2024年9月に新たに高架駅舎となったJRの松山駅。四国最大の都市である松山の玄関駅であるが、これまで貨物駅等が隣接する中、駅周辺の再開発の一環として新たな駅が完成。今年の夏、日帰りで松山を訪ねた時はちょうど完成間近だったが、完成後どんな様子か見てみようと行ってみることにした。
これまで71年もの間、2代目として活躍した駅舎(正面の三角屋根が印象的だ)のお別れイベントが11月の連休最終日である4日に行われるとの情報を得た。かつての駅舎内部をめぐるツアーも開催されるとのことだがすでに定員に達したとのこと。それでも、線路の中に入れるイベントもあるようで、新旧の駅舎を見比べるのも今のうちである。
3日から出かけて久しぶりの松山宿泊も考えたが、思い立ったのが直前のこと、しかも連休の最中である。松山市内の宿泊施設もほぼ満室、空いているところも高額である。まあ、駅を見に行くだけなら広島から日帰りで十分だろう。近道なのは宇品、もしくは呉から松山観光港へのスーパージェット、クルーズ船である。
ただ、何が何でも早い時間に松山に着かなくてもいいかなと思う。そこで今回選んだのは、柳井から三津浜への防予フェリー。以前、四国八十八ヶ所めぐりのアクセスとして利用したが、こちらものんびりした船旅が楽しめる。ローカル航路といえるのだが、山口方面からだとこちらの航路が便利である。途中、周防大島の伊保田を経由する便もある。柳井からは山陽線の柳井港が最寄り駅だが、朝の列車のダイヤとフェリーの接続を見ると、柳井港7時49分着で、8時50分発の便まで1時間待ちとなる。次の列車だとフェリーとの接続時間は1分しかなく、またこれを逃すとフェリーは2時間待ち。まあ、鉄道との連絡船ではないので・・。
というわけで、早朝に西広島を発車し、岩国ですぐ接続の下関行きに乗り継ぐ。いつも思うが下関方面への乗り継ぎ、待ち時間が少ないのはよいのかもしれないが、接続1分というのは慌ただしく感じる。乗り込むのはクリーム地に青帯の瀬戸内色。一度目の広島勤務時、電車通勤時ではおなじみの塗色だった。
岩国から先の区間に乗る際は海の景色を楽しみに進行方向左側に陣取るのだが、この日は高校生も結構乗っていて席が埋まっていた。そのため右側に腰掛ける。まあこの後、いやというほど海の景色を眺めることになるので・・。そのうち周防大島を左に見て、大島大橋の下をくぐる。山陽線の中で人気の撮影スポットで、橋の上の歩道に撮り鉄が群がっている。お目当てはこの瀬戸内色のようだ。
柳井港に到着。フェリー乗り場は国道を挟んだ向かいにある。出航まで1時間、待合室でしばらくのんびりと過ごすことにする。今手元にあるのは、向かいの周防大島出身の宮本常一の民俗学の書物。
柳井からは三津浜のほか、周防大島の南に浮かぶ平郡島、室津半島の先にある祝島へのフェリーも出ている。この時は8時30分発、1日2往復だけの平郡島行きのフェリーの乗船案内があった。平郡島、フェリー乗り場にあった観光パンフレットを見たが、瀬戸内にあって南の島の雰囲気を楽しめるところだという。朝の便で渡り、夕方の便で戻るという楽しみ方もできそうだ。