まつたけ秘帖

徒然なるままmy daily & cinema,TV drama,カープ日記

気高く咲いて美しく散る

2014-09-24 | 北米映画 20s~50s
 神戸で起きた恐ろしい事件…
 何の罪もない、いたいけな幼子がまた…殺されただけでなく、バラバラにされてゴミのように棄てられるなんて。非道い。むごい。他人の私でさえこんないたたまれない気持ち、憤りをどうしようもないのに、被害者の遺族の悲しみ怒りはいかばかりか、察するに余りあります。
 小さい子どもに、どうしてあんな残酷なことができるのでしょうか。容疑者の男にもし、噂通り刑事責任を問えないことになれば、絶望の闇はますます深まることになるでしょう。
 被害者の女の子が、もし友だちの家で遊べていれば。もし独りで外をウロウロしていなければ。今さら詮のないこととはいえ、やはり悔やんでしまいますよね。
 すべての子どもが安全に幸せに暮らせる世の中なんて、やはり幻なのでしょうか…
 被害者のご冥福を、今は祈るだけです…

 「マリー・アントワネットの生涯」
 オーストリアの皇女マリー・アントワネットは、胸ときめかせながらフランス王太子に嫁ぐが、夫の愚鈍さや義父ルイ15世の愛人デュバリー夫人からのいやがらせなど、失意と忍耐の日々を強いられることに。退屈と虚しさを紛らわすため、贅沢な遊びに耽る彼女だったが、スウェーデン貴族のフェルゼンと出会い、初めての恋を知り…
 世界史上、最も有名な女性のひとりであるマリー・アントワネットをヒロインにした映画や舞台、小説、漫画は、枚挙にいとまがありません。私も子どもの頃、「ベルサイユのばら」の漫画とアニメをM子と一緒に楽しんだものです。多くの日本人女性にとって、ベルばらこそがマリー・アントワネットのイメージを確立したといっても過言ではないのではないでしょうか。

 国民の塗炭の苦しみをよそに、贅沢ざんまいの享楽に耽った悪女?それとも、歴史に翻弄された悲劇のヒロイン?ざまあ!と可哀想!が混濁した、起伏の激しすぎるゴージャスでドラマティックすぎる彼女の人生が、多くの人々を魅了するのでしょうか。すべてを手にして、すべてを失う女。大した悲しみも喜びも、不幸も幸福もない平々凡々すぎる私などからすると、アントワネットの生涯は同じ人間のものとは思えない、ほとんどファンタジーの世界です。この映画のアントワネットは、ただもう無邪気で可愛らしく、そして可哀想なヒロインとして描かれています。彼女がもうちょっと分別があってズル賢い女だったら、あんな悲劇的な末路をたどることはなかったんだろうな~。無邪気な天使も、度が過ぎたらただのバカ女…ということを、あらためて思い知った。人はいいけど、愚かすぎる。そんな女に富と権力が与えられてしまったが、悲劇の発端です。時代も悪かった。それにしても…中世のヨーロッパの血なまぐささときたら。イギリスも怖いけど、フランス革命も血みどろすぎる。まさに地獄のレボリューションですよね~。あの時代の王族貴族に生まれなくてよかった…ギロチンなんて、想像しただけでもゾゾゾのウゲゲです。

 お話じたいは、古き佳きハリウッドのクラシック映画らしく、ひたすら典雅で甘美なメロドラマ。アントワネットとフェルゼンの恋も、あくまで切ない純愛。決して不倫としては描かれてません。現代の映画にはない柔らかで上品な雰囲気が好きです。あまりにも悲惨なラストには、観る前から分かっていることとはいえ、やはり気が滅入ります。何とかならんかったんかい、と。悲運なアントワネットですが、でも国民側からしたら殺しても殺したらぬ唾棄すべき悪人なんですよね。蜂起する国民が、ヒロインに襲いかかる無知で傍若無人な野蛮人になってたのが、ちょっと気になった。あんな無能な王や欲深い貴族、打倒されて当然なのに。
 お話よりも、衣裳やセットの美しさ、精密さに魅せられました。マリー・アントワネットのドレスや装飾品が、目に楽しいです。カラーだったら、さぞや華やかな映画だったことだろうけど、モノクロならではの美しさも。それにしても…一度でいいから、あんなドレス着てみたいな~。でも、日本の十二単とかもそうですが、実際は大変そう。寝る時以外はずっとあんなカッコしてなきゃいけないってのも、相当しんどかったことでしょう。
 マリー・アントワネット役は、30年代にハリウッドで活躍した伝説の女優、ノーマ・シアラー。

 ちょっと演技がオーバー(今にも歌い出しそうなミュージカル風)だったけど、優雅で柔和な美しさは、現代の映画界にはいない絶滅種の女優。怖い者知らずな天真爛漫な娘時代から、急転直下で不幸のドン底に堕ちる晩年までを、気品高く熱演してました。ラストの処刑シーンのみじめさ哀れさは、なかなかの名演です。投獄される時、引き離されて連行された侍女が、民衆に何か非道いことをされるのを、塔の窓から見ながら絶叫するシーン…いったい、何を目にしてしまったんだろうと戦慄!
 フェルゼン伯役のタイロン・パワーは、美男子ですが時どき東八郎の息子に似て見えたルイ16世役のロバート・モーリーが、ルックスといい演技といい、いい味だしてました。見た目は、上品になったドランクドラゴンの塚地って感じ?ルイ16世の、愚鈍だけど心優しい不器用なキャラが涙を誘います。王さまなんかに生まれなかったら、きっとちょっと変わり者な善人として愛され、幸せな人生を送れただろうに…
 それはそうと。アントワネットと引き裂かれた幼い息子が、両親の処刑後どうなったのか気になって、ちょっと調べてみたのですが…ガーン悲惨すぎる末路じゃん!?ある意味、両親より悲劇的ですよ。無残や~
 ベルばら、再読したくなってきました~アンドレ、好きなキャラなんですよね~
コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

まっさかさまに堕ちてDesire

2013-03-04 | 北米映画 20s~50s
 my motherの友人S藤さんが、いま受難続きなんだそうです。
 S藤さんには二人の娘さんがいるのですが、長女は既婚男性と恋愛の果て略奪婚。しかし、前の奥さんが残していった連れ子が年頃の思春期ガールで、まったくソリが合わず陰湿な継母VS継子の争いの毎日なのだとか。そのことが原因でS藤さんの長女は、怪しげな新興宗教にハマってしまい、お布施するお金がないのでS藤さんにオネダリに来るのだとか。さらに、次女の夫がリストラの憂き目にあうなど、かなり深刻な不幸モード。落ち込むS藤さんに、さらなる災厄が。疲労骨折で入院してしまったのです。もう呪われてるとしか言いようがない。お祓いレベルですよねえ。
 不幸や不運に襲われないようにするには、いったいどうすればいいのでしょうか。常に気を引き締めて、慎重に用心深く生きれば防げるのでしょうけど…そうすると、幸福や幸運とも出会えなくなってしまいそうです。

 特選!恐怖の大女優映画祭④
 「欲望という名の電車」
 南部の名家出身だが落ちぶれて身を持ち崩したブランチは、ニューオーリンズに住む妹ステラ夫婦のもとに転がり込む。ステラの夫スタンリーは、ブランチの存在を疎ましく思うが…
 映画史上最も有名なヒロイン、「風と共に去りぬ」のスカーレット・オハラも、ある意味相当なイカレ女でしたが…同じくヴィヴィアン・リーが演じて2度目のオスカーを受賞したこの作品のヒロイン、ブランチも壮絶強烈すぎ。ほとんどホラーなのです。

 汚れた過去を隠し、妹ステラのもとに身を寄せるブランチ。没落したくせに、出自の良さと教養をひけらかす彼女に対し、反感と敵意をムキだしにするステラの夫・スタンリー。激しい衝突の繰り返しの果てに待ちうける、悲惨な結末…
 あまりにも有名なテネシー・ウィリアムズの舞台劇、登場人物たちのヒステリックな激情のぶつかり合いは、思わず息をのんで見入ってしまう迫力です。
 ブランチという女、確かに突然家に転がりこまれたら、イライラするし神経に障ることはなはだしい女だけど、でもあそこまで冷酷で陰湿な仕打ちを受けるなんて、可哀想すぎます。嘘と虚勢で全てを塗り固め、自分をきれいに見せようと狂奔する女の、醜悪で哀れな姿が痛々しい。仮面を剥ぎ取られ、人間として耐えられない屈辱を受けたブランチが迎えたラストは、哀れ極まりありません。

 乱暴者だけど、根は正直で、無教養な移民の子という劣等感を拭えずにいるスタンリーの、ブランチの高慢さや虚飾に反発する気持ちも理解できないこともない。老いた神経症メス犬と、若い野卑なオスゴリラがひとつ屋根の下。平和に暮らせるわけがない。2匹がキャンキャン!ウキキキー!と罵り合う姿は、目と耳を覆いたくなるほど壮絶なのです。
 何といっても、ブランチ=ヴィヴィアン・リーの、超絶コワレちゃった演技が圧巻!怖い!イっちゃってます。彼女ってホント、ボーン・トゥ・ビー・更年期障害女優。スカーレットに、性の生々しさと狂気が加わったブランチは、女優なら誰でも挑戦してみたい、でも誰でもできるわけではないヒロインではないでしょうか。
 そして、スタンリー=マーロン・ブランドの、クールな野獣ぶりときたら!丸太のような太々とした腕。ぶ厚い胸板。汗に濡れたTシャツ。これでもか!とセクシー・フェロモンを発散しています。男くさいけど、決して濃っ!ではなく、あくまでクール&シャープ。こんなにイカした野獣が、数十年後には正視に耐えられない妖怪デブ爺と化すと、当時のブランドに魅せられた人々の中で、いったい誰が予測できたでしょうか…
コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

女が夜叉になる時

2013-02-28 | 北米映画 20s~50s
 ぐわー!!や、やっちまっただよー!!ああ~死にたい… 
 今日は休みだったので、昼過ぎまで寝てました。いつもの休日どおり、おとなしく部屋でダラダラ引きもってりゃいいものを、天気もいいし、独りドライブでもしよっか♪なんてウカウカと出かけてしまったのがウンの尽き…
 途中、路駐してDVD返却しにフ○バに寄り、ついでに週刊誌を立ち読みして店を出ました。車に乗り込んでイザ出発♪しばらく東方神起の歌なんか口ずさみながら運転していると、ん?フロントガラスに何かある?風に揺れてる不吉なもの…げぇ!?こ、これは!?慌てて車と停め、その物体を恐る恐る確かめる私。ああああ~何かの間違いであってほしい!でも間違ってませんでしたそれは確かに、駐車禁止の張り紙なのでした
 ああ~フタ○なんかに寄らなければ!いや、外に出かけなければこんなことには!と、悔いても詮無きこととはいえ、やることなすこと裏目に出ることが多い最近の自分が嫌です。なるべく動かない、喋らないように本気で努力する所存です。
 ああ~でも罰金、イタイわ。罰金払う金があれば、おいしいもの食べて漫画とか大人買いできるのに…くすん 

 特選!恐怖の大女優映画祭③
 「女相続人」
 19世紀のワシントン。富豪の娘キャサリンは内気で不器量ゆえに、冷厳な父に愛されず育った。そんなキャサリンの前に、モーリスという美青年が現れ…
 “侮辱も嘘も、愛があれば許せる。だが…父も恋人も、私を愛してはいなかった!”
 何という心ソソられる惹句(キャッチフレーズ)でしょう。聞いただけで、どんな壮絶な愛憎劇が繰り広げられるのか、ワクワクしてしまいました。

 ヘンリー・ジェームズ原作の小説が舞台化され、さらにそれを名匠ウィリアム・ワイラー監督が映画化。ワイラー監督作品なので、あくまで古き良き時代の、上品で典雅なハリウッド・クラッシックテイストですが、内容はかなりシビアで残酷。代表作のひとつ「偽りの花園」等、優雅な雰囲気の中にも、女の内面に巣食う陰湿さを、ワイラー監督は見事に描いていますが、この映画でオリヴィア・デ・ハビランド演じるヒロインが見せる醜悪で哀れな女の業も、壮絶なのです。

 不器量・不器用で、実父からも周囲からも見下され続けてきた娘が、愛して信じきっていた男さえ、実は彼女の財産目当てだと分かった瞬間から、顔つきも声も性格もすべてが別人のように変貌。愚鈍で心優しい娘が、感情を殺した冷酷無情な女に生まれ変わり、鬱積された憎悪を音のない火山のように噴火させ、自分を蔑み傷つけてきた父に、再び近づいてきた男に、冷徹な復讐を遂げる姿が、哀しくも恐ろしい。ラストでデ・ハビランドが見せる歪んだ、そして虚しすぎる微笑に、ゾッとするほど女の恐ろしさ・まがまがしさを感じさせられます。

 モーリス役のモンゴメリー・クリフトの翳りのあるワケアリ美男ぶりも、この映画の見どころです。
 「風と共に去りぬ」のメラニー役が有名なデ・ハビランドですが、この作品での名演で2度目のオスカーを受賞。第75回アカデミー賞授賞式に現れた、90を過ぎたデ・ハビランド婆様は、すぐ近くにドクターが待機しているに違いないと思わせるお姿でしたが、ご存命だったのは本当に嬉しい驚きでした。
 余談ですが…今年オスカーにノミネートされた今をときめく女優、ジェシカ・チャステインが最近ブロードウェイの舞台でキャサリン役を演じ、好評を得たようです。
コメント (4)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

女の道は一本だけじゃない

2009-02-27 | 北米映画 20s~50s
 韓ドラとかでよく見る、運命の出会いとか再会とか、絶対ありえねぇ~!なんて嗤ってる私ですが...いや、そうバカにできないかも、と思う今日この頃...
 先日も、広島市内の路上を歩いてると、向こうから前の職場の上司が!ひ~この世で二度と会いたくない奴ワースト5には必ず入る人だよ!何でこんな所で~この人と~とっさに得意技である忍法ものかげ隠れで、彼が通り過ぎるのをハラハラしつつ見届けたのでした。
 そのとき一回かぎりだったら、まあそんな偶然もあるさで済むことなのですが...昨日、仕事帰りに地元の商店街でも彼を目撃!ガビョーン!これって何?!運命?!怖い!
 逢いたい人には、どんなに願っても祈っても、待ち伏せしても逢えないのになあ。イヤな偶然は頻繁なのに、いい偶然はまったくない。これが私の運命なのでしょうか...
 
 「恋愛手帖」
 ジンジャー・ロジャースがアカデミー賞主演女優賞を受賞した、1940年の女性映画。
 大恐慌時代のニューヨーク。化粧品店の店員キティは、貧乏だが誠実な医者マークにプロポーズされる。同時に、元夫で名門の子息ウィンが現れ、よりを戻したいと迫ってくる。心揺れるキティの選択は...
 回想とモノローグで、歩んできた道を振り返り、自己を見つめ直す若い働く女性の姿を描いた作品。当時のアメリカ社会や生活の様子が、なかなか巧みに背景に取り入れられています。
 キティ、かなり壮絶な不幸を経験するのですが、じめじめメソメソしたところが皆無で、いつだって明るく気丈なところがまさに強いアメリカ女って感じ。誰かのせいにしたり恨んだり悔やんだりせず、that's my lifeと静かに言い聞かせてるような姿や、古い偏狭な価値観に迎合したり卑屈になることなく、誇り高く自己主張する意志の強さなど、女性の社会進出や自立、フェミニズムが謳われ始めていた当時らしい、女性はかくあるべき!なキティのキャラです。
 明るく利発で強いキティですが、結局は女の幸不幸は男しだい、というのが物語の核にあって、ちょっと残念。でもま、男なんか!とギスギス警戒することで無傷な人生を歩むよりも、愛した愛されたことで負った傷の多い人生のほうが、豊かで幸せだよなあ、とも映画を観ながら思ってしまった私。田嶋ヨーコ先生、すんません♪
 オスカーを受賞したジンジャー・ロジャース、この作品で初めて彼女を見たのですが、そんなに美人でも可愛くもないけど、明るくて快活でちょっとコミカル、だけど頭が良くて気が強い、という典型的な素敵アメリカンガール、なキャラ&見た目で、すごく好感がもてます。フレッド・アステアとのコンビ映画も観たくなってきた。
 キティ役、今だとさしずめ、リース・ウィザースプーンとかエイミー・アダムスが演じるようなヒロイン?シャーリーズ・セロンとかだと、この金髪豚野郎!と男を殺しかねないので、不適切かも
 それにしても、ウィンが超ムカつく男!キティと二人きりの時は、甘~い熱~い愛の言葉を浴びせ、夢のような約束をしまくるのに、いざという時は曖昧で頼りない。あっさりキティと離婚するし、すぐ再婚して子供もできたのに、再会したキティに厚かましくもまた...いつの時代も古今東西、いるいる~こんな男。ほんと、死ね!な男です。キティもさあ、こんな男いつまでも未練たらしく想ってないで目を覚ませ!とイライラします。
 ウィンもマークもあんましイケメンじゃなかったのが、かなり減点ポイントかも。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

私がオバハンになっても

2008-07-27 | 北米映画 20s~50s
 「偽装の女」
 キャサリン・ヘプバーン主演のコメディ。
 自分を振った男が、10年ぶりに自分の前へ現れる。美しく装って若返ったヒロインは、自分の姪と偽って男に接近するが...
 1937年の作品なので、すごくゆったりムード。でも内容はかなりドタバタしてます。違う女のフリをして、バレないようにアタフタと忙しく奔走するヒロインの姿と、彼女を助けたり正体を暴こうとしたりする脇役の助太刀や余計な干渉が、なかなかコミカルで笑えます。
 よく考えてみれば、実に他愛もない話で、いい年をした大人が何やってんだろ、と呆れてしまう暢気で暇人な連中なんですが、古き佳き時代の悠長さ鷹揚さって、現代人が失った優美さがあるので、私は好きなのです。
 おばはんになった私なんか...とショゲてたヒロインが、若作りに成功し男たちにモテモテとなり、キャピキャピと調子こく様子に、今も昔も、特にアメリカという国では、女は若くないと価値がない!なんだなあ、と苦笑い。若いだけキレイなだけで驕ってる女よりも、若くなくとも中身のある女のほうがいい、というハッピーエンドは、かなりステレオタイプ。現実では、そんな風に女を見てくれる賢明な男はいない...というのが、女のエイジングよりも由々しき問題なのかもしれません。
 キャサリン・ヘプバーンの“一人二役”が楽しいのですが、地味な本物の時も派手な偽者の時も、ほとんど同じじゃん?なのが、ちょっとネックなんですよねえ。誰にも気づかれないほどの別人には見えんぞ。キャラは、よくそこまで変われるなあ、二重人格?と思ってしまうほど別人格なのですが。本物の時は、すごいブスメイクとかすればよかったのに。それか、秘密のアッコちゃんちっくに魔法のコンパクトか何かで別人に変身する設定で、違う女優が“二人一役”で演じ分けるとか。
 え~?!だったのが、経営している小学校での授業で、ヒロインの姉が14+17ができなくて、こっそり妹に教えてもらうところ。幼稚園児でも答えられる足し算もできない先生、いやだ~!
 蛇足ですが...私、そんなにたくさんクラッシック・コメディ映画を観てるわけではないのに、明るくて流麗な音楽が何か耳なじみなんだよな~と思ったら、そうだ!トムとジェリー(いちばん最初のオリジナル版)の音楽と同じ感じなんだ!と合点。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

槿花一朝のステージ

2008-07-23 | 北米映画 20s~50s
 「勝利の朝」
 キャサリン・ヘプバーンのオスカー初受賞作。
 舞台女優を夢見て田舎からニューヨークにやってきたエヴァ。苦い経験を経て、大きなチャンスを掴むが...
 1933年の作品(75年も前!)なので、今のせわしなく殺伐とした映画とはノリも雰囲気も異なります。ゆったりさを楽しめるか、かったるさに眠くなるか、クラッシック映画って、そのどっちかなんですよねえ。この映画は、まあ辛うじて私にとっては前者でした。1時間半もない短さが良かったのかも。
 基本は、ヒロインのサクセスストーリーなのですが、朝に咲いて夜に凋む朝顔(原題のモーニンググローリー)に例えられた、女優の栄光の光と影が主題になっているようです。華やかに咲いたら、あとは枯れるだけの花=女優の宿命。悲しいけど、いろんな経験や感情や関係を糧にすることもなく、一度も花を咲かすことなく朽ちるよりは、羨ましい人生でもあります。
 サクセスストーリーとはいえ、小気味よい痛快さは全然ありません。エヴァが、ちょっと変、ていうか、かなりイタい女なんですよねえ。私は天才!とスゴい自信過剰で、演劇関係者と見れば近づいていって、自分をアピール。そのアピールの仕方が、厚かましい上に自分世界に浸りきった夢見る夢子ちゃん全開で、みんなウンザリor引きぎみ。プライドも異常なまでに高く、仕事がないのに○○(有名な作家とか俳優)から連絡がとか約束がとか、大風呂敷な虚言しまくり。さらに、招待されてないパーティにもやって来て酔った挙句、みんな見て!と独りでシェイクスピアを演じ始めて、ますますウザがられる始末。一夜を過ごしたプロデューサーには、ストーカー一歩手前になったり。めちゃくちゃKYで思い込みが激しいところもイタすぎます。ちょっと、いや、かなり病的な感じがして怖い。でもまあ女優って、これぐらいのエキセントリックさ、ちょっと破綻したところも必要なんだろうなあ。
 誰にも相手にされず、うらぶれてたエヴァですが、なぜか彼女に恋をしていた若い作家に助けられ、ついに!な展開は、かなり都合がよすぎます。結局、才能よりも運!という事実が、何だか皮肉です。
 当時24歳のキャサリン・ヘプバーンが、当然ながら若い!ぜんぜん美人じゃないけど、颯爽と力強い演技はスゴい吸引力。シャープで理知的だけど、ふとした瞬間に狂気の淵をのぞきこんでるようなヤバい目や表情をするところに、素晴らしいなあと感嘆してしまいます。
 
 
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

チャンスは泥の中にある

2008-01-16 | 北米映画 20s~50s
 一昨日は成人式でしたね。私も来年に向けて、今から十二単を新調しなくては♪
 冗談はサテオキ。今年は例年よりも、おとなしめだったみたいですね。ほとんど季節の風物詩になってたので、ある意味ちょっと寂しいかも。まあ、暴れられて被害を一度でも蒙れば、そんなノンキなこと言ってられないんだろうけど。若い子も、クールになったってことでしょうか。人に迷惑をかけるのはよくないけど、元気なヤンチャ魂が若者にないのも、何だか寂しいですね。若い頃に、もうちょっとバカやっとけばよかったなあと、つまんない大人になっちまった私は後悔してるので...

 「渇いた太陽」
 スターを夢見てハリウッドへ行った青年チャンスが、落ちぶれた元大女優アレグザンドラを伴って、故郷である南部の田舎町に戻ってくる。町を支配する政治家フィンリーに昔、彼の娘ヘヴンリーとの恋を裂かれたチャンスは、彼女を取り戻すことと、アレグザンドラを利用して成り上がることに躍起になるが...
 テネシー・ウィリアムズ原作らしく、ドロドロで醜悪な人間関係が怖くて面白い。登場人物はみんな、破綻し荒廃しています。心をえぐる残酷でキツい台詞で、愛憎や欲望、虚栄や偽善欺瞞をぶつけ合い暴き合う彼らに、ほんと人間って醜い、救いようがないと暗澹となります。
 夢も希望も愛もブチ壊す、エグい内容なのは相変わらずですが、同じテネシー・ウィリアムズの「欲望という名の電車」とか「熱いトタン屋根の猫」とかみたいに、ヒステリックで狂った病的パラノイアな感じは、あまりない。悲惨だけど、悪夢が醒めたようなラストは、どちらかといえばハッピーエンドだったのも、意外でした。
 スターを夢見る人は、観ないほうがいい映画かも...自分を殺して身も心も汚しきっても、夢がかなうとはかぎらない。アレグザンドラがチャンスに吐く悪罵や侮辱に含まれた、彼の夢や自信どころか人格まで破壊する、毒のような現実!言われたら自殺ものな酷さです。たぶん、チャンスと同じような状況でもがいてる役者の卵って、いっぱいいるんだろうなあ。
 チャンス役のポール・ニューマンが、めっちゃカッコカワイイです!
    
 当時37歳(より、若く見える。なので、たぶん20代後半の役だけど、違和感なし)男盛りの魅力と色気!ほとんど男娼に堕ちながらも、スターになる夢を諦めきれず、ヤク&アル中のアレグザンドラをたぶらかし、彼女の醜態をネタに脅したりと、得られないものを得ようと悪あがきする人間って、ここまで卑劣になれるのかと呆れさせるチャンスを、ニューマンがすっごくセクシーかつ可愛く演じてます。
 逆境で戦うクールに屈折した男の役が多いニューマン。チャンスもかなり屈折してるけど、暗くない。こんなに明るく感情豊かなニューマン見たのは初めて、と思えるほど。すっかり歪んで汚れちまってるとは思えないほど、チャンスの夢見る瞳や笑顔は、キラキラしていてチャーミングです。
 それと、やたら上半身裸になるニューマンの肉体美にもうっとり。筋肉質な鋼のナイスバディで、アレグザンドラじゃなくてもハァハァになっちゃいます。でも、美しい肉体も、女の欲情を満たす道具としてしか役立たない、扱ってもらえないところが、みじめで哀れなチャンスです。
 チャンス役、今やるとしたら?年齢的ヴィジュアル的には、ポール・ウォーカーかジェームズ・フランコがいいかも(10年前なら、マシュー・マコかな)。特にフランコくん、屈折感やモゴモゴした声、肉体美など、ポール・ニューマンのチャンスと少し被るので、ぜひ挑戦してほしいな。日本なら、妻夫木聡がいいかも。エロ可愛さを活かせる絶好な役だ!来年NHK大河ドラマでやる似合わない戦国武将の役より、よっぽど適役だと思うけどなあ。
 アレグザンドラ役は、名女優の故ジェラルディン・ペイジ。その醜態っぷりが、何か滑稽で笑えます。青二才のチャンスなどに脅されても、屁とも思わず彼をいいように扱うしたたかさや、もう私ダメ~!あんたしかいないの~とチャンスにすがってたのに、新作映画が絶賛されてると知ると、ウザ!あんたはただの男娼、もう用はないんだよ!とばかりにチャンスを邪険にし始める変わり身の早さとか(ベッドでウキウキと朗報を電話で聞きながら、僕をプロデュースする話どーなってんだよ!と哀訴するチャンスに、あっちいけ!と蹴りをくらわすシーン、笑!)、まさにザ・女優な因業ぶりです。
 フィンリー役で、アカデミー助演男優賞を獲得したエド・ベグリー。そのアクが強くエゲツないけど豪快な演技が、強烈です。あんな政治家、絶対イヤだー!
 平和な南部の田舎町と、華やかなハリウッド。明るく健康的で強くて栄えている、というイメージの裏に隠された、アメリカの病巣や暗部を暴くテネシー・ウィリアムズの作品、好きです。
 
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

極楽逆噴射家族

2007-06-19 | 北米映画 20s~50s
 実録・乙女の事件簿~悪夢の整体!“若先生の手が私の...”~(後編)
 頼まれもしないのに、受付の観葉植物の枯葉を摘み、手入れがなってないと文句を言いながら、おもむろにトイレに入るオバハン。次の瞬間...ブッブブブブリブリ!トイレから聞こえてくるイヤな爆音に、ゲゲゲゲエ~!ありえな~い!ショック状態の私に追い討ちをかけるように、オバハンがトイレから出てきたと同時に、サリン級の猛毒ガスのごとく、強烈な臭いが...
 受付嬢に名前を呼ばれ、診察室へ向かう私の足取りは、聴覚と嗅覚への凄まじいダメージのせいで、フラフラ...
 電気マッサージ中も、隣のベッドで先生に診てもらってるお婆さんは、チ○コの玉や袋がどーのこーのと、年甲斐もなく嬉しそうに下ネタ猥談してるし。
 ああ~最低限の恥じらいや慎みを忘れたら、もう女としてはthe endだなあと、あらためて思い知ったのだった。ほんと、気をつけねば...

 「我が家の楽園」
 名匠フランク・キャプラ監督、1938年アカデミー作品賞受賞の名作。
 土地開発を進める冷徹な実業家カービー氏。彼の一人息子は、立ち退きを拒否しているヴァンダーホフ老人の孫娘と恋仲。お金よりも自由と夢を大事にして暮らす、風変わりだけど明るく愉快な一家との出会いが、やがてカービー氏を変える...
 キャプラ監督作品らしく、性善説に則った、明るく楽しい心温まる佳作でした。
 ヴァンダーホフ一家のキャラと暮らしぶりが、かなりブっとんでて笑える、というより、何なんだコイツら?!な奇人変人大集合で、ちょっと怖い。
 ヴァンダーホフ爺ちゃんは早くに勤めを辞めて、のんびり趣味に生きてる。その娘は一日中タイプライターに向かって劇を書いてる。地下室では、娘の夫と居候たちが日がな一日花火を作ってる。孫娘の妹のほうは、いつでもどこでも踊り狂ってて、その夫も妻の踊りに合わせて木琴を弾きまくり。老人は居候を気軽に増やすし。みんな好きなことして楽しそうだけど、生活費はどーしてんの!?立派な屋敷に住んでるけど、別に大金持ちってわけではなさそうだし。娯楽や食事はケチらず、でも納税は拒否だなんて!国民の義務は、ちゃんと果たしましょう...
 明るく楽しいのはいいけど、あんなにハイテンションでドタバタにぎやかな家、落ち着かないなあ。私なら、1時間もいられないかも。
 アナーキーなまでに陽気なだけでなく、とってもデンジャラスなヴァンダーホフ一家。だって地下で花火の実験してるし!ついに爆発して、外の路上にまでバンバン飛び火してるシーン、怖っ!近所の人たち、大喜びしてたけど、危ないよ~!死傷者が出なかったのが、不思議。絶対隣には住みたくない、危険で迷惑な家族です。
 騒動に巻き込まれて、一家共々ブタ箱にブチこまれてしまうカービー氏が哀れ。傲慢不遜な金持ちカービー氏に、ついキレてしまったヴァンダーホフ爺さんがぶつける非難の言葉が、キッツ~い。あんたは父親、いや人間失格!あんたが死んでも誰も泣かないだろう、とか、完膚なきまでにカービー氏を凹ます。いくら何でも言いすぎ!ひどい!けど、お詫びとして爺さんがカービー氏にあげたハーモニカが、後で小粋な結果をもたらす素敵な小道具に。
 良い意味でアメリカ的おめでたさ全開のハッピーエンドも、明るく温かい後味。
 ヴァンダーホフ老人役ライオネル・バリモアは、なぜか今アメリカ一の美女なドリューのお祖父さん。やっぱ、どことなく似てるかも?
 孫娘の恋人役ジェームズ・スチュアートが、わ、若い~!ひょろっとした長身と、頼りな~い感じの優しい顔が、可愛いです。
 あと、居候のおじさんが作ったウサギのオモチャとか、おとなしく原稿の文鎮代わりに使われているネコが、めちゃくちゃ可愛い!
 同じキャプラ監督作品なら、私は断然「或る夜の出来事」と、ジェームズ・スチュアートとライオネル・バリモアも出てる「素晴らしき哉!人生」です。どっちも、私の生涯best movie トップ10には確実に入ります。
コメント (6)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

春休みは終わった

2007-04-05 | 北米映画 20s~50s
 花見に行く前に、もう散ってしまいそうな桜。
 ひと気のない小公園を横切る帰宅途中、ざわわと強い風にさわぐ夜桜のように、そぞろ妖しい胸騒が...有名な小説ではないけど、桜の樹の下には、何か怖いものが埋められているような気がして...
 バカバカしい。わざと陽気に歌など歌いながら、歩を早める私。桜 桜 いつまで経っても来ぬ人と 死んだ人とは同じこと~♪って、は!?誰か、いや、何かいる!?一瞬、すごい悪寒を背に感じ、はっと振り返る私。無人の暗闇が広がるばかりなのに、誰かに見られているような感覚。あ、あわわ。幽霊とか妖怪ならいい。痴漢や通り魔はイヤー!!と、怖くなり急いで公園を出たのだった。その不審な様子は、私のほうこそ公園に死体でも埋めたんじゃないか、と疑われそうな形相だったことでしょう。まこと、春の夜は、あやしかりけり...

 「素晴らしき休日」
 キャサリン・ヘプバーン&ケーリー・グラント主演のコメディ。
 陽気で無欲な主人公が、結婚を承諾してもらうため、恋人の実家を訪ねる。想定外の大邸宅に、初めて恋人が大金持ちの令嬢だと知り、驚く主人公。彼の天衣無縫な人柄に、上流社会の偽善や体裁にウンザリし窮屈していた恋人の姉は、心惹かれてゆくが...
 殺伐した気分の時に、優雅で楽しい往年のハリウッド・クラッシック喜劇を観ると、何だか心がほぐれます。
 恋人の実家は、まさに華麗なる一族って感じ。広々と迷子になりそうな大邸宅。ピパピカの大理石。長い典雅な装飾の階段。エレベーターまであるし。家族の人数より多い、恭しい使用人。食事のたびに、正装に着替えたり。メンドいなあ、掃除が大変だろうなあ、なんてことが気になる私、悲しき庶民...
 とにかく、邸宅のセットが美事だった!オスカーの美術賞を受賞したとか。納得。
 金に執着せず、自由な人生を何よりも求める主人公が、目の前にブラ下げられた富や地位にも屈せず、自分を貫くところが、爽快でカッコいい。あんな風に生きられたらと憧れるけど、無理だよなあ。妥協しまくってでも、安定した人生を歩みたい、と思うのは、私だけではないはず。
 父親になびかない主人公に、恋人は呆れて怒って、気持ちも冷めてしまう。所詮その程度の愛だった、と主人公は悟るのですが。確かに彼女はスノッブだけど、余程のことがないかぎり、贅沢な生活は捨てられないと思う。捨てさせるほどメロメロにできなかった主人公も、もともと彼女への愛は大したことがなかったのでは。
 なのでラストの、主人公のホっとした、サバサバした嬉しそうな様子に苦笑!愛する女と別れた男の顔じゃないよ。まるで便秘が解消したかのようで、笑えます。ああ~もったいない~!せっかくの逆玉が~!と、やっぱ庶民な私は思うが...
 ケーリー・グラントの、おチャメで元気いっぱいの演技が、微笑ましいです。バック転まで見せてくれます。主人公のキャラ、ノーテンキというか、明るい不思議くん?友達にいたら、楽しいだろうなあ。
 恋人の姉役キャサリン・ヘプバーンも、反骨娘を快演。気が強くてキツいけど、ドライなユーモアが素敵。でも今回のヒロインは、ちょっと内面が子供っぽい?死んだママとの思い出が残る、子供の遊戯室にプチ引きこもってるし。映画に出てくる、オトナになるのを拒否ってるピーターパン症候群の、サキガケ的キャラかも?
 飲んだくれな末弟も、なかなか良い味を出しています。
 主人公は、今までガツガツ働いてきたので、稼いだら仕事を休んで、働くことの意義を模索したい、という願いを抱いてましたが。私は、まとまった金ができたら仕事を休むんじゃなくて、辞めたい!できたら一生!働くことの意義なんか忘れて、死ぬまで怠け者したい~!夢のまた夢ですが...
 
コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

Marriage is a lottery !

2007-03-16 | 北米映画 20s~50s
 ちょっと前のローカルニュースで、興味深いことが...
 広島では当然のように、スナックバーことを“スタンド”と呼んでいます。スタンドバーと表記された看板も、繁華街には氾濫しています。でも...
 広島以外では、スナックやバーのことを、決してスタンドとは言わないらしい。街角インタビューでも、広島に来た県外者たち(山口県人でさえ)は、一様にスタンドといえばガソリン?とか答えてました。吃驚。
 へぇトリビア。だから何?なムダ知識ですが...自分の信じてることや思い込みが、時には他人にとっては意味を成さない、無意味なことであるかもしれない、という、小さな認識をあらたにしました。

 「女性No.1」
 ハリウッドの黄金コンビ、スペンサー・トレイシー&キャサリン・ヘプバーンの、記念すべき初共演作。
 人気女性コラムニストとスポーツ記者。はじめは紙面で反発し合っていた二人が、出会った途端に恋に落ちて、すぐに結婚。しかし、甘い新婚生活どころか、あまりにも違いすぎるライフスタイルと価値観のせいで...
 往年のハリウッド・クラッシック映画らしい、洗練された上質のコメディ。進歩的で活動的なフェミニスト、しかも外交官の令嬢である妻の、古風な男で庶民な夫とは、何もかもズレた感覚が、笑えます。
 外国人ばかりの英語の通じない気取ったパーティ。妻が忙しいので、結婚式も10分ぐらいでバタバタ終了。新婚初夜に、ナチスドイツから亡命してきた妻の知人が、ボディガードつきで突然やって来たりetc.そこまでは、トホホと思いながらも、苦笑して許せてた夫も、彼に無断で難民の子供を養子にしようとしたり、何をするにも彼の意思や都合そっちのけで行動する妻に、ブチ切れ!
 フェミニスト活動家の女性の多くは、こんな感じなんだろうなあ。自分の信じる道を、勇気と不屈の精神で、ひたすら邁進!それは、とても立派で、尊敬に値すると思う。でも、彼女たちとは違う価値観や信条を持っている人も、たくさんいるわけで。自分は正しい!も、他人への尊重と思いやりを二の次にしては、ただの独善になってしまいます。
 と、最後にはヒロインも反省し、悪かったわ!私、仕事も辞めるわ!あなたに貞淑な妻になる!と豹変するんだけど、それも極端な話です。結局、男より優れた女はダメ、女は無知なほうが可愛い、とでも言いたげなラストで、フェミニストじゃない私でさえ、いかがなものか?と首を傾げちゃいました。田島妖子先生が観たら、憤激しそうです。
 スペンサー・トレイシー&キャサリン・ヘプバーンの共演作は、「招かれざる客」しか観たことがなかったので、まだ若い二人が新鮮でした。
 キャサリン・ヘプバーンは、美人じゃないけど、理知的で颯爽としてて、カッコいいです。マニッシュなファッションも素敵。長身でスタイルがいい!特に、足がきれい!
 彼女の魅力って、やっぱ滲み出るホンモノの知的センス&育ちの良さなんだろうなあ。いくら松嶋なな子や天海ゆうきが、同じようなキャリアウーマンを演じても、単に性格がキツいだけのOLあがりにしか見えないし。
 ラスト、彼女が夫の心を取り戻そうと、キッチンで朝食を作るシーンが、まるで愛エプも真っ青なトンデモぶりで、目がテンになります。
 スペンサー・トレイシーも、美男じゃないけど、何だろう?器が大きい感じ?勝気で生意気な女に、いいように翻弄されているように見えて実は、掌の上で女を好きなように躍らせてやってる、みたいな。そんな度量の大きさが、カッコいい。
 この映画に関して、ちょっと調べてみたら...
 クランクイン前にヘプバーンが『私、あなたには背が高すぎるかしら』と言うと、トレイシーは『大丈夫。君を僕のサイズに合わせてみせるから』と答えたとか。トレさん、カッコいい~(オリラジ調)!あの女優と一緒だと、僕のルックスや演技が見劣りする!なんてウルサイことを言う、最近の男優とは大違いです。
 ヘプバーンに振り回されるトレイシーが、笑える&可哀想なんだけど、でも、彼女があんな女性だってことは、はじめっから分かってたはず。彼自身の考えの甘さも、問題。まさに、慌てて結婚ゆっくり後悔...
 
 
 
 
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする