2月3日、書写山圓教寺。
節分会、豆まきを前に大勢の人が摩尼殿に集まってきた。堂内の外陣はもうびっしりで、外の廊下にも立ち人が並ぶ。
13時から法要が始まるが、特に参詣の人たちが一斉に合掌することもなく、いつしか内陣から声が聞こえてきて始まった形である。声が聞こえてきたというのは天台宗の声明(しょうみょう)である。何と言っているかは私の不勉強のためわからないが、経文や真言に旋律や抑揚をつけて楽曲風に唱える、天台宗の流儀である。
内陣の中央にさらに幕で囲まれた中での法要で、何が行われているのかは見えない。声明が一通り終わったかというところで、祈願文やら何やら謎めいた呪文のような文句が早口で聞こえてくる。以前に比叡山の無動寺で阿闍梨が行っていた祈祷を思い出す。
その一方で、左手からは不動明王の真言をひたすら唱える僧侶の声が響く。中央の祈祷の真言と重なりあい、どちらに意識を向ければよいのだろうか。
この節分会では二つの祈祷が同時に進んでいるようだ。中央で行われているのは如意輪観音の星祭。如意輪観音は「星の観音」とも呼ばれるそうで、人々の生まれた年の星と、年ごとに変わる星の巡り合わせによる災難を除くために、星が変わる立春の節分に合わせて祈祷するものだという。
一方の不動明王は言わずと知れた災難除け。私が座ったところからは垂れ幕の向こうに護摩供養の火があがるのが見えるが、その様子を見てわざわざ立ち上がって撮影に行く人もいる。
法要が始まって30分もすると外陣のあちらこちらからザワザワするようになった。私語も聞こえるし、スマホを取り出してゲームを始める人もいる。法要の最中にそれはあかんやろと思いながらも、ただ座っているだけで何もなく時間をもて余すのも仕方ないのかなと思う。寺によっては「お不動さまのご真言をお唱えください」とリードも入るのだがそれもない。よほど篤心でないとついていけないのでは。
ようやく法要が終わり、中央から一人の僧侶が顔を出してマイクを握る。圓教寺の副住職だったか、以前の西国三十三所の先達委員会にいらした顔に見覚えがある(私の中では、元プロ棋士でトークの上手い神吉宏充さんが頭を剃った姿という印象)。「お待たせしました、今から豆まきです」と言うが、先ほど如意輪観音の星祭でさまざまな真言を唱えて祈祷していたのは、この神吉七段?である。
豆まきにはルールがある。説明によると・・・
・最初に枡に入った豆そのものをまくが、後は豆が入った紙袋をまく。なお豆は先ほど祈祷していたものである。
・豆は4人の年男が本堂内陣からまくが、参詣者は決して膝立ちも含めて立ち上がらないこと(怪我の防止)。
・紙袋は全部で8000袋あるが、半分の4000袋をまいたところで一時中断して、前後を入れ替える。その前後とは、外陣の中央に張った赤い紐の前と後である(紐は私が座った位置のすぐ前である。つまり、前半は後列の最前列で、後半はさらに前に行ける)。
・袋には、金の観音像への引換券が入っているのが1つ、銀の観音像への引換券が入っているのが2つある。他には紅白のお供え餅との引換券や、宝金として500円を最高とする硬貨が入ったものもあるという。
4人の年男が紹介される。芸能人というわけではないが、キンキサイン・山口会長、高岡病院・長尾理事長、AM神戸・森取締役、永井産業・永井会長という、地元の名士たちである。「豆をまいてほしかったら大きな声で名前を呼んでください」と神吉七段。
そして豆まきが始まると、もう堂内に歓声が響く。年男に声を出してアピールする人も多い。年男たちも豪快に豆袋をまき、前列だけではなく後列にも届く。神吉七段を含めた僧侶たちも応援でまく。空中の袋をダイレクトでつかんだのもあったが、多くは人々の間に落ちたものの争奪戦である。堂内でやや暗いこともあり、足元すぐのところに落ちていても案外気づかないものだ。
前後半合わせても10分くらいだったか。豆まきは終了し、堂内からは大きな拍手が起こった。気づけば私も35袋くらいを獲っていた。
その後、堂内で袋の中を確認するようにとのアナウンスがある。縁起物との引き換えはこの場でしかできないためである。あちこちで紙袋を開ける光景が広がり、歓声とため息が広がる。そのうちに金と銀の観音像の当たり札が出たとのアナウンスがあった。
私はといえば、宝金が計4枚、金額は165円だった。帰宅して豆の一部を枡に盛って宝金を乗せてみると、それぞれの硬貨もピカピカである。うーん、お守りというわけではないが、この硬貨は使うのではなく何らかの形で取っておきたいと思う。
西国三十三所めぐりの2巡目はこれでおしまいとして、ロープウェイ乗り場に戻る。予報どおり、境内には雨が落ちていた。
立春を前にした星祭、不動明王の護摩供、さらには豆まきということで、新たな年への活力になったと思う。また、西国も3巡目をやろうと思う。すでに中山寺で3巡目は始まっているが、3巡目は中先達への道となるし、先達の特典で無料でいただいた「西国曼荼羅」の八角形の色紙への朱印をいただくことになる。その意味でまだまだ楽しむことができるだろう。
またこれからも、よろしくお願いします・・・。
節分会、豆まきを前に大勢の人が摩尼殿に集まってきた。堂内の外陣はもうびっしりで、外の廊下にも立ち人が並ぶ。
13時から法要が始まるが、特に参詣の人たちが一斉に合掌することもなく、いつしか内陣から声が聞こえてきて始まった形である。声が聞こえてきたというのは天台宗の声明(しょうみょう)である。何と言っているかは私の不勉強のためわからないが、経文や真言に旋律や抑揚をつけて楽曲風に唱える、天台宗の流儀である。
内陣の中央にさらに幕で囲まれた中での法要で、何が行われているのかは見えない。声明が一通り終わったかというところで、祈願文やら何やら謎めいた呪文のような文句が早口で聞こえてくる。以前に比叡山の無動寺で阿闍梨が行っていた祈祷を思い出す。
その一方で、左手からは不動明王の真言をひたすら唱える僧侶の声が響く。中央の祈祷の真言と重なりあい、どちらに意識を向ければよいのだろうか。
この節分会では二つの祈祷が同時に進んでいるようだ。中央で行われているのは如意輪観音の星祭。如意輪観音は「星の観音」とも呼ばれるそうで、人々の生まれた年の星と、年ごとに変わる星の巡り合わせによる災難を除くために、星が変わる立春の節分に合わせて祈祷するものだという。
一方の不動明王は言わずと知れた災難除け。私が座ったところからは垂れ幕の向こうに護摩供養の火があがるのが見えるが、その様子を見てわざわざ立ち上がって撮影に行く人もいる。
法要が始まって30分もすると外陣のあちらこちらからザワザワするようになった。私語も聞こえるし、スマホを取り出してゲームを始める人もいる。法要の最中にそれはあかんやろと思いながらも、ただ座っているだけで何もなく時間をもて余すのも仕方ないのかなと思う。寺によっては「お不動さまのご真言をお唱えください」とリードも入るのだがそれもない。よほど篤心でないとついていけないのでは。
ようやく法要が終わり、中央から一人の僧侶が顔を出してマイクを握る。圓教寺の副住職だったか、以前の西国三十三所の先達委員会にいらした顔に見覚えがある(私の中では、元プロ棋士でトークの上手い神吉宏充さんが頭を剃った姿という印象)。「お待たせしました、今から豆まきです」と言うが、先ほど如意輪観音の星祭でさまざまな真言を唱えて祈祷していたのは、この神吉七段?である。
豆まきにはルールがある。説明によると・・・
・最初に枡に入った豆そのものをまくが、後は豆が入った紙袋をまく。なお豆は先ほど祈祷していたものである。
・豆は4人の年男が本堂内陣からまくが、参詣者は決して膝立ちも含めて立ち上がらないこと(怪我の防止)。
・紙袋は全部で8000袋あるが、半分の4000袋をまいたところで一時中断して、前後を入れ替える。その前後とは、外陣の中央に張った赤い紐の前と後である(紐は私が座った位置のすぐ前である。つまり、前半は後列の最前列で、後半はさらに前に行ける)。
・袋には、金の観音像への引換券が入っているのが1つ、銀の観音像への引換券が入っているのが2つある。他には紅白のお供え餅との引換券や、宝金として500円を最高とする硬貨が入ったものもあるという。
4人の年男が紹介される。芸能人というわけではないが、キンキサイン・山口会長、高岡病院・長尾理事長、AM神戸・森取締役、永井産業・永井会長という、地元の名士たちである。「豆をまいてほしかったら大きな声で名前を呼んでください」と神吉七段。
そして豆まきが始まると、もう堂内に歓声が響く。年男に声を出してアピールする人も多い。年男たちも豪快に豆袋をまき、前列だけではなく後列にも届く。神吉七段を含めた僧侶たちも応援でまく。空中の袋をダイレクトでつかんだのもあったが、多くは人々の間に落ちたものの争奪戦である。堂内でやや暗いこともあり、足元すぐのところに落ちていても案外気づかないものだ。
前後半合わせても10分くらいだったか。豆まきは終了し、堂内からは大きな拍手が起こった。気づけば私も35袋くらいを獲っていた。
その後、堂内で袋の中を確認するようにとのアナウンスがある。縁起物との引き換えはこの場でしかできないためである。あちこちで紙袋を開ける光景が広がり、歓声とため息が広がる。そのうちに金と銀の観音像の当たり札が出たとのアナウンスがあった。
私はといえば、宝金が計4枚、金額は165円だった。帰宅して豆の一部を枡に盛って宝金を乗せてみると、それぞれの硬貨もピカピカである。うーん、お守りというわけではないが、この硬貨は使うのではなく何らかの形で取っておきたいと思う。
西国三十三所めぐりの2巡目はこれでおしまいとして、ロープウェイ乗り場に戻る。予報どおり、境内には雨が落ちていた。
立春を前にした星祭、不動明王の護摩供、さらには豆まきということで、新たな年への活力になったと思う。また、西国も3巡目をやろうと思う。すでに中山寺で3巡目は始まっているが、3巡目は中先達への道となるし、先達の特典で無料でいただいた「西国曼荼羅」の八角形の色紙への朱印をいただくことになる。その意味でまだまだ楽しむことができるだろう。
またこれからも、よろしくお願いします・・・。