まつたけ秘帖

徒然なるままmy daily & cinema,TV drama,カープ日記

自己責任!迷走危険地帯

2008-07-18 | オセアニア、アフリカ、中東、その他のアジア映画
 「フリー・ゾーン 明日が見える場所」
 エルサレムで暮らすアメリカ人レベッカは婚約者と別れ、失意の中イスラエル人ハンナのタクシーに乗り込む。ビジネスのためヨルダンのフリー・ゾーン(自由貿易地帯)に行かねばならないハンナに、レベッカは同行するが...
 イスラエル映画を観たのは、これが初めて。中東問題・紛争って、ほんと複雑で根が深くて、私などチンプンカンプンに近い。最近は日本も平和とは言えない状況になってきてるけど、イスラエルや中東諸国に比べると、まだまだ安全な国だと思えます。
 イスラエルからヨルダンへ向かうレベッカとハンナの目を通して描かれる、物騒な様子と緊迫した空気は、まさに中東って感じです。国境の検問所の厳しさ、小さな村を襲う恐怖の焼き討ち、ラジオのテロ予報etc.ほんと日本に生まれてよかった、と痛感します。
 イスラエルやヨルダンの一般市民の生活風景など、普段なかなか目にすることが少ないシーンの数々に、ちょっとした観光気分が味わえます。漂う空気感も含めて、日本とは何もかもが違う異界のような地域なので、一度は訪ねてみたいものです。
 アメリカ人のレベッカ、イスラエル人のハンナ、ハンナのビジネス相手であるパレスチナ人のレイラ。3人の女性が、それぞれの国を象徴しているような役割を担っているのが、なかなか巧妙で面白いです。別に政治的なぶつかり合いをするわけではないけど、なにげないやりとりが3つの国の立場や主張を表しているように見える。国家とか民族とかが絡むと、憎悪や敵意が萌すイスラエルとパレスチナだけど、一人の人間、女性として向き合えば、解かり合えるし助け合うこともできる。お金のことで意見が食い違うハンナとレイラだけど、お互いに困ったことが起きれば、手を差し伸べ合うことができる二人。車の中で仲良く歌を歌ったり。国と国もこうあるべき、こうあってほしい、という理想や願いが、2人のやりとりにこめられているようです。でも、ラスト。レベッカの行動と、ハンナとレイラの争いの再燃は、アメリカへの痛烈な皮肉と中東和平への悲観・懐疑とも受け取れます。堂々巡り、エンドレスループな憎しみや争いの虚しさを訴える、映画の冒頭に流れる歌が耳に残ります。
 レベッカ役のナタリー・ポートマンは、イスラエル生まれだとか。ナタポー、相変わらず子供みたいですが、やっぱ美人ですよね。それに、見るからに賢そう。この映画に出たのも、私は知性派女優なの!と言わんばかりですが...
 ハンナ役のハンナ・ラズロは、この映画でカンヌ映画祭女優賞を受賞。イスラエルでは人気のコメディエンヌだとか。演技も風貌の、気風のいいオバチャンって感じで、いい味だしてます。レイラ役のヒアム・アッバスも好演。
 
 
コメント
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