まつたけ秘帖

徒然なるままmy daily & cinema,TV drama,カープ日記

セクハラクーデター

2020-03-01 | 北米映画 15~21
 「スキャンダル」
 大手テレビ局FOXニュースの元キャスター、グレッチェン・カールソンがCEOであるロジャー・エイルズをセクハラで告訴する。騒動の中、被害に遭ったことがある花形キャスターのメーガン・ケリーは、沈黙を守るか共に闘うか迷い苦悩するが…
 シャーリーズ・セロン、ニコール・キッドマン、マーゴット・ロビー、ハリウッドの大物女優3人の競演作。日本のCMレベル女優のキレイカワイイ学芸会にはもうウンザリ。美貌や安定路線、培った人気など、いろんなものをかなぐり捨てた恐れ知らずな役や演技、見た目で観客をドン引きに近いほど圧倒してこそ真の女優。すごい美女なのに、それを否定するような汚れ役や狂った役を果敢に演じることで定評のある女優が、一人だけでも十分濃ゆいのに三人も集合してしまった贅沢な映画、さぞや胸焼けのするような女優魂を見せつけられることだろうと、大きな期待を抱いて観ました。で、どうだったかというと…
 
 御三方とも評判通りの力演でした。美しく見せたい好感を抱いてほしいという過剰な自意識や媚は微塵もなく、世にはびこる理不尽や非道を訴えたい!という真摯で強いメッセージ性ある役と演技にはただもう感服と畏怖あるのみです。シャー子さんは得意の自分崩しでほとんどご自身を消した顔になってたし、ニコキさんは億さずに容色の衰えをあらわにし、マーゴットは恥辱のパンチラ。CMの仕事が大事な日本の女優は絶対やらない、できない勇気と根性でインパクト強烈です。3大女優の競演が売りな映画なのですが、3人が一緒の画面でそろうのはエレベーターで鉢合わせするシーンだけ。ほぼ個人プレーなので、女優同士の火花散ら演技合戦という期待はハズレて残念。そしてこの御三方、他の出演作でもですが、鼻息が荒く力が入り過ぎな傾向があるので、見ていてちょっと疲れることも事実。どう見ても泣き寝入りなんかしそうにない、やられたら倍返し間違いなしな女たちなので、被害者の痛みや苦しみはあまり伝わってこなかったです。

 3大女優の演技もだけど、セクハラパワハラに心身を傷つけられる女の痛みや屈辱、反旗を翻す女の怒りと強さ、というゴリゴリなフェミニズムが結構しんどい。セクハラパワハラ野郎や老害をギャフンと言わせてスカっとするはずの内容なのに、痛快さやカタルシスはほとんどなかった。3人の女たちの強さや行動力には心底頭が下がるけど、共感とか好感は抱けませんでした。彼女たちは被害者なんだけど、毒を食わらば皿まで的にセクハラパワハラに耐えたり見て見ぬふりをしたりしてまで出世したい、富と名声を得たいという野心や打算もまた生々しくイヤらしく、女たちの蜂起と糾弾もほとんど私憤にかられた報復っぽくて、女の恨みの深さに戦慄。良識的で平等と協調が保たれた清い世界では、きっと彼女たちは満たされず輝けなかっのではなかろうか。汚いものを栄養に強く美しくなっていく、そんなヒロインたちのように思えました。

 それにしても。老害社長たちのセクハラパワハラは非道すぎ醜悪すぎて、ほんと吐き気がしました。出世のためとはいえ、女たちよく我慢できたよな~。あんなことが当たり前のように横行する環境、怖すぎる異常すぎる。有能で美しいと、受難もまた多いんだな~。有能でも美しくもない私は幸せ者かも。権力を振りかざして立場の弱い者を虐げたり食いものにするような卑劣なゲス野郎どもは、手ひどい天罰が下ればいいと心底願いますが、私のように強い賢い男には従順になる意識が低い愚か者には、攻撃的で好戦的なフェミニズムが少し息苦しく重くも感じられます。

 ジョン・リスゴーの強権的なゲス老害っぷりの醜いパワフルさも圧巻。後半に登場する弁護士役は、マーゴット・ロビー主演の「アイ、トーニャ」でアカデミー助演女優賞を受賞したアリソン・ジャネイでした。TV局オーナーの次男役の俳優がイケメンだった。アメリカのTV事情とか政治情勢とかに無知なので、登場人物の関係性とか肩書、立場がよく分からず戸惑うことが多々ありました。トランプ大統領、ほんとど準主役級な登場回数と存在感です。日本の女子アナたちも、この映画のようにパワハラセクハラにまみれながらも、したたかにサバイバルしてるのかな。

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3 コメント

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セクハラ・・・ (フキン)
2020-03-11 10:14:19
こんにちは!!
姉様、こちらの映画みたいな、、なんて思ってたけど
コロナ怖くて外出してない私。
感想読めて、よかったです♬
なんとなく雰囲気は感じてたのですが姉はんのレビューで納得しました。
強い賢い男には従順・・・なんか、ウケました。
私とおんなじだわ‥って・・。苦笑
セクハラを受ける側の人はいい意味でも悪い意味でも選ばれし人なんですね。

芸能界はほんと、汚いものを栄養に美しくなっていく・・・ってその通りです。(知らんけど)
特に私思いますにきよし君。
演歌の世界ってなんかすっごく闇深そう・・・
きよしさんがあんなふうになったのって彼が若い時、後援会のおばちゃんの圧がすごかったせい??何かあったんじゃないかって思います。
だからあっちの世界に…って。
最近、私が密かに気に入ってる辰巳ゆうとくん(22)がきよしさんと一緒にテレビに出てるの見ると彼がきよし女王様に食べられやしないかと気が気でない今日この頃・・・・
っていうか、コロナなんとかならんのかーーーー!!!
姉様、お気をつけておくんなまし。
返信する
コロナちゃん、さようなら。 (すねこすり)
2020-03-11 23:20:34
たけ子さん、こんばんは~♪
これ、こないだのロシア行きの機内で見始めたんですが、字幕追うのに必死になって訳分かんなくなりそうだったので、吹き替えに切り替えたんですが、それでもちょっと混乱しそうだったので、途中で諦めました。
コロナ騒動で劇場に行く気にもならないし、字幕で見たら絶対分かんなくなりそうだから、DVDが出てから吹き替えと字幕と両方で見ます
それにしても豪華キャストですねぇ。
「強い賢い男」……そんな男、この世にいませんよ。賢い男は例外なくズルくて狡いし、強い男なんて男が勝手に作り出した妄想です。
もう、とっくに世界中の男に期待していない私です♪
男はいずれ絶滅する性だそうだから、いずれなんて言っていないでとっとと滅びればいいのに、、、なんてね。
こんな私は、この映画は見ない方がいいかな
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コロナなんか怖くない (松たけ子)
2020-03-12 22:30:07
フキンさん、こんばんは!
コロナのせいで、おちおちと外出もできまへんな~。ただでさえ楽しみが少ないのに、映画館にも行けないなんて、ストレスやわ~。
若い子たちに下ネタばかり言ってる私、とんだセクハラおやじですよね💦そのうち追い出されるかも!反省!
氷川きよし、自分を偽っておばちゃんの御機嫌をとり続けることにウンザリしたんでしょうね。私もこないだのNHK歌コン観たえ~。辰巳ゆうとくん、可愛かったですね!きよし姐さん、ゆうとには手は出さないと思うけど、ゆうとが売れたり自分のお気にな男たちにモテたりしたら、女の嫉妬でゆうとをいじめそうで心配(^^♪

すねこすりさん、こんばんは!
ちょっと事情とか人物関係・肩書がアメリカ人ならおなじみかもしれないけど日本人にはチンプンカンプンなので、ついていけなくなりますよね~。
すねこすりさんには横浜のkino festivalでレアな作品をご覧になってほしかったけど…
そうそう、強い賢い男なんて、まぼろし~。言いなりになると楽だから、という私の身勝手さと甘えが生み出す幻想なんです。私も男に期待しなくていいほど強くなりたいです。
1917、母との約束、観に行かないほうがいいのかしらん…
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