まつたけ秘帖

徒然なるままmy daily & cinema,TV drama,カープ日記

熟女作家が溺れたイケメン

2023-06-12 | フランス、ベルギー映画
 「年下のひと」
 19世紀半ばのフランス。子どもたちを連れ夫のもとからパリへと出奔した女流作家ジョルジュ・サンドは、批評家から酷評され傷ついた自分を励ましてくれた劇作家のアルフレッド・ミュッセと親しくなり、やがて恋人関係となる。二人はイタリアで暮らし始めるが…
 ジュリエット・ビノシュとブノワ・マジメルが、実生活を彷彿とさせるA・CHI・CHI・A・CHI by 郷ひろみ な恋人同士を演じた時代劇です。1999年、24年前!の映画なので、当然ながら二人とも若い!特にブノワ!当時24歳!その美青年ぶりはもはや伝説な「ピアニスト」よりさらに前の作品。その美しさ、可愛さとイキのよさときたら!でっぷり、じゃない、すっかり貫禄も恰幅も備えた現在の熟年ブノワとは、文字通り別人!その若々しい表情や一挙手一投足に観入ってしまいます。

 現在の彼との最大の違いは、やっぱ体型でしょうか。若き日のブノワは、とにかくスマート。細いけどガリガリ貧相ではなく、引き締まったしなやか肢体です。肌もピチピチツルツルな美白!今のブノワも素敵だけど、往年のファンは美しかった頃の彼に格別な想いを抱いてるので、この映画の彼を見たらこちらまで若返るような気分、そして甘い喪失感も覚えることでしょう。ブノワもだけど、私も年とったよな~…という感慨も。

 この映画のブノワ、若くて美しいだけでなく、他の出演作に比べて笑顔と活発な演技が多く、明るくておちゃめ。少年のような闊達さ。前半はかなりコミカルでもあります。若い頃にもっとラブコメにも出てほしかったと思いました。中盤、イタリアに移ってからは、美しく才能ある芸術家のご多分に漏れず、ミュッセも身勝手で破滅的な本性をあらわし始めるのですが、そんなブノワもとにかく可愛い!ウソやろ~!何やっとん!と呆れ果て、もう付き合いきれん~!と疲れ果てても、ミュッセを見捨てられないジョルジュ。可愛いブノワだから納得もできたが、ミュッセ役がもし演技が上手いだけの俳優だったら、最低のダメ男クズ男として不愉快になるだけだったでしょう。天然な人たらしイケメンほど厄介な生き物はありませんね。

 ブノワasのミュッセの暴れっぷり、やらかしっぷりもとにかく可愛いんですよ。熱病になって錯乱するシーンと、嫉妬に狂ってジョルジュの首を絞めるシーンがイカレててトレビアン。ほんとなら迷惑なだけのDVストーカー男なんだけど、「流浪の月」の横浜流星といい、ヤバさも魅力になるのがイケメンマジック。

 コスチュームプレイも似合う若き日のブノワ。衣装が上品かつおしゃれ。特に薄いピンクのジャケットが可愛いかったわ。ビノシュとのラブシーンは、10分に1回あると言っていいほど頻繁。とても仕事とは思えず、ほとんど公私混同。でも露骨で生々しいシーンは全然なくて、ブノワも、脱ぎっぷりのいいビノシュでさえほとんど脱いでません。

 ジュリエット・ビノシュは当時34歳、ブノワほど現在とのギャップはありません。何でこんな美人でもない野暮ったい女に、映画でも私生活でもいい男たちが次々とハマっちゃうの?と、かつては不可解だったモテ女っぷりも今なら理解できる私。サイボーグみたいな人工的美女にはない、おんなの生臭さが男にとっては強烈なフェロモンになってるのでしょう。女ざかりのモチモチした白い肌も、若い女にはない色香が。
 ジョルジュ・サンドに関しては、ほとんど無知だった私。奔放な恋愛遍歴や創作意欲など、ちょっと瀬戸内寂聴先生とカブったのは私だけ?恋に夢中になっても子供たちと別れることもなく、元夫や元カレたちとも友好関係、名声も得るジョルジュ。自由を愛する働く女性にとっては、理想的な人生にも見えました。古都ヴェネツィアの風景が趣深かったです。ラストシーン、ジョルジュが歩くパリの晩秋の並木道も美しかったです。

 ↑ 恋人同士だった頃の二人

 ↑ 現在の二人。何と四半世紀を経ての再共演!その新作“La passion de Dodin Bouffant”は今年のカンヌ映画祭でお披露目され、二人の仲良しぶりも話題に。別れた後も友好関係だったようですね。大人の関係!素敵!


 
コメント (5)
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