まつたけ秘帖

徒然なるままmy daily & cinema,TV drama,カープ日記

パニック超特急☆

2016-08-03 | 日本映画
 懐かしの70・80年代邦画映画祭③
 「新幹線大爆破」
 新幹線に爆弾を仕掛けたという脅迫電話がかかってくる。運転指令室と運転士が連携して危機を乗り越えようとする中、警察は犯人グループを追跡するが…
 1975年(昭和50年)の作品。子どもの頃、よくTVで放送してた作品を久々に鑑賞。すごく懐かしい匂いのする映画になってました。いま観ても面白いです。70年代の雰囲気、好きなんですよね~。今の邦画にはない人間臭さや陰影が味わい深い。当時はもちろんJRではなく国鉄、駅の様子や新幹線内も、今では見られない昭和の風景。当時のファッションとか髪型、メイクも何か斬新に見える。ダイヤル式の赤電話とか、聖徳太子の一万円札とか、何ともレトロなファクスミリとか、私が幼い頃にはまだあったよな~な、今はもう絶滅したアレコレに昭和を知る人ならノスタルジー間違いなしです。
 新幹線内、国鉄、警察、そして犯人グループの攻防を描いてるのですが、当時は緊迫のサスペンスだったかもしれないけど、高度なCGや練りに練ったトリッキーな脚本に慣れてる映画ファンにとっては、かなり粗くて雑です。爆走しぶつかって爆発する新幹線とか、どう見てもオモチャ。まるで円谷プロの特撮。チャチいけど、それもまた懐かし風味でご愛敬。
 この映画、出演者の顔ぶれが豪華かつ濃ゆい!70~80年代に活躍した役者たちって、みんなギラギラしてて男くさくて、何となく破綻や荒廃のにおいがするところが好き!今はベテラン俳優だって見た目も演技も何か無難というか、CMで楽に稼ぐことが大事なのか、保守的でつまんない。激シブ男優たちの、演技と個性のぶつかり合いが、この映画の魅力かもしれません。
 犯人グループのリーダー役、主演の高倉健がカッチョE!

 ワタシ世代には、もう晩年のイメージが強い健さんですが、当時40代半ばの壮年期、男としても役者としても最も脂がのってる頃の健さん、めっちゃ男前!寡黙で翳りがあって硬派で不器用でストイック、不幸や悲劇、任侠や仁義が似合う健さんみたいな役者、やっぱいないですよね~。まさに不世出の役者だと思います。最近の、オレ演技巧いだろ~?的な、軟派で小器用で小賢しい俳優は苦手です。
 健さんの体つきが、なかなかセクシー。脱いではないのですが、ポロシャツとかタイトなジーンズで、強靭で筋肉質な肉体であることが判ります。特にお尻が、中年とは思えぬほど引き締まってて素敵でした。鍛えてたんだろうな~。オートバイかっ飛ばす姿がカッコよかった!
 新幹線指令室長の宇津井健も、ワタシ世代にはもう渡鬼のイメージなので、男ざかりの頃の彼も何だか新鮮でした。新幹線の運転手役は千葉真一。忍者になって爆走する新幹線の屋根に上がりそうなほど、無駄にワイルドな運転手さんでしたが(笑)。サニー千葉の部下役の小林稔侍と竜雷太、わ、若い!メインキャストの中では、共犯役の山本圭が最も目立つ好演、存在感だったかも。70年代の虚無的な知的青年っぽさがよく出てました。最期のシーンが壮絶、でもこれまた雑で乱暴で笑えた。
 あと、当時の大作には必ずといっていいほど出てた丹波哲郎。あまり必要がないチョイ役なのに、いつも無駄に存在感ありすぎる丹波先生です。鈴木瑞穂や北大路欣也など刑事を演じてた俳優たちが、とりわけ熱くてシブくて気迫がこもってました。
 この映画で私がいちばん好きなところは、新幹線の乗客たちの狂乱パニックぶり。あれ、ぜったい笑いを狙ってますよね~。岡田あーみんの漫画みたいだった。でも、テロや無差別殺人がもはや日常茶飯事な今のご時世。まだこの映画の犯人は人間的かつ紳士的でしたけど、最近は問答無用に残虐に命を奪われることのほうが圧倒的に多いので、こんなのフィクションに過ぎない!と軽く受け止とめることはできません…
コメント (9)
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