「ベートーヴェンの甥」
19世紀前半のウィーン。世界的音楽家ベートーヴェンは、亡き弟の息子カールを大切に養育していた。実母ヨハンナから引き離され会うことさえ許されず、自分に異常なまでに執着する伯父にカールは追い詰められ…
誰もが知ってるベートーヴェンですが、彼が生み出した音楽ほどにはその生涯や人柄は知られていないのでは。この映画はベートーヴェンの晩年を描いているのですが、こんな困った爺さんだったなんて驚き呆れるばかりでした。とにかく甥っこのカールへの執着が異常!まずカールの母ヨハンナへの敵意や警戒心が尋常ではなく、毒婦・淫売呼ばわりしてカールに会うことを禁じたり妨害したり。カールの行く先々に付いて来たり追いかけたり、周囲に尾行や監視をさせたり。カールが女とヤってる最中に乱入して大騒ぎしたり。ぶっちゃけストーカー。恥も外聞もない老いらくの狂態は、エキセントリックすぎてほとんどコメディ。何だか岡田あーみん先生の「お父さんは心配性」の光太郎パパとカブって笑えました。
でも何であんなに甥に執着してたんでしょう。美青年に恋焦がれる老人、なんて悲痛で耽美な二人でもなかったし。甥に恋する伯父、みたいな禁断な関係ではなく、弟の忘れ形見を立派に育てねばならない、そのためには自分が正しいと信じてるやり方で若者をコントロール、でもそれができないので慌てふためいてる独善的で偏狭な年寄り、みたいなベートーヴェンでした。世界的な音楽家として名声を得て、楽聖とまで讃えられたベートーヴェンも、そこらにいる迷惑高齢者と同じだったなんて、ちょっと親近感を覚えてしまいました。
ベートーヴェン爺さん、でも決してカールに対して高圧的でも威圧的でもなく、元気いっぱいな迷惑行為の後は哀れな弱い老人になって、カールに謝ったりご機嫌をとったり。そんな卑屈さも年寄りらしい狡猾さに見えました。結局はすごく寂しい、かまってちゃんな老人だったんだろうな~。でももしカールが冷たい美青年ではなく、心根の優しいブサイクだったら、ひょっとしたらベートーヴェンもあそこまでデスパレートに執着しなかったのでは、とも思いました。必要以上に苦しんだり悲しんだりしようとするドMさは、天才的な芸術家の特性でしょうか。
カールに魅力がなかったのが残念。何を考えてるのか読めない、いや、何も考えてないアホの子みたいでした。何をされても文句を言うわけでも抗議、反抗するわけでもなく、平然としてるかブスっとしてるか。話を面白くするため、盛った創作でいいのでもっと魔性の美青年っぽいキャラにしてほしかったです。演じてた俳優も、美青年だけど繊細さを欠いたふてぶてしい感じ、ウドの大木な味気ない演技で、まったく惹きつけるものがありませんでした。ベートーヴェン役の俳優さんは、遠藤太津朗似?耳がよく聞こえないベートーヴェン、都合の悪い話になると筒?メガホン?みたいな器具を耳に当てて、え?は?何つった?をお約束のように繰り返すのも何か滑稽でした。
カールの母ヨハンナ役は、突然の訃報がファンを悲しませたばかりのジェーン・バーキン。お元気とばかり思ってたので、ほんと驚きました。この映画の時は39歳ぐらい。まだ若くて美しいので、てっきりカールの年上の恋人役かと思ってました。時代劇コスチュームもジェーンが着ると、何だかモダンなおしゃれさが。少女のようなほっそりした体つき、か細い声は娘のシャルロット・ゲンズブールとよく似てます。カールと恋人関係になる女優エレノール役はナタリー・バイ。彼女もまだ若くて美しい!世慣れた大人の女を華やかに軽やかに演じてました。豪華な女優共演ですが、二人が一緒のシーンは一瞬だけで、二人とも出番はそんなに多くないのが残念。
セットではなく本物の屋敷や教会、街で撮影されたのでしょうか。19世紀のヨーロッパの雰囲気がよく出ていていました。衣装も優雅で美しかったです。クラシック音楽には無知でも、さすがに聞いたことがある曲が演奏される音楽会のシーンも印象的。台詞は英語。舞台はウィーンで、オーストリア人役を英語でドイツ人やフランス人の役者が演じる。珍しくないことですが、やはりちょっと違和感は否めませんでした。
19世紀前半のウィーン。世界的音楽家ベートーヴェンは、亡き弟の息子カールを大切に養育していた。実母ヨハンナから引き離され会うことさえ許されず、自分に異常なまでに執着する伯父にカールは追い詰められ…
誰もが知ってるベートーヴェンですが、彼が生み出した音楽ほどにはその生涯や人柄は知られていないのでは。この映画はベートーヴェンの晩年を描いているのですが、こんな困った爺さんだったなんて驚き呆れるばかりでした。とにかく甥っこのカールへの執着が異常!まずカールの母ヨハンナへの敵意や警戒心が尋常ではなく、毒婦・淫売呼ばわりしてカールに会うことを禁じたり妨害したり。カールの行く先々に付いて来たり追いかけたり、周囲に尾行や監視をさせたり。カールが女とヤってる最中に乱入して大騒ぎしたり。ぶっちゃけストーカー。恥も外聞もない老いらくの狂態は、エキセントリックすぎてほとんどコメディ。何だか岡田あーみん先生の「お父さんは心配性」の光太郎パパとカブって笑えました。
でも何であんなに甥に執着してたんでしょう。美青年に恋焦がれる老人、なんて悲痛で耽美な二人でもなかったし。甥に恋する伯父、みたいな禁断な関係ではなく、弟の忘れ形見を立派に育てねばならない、そのためには自分が正しいと信じてるやり方で若者をコントロール、でもそれができないので慌てふためいてる独善的で偏狭な年寄り、みたいなベートーヴェンでした。世界的な音楽家として名声を得て、楽聖とまで讃えられたベートーヴェンも、そこらにいる迷惑高齢者と同じだったなんて、ちょっと親近感を覚えてしまいました。
ベートーヴェン爺さん、でも決してカールに対して高圧的でも威圧的でもなく、元気いっぱいな迷惑行為の後は哀れな弱い老人になって、カールに謝ったりご機嫌をとったり。そんな卑屈さも年寄りらしい狡猾さに見えました。結局はすごく寂しい、かまってちゃんな老人だったんだろうな~。でももしカールが冷たい美青年ではなく、心根の優しいブサイクだったら、ひょっとしたらベートーヴェンもあそこまでデスパレートに執着しなかったのでは、とも思いました。必要以上に苦しんだり悲しんだりしようとするドMさは、天才的な芸術家の特性でしょうか。
カールに魅力がなかったのが残念。何を考えてるのか読めない、いや、何も考えてないアホの子みたいでした。何をされても文句を言うわけでも抗議、反抗するわけでもなく、平然としてるかブスっとしてるか。話を面白くするため、盛った創作でいいのでもっと魔性の美青年っぽいキャラにしてほしかったです。演じてた俳優も、美青年だけど繊細さを欠いたふてぶてしい感じ、ウドの大木な味気ない演技で、まったく惹きつけるものがありませんでした。ベートーヴェン役の俳優さんは、遠藤太津朗似?耳がよく聞こえないベートーヴェン、都合の悪い話になると筒?メガホン?みたいな器具を耳に当てて、え?は?何つった?をお約束のように繰り返すのも何か滑稽でした。
カールの母ヨハンナ役は、突然の訃報がファンを悲しませたばかりのジェーン・バーキン。お元気とばかり思ってたので、ほんと驚きました。この映画の時は39歳ぐらい。まだ若くて美しいので、てっきりカールの年上の恋人役かと思ってました。時代劇コスチュームもジェーンが着ると、何だかモダンなおしゃれさが。少女のようなほっそりした体つき、か細い声は娘のシャルロット・ゲンズブールとよく似てます。カールと恋人関係になる女優エレノール役はナタリー・バイ。彼女もまだ若くて美しい!世慣れた大人の女を華やかに軽やかに演じてました。豪華な女優共演ですが、二人が一緒のシーンは一瞬だけで、二人とも出番はそんなに多くないのが残念。
セットではなく本物の屋敷や教会、街で撮影されたのでしょうか。19世紀のヨーロッパの雰囲気がよく出ていていました。衣装も優雅で美しかったです。クラシック音楽には無知でも、さすがに聞いたことがある曲が演奏される音楽会のシーンも印象的。台詞は英語。舞台はウィーンで、オーストリア人役を英語でドイツ人やフランス人の役者が演じる。珍しくないことですが、やはりちょっと違和感は否めませんでした。