まつたけ秘帖

徒然なるままmy daily & cinema,TV drama,カープ日記

アカい恋人

2019-11-21 | 北米映画 80s~90s
 「レッズ」
フリーライターのルイーズは、ジャーナリストのジョン・リードと恋に落ち、夫を捨ててジョンと同棲を始める。反戦を唱え社会主義運動にのめりこむジョンは、ロシア革命に立ち会うためルイーズを伴いソ連へと渡るが…
 老化による気力・体力・集中力の衰えゆえに、どんなに面白い映画、すぐれた映画でも、長い映画はとてつもなく苦痛。上映時間が2時間を超える映画は、映画館で観ることを躊躇するように。最近の映画は、やたらと不必要なまでに長いので、本当にキツいです。DVDレンタルや録画した長時間映画は、最初から最後まで一気に観ることはほとんどなく、連続ドラマのようにチビチビと1時間ずつ観てます。この1981年の3時間を超える大作も、3日かけて完観しました
 レッズ、といっても、もちろんサッカーチームのことでもメジャーリーグの球団のことでもなく、共産主義者のことです。ロシア革命を現地で見聞したアメリカのジャーナリスト、ジョン・リードの半生を描いた映画です。私の苦手な小難しくお堅い社会派映画なのかなと思いきや、どちらかと言えばジョンとその妻ルイーズとの恋愛ドラマっぽかったです。

 アメリカの政府を糾弾し続け、反戦を叫び、社会主義運動に激しく身を投じ、ソ連で客死した男…と聞けば、筋金入りのガチガチなアカい人をイメージしますが、ジョンにはそんな思いつめた重苦しさはなく、むしろ明るく朗らかに自由闊達で、インテリらしからぬ情熱的でタフな行動派、という典型的アメリカンいい男って感じでした。特にルイーズに対してのヘタレっぷりが可愛かったです。魅力的な人間に描かれてはいたけど、決して理想の夫、恋人ではない類の男でもありました。そばにいても離れていても、一瞬も安らげないもん。ああいう夢追い人を愛して支えるには、超人的な精神力が必要です。

 ジョンはチャーミングでしたが、ルイーズは私の苦手なガチガチのフェミニストでした。自己主張が強く自信過剰、過小評価されるとブチギレし、悪いのは自分ではなく自分を認めない周囲、な言動や考え方がなんだかな~。相手の話を素直に冷静に聞けず、感情的で支離滅裂なあー言えばこー言うをヒステリックにぶつけてくるルイーズは、ちょっと田島○子センセイとカブりました。八つ当たりされるジョンが可哀想だった。ジョンが不在の時に彼の親友と浮気したくせに、ジョンの女遊びは許さないとか、自分勝手すぎる。キレた時のギャーギャーしたわめき声と鬼の形相、私がジョンなら百年の恋も醒めます。

 激動の時代、アメリカとロシアを舞台に、ジョンとルイーズが別れとヨリ戻しを繰り返す、壮大なバカップル映画です。ロシア革命についてはほとんど無知な私なので、当時のソ連について勉強になりました。カオスな革命、恋人の関係性など、大好きな映画「存在の耐えられない軽さ」のプラハの春と、自由奔放で優しいトマシュ&情熱的なテレーザをちょっとだけ彷彿とさせました。レーニンを演じてた俳優が本物とそっくり!それにしても。ジョンもルイーズも、全然ロシア語が喋れない、喋ろうともほとんどしないところが、ほんとアメリカ人だな~と悪い意味で感嘆。英語が上手なロシア人がいっぱいたのが、不思議かつ都合よすぎ。実際にはどうだったんだろう。

 スケールが大きく美しいロマンあふれる映画に仕上げるために、いろいろ話を盛ってるんだろうな~。ジョンを探すため、ルイーズが密航してロシアに渡る危険で過酷な冒険とか、駅での再会シーンとか、事実だったら出来すぎなドラマティックさです。でも映画なので、そういう演出は大事だとも思う。悪質な捏造、ヤラセでなければ無問題!風景や建造物までCGにしてしまう最近の映画と違い、労力をかけたロケ撮影も、CGと違ってリアルで物語に説得力を与えていました。
 この映画、キャストがなかなか豪華&シブいです。当時ハリウッドきっての才人スター、そして希代のプレイボーイとして名をはせていたウォーレン・ビーティーと、ファッションや生き方など時代の最先端をいく女優として人気だったダイアン・キートンが主演。二人は当時、恋人同士だったとか。この映画の監督も兼ねたビーティー氏は、オスカーの監督賞を受賞。演出は硬派で手堅いけど、演技と見た目は柔和で明るい。すごく若々しく、同じ世代の俳優で同じ80年代の映画「愛と哀しみの果て」のロバート・レッドフォードとかに比べたら、加齢臭や老人的なカサカサ感は皆無。恋愛映画も違和感なし、いや、返って彼から色恋要素を抜くほうが間違ってます。見た目も手伝って、常に何となくコミカル。ルイーズの誕生日に料理をしているシーンとか、かなり笑えました。映画人として最盛期にあった頃の彼ですが、今は“ラララの誤発表爺さん”としてのほうが有名になってしまったという、トホホな老後生活が切ない。

 ダイアン・キートンは、美女ではないけど男にモテる、しかも頭のいい男、才能ある男がホレる魅力の持ち主なんだろうな~。同じ進歩的なインテリ女性といっても、ルイーズと違いキートン女史はギスギスヒステリックなフェミニストではなく、軽やかでしなやかな才媛。そんなイメージがルイーズへの反感や不快感を薄めてくれました。作家のユージン・オニール役でジャック・ニコルソン、編集者の役でジーン・ハックマンといった大物名優が脇役出演してます。二人とも好演してますが、彼らほどの名優にはもったいないような役でした。女性活動家エマ・ゴールドマン役の名女優モーリン・ステイプルトンが、この映画でオスカーの助演女優賞を受賞してます。名撮影監督ヴィットリオ・ストラーロによる独特な光具合の映像美も印象的です。
 それにしても。やっぱ私、アカい人たちには共感も理解もできないわ~。若い頃に右翼男にされた洗脳がまだ解けてないせいでもあるんだけど、過激すぎてドン引きしちゃうんですよね。ジョンたちも一歩間違えれば連合赤軍、みたいな危うさがあったし。右も左も、暴力は辞さない!なのは承服しがたいです。
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アンナチュラルな美熟女!

2019-02-13 | 北米映画 80s~90s
 寒いけど、春の近づく足音もそこかしこで聞こえてくる今日この頃ですね。私の家の庭も、花はまだ少ないけど葉っぱは元気で蕾もたくさんつき、春の訪れを待っています。玄関や寝室では、ボケや水栽培のヒヤシンスが可愛く花開いてくれて、心あたためてくてます。
 
 でも、ほんとは春が苦手なんです。毎年あたたかくなると体がダルくなるし肌も荒れるし、今年こそ花粉症になったらどうしようという恐怖にも襲われるし、心身ともにダメージシーズン。先日も、早朝に突然謎の腹痛で死ぬかと思ったし…皆さまも、季節の変わり目なのでくれぐれも体調管理にご留意あそばして!

 「永遠に美しく…」
 落ち目の女優マデリーンは、旧友のヘレンから婚約者の美容外科医アーネストを奪って結婚する。ショックと恨みでヘレンは激太りし、精神病院送りとなる。数年後、アーネストはマデリーンとの破綻した結婚生活に疲弊し、葬儀社の死体修復人に落ちぶれアル中に。容色の衰えに悩み、美と若さに固執するマデリーンの前に、美しく変貌したヘレンが現れ…

 ロバート・ゼメキス監督の作品の中では、大ヒットした「バック・トゥ・ザ・フューチャー」シリーズよりも、オスカーを受賞した「フォレスト・ガンプ」よりも、この映画がいちばん好きです。とにかく明るくノーテンキでパワフルで強欲なアメリカ人!この映画のマデリーンとヘレンも自分のことしか考えておらず、他人の我慢や犠牲は当たり前、自分の利益追及や欲望を満たすためには手段選ばずな冷酷さ残忍さで暴走するイカレ女どもなのですが、暗さや湿っぽさが全然なく、その恐れ知らず疲れ知らずなバイタリティは痛快爽快でさえあります。トランプ大統領もだけど、とんでもなさに裏表がなく明快でノーテンキなおかげで、何か憎めない、笑ってしまう。それこそアメリカ人の美質でしょうか。

 げに恐ろしきは女の虚栄とプライド、そして執念。若さと美への執着、私のほうが上!というマウンティングにデスパレートな女の醜悪さ、愚かさが滑稽に描かれてます。真面目に描くと気持ち悪いけど、コメディだと良い素材になりますね。マデリーンもヘレンも中途半端に善い人、可哀想な女ではなく、徹底して性悪なところが返って爽やかで好感。特にマデリーンの底意地の悪いビッチぶりが最高。アーネストへの仕打ちとか、ほとんど精神的DVです。あの威風堂々なまでに人もなげな態度、非道すぎて笑えます。階段での言い争いシーンには爆笑。マデリーンのアーネストへの罵詈雑言、インポだのフニャチンだのとバカにしまくってる時の表情とか、すごい破壊力です。キレたアーネストに突き飛ばされて階段ゴロゴロ転落、ベチャっとありえないポーズで倒れてるマデリーンの悲惨な姿とかも、腹が痛くなるほど笑えたわ~。ラストの階段ゴロゴロ&バラバラも、コーヒー飲んでる時に思い出すと吹いちゃうので注意してます。

 今の高度なCGに慣れてる目には稚拙に映るけれども、首が伸びたり腹に穴が開いたりと、当時の特殊技術や特殊メイクが懐かしくもユニークで目に楽しかったです。下ネタや大人の醜い事情満載な内容が、オコチャマ向けファンタジーが苦手な映画ファンのお口にも合います。
 3大スターの楽しそうな怪演、珍演も大きな見どころとなってます。マデリーン役のメリル・ストリープは、世界一の大女優なのにノリが良すぎる。こんな下品で性悪な年増ビッチ役、吉永小百合には絶対ムリですし。ラスト近くにはゾンビと化してましたし、オスカー受賞やノミネートの演技同様、悪ふざけを楽しんでいるかのようなバカ演技にも、大女優の風格と余裕が感じられます。数あるメリルおばさまの作品の中でも、私はこの映画が1、2を争うほど好きです。

 ヘレン役のゴールディ・ホーンも、ノリノリで大暴れ。まさに妖怪。不老不死の薬で美しく変身した姿のスタイルのよさは、当時の年齢を考えると驚異的。アーネスト役のブルース・ウィリスも、「ダイ・ハード」シリーズの彼とは別人のようなヘボさと情けなさで、怪女二人に虐げられてメソメソイジイジな姿が可哀想で可愛いです。3人の中ではいちばん年下なのに、そうは見えないおっさんな風貌も微笑ましいです。不老不死の薬を女ふたりに売る謎の美女リスル役のイザベラ・ロッセリーニは、ママのイングリッド・バーグマンに顔も声もそっくり。バーグマンを濃ゆく退廃的にした、腐りかけの果物みたいな臭気ある面妖さが独特。リスルの正体や薬の秘密など、明かされなかった謎が気になる。
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思いきりアフリカン

2018-06-27 | 北米映画 80s~90s
 懐かしの80年代映画③
 「愛と哀しみの果て」
 1913年のデンマーク。裕福な独身女性カレンは、スウェーデンの貴族ブロアと結婚し、英領ケニアへ移住する。農場経営も結婚生活もうまく行かない中、カレンはハンターのデニスと出会い親密となるが…
 1986年のアカデミー賞作品賞、監督賞など、7部門で受賞した作品。美貌の男爵夫人がエキゾティックな未開の国で、ハンサムな恋人に支えられながら困難や悲しみに立ち向かう…といったハーレクインな物語を、ふんだんに製作費をかけ、一流の演出と一流の演技で映画化。これで駄作になるわけがなく、事実ドラマティックで優雅な秀作に仕上がってるのですが…感動も感銘も私にはもたらしてくれなかった。なぜ?それはおそらく、ヒロインに魅力と好感を感じられなかったからかも。この映画、実際に当時の英領ケニアで暮らしたデンマーク人女性の体験記を基にしているのですが、典型的な白人の上から目線話なんですよね~。野蛮で無知なアフリカの土民に、文明や教育を施してあげてる立派な私♪みたいな、独善的で自己満足的なヒロインの自慢話みたいな映画でした。アフリカ人にとっては、ありがた迷惑でしかなかったかもしれないのに。でも土民たちはカレンを女神さまのように敬い従うのです。そんな描写も、白人目線すぎてちょっと鼻白んでしまいました。

 カレン役のメリル・ストリープは、言わずと知れた現代映画界最高の大女優。ハリウッド業界人や映画ファンからの崇敬を一身に受けてる彼女ですが、アンチも同じぐらい多い。私は大好きですが、ごくたま~に、アンチの意見も理解できる演技に出くわすのも事実。我こそは演技派!な彼女と会うと、クラスに必ずいたウザい優等生を思い出す人、多いのではないでしょうか。正論を自信たっぷりに押し付けてきて、文句を言わせない、文句を言うほうが間違っていると思わせる優等生。メリルおばさまの完璧な演技がまさにそれ。彼女が得意とする外国語訛り英語とか、スゴいな~とは思うけど、何か鼻につくんですよね~。本気モードじゃない、ちょっと力を抜いた遊び心ある時のメリルおばさまのほうが、大女優の余裕を感じられてカッコいいです。

 演技の巧さは右に出る者なしなメリルおばさまですが、うっとり見とれてしまうような美人では決してないのが、こういったハーレクインもののヒロインには、ちょっとしっくりこないというか…エレガンスとか優しさよりも、剛毅と誇り高さが増してるヒロインは、確かにメリルおばさま向けなのですが、ヨーロッパの男爵夫人というより、アメリカの女社長って感じがしました。苦労や心労が絶えない役なので、いつもカリカリギスギス。ライオンをムチで追っ払うシーンとか、ライオンよりメリルおばさまの顔のほうが怖かったです。

 デニス役のロバート・レッドフォードは、ハンサムで知的でまさに理想の白人アメリカ男性…だったのは60・70年代の昔話で、この作品ではいかんせんおじいさんすぎる顔、シワクチャ。全体的に男の艶はなく、カサカサ乾いてる感じ。おばさんとおじいさんのラブシーンとか、誰得?なイタさ。大物スターの競演は、ハーレイクイン映画に必要なロマンティックさや情熱的な雰囲気、といったケミストリーを生み出すことに失敗してたように思われました。ブロア役のデンマーク俳優、クラウス・マリア・ブランダウアーが、貴族らしい優雅で生活力のないダメ夫を好演しています。
 アフリカロケや、当時を再現したセット、衣装など、さすがハリウッドの威信をかけたような大作だけあって、目に楽しく見応えたっぷりです。映画館で観れば、きっとアフリカの雄大で神秘的な自然の美しさにもっと魅了されたことでしょう。この作品でオスカーを受賞した故シドニー・ポラック監督ですが、個人的にはこの映画よりも「トッツイー」のほうが好きです。
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プラトニック刑事

2018-06-24 | 北米映画 80s~90s
 懐かしの80年代映画②
 「刑事ジョン・ブック 目撃者」
 現代社会から距離を置いて生活しているアーミッシュの村で暮らす未亡人のレイチェルは、幼い息子サミュエルを連れて都会に住む親戚のもとを訪れる途中、殺人事件に巻きこまれてしまう。事件を担当する刑事ジョン・ブックは、サミュエルが目撃した犯人が警察内にいることに気づくが…
 80年代最高のスターといえば、わし的には何と言ってもハリソン・フォードです。子どもの頃、TVで観た「インディ・ジョーンズ 魔宮の伝説」で初めて彼に出会った時、な、何てカッコいいおじさまなんだ!と幼い乙女心が激しくときめいた記憶は、今も褪せていません。彼目当てで、もちろんスターウォーズも観ました。インディ・ジョーンズとハンソロ、という映画史に残る大当たり役に2つも恵れたハリソンおじさんですが、それではやはり役者として飽き足らなかったのか、さらなる高みを目指して選んだのがこの名匠ピーター・ウィラー監督作における刑事役でした。

 ハリソンおじさんの目論見は成功し、この作品の演技で彼は初めてアカデミー賞の主演男優賞にノミネートされました。今のところ、それが最初で最後のノミネーションとなってます。この作品のハリソンおじさんが素晴らしいのは、みんなから愛されたインディとハンソロのイメージを、ひっくり返したり壊したりしてなかったところ。演技派を目指したといっても、いきなりデ・ニーロもどき、パチーノもどきな分不相応な無茶をするのではなく、今まで通り+α的な演技だったのが賢明で、ファンにも優しい挑戦でした。

 ジョン・ブックもインディ&ハンソロ同様、ちょっと屈折してるけどオチャメな面もある、力強く正義感の強いタフガイヒーロー。アドベンチャーやSFではなく、現実社会に生きるリアルなヒーロー、というのがインディ&ハンソロとの相違で、それがハリソンおじさんの新たな魅力となってました。くたびれたスーツ姿もイケてましたが、アーミッシュ村での農夫姿と大工姿の似合いっぷりときたら!やっぱ私、キレイキレイなイギリスのハイソな美青年よりも、土のにおいがする男らしい肉体労働者のほうが好き。実際にもハリソンおじさん、俳優になる前は大工さんやってたとか。道理で板についてたわけだ。

 ハリソンおじさんのロマンス演技も秀逸でした。不器用だけどロマンチックで切ない大人のプラトニックラブ。夜の納屋でのダンスシーンや、裸のレイチェルをじっと見つめ、彼女を抱きたいけど抱かないシーンでの、情感のこもったハリソンおじさんの表情に胸キュン。インディやハンソロもキスが上手でしたが、ジョン・ブックの情熱的なキスもなかなかのものでした。おまえは俺のものだと言わんばかりの、いい感じで支配的な男らしいキス。あんなキスされてみたいものです。

 レイチェル役のケリー・マクギリスは、美人なんだけどちょっとイカつくて男っぽいところが、農婦っぽくて役に合ってました。都会的な美女や嫋々とした美女だと、きっとミスキャストになってたでしょう。いつの間にか消えてしまったケリー・マクギリスですが、今どうしてるんでしょう。サミュエル役のルーカス・ハースが可愛い!幼いのに、危機にも賢く勇敢に振る舞うサミュエル。もしmy 甥っ子のジミーだったら、映画が始まって10分ぐらいで死んでますわ村の若者役で、LOTRのアラゴルンことヴィゴ・モーテンセンが!わ、若い!可愛い!台詞はまったくなく、ただニコニコして画面に映ってるだけなんでけど、妙に目立つのがやはり後にスターとなる者の輝きでした。
 さすがオスカーの脚本賞を受賞しただけあって、サスペンスとロマンスの融合が巧みでした。でもこの映画最大の見どころは、アーミッシュの生活描写でしょう。私、この映画で初めてアーミッシュの存在を知りました。現代社会を拒絶した清らかで閉鎖的なライフスタイルが、美しい映像で描かれていました。今でもネットとかスマホとは無縁なのかしらん。
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同棲時代 in U.S.A

2018-06-21 | 北米映画 80s~90s
 懐かしの80年代映画①
 「きのうの夜は…」
 真剣な恋愛ができない青年ダニーは、出会ってすぐに関係をもったデビーとは一夜限りの恋にできず、戸惑いながらも彼女と同棲を始めるが…
 80年代半ばのハリウッドでは、“ブラッドパック”と称されていた若手俳優たちが人気で、グループみたいに仲良く共演したり、単独で主演したりと活躍していました。そんなブラッドパック映画の金字塔、日本のTVドラマでパクられた青春映画の名作「セント・エルモス・ファイアー」でも共演していたロブ・ロウとデミ・ムーアが、80年代シカゴのビタースウィートなカップルを演じた恋愛映画です。
 お話は、劇中にガンガン流れる80年代のラブポップソングの歌詞そのもので、若者っていいよね~こんな他愛もないことで世界一幸せで世界一不幸になれるんだもん、と苦笑したり羨ましくなったり。設定とか台詞も、ちょっと男女7人夏物語っぽいというか、日本の80年代のトレンディドラマっぽくて、80年代に青春した人は懐かしさを感じる映画です。

 かなりラブコメテイストになってはいるのですが、軽い遊びがだんだん真剣になる過程が、なかなか丁寧にメロウに描かれていて、若かりし頃の自分と引き比べてみていろいろ考えさせられる一興さがありました。男と女の愛の温度差とか価値観の違いは、古今東西、今も昔も不変のテーマです。見てて虫歯になりそうなほど甘~くなったり、激しくぶつかり合ったりを繰り返すダニーとデビーにを見てると、恋愛ってやっぱ体力と気力が要るな~と思った。何でそんなことで大騒ぎするの?何でそんなしょーもないことで傷つけ合うの?と失笑し、そこは男が我慢するべきとか、そこは女が妥協すべきとか、冷めた考えをしてしまう私は、やはりもう恋愛などできない年寄り…若気のいたりって、愚かだけど素敵!打算とか分別なんて要らない!若いうちはいっぱいバカやって傷つけて傷ついて、衝動的で放縦な恋をすべきなのよ!私も若い頃はもっとバカになってりゃよかった!と、失敗を恐れるあまり安全を選び、今の後悔です…

 ダニーが、ほんとイラ&ムカ、な男なんですよ。いくらイケメンで根は優しくても、ガキっぽすぎ!24、5歳の設定だったと思うけど、20代半ばってあんなに子どもっぽいものなの?あんな中身が中学生みたいな男とじゃ、まともな恋愛できませんよ。少年っぽい男とガキっぽい男は違いますもんね。ツルんでる悪友とのやりとりも、あまりにも子どもじみてて笑えない、不愉快だった。男の友情っていいな、とは全然思えなかった。
 ダニーと違ってデビーは結構大人で、ナンダカンダでダニーに合わせてあげたり譲ってあげたりと、いい女だった。あんなコドモ男に期待したり夢見たりしてしまったのが、やはり若い女の浅薄さ、未熟さだったのでしょう。元カレもアレな男だったし、いい女なのにダメ男ばかりに引っかかるデビー、典型的なだめんずウォーカーでした。それにしても…恋愛だけなら、相手のことを知り過ぎない関係でいたほうがいいですよね~。同棲はイチがバチかの賭けだわ。

 ダニー役のロブ・ロウと、デビー役のデミ・ムーア、当時20代前半!当然のことながら若い!そして美しい!今はキワモノおじさん、改造人間おばさんと化している二人の、もっとも輝いていた頃の作品なのではないでしょうか。当時のロブ・ロウは、ブラッドパックの中では最もイケメンで、「ホテル・ニューハンプシャー」など良質の作品で好演してました。美男子だけど、たまにイチローに似て見えた(私だけ?)。デミ・ムーアは、ほんと美人!可愛いけどブリっこではなく、すでに大人の女の成熟が。ハスキーヴォイスもセクシー。他愛もない恋愛映画なんだけど、二人の脱ぎっぷりのよさ、ラブシーンの大胆さにはちょっと驚かされます。邦画は言わずもがな、ハリウッド映画でも今、あんなに脱いでセックスシーンできる男優女優、いないもんね~。Hの後、お互い全裸でキッチンをウロウロするシーンなど、すごく自然で良かったです。セックスの最中にシーツ巻いてたり、ヤった直後に下着しっかり着てたりなんて、すごく不自然ですもんね。二人の80年代ファッションも懐かしく、おしゃれにさえ見えました。
 ダニーの親友役のジェームズ・ベルーシは、ジョン・ベルーシの弟ですね。風貌も芸風もそっくりです。いい加減キャラと意地悪そうな顔が、ちょっと苦手かも。デビーの親友役は、トム・ハンクスの「ビッグ」でヒロイン役を好演してたエリザベス・パーキンス。デビーへの友だち思いな屈折ツンデレっぷりが笑えました。
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英VS米 お笑い全面戦争!

2017-10-12 | 北米映画 80s~90s
 「ワンダとダイヤと優しい奴ら」
 ロンドンで銀行強盗が発生し、巨額のダイヤモンドが盗まれる。犯行グループの紅一点でアメリカ人のワンダは、愛人のオットーと共謀しリーダーのジョージが逮捕されるよう警察に密告、さらにはオットーをも出し抜いてダイヤを独り占めしようと目論む。しかし捕まったジョージは、ダイヤのありかについてはだんまりを決め込んでしまう。手がかりを掴むためワンダはジョージの弁護士アーチーに近づく。セクシーで陽気なワンダに、アーチーは恋をするように。オットーは嫉妬に燃え、ワンダの誘惑作戦を妨害し始めるが…

 いちばん好きなコメディ映画は?と問われたら、真っ先にこの映画が思い浮かびます(「殺したい女」とちょっと悩むが)。この映画の笑いって、私のツボを突きまくりなんですよ。アメリカのパワフルでノーテンキな笑いと、イギリスのシニカルで毒のある笑いが絶妙に巧妙にブレンドされた、最高のカルチャーギャップ映画なのです。同じ言語なのに、こんなにも文化や価値観が違うのだ!と、その埋められない隔たりを嗤うコメディなのです。

 とにかくこの映画、終始ドタバタしているのですが、ドタバタがすごく洗練されているのが驚異。伏線や小道具の使い方が、なるほど~!そうくるか!な巧みさで、さすがアカデミー賞の脚本賞にノミネートされただけのことはあります。英米のカルチャーギャップを、愉快に浮き彫りにする台詞もお見事。とにかく相手をディスるディスる!ディスかましまくりバトルも、北の将軍さまとトランプ大統領のそれとは違い、ハイセンスでハイレベル。文化的で思慮深いけど傲慢で退屈なイギリス人VS強くて大らかだけど無教養で欲深いアメリカ人、という小粋にデフォルメされた対立構図が笑えます。お互いそんな風に相手を見下し、かつコンプレックスも抱いてるのか~と、興味深く両国のお国柄を学べます。
 脚本もですが、この映画はキャストも秀逸かつ強烈です。まずはヒロイン、魅惑のアメリカン女泥棒ワンダ役のジャーミー・リー・カーティスが、超チャーミング!

 悪賢さとセクシーさ、そして優しさで男たちを手玉にとり、ひとり勝ちを狙うワンダは、まるでルパン3世の峰不二子です。でも、ぜんぜん悪女って感じはしません。美人ではないけど、颯爽と小気味よいコメディエンヌぶりは、痛快すぎて好感しか抱けません。インテリトークと外国語を耳元で囁かれると、欲情して悶絶するというワンダの弱点も笑えます。彼女の変装やファッション七変化も目に楽しいです。大胆すぎるけどイヤらしくない、ヘルシーなセクシーさも素敵。スタイル抜群で、そのパーフェクトボディには同性でさえ惚れ惚れ。
 そして何と言っても、映画史上最凶のアホ男オットーを怪演したケヴィン・クライン!圧巻のオバカ演技です。
 
 ハイテンションでクレイジー、凶暴な野獣だけど超絶アホ、ワンダを追っかけまわして事態をどんどん悪化させるオットーを、ブロードウェイ出身でシリアスな名優というイメージのクライン氏が演じている、というのがまず意表を突きますが、生粋のコメディアンでもあの演技は無理なのでは。ちょっと他に例がないアホっぷりなのです。一見いい男で、頭がいいつもりなところが珍妙さに拍車をかけてます。ワンダを欲情させるために囁く怪しげなイタリア語も笑えた。彼が繰り返すお約束の数々に爆笑の嵐。すごくカッコいいバカ男役で画面狭しと大暴れ、世紀の大珍演を披露したクライン氏は、何と!この作品でアカデミー賞助演男優賞を受賞!納得!映画史に残る名演ですから!

 70年代に一世を風靡したという英国の喜劇集団、モンティパイソンのリーダーだったジョン・クリーズがアーチー役。知的でシュールな風刺で人気だったというモンティパイソンの作品、観たくなってきました。そしてこの映画のスゴいところは、タブー知らずな容赦なき障がい者虐待、老人虐待、動物虐待ネタ。まさに人でなしな鬼畜映画でもあります。こんなん日本じゃ絶対ムリ!非道い!けど、つい笑ってしまうブラックさ、毒がたまりません。
 ちなみに後年、続編ではないけど同じキャストが再結集し「危険な動物たち」が製作されました。ワンダほどには高く評価されず、ヒットもしなかったみたいですが、未見なので観たいです。
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誇りをもって死す

2016-12-23 | 北米映画 80s~90s
 「フィラデルフィア」
 80年代のフィラデルフィア。エイズを発症した弁護士のアンディは、自分を不当に解雇した弁護士事務所を訴えたいと、人権派の黒人弁護士ジョーに訴訟を依頼する。ゲイ嫌いのジョーは断るが、衰弱しながらも闘おうとするアンディの強い意志に心打たれ…
 トム・ハンクスとデンゼル・ワシントン、共に2度のオスカーに輝く名優二人がW主演した、社会派のヒューマンドラマです。トム・ハンクスに最初のオスカーをもたらした作品としても知られています。
 トム・ハンクス、当時37歳。エイズ患者を演じているため激痩せしており、現在のハンクス氏しか知らない人が見たら、誰?!かもしれません。事実、この映画を観たMY老母も全然気づかなかったみたいで、あれトム・ハンクスですよと後で私が教えると、え!と驚いてました。
 
 トム・ハンクス、イケメン伝説!my ベスト・オブ・トム・ハンクス映画は「ビッグ」なのですが、イケメン度だけだとこっちのほうが髙いかも。エイズが発症する前のエリート敏腕弁護士なトムは、若くてスマートで本当にカッコいいです。都会的で知的な役が、すごく似合うんですよね~。そんなイケメントムが病魔におかされ、どんどん衰弱していく姿は壮絶で悲痛。普段は明るく楽しく元気いっぱいなトムが~と、コメディ映画とのギャップに暗澹となってしまいます。

 シリアス演技も秀逸なトムですが、やはり彼は卓越した喜劇俳優なんですよね~。肉体的、精神的、社会的にも絶望のどん底にありながらも、常にユーモアを忘れず、ちょっとした言動で周囲の人たちや観客も笑わせて、返って相手が救われてしまうところが、さすがトム・ハンクス!と感嘆。トム・ハンクス独特の、あの皮肉に自虐的な笑いは、この映画でも失われてません。過酷な運命をネチネチメソメソと嘆き恨むことなく、理不尽な社会への怒りにメラメラ燃えてるのでもなく、終始冷静に現実と向き合って誇り高く存在証明しようとするトムが、哀しくもカッコよかったです。
 ジョー役のデンゼル・ワシントンも、当然ですが若い、そして男前!

 黒人俳優の中では、1、2を争う美男子ですよね~。見た目もキャラも、男気あふれるところが素敵。闘う男役こそ、彼の真骨頂。闘志あふれながらも、おちゃめなところもあって、クスっと笑えるシーンも少なくなかった。法廷でのちょっと破天荒な弁護が面白かったです。ゲイ嫌いを隠さない彼のアンディへの距離と壁が、信頼と尊敬でだんだんなくなっていく過程も、なかなか感動的でした。
 トム・ハンクス&デンゼル・ワシントン、やっぱ名優だな~と思い知りました。特に動きや台詞がないシーンでも、その時の複雑な心情がすごく伝わってきたり、逆に今どんな気持ちなんだろう?と気になる表情をしたりと、まさに俳優とはかくありき!な演技。自称俳優な人たちの大根演技って、訴えてくるものや問いかけてくるものが何もないですよね~。

 アンディの恋人役が、これまた若かりしアントニオ・バンデラス。アルモ姐さんの愛を一身に受けていたバンちゃんが、姐さんを捨てて?スペインからハリウッドに一念発起で渡ったばかりの頃の映画でしょうか。献身的で愛情深い役でしたが、トム・ハンクスとのカップリングは、正直萌えなかった。どっちがタチでネコなのかも不明。
 その他にも、ジェイソン・ロバーズ、メアリー・スティーンバージェン、ポール・ニューマン夫人のジョアン・ウッドワードなど、オスカー名優たちが脇を好演してました。
 「ノーマル・ハート」もそうでしたが、当時のエイズ、同性愛者への差別偏見の根深さ、理不尽さにはあたらめて戦慄。もはやエイズは死病ではなく、LGBTへの理解も深まっている今の社会に、アンディは草葉の陰でさぞや感無量なことでしょう。若くして死ななければならなかったアンディですが、私は彼が不幸な人とは思えませんでした。むしろ、たくさんの人たちに愛され必要とされ、幸せな人生だったようにも思えました。アンディのような有意義な人が若死にして、私のような者が無駄に長生きすることこそ悲劇です。私なんか100まで生きそうで、こういう映画を観たら心の底から申し訳なくなります

 ↑この頃のトムに、また会いたい…
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ゲス踊り

2016-11-28 | 北米映画 80s~90s
 「ショーガール」
 スターを夢見てラスヴェガスにやって来たノエミ。ストリップクラブのダンサーとなった彼女は、大スターのショーガール、クリスタルから屈辱的な扱いを受ける。それがきっかけとなり、ノエミはクリスタルと同じ舞台に立つチャンスを掴むが…
 久々の新作“Elle”で今年のカンヌ映画祭をザワつかせ、健在ぶりをアピールした変態巨匠ポール・ヴァーホーヴェン監督。90年代、「ロボコップ」や「氷の微笑」が大ヒット、ハリウッドでブイブイいわせた彼は、その勢いで調子ぶっこきヤリたい放題の結果、後に20世紀最低最悪の駄作!という烙印を押されることになるこの作品を生み出してしまったのでした。
 今なおクソ映画の代名詞として、映画史に燦然と?その悪名を轟かせているこの作品ですが…そんなにヒドい映画なのかなあ?確かに、下品でオゲレツなシーンてんこ盛り、チープな内容、3流演技などなど、青少年にはおすすめできない、乙女淑女が観たら眉をひそめるゲス映画なのですが、ジジババ向け、スウィーツ向けの毒にも薬にもならん映画しか作られない今、そのゲスっぷりが返って新鮮で面白く感じられるのです。折しも今年、日本では空前のゲス旋風が巻き起こりました。なので、この映画はまさに今の日本にマッチした、作られたのが早すぎた映画とも言えるのではないでしょうか。

 ↑撮影中、出演女優たちとウハウハなヴァーホーヴェン御大
 年月を経た今ではカルト的人気を誇るこの作品、とにもかくにもゲスい刺激と笑いに満ち溢れています。ダンスシーンでもファックシーンでの、出し惜しみなきおっぱい&お尻に、おなかいっぱいゲップ状態に。エロいというより超下品なダンス、その破廉恥すぎる振付が笑えます。
 とにかく何もかもがケバケバしくて下品なのですが、話の基本は大昔の少女漫画。「エースをねらえ!」と「ガラスの仮面」を足して二で割って、めちゃくちゃオゲレツにした感じ。女同士の火花とか陰湿な妬み、仕返しなど、ラケットを隠したりシューズに画びょう入れるのと同レベル。でも、ノエミとクリスタルの関係は、ちょっと面白かったかも。二人とも、下品だけど性悪ってキャラではなく、ホントは仲良くなりたいんだけど、女に特有の“私の方が上!”という意識が邪魔して、つい挑発したり反発したりしてしまう、みたいな。
 ヒロイン、ノエミ役のエリザベス・バークレー、顔は上戸彩+ハル・ベリー、を超下品にした感じ?もう娼婦にしか見えません。脱ぎっぷりもスゴかったけど、彼女のファッションが強烈!あんな服着てたら、アバズレヤリマン扱いされるのは当然。この映画でのゲス演技が酷評され、ショックで一時失踪してしまったというバークレーさん。確かに、親が見たら泣くようなことばかりやらされて、挙句にクソ女優呼ばわりされちゃあ、消えたくもなりますよね~。ヴァーホーヴェン監督も、思えば罪なことしたもんだ。でも、大女優にならなくてよかったかも。なってたら、この映画のこと一生ネタにされてたでしょうし。
 クリスタル役のジーナ・ガーションも、何でここまで頑張ったんだろう、と不思議なほどの大安売りっぷりでした。でも、ラスヴェガスの人気ショーガールって、あんなセレブ扱いされてるの?まるでハリウッドの大女優みたいな扱いだったけど…聞くところによると、クリスタル役にはシャロン・ストーンやマドンナが興味を示したり、当時無名だったシャーリーズ・セロンがノエミ役のオーディションを受けていたとか。3人とも、出なくてよかった!と、公開当時は心の底から安堵したことでしょうね
 興行会社の重役役は、「ブルー・ベルベット」や「ツイン・ピークス」など、デヴィッド・リンチ監督のお気に俳優だったカイル・マクラクラン。

 見るからに軽薄でヤリチンで信頼できない、ゲス乙女の川谷アメリカ版みたいなゲス男を好演してました。川谷と違って、かなりイケメンですが。ノエミとのプールでのファックシーン、アクロバットなシクロナイズドなプレイで笑えました。あんなん、鼻や耳に水が入ってエッチどころじゃない状態になると思うけど女優たちに負けず、彼も無駄にケツ丸出し。ブルーベルベットの時はツルンとした美尻だったのに、この映画では弛んでたカイル、結構好きな俳優だったんですけど、彼もこの映画でミソつけて、その後キャリアはパッとしないまま、B級俳優になってしまったのが残念。
 この映画で、最低最悪版アカデミー賞であるラジー賞を受賞したヴァーホーヴェン監督が、堂々と式典に出席し『蝶が芋虫になった気分だ』と笑顔でスピーチしたことは、今も語り草となっています。批判や批難も、どこ吹く風で笑い飛ばし受け流す、ヴァーホーヴェン監督の余裕と剛毅が好きです。そんなヴァーホーヴェン御大の最新作である“Elle”は、フランソワ・オゾン監督やダニエル・トンプソン監督など並み居る人気監督作を押しのけ、アカデミー賞外国語映画賞のフランス代表に選出されました。ヒロインを大怪演してるのは、この映画のB級女優とは雲泥の差がある大女優イザベル・ユペール!ユペりんの初オスカーノミネートも期待してます。グイネス・パルトローとかジュリア・ロバーツが受賞できるなら、ユペりんは1000個オスカーもらってもおかしくないと思う!

 ↑ Elle観ておくれやす~by ヴェン&ユペ
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親が子どもの重荷になる時

2016-10-07 | 北米映画 80s~90s
 「恋のじゃま者」
 仕事も順調、セックスライフも気ままに楽しんでいた敏腕広告マンのデヴィッドは、両親の突然の離婚に困惑する。彼らに生活を乱されながらも、デヴィッドは距離ができていた家族の絆を見つめ直すが…
 最新作「ハドソン川の奇跡」も好評のトム・ハンクス、当時30歳、1986年の主演作です。トム・ハンクスの出演作の感想をUPするたびに、同じこと言ってますが…大傑作「ビッグ」を頂点とした、80年代のトム・ハンクスのカッコカワイさは、まさに神ってる!この映画のトムも、可愛い!カッコいい!そして当然ながら、若い!今はデップリした貫禄たっぷりなハリウッドの大御所ハンクス氏ですが、80年代のトムはスマート&スウィートなイケメン

 トム・ハンクスの明るいけどノーテンキとは違う、ちょっとヒネったユーモア、キャラなところが好き。あの大真面目な顔で面白いこと言ったりしたりするのが、オチャメで独特なんですよね~。ひどい目に遭いまくって困惑したり、プッツンして怒鳴りまくるトムの表情や声が笑えます。トボけた顔、演技だけど頭脳明晰なトムは、仕事がデキる都会的で有能な役が似合います。女にモテモテな役も当然。H大好きなヤリチン男役でも、トムだとゲスにならないです。

 デヴィッドが仕切るCM製作の過程や現場、80年代の広告業界の様子も興味深く楽しかったです。あと、80年代といえばの懐かしいファッションも、今あらためて見るとなかなか衝撃的(笑)。キャリアウーマンのバブリーな衣装やアクセサリー、メイクが時代を感じさせます。
 デヴィッドの職場がすごく楽しそう。トム・ハンクスみたいな愉快でカッコいい上司がいたら、仕事も楽しいだろうな~。デヴィッドの部下たちも、みんな味だしてました。何とかハゲを隠そうと必死なヅラ社長が、特に笑えた。顔じたいは男前で、ヅラなんかかぶらなくても全然イケてましたけど。
 
 仕事や恋愛はコミカルに描かれていたのですが、デヴィッドと家族の話は結構シリアス。邦題と内容が一致してません。デヴィッドの恋を邪魔する人なんて出てきませんし。恋じゃなくて、人生の邪魔者ならピッタリ。老いた親が子どもの人生を不安定にする、という怖い映画なんです。両親の離婚の原因とか、かなり救いようがなく陰惨で笑えません。熟年離婚って、怖いわ~。飛び出した妻は自由を取り戻して、元気いっぱいに第2の人生をエンジョイしてるのに、出て行かれた夫のみじめさときたら。世の中の旦那さんたち、あんまり横暴で自分勝手だと、いつか捨てられちゃうのでご用心。まだ若いうちだといいけど、老いてからだとほんと悲惨…
 デヴィッドと親父の葛藤や溝も、じっくり描けばかなり暗く悲しい話になってたでしょう。いちおうコメディなので、そこのところがサラっと避けられてました。でもデヴィッド、いい息子すぎ。ナンダカンダで両親に優しく献身的だったし。私なら、両親を責めるだろうし、ヘタすりゃ絶縁ですよ。ソレハサテオキ。高齢化社会、老いた親が子どもの負担、重荷になる厳しい悲しい現実は、決して他人事ではありません。老いた両親との関係、という重いテーマはコメディ向きではないような。無理やりコメディにしたような違和感が拭えませんでした。親父と知り合いたいと、デヴィッドが休職して老父の車いすを押すラストシーンは、心温まるどころかデヴィッドを待ってる辛い介護生活の始まりとして、暗澹となってしまいました…
 後に大ヒット作「プリティ・ウーマン」を撮ったゲイリー・マーシャル監督作品。トムの代表作「ビッグ」のペニー・マーシャル監督とは兄妹だったんですね~。
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殺しのアヘアヘ開脚

2016-09-07 | 北米映画 80s~90s
 「氷の微笑」
 サンフランスシコで男性が情交中にアイスピックで惨殺される事件が発生。刑事のニックは、捜査線上に浮かんだ女流作家、キャサリンへの容疑を深めると同時に、彼女の妖しい魅力にのめり込んでしまう…
 懐かしの大ヒット作。映画史に名を残す作品ですが、それは名作だからではありません。今でもコアなファンが多い、数々の珍作迷作を世に放ってきたポール・バーホーベン監督が、その天才的な変態っぷりを遺憾なく発揮した、面白すぎるエログロ映画として、です。
 この映画、まさにネタの宝庫なんですよね~。ツッコミを確実に狙ってる。大真面目なサスペンスを装った、トンデモお笑い映画と認識しているのは、きっと私だけではないはず。
 女殺人鬼がセックスの絶頂で、男をアイスピックでメッタ刺しにするシーン。ノーパンのキャサリンが取調室で、足を組み替えるシーン。有名なこの二つのシーンは、今や映画史に燦然と輝く?伝説的なシーンとて恰好のネタとなり、多くのパロディにもなりました。

 ↑こんな座り方する女、いねーよwww
 映画全体を支配する惜しみない悪趣味さ、エログロさ、変態テイスト、オゲレツさは、みんな気取ってるけどホントはこーいうのが好きなんだろ?と、セックスと殺人というコレストロールと糖分たっぷりの毒々しい御馳走を、ポール・バーホーベン監督が冷笑しながら、ほら食え!と私たちに差し出した、そんな感じがする映画です。結局、みんな高尚で清く正しいものより、ゲスいもののほうが好きなんですよね~。どんな名作、秀作よりも、この映画のようなゲス作のほうが面白くて楽しめてしまいます。ゲス映画ですが、凡百な監督ならキワモノ、悪趣味さだけが目立つ退屈なB級映画になってたところを、演出には髄所に独特な才気が感じられるところがは、さすがバーホーベン監督。やはりタダモノではありません。
 主演は、マイケル・ダグラスとシャロン・ストーン。二人の激しい濡れ場も話題になりました。

 マイケル・ダグラスは、「危険な情事」や「ウォール街」など大ヒット作やオスカー受賞などで、まさにイケイケな最盛期にあった頃。彼のスゴいところは、ハリウッドのスターは成功するにつれてだんだん保守的になったり、仕事選ぶようになったりしてつまんない存在になっていくところを、映画をヒットさせるためには手段選ばず!何でもやる!なギラギラした気概があるところ。フツーは、当時のマイケル・ダグラスほど成功したスターなら、こんな映画には出演しませんよ(笑)。全裸ズコバコセックスシーン、SMシーン、必要ある?な全裸姿(フルチンになりすぎ)など、さすが私生活でもセックス中毒と噂されたダグラス氏の爪の垢、日本の俳優に煎じて飲ませたいです。男盛りの脂ののった熟年ボディも、バキバキシックスパック筋肉より私は好きです。
 そして、この映画最大の売りであるキャサリン役のシャロン・ストーンは、この映画で一躍スターダムに。シャロンさん、いい女ですね!魔性の悪女役なのですが、すごくクールでサバサバした感じで、カッコいいんですよ。頭、良さそう!実際のシャロンさんも、かなりIQが高い女性だとか。ハレンチだけど白やベージュが基調のシンプルな衣装も、ネチネチしてないキャサリンのキャラに合ってました。彼女の思わせぶりで挑発的な台詞、サラっとした追及のかわしかたなど、なかなか小粋でした。シャロンさんもダグラス氏同様、見事な脱ぎっぷり、濡れっぷりですが。二人のセックス、激しい運動みたいで全然エロくないです。
 ちなみにこの映画、シャロンさん主演の続編「氷の微笑2」があります。映画としてはかなり劣化してますが、ヒュー・ダンシーとかシャーロット・ランプリングとか、キャストは豪華になってます。
 ポール・バーホーベン監督が初めてフランスで撮った新作“Elle”は、今年のカンヌ映画祭をざわつかせた問題作。主演はイザベル・ユペール!最恐タッグじゃん!早く観たいですね!

 ↑“Elle”トンデモ映画らしいです!バーホーベン監督&ユペりん、こともあろうにこの二人!なタッグに、期待するなと言うほうがムリムリかたつむり!
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