まつたけ秘帖

徒然なるままmy daily & cinema,TV drama,カープ日記

僕の彼女は大女優

2025-01-31 | イギリス、アイルランド映画
 「ノッティングヒルの恋人」
 ロンドンのノッティングヒルで、旅行専門書店を経営しているバツイチのウィリアムは、ある日ふらりと店に入ってきた女性客がハリウッドの大スター、アナ・スコットと知り…
 憧れの街ロンドンにまた行きたい!と願い続けて幾年月。どうやら目が黒いうちに行ける可能性は低そう…気分だけでもと、ロンドンが舞台の映画やドラマをよく観ています。この作品もその1本。ロンドンがチャーミングに描かれてるだけでなく、ロマンティックコメディとしても屈指の有名作、人気作ですね。私も大好きな映画。甘々で軽薄なラブコメは苦手なのですが、イギリス映画は甘さがほどよい程度で、大人向けのクスっと笑るシニカルさとウィットに富んでるので、わしのようなおっさんにも口当たりがよろしい。

 イギリスといえば、優雅でスノッブな貴族社会、上流階級も魅力ですが、ロンドンの庶民生活も見ていて興味深い。この映画のノッティングヒルも庶民的だけど、さりげなく何げなくおしゃれだったり趣きがあったり、さすがロンドン。にぎわうマーケットとかも、見てるだけで楽しい。ウィリアムとスパイクの家も、すごい手狭で生活感があるけど居心地がよさそうで、やっぱりどこかおしゃれな感じ。食器とかクッションとか、高級品じゃないんだろうけど安物にも見えなかったり。キッチンとか、あんな風にしたい!なぜか着物を着た日本人女性(藤原紀香?)のパネルがあったり、インテリアの趣味はちょっとシュールでしたが。

 庶民生活だけでなく、やはりイギリスといえばの美しいハイソな世界も魅力的。アナが宿泊する有名な超高級ホテル、リッツに私も泊まってみたい~!でも、敷居が高すぎてロビーにも入れそうにないわ。悲しきボンビー人の私同じ高級ホテルでも、アメリカや韓国のゴージャスすぎる成金ゴテゴテピカピカではなく、すごく優雅で上品な内装、雰囲気なところもさすがイギリス。ロンドンの公園も好き。
 主演の2大スターは、数多い出演作の中でも最高クラスの好演。二人とも人気も魅力も最盛期の頃ではなかろうか。

 ウィリアム役のヒュー・グラントは、ロマコメ帝王として絶好調だった頃。すごい受け身で遠慮がち、何でも遠回しに言ったり自虐的だったりするところなど、まさに彼の十八番であるイギリス男役でした。あのいつも困ってるような顔が笑えて可愛い。周囲のエキセントリックな人々へのリアクションが絶妙。冴えないところがイケてる、品よくユルい、まさにグラント氏の独壇場ですね。大女優にも卑屈にならず、かといって変に肩肘も張らない、優しい真摯さと自然体が素敵でした。ウィリアムのアメリカ男にはない、イギリス人らしい紳士な言動と控え目な知性に、アナは癒されるように惹かれたんでしょうね。もちろん、冴えないけどハンサムな顔にも。ウィリアムがもしブサメンだったら、アナにとっては一瞬だけ会う一般人で終わったでしょうし。

 アナ役は、実際にも当時ハリウッドの女帝として君臨していたジュリア・ロバーツ。今でもお美しいジュリロバですが、若い頃の美しさはまさに後光が差すばかりのまばゆさ。一般人、いや、並みの女優にもないオーラと華やかさです。すでに貫禄もたっぷり。華やかだけど派手な感じではなく、すっきり清々しい美しさが素敵。それにしてもアナ、大女優なのにすごいいい人。スターにありがちな驕慢さもエキセントリックさもなく、クールで常識的。一般人のミーハーさや失礼さにも冷静に応対したり。スターがそんなに偉いの?ナニサマ?なところはほとんどなし。反感どころか、人知れぬ苦労や努力など大女優って大変!と痛ましく思いました。ほんとは可愛いところもあるの、みたいな気持ち悪いブリッコ演技はせず、可愛いというよりヤンチャ、元ヤン?みたいなカッコいい女子、な言動がジュリロバさんらしいヒロインでした。中身はほとんど男、みたいなアナとジュリロバ。大女優ってみんなそうなんだろうな。ジュリロバのチャームポイントといえば、あの大口あけての笑顔だけど。私にとってジュリロバといえば、ほとんどホラーな激怒演技です。顔も声も、怒ったら世界一怖い女優!この映画ではあまり怒ってなかったので、ちょっと物足りませんでした

 ウィリアムの同居人スパイク役は、「Jの悲劇」の怪演も忘れがたいリス・エバンズ。キモ笑!見た目といい演技といい、かなり強烈です。ちょっとオツムがアレなのかな?なスレスレ系。下ネタとファッションセンスが狂気的いい奴、おもしろい奴だけど、あんな人と一緒には住めないわ~スパイクにもアナにも怒ったりイラっとしないウィリアム、仏さまのような寛い心の持ち主!ウィリアムの妹や友人たちも愉快でした。


 お話は「ローマの休日」ハッピーエンド版、なのかな。男女逆転バージョンも面白そうだけど、キャスティングが難しそう。超イケメンのトップスターと平凡な庶民女子との恋…キレイカワイイだけ女優のブリっこ演技、想像しただけでイライラ、ムカつきますなので、邦画では制作しなくてOK(^^♪
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ネタを探して娼年

2025-01-15 | イギリス、アイルランド映画
 「Sebastian」
 ロンドンの出版社でデビュー小説の発表を控えている25歳のマックスは、リサーチためにセバスチャンと名乗って男娼をしていた。二重生活を続けるマックスはやがて…
 実体験を活かして創作する作家さんって、たくさんいると思うけれども。小説を書くために娼婦や男娼を買ってみることはあっても、やってみる作家さんは、そんなにいないはず。なのでこの映画の主人公、マックスの行動力には驚かされました。ネットでの売り専?が今ドキでした。いくら小説のためとはいえ、まったく見ず知らずの不特定多数の男たちとセックスとか、よーやるわ~。そんなの怖いじゃないですか。暴力とか病気とか、リスクが高すぎる。セックスワーカーって、すごい勇気と体力気力が必要な仕事だと思いました。

 創作のため以上に、性の悦びとゲイとしての自己愛から娼年ライフにのめり込んでいく姿が、生々しくイタいマックスでした。ネット上で男たちの気を惹くためにジムで体鍛えて、見栄えのいい裸体の写真を撮る様子が真剣すぎて笑えた。客からお呼びがかからなくなったり、他の男娼の人気のほうが上まわったりしたら落ち込んだり。男たちに魅力を認められ称賛されたい、というナルシズムと承認欲求は若いゲイっぽいリアルさでした。あんた作家でしょ?男娼は本業じゃないでしょ?しっかりして!と叱咤したくなった。本当の自分であるマックスと、男娼のセバスチャンの区別がつかなくなっていく心身の混沌が、危うく妖しかったです。

 それにしても。マックス、老け専なの?客はみんなおじさん、おじいさんばかり。まあどうしても、若い男の子をお金で買わざるを得ない高齢者が相手になるのは仕方ない。けどマックスは、仕事だからと割り切ってる感じはなく、ほんとに年配者とヤるのが好きそう、気持ちよさそうなんですよ。すごい積極的だし。高齢者ゲイにとっては天使みたいな娼年。見た目からしててっきりウケ、ネコちゃんかと思いきや、バリタチ野郎だったマックス。優しい可愛い風貌に似合わぬ激しいプレイ!おじさん、おじいさんが女の子みたいになって、若い男の子にガンガン攻められながらアンアンよがってる…ぶよぶよ、しわしわな老体と、しなやかで滑らかな若者の肉体が絡む画は、かなりグロテスクでもありました。そんなセックスシーンが多く、私にはキツかったです。BLとはちょっと言い難い内容なので、ライトでスウィートなBLが好きな方は要注意!


 作家としてデビュー、世間に顔も知られる環境なのに、男娼してていいのかなと、こっちがヒヤヒヤ。バレたらやっぱマズいですよねえ。客のひとりとパーティでばったりとか、言わんこっちゃない!なシーンでした。ゲイとしてカミングアウトはしてるけど、家族とも社会とも何となくしっくり溶け合えないような、ゲイの孤独や疎外感が行間を読む描かれ方。
 マックス役は、この映画で初めて知ったイギリスの若手俳優ルアリド・モリカ。か、かわいい!優しそうで上品な、イギリスの良家のお坊ちゃまっぽいイケメン。ほっそりとした肢体と白い肌も、まさに英国美青年(チェキってみたら、スコットランドとイタリアのハーフだった)。たま~に、若い頃のブラッド・ピットを超ソフトにした顔に見えたりしました。ファッションも高価そうな服なんか着てないけど、何着てもおしゃれに見えて素敵でした。脱ぎっぷり、ヤリっぷりがスゴすぎ。おじいちゃん死んじゃうよ!なディープキスや全裸ズコバコ演技、見ていて気まずくなるほどでした。日本のイケメン俳優もBLするなら、あれぐらいは…いや、あそこまではやらなくていいかもロンドン、ブリュッセルの景色も印象的に撮られていました。

 ↑ ルアリド・モリカ、現在25歳。どうやら私生活でもゲイみたいです。素敵なオープンゲイ俳優がイギリスにはたくさんいますね!日本ではまだ出演作がほとんど公開されてませんが、いつか注目の俳優になることを期待しながら応援(^^♪
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逃げて!美しすぎる死刑囚

2025-01-12 | 日本映画
 「正体」
 拘置所で自殺を図った死刑囚の鏑木が、病院へ搬送中に逃亡する。大坂、東京、長野と警察の捜査網をかいくぐりながら逃走を続ける鏑木の目的とは…
 横浜流星主演の最新映画、年末にやっと観に行けました(^^♪主演に抜擢されたNHKの大河ドラマも放送開始、今や若手トップクラスの人気俳優となった流星くん、売れ始めた頃は苦手だったんですよね~。すごい美男子だけど、何かヘビ?トカゲ?を思わせる爬虫類系の顔が気持ち悪くて。でも「流浪の月」の彼を見て、いい役者じゃん!と感服。「線は、僕を描く」や「ヴィレッジ」「春に散る」と、ヴァラエティに富んだ役で好演を続け、気づくと新作が最も気になる俳優のひとりになってました。インタビューやトーク番組での、すごく実直で真面目そうな彼の人柄にも好感。人気イケメン俳優にしては珍しく、チャチャラ軽薄でスカしたところが全然ないですよね。変なスキャンダルが発覚したら、いま最も驚く俳優かも。そんな流星くんが、逃亡死刑囚という衝撃的な役に挑戦、その熱演はどうやらすこぶる好評みたいです。

 流星くんって、カッコいいイケメン役よりも、美しさを隠した暗い役のほうが似合うし、演技も冴えているように思われます。この映画の後、netflixのドラマ「わかっていても」も観始めたのですが、絵に描いたようなモテ系イケメン役の流星くん、顔も役も何かすごい気持ち悪かった死刑囚の彼よりもよっぽど人殺しっぽい顔だったし。この映画でこそ、そんな不気味さとか怪しさが出てないといけなかったのに。

 ネトフリのドラマでは気持ち悪かったのに、この映画の流星くんはすごく美しくて可愛かったです。ボサボサ頭、無精ひげ、薄汚い服装でホームレスあるいはドヤ街の日雇い労働者に扮してる時の、チラっと垣間見せる素の美貌の神々しさよ!こんな美男子、ぜったい逃亡なんかできないよな~と思いました。東京編ではマスクしたオタク風、でもただ者じゃないことがすぐに判る瞳の美しさ。長野編の真面目で穏やかな好青年、事件を起こす前の高校生!な流星くんも、少女漫画から脱け出した男子みたいでしたが、終盤の拘置所での面会シーンのこざっぱりと地味な彼が、いちばん美しく見えました。

 あんなに鏑木が巧く逃亡できたのは、間違いなく美貌のおかげですよ。優しくて賢いだけでは、あの逃亡劇は無理。匿ったり協力してくれる東京の記者も長野の施設職員も女まるだし、イケメンに目がハート状態。もし鏑木があんなに美青年じゃなかったら、明らかに深く関わらなかっただろう女たちでした。とにかく流星の七変化ショーみたいな映画。ファンなら必見。ドヤ街の宿場の風呂で体洗ってるシーンで、ちょっとだけお尻も見せるサービスも。

 流星くんを愛でるアイドル映画としては楽しめるのですが、内容と鏑木のキャラはちょっと残念でした。最初っから鏑木が冤罪、と決まってる設定が彼のキャラを浅くしてたように思えて。ほんとに無実?ひょっとしたら?なミステリアスで灰色な、関わる人々も観客も惑わす主人公だったら面白かったのに。鏑木も出会う人々も、いい人すぎるところがつまんなかった。逃亡中の鏑木、やってることを考えたら、結構したたかで計算高い男、天才的な詐欺師なのに。殺人しないセックスしない「復讐するは我にあり」みたいだった。あと、逃亡犯にしては目立つことしすぎ。ドヤ街での法律知識披露とか、東京での文才を認められたりとか、長野の職場での優秀な仕事ぶりとか、抑えられない承認欲求の持ち主なのかな?とも思った。殺人犯にされてしまった事件現場のことといい、出過ぎたことをしがちなのが不運の原因。

 それにしても。死刑囚が逃亡、なんて戦後すぐならいざしらず、現代ではありえない椿事。よく捜査もせず殺人の動機がない高校生にさっさと死刑判決とか、何度も逃亡犯の確保に失敗したり、施設に立てこもりされて発砲沙汰とか。韓流じゃあるまいし、日本の裁判所と警察あそこまで無能じゃないですよ。鏑木を追う刑事さん、クールにかっこつけてたけど、あんたすごい無能ですよ!脇のキャストが個人的にはあまり好ましくなかったのが、ちょっと残念。

 ↑ ついに放送開始!NHKの大河ドラマ「べらぼう」まだ初回観てない💦初夏に公開予定の映画「国宝」は、共演の吉沢亮がやらかしちゃったのでどうなることやら…
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入ってはいけない家!

2025-01-08 | 北米映画22~
 「異端者の家」
 モルモン教の若い女性宣教師シスター・パクストンとシスター・バーンズは、戸別訪問先の家に招き入れられる。家の主リード氏は、知的なユーモアに富んだ初老の紳士で、会話も和やかに弾む。しかし、宗教に関して執拗な質問をぶつけ始めるリード氏に、シスター二人は異様なものを感じ…
 ヒュー・グラント主演の最新作は、何とホラー映画!グラント氏の意表を突く怪演は高く評価され、今年のゴールデングローブ賞の主演男優賞にもノミネート(惜しくも受賞はならず)。日本では春に公開されるようです。いち早く観ることができました(^^♪

 かつての英国美青年、ロマコメ帝王も、すっかりおじさん、いや、おじいさんに。老いてますます元気に、そして軽やかに、クセの強い役や悪役も嬉々として演じてる最近のグラント氏ですが、怖い役や狂った役は初めて?さらなる新境地に挑んだ彼のヤバい演技、なかなか強烈でした。若い女性を監禁して精神的にいたぶるサイコパスおじさんなグラント氏、ロマコメ時代の彼が好きな人が見たらかなりショックかもしれません。まばたきしない開ききった目、とうとうと楽しそうに自説をまくしたててる時の悦に入った表情、まさに狂人です。恫喝とか暴力はいっさいなし、ソフトで軽快な話術で、若い女性ふたりを恐怖と絶望のどん底に引きずり込むところが異色。いったい何が目的なのか、なかなか判明しないところが不気味です。

 怖いヤバい役だけど、グラント氏の持ち味である軽妙でシニカルなユーモアは、存分に発揮されています。シスター二人が警戒せず家に上がってしまうのも理解できるほど、楽しくてチャーミングなグラントおじさまasリード氏。ホラーなシチュエーションなのに、クスっと笑ってしまう言動も多くて、かなりコミカルでもあるところが独特で斬新。GG賞ではコメディ部門の主演男優賞候補になったのも納得。イギリス紳士らしい上品さと知的さも、狂気や恐怖に巧くブレンドされていて、まさにシン・グラント!今後はこの路線でイケるのでは?という手ごたえ、きっとご本人にもあったはず。さらなる進化を遂げたグラント氏です。
 
 中盤までは、シスター二人とリード氏の宗教に関する対話や問答が続き、それが空気を不穏で緊迫したものにしていくのですが、宗教に無知なので話の内容はチンプンカンプン。キリスト教に造詣が深い方なら興味深いかもしれませんが、そうでないと意味不明な会話劇みたいで困惑するかもしれません。シスター二人が身の危険を感じて帰ろうとする頃から、謎めく戦慄のデスゲームが動き始めます。リード氏の家、まるで忍者館!時間が来ると自動的にロックされる玄関、秘密の部屋や迷路のような地下室、恐怖の仕掛けやからくりなど、奇抜すぎて笑えます。後半になると、けっこうグロいエグいブラッディーなホラー展開になるので、そういうのが苦手な方は注意。あのラストは、リード氏の説が妄執ではなく正しかった証拠?神の奇跡か悪魔のいたずらか、それとも?解釈を観客に委ねる奇怪な結末も衝撃的です。
コメント (4)
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悪夢のアンチエイジング!

2025-01-05 | 北米映画22~
 あけましておめでとうございます!
 よきお正月、お過ごしになられたことでしょうか。my lonely, lazy but happy new year holidaysも今日でおしまい!明日からワーキングプアな日常生活に戻らなねばならないとにかく無事で健康な毎日を送りたいです!映画もドラマもいっぱい観たい!そして、今年こそ海外旅行がしたい!実は今、某国に行く計画が進行中(^^♪頓挫しませんように!皆さまは2025年、何か素敵な計画や予定はおありでしょうか。

 「サブスタンス」
 50を過ぎ仕事を失った元人気スターのエリザベスは、細胞の複製過程を通して若返りと、より良いバージョンの自分になれるという闇ルートの医療に手を出す。結果、エリザベスの体を破り新バージョンの彼女が出現。若く美しい新バージョンの彼女はスーと名乗り、元のエリザベスと1週間ごとに交代することを条件に共存することを許されるが…
 ひえ~!早くも今年 my best movieかもしれない作品に出会ってしまいました!去年のカンヌ映画祭で絶賛され、ホラー映画ながら現在アカデミー賞に向けての賞レースでも健闘している話題作。とんでもない怪作とは聞いてたけど、こ、これほどまでとは!もう全編、ゲロゲロ(死語)、うげげ、ひえー!なシーンと展開に呆気にとられる、もしくは爆笑。こんなブっとんだイカレ映画、前代未聞かも。ゲログロが苦手な人、真面目で上品な乙女淑女は観ないほうがいいかも。

 私はこういう映画、大好き(笑)。超おもしろかった!久々の吐きそうなほどの満腹感。もうこんな映画を観てしまったら、日本のイケメンが出てる映画やドラマなんて、ヌルいコーラ同然になってしまいます。この映画の前に横浜流星や竹内涼真のドラマを観ていたのですが、あまりにも内容および演技のインパクトと面白さのレベルが違い過ぎて、こんな学芸会もう観てらんない!と途中リタイアを余儀なくされたとにかく、特上のゲテモノ料理みたいな映画。きれいで甘いケーキが好きな人が多い日本では、見た目も味も受けそうにない?女性にとってはスルーできないテーマといい、話題騒然になる要素はたっぷりなんだけど。ちなみに日本では5月に公開されるそうです。劇場でも観るぞ!

 ネタバレしないためにも、詳しい内容については触れないでおきます。ぜんぜん怖くはないけど、とにかくグロテスクでブラッディなシーン満載なので、その点は注意。でもそんなホラーシーンも、すごい斬新で目を驚かすものばかり。エリザベスとスーの入れ替わりとか、設定もユニーク。かなりシュール、時にポップに、息をのむ怒涛の展開など、演出と脚本も秀逸。でも何がいちばん衝撃的で魅力的かというと、やはりエリザベスとスーを演じた新旧2女優の超絶怪演に他なりません。去年の「哀れなるものたち」のエマ・ストーンを越える女優の怪演は当分お目にかかれないだろうな、と思ってたら。もうエマ石をはるかに凌ぐトンデモ女優たちに会えた!

 まず、エリザベス役のデミ・ムーア。あわわ…デ、デミさん、いったいどーしちゃったの。デミといえば、わし世代では「セント・エルモス・ファイヤー」とか「きのうの夜は」など青春映画、そして何といっても「ゴースト」。あの美しかったデミが。いや、今でもじゅうぶんお美しい。この映画でもそう。でも、それに満足できず老いを受け入れられず狂気の暴走、ついには醜悪な化け物に成り果てるデミの、世にも怪奇で異様なブッコワレ演技に度肝を抜かれっぱなし。素っ裸の熟女ヌードも惜しげもなく。弛んだ全裸でどてっと転がってる姿とか、美しく見せるどころか、どうやったらイタく醜く気持ち悪く見えるかに全てを賭けたようなデミの渾身の狂演、これぞ捨て身の女優魂。これぐらいはみんなやって!とは、でも言えません。やらなくていいです(笑)。自虐的でもある役なので、ほんとよくこんな役引き受けたな~と畏怖せずにはいられません。

 そして、スー役の新星マーガレット・クアリー。か、かわいい!きれい!エロい!まさにピッチピチ!キラキラ感ハンパない!鮮烈なまでの若さと美しさ。若くて可愛いだけでなく、デミ・ムーアにも劣らぬ壮絶な女優魂にも驚嘆。彼女も全裸なんて当たり前。まぶしすぎる裸体!裸よりも、きわどすぎるレオタードでのダイナミックなエアロビがエロすぎ。トンデモな役と演技だけど、ほんとLOVELY & CUTE!まさにハジケてトンでるアメリカン妖精!

 マーガレット、現在30歳だって!22、3歳にしか見えなかったけど。とにかく、すごい女優が現れた感じ!何と彼女、「フォー・ウェディング」や「グリーンカード」などで知られるアンディ・マクダウェルの娘さん!何という美しい母娘!実力も魅力もない七光り2世と違い、マーガレットはモノホンの女優!今後が最も気になる若手女優です。明るくて可愛いので、ライトなラブコメも似合いそう。

 ゲロゲロホラーなのに、何か笑えるところも好き。いちばん笑えたのは、クライマックスの大晦日特番テレビショーでの惨劇パニック。まさに血まみれ血しぶきの阿鼻叫喚ハチャメチャ地獄絵図!あのハイテンションなクレイジーさ、明らかに笑いを狙ってます。この映画、ゴールデングローブ賞ではコメディ部門で候補になってるのですが、観て納得。それにしても。悪魔すぎる闇ルートの医療。誰がどうやって発明したのかは謎のままでした。女性のアンチエイジング、ルッキズムについても、いろいろ考えさせられました。あそこまで若さと美にとらわれるなんて狂ってる、年相応の美しさを目指したいと、私のように美しくない者は思いますが、美しさだけで美味しい人生を歩んでいた人にとっては、美と若さが失われていくことは死も同然な絶望なのでしょう。若くて美しい女以外はゴミ、なんて唾棄すべき価値観が忌まわしくも悲しいです。男どもだけでなく、女性もそんな呪縛のような価値観から逃れることはできないのですね。

 ↑ デミさん、ゴールデングローブ賞受賞、おめでとうございます!
コメント (10)
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