まつたけ秘帖

徒然なるままmy daily & cinema,TV drama,カープ日記

幕切れから始まる愛

2007-09-21 | フランス、ベルギー映画
 デイオフだった今日は、朝から不快にさせる出来事が...
 転んで怪我をした婆さまを病院に連れていくため、初めて介護タクシーを利用することに。しかし、午前10時に来てもらうよう頼んだのに、お昼近くになっても来ない。会社に連絡しても、何だかラチのあかない返事。どーいうこと!?信じられない!と、my motherと2人でブツブツ言ってたら、12時すぎてやっと来た。大遅刻もいいところなのに、平然としてる運ちゃん。あの~10時の約束ですよね?と私が言っても、そしらぬ顔で婆さまを車に連れていこうとする。あまりな態度に、あの~すみませんの一言もないんですか?と、つい口から文句が。するとmy motherが、何言ってんの!やめなさい!まあ、ごめんなさいねえ、この子ったら。気にしないでくださいねえ、と運ちゃんにペコペコ。な、何でこっちが謝らねばなんないのさ!?とてもサービス業者とは思えない運ちゃんより、誰にでも良い顔をする母のほうが不愉快でした。あーいう母の態度を、優しさとは言わないのでは...

 「ふたりの5つの分かれ路」
 フランソワ・オゾン監督作品。
 離婚→結婚生活→出産→結婚→出会い、と過去に遡って夫婦の愛を描く、巻き戻し形式がユニーク。不幸な結末が最初で、幸せな始まりが最後、というのが何だか不思議な余韻を残します。
 幸せなはずの過去にバック・トゥーしながらも、そこはかとなく不幸の兆しや不協和音が漂っていて、どんなに愛し合っている男女も、しょせんは違う生き物、埋められない溝や解かり合えない領域があるのだなあ、それに目を塞いで一緒に生きることって、難しいよなあ、とシミジミ思ってしまいました。永遠の愛なんて、幻想?たとえ愛よりも忍耐と諦念だとしても、仲良く長年連れ添っているご夫婦を、ほんと尊敬します。
 女よりも男のほうが、精神的に脆くて狭量だと、夫婦関係も壊れやすいのでしょうか。この映画の夫も、普段は優しく魅力的な男性なのに、ふとしたことで妻を不安や不信に陥れる言動をしたり。難産で苦しむ妻の傍に行かなかったのは、どういう男性心理なんだろう?繊細すぎ?恐怖心?
 夫婦の微妙な愛の温度差が、淡々と深く描かれていて面白かったけど、わかるわかる!と納得したり共感したりするには、結婚したことがない私にはまだ早いのかもしれません。
 妻役のヴァレリア・ブルーニ・テデスキは、「ぼくを葬る」にも連続出演したオゾン監督のお気に女優。美人ではないけど(Mr.レディに見えることも...)個性的で印象に残る容貌と演技。冒頭の別れる記念?的夫婦まぐあいシーンでは、ボカシ入りのヌードも。リアルに崩れた感じの裸体が、妙に生々しくエロいです。彼女、見えないけどイタリアの名家出身のスーパーご令嬢なんですよねえ。お嬢が売りだけど、しょせん宿屋や芸能人の娘パリスやGP、松たかこなどとは、身分が違うのです。
 夫役のステファン・フレスが男前!シブくて知的ワイルド。苦味走ったヒュー・ジャックマンって感じ?かなりの肉体美も高ポイント。
             
 サブキャラとして、夫の兄とその彼氏など、ちゃんとチャーミングなゲイが出てくるのも、オゾン監督作品らしい。
 オゾン監督の作品は、この映画や「まぼろし」「ぼくを葬る」といった、人生は儚く虚しい夢物語系よりも、「8人の女たち」や「焼け石に水」といった,毒々しい笑い充満のぶっとび系のほうが、私は好きです。
コメント (4)
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