のレストランでご一緒したのだが、外の木々に雪が積もり、さらに雪が降り重なる景色は、広島は広島でも芸北や備北にでもいるかのような感じがした。
・・・さて、ここからは年末に向けて中国四十九薬師めぐりの記事である。前回は現地での鉄道廃線・未成線関連のスポットめぐりのため、第34番・長徳寺、そして第35番・延命寺と先に島根県石見地方の札所を回った。その一方で、萩にある第33番・円政寺が残っている。
それほど遅くならないうちに、萩にも行っておこうと思う。ちょうど12月10日からは冬の青春18きっぷの有効期間となり、年末年始も何かしら使う予定があるため、ここで最初の1回分とする。
広島から萩に行くルートはいくつか考えられる。もっとも便利なのは、新山口からの路線バス「はぎ号」。バス料金は別途発生するが、前後を青春18きっぷで使っても日帰りできる範囲である。
また、下関から「○○のはなし」に乗るという手もある。これで東萩まで行き、帰りは路線バス「はぎ号」でもよい。
ただ、中国地方一周は石見まで進んだ形になっているが、浜田から益田にかけての区間の列車にも乗ってみたい。前回は国道9号線で、折居~三保三隅の撮影名所を道の駅から見ることもできたのだが・・。
いろいろ考えてみたが、逆に浜田まで行き、そこで前泊。そして山陰線で西に進み、東萩で下車して円政寺、さらに進んで長門市まで行き、久しぶりの美祢線乗車というのを考えた。山陰線の同区間、そして美祢線は今すぐ廃線という話は出ていないものの、輸送密度が2000人を下回り、大幅な赤字になっている路線、区間として公表されたところだ。青春18きっぷで乗車したところで収支にはカウントされないのだが、行くだけ行ってみよう。
山陰線の乗車は11日として、10日は午前中所用があるため午後からの出発とする。この日は、夕方に浜田に到着して夜の一献だけである。これ、その週末に行っておいてよかった。この日を外して次に行く機会は12月24日~25日の週末となったところだが、24日は雪のため広島~浜田の高速バス「いさりび号」は全便運休となった。
10日昼過ぎの広島駅新幹線口。13時50分発の浜田行きに乗る。車両は石見交通バス。全車自由席だが、コロナ対策として、依然として最前列4席の使用は禁止となっている。広島駅、そして広島バスセンターで合わせて半分以上の席が埋まるが、このバスは広島中心部と広島県北部とを結ぶ役割もあるので、途中で下車する客もいそうだ。
前回の中国四十九薬師めぐりでは、「幻の広浜鉄道」の未成線跡めぐりを行った。現在は当初とは異なるルートとなったが、中国道、浜田道を経由するのが最速ルートで、高速バスが2時間あまりで結んでいる。これが現時点での最適解というところだろう。
途中の千代田西、大朝インターで下車があり、県境に近い寒曳山パーキングエリアで10分間休憩。雨や雪は降っていないものの、さすがに山中は冷える。
ここに1991年の浜田道の開通記念碑があり、「当区間(注:千代田~旭)の開通により中国横断自動車道広島~浜田間が全線開通し山陰と山陽が高速道路で結ばれ中国地方の発展に大きく貢献することを願い・・」という解説文がある。「広浜鉄道」の構想が違った形ではあるが実現した証といえる。
島根県に入っても順調に進み、浜田道から浜田市街に出る。16時10分、浜田駅に到着。
いったん橋上の駅舎に行き、みどりの券売機で青春18きっぷを購入する。乗るのは翌日8時すぎの列車なので翌日購入でも間に合うのだが、まあ先に買っておこう。これなら、山陰線の駅での販売実績になるはずである。
宿泊は駅の斜め前にあるルートインホテル。以前の乗り鉄で一度泊まったことがある。大浴場もあるし、この日割り当てられた部屋からは駅の構内を見下ろすこともできる。大浴場にも入り、しばらく部屋でゆっくりする。
18時、駅前に出る。浜田に来たのだから山陰の魚を食べようということで入ったのは「炉端かば」。山陰を中心に広がるチェーン居酒屋だが、海の幸、山陰グルメは豊富である。以前浜田に泊まった時も、ルートインホテルと「炉端かば」の組み合わせだった。
カウンターに座り、おすすめメニューを見る。あれこれ迷うところだが、まずは大ジョッキ。デカッ。そして最初に出てきたのが赤天。いわゆる「江木さん」ものかな。
浜田港直送という「浜田盛り」を注文。通常の「桶盛り」とは違った顔ぶれである。
のどぐろの一夜干し。高級魚とされるが、島根県、特に浜田では地元を代表する魚として力を入れているためか、こちらに来れば手軽に味わうこともできる。のどぐろ入りの加工品、レトルト食品も手軽な土産物である。
ぶりかまと迷った末に、「どんちっち」の文言にひかれてアジの塩焼きもいただく。まるまる一匹を食べるのも久しぶりのことだ。
今思うと、もっと山陰の地酒を楽しみ、また他のメニューもいろいろつまむところだったのだが、この時は当初の想定よりもあっさりと店を後にしていた。部屋に戻り、結構早く就寝・・・。