まつなる的雑文~光輝く明日に向かえ

まつなる兄さんのよしなしごと、旅歩き、野球、寺社巡りを書きます。頼りなく豊かなこの国に、何を賭け、何を夢見よう?

第24回四国八十八所めぐり~酒場詩人も訪れた「ふるさと」居酒屋

2019年02月17日 | 四国八十八ヶ所
87番の長尾寺を訪ねた後、駅すぐのことでん長尾駅から電車に揺られて瓦町に戻る。長尾寺の周りには歩き遍路向けの旅館もあり評判もよいそうなのだが、私のスタイルとしてはどうしても街中のホテルになってしまう。また翌日は結願ということで前祝もしたいし・・・と理屈をつけてみる。

瓦町駅でコインロッカーからバッグを取り出して歩く。高松市の繁華街に当たるがまだ15時を回ったところでそれほど人出もない。そんな中で入ったのはライオン通り。なぜライオンなのだろう。通りの北の突き当りに百貨店の三越があるからなのかと思っていたが、かつてこの通りに「ライオンカン」という映画館があったことからだそうだ。

この日宿泊するのはライオン通り商店街から少し入ったホテル川六エルステージ。かなり前に一度宿泊したことがあるが、今回は高松の繁華街に近いところで泊まってみようと予約していた。建物は本館、エルステージ館、禁煙館と3つに分かれていて、今回泊まるのは禁煙館である。部屋は小ぶりだがシングルルームとしては十分だ。

時間はまだ早いが、ライオン通りにはさまざまな飲食店が集まっていて店選びには不自由しない。何か郷土料理の店があればと歩く中で、瓦町寄りに「ふるさと」という店を見つける。店の前で「今からでも入れますよ」と女将さんに声をかけられたのでその日の口開け客として入り、カウンターに通される。

「今日はホテルの割引券をお持ちか、ご紹介か何かですか?」と尋ねらる。割引券は持っていないが川六に泊まっている旨を告げると、現金扱いで10%オフにするとのこと。その後でメニューの中から本日のおすすめをあれこれ案内してくれる。そうするうちに次々と客が入ってきて、カウンター、上がりも結構賑わってきた。この後は満員御礼となった。先の問いかけにはホテル泊と答えた人もいれば、地元という答えもある。県内外で知られた店というのかな。

まずは魚をということで、造りの盛り合わせをいただく。この日はオリーブハマチ、かつお、サザエの三種。オリーブハマチは香川県の木であるオリーブの葉を餌にまぜて育てた養殖のハマチで、オリーブに含まれるポリフェノールの効果で肉の酸化や変色を抑えることができ、さっぱりした味わいが得られるという。変な脂臭さがないのもよい。それにしても四国は柑橘系の果実を利用して養殖したブリやハマチ、タイが目立つ。各県ごとにすだち、ゆず、みかん、そしてオリーブと、それぞれ木が違うのも特徴である。

店の看板メニューは讃岐コーチンを使った骨付鳥という。最近では高松市内でも扱う店が増え、先ほど乗った長尾線の駅近くや、このライオン通りにも店を見かける。その中で讃岐コーチンとはブランド鶏のようだが、ちょっと値段が張るので迷うところだ。

その代わりというわけではないが、この日は「裏メニュー」で讃岐コーチンの朝取れ生レバーがあるとのことで、そちらを注文する。今は牛の生レバーの提供が禁止されていて、生レバーなら鶏肉となるのだがどこの居酒屋にでもあるものではない。「新鮮ですがなるべく早く召し上がって」と勧められる。結構濃厚な味だ。

また焼き魚もお勧めとのことで、いくつかある中から「びんぐし」という初めて接する名前の魚を選ぶ。ご主人が「こういうやつです」と見せてくれたびんぐしは、セトダイという名前のある瀬戸内の魚で、イサキ科に属する。びんぐしという名前は、背びれが女性の日本髪に差す櫛の形に似ているからだとか。やって来た一品は身が締まっていて、塩味もほどよく効いていた。しっかり身をほぐしていただく。

これらに相対するのは観音寺の「川鶴」。枡でいただく。

続いては綾川の「綾菊」の冷酒。綾菊は香川でもポピュラーな銘柄だが、この一品は10年ほど前に香川大学、香川酒造組合、農協が共同開発した酒米「さぬきよいまい」を使ったもの。香川オリジナルの酒である。

さまざまなものをいただき、これで翌日の結願に向けて景気づけとなった。案内の通り、会計は1割引き、さらに10円単位は切り捨ててくれた。その会計の際、入った時は気づかなかったがあの「酒場詩人」・吉田類さんの2枚の色紙があるのが目に入った。後で「酒場放浪記」のサイトを見ると、高知県出身ということで、また飲みどころとして地元高知の店は多く紹介されているが、他の四国3県は八十八所めぐりと絡めての訪問である。昼に寺参り、夜は酒場めぐり・・・ええやないですか。四国八十八所めぐりの「夜の部」を「夜の八十八所めぐり」などと言って居酒屋で楽しんでいるが、やはり「先達はあらまほしきものなり」、である。ここ「ふるさと」は事前にチェックしていたわけではないが、酒場めぐりの大先達である吉田類さんも訪ねた名店だったとは、何かのお導きだろう。

まだ時間が早いのでアーケード街をぶらつく。高松のアーケード街の総延長は2.7キロと意外にも日本最長なのだという。そのシンボルがクリスタルドームだ。他にも大衆酒場あり、また高松に来ることがあればのぞいてみたいものだ。

締めはうどんということで、「うどん市場」にてつけぶっかけうどんをいただく。うどん店でありながらビールあり、地酒の飲み比べあり、しょうゆ豆などのつまみや骨付鳥まである店(さすがにアルコールは飲まなかったが)。

ホテルに戻り、大浴場にてリフレッシュする。いよいよ翌10日は結願に向けて大窪寺に行く。その前にしっかり眠ることに・・・。
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